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オイルのコンタミネーションコントロールについて 1. はじめに一般的な建設機械 産業機械 生産機械に使用されている油圧関連部品には 下記のように多くの油圧部品が使用されています 走行モーター 旋回モーター ピストンポンプ 流量調整弁 圧力調整弁 方向制御弁 各種油圧シリンダ e コンピュータによる複

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Academic year: 2021

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オイルのコンタミネーションコントロールについて

1.はじめに 一般的な建設機械・産業機械・生産機械に使用されている油圧関連部品には、下記のように多くの油圧部品が 使用されています。 走行モーター、旋回モーター、ピストンポンプ、流量調整弁、圧力調整弁、方向制御弁、各種油圧シリンダ etc. コンピュータによる複雑な制御が可能になった現在では、これらの油圧部品も同様に複雑かつ正確な作動が 求められ、より精密な加工が施されます。また近年の省エネ方策から小型・高効率化が促進されシステムの高 圧化も進んできました。 その結果、小型・高圧化された各部品の構成隙間(クリアランス)は狭まり、オイル中に混入した微細な異物 (コンタミネーション)(以後、コンタミ)に対して非常に敏感になっています。 コンタミが原因で起こる異常摩耗や動作不良、破損に至った最悪のケースも多く、今までのオイルメンテナン スに対しての概念を払拭し、どの様な管理が必要になっているのか改めて見直すことが重要です。 <写真 1> オイルメンテナンス不良によるトラブル例 1 写真1は建設機械で一般的に使用されている可変 ピストンポンプです。 ピストンシューの摺動面がオイル中に混入したコン タミにより生じた線傷。傷の場所によっては規定圧 力に到達しない、潤滑不足等を引き起こし破損に 至るケースもあります。短期的なトラブルが無い場 合でも摩耗速度が著しく早まることがあります。 <写真 2> <写真 3> オイルメンテナンス不良によるトラブル例 2 写真 2、3 は写真1と同様に建設機械で一般的に 使用されている可変ピストンポンプです。 破損が著しいケースでは、分解検査だけでは原因 の特定が難しいケースが多いのですが、ピストンシ ュー部のオイル供給ポートが異物により閉塞されピ ストンシューとスワッシャプレートが潤滑不足による 焼付きが原因のひとつとして考えられます。 この壊滅的な破損状況になると、油圧回路全体に 金属粉がまわってしまい、後の修復作業では念入 りな浄化作業が必要となります。

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2 上記のピストンポンプの摩耗・故障はほんの一例ですが、オイル中に混入したコンタミが引き起こす油圧トラ ブルは非常に多く、油圧機器故障全体の70%以上とも言われています。 弊社は様々なメーカーの油圧ポンプ、モーターなどの修理サービスを行っていますが、その多くの場合にお いてコンタミが原因とみられる傷や摩耗があり、70%以上と言われる数値が決して大げさな数値ではないこ とがわかります。 2.オイルの清浄度管理 = コンタミネーションコントロールとは? オイル清浄度計測機器メーカー(英国 MP Filtri 社)の調査では機械設備のトラブルで最も発生頻度が 高いのは油圧システムであり、原因はオイル中のコンタミとされています。中でも塵埃や鋼などの固形異物 は摩擦面への過大な摩耗を促進させる大きな要因となっています。 近年の油圧機器の高性能、高圧、コ ンパクト化に伴い求められるオイルの清浄度管理は一段と高いレベルが要求されてきていますが、様々な 進入経路、発生源をもつコンタミネーションを完全に防ぐことは不可能であり、極度な対策は費用対効果と して薄いものとなってしまいます。 “オイル中のコンタミをトラブルが発生しない適正な量に管理する” これがコンタミネーションコントロールです。 3.コンタミネーションコントロールによって得られる利益 コンタミネーションコントロールによって得られる利益は「時間と費用の節約」です。 代表的な効果としては以下のとおりです。 (1) 油圧コンポーネントの寿命の延命 (2) 機械の安定性向上 (3) コンポーネント製造における不良品減少 (4) 保障期間内のクレーム減少 (5) ユーザー満足度の向上 コンタミネーションコントロールを行なうにあたり、フィルタや遠心分離機などによるコンタミの除去が必要な ことは言うまでもありませんが、コンタミの常時モニタリングにより傾向的に監視、把握し、各システム上のコン ポーネントに適したオイルの状態を維持することが費用対効果を高くする上で重要なファクターとなります。 コンタミネーションコントロールを推進する上でよく引用される故障率曲線を図-1 に示します。 この曲線図から読み取れるように、コンタミネーションコントロールをベースにしたオイル管理を実施すれば、 機器の故障率が大幅に低減されることがわかります。

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3 オイル中のコンタミの種類と影響 一概にコンタミと言っても、様々な種類、大きさの物質があり、また機器に与える影響も様々です。なかで も固形異物のコンタミナントの大きさについては、各構成部品のクリアランスに大きく影響する為、コンタミネ ーションコントロール上では重要なポイントとなっています。 特にクリアランスと同程度の大きさのものは、摺 動面にコンタミが侵入・介在、摺動面が削られてしまう摩耗現象(アブレシブ摩耗)要因となるので注意が必 要です。 各コンタミの大きさと与える影響の例を以下に示します。 ① 荒い粒子(>14μm) ・ コンポーネントの急な故障 ・ ベアリングの磨耗 ② 細かい粒子(6-14μm) ・ コンポーネントの磨耗、傷、 ・ 内部漏れ、調整値のずれ、バルブの固着 ③ 細かい粒子(<4-6μm) ・ スラッジの蓄積、オイルの劣化促進 図 1 故障が起きる度合い 表-1 オイル中のコンタミの種類と影響 気体 液体 ケース素材 珪土(シリカ) 錆の粒子 鉄 / 鋼材 銅 / 真鍮 アルミニウム 繊維 シール材 ゴム 非常に強い 強い コンタミイメージ写真 錆・ゴム片 金属粒子 弱い コンタミの種類 影響の度合い 固体

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4 ベーンポンプ サーボバルブ ベーンヘッド(ステータ) 0.5-1 ノズル 10-50 ベーンハウジング(ロータ) 0-15 スプール/スライド 2-20 ギヤポンプ スロットルエッジ 1-5 ケース(コンペンセータ) 1-2 ギヤ 2-100 方向操作弁 2-20 ピストンポンプ ピストンとボア 5-30 アクチュエータ、 モータ 5-25 ディストリビュースワッシャプレート 0.5-2 4.コンタミの管理方法 コンタミネーションコントロールを行なう為には、 「油圧システム内にどの程度の大きさと量(粒子数)のコンタミが混入しているか」 「油圧システム内に構成されている油圧機器をどのレベルで管理しなくてはならないのか」 を、まず把握する事から始めます。 オイル中のコンタミ量の計測する方法は、現在では、試験の容易さと計測結果の正確性・安定性から自 動粒子計測器(オイルパーティクルカウンタ)が用いられるようになっています。詳細は7項で紹介します。 5.オイルの清浄度の指針 オイルに含まれるコンタミ量を数値化する為に、主に下記の 2 つの規格が用いられます。 1) ISO 4406 (1999):流体中の粒子数に対する汚染度コードの国際規格 油圧システム故障の中で最も影響が大きいコンタミ粒子径 4μm、6μm、14μm のコンタミ量をコ ード番号で表示し、汚染のレベルを具体的に表す事ができる新しい基準として用いられています。 2) NAS 1638 : 米国航空宇宙産業が定めた仕様 元々は航空宇宙産業界の油圧関連部品に対する評価基準でしたが、当時一般油圧作動油に対 する汚染物質に対する評価基準が無かったことより NAS 規格が適用されていました。 元々は一般 油圧作動油の汚染評価用に開発されたものでは無く、汚染物質の重量を計測しクラス分けをする 重量法と併せて使用することが本来の運用方法です。 表-2 一般的なコンポーネントとクリアランス(単位:μm)

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5 ISO4406 詳細。 潤滑油中 1 ml 当りの粒子数で各粒径毎のスケール番号が定まり、 累積粒径 4μm( c )以上, 6μm( c )以上, 14μm( c )以上 の 3 の区分に分けることにより潤滑油の清浄度を表しています。(表-3) 6.各コンポーネントに推奨されるオイルの清浄度 各コンポーネントに一般的に推奨されるオイルの清浄度について表-4 に示します。 *推奨清浄度は油圧システムの使用圧力に拠り変わります。 表-4 各種油圧機器の清浄度管理目標値

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6 7.自動粒子計測器(オイルパーティクルカウンタ)

利便性が高く信頼性のある MPfiltri 社製オイルパーティクルカウンタを紹介します ・ 現場に持込みできる可搬型

-LPA2 (Twin laser System Laser Particle Analyser )

・ 機械設備に組込む据付型

-ICM (Inline Contamination Monitor)

-ACMU (Auxiliary Contamination Monitoring Unit)

< 可搬型コンタミネーションチェッカ LPA2 > 可搬型コンタミネーションチェッカ LPA2 は、直接圧力ラインへの接続が可能であり、接続後は容易にか つ外部からのコンタミの影響を受けずに短時間で精度の高い清浄度計測ができます。(計測器入口側の接 続は直接圧力ラインへ、出口側は外部へ排出) 直接圧力ラインへの接続が困難な場合は、ボトルサンプリングキットにて専用ボトルへオイル採取してから の計測が可能です。 計測結果は本体装備のプリンタでプリントアウトされ、また 600 件分のデータが自動的に内部メモリに記録 されるため、フィールドでの計測作業を容易にしています。 <据付型コンタミネーションモニタ ICM > 据付型のインラインコンタミネーションモニタ ICM は、圧力ライン上に恒久的な設置が可能で、オイルの 清浄度計測が自動かつ連続的にできます。 計測結果はモニター上で確認できる他に、約 4,000 件分のデータが内部メモリ内に自動保存されます。 データ通信も RS232,RS485,CAMBUS など様々な通信規格に対応しており、自動運転における清浄度 管理、計測場所から離れた場所でのデータ管理できます。 煩わしい作業を伴わず、誰でも容易に、正確に計測できるという点は、管理業務上の経費を大幅に削減 することに繋がります。 また、清浄度レベルを傾向的に管理し適切なコンタミネーションコントロールを行うことは機械システムの [ LPA2 ]

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7 安定性に繋がり、生産効率の向上が見込めます。 < 据付型コンタミネションモニタ ACMU > 潤滑油の清浄度計測において、気をつけなければならない事の一つに‘エアの混入’があります。コンタミ ネーションチェッカはオイルに混入した細かいエアを、コンタミと誤認識してしまい実際の清浄度よりも汚染が 進んでいると判断してしまう危険性があります。 物理的に設置場所に制約が有る場合は。従来であればライン上のエアを取除く何かしらの工夫を施すか、 それが困難な場合には計測場所を妥協するなどをして計測を実施してきました。 ACMU は、インライン型のコンタミネーションモニタ(ICM)と特殊ポンプを組合せたユニット構造となっており、 エアの影響を極力排除できる装置となっています。また、ポンプユニット自身もコンタミネーションの発生を 抑えている設計です。 今まで、エアの混入で計測が困難であった場所への設置、圧力が発生しないタンク、トランスミッションな どの計測が可能になり、完全な自動運転も出来ることから、各方面の業界から注目を集めています。 [ ACMU ] [ ICM ]

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8 8.お客様のご使用例 LPA2 ・油機部品製造メーカー殿: 従来はコンタミ計測を外部業者に委託されておりましたが、自社計測する事により、 時間とコストを削減されています。 ・建設機械修理業者: 修理後の機械のコンタミ管理のために導入され、高品質の修理体制を確立されて います。 ・建設機械販売業者様(海外の例) コモンレールエンジンの不具合発生に対し、軽油を採取し原因の追究、クレーム 判定に使われています。 ICM ・建設機械メーカー殿: 自社の油圧試験機に組み込まれ、常時テストオイルのコンタミ管理をされております。 自社の備蓄オイルタンクのコンタミ管理をされ、新車への供給オイル管理をされてい ます ・重量物運搬業者殿 ICM を組込んだフラッシング装置を採用され、フラッシングの効果を定量的に管理 されております。従来頻発していたオイルシステムの故障が激減されました。 ACMU 風力発電機メーカー殿: 風力発電機のオイル管理を、通信機能を使うことで遠隔地から常時行う事が出来 るようになりました。 ※ 参考文献

MP FILTRL UK Limited Bourton Industrial park Bourton on the Water Gloucestershire GL54 2HQ UK

IS4406:1999 汚染度規格表

株式会社 潤滑通信社 潤滑経済 2008 No.513

参照

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