• 検索結果がありません。

日本助産学会誌はCOVID-19の効果的対応への示唆となるのか

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "日本助産学会誌はCOVID-19の効果的対応への示唆となるのか"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

巻 頭 言

日本助産学会誌はCOVID-19の効果的対応への示唆となるのか

How can JJAM suggest effective response to COVID-19?

吉 沢 豊予子(Toyoko YOSHIZAWA)

* (日本助産学会誌編集委員長) 私が,この原稿を書いている5月末は,タイトルに あるCOVID-19 は,ようやくその動きも鈍り始めたこ ろで,少しずつ,非日常から日常を取り戻しているよ うにも見える時期であった。しかし,そこに広がる世 界はかつての日常ではなくニューノーマルな世界であ り, そ の 世 界 に 私 た ち が な じ ん で い く 過 程 を 今, 辿っているともいえる。このタイトルは歴史ある日本 助産学会誌に対し挑戦的に思えるかもしれない。この 助産学会誌が世の中において,さらに価値のある研究 雑誌であることを認めてもらうための鼓舞ととらえて いただきたい。 33巻2号の巻頭言で,今期も編集委員を務めて頂く 安積陽子先生が,「論文を書く力を磨く」と題して書い てくださっている。いい論文を書く極意がこのテーマ となっている。では「なぜ論文を書くのか」である。 論文とは,臨床で行っているいいケアの情報を提供す る報告書の役目といわれている。いいケアが実践され ていても,それが一部の人のものであるならば,看護 の質の向上,発展にはつながらない。すべてのケア提 供者が最新のケアを共有し合ってこそ,人々にいいケ アが提供できると考える。まずは,一事例の紹介から であり,その事例からサイエンスをもってそのケアが 証明され,多くの人々に,安心,安全な個々に適切な ケアが提供される。そのために,そのケアの開発過 程,ケアの提供による効果が論証をたて,記録される 必要がある。これが論文の役目であり,看護研究者や 看護実践家はその論文を書く責任がある。日々,第一 線でケア実践をしている医療従事者は暗中模索の中 で,日々悩み探している。だからこそ,世の中に論文 が必要となる。論文にならない,看護の知見がいくつ 埋もれていることだろうか? さて,私たちを良くも悪くもニューノーマルへと導 き出したCOVID-19は,私たちの助産・ウィメンズヘ ルス領域にも未知の体験をもたらした。この最前線に いる助産師をはじめとする医療関係者はCOVID-19と 関連する助産・ウィメンズヘルス領域の最新論文を検 索し,日々のケアに役立てたいと思っている。様々な 情報検索サイトを見ると,COVID-19 に関連する論文 が 毎 日 の よ う に 更 新 さ れ, 提 供 し て く れ て い る。 「CORD-19 に 関 連 の オ ー プ ン ・ リ サ ー チ ・ デ ー タ セット」として公開しているものもある。それは,査 読済論文を掲載する学術誌はもとより,論文は査読さ れていないが,基本的な選別と剽窃の判別は行われて いるという生物学系や医学系のプレプリント(査読前 論文)を情報源にしているという。スピード感を重視 している今の状況では,それも一指標として使えるの かもしれない。現在COVID-19 関連論文数は,数万に も及んでいる。多くの研究者や実践家がCOVID-19関 連の研究成果や実践を論文として公表し,研究者とし ての責務を全うしている成果ともいえる。 日本助産学会,助産学会誌のCOVID-19も関する役 割を考えてみたい。COVID-19 と妊娠に関連するシス テマティックレヴュー(Yang, et al. 2020)での最終対 象論文は18件でCOVID-19陽性妊婦の分娩アウトカム としての 91% が帝王切開であったというように,関 連情報が出始めているところではあるが,この未知の 体験を少し整理してみると,最初の方向性として,妊 娠中の女性たちは,COVID-19 禍でどんな生活をし,  2020年6月30日公開

東北大学大学院医学系研究科(Tohoku University Graduate School of Medicine)

日本助産学会誌 J. Jpn. Acad. Midwif., Vol. 34, No. 1, 1-2, 2020 https:// doi.org /10.3418/ jjam.foreword-34-1

(2)

感染予防に特別の方法はあったのか? その中で,身 体的,社会的,心理的な側面にどんな影響があったの か,なかったのか? 次に,通常とは違う中で,入院 し分娩に至り,入院中の母親と新生児の管理はどのよ うに行われていたのか? 退院後の生活の指導はどん な指導をしたのか? 第3に妊娠合併症のある妊婦の コロナ禍での管理やケアはどうであったのか? 明ら かに症状を持ちCOVID-19陽性の妊婦・産婦が入院し てきたときの体制はどうであったのか,どのような管 理の下で分娩に至ったのか,重症化した場合は,どの ような対処がされたのか。そもそも無症候感染者はい たのか,いなかったのか? いたとすると妊婦,母 親,そして,新生児はどのように管理されなければな らなかったのか? 感染した母親からの母乳の成分と 非感染者の母親の成分とに違いはなかったのか。 COVID-19感染の産婦からの胎児・新生児の感染経路 はどのようなものなのか。新生児が感染した場合の症 状はどのようなものなのか? 思いつくままに,知ら なければならない,明らかにしなければならない疑問 を挙げてみた。まだまだ,あるに違いない。COVID-19は収束したわけではない。よく with コロナ,共存 社会ともいわれる。前述した疑問は,解かなければな らない命題である。そして,この領域で働く助産師, この領域を専門とする研究者が行うべきことなのであ ろう。 そこで,日本助産学会の会員の皆様にお願いした い。COVID-19 禍での実践の成果を,研究の成果を論 文として投稿ください。助産学・ウィメンズヘルス領 域のトップランナーである学会が果たす役目と考えま す。そして,会員の皆さんが書いた論文が他の論文で 引用されるこれも重要なことで,そこにも注視してく ださい。「なぜ論文を書くのか」いつも心にとめておき たい一文です。

Yang, Z., Wang, M., Zhu, Z., & Liu, Y. (2020). Coronavirus disease 2019 (COVID-19) and pregnancy: a systematic review. The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine, doi:10.1080/14767058.2020.1759541

参照

関連したドキュメント

外声の前述した譜諺的なパセージをより効果的 に表出せんがための考えによるものと解釈でき

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

地域の中小企業のニーズに適合した研究が行われていな い,などであった。これに対し学内パネラーから, 「地元

世界的流行である以上、何をもって感染終息と判断するのか、現時点では予測がつかないと思われます。時限的、特例的措置とされても、かなりの長期間にわたり

(( .  entrenchment のであって、それ自体は質的な手段( )ではない。 カナダ憲法では憲法上の人権を といい、

であり、最終的にどのような被害に繋がるか(どのようなウイルスに追加で感染させられる

「欲求とはけっしてある特定のモノへの欲求で はなくて、差異への欲求(社会的な意味への 欲望)であることを認めるなら、完全な満足な どというものは存在しない

二月八日に運営委員会と人権小委員会の会合にかけられたが︑両者の間に基本的な見解の対立がある