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44 2. SCR システム及び認証方法の概要上述の通り 2016 年から NOx 3 次規制が導入される予定であり この規制に対応するため エンジンに SCR を装備することが想定されている この SCR システムを装備したエンジンの認証は NOx テクニカルコード 2008(NTC 2008)

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68) MEPC 59/INF.21: Analysis of Various Environmental Risk Evaluation Criteria, Submitted by Norway, 11/May/2009

69) MEPC 60/17: Report of the Correspondence Group on Environmental Risk Evaluation Criteria, Submitted by Greece on behalf of the Coordinator of the CG, 18/Dec./2009

70) MEPC 60/17/1: Information on the costs of oil spills in Norwegian territorial waters and proposal for an environmental risk criteria, Submitted by Norway, 4/Jan.2010

71) MEPC 60/17/2: Comments on the Correspondence Group report on

Environmental Risk Evaluation Criteria, Submitted by Japan, 29/Jan./2010 72) MEPC 60/17/3: Comments on the

Correspondence Group report on

Environmental Risk Evaluation Criteria, Submitted by Japan, 29/Jan./2010

73) MEPC 60/WP.11: Report of the Working Group on Environmental Risk Evaluation Criteria within the context of Formal Safety

Assessment, 24/March/2010

74) MEPC 61/18: Progress made at MSC 87 within the context of Formal Safety Assessment, Note by the Secretariat, 25/June/2010

75) MEPC 61/18/1: Information of the cost of oil spills in the United States’ territorial waters, Submitted by the United States, 13/July/2010 76) MEPC 61/18/2: Further experience with

non-linear oil spill cost functions, Submitted by Greece, 23/July/2010

77) MEPC 61/18/3: Consideration on the Development of Environmental FSA Guidelines, Submitted by Japan, 23/July/2010

78) MEPC 61/18/4: Updated function of oil spill cost versus spill weight (C/W formula), Submitted by Japan, 23/July 2010

79) MEPC 61/INF.11: Analysis on the costs of oil spills in the United States’ territorial waters, Submitted by the United States,

13/July/2010.

80) MEPC 62/18: Combining environmental and safety criteria and selection of a severity matrix, Submitted by Greece, 5/May/2011.

81) MEPC 62/18/1: Further experience with oil spill databases and update of non-linear oil spill cost functions , Submitted by Greece, 5/May/ 2011

82) MEPC 62/18/2: Consideration on the Environmental Risk Evaluation Criteria, Submitted by Japan, 6/May/ 2011

83) MEPC 62/18/3: Consolidated data set on oil spills and further progress made with regard to the development of a CATS value,

Submitted by Germany, Japan and United States, 6/May/2011.

84) MEPC 62/18/4: Consideration on the Cost of Averting a Tonne of Oil Spilled (CATS) threshold function, Submitted by Germany, Japan and United States, 6/May/2011. 85)MEPC 62/INF.24: Consolidated dataset on oil

spills, Submitted by Germany, Japan and United States, 6/May/2011.

86) MEPC 62/WP.13: Report of the Working Group on Environmental Risk Evaluation Criteria within the context of Formal Safety

Assessment, 13/July/2011.

87) DSC 16/6: Stowage of Water-Reactive Materials, Summary report of the Formal Safety Assessment, Submitted by Germany, 15/June/2011.

88) DSC 16/INF.2: Stowage of Water-Reactive Materials, Report of the Formal Safety Assessment, Submitted by Germany, 15/June/2011.

89) Yamada,Y.: The Cost of Oil Spills from Tankers in relation to Weight of Spilled Oil, Marine Technology, Vol.46, Num. 4,

Oct./2009..

90) Yamada, Y. and Kaneko, F. : On the

Derivation of CATSthr within the Framework of IMO environmental FSA studies, 5th International Conference on Collision and Grounding of Ships, June/2010.

91) Kaneko, F.: On the Method for Setting borders of ALARP region on FT diagrams, 4th

International Maritime Conference on Design for Safety, Oct./2010.

92) Sames, P and Hamman, R : Towards Environmental Risk Acceptance Criteria, ASME 27th International Conference on Offshore and Arctic Engineering(OMAE2008), June/2008.

SCR を装備した舶用ディーゼルエンジンの

認証技術に関する研究

平田 宏一

、岸 武行

、仁木 洋一

Study on attestation of marine Diesel engine installed SCR system

by

Koichi HIRATA, Takeyuki KISHI and Yoichi NIKI

1. まえがき 船 舶 の 動 力 源 と し て 使 わ れ て い る デ ィ ー ゼ ル エンジンからは、NOx(窒素酸化物)や SOx(硫 黄酸化物)、PM(粒子状物質)などの有害成分が 含まれた排ガスが放出されている。これらの有害 成分は、人体への影響の他、酸性雨や光化学スモ ッ グ の 原 因 と な る 。 そ の よ う な 背 景 を 受 け て 、 IMO(国際海事機関)では段階的な NOx 削減規 制が実施されている。 図-1.1 は IMO で提案されている NOx 排出規 制である。NOx 排出率の規制値はディーゼルエ ン ジ ン の 定 格 回 転 数 毎 に 決 め ら れ て お り 、2013 年現在、2 次規制(2005 年に施行された 1 次規 制に対して20%の NOx 削減)が施行されている。 さらに、2016 年には 1 次規制に対して 80 %の NOx 削減が要求される 3 次規制が施行される予 定である。一般に、2 次規制までの NOx 削減は、 デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン の 燃 焼 改 善 等 の い わ ゆ る イ ンエンジン技術で対応されている。一方、3 次規 制の NOx 削減に、メインエンジン技術だけで対 応することは難しく、SCR(Selective Catalytic Reduction、選択式還元触媒)と呼ばれる排ガス 後処理装置が必要となるものと考えられる。 当 所 で は NOx 削 減 の 実 用 技 術 の 構 築 を 目 指 し て 、 主 に 舶 用 4 ス ト ロ ー ク デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン を 対 象 と し た 尿 素 SCR シ ス テ ム の 研 究 ・ 開 発 を 進 め て き た 1 )。2010~ 2012 年 に は 、( 社 ) 日 本 舶 用 工 業 会 か ら の 請 負 研 究 と し て 、( 一 財 ) 日 本 海 事 協 会 の 助 言 ・ 協 力 を 得 な が ら 、SCR を 装 備 し た 舶 用 デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン の 認 証 を 円 滑 に 実 施 す る た め の 課 題 の 整 理 及 び 認 証 技 術 の 確 立 を 目 指 し た 調 査 研 究 を 実 施 し た 。本 報 で は 、今 後 実 施 さ れ る 認 証 方 法 に つ い て 概 説 す る と と も に 、本 調 査 研 究 で 得 ら れ た 成 果 の 一 部 を 紹 介 す る 。 * 動力システム系 原稿受付 平成25 年 1 月 21 日 審 査 日 平成25 年 2 月 15 日 図-1.1 IMO による NOx 排出規制

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2. SCR システム及び認証方法の概要 上述の通り、2016 年から NOx 3 次規制が導入 される予定であり、この規制に対応するため、エ ンジンにSCR を装備することが想定されている。 このSCR システムを装備したエンジンの認証は、 NOx テクニカルコード 2008(NTC 2008)及び IMO に設置された海洋環境保護委員会(MEPC 62)において採択された SCR 認証ガイドライン (以下、ガイドライン)に基づいて実施される必 要がある。以下、SCR の概要及びガイドラインに 記載された認証方法について記す。 2.1 SCR システムの基本構成 図-2.1 に尿素 SCR システムの基本構成を示す。 排気管中に触媒を取り付け、その上流から尿素水 の噴霧を吹き込む。尿素水は排ガスの熱によって 分解され、アンモニアに変化する。そして、触媒 反応によって、NOx とアンモニアは無害な窒素と 水に変換される。 一般に、船舶用 SCR システム には、ハニカム形状をしたチタニア・バナジア系 の触媒が用いられる。 SCR システムを運転する際には、触媒が十分な 脱 硝 性 能 を 有 し て い る こ と の 他 に 、 排 ガ ス 中 の NOx 排出量に応じた尿素水の流量制御が重要と なる。尿素水が少ないと十分な脱硝反応が行われ ず、尿素水が多すぎると加水分解されたアンモニ アが触媒後流に流出するためである。 NOx 3 次規制施行後の SCR を装備した舶用デ ィーゼルエンジンでは、SCR 通過後の排ガス中に 含まれるNOx の濃度を計測し、NOx 排出率が図 -1.1 に示した規制値を満たすことが必要となる。 2.2 認証方法の概要 ガイドラインには、SCR を装備したエンジンの 認証方法として、エンジンと SCR を一体として NOx 排出量を計測するスキーム A、及びエンジン と SCR についてそれぞれの NOx 排出量と NOx 低減率(脱硝率)を計測し、全体の NOx 排出量 を算出するスキームB と呼ばれる 2 種類の認証方 法が記載されている(図-2.2)。以下、それらの 認証方法について述べる。 2.2.1 スキーム A による認証方法 スキームA による認証方法は、エンジンと SCR とをエンジンメーカの陸上試験設備で組み合わさ れた状態として NOx 排出量を計測する方法であ り、今までエンジン単体においてNTC 2008 で行 われていた認証方法をそのまま用いるものである。 NOx 計測後に EIAPP 証書(国際大気汚染防止原 動機証書)がメーカに交付され、造船所において エンジン並びに SCR が搭載されることになる。 スキーム A では、基本的に、船上での NOx 計測 は行われず、パラメータチェック(部品確認並び にエンジンの設定値・運転値の確認)が行われる と考えられる。そして、チェック後にIAPP 証書 (大気汚染防止証書)が船舶所有者に交付される。 スキームA では、船上での NOx 計測が行われ ず、従来からNTC 2008 で行われていた認証方法 と同様に陸上設備での NOx 計測となるため、計 測精度を高めやすいといった特徴がある。一方、 エンジンとほぼ同じ大きさの SCR を陸上試験設 備に設置することとなり、認証のための試験の実 施には、試験設備の大規模な改修等、大幅なコス ト増となる可能性がある。 (a) スキーム A (b) スキーム B 図-2.2 SCR システムが装備されたエンジン の認証方法 図-2.1 尿素 SCR システムの基本構成

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2. SCR システム及び認証方法の概要 上述の通り、2016 年から NOx 3 次規制が導入 される予定であり、この規制に対応するため、エ ンジンにSCR を装備することが想定されている。 このSCR システムを装備したエンジンの認証は、 NOx テクニカルコード 2008(NTC 2008)及び IMO に設置された海洋環境保護委員会(MEPC 62)において採択された SCR 認証ガイドライン (以下、ガイドライン)に基づいて実施される必 要がある。以下、SCR の概要及びガイドラインに 記載された認証方法について記す。 2.1 SCR システムの基本構成 図-2.1 に尿素 SCR システムの基本構成を示す。 排気管中に触媒を取り付け、その上流から尿素水 の噴霧を吹き込む。尿素水は排ガスの熱によって 分解され、アンモニアに変化する。そして、触媒 反応によって、NOx とアンモニアは無害な窒素と 水に変換される。 一般に、船舶用 SCR システム には、ハニカム形状をしたチタニア・バナジア系 の触媒が用いられる。 SCR システムを運転する際には、触媒が十分な 脱 硝 性 能 を 有 し て い る こ と の 他 に 、 排 ガ ス 中 の NOx 排出量に応じた尿素水の流量制御が重要と なる。尿素水が少ないと十分な脱硝反応が行われ ず、尿素水が多すぎると加水分解されたアンモニ アが触媒後流に流出するためである。 NOx 3 次規制施行後の SCR を装備した舶用デ ィーゼルエンジンでは、SCR 通過後の排ガス中に 含まれるNOx の濃度を計測し、NOx 排出率が図 -1.1 に示した規制値を満たすことが必要となる。 2.2 認証方法の概要 ガイドラインには、SCR を装備したエンジンの 認証方法として、エンジンと SCR を一体として NOx 排出量を計測するスキーム A、及びエンジン と SCR についてそれぞれの NOx 排出量と NOx 低減率(脱硝率)を計測し、全体の NOx 排出量 を算出するスキームB と呼ばれる 2 種類の認証方 法が記載されている(図-2.2)。以下、それらの 認証方法について述べる。 2.2.1 スキーム A による認証方法 スキームA による認証方法は、エンジンと SCR とをエンジンメーカの陸上試験設備で組み合わさ れた状態として NOx 排出量を計測する方法であ り、今までエンジン単体においてNTC 2008 で行 われていた認証方法をそのまま用いるものである。 NOx 計測後に EIAPP 証書(国際大気汚染防止原 動機証書)がメーカに交付され、造船所において エンジン並びに SCR が搭載されることになる。 スキーム A では、基本的に、船上での NOx 計測 は行われず、パラメータチェック(部品確認並び にエンジンの設定値・運転値の確認)が行われる と考えられる。そして、チェック後にIAPP 証書 (大気汚染防止証書)が船舶所有者に交付される。 スキームA では、船上での NOx 計測が行われ ず、従来からNTC 2008 で行われていた認証方法 と同様に陸上設備での NOx 計測となるため、計 測精度を高めやすいといった特徴がある。一方、 エンジンとほぼ同じ大きさの SCR を陸上試験設 備に設置することとなり、認証のための試験の実 施には、試験設備の大規模な改修等、大幅なコス ト増となる可能性がある。 (a) スキーム A (b) スキーム B 図-2.2 SCR システムが装備されたエンジン の認証方法 図-2.1 尿素 SCR システムの基本構成 2.2.2 スキーム B による認証方法 スキームB による認証方法は、次の 2 段階の試 験を経て、認証する方法である。なお、スキーム B による認証は、スキーム A による NOx 計測が 構造上または技術上難しいことが主管庁により認 められた場合に適用可能となる。 (1) エンジン及び SCR の単体試験 陸 上 試 験 設 備 に お い て 、 エ ン ジ ン 単 体 の NOx 計測並びに SCR 単体の脱硝性能試験を行う。エ ンジン単体は、NTC 2008 に従って試験を行い、 温度や成分等のエンジンの排ガスに関する特性を 確認する。SCR については、エンジンの排ガス特 性を再現した模擬ガス、または実排ガスを用いて 脱硝性能を確認する試験を行う。また、SCR 単体 の試験では、実機そのもののフルスケール試験で なくても、実機で使用される同種類の小型触媒試 験片による触媒単体試験でもよい。そして、エン ジンと SCR とが組み合わされたことを想定した 場合に NOx 排出率が規制値以下であることを確 認する。ただし、小型触媒試験片による脱硝性能 確認試験を行う場合、脱硝率の計測に加え、排ガ スの流れやスケーリングを考慮した適切な方法で 実船における性能を推定することが要求されるも 考えられる。 (2) 船上における SCR 装置実機試験 上記(1)の試験をクリアし、EIAPP 証書がメー カに交付された後、船上でエンジンと SCR が組 み合わされた状態で NOx 排出量の計測を行う。 計 測 は 上 記(1)のエンジン単体での試験の負荷条 件のうち25 %、50 %、75 %になるべく近い負荷 状態で行われる。そして、脱硝率が上記(1)の SCR 単体の試験で確認された脱硝率よりも5 %を下回 らないことを確認することが IAPP(大気汚染防 止)証書発行の条件となる。 以上がスキームB による認証方法である。スキ ームB では、陸上試験設備で実機スケールの SCR をエンジンに組み合わせて試験をする必要がない ため、試験実施に必要となるコストはスキームA に比べて大幅に低減できるものと考えられる。 しかし、現在までに日本でエンジンと SCR と が組み合わされて船舶に搭載された例が少ないた め、陸上設備におけるエンジンと SCR の個別の 試験結果から NOx 排出率が規制値以下であるこ とを推定・確認するための判断材料は十分ではな い。特に、陸上の SCR 単体の試験では、実機ス ケールではなく、小型触媒試験片の性能試験でも よいとされているが、SCR 単体試験の結果が要求 性能を満たしていた場合であっても、実機のSCR がその性能を維持するための条件は明確ではない。 さらに、船上では、陸上設備と同等の精度でNOx 排出量を計測・評価することは難しいという問題 がある。 3. NOx テクニカルコードに基づく実機計測例 エンジンの認証に関する NOx 排出量の計測手 順についてはNTC 2008 に記載されている。以下、 エンジンとSCR を一体として NOx 排出量を計測 するスキームA を想定して、SCR が装備されたエ ンジンにより、NOx 排出量等を計測した結果につ いて述べる。 3.1 供試機関及び試験装置 図 -3.1 に 、 試 験 に 用 い た 中 速 舶 用 4 ス ト ロ ー ク デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン 及 び SCR の 構 成 、 表 -3.1 に そ れ ら の 主 要 目 を 示 す 。 エ ン ジ ン か ら 排 出 さ れ た 排 ガ ス は 、 排 ガ ス 管 後 方 に 設 置 さ れ た 試 験 用 SCR に 導 か れ 、 そ の 後 、 消 音 器 を 通 り 大 気 に 放 出 さ れ る 。 回 転 数 や ト ル ク 、 排 ガ ス 温 度 等 の デ ー タ は 、 計 測 ・ 制 御 用 パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ に よ り 1 秒 間 に 1 回 の サ ン プ リ ン グ で 計 測 さ れ る 。 ま た 、 パ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュ ー タ は 排 ガ ス 分 析 器 の 計 測 デ ー タ か ら 排 ガ ス 量 及 び 目 標 の モ ル 数 に 対 応 す る 尿 素 水 噴 射 量 を 計 算 す る と と も に 、SCR 制 御 用 PLC に 信 号 を 送 り 、 流 量 制 御 を 行 っ て い る 。 本 試 験 に 使 用 し た 試 験 用 SCR で は 、 還 元 剤 の 種 類 、 還 元 剤 の 噴 射 位 置 及 び 触 媒 充 填 量 を 変 更 す る こ と が 可 能 で あ る 。 以 下 の 試 験 に お い て は 、還 元 剤 に 濃 度 40 %の 尿 素 水 を 用 い て い る 。還 元 剤 噴 射 位 置 は 触 媒 前 約 1400 mm 図-3.1 SCR システム性能評価設備の構成

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で あ る 。 ま た 、 触 媒 充 填 量 は 、0.21 m3で あ り 、 負 荷 率 100 %に お け る SV 値 ( 排 ガ ス 量 [Nm3/h]を 触 媒 全 体 積 [m3]で 除 し た 値 で あ り 、 同 一 の 排 ガ ス 量 に お い て は 触 媒 の 外 形 寸 法 の 度 合 い を 示 す ) は 19000 h- 1程 度 で あ る 。 3.2 試験方法及び試験条件 NTC 2008 に 規 定 さ れ た E3 モ ー ド の テ ス ト サ イ ク ル を 参 考 に し て 、 図 -3.2 に 示 す 試 験 ス ケ ジ ュ ー ル を 定 め た 。 エ ン ジ ン 始 動 及 び 暖 機 運 転 の 後 、負 荷 率 を 25 %負 荷 率 ま で 減 少 さ せ る 。そ の 後 、50、75、100 % と 負 荷 率 を 段 階 的 に 変 化 さ せ て SCR の 反 応 器 出 口 の 排 ガ ス 温 度 が 静 定 し た 後 、10 分 間 の 排 ガ ス 計 測 を 行 う 。 排 ガ ス 計 測 に お い て は 、NTC 2008 に定められた基準を満たした排ガス分析器を使用 しており、SCR 後 流 に あ る 消 音 器 の 出 口 よ り 排 ガ ス の サ ン プ リ ン グ を 行 っ て い る 。 た だ し 、 尿 素 水 噴 射 量 の 算 出 の た め に 、SCR 入 口 の 排 ガ ス の NOx 濃 度 が 必 要 で あ る た め 、 計 測 時 以 外 は 、 サ ン プ リ ン グ 位 置 を 適 宜 切 り 替 え て い る 。 ま た 、 排 ガ ス 量 の 算 出 及 び NOx 濃 度 の 乾 き 湿 り 補 正 等 はNTC 2008 を 参 考 に し て お り 、燃 料 油 に はLSA 重 油( 硫 黄 分 約 0.05 %) を 用 い て い る 。 3.3 試験結果 図 -3.3 に 以 上 の 試 験 に よ り 得 ら れ た 負 荷 率 と 排 ガ ス 温 度 の 時 系 列 デ ー タ を 示 す 。 触 媒 は 、 過 給 機 出 口 の 約 20 m 後 方 に 設 置 さ れ て い る た め 、 触 媒 入 口 及 び 出 口 の 排 ガ ス 温 度 が 静 定 す る ま で に か な り の 時 間 を 要 す る 。 本 試 験 で は 、エ ン ジ ン 始 動 後 に 負 荷 率 を 100 % 付 近 ま で 増 加 さ せ て 、 排気管及 び 触 媒 の 暖 機 を 行 っ て い る 。 そ の 後 、25 % 負 荷 率 と し て 、 触 媒 の 入 口 及 び 出 口 温 度 が 静 定 し た 後 に 計 測 を 開 始 し た 。 本 試 験 に お い て は 、 各 負 荷 率 に お け る 排 ガ ス 温 度 の 静 定 に 概 ね 2~ 3 時 間 を 要 し て い る 。な お 、負 荷 率 が 75 %を 超 え る 範 囲 に お い て 、 触 媒 出 口 排 ガ ス 温 度 は 触 媒 入 口 排 ガ ス 温 度 を 上 回 っ た 。 こ れ は 触 媒 反 応 が 発 熱 反 応 で あ る た め 、 反 応 量 の 増 加 に よ り 触 媒 出 口 排 ガ ス 温 度 が 上 昇 し た も の と 考 え ら れ る 。 表 -3.2 に 各 負 荷 率 に お け る 主 な 計 測 結 果 を 示 す 。 こ れ ら の 値 は 、 各 負 荷 率 に お け る 計 測 デ ー タ の 最 終120 秒 間 の 平 均 値 と し て 求 め た も の で あ る 。同 表 よ り 、SCR を 装 備 し た 場 合 に お い て も 、現 在 の NTC 2008 の 計 測 方 法 に よ っ て 、SCR 後 流 の NOx 濃 度 を 計 測 し 、 NOx 排 出 量 を 算 出 で き る こ と が わ か る 。ま た 、 同 表 の 各 負 荷 率 に お け る NOx 排 出 率 か ら 、 E3 モ ー ド の 重 み 付 け 係 数 を 与 え る と 、 本 試 験 に 用 い た SCR を 装 備 し た エ ン ジ ン の NOx 排 出 率 は 1.70 g/kWh と 計 算 さ れ る 。 こ れ は 図 -1.1 に 示 し た NOx 3 次 規 制 を 十 分 に 満 足 す る 値 で あ る 。 な お 、 脱 硝 率 は モ ル 比 と 同 程 度 に な る の が 望 ま し い が 、 各 負 荷 率 に お け る 脱 硝 率 は モ ル 比 よ り も 数%程 度 低 く な っ て い る 。 こ れ は 、 SV 値 が 19000 h- 1と 大 き く 、脱 硝 に 不 利 な 条 件 で 試 験 を 実 施 し た こ と 、 さ ら に 尿 素 水 噴 射 ノ ズ ル を 触 媒 に 近 い 位 置 に 設 置 し て 試 験 を 行 っ た こ と が 原 因 で あ る と 考 え ら れ る 。 図-3.2 試験スケジュール 表-3.1 エンジン及び SCR システムの主要目 (a) エンジン 形式 6 気筒 4 ストローク シリンダ径 190 mm ストローク 260 mm 連続最大出力 750 kW 定格回転数 1000 min-1 (b) SCR システム 触媒形式 モノリス型セラミックハニカム 反応器寸法 915×950×3110 mm 触媒本数 25 本(5×5) 触媒寸法 □150mm×375 mm×1 段 セル数 45(150 mm 当たり) 触媒体積 約210,000 cm3 SV 値 (空間速度) 約19000 h-1 AP 値 (比表面積) 約1056 m2/m3 還元剤種類 尿素水(濃度40 wt%) 還元剤ノズル 2 流体式

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で あ る 。 ま た 、 触 媒 充 填 量 は 、0.21 m3で あ り 、 負 荷 率 100 %に お け る SV 値 ( 排 ガ ス 量 [Nm3/h]を 触 媒 全 体 積 [m3]で 除 し た 値 で あ り 、 同 一 の 排 ガ ス 量 に お い て は 触 媒 の 外 形 寸 法 の 度 合 い を 示 す ) は 19000 h- 1程 度 で あ る 。 3.2 試験方法及び試験条件 NTC 2008 に 規 定 さ れ た E3 モ ー ド の テ ス ト サ イ ク ル を 参 考 に し て 、 図 -3.2 に 示 す 試 験 ス ケ ジ ュ ー ル を 定 め た 。 エ ン ジ ン 始 動 及 び 暖 機 運 転 の 後 、負 荷 率 を 25 %負 荷 率 ま で 減 少 さ せ る 。そ の 後 、50、75、100 % と 負 荷 率 を 段 階 的 に 変 化 さ せ て SCR の 反 応 器 出 口 の 排 ガ ス 温 度 が 静 定 し た 後 、10 分 間 の 排 ガ ス 計 測 を 行 う 。 排 ガ ス 計 測 に お い て は 、NTC 2008 に定められた基準を満たした排ガス分析器を使用 しており、SCR 後 流 に あ る 消 音 器 の 出 口 よ り 排 ガ ス の サ ン プ リ ン グ を 行 っ て い る 。 た だ し 、 尿 素 水 噴 射 量 の 算 出 の た め に 、SCR 入 口 の 排 ガ ス の NOx 濃 度 が 必 要 で あ る た め 、 計 測 時 以 外 は 、 サ ン プ リ ン グ 位 置 を 適 宜 切 り 替 え て い る 。 ま た 、 排 ガ ス 量 の 算 出 及 び NOx 濃 度 の 乾 き 湿 り 補 正 等 はNTC 2008 を 参 考 に し て お り 、燃 料 油 に はLSA 重 油( 硫 黄 分 約 0.05 %) を 用 い て い る 。 3.3 試験結果 図 -3.3 に 以 上 の 試 験 に よ り 得 ら れ た 負 荷 率 と 排 ガ ス 温 度 の 時 系 列 デ ー タ を 示 す 。 触 媒 は 、 過 給 機 出 口 の 約 20 m 後 方 に 設 置 さ れ て い る た め 、 触 媒 入 口 及 び 出 口 の 排 ガ ス 温 度 が 静 定 す る ま で に か な り の 時 間 を 要 す る 。 本 試 験 で は 、エ ン ジ ン 始 動 後 に 負 荷 率 を 100 % 付 近 ま で 増 加 さ せ て 、 排気管及 び 触 媒 の 暖 機 を 行 っ て い る 。 そ の 後 、25 % 負 荷 率 と し て 、 触 媒 の 入 口 及 び 出 口 温 度 が 静 定 し た 後 に 計 測 を 開 始 し た 。 本 試 験 に お い て は 、 各 負 荷 率 に お け る 排 ガ ス 温 度 の 静 定 に 概 ね 2~ 3 時 間 を 要 し て い る 。な お 、負 荷 率 が 75 %を 超 え る 範 囲 に お い て 、 触 媒 出 口 排 ガ ス 温 度 は 触 媒 入 口 排 ガ ス 温 度 を 上 回 っ た 。 こ れ は 触 媒 反 応 が 発 熱 反 応 で あ る た め 、 反 応 量 の 増 加 に よ り 触 媒 出 口 排 ガ ス 温 度 が 上 昇 し た も の と 考 え ら れ る 。 表 -3.2 に 各 負 荷 率 に お け る 主 な 計 測 結 果 を 示 す 。 こ れ ら の 値 は 、 各 負 荷 率 に お け る 計 測 デ ー タ の 最 終120 秒 間 の 平 均 値 と し て 求 め た も の で あ る 。同 表 よ り 、SCR を 装 備 し た 場 合 に お い て も 、現 在 の NTC 2008 の 計 測 方 法 に よ っ て 、SCR 後 流 の NOx 濃 度 を 計 測 し 、 NOx 排 出 量 を 算 出 で き る こ と が わ か る 。ま た 、 同 表 の 各 負 荷 率 に お け る NOx 排 出 率 か ら 、 E3 モ ー ド の 重 み 付 け 係 数 を 与 え る と 、 本 試 験 に 用 い た SCR を 装 備 し た エ ン ジ ン の NOx 排 出 率 は 1.70 g/kWh と 計 算 さ れ る 。 こ れ は 図 -1.1 に 示 し た NOx 3 次 規 制 を 十 分 に 満 足 す る 値 で あ る 。 な お 、 脱 硝 率 は モ ル 比 と 同 程 度 に な る の が 望 ま し い が 、 各 負 荷 率 に お け る 脱 硝 率 は モ ル 比 よ り も 数%程 度 低 く な っ て い る 。 こ れ は 、 SV 値 が 19000 h- 1と 大 き く 、脱 硝 に 不 利 な 条 件 で 試 験 を 実 施 し た こ と 、 さ ら に 尿 素 水 噴 射 ノ ズ ル を 触 媒 に 近 い 位 置 に 設 置 し て 試 験 を 行 っ た こ と が 原 因 で あ る と 考 え ら れ る 。 図-3.2 試験スケジュール 表-3.1 エンジン及び SCR システムの主要目 (a) エンジン 形式 6 気筒 4 ストローク シリンダ径 190 mm ストローク 260 mm 連続最大出力 750 kW 定格回転数 1000 min-1 (b) SCR システム 触媒形式 モノリス型セラミックハニカム 反応器寸法 915×950×3110 mm 触媒本数 25 本(5×5) 触媒寸法 □150mm×375 mm×1 段 セル数 45(150 mm 当たり) 触媒体積 約210,000 cm3 SV 値 (空間速度) 約19000 h-1 AP 値 (比表面積) 約1056 m2/m3 還元剤種類 尿素水(濃度40 wt%) 還元剤ノズル 2 流体式 3.4 認証における計測上の課題 以 上 に 記 し た SCR が 装 備 さ れ た 中 速 舶 用 デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン の 試 験 を 基 に 、SCR 認 証 に お け るNOx 計 測 の 課 題 に つ い て 考 察 す る 。 (1) 排ガス温度 SCR を装備したエンジンの認証試験において は、排ガス温度が静定するまでに十分な時間が必 要となる。上記で行った実機試験は、今までに行 われてきた SCR を取り付けない状態の認証試験 と比べて、2 倍程度の時間を要している。ま た 、 SCR の 脱 硝 性 能 は 排 ガ ス 温 度 に 大 き く 影 響 さ れ る 。 一 般 に 、 排 ガ ス 温 度 が 300℃ 以 上 で あ れ ば 脱 硝 性 能 に 大 き な 変 化 は 見 ら れ な い が 、300℃ 未 満 の 低 温 度 域 で は 排 ガ ス 温 度 が 脱 硝 性 能 に 与 え る 影 響 は 大 き く な る 。 実 際 の 認 証 試 験 を 実 施 す る 際 に は 、 こ れ ら の 特 性に 留 意 す る 必 要 が あ る 。 表-3.3 試験運転結果 項目 単位 エンジン負荷率 25 % 50 % 75 % 100 % エンジン エンジン回転数 min-1 629 793 904 997 軸出力 kW 189 377 561 750 燃料消費量 kg/h 45.2 86.7 122.3 162.5 給気圧力 MPaG 0.014 0.061 0.115 0.177 大気 大気圧 kPa 100.2 100.2 100.2 100.3 大気温度 ℃ 32.9 34.9 34.3 33.6 大気湿度 % 56.2 54.1 53.3 56.7 大気飽和水蒸気圧 kPa 5.0 5.6 5.4 5.2 大気絶対湿度 g/kg 18.0 18.3 18.4 18.8 排ガス (触媒出口) NOx 濃度(dry) ppm 113.0 97.1 166.7 203.9 CO 濃度(dry) ppm 520.0 740.2 229.2 114.1 CO2濃度(dry) % 5.16 5.69 7.19 7.16 O2濃度(dry) % 13.71 12.97 11.01 11.01 HC 濃度(dry) ppmC 3.6 3.2 4.6 6.0 乾き湿り補正係数 --- 0.9397 0.9339 0.9245 0.9241 排ガス量 Nm3/h 1498.6 2558.6 2959.8 3947.9 NOx 濃度(wet) ppm 106.2 90.7 154.1 188.5 NOx 排出量 g/h 326.7 488.6 936.8 1528.0 NOx 排出率 g/kWh 1.72 1.29 1.67 2.04 SCR 性能 尿素水流量 mL/min 39.5 54.4 89.6 144.8 触媒入口NOx 濃度(wet) ppm 597 502 706 846 触媒入口排ガス温度 ℃ 325 400 397 397 モル比 % 86.2 82.7 83.8 84.7 脱硝率 % 82.2 81.9 78.2 77.7 図-3.3 負荷率及び排ガス温度の計測結果

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(2) 触 媒 へ の ア ン モ ニ ア 吸 着 触 媒 で は 、 触 媒 表 面 へ の ア ン モ ニ ア の 吸 着 ・ 脱 離 現 象 が 生 じ る 。 触 媒 表 面 に 吸 着 し た ア ン モ ニ ア が 脱 硝 反 応 に 寄 与 す る た め 、 尿 素 水 の 供 給 を 止 め て も 、 し ば ら く の 間 、 脱 硝 反 応 が 続 く こ と が あ る 。 し た が っ て 、 モ ル 比 と 脱 硝 率 の 関 係 を 正 確 に 評 価 す る 場 合 、 触 媒 へ の ア ン モ ニ ア の 吸 着 ・ 脱 離 現 象 を 踏 ま え て 、 十 分 に 安 定 な 状 態 に な っ た こ と を 確 認 し て NOx 計 測 並 び に そ の 評 価 を す る 必 要 が あ る 。 (3) シ ス テ ム 構 成 別 途 実 施 し た 試 験 に よ り 、SCR の 脱 硝 性 能 は 、 排 ガ ス 温 度 や SV 値 の 他 、 触 媒 と 尿 素 水 噴 射 ノ ズ ル と の 距 離 や 尿 素 水 と 排 ガ ス と の 混 合 を 促 進 す る ス タ テ ィ ッ ク ミ キ サ の 有 無 等 に 大 き く 影 響 を 受 け る こ と が 確 認 さ れ て い る 。す な わ ち 、実 際 の 認 証 試 験 に お い て は 、 装 置 構 成 や 運 転 状 態 、 還 元 剤 噴 射 量 制 御 方 法 に も 十 分 な 考 慮 が 必 要 で あ る 。 4. 各スキームの認証精度確認試験 2.2 節で述べたように、SCR を装備したエンジ ンの認証方法として、エンジンと SCR を一体と してNOx 排出量を計測するスキーム A 及びエン ジンとSCR システムについてそれぞれの NOx 排 出量と脱硝率を計測し、全体の NOx 排出量を算 出するスキームB と呼ばれる 2 種類の認証方法が ある。以下、それぞれのスキームの認証精度を確 認するために行った試験の一例を紹介する。 4.1 各スキームの試験方法 以下の試験方法により、各スキームの認証精度 確認試験を実施する。 (1) スキーム A を想定した試験 スキーム A を想定した試験は、前 章 に 述 べ た 中 速 舶 用4 ス ト ロ ー ク デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン 及 び SCR を 用 い る 。試 験 方 法 は 、 前 章 と 同 様 、 NTC 2008 に 規 定 さ れ た E3 モ ー ド の テ ス ト サ イ ク ル に 従 う 。 (2) ス キ ー ム B を 想 定 し た 試 験 スキームA を想定した実機試験において得られ る触媒前の排ガス温度並びに各ガス成分濃度等の 排ガス特性データに基づき、マイクロリアクタ(図 -4.1)を用いてスキーム B を想定した触媒単体 試験を行う。表-4.1 に試験条件をまとめて示す。 試験に用いる触媒は、材質及びセル数が実機に用 いた触媒と同じ小型触媒試験片である。還元剤に は尿素水及びアンモニアガスの 2 種類を使用し、 それらの結果を比較する。 ガイドラインでは、スキームB の触媒単体試験 の実施にあたって、スケール化された排ガス流量、 模擬ガス成分(NO、NO2、O2、CO2、H2O、SO2、 N2バランス)、触媒入口温度、SV 値並びに還元剤 の濃度が規定されている。また、模擬ガスの各成 分は実ガス成分の±5 %であることが求められて いる。以下のスキームB を想定したマイクロリア クタによる触媒単体試験においては、模擬ガス成 分に NO2及び SO2を含めず、それらを除いた成 分をスキーム A の試験結果と一致させた状態で、 各負荷率に相当する運転条件おける脱硝率を計測 する。また、H2O 濃度についても計測器の都合に より推定値としている。実際の認証時には、模擬 ガス成分として NO2及び SO2成分を含める必要 があり、またH2O 濃度についても実ガス成分の± 5 %以内とする必要がある。 以下に述べるスキームB を想定した触媒単体試 験はガイドラインに完全に合致した手順では実施 していないが、以降、上記条件での触媒単体試験 をスキームB 試験と呼ぶ。また、上記のスキーム A を想定した実機による試験をスキーム A 試験と 呼ぶこととする。 4.2 各スキームの試験結果 表-4.2 にスキーム A 試験及びスキーム B 試験 の結果、図-4.2 に本試験で得られた脱硝率を比 較した結果を示す。還元剤が尿素水の場合、全て 表-4.1 マイクロリアクタによるス キ ー ム B を 想 定 し た 試 験 触媒寸法 5×5 セル(17 mm×17 mm) 長さ180 mm (触媒体積50 cm3) 還元剤 尿素水/アンモニアガス 排ガス分析計 HORIBA MEXA-1600D 模擬ガス成分 NO、O2、CO2、H2O、N2 図-4.1 マイクロリアクタの構造

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(2) 触 媒 へ の ア ン モ ニ ア 吸 着 触 媒 で は 、 触 媒 表 面 へ の ア ン モ ニ ア の 吸 着 ・ 脱 離 現 象 が 生 じ る 。 触 媒 表 面 に 吸 着 し た ア ン モ ニ ア が 脱 硝 反 応 に 寄 与 す る た め 、 尿 素 水 の 供 給 を 止 め て も 、 し ば ら く の 間 、 脱 硝 反 応 が 続 く こ と が あ る 。 し た が っ て 、 モ ル 比 と 脱 硝 率 の 関 係 を 正 確 に 評 価 す る 場 合 、 触 媒 へ の ア ン モ ニ ア の 吸 着 ・ 脱 離 現 象 を 踏 ま え て 、 十 分 に 安 定 な 状 態 に な っ た こ と を 確 認 し て NOx 計 測 並 び に そ の 評 価 を す る 必 要 が あ る 。 (3) シ ス テ ム 構 成 別 途 実 施 し た 試 験 に よ り 、SCR の 脱 硝 性 能 は 、 排 ガ ス 温 度 や SV 値 の 他 、 触 媒 と 尿 素 水 噴 射 ノ ズ ル と の 距 離 や 尿 素 水 と 排 ガ ス と の 混 合 を 促 進 す る ス タ テ ィ ッ ク ミ キ サ の 有 無 等 に 大 き く 影 響 を 受 け る こ と が 確 認 さ れ て い る 。す な わ ち 、実 際 の 認 証 試 験 に お い て は 、 装 置 構 成 や 運 転 状 態 、 還 元 剤 噴 射 量 制 御 方 法 に も 十 分 な 考 慮 が 必 要 で あ る 。 4. 各スキームの認証精度確認試験 2.2 節で述べたように、SCR を装備したエンジ ンの認証方法として、エンジンと SCR を一体と してNOx 排出量を計測するスキーム A 及びエン ジンとSCR システムについてそれぞれの NOx 排 出量と脱硝率を計測し、全体の NOx 排出量を算 出するスキームB と呼ばれる 2 種類の認証方法が ある。以下、それぞれのスキームの認証精度を確 認するために行った試験の一例を紹介する。 4.1 各スキームの試験方法 以下の試験方法により、各スキームの認証精度 確認試験を実施する。 (1) スキーム A を想定した試験 スキーム A を想定した試験は、前 章 に 述 べ た 中 速 舶 用4 ス ト ロ ー ク デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン 及 び SCR を 用 い る 。試 験 方 法 は 、 前 章 と 同 様 、 NTC 2008 に 規 定 さ れ た E3 モ ー ド の テ ス ト サ イ ク ル に 従 う 。 (2) ス キ ー ム B を 想 定 し た 試 験 スキームA を想定した実機試験において得られ る触媒前の排ガス温度並びに各ガス成分濃度等の 排ガス特性データに基づき、マイクロリアクタ(図 -4.1)を用いてスキーム B を想定した触媒単体 試験を行う。表-4.1 に試験条件をまとめて示す。 試験に用いる触媒は、材質及びセル数が実機に用 いた触媒と同じ小型触媒試験片である。還元剤に は尿素水及びアンモニアガスの 2 種類を使用し、 それらの結果を比較する。 ガイドラインでは、スキームB の触媒単体試験 の実施にあたって、スケール化された排ガス流量、 模擬ガス成分(NO、NO2、O2、CO2、H2O、SO2、 N2バランス)、触媒入口温度、SV 値並びに還元剤 の濃度が規定されている。また、模擬ガスの各成 分は実ガス成分の±5 %であることが求められて いる。以下のスキームB を想定したマイクロリア クタによる触媒単体試験においては、模擬ガス成 分に NO2及び SO2を含めず、それらを除いた成 分をスキーム A の試験結果と一致させた状態で、 各負荷率に相当する運転条件おける脱硝率を計測 する。また、H2O 濃度についても計測器の都合に より推定値としている。実際の認証時には、模擬 ガス成分として NO2及び SO2成分を含める必要 があり、またH2O 濃度についても実ガス成分の± 5 %以内とする必要がある。 以下に述べるスキームB を想定した触媒単体試 験はガイドラインに完全に合致した手順では実施 していないが、以降、上記条件での触媒単体試験 をスキームB 試験と呼ぶ。また、上記のスキーム A を想定した実機による試験をスキーム A 試験と 呼ぶこととする。 4.2 各スキームの試験結果 表-4.2 にスキーム A 試験及びスキーム B 試験 の結果、図-4.2 に本試験で得られた脱硝率を比 較した結果を示す。還元剤が尿素水の場合、全て 表-4.1 マイクロリアクタによるス キ ー ム B を 想 定 し た 試 験 触媒寸法 5×5 セル(17 mm×17 mm) 長さ180 mm (触媒体積50 cm3) 還元剤 尿素水/アンモニアガス 排ガス分析計 HORIBA MEXA-1600D 模擬ガス成分 NO、O2、CO2、H2O、N2 図-4.1 マイクロリアクタの構造 の負荷条件において、スキームB の脱硝率は、ス キームA よりも低い値となった。この原因として、 スキームA では、尿素水が大量の排ガス中で微粒 化されて加水分解されるのに対し、今回のスキー ムB 試験に使用したマイクロリアクタでは、蒸発 器内で尿素水が噴霧状態にされないまま加水分解 されるため、尿素水の一部が蒸発器内に固形物と して残留するなどして、還元剤として有効に作用 していないことが考えられる。 本調査研究を開始した当初、実船舶への搭載を 想定したスキームA 試験では還元剤噴霧の不均一 性が生じやすく、触媒単体試験のスキームB 試験 と比べて、脱硝性能に劣ることが懸念されていた。 しかし、本試験の多くの計測値はその逆の傾向を 示しており、スキームA 試験の脱硝率はスキーム B 試験を上回ることが確認された。 また、アンモニアガスを還元剤として用いた場 合のスキームB 試験の脱硝率は、尿素水を用いた 場合と比べて、全般的にスキームA 試験の脱硝率 に近い。一般に、脱硝反応は、尿素水が加水分解 によりアンモニアに変化した後に生じると言われ ている。このことからもマイクロリアクタの蒸発 器内で尿素水の加水分解が十分に安定していなか ったことが、還元剤に尿素水を用いた場合にスキ ームA 試験とスキーム B 試験の相違が大きくなっ た要因であると考えられる。 4.3 認証試験における課題 以上、中 速 舶 用 デ ィ ー ゼ ル エ ン ジ ン と SCR を 用 い て 、各 ス キ ー ム の 違いによる測定値の精 度を調べた結果について述べた。また、本調査研 究においては、上記に挙げた試験の他、国内数社 のエンジンメーカの協力により、複数の舶用ディ ーゼルエンジンについても、上記と同様の各スキ ームの認証精度確認試験を行っている。それらの 結果より、以下に示すような認証試験における 様々な課題が明らかになった。 (1) マイクロリアクタ スキームB の触媒単体試験において尿素水を還 元剤として用いる場合、マイクロリアクタの蒸発 器における加水分解が安定かつ確実に行われる必 要がある。また、マイクロリアクタ及び排ガス分 析器の仕様に制限を受け、試験条件によっては計 測時に空気の希釈が必要となり、希釈率が高い場 合、計測誤差が大きくなる可能性がある。 (2) 一次反応速度定数による評価 触媒化学では一次反応速度式の考え方が一般的 に用いられている(2)。触媒の脱硝性能を推測・評 価する場合、触媒の反応速度定数Ka 値を適切に 活用することは極めて有効であるが、マイクロリ アクタ等を用いた触媒単体試験において、Ka 値 の計算方法によっては、実機の触媒性能に適合し ないことがあることに注意しなければならない。 (3) NOx の主成分と脱硝性能 排ガス中に含まれるNOx の主成分は NO と NO2であり、それぞれの割合を正確に考慮しなけ れば、正確なモル比の設定や脱硝率の評価は難し い。また、NO と NO2の割合は脱硝性能に大きく 影響すると言われており(3)、触媒の性能を詳細に 図-4.2 各スキームの試験結果 表-4.2 試験結果 (a) スキーム A 試験 項目 単位 負荷率 25 % 50 % 75 % 100 % SV 値 h-1 5206 9972 14694 19450 触媒入口排ガス温度 ℃ 338 375 396 402 触媒入口NOx 濃度 ppm 886 662 745 907 モル比(尿素水) % 84.0 84.0 86.0 86.0 脱硝率 % 81.6 80.9 82.5 83.6 CO2濃度(dry) % 7.40 7.51 7.24 7.20 O2濃度(dry) % 10.79 10.57 10.97 10.88 (b) スキーム B 試験 項目 単位 負荷率 25 % 50 % 75 % 100 % 脱硝率(尿素水) % 78.1% 79.1% 76.5% 76.6% 脱硝率(アンモニアガス) % 82.8% 76.3% 80.8% 78.4%

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評価する場合、NO と NO2の割合を無視できない 可能性がある。 図-4.3 は、NO と NO2の割合を変化させてマ イクロリアクタによる触媒単体試験を行った結果 である。なお、反応の速度変化による脱硝率の違 いを明確にするため、SV 値を 25000 h-1、温度を 230℃とし、還元剤供給装置の流量変動等で生じ る脱硝率への影響を避けるため、モル比を100 % より若干高く設定した(110%)。図-4.3 より、 NO が 100 %の場合の脱硝反応よりも NO2が混合 されている場合の脱硝反応の方が速くなり、NO とNO2濃度の比が1:1 のときに最大の脱硝率が得 られていることがわかる。これは、NO だけでス キームB の触媒単体試験を行った場合の脱硝率よ りも、実排ガスでNO2が混合されている方が有利 になり、高い脱硝率が得られる可能性があること を示している。実排ガスのNO 濃度に対する NO2 濃度の比は数%程度であり、前節で実施した模擬 ガスにNO だけを含めた試験結果はわずかに低い 脱硝性能を示していると言える。 (4) SO2が脱硝性能に及ぼす影響 排ガス中に含まれるSO2は、触媒の性能低下を もたらす成分であることが知られている。ただし、 別途実施した試験より、SO2は触媒の劣化に大き く影響するものの、短期間の試験において脱硝性 能に与える影響は小さく、SV 値が実機条件と同 程度であれば劣化の度合いも小さいものと考えら れる。すなわち、前節のスキームB 試験では模擬 ガスにSO2を含めていないが、その影響は小さい ものと考えられる。しかし、触媒の長期に渡る性 能維持は認証時の重要な要件であり、脱硝率や NOx 排出量の計測だけでなく、触媒劣化や再生方 法についての適切な評価が必要不可欠である。 5. まとめ 本報では、NTC 2008 に基づき、SCR 装置が設 置された中速舶用ディーゼルエンジンの NOx 排 出量を計測した結果、さらに、NOx 3 次規制が施 行された後に実施されるスキームA(一体計測) とスキームB(分離計測)を想定して、計測方法 の違いによる計測精度について調べた試験結果に ついて述べた。これらの結果は、当該調査研究で 実施した成果の一部であり、この他にも実船に用 いる SCR システムの触媒寸法とマイクロリアク タの試験に用いる触媒寸法の相違が脱硝性能に及 ぼす影響(スケールエフェクト)や就航後に実施 される定期的検査の内容等についての考察を行っ て い る 。 こ れ ら の 成 果 は 、 今 後 実 施 さ れ る SCR が装備されたエンジンの認証において有効な知見 になるものと考えている。 謝 辞 本報の内容は、( 社 )日 本 舶 用 工 業 会 よ り 請 負 研 究 と し て 実 施 し た「SCR 装 置 が 装 備 さ れ た エ ン ジ ン の 認 証 技 術 の 確 立 に 関 す る 調 査 研 究 」 の 研 究 成 果 の 一 部 で あ る 。 な お 、 本 研 究 は (社)日本舶用工業会が( 一 財 ) 日 本 海 事 協 会 の「業界要望による共同研究」スキームによ り、同協 会 の支援を受け実施されたものである。 また、 本 研 究 の 実 施 に あ た っ て は 国 土 交 通 省 海 事 局 並 び に 国 内 数 社 の エ ン ジ ン メ ー カ の 多 大 な 助 言 ・ 協 力 を い た だ い た 。 こ こ に 関 係 各位に対して謝意を表す。 参考文献 1) 平田宏一、他 13 名:海上技術安全研究所にお ける船舶用SCR システムに関する研究、海上 技術安全研究所報告、第11 巻、第 22 号(2011)、 pp.71-89 2) 岸武行、他 6 名:舶用ディーゼルエンジンに 用いるSCR 脱硝装置に関する研究、海上技術 安全研究所報告、第 8 巻、第 2 号(2008)、 pp.191-195 3) 村田豊、他 5 名:尿素 SCR システムの NOx 浄化率向上に関する研究(第4 報)-尿素水の 噴射制御ロジックの構築と各種過渡運転への 適用-、自動車技術会論文集、第 40 巻第 6 号 (2009)、pp.1509-1514 図-4.3 NO2 割合が脱硝率に及ぼす影響

参照

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