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海外のスマートビレッジの先進事例の中で、再生可能エネルギーの更なる拡大と熱を含めたトータ ルな制御を地方レベルで実践している欧州の事例を中心に、我が国の農山漁村においてスマートビレ ッジを構想する際に参考となる事項を以下に示す。(
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1 1))EE--EEnneerrggyyのの概概要要 E-Energy…「ICT をベースとした将来のエネルギーシステム」として定義。 最新のICT(情報技術)テクノロジーを利用し、「プロシューマー」(消費者:コンシューマーと生産者:プロデ ューサーの合体した造語)を主体とする、配電網を利用したローカル市場の形成を目的とし、再生可能エネ ルギーの有効利用、効率的なエネルギー使用を可能とする事業として創設した。 地域を単位とする事業を募集し、総事業費1 億 4000 万ユーロとなる 6 事業が採択された(表 2-8)。いずれ も 地理的に特徴のあるエリアの広がりも異なる地域で構成され、それぞれ「供給密度の高い大都市圏」「供給 密度の低い地方圏」「供給密度の異なる地域間のネットワーク」等の特徴がある。 以下、スマートビレッジ関連事業として農山漁村・地方圏をモデルとしたRegModHarz、E-Teligence の3 事業の取組を取り上げる。 表 2-8 E-Energy:6 事業の特徴 事業名 対象地域・エリア 事業計画 モデル地域の特徴 RegModHarz (レグモドハルツ) ハルツ地域 多数の分散型電源と揚水発電(蓄 電施設・機能)の結合による再生可 能エネルギーのコンバインド。サイク ル発電所」の創設。供給者と消費 者の統合 人口が少なく、再生 可能エネルギーが集 積する田舎地域 E-DEMA (E-デマ) ルール地方・ミュルハイム 市 情報技術により統合されたスマー ト・ホームの実現。家庭内での家電 使用、分散型電源の制御により、エ ネルギー生産及び利用を効率化 人口密集地域と地 方エリアの混在した 供給密度の異なる地 域 E-Telligence (E-インテリジェンス) クックスハーフェン地域 電力事業者、消費者、プロバイダー 等を結び、エネルギー市場を創 設。分散型電源(風力発電)、冷蔵 施設、SPA の各要素の結合 5 万人強の 小さな港町。 エネルギー需要のう ち再生可能エネルギ ーが50%を賄う MEREGIO (メレジオ) バーデン地方 ICT を活用したエネルギーマネジメ ントシステムにより「ミニマム排出地 域」へのシフトを図る。温暖化ガス 排出を最適化 大規模エネルギー供 給者、あらゆる種類 の需要家が存在 Mannhein-mdel-city (マンハイム・モデル・ シティ) ライン・ネッカー地域 家庭やビルの需給を自動制御する システムを導入を図り、蓄積された 情報関連インフラの活用によりエネ ルギーバトラー (給仕)」システム開発 再生可能エネルギ ー、分散エネルギー 資源が普及する 大都市圏 SmartW@TTS アーヘン地区 特定された時間における消費情報 と送電管理情報を統合し、正確な 多様なエネルギー関出所:山家公雄「迷走するスマートグリッド-誰も書かなかった次世代インフラの本質」エネルギーフォーラム,2010 年 8 月より作成 2 2))RReeggMMooddHHaarrzz((レレググモモドドハハルルツツ)) 地域特性 ザクセン=アンハルト州ハルツ郡(約24 万 1,000 人、面積 2,104k ㎡(東京都面積:2,187 ㎢))では、農村部のダ ルデスハイム(Dardesheim)(人口約1,000人)を中核とし、近隣に多くの風力発電所(29基:地域全体で約40基、 最大発電量6MW)を有するドルイベルク(Druiberg)等、他、太陽光発電、揚水発電所等の多数の再生可能エネ ルギーを有する農村地域となっている(図2-21)。 地域の電力需要の約3 分の 2 を再生可能エネルギーによりまかなっており、風量が弱くなる時には他の発電設備 や、蓄電施設が代行する。Wendefurth Rappbodeダムの出力80MW(40MW、タービン2基)の揚水発電所が巨 大な蓄電機能を発揮し、バイオガスシステム、大規模コジェネレーション施設(5MW)等が電力変動のバランスをと る役割を担っている。 また電気自動車の充電ステーションも存在し、電気自動車が将来変動供給に活かされることとなる。 図 2-21 ハルツ郡の再生可能エネルギー 出所:エネルギーパークHP 資料より http://www.energiepark-druiberg.de/projekte.php?id=RegModHarz プロジェクト概要 ハルツモデル地区は、「再生可能エネルギーのコンバインド・サイクル発電所」をいうコンセプトの下、地域の再生可 能エネルギーをオンラインネットワークの下に統合し、発電、エネルギー貯蔵、消費を制御し、経済的効率的なエネ ルギー供給を達成することを目指している。このコントロールユニットは、仮想サイクル発電プラントの設備を調整し、 生産者、消費者の情報が記録され、再生可能エネルギー源を効率的に使用することを可能とする。 また、家庭においては双方向インターフェース(BEMI)により、家電機器を制御し、分散型エネルギー管理が可能 となるシステム開発が行われている。
再生可能エネルギー 地域内需要家 制御家電 太陽光発電 風力発電 バイオマス発電 揚水発電 発電・蓄電・消費制御 余剰電力 固定価格買取制度による買い取り ハルツモデル地域 地域へ 蓄電機能 電気自動車 同様に、ICT による電気自動車を電力グリッドに統合、蓄電機能を活用したロードマネジメント、地域での電力制御 のシステム構築が目指されている。 表 2-9 プロジェクト参加状況:再生可能エネルギー、制御可能な負荷、蓄電施設
出所:エネルギーパークHP報告資料「Renewable Model Region Harz:
Climate Protection and Energy Efficiency by Modern ICT and Innovative Operation Strategies」 注1:()内は目標値。 注2:PV:太陽光発電、Wind:風力発電、BHKW:コジェネレーション(バイオマス発電等) Storage:蓄電施設(揚水発電所)、Household:一般家庭 Industry:産業施設、Electro vehicles:電気自動車 参加主体 産学連携の共同事業体(19 の企業、公的研究機関、配電会社、大学等)
CUBE Engineering GmbH、Krebs & Aulich GmbH、Siemens AG、envia Verteilnetz GmbH、Vattenfall Europe Transmission GmbH、E.ON Avacon AG、HSN Magdeburg GmbH、地域エネルギー供給事業者 4社、 仮想発電所コンセプト提供者in.power、参加研究機関、大学としてフラウンホーファー工場管理・自動化研究所、 カッセル大学ソーラーエネルギー供給技術研究所、マグデブルク・オットー=フォン=グェルニケ大学があげられる。 (ジェトロ ベルリンセンター報告書「- 東部 5 州を中心とした - ドイツの新エネルギー産業クラスター」2009 年 7 月を参照。) 表 2-10 RegModHarz(レグモドハルツ)事業概要 ド ドイイツツEE--EEnneerrggyy事事業業①① R ReeggMMooddHHaarrzz((レレググモモドドハハルルツツ))::ハハルルツツ地地域域 事業概要 地域内で再生可能エネルギー、蓄電施設、家電 をスマートグリッドで結ぶことにより、発電、蓄電、 消費を適切に管理・制御し、地域全体で仮想発 電所を形成している。 地域内における効率的な電力利用を図るととも に、余剰電力は固定価格買取制度を通じて買い 取られる。地域全体が再生可能エネルギーの供 給事業者としての役目を果たし、その利益が地 域に還元される仕組みを形成。 特徴 多様で広範囲な主体の参加/公的研究機関、 テクノロジー開発会社をはじめ、小規模企業、大 学及びその関係機関が参画するとともに、地域 住民、政策決定者の積極的な支持を受ける。 多様な分散型電源を結ぶ複合型発電と管理・制 御/風力、太陽エネルギー、バイオマス発電、 揚水発電施設を統合し、再生可能エネルギーの 最適使用を可能とする。 固定価格買取制度による地域への還元
3 3))EE--TTeelllliiggeennccee((ククッッククススハハーーフフェェンン)) 地域特性 北海沿岸の小都市クックスハーフェン(人口5万人)は、風力発電施設が多数立地し、地域のエネルギー供給事業 者EWE AG による風力エネルギー設備容量は 2.5GW にのぼる。この他、太陽光発電、バイオマス発電等により 地域の電力需要の約50%が再生可能エネルギーで賄われている。漁港であることから多くの冷蔵倉庫を有し、温 泉施設、コジェネレーションで運用されるプール等を有する。 プロジェクト概要 エネルギー生産者、需用家、エネルギーサービス提供者、系統運用者を透明性に富む電子電力市場へと統合す る取組である。エネルギー生産者と需要家は、インテリジェントな配電系統「スマートグリッド」を通じて地域の電力市 場へと統合され、大口需要家が有する制御能力も利用される。例えば風力発電の電力生産量の変動に対する調 整には、港に設けられている冷蔵・冷凍倉庫が蓄電施設の役割を果たし、地域の電力制御を行っている。(倉庫会 社「エルビン・ゴース(Erwin GOOSE)」の冷蔵倉庫(容積、約 15 万 6,000m3)。 現在需要家である約2,000 世帯の参加家庭を募集し、一般家庭を巻き込んだ実地にむけたテストを計画中。 図 2-22 E-Telligence イメージ図
出所:e-Telligence プロジェクト HP「Project Summary eTelligence」
参加主体
エネルギー供給事業者EWE AG 主導の下、研究機関、エネルギー・IT 分野の事業者で構成される。
中心メンバーとして、energy & meteo systems GmbH、BTC AG、フラウンホーファー・エネルギーアライアンス、 エコ研究所、OFFIS 情報工学研究所 参加パートナーとしてプール運営会社、冷蔵・冷凍倉庫(前述のErwin GOOSE)、港湾管理事業者、住宅建設 管理会社、風力発電・バイオガス・太陽光発電・熱電併給施設の運用者の合計6 社、クックスハーフェン市、エネル ギー技術の研究所等6 つの企業と研究機関が参加。(ジェトロ ベルリンセンター報告書「- 東部 5 州を中心とした - ドイツの新エネルギー産業クラスター」2009 年 7 月を参照。) 風力発電施設 需要家 冷蔵倉庫 バイオマス発電 等 余剰電力売買市場
再生可能エネルギー 消費者・供給者 温泉施設 風力発電 地域エネルギー市場の創設 クックスハーフェン 風力発電 風力発電 冷蔵施設 余剰電力 余剰電力の売買 ICT によるシステム インテグレート 表 2-11 E テリジェンスプロジェクト概要 ド ドイイツツEE--EEnneerrggyy事事業業②②
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事業概要 電力供給者、消費者、エネルギー・サービス・プロバイ ダー等をICT(情報通信技術)で結び、革新的なエネ ルギー市場の創設を試みる。この取組により再生可能 エネルギーは地域内のグリッドで連結され、大量の風 力発電を市場に供給することが可能となる。 また、個人顧客も自ら作り出すエネルギーを製品として 価値を持つことを認識できる機会が与えられることにな り、経済性の改善が保証される。 特徴 プロデューサーとコンシューマーの一体化/基本的な 前提として、消費者と生産者の区別がなくなる「プロシ ューマー:Prosumers」の概念を導入し、消費者が地 域エネルギー市場に統合される、参加することが基本 的な構図となる。 風力発電と冷蔵倉庫とSPA による電力制御/風力発 電の余剰をプールの熱源として利用し、電力使用のピ ーク時には風力発電を利用するとともに冷蔵施設を停 止しピークのシフトを行う。 小規模事業者が参加可能なフレームワークの創設 4 4))EE--DDeeMMaa((ラライインン・・ルルーールル地地方方)) 分散型電源とレシーバ付き家電の効率的活用を前提に、スマートなICT ゲートウエイをディマンド サイドに設置し、その中にエネルギーの生産利用を効率的に行い得るようなインセンティブを織り込 んでいる実証事業である。 プロシューマのエネルギーの過 不足を取引する市場の形成、人口 密集地域の中規模都市の家庭を中 心に実験、REW エネギー主導の 新しい概念の実験等を課題として いる。 ここで実施されているICT ゲー トウエイの標準化されたプロトコ ルはE-energy プロジェクトの共 通のものとしている。 参加主体:REWenegyAG、シー メンス、ProsytSoftware,Miele 等 出所:山家公雄(資料ドイツ経済産業省、和訳TESI) 図 2-23Eデーマの ICT ゲートウエイとローカル市場参 参考考::そそのの他他ドドイイツツににおおけけるるババーーチチャャルルググリリッッドドのの取取組組 上記の事例以外のバーチャルグリッドの導入について、ドイツの事例を以下に示す。 再生可能エネルギーの活用可能性を拡大する方法として、いくつもの小型発電設備をネットワーク 化し、一つの大型発電所のように見立てる「バーチャル発電所」の構想が動き出している。 具体的には、太陽光発電や風力発電等発電量の変動が大きな発電施設に関し、気象条件等に左右さ れないバイオマス発電やコジェネレーションシステム等を組合せ、これらの施設間をインターネット 等の ICT(情報通信技術)を使ってネットワーク化して管理し、それによって一つの発電所としての機 能を持たせるものである。 a)ドイツ・ウナ市(ノルトライン・ウエストファーレン州) ここでは、5つのコジェネレーションシステムと2 つのウインドファーム、1つの太陽光発電施設、 さらに1つの小水力発電施設を組み合わせて、これらの施設のある地域に電力と熱を供給するバーチ ャル発電所を運転されている。 b)ドイツ・ゴスラール市等を中心としたハルツ地方西部(ニーダーザクセン州) ここでは、バーチャル発電所を電力需要のピーク時に利用する調整電力用エネルギープールとして、 大手電力会社から購入する電力量を抑制するために利用している。電力需要の変動に効率的に対応す るため、地域の個人住宅に設置された小型のコジェネレーションシステム約200 基と小水力発電施設、 非常用電源施設をネットワーク化してバーチャル発電所としている。それによって、電力需要のピー ク時に電力を供給し、大手電力会社からの電力購入量に出来るだけ変動がでないような対応をしてい る。
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欧州を代表するスマートグリッドとして2011 年の稼働を目指している。 この実証事業では、①生活分野におけるスマートメーターの普及とエネルギー使用の見える化、② 業務分野における既存ビルの省エネ化によるスマートビルへの変換、③運輸分野におけるEVの普及と 重点ポイントの整備、そして船舶の 電化、④公共空間におけるCO2フリ ー化(ゴミ収集車のEV化、ごみ圧縮 機への太陽光発電の利用等)の推進 の4つのサブテーマについて課題 を設定している。 また、ローカルエネルギー市場を 目 指 し て 、 パ ワ ー マ ッ チ ャ ー (PowerMatcher)という需給制御 システムの開発を行っている。 (出所:山家公雄「平成21 年度環境 対応者普及方策検討会」講演資料) 図 2-24 アムステルダム・スマートシティ事業イメージこれは、ディマンドサイドの 主体が有するエネルギー関連 設備を需要要素と供給要素と に分解して、その情報を集積し て均衡する量や価格を決める システムである。構成員が相互 に発電や最適な形で電力の融 通が可能となるようなシステ ム実現を目指している。図に示 すように、パワーマッチャーは それぞれの要素にセンサーを 付けて、ICT 技術を駆使し、収 集・加工・回送する。 出所:山家公雄氏(ECN&VITO、和訳 TESI) 図 2-25 ローカルネットワークシステムの PowerMatcher
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国内に豊富に存在する風力発電と将来の主なエコカー候補であり普及が予想されるEV 類とのコラ ボレーションにより、両者が互いにWin‐Win の関係等の相乗効果を生み研究開発事業が進められて いる。実証実験では、コンソーシアムが形成され、ドンエナジー、デンマーク工科大学、シーメンス 等。IBM がグリッドコントロール技 術の開発を行う。EV バッテリーをリ ース方式で利用できるインフラ整備 を目指す。この事業の背景には、車が 1 日に約 2 時間しか稼働していない、 9 割が 1 日 1 時間しか稼働していなく、 ほとんどが大気状況になっていると 言う現実がある。これを一元管理効率 的な充電を行う EV 類を巨大な電池 として系統安定化に利用しようとい う考え方である。 出所:山家公雄「平成21 年度環境対応者普及方策検討会」講演資料 図 2-26 デンマークにおける EDISON 事業(
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以上、欧州が取組んでいる実証実験等について、取組の概要を整理すると以下の様なテーマを持っ て取り組んでいることが分かる。 1 1))政政策策的的側側面面 再生可能エネルギーの更なる拡大と有効利用のために、電気だけに限定するのではなく、地域のユーテ ィリティを形成している熱やガスをも含めたエネルギーの制御をローカルに行うとともに、総合的エネルギー 事業のマネジメント構築を図り、地域活性化を目指すものである。 ローカル市場の形成を通じた経済主体が行うエネルギー活動の最適化を図るものである。 背景には、欧州全体のエネルギー消費に占める火力発電の割合が多く、老朽化が進むに従い海外から の石油、天然ガス輸入等も増えてきている。それらが紛争問題等を抱える地域である等、地政学的リスク 回避を図ることで、エネルギーセキュリティ問題と経済統合に向けた取組を目指している。 地域単位でスマートグリッドのシステムを開発・構築することを目指し、ドイツにおけるE-enrgy の募集をみ ても、地域の異業種連合によりアライアンスを組んで、課題を解決する体制をとる地域毎の取組である。 電力部門だけでは、これまで変革が難しかったエネルギー政策とそれに関連した技術革新等について、 エネルギーとICT の融合を図ることで、将来のエネルギーシステムに向けたパラダイム転換を図ろうとする ものである。 世界に先駆けて再生可能エネルギ―の導入を始めた結果、それを受け入れる余地が少なくなりつつあり、 さらに一段と普及させるためにはソーシャルインフラの整備のほかに、蓄電池を含む調整電源を整備する ことが課題となっており、そのためにもスマートグリッドにいち早く取組む必要がある。エネルギーの自由化 を進めるために、送電線をユーティリティから分離独立させるいわゆるアンバンドリング(一括して提供され る製品やサービス等を分解し、顧客に組合せ購入要素の選択権を与えること)の面からの取組でもある。 2 2))経経済済的的側側面面 上記政策の狙いで述べたように、欧州のスマートグリッドの狙いの一つがローカル市場を通じた地域の活 性化であり、それを誘発するための経済的インセンティブ等の仕組みを構築しようとするものである。その 基本システムは、ICT 技術やエネルギー制御技術を駆使し、需給が複雑に入り混じる設備や機器を需要 と供給に仕分けて、行動の指標となるプライシング(供給要素と需要要素を細かく分類することで調整)が 形成されるような仕組みが盛り込まれている。 また、アンバンドリング問題に象徴される送電線をユーティリティから分離させる電力の自由化をさらに進め るとともに、それだけでなく、地域の熱やガス、さらには水を含めた総合的なソーシャルインフラを扱う地域 産業を創出することで地域経済の活性化を担う基盤強化を図るものである。 以上の取組は、地域発意の経済主体の創出につながり、地域の経済の基盤となるばかりでなく、地域主 権、地域分権による経済活動への転換を目指すものである。 3 3))社社会会的的側側面面 従来エネルギーを使う一般市民は、単に消費するだけであったが、自らエネルギーを生産したり、貯めたり、 販売する主体にもなるプロシューマとなることで、経済主体の新たな主体の一つとして重要な役割をなし地 域のソーシャルインフラの整備やエネルギーセキュリティ問題における意思決定に主体的に関与するよう になる。そして、再生可能エネルギーの更なる推進や温室効果ガス排出量の大幅な削減にも大きな役割 を果たす。 ドイツの配電網は自治体が運営し、地方財政を支える貴重な財源の一つになっている。そして、従来は電 力を生産・送電する側に力が集中していたものが、主役が配電会社に移ることで、配電網やそれを利用す る様々な主体が登場することで地域活性化に役割を果たす。調、洗濯機、冷蔵庫、SPA(プール等)、ヒートポンプ、コジェネレーションシステム(CHP)、太陽光発電、乾 燥器、食器洗い機、等をうまく活用し、エネルギーのピークシフトをリアルタイムに行い、そこに関連した地 域ビジネスが生み出される。 4 4))技技術術的的側側面面 実証実験の技術的な取組課題として最も大事な部分はICT 技術と蓄電・蓄熱技術である。 蓄電・蓄熱の方法としては、大規模風力発電に対応して、冷蔵庫やSPA と温泉用 CHP の組合せ、揚水 発電、EV、等の導入等が検討されている。 ドイツE-Energyでは、再生可能エネルギーの有効利用と効率的使用にこの双方向性の ICT技術の開発 に力を入れている。これは、再生可能エネルギーの制御とディマンドサイドの主体が有する様々な関連設 備について、需要要素と供給要素に分解し、その情報を収集・処理してバランスを取り、量や価格付け(プ ライシング)をして、エネルギー活動の最適化を図るエネルギーマネジメントシステムの開発であり、標準化 を目指した共通のプロトコルの開発は四つのE-Energy で共通のものとしている。 プライシングの形成と需要調整を行うためには、我が国では一般にスマートメーターが必要であると言われ るが、これをドイツの実証実験では、ICT ゲートウエイと呼んでいる。エネルギー関連の装置機器を更新す るのみならず、電力、ガス、水などのスマートメーターとも更新する家庭の全てのユーティリティの情報を集 約する役割を持つ。これにより、再生可能エネルギーの有効利用や効率的なエネルギー使用を可能とす る。 以上、その背景にはエネルギーセキュリティの問題と経済統合があり、このスマートビレッジを通じて ローカル市場の構築を視野に、電力の自由化とアンバンドリング問題、そしてプライシングを通じて、市民 がプロシューマとして行動、ICT を活用して双方向性で需要と供給を調整する。 そこには新たなローカル市場が形成されるとともに、プロシューマとして地域の意思決定に参画していく ことが、ひいては地域主権や地域分権が図られることになる。