• 検索結果がありません。

現実の金融政策 2016 年 1 月より政策委員 9 名 ( 総裁 副総裁を含む ) 年 8 回 ( 通常 1 月 4 月 7 月 10 月 ) ただし実施月は2 回ずつ 金融政策決定会合 金融政策を具体的にどのように運営していくのか 金融政策の方針を決定 ( 金融市場調節方針 ) 本来 金利ターゲ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "現実の金融政策 2016 年 1 月より政策委員 9 名 ( 総裁 副総裁を含む ) 年 8 回 ( 通常 1 月 4 月 7 月 10 月 ) ただし実施月は2 回ずつ 金融政策決定会合 金融政策を具体的にどのように運営していくのか 金融政策の方針を決定 ( 金融市場調節方針 ) 本来 金利ターゲ"

Copied!
16
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

1

4−6 実際の金融政策

※本節の内容は、日本銀行ホームページ(http://www.boj.or.jp)のほか、真壁昭夫(2014)『すぐわかる金融政策 の見方・読み方』(近代セールス社)、清水功哉(2016) 『緊急解説 マイナス金利』(日本経済新聞 出版社)等をもとにしている 。 1. 金融政策とは 中央銀行が、公開市場操作(オペレーション)などの手段を用いて、 金融市場に流通する資金量を調整し、短期の金利水準を誘導していく政策 2. 金融政策と金融調節 以前 日銀の金融政策の方針を正式に判断できるものがなかった ので、日々の資金調節が金融政策変更のシグナルとして 受けとめられることもあった 現在 日銀の金融政策の方針 → 金融政策決定会合で決定し公表 (具体的に金融政策をどのように運営していくのかを決定) but 日々の調節には金融政策変更のシグナルとしての 意味合いはない 目的 「物価の安定」と「金融システムの安定」 (中央銀行の独立性が確保されたもと)

(2)

2 現実の金融政策 金融政策決定会合 金融政策を具体的にどのように運営していくのか、金融政策の方針 を決定 (「金融市場調節方針」) 本来 「金利ターゲット方式」 無担保コールレートの水準を誘導 この方針に基づいて金融調節を実施するように指示 日銀金融市場局 短期金融市場 金融調節 オペレーションによる売買 (買いオペ・売りオペ) (主たる手段) 公開市場操作(オペレーション) 短期金利の誘導目標を実現 他の金利(預金金利・貸出金利・長期金利など)に影響 経済活動 に影響 金利rを 決める 政策委員9名(総裁・副総裁を含む) 年8回(通常1月、4月、7月、10月) ただし実施月は2回ずつ 貨幣供給量Mの調整 (一致の度合いなども、その後の効果の予測に影響を与える) つまり・・・ 金融政策運営の考え方を整理した「展望レポート」を公表(年4回) 2016年1月より

(3)

3 3. 金融政策の推移 政策目標: 金利水準の誘導 伝統的な金融政策 ゼロ金利 政策 限界 政策目標: 資金量(流動性) 非伝統的な金融政策 ・ 量的緩和政策(2001年∼2006年) ・ 異次元の金融緩和政策(2013年∼) ・ マイナス金利政策(2016年∼) 第1段階 1998年あたりから日本経済はデフレへ 1998年9月 金融緩和政策の実施 政策金利を0.25%へ低下 (プラス領域内での金利調整) 1999年2月 ゼロ金利政策の導入 (政策金利を下限のゼロに近づける) + 「時間軸効果」:デフレ懸念の払拭が展望されるまで続ける 条件をみたさない限り利上げしないことを約束 2000年8月 ゼロ金利政策解除 But 株価下落と経済悪化

(4)

4 第2段階 2000年 量的緩和政策へ さらなる金融緩和を進める。(「流動性のわな」に陥っていた時期) ・ 操作目標: 「日銀当座預金残高」(資金供給量) 金利から資金供給量へ → 長期国債買い入れによる資金供給の増加 ただし・・・ 国債の買入れは限定的な金額 (財務の健全性確保の観点から) ・ 具体的な数値目標の導入 (解除条件) 消費者物価上昇率の前年比が安定的にゼロ%以上 2006年 量的緩和政策解除へ 景気回復、長期金利安定化 But 2008年の「リーマン・ショック」により経済は混乱 第3段階 2008年 量的・質的緩和政策へ + 「インフレ目標政策」(2013年:2%の物価安定目標)

(5)

5 量的: 国債購入による資金供給量の拡大による金融緩和 → 長期金利の低下、経済への刺激、人々の心理への働きかけ 質的: 国債よりもリスクの高い「リスク性資産」(ETF・REIT)の買い入れ → 日銀の買い入れにより、株価上昇圧力、株価下落の不安緩和 But デフレ脱却にはつながらず 第4段階 2013年4月 異次元緩和政策の導入へ 「量的」にも「質的」にもこれまでとは次元の異なる金融緩和政策 ・ 操作目標: 日銀が直接供給する「マネタリーベース」 (年間60兆∼80兆円) ・ 「インフレ達成目標の設定」と「時間軸効果」による強い市場への政策確約 (政策のコミットメント) インフレ率2%とする物価安定目標を実現するために、 2年程度の期間を念頭に金融緩和を実施 ・ 長期国債購入額の規模を大幅に拡大 ・ 購入する国債の平均残存期間を延長(7年∼10年、2015年末には12年まで) → さらなる長期金利の長期的な低下への働きかけ

(6)

6 つまり・・・ 長期金利低下とリスク資産買入れによる市場心理改善への 効果を期待したもの but 「リスク」 「限界」 あり ・ バブル発生への懸念 ・ 財政悪化による「悪い金利上昇」 ・ 日銀の独立性確保に対する問題 ・ 正常化(出口)に向けた対応の問題 リスク 限界 ・ 市場心理(人々の期待)をコントロールすることは困難 ・ インフレ目標(2%)の実現が出来なかった場合→市場心理は改善 しない 金融政策の効果はあくまでも間接的なものにすぎない(下支えの効果) → 民間の消費や投資が増えることによる「内需回復」を伴わない 限り、本当の経済成長にはつなげることができない ・ 人為的なインフレ率の引き上げが景気回復に 本当に結びつくかどうかは分からない 金融政策のみによって経済をコントロール することには限界がある 国債などの資産買入れ規模が大規模なもとで、いかに混乱なく減ら していくか? (かつての「量的緩和解除」とは状況が異なる)

(7)

7 第5段階 2016年2月 マイナス金利政策の導入へ (マイナス金利付き量的・質的緩和政策) 「マイナス金利幅の拡大も含めて、量、質、金利の3次元で緩和を 進めていく」 ・ 日銀当座預金残高の一部の金利をマイナス0.1%へと引き下げる 新たに日銀に預ける当座預金部分のみ(約10兆円∼30兆円程度) ・ 巨額かつ長期の国債の買い入れ 理由 金融仲介機能を担う金融機関の収益への配慮 さまざまな金利を引き下げることで、経済への刺激を狙ったもの

(8)

8 4. マイナス金利政策 目的 ・ 円高圧力への対応策 2016年初: ・年明けの市場環境の混乱(株価下落、円高) → 経営者心理の悪化、賃上げ交渉への影響 により、脱デフレの流れへの悪影響が懸念? ・「円の資産化」が進展? 超低金利通貨の場合には、円を借りて金利が相対的に 高い通貨を買うキャリー取引がおこなわれやすい → 円借りによる円負債により「円安」が進行していた → but・・・ 円高により市場がリスク回避的になると、 円の買い戻し、新規の円買いが進む → さらなる「円高圧力」へ ・金利全般をより下げるための対応策 「利回り曲線(イールドカーブ)の起点を引き下げることで、 金利全般により強い下押し圧力を加えていく」

(9)

9 「イールドカーブ」: 債券の残存期間と利回りとの関係を示した曲線 → 期間が長期であるほど、リスクが高くなる → 通常は右上がりの「順イールド」 期間(年) 金利 % +0.1% フラット化 −0.1% 残存期間が長めの長期国債の買い入れを増加させて、 さらにマイナス金利の導入によって起点を下げることで、 長期金利低下への圧力を促すことができる可能性?

(10)

10 マイナス金利の効果 本来 長期金利の低下 → 金利全般の低下 ・ 個人: 住宅ローンなどの借入金利低下→住宅投資増加 企業: 借入金利低下により資金調達コスト低下→設備投資増加 ・ 円安による市場環境の改善 → 企業収益改善、国債から株式への流れ → 株価上昇期待 実体経済への刺激 But 実際には・・・・ 経済への刺激効果は限定的にとどまっている? ・ マイナス金利により銀行の収益を圧迫、金融仲介機能の低下 ・ 不動産価格上昇、REIT(不動産投資信託)の価格上昇

(11)

11 マイナス金利の影響 ・ 銀行の金融仲介機能の低下 → 投資信託や保険などの商品販売による手数料獲得へ ネット活用(「フィンテック」)による低コストの金融ビジネスの広がり ・ 年金や保険など、機関投資家における資産運用が悪化 ・ 消費者心理へのマイナスの影響? ・ 財政健全化への規律低下 ・ 金融緩和政策の「出口」に向けた流れがさらに困難になる ・ 資産バブルへの懸念 (欧州での先例やREIT相場の上昇など) ・ 国際的な通貨安競争に陥るリスクが高まる可能性 マイナス金利導入の目的: 円高への対応策 → 日本も導入することで、ますます通貨安への競争が広がる? (マイナス金利導入時の金融政策決定会合でも指摘) ※ ※ ここでの内容は、清水(2016)において「マイナス金利の副作用」として指摘されている。 多くは、金融政策決定会合において、反対意見としても指摘されていたという。

(12)

12 (参考) 主要国の金融政策 「非伝統的な金融政策」として、日本はいち早く「量的緩和政策」を導入した → その後、リーマンショック(2008年)を機に、他国でもマネタリーベースを 大きく増加させるなど、異例の金融緩和政策が行われてきている but 「出口」へ向けた考え方、財務健全性の問題への対処 などは異なっているが、どの国も財政赤字を多く抱えて 金融政策は難しい状況下におかれている 米国連邦準備 制度理事会 (FRB) (現在の政策) (今後の政策) 2012年9月より、 「量的緩和」第3弾を開始。 2014年1月には緩和縮小へ 転換。 「量的緩和」から抜け出し、 その後、利上げの可能性が指摘 されていたが、米国経済低迷により 可能性は低い? 日本銀行 (BOJ) 2013年4月より、過去最大の 緩和政策を実施。2年間で マネタリーベースを2倍へ (270兆円)。 さらに2016年よりマイナス金利導入 2015年度中にはインフレ率 2%の目標を達成し、安定 するまで金融緩和を継続。 → 達成時期を2年半延期 欧州中央銀行 (ECB) 2014年6月に政策金利を 史上最低まで引き下げ。 さらにマイナス金利を導入。 金利は低下。物価上昇の効果は小さい。 さらなる大規模な金融緩和を 実施する可能性もある。住宅バブル発生。 EUの離脱問題の行方による。

(13)

13

4−7

IS−MP分析

① IS−LM分析は現実的か? マネタリー・エコノミクス 金融政策が経済活動や物価に対してどのような影響を与えるかを分析 従来 ケインズ経済学に基づくIS−IM分析 but 近年 新しいケインズ経済学の発展 現実の経済が直面する問題に応じて分析 金融政策に関しても、様々な発展的な分析が なされるようになってきている IS−LM分析の考え方 金融政策: 中央銀行による貨幣供給量(M)の操作を通じて 間接的に利子率rを操作する M →LM曲線の右シフト→ r 本節の内容は、児玉俊介著 「ベーシック マクロ経済学」第9章(IS=MPモデル)、 日銀レビュー(2004年12月)鵜飼・鎌田 著 「マネタリー・エコノミクスの新しい展開:金融政策分析 の入門的解説」をもとにしている。

(14)

14 つまり・・・ 中央銀行の直接の政策目標 → 貨幣供給量(M) but 現実的か?? 現実の伝統的な金融政策 中央銀行は貨幣供給量Mよりも、むしろコールレートなどの短期金利を 誘導目標として、金融政策を実施している ※1 ※1 具体的にわが国の場合には、本来の伝統的な金融政策のもとでは、 政策金利のコールレートは「無担保コールオーバーナイトもの」である。 貨幣供給量(M)は信用創造の結果として変化しているにすぎない IS−LM分析においては、 IS−LM分析の考え方は、現実の金融政策との間に大きな隔たりがある (注意) わが国における以前のゼロ金利政策の場合には、政策金利である コールレートがゼロ%付近まで低下しており、本来の金利操作による 金融政策を実行する余地は無かった。その後の量的緩和政策は、 むしろ貨幣供給量を直接に増やす政策であったと考えられる。 実際に行われている「非伝統的な金融政策」のほうが IS−LM分析に合った政策とも思える

(15)

15 ② MP曲線 現実に観察できる金融政策を表現 中央銀行の行動式(政策ルール)そのものを表わす 現実のインフレ率やYの水準に反応して、中央銀行が 直接に利子率r(短期の政策金利)を操作する ※2 ※2 政策ルールとは、中央銀行の「政策反応関数」ともいわれ、「景気や物価などの経済の状況に 対する政策金利の対応を示すもの」(前掲資料の日銀レビューによる)である。 Y のとき: 中央銀行は利子率 rを Y のとき: 中央銀行は利子率 rを r=r(Y) 右上がり (好況) (景気悪化) r Y 0 MP曲線 LM曲線: 貨幣市場の均衡条件を示すもの 右上がり (金融引締め) (金融緩和) M=L1+L2 金融政策は Mの調整

(16)

16 ③ IS−MP分析 均衡はIS曲線とMP曲線の交点で決まる r 0 Y IS MP E r* Y * E点 ・ 財市場では総需要=総供給が成立 (IS曲線) ・ 中央銀行は政策ルールに基づいて 利子率を選択 (MP曲線) (参考)中央銀行の政策態度はMP曲線の傾きの大きさに依存している MP曲線の傾き: 急 → 中央銀行はYの変化に配慮した政策運営 緩やか→ 中央銀行はYの変化にあまり配慮しない政策運営 財政政策の効果 IS−LMモデルと同様の結論 (例) G IS曲線の右方シフト r Y 金融政策の効果 (例)金融政策の緩和 (政策ルールの変更) → Yの水準に対して低いrを対応させる MP曲線の下方シフト r Y 相互 の 連関 も 分析可能 IS‘ IS‘ 公共投資 E‘ (均衡はE‘へ) MP‘ E“ (均衡はE“へ)

参照

関連したドキュメント

実験は,試料金属として融点の比較的低い亜鉛金属(99.99%)を,また不活性ガ

~農業の景況、新型コロナウイルス感染症拡大による影響

他方、今後も政策要因が物価の上昇を抑制する。2022 年 10 月期の輸入小麦の政府売渡価格 は、物価高対策の一環として、2022 年 4 月期から価格が据え置かれることとなった。また岸田

料金算定期間 前回検針計量日 ~ 9月4日 基本料金 前回検針計量日 ~ 9月4日 電力量料金 前回検針計量日 0:00 ~ 9月4日

・2月16日に第230回政策委員会を開催し、幅広い意見を取り入れて、委員会の更なる

さらに体育・スポーツ政策の研究と実践に寄与 することを目的として、研究者を中心に運営され る日本体育・ スポーツ政策学会は、2007 年 12 月

「金融商晶のうち現金及び他の企業の持分金融商晶以外は,一方の契約当事

「経済財政運営と改革の基本方針2020」(令和2年7月閣議決定)