瞳面被覆の微気象に閲す−る研究
IAlbedoの著しく異なった資材を用いた場合(その1)*
上原 勝樹,松田 松二,鈴木 晴雄
Ⅰま え が き 近時,合成化学工業の発達に伴ない,合成樹脂フイルム等の開発が呂ざましく,それが栽培環境その他虚業の各分 野における地象,気象環境コントロールの手段に利用されている叶 即ち,それらは果樹ヤそ菜の栽培には勿論のこと,−・般畑作におけるトンネル・ハウス等の大型被覆栽培の普及発 達をもたらしたことは周知の通りであるが,一・方,ビニール・フイルム等を用いて直接畦面を被覆する所謂マルチ栽培 も盛んに行なわれており,それらの効果等についての研究もかなりある(1 ̄1¢) しかし,どんな畦面被覆および構造のものが,地上。地下環境調節作用にとってより能率的であるかについては, いまだ明確にされていない多くのものが残されている..そこで,被覆資材と畦面被覆構造の相違が,地上・地下環境 調節作用におよほす影響を定量的に把握するため,西南暖地の寡両地域,特に瀬戸内地方における実状について, 1969年∼1972年の4カ年間にわたって,種々比較実験観測を行なった.それらのうち今回は,ぷbedoの著しく異を った資材を用いた場合について,香川大学農学部附属農場において,1970年10月22日に行なった観測結果の概要を報 告する, 本研究は,1970年度文部省科学研究費(総合研究)によったことを感謝する. ⅠⅠ実験観測の設備と方法 香川大学農学部附属農場において,自動耕転機によって作成した東酉方向の,長さ81n,巾13m,高さ 0.2mの広 畦について,それを3等分し発から次のような実験区,即ち No巾1:裸地畦(対照区) No小2:0.02mm膵のアルミ箔被覆 No.3:0.1mm犀の黒色ビニ・−ルフイルム被覆 を設けて,各実験区における放射収支,接地気温,地温並.びに地中水分等の観測を行をった. (1)放射収支 水平面日射と反射は夫々農試電試塑日射計を,純放射は英弘製の小型示差塙射計(CN−6)を,地中熟流は英弘製の 地中熟流板(CN−8)を夫々使用して,各実験区の略中央部に,相互.に日陰の影響等を考慮して据付け,電子式自動 平衡記録計に接続して連続自記させた… (2)接地気温と地温 各実験区における接地気温の観測には0.1mmの,地温は0.5mmのCu−Co熟電対を使用し,夫々睦の中央部に 地上10,5,2い5cmの各高さと,地面および地下25,5,10,20cmの各深さ,並びに被覆の表面に据付け,ともに電子 式自動平衡記録計に接続して連続自記させた小 (3)地中水分 地温を測定した各探さから土壌を採放して,炉乾法によって含水率を測定した. *昭和46年10月30日 日本農業気象学会近放・中国四国合同支部会にて発表香川大学農学部学術報告 22 Ⅰ‡Ⅰ実験観測の結果と考察 1水平■面日射盈と反射盈 10月22日における日照時間は10時間,また日射盈は3612cal・Cm■2・day ̄1で,微気象の極めてよく発達した快晴日 であった.当日の水平面日射盈並びに反射盈の各実験区における経時変化の模様はFig小2の如くである 反射盈を水平面日射盈で割って求めたAlbedoの経時変化を示すとFig.1の如くで,No」・1の裸地区と,Nol・3の 黒色ビニ・−ル被覆区においては,太陽高度が高くなるに従って規則的に減少し,10′}14時頃にかけては略同じ借で最 も小さくをっているい しかし,No.2のアルミ箔被覆区においては,表面の凹凸等による影響からか,他の区のよう な整然とした変化は見られなかった.正午には,No”1∼No”3・まで夫々174,641,8.7%を示し,No小2のAlbedo が最も大きく,No.1,No,3の夫々37,74倍を,またNo。3が最も小さく,No”1,No・I2の夫々0.5,0。14倍で, No.3の黒色ビニール被覆区の受熱効率が最もよく,No,.2のアルミ箔被覆区においては最も悪いことがわかる. % 80 70 60 50 40 30 20 10 0 ●、、 ヽ 、、−。−・小・−。 、・
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ひ・・・・・・・・・._0\01 、○、− 、○‘ ̄′.
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Fig1Timcvariationofalbedof王omvariousmulchingmaterialslNol1:Nomulch plot,No‖2:Alminumfoilmulchcdplot)Nol3:Blackvlnylfi1mmulchedplot・ 次に,No。1∼No.3の各実験酎こおける,水平面日射量および反射塩の日給蕊から求めたAlbedoは,夫々19.、4, 60…1,11.6%で,ヤはりNo,.2が攻も大きく,No.3は最も小さい.即ち,No..2においてはNo・1の3倍,No…3 の52倍で,またNo.3においては,No.1の016倍,Noい2の0い2倍を示している. 2、裸地および被覆表面の熟収支特性 裸地の表面における熟収支は−・般に (1) 点れ=β+エ+Ⅴ の式で表わされる. ただし,R花:純放射盈,及地中伝導熱盈,エ:顕熱伝達盈,Ⅴ:潜熱伝達盈である.これら熟収支各項の符号は, 純放射は天空から地表面に与えられるとき正に,他の熟収支諸項は,地表面から両側へ熱が流れるとき正にとる.ま た,被覆の表面における熟収支も同様にして (2) 凡♭=β+β′+エ+Ⅴ の式で表わされる‖ ただし,β′は被覆の温度変化に使われる熱蓋であるが,これは微小で省略しても差支えをいから,結局各実験区 における熟収支は(1)式で表わすことが出来るり また,実験の都合で,地面と空気との間の熱交換エ+Ⅴは(1)式から 残余の項」㌦−βとして算出し,顕熟と潜熱の分維は行なわをかった.をお,No‖2とNo3の実験区ではⅤ=0と 見倣すことが出来るであろう.(1)式を用いて,各実験区における放射収支の観測結果から,表面の熱収支諸項を求め,その日変化の模様を示す とFig.2の如ぐで,また,日給盈を求めるとTablelの如くなった これらの結果についてみると,日中受ける純放射ほ,Noい1では日出40分後に正とをり,正午に最高079cal・Cm ̄2 ・min ̄1で,日没45分前に負となって合計2853cal・Cm ̄2を示している.No・2では,日出1時間後に正となり,最 高は正午に039cal・Cm−2・min−1で,日没1時間前に負に変り,合計139.2cal・Cm−2を示Lている..また,No”3に おいては,日出25分後に既に純放射は正となり,正午に最高0.82cal・Cm ̄2・min ̄1で,日没45分前に負とをって合計 295小2cal。Cm−2を示している..即ち,Noひ2では純放射の下向きの時間が最も短かく,また日中の最高値,合計値も 共に汲も小さく,No.1,Noい3の約1/2になってV>るが,これらはAlbedoが601%と特に大きかったためと思われ る.No.3では純放射の下向きの時間が最も長く,また最高値,合計値も共に最も大きVl。これらはAlbedoが11.6 0 2 4 6 8 10121i1618 20 22 24】−l cll−2Ⅰ−−ii− 0 2 4 6 81012141618 20 22 24111 0 2 4 6 8 1012141618 20 22 24I11
Fig・2lDiurnalvariation of heat balance componentsRs:Totalsolar radiation,rRs:Rcflected solar radiation,Rn:Net radiation,Ⅴ: Latent heat8ux,L:Sensible heatBux,B:Storage heatfluxinsoil
香川大学農学部学術報告 24 %と特に小さかったためと思われる.夜間の純放射盈は上向きで,No。.2に最も小さく,Noり1,No.3の60%程度で ある. 次に,地中伝導熱量は,日中地面から入る盈は,No‖1では日出55分後に正とをり,最高値は10∼11時頃に0.18cal ・Cm ̄2・min ̄1で,日没1時間15分前に負となり,合計645cal・Cm ̄2を示している.No小2では,日出1時間10分後 に正となり,11時に最高0.09cal・Cm ̄2・min−1で,日没1時間15分前に負とをり,合計30cal・Cm ̄2を示している. No小3では,日出1時間20分後に正となり,最高値は11時に022cal・Cm ̄2・min ̄1で,日没1時間45分前に既に負と なって,合計69.3cal・Cm ̄2を示している”即ち,No…2において,地中伝導熟流の地下に向う時間がNo小1より短 かいのは,Albedoが大きいことと,No1より地温が高かったことによるものと思われ,また日中の最高値,合計 値共にNo..1,No.3の1/2以下にな・つているが,これらも純放射の場合と同様に,No…2のAlbedoが特に大きかっ たためと思われる.またNo‖3では,地中伝導熱蘭の地下へ向う時間が最も短かくなっているが,最高値,合計値は 最も大きく,特にNo.2の2倍以上である。これらは,Albedoが/jヽさいため受熱効率がよく,平均地温が最も高か ったことによるものと考えられる.. また,夜間に地面から出る急についても,地温の高いNo.3に最も大きく,No‖2はNo1の約1/4,Nol3の約 1/6で,アルミ箔被覆区の地中温度調節作用へ・の影響が特に顕著であることがわかる. 顕熱および潜熱伝達盈の和エ+Ⅴは,No.1,No.3においては,日中は略等畳でNon2の約2倍の倍を示し,夜間 はNo.2に最も多く,No,3は最も少なかった. 次に,各実験区における短波放射凡と純放射Rルとの関係を示すと No.1:点間=0.91月ざ−Ol06 No.2:属㌦=0り45月ざ−0.04 No.3:β几=0い94β8・−0い06 i (3) の如くなった.即ち,No、1∼No.3の各実験区における表面の純放射最は,到達全短波放射量の夫々85,40,90% 程度であることを示している. 3.各区における接地気温と地温 各区における地上10,5,2.5cmの接地気温,地面,地下25,5,10,20cmの地温を,Cu−Co熟竃対温度計で観測 した結果から,その昼夜別平均,日平均およびE[較差を示すと Table2の如くで,また,各区における接地気温・ 地温の垂債分布,接地気温・地温の夫々裸地区との温度差を示すとFig.3∼4の如ぐである. まず,各区における接地気温・地温の垂直分布の日変化を,同一・温度目盛の上に描いたFigい3をみると,各区に おける特性は一月瞭然である。、即ち,各区とも日中は熱量の受熟型,夜間は放熱型を示しているが,その交代時の地 面附近で垂直分布が立って,熱の出入が止む平衡状態は,前節における熱収支項のβ=0になる時刻の頃に現われて いることがわかる..また,地温垂直分布の勾配はNo.3が殺も大きく,Noり2に故も小さくなっており,被覆の種類 による各区の温度特性がよく現われている. 最高温度についてみると,地面においてはNo‖3の黒色ビニール被覆区が液も高く,14時に32い30Cを示している. No.1の裸地区,No.2のアルミ箔被覆区では何れは12時に最高2570C,25.00Cを示し,Noh3より夫々6”6,7.3OC 低くなっている.地下10cmにおいても,No.3は最も高く16時に25.20Cを示し,No.1,No巾2では夫々14時に 20.1,20.2OCを示して50C低い..また,地下20cmにおいてもNo=1∼No。3まで夫々18.0,19.6,22.40Cを示し, No。3が最も高くなっている. 最低温度は,裸地区のNo小1では,金地中を通じて被覆区のNo.2,No.3より低温で,地面においては7.50Cを 示し,No.2,No.3より夫々6‖4,2れ70C低い1.地下20cmにおいても,No.1は14.00CでNo.2,No.3より約3.60 C低温を示している. 従って,日較差も同図,Table2からわかるように,地中の各探さを通じてNoハ3が最も大きく,No.2は最も小 さい.そして地面においては,Noい2は11.lOCでNoい3の0.5倍,Noい1の0.6倍を示し,また,地下20cmにおい ても夫々約0い5倍にをっている.接地気温においても,日較差は地下部と同様にNo.3が最も大きい.No.1,No.2 略同じ借を示している. また,Table−2より地温の日平均についてみると,金地中を通じてNoい2はNo.1より約3OC,No.3は同じく約
10 15 20 25 30℃ ぐm lO 5 0 − 5 −10 −20 ○−→Dailymean 15 20 25 30℃ Ⅵ0 5 0 5 0 l Ct l 一一 。−・→Dailさ∼111ean 20 CmlO 5 0 5 0 1 一 t 一 20 25 30℃ 10 15
Fig.3.Vcrticaldistribution ofthe temperature near the groundandintheunderground.
Table2,Averagetemperatureindayandnight,thedailymeantemp”anddiurnalrangeofairtemp. nearthegroundandthatofundeIgrOundtempl(OC) 4.50C高温を示しているい 即ち,被覆区は何れも裸地区より高温で,とくにNo.3が高温であることがわかる. 接地気温についても,被覆区は裸地区より高温を示している… そして,No2とNo。3の間に温度差は少をいが, 僅かながらNo.2が高く,かつ昼夜間を通じて共にNoい1より約lOC高温を示しているサ 裸地区と被覆区との温度差の日変化を示したFig.4についてみると,地温におけるNo‖1とNo2の差は,No.2 が全般的にNo.,1より高温で,特に夜間地下5cmまでの浅層において5∼60C高く,地下20cmまでは全日2∼3OC 高温を示しているい 日中は全般的にNo.1との温度差が小さく,特に地下5cmまでの浅層では,10∼15時頃逆に No.1より1∼20C低温を示している..接地気温はNo.2が全日約1∼20C高温である..No1と No、3の地中にお ける温度差は,全日Noい3が約5◇C高温を示しているが,8∼14時頃には差が小さくなる傾向にある.また,接地気 温は8∼10時頃を除いてNo.3が高く,特に12∼14時頃に約20C高温を示している.
香川大学鹿学部学術報告 26 ℃0 2 一4 ℃2 0 ℃26 25 24 23 22 21 20 19 示さソ∵m、ニソ∵一三二了二・二〓一′ 0 2 4 6 8 1012141618 20 22 24Ill
111213141516171819 20 21℃
No m吊dll)lotしNo1)Fig5.Relation of temperature of mulched plot and no mulch plotin the underground
(10cmdepth)
0 2 4 6 8 1012141618 20 22 24】ll
Figl4‖ Diurnalvariationofthediffhenceoftemperatureinrelationtomulchedplot and no mulchplot・a: Airtcmperaturedi駄rencebetweenNo・landNo2 b:Air temperature di能rence between No.1and No。3… C:Underground temperature di駄rence between No‖1and No.2.d:Underground tem− peraturedi鮎renccbetwecnNo…1andNo“31 次に,裸地区のNo..1と被覆区のNoり2,Noり3における地温の関係を図示するとFig・5の如くである.なおここ には,作物の根の分布や生育に重要である地下10cmの観測結果を使用したい そして,両者の関係式を求めると次の 如ぐである. (4) .γ2=0.36∬1+13.02 .γ8=0‖92∬1+5.85 ここに,.2:1,y2,y8は夫々No‖1,No。2,No.3における地下10cmの温度である. これらの結果から,地下10cmにおいては,裸地区の温度lOCの変化に対して,アルミ箔被覆区では約0、40C,黒 色ビニール被覆区では約0.90Cの割合で変化することがわかるい 4‖ 各区における地温の解析 (1)地温の調和分析 地面ヤ地中温度の日変化,年変化のようを過期的変化は,−・般に正弦曲線の合成とみて,次のようなFouI・ieT・級数 で表わすことが出来る. y=ao+alSin(%t・61)・a2Sin(2孝一t・E2) +αさSin(3号抽8)+ (5)
但し,α0は観測値の平均値にして,α1,α2,α8,,el,e2,eS, は夫々1日,1/2日,1/3日,1週期波の振巾 および位相である.実際問題としては,上式の初めの4項ほどで,日変化の状態はほぼ完全に示される.いま,各区 α1Sin(キ冊1)の における地面,地下25,5,10,20cmの各深さの温度観測結果を調和分析にかけ,その1日項 振巾α1と位相角£1を示すとTab】e3の如くである. Table3‖ Harmoniccoe瓜cientsforthedailycycleofundergroundtemperature 1日項についてみると,振巾α1は何れも地面に最大で,地中に探さと共に減少し,また,振巾は各探さを通じて No.2が最も小さく,No‖3が殺も大きいそして,No.2の振巾ほNo.1の約1/2,Noい3の1/2以下になっている1 また,位相elは地面において最も進んでおり,地中へ探さと共に遅れて,地温の最高・最低温度発現時刻の避退 ・す−る模様を示している.そして地面,地下20cm以外は,No.1が位相は最も進み,No‖3が最も遅れているい 即ち, 地面より深くなるに従って位相は遅れ,振巾が減少する有様は,各区における熱伝導の機構をよく表わしている… そ して,各区の地中における最高温度の発現時刻と,深さによって振巾の減少する関係を示すとFigl6の如くである. 20 2122.23 24llr 苫nl〓d旨く 3 4 5 6 7 13 12hr Occurrence tim色of=く daily maximum temp
Figl6、Relationbetween theoccurrencetimeof−dailymaximum
undergroundtemperatueandtheamplitude
(2)地温の深さと振巾との関係
地温日変化の振巾は,探さが増すに従って小さくをる.その模様は土壌が均質なものとすると,探さと振巾との関 係は指数関数で表わすことが出来るい 即ち,地面における振巾を動,gCmの探さにおける振巾をαzとすると,探
香川大学農学部学術報告 28 さと振巾との関係式は (6) αz=α0β−Jもg で,ここにゐは振巾の減少係数である. 上式の両辺の対数をとって変形すると loglO(70−log10αg (7) 但しloglOg≒0.4343 ゐ= ZloglOβ いま,(7)式から調和分析によって求めた1日項の係数の2倍を振巾として,振巾の減少係数を求め,(6)式から各 区における地温の深さと振巾との関係式を求めると, No..1:αが=17.0β ̄00671g No…2:αz=10.1β ̄01116g No.3:αz=21.3β ̄00918g (8) の如くをった.即ち,振巾の減少係数ほNo.2が最も大きく,No」・1は放も小さい倍を示している∩ (3)地温日変化の達する深さ 地温日変化の振巾は,地中へ深くをるに従って減少する.そしてある深さに適すると,ついに苓となり地温の日変 化はをくをる. いま,地温の振巾が0lOC に減少する地層では,実際上日変化しないと考えても差支えがをいので,その屑を地 温日変化の不易屑とみをして,その探さをガとすると(6)式より (9) 0.1=α0β ̄柑 で,両辺の対数をとって変形すると (10) 一首= 0.4343ゐ とをり,地温の不易眉ガを求めると,No1∼No・3まで夫々76、6,41.3,586cmとなり,被覆区は裸地区より何 れも小さく,特にNo…2において小さかった. (4)地中熟拡散率 地中の熟拡散率は,地中における熱伝導の微分方程式を解いて得られた理論式 ゐ=ノ芽即ち〝=茄 (11) から求められる.ここに〟は熟拡散率,Tは週期,ゐは振巾の減少係数である巾 (11)式を用いて,地中熱拡散率を求めると,No.1∼No.3まで夫々8.08,2.92,4、36(×10 ̄8C・GlSけ)とをり,被 覆区は裸地区より何れも小さく,特にNo.2において小さい値を示している、 (5)各区の地中における熟丑の日変化 地面は日中太陽熱を吸収して昇温し,それを地中内部へ・も伝えるが,夜間は地面が放熱して冷却し,地中内部の熟 は地面に向って流れ,地面から放出される‖ 従って,土壌中に含まれている熟盈は1日を週期として変化する. いま,土壌中に単位面項の底を有し,地温日変化の消失する屈までの,探さガの垂直土壌柱のある部分に,成な る微小柱を考え,ち,r2時におけるそこの温度を♂1,♂2とし,単位容積の土壌の熟容盈をCfl,ち時における土壌柱 の熟畳を祝1,α2とすれば,両時刻間における熱量変化は 封福一−ね1=5:c(β2−♂1)dゐ である.若しCが深さに関して−・定であるとすれば (12)
祝2−〝1=C∼:(β2−♂1)dゐ
=ぺ′′り′ヾ.−′′t′∴・−い\′′′∴・さ
=Cガ■(∂2−−∂1) (13) ここに卜′=・い−′′一、・廿・Hr−い一′′こ・′∴
で,㊥2,@1は夫々才2,ち時における土壌柱全体の平均温度である この式を用いて,各区における地中熱量の日平均からの偏差を求めると,Table4の如くをった.但しCは熟盈 変化の概略を知るため0.5calとし,平均温度には地下20cmまで深さ2い5cm毎の平均を用いて計算した.Table4・Dailyvariationofheatquantityin theundeTgrOund(difrtrence todiurnalmeanvalue)
(calCm−2) これによると,No・1∼No3までの各区における地中熱最の日変化畷差は,夫々90,41,99cal・Cm ̄2で,No小3が 蔑も大きく,No‖2は最も小さかった小即ち,Noり2およびNo.3ほNoい1の夫々46,110%を示している巾 また,地中熱量の最小は各区ともに6時に現われ,励大はNo.1,No2においては何れも14時に,No.3は16時に 現われているn 5.各区における地中含水盈 各区における地下20cmまでの含水率を,炉乾法によって次式を用いて求めた.即ち
紺=叩×100
J(Il ̄〃−0 (14) ここに,紺:含水率,ぴ0:容器の重虫,∽1:(湿土十容器)の重患,ぴ2:(乾土+容器)の重患で,得られた結果を示 すとTable5の如くである. Table5”Soilmoisture content(%) 即ち,No.1における裸地区の地面では13,9%を示し,地中に探さと共に漸増し,地下20cmにおいては24い9%で あった.・それに対して,No‖2,Non3の被覆区においては,地面に夫々18.7,19ハ6%と何れも被覆区が多い‖ 即ち, 被覆によって土壌からの水蒸気輸送を妨げ,蒸発による=ネル単一の消費を遮断していることがわかる.また,No…2, No・3においては,地下10cmの深さまで漸増して夫々24.0,25.8%を示し,以後漸減して地下20cmになると夫々 22∩4,236%を示しているい そして地下20cmまでの平均において,No・・1∼No‖3まで夫々19。9,21.5,22.8%で あった..香川大学虚学部学術報告 30 ⅠⅤ む す び この報文は,西南暖地の霧雨地域において1969年から1972年の4カ年間にわたって,睦面被覆の資材や構造の種々 異なった処理区を設けて,主として微気象・放射収支の観点から比較観測を行ない,それらが地上・地下環境の調節 作用におよぽす影響を明かにしたもののうち,1970年10月22日における秋期の結果についての概要である. 得られた結果を要約すると次の如ぐである. (1)香川大学農学部附属虚場における束西方向の広畦について,Albedoの特に大きい銀色のアルミ箔と,逆に Albedoの特に小さい黒色ビニ1−ルフイルムで瞳面を被覆した場合について,夫々裸地畦と比戟観測を行なった. (2)観測日の日照時間は10時間,日射量は361.2cal・Cm−B・day ̄1の快晴日で,各区におけるAlbedoは,No…1 ∼No.3まで夫々19.4,60小1,11.6%を示し,Nb・・2,No小3は夫々Noい1の3倍,0.6倍であった. (3)各区における地面の熱収支諸項を求め,その臥総盛を示すとTablelの如くなった… (4)各区における短波放射と純放射との関係は,(3)式の如くになった. (5)各区における接地気温・地温の昼夜別平均,E[平均および日較差はTable2の如くであった. (6)被覆区と裸地区の地7■10cmにおける地温の関係式を求めると(4)式の如くなった. (7)各区における地温の観測結果を調和分析して,各調和常数を求め,地温日変化の振巾と探さとの関係を指数 式で表わし,また,地温日変化の達する深さや,地中熟拡散式を計静し,裸地区と被覆区における地温日変化の特性 を理論的に表現した. (8)各区における地下20cmまでの,地中熱交換量を計給し,その日変化較差は,Noい1∼Noル3まで夫々90,41, 99cal・Cm ̄2で,No.2,No…3はNo…1の夫々46,110%であったu (9)各区における地中含水率は,地下20cm・までの平均において,No、・1∼No小3まで夫々19い9,21.5,22…8% を示し,被覆区は裸地区に比べて地面蒸発を抑制し,それによるエネルギ・−の消費を遮断していることがわかる・ 引 用 文 献 (9)村上待雄:敷わらの効果に関する農業気象的研 究,研究時報21(11),639∼685(1969). (10)中川行夫,坪井八十ニ:果樹園の土壌管理の速 いによる地温の変化について,園芸学会諌31, 13∼16(1962). (11)中原孫吉:瞳面被覆による地象環境の調節,虚 及園47(9),9∼14(1972)u (12)岡田 浄:就業園芸におけるプラスチックマル チングの理論と実際,農及園35(4),56∼60(1960) (13)上原勝樹,中山一儀:テラスにおける地温のコ ントロ・−ルについて,香川大農学報13(2),195 ∼201(1962).
(14)WAGGONER,P。E。,MILLER,and H.C.DE Roo: Plasticmulching−plinciples and benefits.Bull.
(あ乃乃.4g7・.盈玖ぶfαfわ乃634,1∼44(1960) (15)八鍬利軌 小池 武:土壌面の被覆物と地温, 北海道気象月報497,71∼74(1937) (16)横田康一・,堀口郁夫:マルチと地温特性につい て(予報),日本農業気象学会北海道支部会誌16, 12∼14(1965). (1)大後美保,丸山栄三:敷英の効果に対する微気 象的研究,農業気象7,74∼76(1952). (2)堀口郁夫,井上 孝:ビニールマルチによる地 温上昇,日本虚業気象学会北海道支部会誌19, 12∼16(1968)。 (3)岩切 敏:栽培用ハウス内温度環境の予測と制 御に関する研究,国立防災科学技術センタ・−・研 究報告6,1∼139(1971). (4)金岡四郎:小塑被覆栽培の微気象学的研究,大 阪府大研究報告20,49∼121(1968ゝ (5)久米英夫,富田恵美子:タバコ栽培における地 温・土壌水分に対するフイルムマルチの影響に ついて,生物環境調節6(2),5−10(1969)・・ (6)久米英夫:タバコフイルム栽培における土壌水 分,地温について,生物環境調節7(2),31∼35 (1970).、
(7)MILLER D.E.,and BuNGER WM..C.:Use of
plasticsoilcoversin sweet corn production・・ 4gro乃.、J55,417∼419(1963).
(8)村上律雄:敷藁の熟収支効果,虚業気象25(2), 15∼21(1969).
STUDIES ON THE MICROMETEOROLOGY
OF THE MULCHED GROUND SURFACE OF THE ROWS
I・An Example ofuslngTwo Mulching Materials)One has highAlbedo)
theotherlowAlbedo(Partl)
MasakiUEHARA,Matsl可iMATSUDAandHaruoSuzuKI
SummaI・ySomeobservationsweremade tocleartheeffbctsofvariousmulchesonthegroundsurface
oftherowinlittlerainregionofthewarmwest−SOutherndistrictinJapan,andtosetimportance
onmicrometeorologYandheatbalanceinthework Theobservationsweremade丘om1969
to1972attheexperimentfarm,KagawaUniversity,Japan小 Thisworkistheresultsoftheob−
servationonthecleardayinautumn(22,Oct‖,1970)一・Thesummaryofthisworkisasfo1lows:
(l)Theobservationwasmadeatthewiderowdirectedeasttowest,Wherealuminumfoil
(thickness,0.02mm)andblackvinylfi1m(thickness,0”lmm)wereusedasamulchingmaterial,
andtheresultsobservedinthemulchedplot?WereCOmParedwiththeunmulched plot ones・
(2)ThedurationofsunshineontheobserveddaywaslOhoursandtheamountofsolar
radiationwas361.2cal・CmT2一・day−1,andthealbedoofeachplotwas19い4%attheno mulchplot,
60.1%atthealuminumfoilmulchedplot,andlll6%attheblackvinylfi1mmulchedplot
(3)Daily totalamounts ofthe heat balance componentin cal・Cm,2・day.1areshownin
Tablel
(4)Therelationbetweensolarr・adiationandnetradiationisillustratedas the empirical
equation(3)(5)Ineachplot,theaveragetemperatur・einthedaytimeandthenighttime,thediurnal
meantemperatureandthediurnalrangeOf’theairtemperaturenearthegroundandthatofthe
undergroundtemperatureweredeterminedl・TheresultsareshowninTable2
(6)Therelationbetweentheunderground temperatureinlOcmdepthinthe nomulch
plotandthatof’themulchedplotsinthesamedepthisi11ustratedas theempiricalequation
(4)・
(7)Respective harmOnic coe氏cients were calculated by harmonic analysis ofthe results
ofour・Observation about the underground temperatur・el・The relation between depth and
amplitude ofitsdai1yvariationis expressed byanexponentialfunction・Calculations wer・e
alsomadeinthedepthofthestratumofinvariabletemper・atureand thethermaldi飢ISivity
undertheground一Thusspecialqualitiesof’theundergroundtemperatureofthenomulchplot
andthatofbeneaththealuminumfoilmulchorblackvinylfi1mmulchareexpressedtheoretical−
1y.
(8)Theamplitudesof’thedailyheatquantityvariationofthe undergroundintheplots
ofnomulch,Ofaluminumfbilmulched,andofblackvinylfilmmulchedwer・e90,41,and99
Cal・Cm ̄2respeCtively・(9)Moisturecontentsof.soil,Whichobtainedasameanvalue ofsoilfiOmOcmto20cm
depthwer・e19り9%inthenomulchplot,2l…5%inthealuminumfoilmulchedplot,and22・8%
intheblackvinyl丘1mmulchedplot)anditwasrecognizedthatinthemulchedplots,energy
香川大学農学部学術報告 32