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Microsoft Word - 20年度(行情)答申第585号.doc

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諮問庁:国土交通大臣 諮問日:平成20年9月24日(平成20年(行情)諮問第589号) 答申日:平成21年3月31日(平成20年度(行情)答申第585号) 事件名:特定の標準地番号に係る鑑定評価書の一部開示決定に関する件

答 申 書

第1 審査会の結論 特定の標準地番号に係る鑑定評価書(以下「本件対象文書」という。) につき,その一部を不開示とした決定については,異議申立人が開示すべ きとする部分を不開示としたことは,妥当である。 第2 異議申立人の主張の要旨 1 異議申立ての趣旨 行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という。)3 条の規定に基づく本件対象文書の開示請求に対し,平成20年6月6日 付 け 国 広 情 第 6 3 号 に よ り 国 土 交 通 大 臣 ( 以 下 「 処 分 庁 」 又 は 「 諮 問 庁」という。)が行った本件対象文書の一部開示決定(以下「原処分」 という。)について,その取消しを求める。 2 異議申立ての理由 異議申立人の主張する異議申立ての理由は,異議申立書及び意見書の記 載によると,おおむね以下のとおりである。 原処分は,鑑定評価書に関する平成15年度(行情)答申第590号及 び591号に基づき行われたとのことであるが,大都市と地方,当時と現 在では事情が大きく異なっている。 国土交通省のウェブサイト(土地総合情報システム)には,鑑定評価書 で使用している取引事例と同一の方法で入手した情報と思われる情報が掲 載されているが,そこには住所として市名及び地区・大字までが表記され ており,また,最寄駅として駅名,距離(分)が掲載されている。 したがって,鑑定評価書で不開示とされている,所在及び地番並びに 「住居表示」等の欄については,大字又は町名までは開示すべきであり, 主要交通施設の状況の欄については,すべて開示すべきである。 意見書においては,諮問庁の理由説明書の各項目ごとに反対意見が記載 されている。 第3 諮問庁の説明の要旨 1 土地価格の情報について (1)地価公示について 地価公示は,地価公示法に基づいて,国土交通省に置かれた土地鑑

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定委員会が,毎年1月1日時点における標準地の正常な価格等を3月下 旬に官報で公示するものであり,一般の土地の取引価格に対し指標を与 え,また,公共用地の取得価格の算定に資するとともに,不動産鑑定士 等が土地についての鑑定評価を行う場合の規準となることにより,適正 な地価の形成に資することを目的としている。 平成20年地価公示においては,都市計画区域等の標準地29,1 00地点について公示されている。 公示価格を算定するに当たっては,地価公示法2条に基づいて,同 委員会が2名以上の不動産鑑定士に標準地の鑑定評価を求めることとさ れている。同委員会は,不動産鑑定業者の業務に従事する不動産鑑定士 のうちから一定の資格要件に該当する者を鑑定評価員として委嘱してお り,1つの標準地について,通常は2人の鑑定評価員が「標準地の鑑定 評価要領」(平成8年同委員会決定)に定められた様式に従い鑑定評価 書をそれぞれ作成し,同委員会に提出することとされ,鑑定評価書の提 出を受けた同委員会は,その内容を審査し,必要な調整を行って当該標 準地の1平方メートル当たりの正常な価格を判定している。 (2)不動産取引価格情報の提供について 不動産市場の透明化,取引の円滑化・活性化等を図るため,国土交通 省においては,規制改革推進のための3か年計画(平成16年3月閣議 決定)等に基づき,不動産取引価格情報(以下「取引価格情報」とい う。)の提供を行っている。取引価格情報は,平成17年度から三大都 市圏の政令指定都市を中心に調査に着手,平成18年4月より国土交通 省のインターネットを通じて調査結果の公表を開始した。平成19年度 からは,地価公示対象区域と同等まで調査対象区域を拡大し,土地情報 総合システムとして,全国の不動産取引価格の調査結果を公開している。 取引価格情報は,法務省より不動産の取引に係る登記情報の提供を受 け,取引当事者(買主)に対して取引価格等に関する調査を行うことで 収集している。調査によって得られた情報は,利用者の使い勝手を考慮 しつつも,個別の物件が容易に特定できないよう配慮した上で,取引さ れた不動産の種類(住宅地,工業地,商業地等)及び内容別(更地,土 地・建物一体の取引,マンション等)に,住所(大字又は町名まで), 取引価格,面積,建物の構造,最寄り駅からの所要時間等の情報を四半 期単位ごとに取りまとめ,平成19年10月から現在の提供方法により 公開しているものである。 2 本件対象文書について 本件対象文書は,大阪府阪南市の特定地番の住宅地の標準地に係る平成 17年ないし同20年の鑑定評価書で,それぞれ鑑定評価の総括的な事項

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を記載している部分(1頁目)と試算価格の算定の詳細な内訳を記載して いる部分(2及び3頁目)から構成されているものである。 本件対象文書2頁目には,「3.試算価格算定内訳」のうち,「(1) 比準価格算定内訳」について,取引事例比較法による試算価格(比準価 格)の算定内訳等が記載されている。ここで,取引事例比較法とは,多数 の取引事例を収集して適切な事例の選択を行い,これらに係る取引に応じ て事情補正,時点修正を行い,かつ,地域要因の比較及び個別的要因の比 較にて求められた価格を比較考量し,対象不動産の試算価格を求める手法 であり,これにより求めた試算価格を「比準価格」という。 比準価格とは,鑑定評価員が,標準地近傍での取引事例の中から標準地 の鑑定評価額を算出するのに適した取引事例を厳選した上で所要の補正を 施し算出し,地価公示における鑑定評価額を決定する上で中核を成すもの であり,取引事例の収集状況いかんが鑑定評価額の精度を左右するといっ ても過言ではない。 比準価格算定内訳には,不動産鑑定士が標準地の鑑定評価額を算出する ために不動産鑑定評価の方法の一つである取引事例比較法により,5つの 事例(取引事例地)に係る情報(当該事例地の場所,取引の行われた年月 日,地積,取引価格,取引事例地の実際の取引価格から試算価格である比 準価格を導き出すために行った各種補正の数値,取引事例地の状況等)か ら試算価格である比準価格を算出したことを示す情報が記載されている。 比準価格算定内訳のうち「所在及び地番並びに「住居表示」等」には取 引事例地の所在・地番・住居表示が,「主要交通施設の状況」には取引事 例地の最寄り駅の駅名,駅から標準地までの距離(50m未満の場合は 「近接」と表示),最寄り駅からの方角(8方位にて表示)が,それぞれ 記載されている。 なお,この外に「地積」,「接面道路の状況」,「法令上の規制等」, 「取引価格(1平方メートル当たり)」,「取引時点」,「月率変動率」, 「時点修正」,「地域要因の比較」,「地域要因の比較の内訳」,「比準 価格決定の理由」等が記載されている。 3 原処分の妥当性について 諮問に当たって,異議申立人が開示を求めている部分について,諮問庁 が検証した結果は以下のとおりである。 (1)「所在及び地番並びに「住居表示」等」欄の不開示情報の妥当性につ いて 原処分では,比準価格算定内訳の取引事例地の市名を除く所在・地番 及び住居表示を不開示としている。 ア 法5条1号該当性について

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当該欄には,比準価格算定内訳の取引事例地の所在・地番及び住居 表示が記載されており,これは何人でも閲覧ができる不動産登記簿や 市販の住宅地図等と照合することにより,当該取引事例地の所有者又 は取引当事者が明らかとなることから,それぞれの取引事例地ごとに, 取引事例地の所有者又は取引当事者が個人である場合については,法 5条1号の個人に関する情報であって,特定の個人を識別することが できる情報に該当する。鑑定評価員が標準地の鑑定評価額を算定する に当たって,どの取引事例地を使用したかについては法令の規定又は 慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報である とは言えず,同号ただし書イからハまでに該当しない。 よって,法5条1号に該当するとして不開示とした原処分は妥当で あると考える。 なお,上記の判断は,地価公示鑑定評価書に関する内閣府情報公開 審査会の答申(平成15年度(行情)第590号及び第591号)を 踏まえたものである。 イ 法5条2号イ該当性について 本件対象文書の比準価格算定内訳に記載されている取引事例地で法 人が所有者又は取引当事者であるものについては,法5条2号の法人 に関する情報であり,個人の場合と同様,これが公にされることとな ると,不動産登記簿や住宅地図等と照合することにより,その所有者 や取引当事者である法人が特定されることとなる。そして,通常法人 にとっては,個別の土地取引の状況は企業経営上の方針又は戦略に関 する情報として,競争相手等に対して秘匿しているのが一般的である ことから,上記部分が明らかとなると,これにより,取引事例地に係 る土地の取引を行った法人が特定されることから,当該法人の正当な 利益を害するおそれがあると認められ,法5条2号イに該当し,不開 示とすることが妥当であると考える。 なお,上記の判断は,前述の地価公示鑑定評価書に関する内閣府情 報公開審査会の答申を踏まえたものである。 ウ 法5条6号該当性について 本件対象文書には,取引事例地の地積及び取引時点が極めて詳細か つ具体的に記載され,当該情報は原処分において開示していることか ら,異議申立人の主張する所在を開示することにより,当該地区にお ける取引が行われた土地の広さ等は一般人でもおおよそ認識し得るも のであり,さらに,それらの情報から通常の人が一般に閲覧又は入手 できる不動産登記簿や住宅地図などと照合することにより,取引事例 地がより容易に推測されるおそれがある。

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地価公示における標準地の鑑定評価のための取引事例は,不動産鑑 定士が取引当事者等に対するアンケート調査により被調査者の任意の 協力を得て収集する情報(平成17年度から国土交通省土地鑑定委員 会委員長名で,一括してアンケートを行っている)であり,そこで収 集される情報は,取引事例者にとっては通常他人に知られたくない土 地取引という私的な契約に関するものを,物件名や個人名を特定でき ない形で情報提供する旨を約束の上,任意に提供してもらうものであ る。 したがって,仮に,以上のような取引事例地の関係者等が推測され るような情報が公にされることとなれば,今後アンケートに協力する 者が得られなくなるなどして取引事例の収集に支障を来すおそれがあ り,そうなれば,地価公示の標準地の鑑定評価の際の重要な情報の入 手が困難となり,地価公示に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすお それがあることから,法5条6号柱書きに該当し,不開示とすること が妥当であると考える。 (2)「主要交通施設の状況」欄の法5条6号該当性について 当該不開示部分には,取引事例地の最寄り駅の駅名,駅からの方角 (8方位にて表示),及び駅からの距離が記載されているところ,さら に,本件対象文書には,取引事例地の地積及び取引時点が極めて詳細か つ具体的に開示されていることから,当該情報を公にすることにより, これらの情報に基づき,一般に容易に閲覧又は入手できる不動産登記簿 や住宅地図,都市計画図等から取引事例地が推測されるおそれがある。 仮に,以上のような当該取引事例地の関係者等が推測されるような情 報が公にされることとなれば,上記(1)ウと同様,今後アンケートに 協力する者が得られなくなるなどして取引事例の収集に支障を来すおそ れがあり,そうなれば,地価公示の標準地の鑑定評価の際の重要な情報 の入手が困難となり,地価公示に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼす おそれがあることから,法5条6号柱書きに該当し,不開示とすること が妥当であると考える。 なお,上記の判断は,前述の地価公示鑑定評価書に関する内閣府情報 公開審査会の答申を踏まえたものである。 (3)異議申立人の主張について 異議申立人は,国土交通省のウェブサイト(土地総合情報システム) には,鑑定評価書で使用している取引事例と同一の手法で入手した情報 と思われる情報が掲載されていることから,鑑定評価書においても同等 の情報は開示すべきである旨を主張するが,取引価格情報は,その所在 をある程度の地域まで情報提供しなければ,その目的を達しないことか

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ら,住所(地区・大字まで)及び最寄り駅からの所要時間を含めて公開 しているところである。しかしながら,これらの情報は,個人情報保護 の観点から,個別の物件が容易に特定できないように配慮した上で公開 されることを前提に取引当事者から取引価格情報を収集しているため, 所在以外の部分では,取引時期を四半期単位で表示,取引価格(平方メ ートル単価)は物件の特定を避けるため上位3桁目を四捨五入して表示, 面積は200平方メートル未満は5平方メートル刻み,200平方メー トル以上は上位3桁目を四捨五入して表示,鉄道との近接状況について は鉄道駅名及び当該地から鉄道駅までの時間距離(分)を,30分未満 は分単位,30分以上1時間未満,1時間以上1時間30分未満などに 区分して表示するなどして,調査によって得られた情報を個別の物件が 容易に特定できないよう配慮し加工した上で公表している。 一方,地価公示鑑定評価書の比準価格算定内訳においては,「所在及 び地番並びに「住居表示」等」,「主要交通施設の状況」,「地積」, 「接面道路の状況」,「法令上の規制等」,「取引価格」,「取引時 点」,「月率変動率」,「時点修正」,「地域要因の比較」及び「比準 価格決定の理由」がそれぞれ極めて詳細かつ具体的な当該取引事例地の 存する地区に関する情報が記載されているが,物件が特定できない範囲 で開示・不開示の判断を行った結果として,「所在及び地番並びに「住 居表示」等」の市名以外の所在・地番・住居表示及び「主要交通施設の 状況」を不開示としているものである。 よって,異議申立人は,個人情報を積極的に開示しておきながら,ま た同一の個人情報の一方を非公開にする理由がないと主張するが,上記 のとおり,いずれの制度も物件が特定できないようにそれぞれの公開す る趣旨を考慮の上,個人情報が守られる範囲で最大限の不動産取引に係 る情報を提供しているものであり,地価公示の鑑定評価書における開示 情報と取引価格情報の公表状況は異なっていることから,両者を同一の ものとして開示を求める異議申立人の主張は採用できない。 そもそも鑑定評価書の取引事例地に係るそれぞれの情報と取引価格情 報に係るそれぞれの情報は,制度により利用目的が異なり,そのために 必要な事項の開示部分と個人情報に係る特定されないようにした部分の 区分が異なっており,それぞれ全体として捉えるべきであり,取引事例 地の所在や主要交通施設の状況などある特定の事項のみで比較判断する ことはできないものと考える。 また,異議申立人は,大都市と地方,当時と現在で事情が大きく異な っていると主張するが,大都市と地方で事情が異なるという点について は,答申の際に対象となった大都市圏よりも取引の少ない地方ほど物件

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が特定しやすくなることから,当該情報の要保護性はより強まるものと 考え,当時と現在で事情が異なるという点については,前述の答申後に 取引価格情報の公表が始まったものを指すものと思われるが,取引価格 情報は,提供される情報は異なるものの,鑑定評価書の開示決定と同じ く個人情報の保護を前提としていることは前述のとおりであり,鑑定評 価書の開示の判断に際して,取引価格情報の公表に影響されるものでは ない。 4 結論 以上のことから,本件対象文書につき,法5条1号,2号イ及び6号に 該当することを理由にその一部を不開示とした決定のうち,異議申立人が 開示を求める比準価格算定内訳における取引事例地に係る市名を除く所在 等は同条1号又は2号イ及び同条6号柱書きに該当し,比準価格算定内訳 における取引事例地に係る主要交通施設の状況は同条6号柱書きに該当す るため,不開示を維持することが妥当である。 第4 調査審議の経過 当審査会は,本件諮問事件について,以下のとおり,調査審議を行った。 ① 平成20年9月24日 諮問の受理 ② 同日 諮問庁から理由説明書を収受 ③ 同年10月27日 異議申立人から意見書を収受 ④ 平成21年2月27日 本件対象文書の見分及び審議 ⑤ 同年3月27日 審議 第5 審査会の判断の理由 1 本件対象文書について 本件対象文書は,平成17年ないし同20年の特定の標準地番号の鑑定 評価書である。 本件対象文書は,それぞれ鑑定評価の総括的な事項を記載している部分 (1頁目)と試算価格の算定の詳細な内訳を記載している部分(2及び3 頁目)から構成されている。 処分庁は,原処分において,鑑定評価員の自宅の住所については法5条 1号に該当し,鑑定評価員の印影については法5条2号イに該当し,取引 事例に係る「所在及び地番並びに「住居表示」等」については法5条1号 及び2号イに該当し,取引事例に係る「主要交通施設の状況」及び「比準 価格決定の理由」のうち特定の取引事例地の所在を示す記述については法 5条6号に該当するとして不開示としている。 これに対して異議申立人は,取引事例に係る「所在及び地番並びに「住 居表示」等」欄については大字又は町名まで,取引事例に係る「主要交通 施設の状況」欄についてはすべて開示すべきであると主張するので,以下,

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本件対象文書を見分した結果に基づき,当該部分(以下「本件不開示部 分」という。)の不開示情報該当性について検討する。 2 不開示情報該当性について 本件対象文書の比準価格算定内訳には,不動産鑑定士が標準地の鑑定評 価額を算出するために不動産鑑定評価の方法の一つである取引事例比較法 により,五つの事例(取引事例地)に係る情報(当該事例地の地番,取引 時点,地積,画地の形状,接面道路の状況,主要交通施設の状況,法令上 の規制等,取引価格,取引事例地の実際の取引価格から比準価格を導き出 すために行った各種補正の数値等)から試算価格である比準価格を算定し たことを示す情報が記載されていることが認められる。 (1)取引事例地の「所在及び地番並びに「住居表示」等」欄について ア 諮問庁は,取引事例地の所在,地番及び住居表示に関する情報は, 取引事例地の所有者又は取引当事者が個人である場合には,当該個人 に関する情報であって,特定の個人を識別することができる情報であ り,法5条1号の不開示情報に該当し,同号ただし書イないしハに該 当しない旨説明する。 当審査会において見分したところ,「所在及び地番並びに「住居表 示」等」の欄には,取引事例地の所在,地番及び住居表示が記載さ れており,これと何人でも閲覧ができる不動産登記記録や市販の住 宅地図等とを照合することにより,当該取引事例地の所有者又は取 引当事者が明らかとなることから,当該情報は,当該取引事例地の 所有者又は取引当事者が個人である場合については,それぞれの取 引事例地ごとに,全体として当該各所有者等に係る法5条1号本文 前段の個人に関する情報であって,特定の個人を識別することがで きるものに該当すると認められる。また,法令の規定又は慣行とし て公にされ,又は公にすることが予定されている情報であるとは言 えないため,同号ただし書イに該当せず,同号ロ及びハに該当する 事情も存しない。 次に,法6条2項による部分開示の可否を検討すると,「所在及び 地番並びに「住居表示」等」欄の記載部分は,特定の個人を識別す ることができることとなる記述等の部分に該当すると認められるの で,部分開示の余地はない。 イ 諮問庁は,取引事例地の所在,地番及び住居表示に関する情報は, 取引事例地の所有者又は取引当事者が法人である場合には,当該法人 に関する情報であり,これを開示することにより,当該法人の競争上 の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとして,法5条2号イ の不開示情報に該当する旨説明する。

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当審査会において見分したところ,取引事例地で法人が所有者又は 取引当事者であるものについては,上記アの個人の場合と同様,そ こに記載されている取引事例地の所在,地番及び住居表示に関する 情報は,これと何人でも閲覧ができる不動産登記記録や市販の住宅 地図等とを照合することにより,その所有者や取引当事者である法 人の特定につながる情報と認められる。そして,通常法人にとって は,個別の土地取引の状況は企業経営上の方針又は戦略に関する情 報として,競争相手等に対して秘匿しているのが一般的であり,こ れを公にすれば,当該法人の正当な利益を害するおそれがあると認 められることから,法5条2号イの不開示情報に該当する。 ウ 異議申立人は,国土交通省のウェブサイト(土地総合情報システ ム)の取引価格情報検索サイトにおいて住所(地区・大字まで)が公 開されていることから,取引事例地の所在,地番等については大字又 は町名まで開示すべきである旨主張する。 当審査会において当該検索サイトを確認したところ,不動産取引価 格情報において,取引事例地の大字又は町名,最寄駅の名称,距離, 面積,土地の形状,取引価格(総額)等が公にされていることが認 められる。そのため,本件対象文書の取引事例地の大字又は町名の 部分を開示すると,本件対象文書において既に開示されている地積, 画地の形状,取引価格等の情報と照合することにより,当該土地の 特定につながることになる。さらに,本件対象文書において取引事 例地の取引時点は既に開示されていることから,不動産登記記録等 と照合することにより取引当事者が特定されることとなるので,取 引事例地の大字又は町名の部分は,上記ア及びイと同様の理由によ り,法5条1号又は2号イの不開示情報に該当すると認められる。 エ なお,諮問庁は,取引事例地の市名を除く所在,地番及び住居表示 の部分は,法5条6号柱書きにも該当すると説明するが,上記のとお り同条1号又は2号イの不開示情報に該当すると認められるので,同 条6号について判断するまでもない。 (2)取引事例地の「主要交通施設の状況」欄について 諮問庁は,比準価格算定内訳の不開示部分については,不動産鑑定士 が取引当事者等に対するアンケート調査により被調査者の任意の協力を 得て収集している情報であり,これが公にされることとなると,取引事 例地の被調査者の信頼を著しく損ね,以後の協力を得ることが困難とな るため,鑑定評価の根幹をなす取引事例の収集に重大な支障を及ぼすこ ととなり,これにより地価公示の実施事務に重大な支障を来すおそれが あるとして,法5条6号柱書きに該当する旨説明する。

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地価公示における標準地の鑑定評価のための取引事例は,鑑定評価員 である不動産鑑定士が取引の当事者に個別に聞き取りをしたり,アンケ ートを行うなどにより収集されるものであり,そこで収集される情報は, 取引当事者にとっては通常他人に知られたくない土地取引という私的な 契約に関するものを任意で提供してもらうものであるため,当該取引事 例地の関係者等に推測されるような情報が公にされることとなれば,今 後聞き取り等に協力する者が得られなくなるなどして取引事例の収集に 支障を来すおそれがあると認められる。そうなれば,地価公示の標準地 の鑑定評価の際の重要な情報が入手できなくなることにより,地価公示 に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると言える。 当審査会において本件対象文書を見分したところ,このうち,取引事 例地の主要交通施設の状況の記載部分には,取引事例地の特定のきっか けとなるような極めて詳細かつ具体的な当該取引事例地に関連する情報 が記述されていることが認められる。そして,これが明らかにされるこ ととなると,そこにおける記載内容と本件において既に開示されている 取引事例地の取引時点,地積,画地の形状,取引価格等から,当該取引 事例地が推測されるおそれがあることは否定できないところであり,こ れにより,上に述べたような支障が生じるおそれがあると認められるこ とから,法5条6号柱書きの不開示情報に該当し,不開示が妥当である。 3 異議申立人の主張について 異議申立人は地価公示制度の公益性及び国民,納税者等の利益を守るた めに,法7条に基づき裁量的開示をすべきである旨主張するが,本件不開 示部分の不開示情報該当性は,上記2で判断したとおりであり,これを公 にすることに,当該部分を不開示とすることにより保護される利益を上回 る公益上の必要性があるとは認められないので,法7条による裁量的開示 をしなかった処分庁の判断に,裁量権の逸脱又は濫用があるとは認められ ない。 異議申立人は,その他種々主張するが,当審査会の上記判断を左右する ものではない。 4 本件一部開示決定の妥当性について 以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号,2号イ 及び6号に該当するとして不開示とした決定については,異議申立人が開 示すべきとしている部分は,同条1号,2号イ及び6号に該当すると認め られるので,不開示としたことは妥当であると判断した。 (第2部会) 委員 寳金敏明,委員 秋田瑞枝,委員 橋本博之

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