• 検索結果がありません。

2016年度日本基礎心理学会第1回フォーラム 基礎心理学の新しい方法を拓く―ビッグデータ・生体センサー・タブレットの活用―

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "2016年度日本基礎心理学会第1回フォーラム 基礎心理学の新しい方法を拓く―ビッグデータ・生体センサー・タブレットの活用―"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.35.22 127 ●●●●●●●●●●●●●●●著者名: ランニングタイトル●●●●●●●●●●●●●●●

2016年度日本基礎心理学会第1回フォーラム

基礎心理学の新しい方法を拓く

―ビッグデータ・生体センサー・タブレットの活用―

New technology for experimental psychology:

Utilization of big data, biosensor, and tablet

日   時: 2016年5月21日(土)14∼17時 会   場: 慶應義塾大学三田キャンパス西校舎522教室 講 演 者: 櫻井保志(熊本大学大学院自然科学研究科)       「時系列ビッグデータ解析とその応用」       安藤英由樹(大阪大学大学院情報科学研究科)       「意識下応答を活用した情報提示デバイスの研究」       景山 望(海上自衛隊潜水医学実験隊)       「新たな認知機能検査ツールとしてのタブレットの有用性」 司   会: 三浦佳世(九州大学) 企   画: 三浦佳世(九州大学)・坂上貴之(慶應義塾大学) 共   催: 三田哲学会 企画の趣旨と概要 近年のネットワーク環境の変化,インターフェイスや アプリケーションの進展,生体センサーの小型化・非接 触化,さらには,スマートフォンやタブレットなどの端 末の普及は,情報の呈示・取得・分析の環境を大きく変 えつつある。基礎心理学においても,GPS機能を用いた 大規模な行動実験,パソコンはもとよりスマートフォン やタブレットを用いたクラウドソーシングによる知覚・ 認知研究(e.g., Dufau et al., 2011; Turpin et al., 2014),生体 センサーによる心拍や姿勢情報の取得など,幅広い活用 が始まっており,これらの手段によるデータの妥当性や 精 度, 限 界 に つ い て も 検 証 が進 め ら れ て い る(e.g., Brown et al., 2014; Leeuw & Motz, 2016; 佐 々 木・ 山 田, 2016)。 今回のフォーラムでは,進展の著しいデバイスやデー タマイニングなどの方法論に注目し,「基礎心理学の新 しい方法を拓く」という観点から,これらの分野の最前 線で活躍されている工学者と心理学者に講演をお願い し,新しい技術や手法の現状と課題とを考える機会とし た。 熊本大学の櫻井保志氏は,FacebookやTwitterの情報 や,モノに取り付けられたセンサーの発する信号(IoT) など,多様かつ大量に流れるビッグデータを,いつ,ど こで,誰が,どのような内容にアクセスしたかという観 点から,高速に解析するデータマイニングの手法を開発 し,リアルタイムでの行動予測を追求している情報工学 者である。パソコンのバナー広告やおすすめ商品の呈示 は,こうした成果の一端を身近に感じる例でもあるが, 購買行動の分析に限らず,解析手法自体も基礎心理学に とって示唆を与えてくれるものである。講演では,生態 学のアイデアをもとにしたデータマイニングの手法や, データ自身がモデルを発見し今後の予測を行う自動特徴 抽出の考え方,それらを支える大規模テンソル解析につ いて,わかりやすく解説いただいた。一方で,大規模 データの解析は,個人情報への接近あるいは流出と背中 合わせでもある。当日は,方法論に対する関心に加え, 倫理面からの歯止めに関しても,活発な質疑が行われた。 大阪大学の安藤英由樹氏はヒューマンインタフェース の開発を行っている工学者で,「意識下」の情報に関心 をもち,心理学者との共同研究もある。今回は実例を挙 げて,この分野の現状と課題を語っていただいた。たと

The Japanese Journal of Psychonomic Science

2017, Vol. 35, No. 2, 127–128

(2)

128 基礎心理学研究 第35巻 第2号 えば,前庭に弱い信号を流すと,加速度感が知覚される が,その前に反射として身体が動く。この効果を利用す ると,危険物を避けるシステムを開発することができ る。また,RとLの発音が意識的には区別できなくても, 脳は逸脱刺激に対する反応を示しており,そうした微弱 な反応を増幅してニューロフィードバックすることで, 音に対する弁別能力が高めることができる。こうした技 術は安全制御や学習システムとして役立つ一方,意識下 の反応をセンシングし,行動や学習を誘導する点で,倫 理的な問題を伴う。「問題点は,簡単に実装できること」 という氏の指摘は,「技術は価値観・倫理観の観点から も評価されるべきだ」という発言につながる。次世代の 心理学研究においても当てはまることであり,研究に伴 う責任について改めて考える機会となった。 海上自衛隊潜水医学実験隊の景山望氏は,潜水艦内な どの高圧下でストループ検査や記憶実験を行ってきた心 理学者である。使用機材や実施時間など,様々な制約を 伴う特殊環境でのデータ取得に,氏はスマートフォンや タブレット端末が有効ではないかと注目する。これらの デバイスは高圧下や水中での使用に耐えられ,複数のア プリケーションを搭載することができ,心理学実験のア プリケーションやプログラミング環境も整い始めてい る。氏の今後の研究での活用が期待される。さらに,操 作性にも優れたこれらの機器は,特殊環境やフィールド 実験に限らず,多くの参加者からのデータを得たい場合 等にも広く活用されていくものと思われ,データの偏り という,これまで心理学が抱えていた問題に解決策を与 えるかもしれない。一方で氏は,便利な装置だけに個人 情報の取り扱いに関して慎重さが求められる,と付け加 える。 新しい技術の進展は,実験心理学の世界を広げる一方 で(e.g., Miller, G., 2012; Dufau et al., 2011),それらを使用 する際の責任や倫理観が問われることになる。今回の フォーラムは可能性と課題とを考える好機となり,意義 深い集会となった。

(九州大学 三浦佳世)

引用文献

Brown, H. R. et al. (2014) Crowdsourcing for cognitive sci-ence: The utility of smartphones. PLoS ONE, 9, e100662. de Leeuw, J. R., & Motz, B. A. (2016) Psychophysics in a Web

browser? Comparing response times collected with JavaScript and Psychophysics Toolbox in a visual search task. Behavior Research Methods, 48, 1–12.

Dufau et al. (2011) Smart phone, smart science: How the use of smartphones can revolutionize research in cognitive sci-ence. PLoS ONE, 6, e24974.

Miller, G. (2012) The smartphone psychology manifesto.,

Per-spective on Psychological Science, 7, 221–237.

佐々木恭志郎・山田祐樹(2016)クラウドソーシングに よる知覚研究―コントラスト感度測定の場合 電子情 報通信学会技術研究報告,116,53–56(HIP2016-72). Turpin, A., Lawson, D. J., & McKendrick, A. M. (2014). PsyPad:

A platform for visual psychophysics on the iPad. Journal of

参照

関連したドキュメント

「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー

Next, cluster analysis revealed 5 clusters: adolescents declining to have a steady romantic relationship; adolescents having no reason not to desire a steady romantic

• また, C が二次錐や半正定値行列錐のときは,それぞれ二次錐 相補性問題 (Second-Order Cone Complementarity Problem) ,半正定値 相補性問題 (Semi-definite

これは基礎論的研究に端を発しつつ、計算機科学寄りの論理学の中で発展してきたもので ある。広義の構成主義者は、哲学思想や基礎論的な立場に縛られず、それどころかいわゆ

第20回 4月 知っておきたい働くときの基礎知識① 11名 第21回 5月 知っておきたい働くときの基礎知識② 11名 第22回 6月

学部混合クラスで基礎的な英語運用能力を養成 対象:神・ 社 会・ 法・ 経 済・ 商・ 理 工・ 理・

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学

本研究科は、本学の基本理念のもとに高度な言語コミュニケーション能力を備え、建学