ユ．48 香川大学農学部学術報告
土壌の反応並に各種成分がオリグの成育
に及ぼす影響に就て
Ⅱ 土壌のpHと各種成分殊軋石灰とオリグの成長と．の関係（砂桝試験予郵
野 呂 突 巳 次 郎
Effects of the soilreaction and nutrients on th6growth cf theolive．
Ⅱ Preliminary report on the relation between the soilreaction and nutrient elements，with specia王 reference to the relation of the calcium to
the growth of the olive tree．
KimijiroNORO（Laboratory of SubtropicalFruit） （ReceivedJanuary7，1957） 緒 論 カLリグに．おいて各種成分の欠乏が伎梢の成長並に．菓に及ぼす影響はHARIMANN（8），FoGLIANI（7〉，BALDACCl（3）， MARIMPIETRI（11，12），佐藤く21）及びRENAtJD（19，2り〉に依り既に若干実験せられているが，従来より問題視せられている 石灰の欠乏が如何なる影響をそれ等に及ぼすかの実験ほ．極端の場合のみに．て中間の実験成績なきを遺憾と．し，余ほ数年 前より各地のガーリヴ囲に．て菓に特殊の兆候を現わすのを目撃し，これが原因を探究せんとし，葉分析等を行ったがMg，及 びCaの合豊が欧米のそれに■・比一極めて少なく且つ我国の土壌ほ主産地に比しpHは低く，粟に現われる特殊欠乏症は 両者の欠乏紅基因するか土壌の強酸性に．基くものかの疑問を抱き土壌の酸性と樹の発育に裁ては既に発表し（18），殊に CaSO4を使った区ほいずれも成育旺盛なるを認めたが，いずれの養分の欠乏が各地に．現わるるがどと．き兆候を誘引する かは全く不明であり，これが解決を計らんと．し，且つ浅見氏の指示に・依りカ■リグの成育にほ果たして土壌の酸性が影響 するか或ほCaの多寡が影響するかを確めんとして本実験を行うに至った‖従来土壌の酸性の害であると称せられている 説をARBERECHET（1），出口￠）ほCaの不足に・依るものと説き且つMiRIMPIEIRI（11，12）もオリグほ弓竜酸性土壌にても石 灰が5g／l00gあれば順調の成長を遂げる旨を強調し，WALLACE（23）は凡ての農作物に就て試験しているからそれ等の点 をも参照し本砂耕試験を行うに至ったい 本試験を遂行するに当り浅見氏より種々有益なる助言を賜わり，杉山教授及び岩田助教授よりこれ又種々御段助に与 った．且つ試験中各種の操作に．当研究書の専攻生柴田保治，高橋持典の両君が熱心に従事せられ，土壌肥料研究室の星 川助手より助言を与り且つ種々文献を勧教示紅与り，山田前助手紅ほ分析の労を取られ，林学研究室よりは常に蒸潜水 の補給に与り，ELANT並にHARTMANNより幾多の文献の寄贈を受けた，蕊に潔謝の意を表わす・・ 本研究の大部分ほ文部省科学研究費に依って遂行し，厚く当局に対し感謝の恵を表す・・ 供試材料並に実験方法 試験に剛、た容器は五万分の叫・のポットで，砂ほ佐藤製作所扱いの川砂俗に石英砂と称するもの，供試斑凍ほ凌が育成 した共砧のMissionで，苗木を選抜するには均一・な成長を遂げたものを用いた・一 美験方法 石英砂を昭和29年5月26日に5％塩酸にて洗い5日間放置し，その間1日に数回宛惣押し，その後中性に なる迄水洗し，暢乾しポットに入れた 供試苗木ほ囲場より￣丁寧に掘り起し，板部ほ充分洗い殆ど一凝の土砂を認めない程度にしたかかる苗木をポットに 6月23日に．定植した・ポットの排水溝には．ガラス相を充分当てた1 本試験は次の6区上なし，1区2鉢を供用し，各苗木の植付け当時の望鼠を第1表に暮す
149
第8巻 第2号（1957）
第1表 試験区と濁水の重認
Tablel．Weight of two−year・Old oliv占treein each plot
試 験 区 Plot 石灰減区 ＿Half Ca 標 準 区 Normal 5．5−6．0」 5．5−6い0】 4い0−4．、51 4．0−4．51 4．0−4．．5 5．5−6．0 ポ ッ ト No No．ofpot
2 1 3 ‡ 4 1 5 1 6 」 フ 事 819！一101ユ1112
蔑木の重蛍 Weight of young plant 25．0】 28．0 培拳液に供用した水は兼潜水を用い∴若しMg及びCaの微崖を含む時は必ず再蒸溜水を使用し，一週間毎に液を替え【、， 隔日に．ク．エソ酸鉄0．5％溶液を1Lに対し1ccの割合にて：注入した・且つ毎日蒸発量の水分を兼溜水にて補給し∴尚p‡王 の隔日検査を行った昭和30年4月以後は未発盟甚だしく，1日間に5∞cc以上，7及び8月は15∞c・C以上の未発を見 たから3日間毎に液の更椿を行った本試験ほ凡て硝子室内にて行い，夏季には400C以上にも室温の上昇を見た 供託培養液 ′HoAGlAND，ARNON（9）の培養液に従ったが，杉山（22）の，注意に依り無石灰区の窒素を多くし且つ余が 創案の区には適宜参酌して1L当り各配合盈を第2襲に掲ぐ，尚pHの矯正にはⅣ／10H2SO4，及び叫／ユ・OKOH液を用い， 無加望区にはⅣ／10NaOHを用いた尚微温成分鼠の加用も両者（9）の処方軋従った 第2表 培養液の配合表 （単位C・C） T。ble2．preparation＾Ofnutrientsblution（Unit．c．c）実 験 成 績
Ⅰ欠乏症の特徴 HARTMANN（8）の実験に徹するに砂耕試験ほ満2カ年を要すると称するが，本試験にてほ満1カ 年にて無石灰区ほ殆ど落葉し，無苦土区も心止まりの現象が現われこれ以上試験の必要なきものと・認め，満1カ年2カ 月にて試験を中止した．勿論HARTMANNの試験ほ無石灰区を省いているり 以下満1カ年以内の兆候と満1カ年以後 （2年目と称す）の兆候を各区に就き詳細説述するl 第1区（標準区）第1年日，凡て柴ほ中庸以下にて第5区に次ぎ波根色，何等異状な認めなかった牒2年目，益々 順調の成長を示し菜ほ第五区及び第2区に次ぎ大型，良さecm以上．に達した・ 第2区（無加里区） 欠乏症ほ新梢の尖端の成長中止した枝の小形先のみに限り現われ，菓尖姉脾二NeH’OSisの現わ れたものと蚤状に．黄緑色の敷島の現われたものがあっで一足しないが後者ほ石灰半屈区に・現われた一兆候と全く同一で ある第2年目，前年度の枝梢にて尖端の枯死した2年生薬のみに望状の特徴を示した・ 第3区（無石灰区） 罪1年目，試験開始後2カ月即ち8月19日に新梢の尖端ほ成長を中止し，粟尖端にNecIOSisを 生じ，数日にして全英が褐変落葉した8，9カ月後にほ葉尖端より褐変し満1カ年後にほ殆ど成業なく，僅かに枝の 下部に留めるに過ぎなかった∴罪2年目，6月頃より成乗が菓の中部以下の処より尖端にかけて淡黄緑色になり，月つ NecIOSisを生じ落葉する．その後全英落莫せる枝が多く稀に漸薬を発生すれば直にNecIOSisを現わす，本区の特徴は香川大学農学部学術報告 150 乗の長さ短く幅広い（第2図） 第4区（無苦土区） 欝1年目，他区と．異なり，3月頃にほ新階近くの先端より梢下の乗尖端に．ChloI’OSisを見，且つ 落葉する1・罪二の兆候ほ中央部より先が淡黄緑色を呈し褐変するものと然らざるものがあぅて汚菓する，本区の特徴は 乗が小型にて活気なく落葉が甚だしいい 畢2年目，枝の下部ほ全部落葉し，先端に少し新薬を残す，尚こ．れに反する枝 も稀にある．一・般に本区は充分特徴を現わさない内に落葉した．．第3区同様新梢の先端が枯死するが幾分遅れるのが常 で遅れ枝は1年余に至って初めて杵死を見たが，HARTMANNく8）は2〇カ月後に突端の枯死を見たと報じて居り本試験に てはそれより余程早やく現われた 第5区（石灰増区） 第1年目，何等異状を認めず葉ほ最も大きく各所に1わat状を呈す−る菓を認めた 滴1カ年の前日培養液吏沓に際し，不注意に排水用ゴム管にコックをはめたまま一昼夜放露して置いた為望月2鉢共 新梢萎凋を見た、かかる事実ほ層中に起る現象で当日晴天に．て：6月下旬にほ稀に見る高湿度であり，HoAGLANDのも 時々かかる現象の生ずるを報じている．その後2鉢共回復せず残念乍ら本区ほ試験を涌1カ年にて中止するの止むなき に．至った． 第6区（石灰滅区）1年目，第2区同様供試領水各成長を異にし，成長悪しき方ほ早やく伸長中止し，罪2区と殆 ど同一の兆候即ち雲状の黄緑色の乳魚をフー・8カ月後早やゝくも琴の中央部より尖端に・かけて認めた・成長展好のものは 滴1カ年後に．始めて：かかる症状を呈した・第2年臥 7月頃より勢力旺盛なる供試樹は急激に新梢の尖端が枯死を始め Necrosisを室し落葉甚だしく8月中旬にほ罪3区中春季における状態を示し，NecIOSi？の色も第3区と同様で欝4区 と梢異にするも温度の如何に依り多少褐色の程度を異鱒するものでほないかと推定すろ・Coo弊）も同一培養後に・て欠 乏症が個体に依り各種の兆候の現われて来るのを認めている． 欝2図 欠乏症の兆候
Fig．2J Symptoms ofmineraldeficiencies
左より：Ⅵ，軋Ⅱ及Ⅵ・区．，Left toright：PlotⅥ；1H：；Ⅱ＆ VI It 各区の成育状態 Ⅱ及びⅥ区ほ各々同・一区内に各個体の成 育状態を異紅したのほ実生砧の系統を充分調査しなかったのに 基因するのであって，系統の相違に依り穂木に及ぼす影響ほ柑 橘類（10，15，2盛）にて既に認められ，オリグ紅於ては未だかかる試 験成績ほ全くない1r 単にギリシャのPANErSOS（18）が016aster を系統分離しているに過ぎない，余ほ柑橘その他より推定して 必ずかかる事実の存在するものと考え，目下試験中であり，固 第1図 各区の成東 Figl・l．Appearance of typicalmaturedleaves
Upperh Leftto right：plot（Ⅰ）；（Ⅱ）；（Ⅷ）
Lowerr Left to right：plot（Ⅳ）；（Ⅴ）；（ⅤⅠ）
上段左より右へ，（Ⅰ）；（Ⅱ）；（Ⅱ） 下段左より右へ，（Ⅳ）；（Ⅴ）；（Ⅵ） 各区の其の左：袈面，右：表面 場にてMission及び01由steI−の系統分離と共に明春より砂桝試験にて蕃分吸収の差違を確めんとし，その他はいず れも誤差の範囲であるい 試験中の成育状態を下に示す． 試験開始当時ほ．供試苗木の大さに成育は左右せられ，1カ月後にほ全く培養液の如何に依り成育状態に差違を認め始 めるに至った第1区ほ学年以上成育最も順調の様に見えたが，2，3月頃より第5区即ち石灰増区が著しく成育よく且 つ新葉の展開と共に大さを増し各区の問に著しき差異を認める紅至った．以下順を追って成育状態を述べ最後に比較検 討しよう（第1，3図） 第1区 前述のごとくまず順調の成育を遂げた．昭和初年4月の新硝発生と同時に菓は圃場のものより著しく大で試 験区間中第3イ立であったい 第2区 1供試苗木ほ成育恋しく成長中止と同時に第6区と同・一・兆候を現わすも他の1苗木ほ順調の成島を遂げ殊iこ 翌年6月上旬に至り第1区と殆ど同一・の共を生ずるiこ至った・14カ月後の8月末には供試苗木2本共殆ど同一の成長な
無力ロ盟区（Ⅱ） −K（Ⅱ） 標準区（T） NoImal（Ⅰ） 無苦土区（ⅠⅤ） −Mg（＼Ⅳ） 無石灰区（Ⅱ） −Ca（Ⅱ） 石灰減区（Ⅵ） −Half C為（ⅤⅠ） 石灰増区 十Ca（Ⅴ）
香川大学農学部学術報告 152 遂げ成育に大した相違を見ない様になった 第3区 2供試薗木共同一成長を遂げ成育極めて微々たるものであった・葉は最も小・ 第4区 主として先端の柴は残り，古葉より落葉を認めた・本区の特徴ほ菓が極めて細長くして小形，欠乏症の其の 特徴が現われぬ間に落葉を認めたのはHARTMANN（8）の実験と−敬している・・罪3区同嘩発育極めて不慮なるを認め た 第5区 昭和30年4月新梢の発生と共に成育極めて順調で，菜は甚大，2供試苗木共阿・一の成長を遂げ且つ側杖最も 多く全区中点も枝梢の混雑を見た 第6区 界2区同様2西木が成育極めて不同で1供試歯大ほ側段数鼠も少なく，只室枝が伸長したのに過ぎない 各区の成育状態は以上の通りであって以一下総括的の批判を試みよう・ 皿 成育の批判（A）幹の肥大成長 幹の肥大率は成育状態を代数するものでいずれ 9カ月後の3月及び満1カ年彼の6月23日虹謝査した結果を第3表に掲ぐ 第3衷 9カ月彼の肥太率（単位m・m）
Table3，Thickness Ratio of Trank at9mohths
4．0∼4．515．5∼6．O15．5∼6．O14．0†4．515小51・■6・O14，0′∼4．5
2 巨木■l5‡6】⊥1lユ2
9璽10l3l4
11備考 肥太率計昇ほmm以下10瘡11入とした・％0は弓如mm憂患味す
第4表12カ月後の肥大率（単位m・m） Table4 Thickness Ratio of Trank at12months．
15頑
90！
64】可
平均肥大率
Mean thickness Ratio 2フ1 25 備考 肥太率計静は第3表と同じ 各区の成育状態を見るに石灰増区，無加盟区及び標準区は2回の調査紅．おいて何等変化なく，無苦土区が初期の調査 においてほ第4位となり，無石灰区及び石灰減区が最も慈しく、苦土の植物に対する影響が遅々たるを物語るもので余 が（1￠）他の実験においても同一・の結果を得ている。 （B）枝輪の成長状態．試験開始当時の苗木の枝梢数及び太さ等多少異なっており，理論的紅ほ全く鰯価値のどとく 感ぜられるが調査の竜果を見るにかかる条件よりもその後の培衣紋の成分如何が成長に．ほ大なる影響を及ぼすものであ
ることを知った勿論1，2，3年枝と区別し調査するが本意であるが，カ・リグは各年度の成長の区別極めて困難紅てこ れが調査ほ不可能に属するを以て主幹外のものを一瀕して成長崖と見徹し調査したのであって，多少の非雉は免がれな い併し培養液内の成分如何に依り明かに差別を生じているから多少の参考費消となすことが出来，殆ど肥太率の順と
同・一であると云ってこよい
第5表 9カ月彼の枝の総成長毘
Table5小 Totalgrowth of branch at nine months
Ⅱ l Ⅵ l Ⅳ l Ⅱ
V l I
試 験 区
Plot
石灰増区l標準区l無加里区l石灰減区】無苦土区l無石灰区
＋Ca iNormal E −rK I−Half Ca一 −・qMg I −Ca
昭和30年3月4日
Mar・C血4，■ ユ955
205I194Jlフ4】 93】
84罪6東 浦1カ年後の枝の総成長鼠
Table6h Totalgrowth of branch at12months
試 験 区（Plot）l v i ∬ F I l Ⅵ l Ⅳ ′ Ⅱ
昭和30年6月23Et （June231955） フ43cm1 6561 s331 4331 ユ311 105 3月より6月迄の枝の総成長童 Totalgrowth of branch between March＆June いずれの場合も第5区が最も成長旺盛で且つ前述のごとく供試苗木の2本共，同山成長をなしているのほ罪3図を見 てもー唱瞭然たるもので，鰯加里区が標準区より好成績を示すのほ供試苗木の内1本が主枝のみ旺盛で第2年日春より 側枝も発生始めたる紅依るもので再三．前述せるごとく砧木の系統に依るもののどとく標準区に比し必ずしも勢力旺盛で あるとほ断言し肇凱、が標準区と殆ど同一勢力な有するものと．推定するのが正当ではあるまいか，且つHARTMAN封（8）の 実験結果より推定しても然りである1併し2′−3年試験を継続すれほ著しく櫓勢衰へ且つ加里欠乏症の現わるるものと 推定する」石灰減区も同様であるが翌春著しく欠乏症現われ始め系統如何の差よりも大なる結果が現われたのを見ても 石灰は凡ての成分よりもオジグにほ重要なる成分であることが知れる・その他の撫育土区及び無石灰区ほし、ずれ射計一 成長を遂げ，最悪の勢力な示したのほ当然と云わねばならぬ一 考 察 加輿石灰及び苦土の欠乏とpHの高低が植物に及ぼす影響庭．就て滴1カ年余砂耕試験を行った結果，苦土の外ほ明瞭 に欠乏症が現われたが苦ニヒの欠乏症ほHARTMANN（8）の実験通り完全に特徴が現わるる前に落葉し，確たる特徴ほ得ら れなかったが大体の傾向ほ知り得たのである・石灰増区に．てpHの低いのに不杓いずれの点より考察するも成育最も艮 好であるのを知り得たのであって，浅見（2）の言のどとく単に土壌の酸性度のみを以て作物の適否を決定するのほ当な得 ていないと．断言してよい・本試験の第1，2及び3区がp‡Ⅰ5・5∼60，解4，5及び6区ほpH4・0∼4・5の強酸性で強 酸性の第5区が最も発育良好なるはこれを立証する勿論M■丸RIMPIEIRI（11，12）の言のごとく作物の成育する範囲の酸 性なれほ差支えない・オリグにおいてpHの最低限度ほ4い0であって，それ以下になれば集は退色し灰緑色となり且つ 後部に曲り，褐変後落葉する 根部ほ腐り全部褐変し且つ新根の発生を更に見ないく13）即ちオリグの成育し得る範囲の 酸性なれば石灰を多く施すことに依り成育が旺盛となることを確めたのであつて，オリグほ必ずしも中性近い土壌にお いて−のみ成育するものでないことを心に銘記すべきであるり 本実験にてほ只単独の成分欠乏症のみ濫重点を置きロイプ（17）の称えるMg／Caの関係やら投合欠乏症の実験を省いた のは甚だ遣感であってFoGいANI（7）ほ伊国の北部Garda滞付近にて23種の欠乏症らしき兆候を認め，いずれも単鵬・ なるものでなく複合欠乏症たる由を報じており，WALLACE（23）は酸性土壊には石灰が欠乏し且つ種々なる校合欠乏症 が現われると称しているこれ全く人間に．単一・のVitamin欠乏症は少なく複合欠乏症に基因するのと同一で，余が各 所の臨場にて見聞する乗におけるChlo工OSisは未だ今回の試験に．は現われ・ず，石灰欠乏症に．最も近き兆候を呈するの玖 WALLACEの冨を零督するもので，目下是等校合欠乏症の砂餅試験を施行中匡・て押して待つべきである・香川大学農学部学術報望 154 以上のごとくいずれの点より額察するも石灰はオジグに最も必要欠くぺからざる成分たるを知り得ぺく〉Y皐NKOVITCII 等（26）のTunisに於けるオリグ激増地の土壌が常にCa含鼻10％以上なるほ当然と．云うべく，叉PANETSOS（18）より の通信に依れはギリシャにてほpH8以上が常で余が報告を見て驚いている位にCaを多恩紅含んでいるらしい 余が試験結果の正確なるを立証すべく伊仏両国における試験結果を抄録し参考に供しよう（勿論試験方法ほ全く異な っている） 伊国MARIMPIETRIの実験（11，12〉 AricciaVal1eyの酸性土壊（pH5，2）にて石灰ほ僅か32mgper10Cg含む圃場でFIantOioを供試し定植前に，A， 硫酸でpH41に′した区、B，硫酸石灰でPH4．0に．した区，C，石灰でPH6・8に．した区を作り2カ年間発育状態を 調査した処蘭木の壷崖土曽加率ほA82％ 仏国BotJAT，RENAUD（4）の実験 最近Elantの好意に依り入手した報告で如何にオリヴ紅石灰が3要素以上に・必要であるかを立証する・一・資料たるを 免がれない本実験にては樹の成長忙迄及んでいないのほ甚だ残念である 1，2及び3年生薬を1950年10月より毎月L∼2回宛翌年の12月迄分析したもので，発芽当時NほCaより多く菓に含 まれているが月と共にNは減じCaが多くなり，次表に毎年次の菜内に含まれる成分％及び比率を掲ぐ 欝フ表 各年次葉内の成分
Tableフ．Every ageleaf analysesof Olive tree．Chemicalelemens expressed as Percentage of dIy matter・
傭考 対乾物成分平均含有鼠並常比率ほ原文から換算した． WEHMER（26）の分析結果も罪フ表に近く，其他菓分析の結果は本報に譲る・ 摘 要 1 5万分の一ポットを用い，2年生Mission苗木を供用し，HoAGLAND，ARNON増発液を少し変更し昭和29年 6月22日に砂耕：試験を硝子室内にて肝始し，成育調査は潤1カ年彼の翌年6月23日に終ったり併し欠乏症ほ8月末迄観 察した各区2鉢を使用し標準区，無加里，無石灰区（以上pH5・・5′叫一6、0），無苦土区，石灰増区及び石灰減区（以上pH 40∼45）として各区2鉢苑使用した。 2 無加盟区 成育順調なる枝には何等欠乏症を見なかったが，成長中止した枝にほ．其失端に．ChloI−OSisを生じ，或 は雲状の淡黄緑色を菓の中央部より尖端に見た成育ほ標準区に虜らない・ 3 無石灰区 試験開始後3カ月に．て新梢ゐ尖端極幼其の填端が灰色に変じ数日後枯死．成葉ほ枝の上部より褐色の NecIOSis生じて落葉する Necrosisほ時期に依り多少色を異にし春季に現われたものほ暗褐色を呈した・豊年夏より 成葉の尖端より淡茸緑色に変じ，尖端にNecIOSisを生ずると．同時に拡がり落葉且つ夏期に発生した新薬は発芽と同時 にNecIOSisを生じ4∼5日紅て蒲葉した本区の葉は小形にて幅広く梢丸味を帯びるを特徴とし成育極めて慈しく14 カ月に．て一・葉も留めない 4 無苦土区 欠乏症が枝の下澤より現われ，柴ほ小形にて幅狭きを特徴とし，欠乏症を完全に現わさぬ間に落葉し 成育極めて悪い 5 石灰増区 何等異状を認めない成育極めで良好で，翌春から初夏にかけて菓ほ実拡大きく，強酸性に．も不拘成 育最も旺盛なるほ肖三日紅催する1 6 石灰滅区 無加盟区同様順調に成育する枝には欠乏症を見せなかったが，成育悪しき枝には雲状の欠乏症を早期 において見た成長順調なる枝も票年夏頃より急に尖端の新薬に症状を現わし灰褐変するのは全く無石灰区と同様であ
るが只発生の時期が遅れるのに過ぎない・培養液のp甘に関係なきようであった・成育状態は第4イ立で満1カ年後町・お いて著しく衰弱の兆候を示した 以上各区に就ての調査試験成続であるが余が3∼4年前より現地で見聞した黄緑色の特徴を有する葉は本試験に・ほ現 われず，2∼3欠乏症が複合したのではないかと推定する．且つ叉同一魔養液にて同一・の欠乏症並．に成長を異にするほ 同・一品種の実生石占木の内に．各系統が混じ屠り成分吸収の率が異なるに．は非ざるやと推定し，目下接合欠乏症は実験中で あって砧木の系統に依る養分吸収の相違ほ新春早々より着手せんと．する
and the development o董 01ive tree一l：lh Congr
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156 香川大学農学部学術報告 R畠s u m昌
This expeIiment was started onJuTle23，1954and contjnued！untilAugust，1955．Two−yeaIS Old Mis− Sion olive t‡eeS grafted on the seedling of the same variety were u−sed．Allthe tIeeS tIeated were gIOWn inthe so−Called∴L／5OlOOO pot＄having white particles of sand called quartz sandinJapanThe folldwing
lhtrient solutions were used，three of themIeCOmmended by HoAGLAND and ARSON，and the others modi丘ed by NoRO Were uSed：（Ⅰ）fuIlnutrient solution，（ⅠⅠ）onelacking potassium，（ⅠⅠⅠ）onelacking
Calqium（lV）onelackingmagnesium，（Ⅴ）oneincludingaboutIedoubledcalcium，（Vt）oneincludinghalf
CalciⅥm．
The solutions ofthe plots（Ⅰ），（ⅠⅠ），（ⅠⅠⅠ）were maintainedat a pH of appIOXimately5‖51h60and those Oftheplots（ⅠⅤ），（Ⅴ），（ⅤⅠ）were maintained at apH of4．0−45by adding N／10sulphuric acid
LEAF SYMPTOMS：FiguIe2showsthe characteristicleaf symptoms which haveappearedasresults
Ofthedi＆ciencyofpotassium，CalciumandPalf・Calciumiiltheplots（ⅠⅠ），（ⅠⅠⅠ）and（VI）・There wer二e a progressivedevelopmentofalightyellow・green，ChloIOSisareafIヰ tiptobaseoftheleavesinthelack− 1pglnagneSitIm andincluding about half calcium
Befo工e the characteristicleaf symptoms foundin each plot new growthalways ceased Inthe plot（ⅠⅠⅠ），theleaveswereverysma11andverywideas showedin the
Of new shoots ceased after about thee months after planting and necrosisin theleaf area soon
appeared，leaf defoliated．After that，although new shoots developed，neCrOSis soon developedin theleaves
andde−foliated．
Intheplots（1Ⅰ）and（王Ⅴ），th9SameSymptOmSOfde丘ciencyasindicatedbyHARTMANN appeare a littlein only four months
Intheplot（ⅤⅠ），aftersixmonthsthedeficiencydevelopedintheweekplantandaft占rabout12months the same symptoms appearedin theleavesin the strong plant
In ge事Ieral，theIedoubledCalcium plant made gIeateSt grOWthin spite of the pH4．0・・45，followedin OIder by those a plant′1ackingHpOta琴Sium，a full・nutIient plant，a plant giving h畠Iflcalcium，aplantlacking Calcium，and点nauy magnesium
From the conclusion of the experiment，Iobserved that cach plant of the same plots showed the dif− ferent growth and symptoms of de丘ciencySoIthought that there were some di庁erent strainsin the Same Seedlings of Mission olive．Iintend to classify the seedlings of Mission and Oleaster varietiesinto SeVeralstrains by uslng Sand culture．
正 誤 表（野呂契巳次郎） ぺ−ジ 行 99 8 103 2 10フ 14 〝 22 103 下から11 正 Oid old 澱分 澱粉 ものどとく もののととく なろろか なかろうか power powder
