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福島

進路

2009.9 №325

2

【しんろ】

中高一貫校について考える

進学プラザグループ 株式会社仙台進学プラザ 代表取締役

阿 部 孝 治

4

【マンスリーレポート】

県内経済は、生産活動で下げ止まりの動きがみられるものの、引続

き低水準で推移しており、雇用情勢は悪化が続き、個人消費も一部

に動きはみられるが総じて低調であり、厳しい状況が続いている。

12

【調 査】

福島県内における地価動向について

21

【調 査】

既存産業の新結合による経済活性化の可能性を探る

∼産業の高次化が導く新たな産業振興モデルの創出に向けて∼

31

【講 演】

不況を乗り越える経営者とは

∼ 松下幸之助É本田宗一郎に学ぶ“実践的人間力”∼

エディフィストラーニング株式会社 講師

大 西

38

【トピックス】

平成20年産の「すももの結果樹面積および収穫量

É出荷量」の状況

― 福島県の結果樹面積および収穫量

É出荷量は、いずれも全国第5位 ―

40

【私の研究】

知的なウェブ検索手法

公立大学法人会津大学 コンピュータ理工学部 情報システム学部門 上級准教授

Vitaly Klyuev

45

【企業訪問】

株式会社 フクイチ

∼ 発酵食文化を担いながら、人々の健康に貢献する企業 ∼

50

【美を訪ねて】

第82回 ヘレン

Éフランケンサーラー

《青い闘技場》

福島県立美術館長

酒 井 哲 朗

56

【福島の祭り】

第35回 白河の提灯祭り

元福島県立博物館 学芸課長

懸 田 弘 訓

59

【企業法務セミナー】

連帯保証人の責任について

渡辺健寿法律事務所 弁護士

渡 辺 健 寿

61

【税務É財務相談Q&A】

中小企業オーナーの事業承継対策が大きく変わります!

小林光男税理士事務所 税理士

小 林 由 拓

64

地方経済天気図

67

主要経済指標

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中高一貫校について考える

阿部 孝治

(あべ こうじ) 進学プラザグループ 株式会社仙台進学プラザ代表取締役

2

福島の進路 2009.9 今、塾経営者の間で、「中高一貫校」が大きな 話題となっています。 中高一貫校とは、中学校と高校の合計6年間を、 一つの学校で、一貫した教育を行う学校のことを いいます。5年間で中高の学習内容を終わらせ、 最後の1年間は大学受験に特化した学習を行うと いうこともできるため、難関大学への進学実績が 高いのが特徴です。開成、灘、鹿児島ラサール、 筑波大付属駒場など、東大É京大に多数合格者を 出しているのは、私立や国立の中高一貫校です。 文部科学省は、中高一貫校を全国に500校つく ることを目標にしており、既に約半数は開校しま した。ただし、今話題となっているのは、私立や 国立ではなく、公立の中高一貫校です。特にその 地域のトップクラスの高校が、中高一貫校を併設 するケースが注目されています。例えば、千葉県 の公立トップ高校である県立千葉高が、2008年度 に県立千葉中を開校しましたが、その志願倍率は 27倍にもなりました。 宮城県では、県内の有数の進学校である宮城二 女高が、2010年度に男女共学化し「仙台二華中」 という中高一貫校を併設する予定です。志願倍率 は20倍ぐらいになるのではないかと予想されてい ます。人気の理由は、大学受験に有利ということ に加えて授業料が安いことです。特に前期の3年 間は公立の中学校と同様に入学金や授業料はかか りません。 20倍にもなる人気とあれば、当然、その受検対 策(注 公立中高一貫校への入学に当たっては試験でなく 適性検査を行うため「受験」ではなく「受検」という漢 字を用います)をしてほしいというニーズが発生し ます。それを担うのが他ならぬ学習塾です。私も その一員として、たくさんの小学生É保護者の方 のニーズに応えていきたいと考えています。 私は、1985年4月、宮城県塩釜市において学習 塾「仙台進学プラザ」を創業しました。以来、 「めんどうみ主義」を経営理念に経営を行ってき ました。「めんどうみ主義」といえば聞こえは良 いのですが、要するに、創業時、指導ノウハウが なかったため、その分徹底的に勉強の面倒を見て あげたというだけのことです。 また、創業当初は、学力が低い生徒ばかり塾に来 ていたので、徹底的に勉強の面倒を見ざるを得ま せんでした。昼も夜もなく、いただいた授業料分を はるかに超える時間を教え、車での送迎もしました       。 夏休みには勉強を教えるだけでなく、塾が休みの 時には子供たちを海水浴にも連れて行きました。 教えた生徒たちは、何とかギリギリの高校に合

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福島の進路 2009.9

格し、喜んでくれました。しかし、「○○高校○ 名合格」などと広告に載せられる高校はほとんど ありません。合格した生徒が新たな生徒を連れて くることもありません。そして翌年はまたゼロか らのスタートでした。 こうした悪戦苦闘を繰り返して10年ぐらい経っ た時、「個別指導」という指導形態に巡り合いまし た。個別指導とは、先生1人に対して生徒が2∼ 3名で授業を行う指導形態です。集団指導では、 生徒のレベルを合わせて授業を行う必要がありま すが、個別指導では、先生が一人ひとりの生徒に 合わせることが可能です。「オーダーメイドカリ キュラム」と呼んでいます。もし先生が気に入ら ない場合、先生を取り替えます。生徒の学力は、 さすがに今では、創業当初のように学力が低い生 徒ばかり来るということはなくなりましたが、上 位層も多くはありません。中間層が中心です。 個別指導を始めてから、生徒数がみるみる増え ていきました。創業後10年経って1,000人しかい なかった生徒数が、個別指導を始めた途端、毎年 1,000人ずつ増えるようになりました。そして、現 在では、個別指導、集団指導に加え、「東進衛星予 備校」という映像を使った大学受験のための予備 校の運営も行っています。生徒数は、グループ全 体で14,000人を数えます。営業エリアも、本社の ある仙台市をはじめ、宮城県É福島県É山形県É 青森県、関連会社で茨城県É千葉県É滋賀県É福 井県と、今では多くの県にまたがっています。 しかし、当社をはじめ、学習塾業界は、今大き な岐路に立っています。それは、従来まで、多く の学習塾がターゲットとしていた「学力中間層」 が減少し、そして塾離れを起こしていることです。 いわゆる「学力二極分化」といわれる現象です。 難関ブランド校を目指す層と、全く上昇志向をも たない層といった二極分化が進み、学力分布が、 従来までの「富士山型」から「M字型」へと変化 しているといわれています。「学力」と「塾に通 う生徒の比率」とは相関関係があり、上位層から 下位層へとなるに従って通塾率は低下します。 また、これまで特に東北地方においては、入試 といえばまず公立高校入試であり、学習塾はどこ も、地元の上位の公立高校に合格させることに血 まなこになっていました。しかし、少子化によっ て高校受験そのものがやさしくなっていることで、 これまでのように高校受験のために塾に通うとい う動機が薄くなっています。 こうした中での、中高一貫校です。私は、「仙 台で中高一貫校が開校する」という話を聞いた時、 はじめ正直なところあまり関心がありませんでし た。それは、「一部のものすごく頭の良い子を超 難関校に合格させる」ということが自分の性に合 わなかったからです。頭の良い子は放っておいて も勉強するし、合格するものです。それは塾が優 れているのではなくて子供が優れているのだと考 えていました。 しかし、実際に小学生と接してみて考えが変わ りました。小学生は、動機付けと方法を示してや れば驚くほど勉強するものです。それから「是非 中高一貫校対策をやってほしい」と親が熱心に後 押ししてくれました。こうして中高一貫校対策を 開始して約2年になります。来春はいよいよ仙台 二華中の第1回の入試があります。 私は、中高一貫校受検をお手伝いすることで、 「できるべくして勉強ができるようになる子供」 を数多く育てたいと思っています。勉強の習慣付 けは早い方が良いと思います。中学生になってか らでは遅すぎます。 そしてもっと大きな夢もあります。将来、仙台 進学プラザから、様々な分野でこの国をリードす るような人が出てくれれば……。一心不乱に勉強 する子供たちの横顔を見ながら、ふとそんな想い にふける今日この頃です。

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マンスリーレポート マンスリーレポート

県内経済は、生産活動で下げ止まりの動きがみられ

るものの、引続き低水準で推移しており、雇用情勢

は悪化が続き、個人消費も一部に動きはみられるが

総じて低調であり、厳しい状況が続いている。

1.平成21年6月の県内経済

消費動向をみると、大型小売店販売額(全店舗ベース)は、飲食料品をはじめ衣料品、身の回り品 など軒並み低調に推移し、2ヵ月ぶりに前年を下回った。乗用車新車販売は、大型、中小型乗用車、 軽乗用車とも前年割れが続いており、合計では11ヵ月連続で前年を下回った。生産活動は、前年を下 回る動きが続くなか、在庫調整進展による下げ止まりの動きがみられる。投資動向をみると、公共工 事前払保証取扱は、件数および請負金額とも前年を上回った。建築着工(民間É非居住用)は、棟数、 床面積、工事費予定額とも前年を下回った。新設住宅着工戸数は、持家および分譲住宅が前年を上 回ったものの、貸家が前年を下回り、合計では8ヵ月連続で前年を下回った。倒産状況は、負債金額 10百万円以上の倒産件数および負債総額とも前年を下回った。雇用情勢をみると、新規求人倍率、有 効求人倍率(原指数)とも、20ヵ月連続で前年を下回るなど厳しい状況が続いている。 〔消費動向・弱い動き〕 大型小売店販売額(全店舗ベース)は、天候不順や所得環境の悪化などから、飲食料品をはじめ衣料 品や身の回り品など軒並み低調に推移し、合計では2ヵ月ぶりに前年を下回った。乗用車新車販売は、 中小型車の一部(1501∼2000㏄)で前年を上回ったものの、総じて大型車、中小型車、軽自動車とも前 年割れが続いており、合計では11ヵ月連続で前年を下回った。消費者物価指数は、前月比0.2ポイ ント下降し、 2ヵ月連続で前月を下回った。また前年同月比では2.3ポイ ント下降し、5ヵ月連続で前年を下回った。個別 企業の販売動向をみると、家電量販店は、エコポイント効果から薄型テレビ、冷蔵庫が大きく伸びたほ か、 DVD レコーダー、携帯電話、洗濯機なども堅調、前年を上回り推移した。ホームセンターは、家 庭用品、日用品、園芸植物、ペット関連などが好調、前年を上回り推移した。旅行取扱額は、国内É海 外の個人ならびに団体が、景気後退や新型インフルエンザの影響などから低調に推移した。 〔投資動向・減少基調〕 6月の公共工事前払保証取扱は、件数は4ヵ月連続で、請負金額は2ヵ月連続でそれぞれ前年を上 回った。5月の建築着工(民間É非居住用)は、棟数、床面積、工事費予定額ともそれぞれ前年を下 回った。6月の新設住宅着工戸数は、持家および分譲住宅が前年を上回ったものの、貸家が前年を下回 り、全体では8ヵ月連続で前年を下回った。 〔生産活動・減少のなかに下げ止まりの動き〕 5月の鉱工業生産指数(季節調整済指数)は、在庫調整進展による下げ止まり広がりの動きを受け、 76.1(前月比+5.3%)と2ヵ月ぶりに前月を上回った。一方、原指数では68.7(前年同月比△31.1%) となり、10ヵ月連続で前年を下回った。6月の大口電力販売量は、対前年比ベースでは7ヵ月連続で二 桁マイナスが続くなど依然厳しい水準にあるが、下げ止まりの動きを受け、3月以降前月を上回る動き が続いており明るさも窺える。 〔企業倒産・横ばい〕 負債金額10百万円以上の企業倒産状況は、倒産件数が2ヵ月連続で前年を下回り、負債総額も2ヵ月 ぶりに前年を下回った。また、福島県信用保証協会の代位弁済状況は、件数、金額がそれぞれ2ヵ月ぶ りに前年を上回った。 〔雇用動向・悪化〕 新規求人倍率、有効求人倍率(原数値)は、20ヵ月連続で前年を下回った。また、季節調整値でみた 新規求人倍率は、0.70倍(前月比△0.03ポイ ント)となった。有効求人倍率は0.34倍(同△0.01ポイント)で過去最 低水準を更新するなど、県内雇用情勢は厳しい状況が続いている。

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福島の進路 2009.9

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県内経済動向の概要 前 年 同 月 比 前 月 比 項 目 4 月 5 月 6 月 4 月 5 月 6 月 大型小売店販売額(全店舗) 消費動向 乗用車新車登録台数 消費者物価指数(総合) 公共工事前払保証取扱保証請負金額 投資動向 建設着工棟数(民間É非居住用) − − 新設住宅着工戸数 鉱工業生産指数(総合) 注1 − − 生産活動 大口電力販売量 企 業 倒 産 件 数 注2 企業倒産 企 業 倒 産 金 額 注2 預 金 − − 金融動向 貸 出 金 − − 有効求人倍率(パート含む)注3 雇用動向 新規求人倍率(パート含む)注3 良化 良化傾向にあるがほぼ横這い 悪化傾向にあるがほぼ横這い 悪化 注1:前月比は季節調整値、前年同月比は原指数。 注2:負債総額10百万円以上。 注3:前月比は季節調整値。前年同月比は原指数。

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福島の進路 2009.9

2.県内経済動向

―― 消 費 動 向 ――

−20 −10 10 20 合計 (%) 福島県大型小売店販売額(前年同月比伸び率) (全店舗) 9 10 5 6 11 12 2 1 3 4 3 4 5 6 12 1 2 7 8 19年 20年 21年 百貨店 スーパー等 (資料:経済産業省) (台) 福島県乗用車新車登録台数推移 (%) 20,000 15,000 10,000 5,000 30 20 10 −10 −20 −30 5 6 7 8 9 1011 12 1 2 3 4 5 6 20年 21年 前年同月比(右目盛) 台数 (資料:福島県自動車販売店協会) 大型小売店 6月の県内大型小売店の販売額は、 天候不順や所得環境の悪化などから、飲食料品を はじめ衣料品や身の回り品など軒並み低調に推移 し、全店舗ベースで178億26百万円(前年同月比 △3.4%)と2ヵ月ぶりに前年を下回った。一方、 既存店ベースでは同5.1%減と7ヵ月連続で前年 を下回った。(注:既存店とは調査月において当月と前 年同月でともに存在した事業所の数値。) 業態別に内訳をみると百貨店は、衣料品が主力 の婦人服をはじめ全般的に振るわなかったほか、 身の回り品、飲食料品も低調に推移し、全店舗 ベースで26億38百万円(同△17.0%)と、既存店 ベース(同△13.3%)とともに22ヵ月連続で前年 を下回った。 スーパーは、衣料品や身の回り品、家庭用品が 低調だったことに加え、天候不順から主力の飲食 料品の売上が伸び悩み、全店舗ベースで151億88 百万円(同△0.6%)と4ヵ月ぶりに前年を下回っ た。また、既存店ベースでは、同3.4%減と2ヵ 月ぶりに前年を下回った。 乗用車販売 6月の乗用車新車登録台数(軽乗用 車含)は、合計で5,200台(前年同月比△9.8%)と なり、8ヵ月ぶりに前年比減少幅が一桁台となっ たものの、11ヵ月連続で前年を下回った。車種別 でみると、大型乗用車が448台(同△40.5%)、中

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福島の進路 2009.9 小型乗用車が2,851台(同△0.6%)と、それぞれ 11ヵ月連続、軽乗用車が1,901台(同△11.3%) と7ヵ月連続で、いずれも前年を下回った。なお、 中小型車の一部(1501∼2000㏄)では、ハイブリッ ドカーを中心に販売が好調に推移し、前年同月を 上回るなど明るい動きもみられた。 6月の乗用車中古車販売台数(軽自動車は名義 変更を含む)は、合計で8,586台(前年同月比△8.6 %)と9ヵ月連続で前年を下回った。車種別にみ ると大型乗用車は2,502台(同△8.6%)と、5ヵ 月連続で前年を下回った。また、中小型乗用車は 3,244台(同△8.5%)、軽乗用車は2,840台(同△8.7 %)で、いずれも9ヵ月連続で前年を下回った。 消費者物価指数 6月の消費者物価指数は、総合 指数(福島市、平成17年=100)でみると、100.9 (前月比△0.2ポイ ント)となり、2ヵ月連続で前月を下 回った。前年同月比では2.3ポイ ント下がり、5ヵ月連 続で下降した。 費目別の指数動向をみると、「交通É通信」が 98.6(前月比+0.7ポイ ント)で唯一前月比上昇した。 一方、「被服及び履物」が103.9(同△0.9ポイ ント)、 「家具É家事用品」が93.9(同△0.9ポイ ント)、「保健医 療」が97.9(同△0.6ポイ ント)、「教養娯楽」が95.2 (同△0.6ポイ ント)、「食料」が104.8(同△0.5ポイント)、「光 熱É水道」が104.3(同△0.3ポイ ント)、「住居」が99.2 (同△0.1ポイ ント)など8つの費目で前月比下降した。 また、「教育」は103.7と2ヵ月連続で前月と同じ であった。 (台) 福島県中古車販売台数推移 (%) 20,000 15,000 10,000 5,000 20 10 −10 −20 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 20年 21年 前年同月比(右目盛) 台数 (注)軽自動車は名義変更台数含む 資料:›日本自動車販売協会連合会 福島支部 ›全国軽自動車販売協会連合会 福島県消費者物価指数 (総合指数 平成17年=100) 9 10 5 6 11 12 1 2 3 3 4 8 4 5 6 1 2 7 21年 20年 福島県 全国 104 103 102 101 100 99 98 (資料:総務省統計局) (千台) 福島県高速道路出入交通量 (%) 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 7 5 6 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 21年 20年 -8 -6 -4 -2 0 2 4 6 8 前年同月比(右目盛) 交通量合計 −2 −4 −6 −8 −10 (資料:東日本高速道路㈱東北支社) 家電量販店 6月の売上状況は、エコポイント効 果から薄型テレビ、冷蔵庫が大きく伸びたほか、 DVD レコーダー、携帯電話、洗濯機なども好調 に推移し、パソコン、エアコンなどは振るわなかっ たものの、全体では前年を上回り推移した。 ホームセンター 6月の売上は、家庭用品、日用 品、インテリア用品、園芸植物、ペット関連など が好調に推移し、全体では前年を上回る水準で推 移した。 旅行 6月の旅行取扱額実績は、景気後退や新型 インフルエンザの影響などから、国内É海外の個 人ならびに団体はいずれも大幅に低迷し推移した。 高速道路 6月の県内自動車道出入台数は、「ETC 割引制度」の効果などを背景として、3,548,296 台(前年同月比+7.0%)と3ヵ月連続で前年を 上回った。路線別にみると、東北自動車道(白河

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福島の進路 2009.9

IC∼国見 IC)は2,137,085台(同+5.4%)と5ヵ 月ぶりに増加、磐越自動車道(いわき三和 IC∼ 郡山東 IC)は235,473台(同+3.4%)と3ヵ月 連続で前年を上回った。磐越自動車道(磐梯熱海 IC∼西会津 IC)は513,062台(同+14.8%)と4ヵ 月連続で前年を上回った。常磐自動車道(いわき 勿来 IC∼常磐富岡 IC)は662,676台(同+7.8%) と3ヵ月連続で前年を上回った。 福島空港 6月の福島空港国内定期路線の利用状 況は、平成21年1月の日本航空の撤退に伴う大阪 (関空発着)É沖縄両路線の廃便により、17,527人 (前年同月比△46.7%)と前年を大きく下回った。 路線別にみると、札幌便は9,377人(同△15.7%) と8ヵ月連続、大阪便は8,150人(同△54.0%) と18ヵ月連続でそれぞれ前年を下回った。一方、 国際定期路線の利用状況は、3,161人(同△37.1 %)と8ヵ月連続で前年を下回った。路線別にみ るとソウル便は2,158人、上海便は1,003人となっ ている。 (人) 福島空港国内定期路線の利用客数推移 (%) 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 10 −10 −20 −30 −40 −50 −60 −70 9 10 5 6 11 12 1 2 3 4 5 6 1 2 3 4 7 8 20年 21年 前年同月比(右目盛) 利用客数 (資料:福島県商工労働部空港交流課) -60 -50 -40 -30 -20 -10 0 10 20 30 40 50 60 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 (百万円) 福島県公共工事請負金額(前払保証取扱)推移 (%) 21年 20年 30,000 20,000 10,000 60 50 40 30 20 10 0 −10 −20 −30 −40 −50 −60 前年同月比 (右目盛) 請負金額 (資料:東日本建設業保証㈱) 0 50 100 150 200 250 (棟) 福島県着工建築物推移(民間・非居住用) (%) 250 200 150 100 50 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 21年 20年 棟数前年同月比(右目盛) 棟数 550 450 350 250 150 50 −50 −150 床面積前年同月比(右目盛) (資料:国土交通省)

―― 投 資 動 向 ――

公共工事 6月の公共工事前払保証取扱は、件数 が686件(前年同月比+22.3%)と4ヵ月連続で 前年を上回った。請負金額は231億93百万円(同 +33.4%)で2ヵ月連続で前年を上回った。保証 金額は81億30百万円(同+18.4%)となり、3ヵ 月ぶりに前年を上回った。 なお、年度累計(2009年4月∼6月)では、件 数が前年同期比222件増加し、1,271件(前年同期 比+21.2%)、請負金額が同27億79百万円増加し、 481億67百万円(同+6.1%)、保証金額が93百万 円減少し、172億12百万円(同△0.5%)となって いる。 主な発注者別の請負金額は、国が前年比6億63 百万円増加し、23億6百万円(同+40.4%)となっ た。独立行政法人等(東日本高速道路㈱など)は同 35億91百万円増加し、43億52百万円(同+471.9 %)となった。県は同30億60百万円減少し、52億 33百万円(同△5.5%)となった。市町村は同8 億20百万円増加し、101億84百万円(同+8.8%) となった。 設備投資 5月の建築着工(民間É非居住用)は、 棟数が83棟(前年同月比△29.1%)と6ヵ月連続

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福島の進路 2009.9 で前年を下回った。床面積は20,525㎡(同△59.7 %)、工事費予定額は51億43百万円(同△25.6%) となり、それぞれ2ヵ月ぶりに前年を下回った。 6月の建築物確認件数(計画変更を除く)は、 745件(前年同月比△20.0%)と9ヵ月連続で前年 を下回った。建築物別にみると、1∼3号建物(一 定規模以上の建築物が対象)が145件(同△22.5 %)、4号建物(小規模な木造É非木造住宅などが 対象)が600件(同△19.4%)と、それぞれ9ヵ 月連続で前年を下回った。「構造計算適合性判定 合格件数」は14件と前月比8件増加し、3ヵ月ぶ りに前月を上回った。 建築物着工の先行指標である6月の建築物申請 件数は、780件(同△15.8%)と8ヵ月連続で前 年を下回った。建築物別にみると、1∼3号建物 は155件(同△11.4%)と2ヵ月ぶりに前年を下 回った。4号建物は625件(同△16.8%)と8ヵ 月連続で前年を下回った。「構造計算適合性判定 申請件数」は9件と、前月比2件減少し2ヵ月連 続で前月を下回った。 住宅建設 6月の県内新設住宅着工戸数は、921 戸(前年同月比△7.9%)と8ヵ月連続で前年を下 回った。主な利用関係別にみると、「持家」は608 戸(同+5.4%)と4ヵ月ぶりに前年を上回った。 「貸家」は272戸(同△27.5%)と2ヵ月ぶりに前 年を下回った。「分譲住宅」は41戸(同+46.4%) と4ヵ月ぶりに前年を上回った。分譲住宅のうち マンションの着工戸数は、3ヵ月連続でゼロと なっている。 5 6 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 (戸) 福島県新設住宅着工戸数推移 (%) 500 1,000 1,500 2,000 -80 −40 −80 40 80 前年同月比(右目盛) 着工戸数 参考:全国の前年同月比(右目盛) 20年 21年 (資料:国土交通省) 12 1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 8 9 10 11 福島県鉱工業生産指数(全国、東北との比較) (季調済 平成17年=100) 21年 20年 120 110 100 90 80 70 60 東北 福島県 全国 (資料:福島県企画調整部統計調査課) 1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 福島県業種別鉱工業生産指数の推移 (原指数前年比) 20年 25 10 −5 −20 −35 −50 −65 21年 鉄鋼 金属製品 非鉄金属 (%) (資料:福島県企画調整部統計調査課)

―― 生 産 活 動 ――

鉱工業生産指数 5月の鉱工業生産指数は、季節 調整済指数でみると76.1(前月比+5.3%)とな り、2ヵ月ぶりに前月を上回った。一方、原指数 は68.7(前年同月比△31.1%)となり、10ヵ月連 続で前年を下回った。 上昇および低下した主な業種別(季節調整済指 数)では、非鉄金属工業で66.1(前月比+58.9%)、 輸送機械工業で70.0(同+18.6%)、鉄鋼業で 49.4(同+17.1%)など13業種で上昇した。一方、 繊維工業で44.1(同△13.7%)、食料品Éたばこ 工業で72.4(同△6.3%)、プラスチック製品工業 で73.6(同△3.9%)など7業種で低下した。

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化学 6月の食品包装フィルム用合成樹脂やフッ 素樹脂、医薬品は堅調だったものの、金属代替プ ラスチック、炭素繊維などは前年を下回る水準で 推移した。酸化チタン(白色顔料、自動車用塗料 向け)の生産は、前年を下回る水準で推移した。 バリウム化合物(電子部品原料)の生産は、前年 並みの水準で推移した。 鉄鋼・金属 6月の伸銅品の生産は、自動車向け 端子材、半導体向け電子材がそれぞれ前年を下回 る水準で推移した。建機用鋳造品の生産は、前年 を大幅に下回った。車両用鋳造品は、新幹線、 JR 中央線É京浜東北線の更新需要および海外需 要に支えられ、安定して推移した。船舶用バルブ 部品は前年並み、陸上プラント用バルブ部品は、 前年をやや下回る水準で推移した。 輸送用機械 6月の自動車用鋳造品の生産は、海 外向けが低迷、前年を下回る水準で推移した。自 動車用オイルシールの生産は、ハイブリッドカー 向けが好調だったものの、合計では前年を下回り 推移した。カーナビÉカーオーディオの生産は、 在庫調整の動きが終息したものの、前年を下回る 水準で推移した。 1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 福島県業種別鉱工業生産指数の推移 (原指数前年比) 20年 55 30 −20 −45 −70 21年 精密機械 一般機械 輸送機械 (%) (資料:福島県企画調整部統計調査課) 1 2 3 4 5 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 福島県業種別鉱工業生産指数の推移 (原指数前年比) 20年 60 40 20 −20 −40 −60 21年 (%) 情報通信機械 電気機械 電子・デバイス (資料:福島県企画調整部統計調査課) 0 50000 100000 150000 (千ã) 福島県生コンクリート出荷実績 (%) 150 100 50 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 20年 21年 -30 -20 -10 0 10 前年同月比(右目盛) 出荷量 10 −10 −20 −30 (資料:福島県生コンクリート工業組合) 電気機械 6月の変圧器は好調だったものの、配 電盤、電熱炉、自動車モーターの生産は前年を下 回る水準で推移した。 情報通信機械 6月の携帯電話中継局用マイクロ 波通信機器の生産は、主力のインド向けが落ち込 み、前年を下回る水準で推移した。衛星通信機器 関連、FA 関連機器の生産は、前年並みの水準で 推移した。 電子部品・デバイス 6月の LSI(大規模集積回 路)の生産は、車載品で改善の動きがみられたも のの、主力の AVÉゲーム機É家電、産業機器を 始め、パソコンÉOA、通信向け、携帯電話向け など、総じて低調に推移し、前年を大きく下回る 水準となった。 精密機械 6月の医療用内視鏡の生産は前年を大 きく下回る水準で推移した。デジタル一眼レフカ メラ用レンズは、持ち直しつつあるものの、前年 を下回る水準で推移した。 紙・紙加工品 6月の段ボールの生産は、IT 製 品向けが振るわず、前年を下回る水準で推移した。 感熱紙、インクジェット紙の生産は堅調、ノー カーボン紙の生産は、前年を下回る水準で推移し

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福島の進路 2009.9 た。 窯業・土石 6月の生コンクリート出荷量は、全 体で97,025Á(前年同月比△12.4%)と3ヵ月連 続で前年を下回った。増加地区をみると、官公需 では、いわき地区でトンネル工事や団地造成工事、 県中地区で野球場改装工事などにより、民需では 相双地区で高速道路建設工事、会津地区で大手 メーカーによる住宅新築工事などにより、それぞ れ増加した。 (kl) 福島県清酒課税移出数量推移 (%) 4,000 3,000 2,000 1,000 20 10 −10 −20 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 21年 20年 前年同月比(右目盛) 課税移出数量 (資料:福島県酒造組合) 6 7 8 10 11 5 9 12 1 3 4 5 6 3 4 福島県大口電力使用量 20年 21年 (106 kw/h) (%) 700 650 600 550 500 450 400 前年同月比(右目盛) 販売量 35 25 15 −5 −15 −25 −35 (資料:東北電力福島支店) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 (億円) 福島県企業倒産(負債金額10百万以上)件数・金額推移 (件) 160 140 120 100 80 60 40 20 0 25 20 15 10 5 0 12 11 10 5 6 78 9 1 2 3 4 3 4 5 6 20年 21年 件数(右目盛) 金額 (資料:帝国データバンク福島支店) 清酒 6月の清酒移出数量は、1,240Å(前年同 月比△7.8%)と9ヵ月連続で前年を下回った。 タイプ別では、特定名称酒(吟醸酒É純米酒É本 醸造酒)が440Å(同△2.5%)と3ヵ月連続で前 年を下回った。一般酒(特定名称酒以外の酒)は、 801Å(同△10.5%)と9ヵ月連続で前年を下回っ た。 化合繊織物 6月のナイロンの生産はダウンジャ ケット(表地)向けを中心に、前年を下回る水準 で推移した。ポリエステルの生産も、紳士服、婦 人服の裏地向けを中心に、前年を下回る水準で推 移した。 ニット 6月のニットの生産は、秋物生産がピー クを迎えているが、国内需要の低迷から、受注É 生産は低調な水準で推移した。 大口電力 6月の大口電力販売量は、504百万È/h (前年同月比△17.0%)と8ヵ月連続で前年を下 回った。大口主要販売先を業種別にみると、「電 気機械」で116百万È/h(前年同月比△10.2%)、 「非鉄金属」で105百万È/h(同△18.0%)、「化 学」で54百万È/h(同△6.4%)、「輸送用機械」 で45百万È/h(同△28.5%)、「一般機械」で23 百万È/h(同△25.0%)、「紙Éパルプ」で15百 万È/h(同△51.9%)となり、それぞれ前年を 下回った。

―― 企 業 倒 産 ――

企業倒産 6月の企業倒産(負債金額10百万円以 上)は、倒産件数が11件(前年同月比△31.3%) となり、2ヵ月連続で前年を下回った。負債総額 は29億32百万円(同△60.4%)となり、2ヵ月ぶ りに前年を下回った。 なお、年間累計(2009年1月∼6月)では、倒

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産件数が前年同期比21件減少し、69件(前年同期 比△23.3%)、負債金額が同293億28百万円減少し、 211億16百万円(同△58.1%)となっている。 倒産主因別内訳は、受注É販売不振、業界不振 など不況型倒産が9件、その他が2件となった。 業種別内訳は、サービス業が4件、建設業が3件、 卸売業が2件、製造業、運輸・通信業が各1件と なった。地区別内訳は、県北が4件、県南が1件、 会津が3件、浜通りが3件となった。 (億円) (%) 20年 21年 7 8 9 12 1 2 3 4 5 福島県民間金融機関預金・貸出金 30,000 40,000 60,000 50,000 70,000 80,000 −2 10 11 預金 預金前年同月比 (右目盛) 貸出金 貸出金前年同月比 (右目盛) (資料:日本銀行福島支店) 0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 (百万円) 保証協会の保証承諾推移 (%) 35,000 30,000 25,000 20,000 15,000 10,000 5,000 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 150 125 100 75 50 25 −25 −50 0 75 100 20年 21年 前年同月比(金額) 保証承諾金額 件数前年比 (資料:福島県信用保証協会) 福島県求人倍率 (学卒を除きパートを含む季節調整値)推移        1.30 1.10 0.90 0.70 0.50 0.30 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 新規求人倍 有効求人倍 平成21年 平成21年 平成20年 平成20年 × × × × × × × ○ ○ (倍) 20年 (資料:福島労働局職業安定部)

―― 金 融 動 向 ――

資金需要 県内金融機関(全国銀行、第二地銀、 信用金庫、信用組合の県内店舗分)の5月末の預 金残高は、6兆4,193億円(前年同月比+2.7%) と27ヵ月連続で前年を上回った。また、貸出金残 高は、3兆8,727億円(同+2.3%)と11ヵ月連続 で前年を上回った。 ※県内金融機関の6月末の預金ならびに貸出残高につ いては、データ未入手につき5月末のデータを参考 として掲載いたしました。 保証協会 6月の保証承諾は、件数が1,365件 (前年同月比+20.4%)と7ヵ月連続、保証金額 が144億26百万円(同+14.4%)と9ヵ月連続で 前年を上回った。一方、代位弁済は、件数が80件 (同+6.7%)、金額が7億53百万円(同+73.9%) と、それぞれ2ヵ月ぶりに前年を上回った。

―― 雇 用 動 向 ――

雇用動向 6月の新規求人数(原数値)は、7,674 人(前年同月比△20.7%)と20ヵ月連続で前年を 下回った。一方、新規求職申込件数(原数値)は、 11,380件(同+15.4%)と10ヵ月連続で前年を上 回った。 新規求人倍率(季節調整済、パート含)は、 0.70倍(前月比△0.03ポイ ント)と4ヵ月ぶりに前月を 下回った。原数値は0.67倍(前年同月比△0.31ポイ ント) と20ヵ月連続で前年を下回った。有効求人倍率 (季節調整済、パート含)は、0.34倍(前月比 △0.01ポイ ント)と8ヵ月連続で前月を下回った。原数 値は0.30倍(前年同月比△0.34ポイ ント)と20ヵ月連続 で前年を下回った。

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はじめに 日本国内の地価はバブル経済崩壊後、長期にわたり下落が続いていたものの、平成17年以降は首都 圏などの大都市圏を中心に不動産投資が活発化し回復基調で推移してきた。 しかし、平成21年の地価の動向は米国のサブプライムローン問題などに端を発する景気悪化により 下落に転じた。 本稿では、平成21年1月1日時点での国土交通省の地価公示からみた全国および福島県内の地価の 動向についてまとめた。 図1 住宅地の地価変動率の推移 資料:㈱住宅新報社「地価公示」

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福島県内における地価動向について

1.全国の地価動向

ò 全国平均での動向 平成21年地価公示によれば、全国平均の住宅地 の対前年比変動率は▲3.2%と、平成18年以来3 年ぶりの下落となった。一方、全国平均の商業地 は▲4.7%と、住宅地同様に平成18年以来3年ぶ りの下落となった。 (注:地価変動率とは、各基準地の対前年比変動率の合計 を基準地数で除したもの) ① 住宅地 全国平均の住宅地の地価変動率は、景気回復基 調の中でマイナス幅が縮小傾向で推移し、平成19 年と平成20年にはマンション需要の増加などの影 響からプラス水準となった。 しかし、平成21年地価公示では、景気悪化に伴 う住宅需要の低迷やサブプライムローン問題に起 因する投資環境悪化などにより大都市圏を中心に 大きく下落した。上昇した地点は堅調なマンショ ン需要による新潟市の一部、新駅開業による姫路 市の一部、道内外からの移住者が多い北海道伊達 市の一部など16地点のみに止まり、全国的にほぼ 全ての地点で下落した。 地域別にみると、2年連続で上昇していた三大 都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)は、▲3.5 %と3年ぶりに下落した。17年連続で下落してい

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図2 商業地の地価変動率の推移 資料:㈱住宅新報社「地価動向」

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る地方圏も、マイナス幅が縮小してきたが▲2.8 %と再び下落傾向が強まった(図1)。 ② 商業地 商業地の地価変動率は、住宅地の動きよりも景 気に大きく影響される傾向がある。全国平均でみ た商業地の地価変動率は、オフィス需要拡大や不 動産投資資金の流入などにより三大都市圏を中心 に上昇し平成19年と平成20年にはプラス水準と なっていたが、世界的な景気後退により3年ぶり に前年を大きく下回った。 地域別にみると、三大都市圏では、▲5.4%と 4年ぶりに下落へと転じ、前年の10.4%の上昇か ら急激に悪化している。地方圏は▲4.2%と、三 大都市圏よりはマイナス幅が小さかった。上昇地 点がみられたのは5地点のみに止まり、区画整理 事業が進展した静岡市の一部、新幹線ターミナル 整備の影響を受けた鹿児島市の一部などであった (図2)。 ò 各都道府県別での動向 平成20年には景気回復とともに三大都市圏を中 心に対前年比変動率は住宅地で11都府県、商業地 で14都道府県においてプラス水準であったが、平 成21年は全ての都道府県がマイナス水準となった。 ① 住宅地 平成19年と平成20年には、マンション需要拡大 などの影響から、三大都市圏やその近隣県でプラ ス水準であった。平成21年地価公示では、マン ション販売不振の影響などを受けてこれら各都府 県で下落に転じており、特に東京都とその近隣県 での下落幅が大きいものとなった。都道府県別の 変動率は東京都の対前年比▲6.5%が最大の下落 率であり、以下、福井県の▲5.5%、富山県の▲5.1 %などの順となり、福島県は▲3.1%で下落率が 全国22位であった(表1)。県庁所在市と政令指 定都市では、東京都区部の▲8.3%(前年10.4%)、 川崎市の▲6.1%(同8.0%)など首都圏での下落 率が大きかった(表2)。 ② 商業地 前年のプラス水準値からの下落幅が大きかった 都道府県は、東京都、宮城県、愛知県、大阪府な どであり、三大都市圏以外でも宮城県など地方ブ ロック中心都市が所在する県を中心に下落幅が大 きかった。変動率は秋田県の対前年比▲8.2%が 最大の下落率であり、以下、宮城県の▲8.1%、 東京都の▲7.5%などの順となり、福島県は下落 率が全国26位の▲4.1%であった(表1)。 県庁所在市と政令指定都市では、仙台市の▲9.6 %(前年18.0%)、福岡市の▲9.6%(同13.6%)、

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表1 都道府県別用途別対前年変動率 単位:% 住 宅 地 商 業 地 平成19年 平成20年 平成21年 平成19年 平成20年 平成21年 全 国 0.1 1.3 ▲3.2 2.3 3.8 ▲4.7 北 海 道 ▲1.2 ▲1.0 ▲3.3 0.8 1.0 ▲5.4 青 森 ▲3.9 ▲3.9 ▲4.4 ▲7.8 ▲6.5 ▲6.7 岩 手 ▲3.3 ▲3.1 ▲3.8 ▲7.4 ▲6.5 ▲7.1 宮 城 ▲2.6 ▲1.0 ▲2.7 2.7 7.0 ▲8.1 秋 田 ▲4.4 ▲3.5 ▲4.7 ▲8.3 ▲6.7 ▲8.2 山 形 ▲4.7 ▲3.9 ▲4.2 ▲6.2 ▲5.1 ▲5.2 福 島 ▲3.1 ▲2.5 ▲3.1 ▲3.8 ▲3.0 ▲4.1 茨 城 ▲3.6 ▲2.4 ▲3.6 ▲4.4 ▲3.2 ▲4.0 栃 木 ▲3.2 ▲2.2 ▲2.7 ▲4.5 ▲2.8 ▲3.0 群 馬 ▲2.3 ▲1.2 ▲1.6 ▲4.0 ▲2.4 ▲2.9 埼 玉 0.7 3.7 ▲3.5 1.9 6.0 ▲4.3 千 葉 1.6 2.8 ▲3.5 3.6 6.1 ▲4.1 東 京 8.0 9.1 ▲6.5 13.9 15.8 ▲7.5 神 奈 川 1.7 4.3 ▲3.0 4.1 8.2 ▲4.2 新 潟 ▲2.6 ▲1.6 ▲1.8 ▲4.4 ▲3.3 ▲3.6 富 山 ▲3.2 ▲2.6 ▲5.1 ▲4.1 ▲2.8 ▲4.7 石 川 ▲2.3 ▲2.0 ▲3.8 ▲2.5 ▲2.1 ▲4.4 福 井 ▲5.1 ▲4.8 ▲5.5 ▲6.5 ▲5.4 ▲6.1 山 梨 ▲3.4 ▲2.5 ▲2.3 ▲4.3 ▲3.1 ▲3.1 長 野 ▲4.0 ▲2.6 ▲3.1 ▲4.5 ▲3.3 ▲4.2 岐 阜 ▲3.2 ▲1.0 ▲1.3 ▲3.7 ▲1.4 ▲1.9 静 岡 ▲1.0 0.5 ▲1.2 ▲0.6 2.9 ▲1.7 愛 知 1.9 3.0 ▲2.9 7.6 8.2 ▲5.8 住 宅 地 商 業 地 平成19年 平成20年 平成21年 平成19年 平成20年 平成21年 三 重 ▲2.9 ▲1.7 ▲2.0 ▲3.5 ▲1.5 ▲2.6 滋 賀 1.2 1.8 ▲1.1 2.1 3.6 ▲1.7 京 都 1.6 1.8 ▲2.4 7.7 4.1 ▲3.5 大 阪 1.9 2.5 ▲1.9 10.3 9.3 ▲3.8 兵 庫 0.8 2.5 ▲2.0 1.3 2.5 ▲2.8 奈 良 ▲0.2 1.2 ▲2.1 ▲0.6 0.8 ▲1.9 和 歌 山 ▲3.7 ▲2.6 ▲3.6 ▲4.7 ▲2.7 ▲4.0 鳥 取 ▲3.7 ▲3.0 ▲3.4 ▲5.1 ▲4.1 ▲4.5 島 根 ▲1.6 ▲1.7 ▲2.0 ▲4.3 ▲3.7 ▲4.5 岡 山 ▲1.4 ▲0.6 ▲1.4 ▲0.9 ▲0.2 ▲1.8 広 島 ▲2.5 ▲1.7 ▲2.5 ▲1.6 ▲0.5 ▲2.7 山 口 ▲3.8 ▲3.1 ▲4.3 ▲4.6 ▲3.7 ▲5.2 徳 島 ▲5.3 ▲4.6 ▲4.8 ▲5.8 ▲4.2 ▲4.4 香 川 ▲6.8 ▲5.6 ▲4.9 ▲7.4 ▲5.0 ▲4.8 愛 媛 ▲2.1 ▲1.8 ▲2.4 ▲1.2 ▲1.0 ▲2.5 高 知 ▲2.9 ▲3.9 ▲4.6 ▲6.4 ▲6.0 ▲6.0 福 岡 ▲2.6 ▲1.5 ▲2.8 ▲0.4 1.4 ▲6.3 佐 賀 ▲2.1 ▲2.1 ▲2.7 ▲3.8 ▲3.3 ▲3.7 長 崎 ▲4.4 ▲3.4 ▲3.8 ▲6.0 ▲4.1 ▲4.3 熊 本 ▲4.4 ▲3.0 ▲3.3 ▲5.6 ▲3.2 ▲4.5 大 分 ▲4.6 ▲3.2 ▲3.6 ▲4.4 ▲3.5 ▲4.6 宮 崎 ▲1.0 ▲0.8 ▲1.3 ▲2.8 ▲2.4 ▲3.3 鹿 児 島 ▲1.9 ▲2.0 ▲3.0 ▲3.2 ▲3.1 ▲4.3 沖 縄 ▲2.3 ▲1.5 ▲1.8 ▲1.8 ▲0.2 ▲2.1 資料:㈱住宅新報社「地価公示」 表2 県庁所在都市及び政令指定都市の価格変動率 単位:% 住 宅 地 商 業 地 平成19年 平成20年 平成21年 平成19年 平成20年 平成21年 札 幌 市 3.1 2.4 ▲3.4 9.3 9.0 ▲6.2 青 森 市 ▲3.3 ▲3.4 ▲4.0 ▲6.6 ▲4.9 ▲5.3 盛 岡 市 ▲4.8 ▲4.3 ▲5.6 ▲7.6 ▲5.7 ▲7.4 仙 台 市 ▲1.2 1.1 ▲1.7 10.8 18.0 ▲9.6 秋 田 市 ▲5.6 ▲3.8 ▲5.1 ▲9.3 ▲5.8 ▲8.0 山 形 市 ▲5.8 ▲4.1 ▲4.6 ▲5.1 ▲3.7 ▲4.3 福 島 市 ▲2.8 ▲1.9 ▲2.9 ▲3.2 ▲2.3 ▲3.5 新 潟 市 ▲2.5 ▲0.7 ▲0.9 ▲2.7 ▲0.7 ▲1.4 水 戸 市 ▲4.9 ▲4.1 ▲4.4 ▲3.0 ▲2.0 ▲2.0 宇都宮市 ▲2.0 ▲1.1 ▲1.7 ▲3.5 ▲1.3 ▲1.7 前 橋 市 ▲2.0 ▲0.7 ▲1.4 ▲5.2 ▲2.9 ▲3.4 さいたま市 2.7 6.0 ▲4.6 4.8 8.8 ▲6.1 千 葉 市 2.2 4.3 ▲3.6 7.2 12.9 ▲5.1 東京都都区部 11.4 10.4 ▲8.3 15.9 17.3 ▲8.1 横 浜 市 3.2 5.1 ▲3.4 7.0 9.6 ▲4.7 川 崎 市 5.3 8.0 ▲6.1 6.7 13.1 ▲7.4 甲 府 市 ▲3.4 ▲2.3 ▲1.8 ▲3.9 ▲2.7 ▲3.2 長 野 市 ▲3.2 ▲2.0 ▲2.5 ▲1.6 ▲1.0 ▲2.3 富 山 市 ▲3.4 ▲2.0 ▲4.3 ▲3.9 ▲1.8 ▲4.0 金 沢 市 ▲2.4 ▲2.0 ▲3.9 ▲1.0 0.3 ▲3.6 福 井 市 ▲4.6 ▲3.9 ▲4.7 ▲4.8 ▲3.2 ▲4.2 岐 阜 市 ▲2.7 ▲0.7 ▲1.3 ▲3.2 ▲0.1 ▲1.4 静 岡 市 ▲0.2 1.4 ▲1.9 1.9 7.7 ▲2.3 浜 松 市 1.0 2.5 ▲0.7 0.4 4.9 ▲1.6 名古屋市 6.6 7.6 ▲4.2 16.1 15.8 ▲9.1 津 市 ▲3.7 ▲2.3 ▲2.1 ▲3.7 ▲1.2 ▲2.3 住 宅 地 商 業 地 平成19年 平成20年 平成21年 平成19年 平成20年 平成21年 大 津 市 2.4 3.2 ▲1.5 5.0 7.5 ▲2.1 京 都 市 3.5 2.7 ▲2.9 11.6 5.8 ▲3.5 大 阪 市 2.3 2.5 ▲2.2 15.0 11.7 ▲5.3 堺 市 2.3 3.3 ▲1.9 6.0 8.5 ▲2.0 神 戸 市 0.6 2.0 ▲2.2 6.4 6.8 ▲3.4 奈 良 市 1.0 3.1 ▲2.3 1.3 2.8 ▲1.0 和歌山市 ▲3.3 ▲2.0 ▲3.4 ▲2.6 ▲0.3 ▲1.9 鳥 取 市 ▲3.8 ▲2.6 ▲3.1 ▲5.3 ▲4.1 ▲4.2 松 江 市 ▲2.2 ▲2.2 ▲2.6 ▲5.1 ▲3.9 ▲5.2 岡 山 市 0.3 0.9 ▲0.8 1.3 2.0 ▲1.0 広 島 市 ▲1.5 ▲0.6 ▲1.7 2.0 3.0 ▲0.9 山 口 市 ▲3.3 ▲3.3 ▲4.9 ▲3.4 ▲2.9 ▲5.9 徳 島 市 ▲4.8 ▲3.8 ▲4.4 ▲5.3 ▲3.9 ▲4.1 高 松 市 ▲7.8 ▲6.2 ▲5.3 ▲6.6 ▲2.8 ▲3.6 松 山 市 ▲0.6 ▲0.1 ▲1.0 2.2 2.8 ▲0.6 高 知 市 ▲2.6 ▲4.0 ▲4.7 ▲5.6 ▲4.7 ▲4.9 北九州市 ▲4.4 ▲3.5 ▲3.1 ▲7.5 ▲4.9 ▲4.2 福 岡 市 0.4 1.3 ▲2.5 12.9 13.6 ▲9.6 佐 賀 市 ▲2.6 ▲2.7 ▲3.4 ▲4.6 ▲3.9 ▲4.2 長 崎 市 ▲4.7 ▲2.6 ▲3.4 ▲5.0 ▲1.5 ▲2.2 熊 本 市 ▲4.6 ▲2.4 ▲2.8 ▲3.5 0.3 ▲2.6 大 分 市 ▲4.6 ▲3.3 ▲3.6 ▲4.1 ▲2.8 ▲4.4 宮 崎 市 ▲1.2 ▲0.8 ▲1.3 ▲3.1 ▲1.8 ▲3.1 鹿児島市 ▲1.1 ▲1.3 ▲2.5 ▲0.1 0.2 ▲2.2 那 覇 市 ▲1.8 ▲0.3 ▲2.1 ▲0.1 2.4 ▲2.3 資料:㈱住宅新報社「地価公示」

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福島の進路 2009.9 名古屋市の▲9.1%(同15.8%)などで下落率が 大きく、平成20年に高い上昇率を示した都市で大 幅に落ち込んだ(表2)。

2.福島県内の地価動向

平成21年の本県平均の住宅地対前年比変動率は

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図3 県内主要都市における住宅地の平均地価変動率推移 資料:㈱住宅新報社「地価動向」 図4 県内主要都市別住宅地平均価格の推移 資料:㈱住宅新報社「地価動向」を当研究所が加工

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福島の進路 2009.9

▲3.1%と、14年連続してマイナス水準で推移と なった。平成17年以降はマイナス幅が縮小傾向と なっていたが、今回調査で再び下落幅が拡大した。 住宅地と商業地の「変動率」、「平均価格」の推移 と「価格上位地点」については次の通りである。 ò 住宅地 ① 変動率推移 主要4市別にみると、平成21年の変動率は県平 均が▲3.1%(前年比▲0.6ポイ ント)に対して、会津若 松市が▲4.0%(同▲1.5ポイ ント)であった。会津若松 市は進出企業が撤退するなど有効求人倍率が県平 均より低いことも住宅需要に影響しているとみら れ、下落幅が他市よりやや高めである。景気上昇 傾向などにより平成18年からは4市とも変動率の マイナス幅の縮小が続いていたが、平成21年には 全国的な地価動向と同様に4市ともマイナス幅が 拡大した(図3)。 ② 平均価格推移 主要4市別の平均価格を中期的な動向として5 年前の平成16年と比較してみると、平成21年価格 は平成16年比で福島市▲14.2%、郡山市▲13.2%、 いわき市▲17.7%、会津若松市▲22.4%と、郡山 市と福島市での下落率が他地域に比べ緩やかなも

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表3 県内住宅地の価格上位5地点(平成21年) 単位:円、% 順位 所 在 地 H19 H20 H21 20年対比変動率 1 福島市野田町2丁目189番3「2−2−3」 76,500 75,800 74,200 ▲2.1 2 福島市宮下町106番2「宮下町7−14」 76,400 75,700 74,100 ▲2.1 3 郡山市池ノ台115番6「池ノ台9−12」 73,200 73,200 73,000 ▲0.3 4 郡山市朝日2丁目26番7「朝日2−20−8」 72,700 72,700 72,300 ▲0.6 5 福島市山下町30番2「山下町3−7」 73,600 72,900 71,400 ▲2.1 資料:㈱住宅新報社「地価公示」 図5 県内主要都市における商業地の平均地価変動率推移 資料:㈱住宅新報社「地価動向」

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福島の進路 2009.9 のとなった(図4)。 (注:地価公示調査には毎年標準地の選定替えがあるため、 厳密には地価変動率に連続性はない。そのため、ここ では平成19年∼平成21年までの直近3年間連続して標 準地となっている地点のみで平均価格を算出した。) ③ 価格上位地点 県内の価格上位5地点はいずれも県平均の▲3.1 %を上回っているが、福島市の計3地点が2%台 の下落率に対し、郡山市の2地点が1%未満の下 落率と差がみられ、郡山市の下落幅はやや小さめ となった(表3)。 ò 商業地 ① 変動率推移 主要4市の動きをみると、会津若松市が▲4.0% (前年比▲2.4ポイ ント)、郡山市が▲3.9%(同▲3.3ポイント) などであり、4市とも下落幅が縮小傾向にあった ものが一転し、下落幅が拡大した。オフィス賃料 の相場サイト(三鬼商事㈱ HP)によると、平成21 年6月における郡山市の平均賃料は坪当り8,506 円(前年同月比▲1.8%)、空室率は12.83%(同 +1.44ポイ ント)である。本県においても景気低迷によ る消費不振、オフィス需要の減退などから商業地 の地価下落につながっているとみられる(図5)。 ② 平均価格推移 住宅地と同様に直近3年間標準地に選ばれてい る地点のみで平均価格を算出した。 5年前の平成16年と比較し中期的な動きをみると       、 平成21年の価格は平成16年比で、福島市▲24.8%、 郡山市▲19.8%、いわき市▲27.2%、会津若松市 ▲17.4%となっており、毎年下落が続き商業地の 地価が下げ止まる気配はみえてきていない(図6)。 (注:住宅地と同様に直近3年間標準地に選定された 地点のみで平均価格を算出した。) ③ 価格上位地点 商業地の県平均の変動率は▲4.1%である。県 内商業地の上位5地点については全ての地点で下 落幅が県平均を上回った(表4)。

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図6 県内主要都市別商業地平均価格の推移 資料:㈱住宅新報社「地価公示」を当研究所が加工 表4 県内商業地の価格上位5地点(平成21年) 単位:円、% 順位 所 在 地 H19 H20 H21 20年対比変動率 1 郡山市駅前1丁目112番「駅前1−6−6」 408,000 408,000 388,000 ▲4.9 2 福島市栄町10番2「栄町10−3」 263,000 257,000 245,000 ▲4.7 3 郡山市駅前2丁目141番外「駅前2−6−4」 239,000 239,000 225,000 ▲5.9 4 郡山市中町380番2「中町6−16」 185,000 185,000 174,000 ▲5.9 5 福島市三河南町1番11「三河南町5−8」 177,000 173,000 165,000 ▲4.6 資料:㈱住宅新報社「地価公示」 図7 県内の新設住宅着工戸数推移 資料:国土交通省 HP

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3.今後の動向

福島県内の「住宅着工戸数Éマンション動向」、 「工場立地件数」などから、今後の地価動向をみ てみる。 ò 住宅着工戸数 福島県内の新設住宅着工戸数は、平成20年度は 平成10年度比で6,042戸も減少している(図7)。 人口の推移からみると、一般的に住宅一次取得 者年齢とみられる県内30歳代人口は、平成7年の 270千人から平成12年には250千人台へと減少して おり、住宅着工戸数が減少してきた一因とみられ る。今後についても、30歳代人口は平成27年に 229千人(平成19年比10.9%減)と大きく減少す ることが予想されている(図8)。そのため今後

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図8 県内30歳代人口予測及び人口比率 資料:「福島県統計年鑑」、「福島県の人口」、国立人口社会保障研究所 HP 図9 県内現金月間給与推移(年平均) 資料:福島県企画調整部「毎月勤労統計調査」 図10 県内マンション着工戸数と新設住宅着工戸数に占める割合 資料:国土交通省「建築統計年鑑」

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福島の進路 2009.9 とも住宅取得需要が縮小することが予想され、住 宅地の地価動向は、下落傾向を強めるものと考え られる。また、平成10年以降の月間の現金給与総 額(賞与含む)の推移をみると、大きな伸びはな く、特に最近2年間は30万円台を下回った。こう したことから、少子高齢化の進展に加え個人所得

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表6 県別新築マンション価格の年収倍率 単位:倍、位、万円 平 成 19 年 平 成 20 年 年 収 倍 率 全 国 順 位 70 ㎡ 価 格 年 収 倍 率 全 国 順 位 70 ㎡ 価 格 福 島 県 5.06 16 2,255 5.36 15 2,359 青 森 県 6.04 33 2,234 7.19 42 2,626 岩 手 県 6.22 38 2,299 6.52 33 2,398 宮 城 県 5.70 25 2,565 4.99 7 2,252 秋 田 県 6.92 42 2,472 6.87 38 2,414 山 形 県 6.08 34 2,407 6.28 31 2,456 埼 玉 県 7.69 43 3,571 7.35 43 3,398 千 葉 県 5.28 17 3,074 5.64 24 3,247 東 京 都 9.85 47 6,122 9.11 46 5,561 神 奈 川 県 8.10 45 4,339 8.67 45 4,669 資料:㈱東京カンテイ HP 表5 県別マンション化率 単位:戸、%、位、世帯 平 成 19 年 平 成 20 年 ストック戸数 世 帯 数 マンション 率 全国順位 何 世 帯 に1戸の割合 ストック戸数 世 帯 数 マンション 率 全国順位 何 世 帯 に1戸の割合 全 国 5,661,359 51,713,048 10.95 − 9.1 5,836,575 52,324,877 11.15 − 9.0 福 島 県 14,627 736,288 1.99 39 50.3 15,012 740,993 2.03 40 49.4 青 森 県 3,902 562,919 0.69 47 144.3 4,014 565,347 0.71 47 140.8 岩 手 県 10,333 497,023 2.08 36 48.1 10,917 499,351 2.19 36 45.7 宮 城 県 76,845 883,414 8.70 11 11.5 79,791 891,573 8.95 11 11.2 秋 田 県 5,004 415,863 1.20 46 83.1 5,229 416,787 1.25 46 79.7 山 形 県 5,174 394,212 1.31 45 76.2 5,296 395,308 1.34 45 74.6 埼 玉 県 380,033 2,781,143 13.66 7 7.3 392,450 2,827,608 13.88 7 7.2 千 葉 県 372,406 2,454,027 15.18 5 6.6 386,794 2,498,476 15.48 5 6.5 東 京 都 1,408,174 6,060,432 23.24 1 4.3 1,448,196 6,160,440 23.51 1 4.3 神奈川県 794,181 3,774,373 21.04 2 4.8 817,381 3,832,776 21.33 2 4.7 資料:㈱東京カンテイ HP

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の伸び悩みなどが住宅着工戸数減少の一因となっ ている(図9)。 ò 県内のマンション動向 県内のマンション着工は平成14年に前年比+7 %と大きく増加し1,000件台となったが、平成15 年以降は減少し横ばい基調にある(図10)。 福島県のマンション化率(㈱東京カンテイ公 表:マンションのストック戸数が総世帯に占める 割合)によれば、平成19年が1.99%(全国39位)、 平成20年が2.03%(同40位)と宮城県と岩手県以 外の東北各県より高いものの、全国水準でみれば 本県の世帯数に占めるマンション割合は低いもの となっている(表5)。また、平成20年の年収倍 率(価格が年収の何倍に相当するかの倍率)は、 5.36倍とマンションの平均価格が若干低いことと 平均年収がやや高いことから、東北他県に比較し て低い結果となった(表6)。60歳代以上の人口は 高齢化の進展により増加を続けており、平成27年 には702千人(平成19年比14.5%増)に達すること が予想されている(図11)。高齢者の増加ととも に、車が必須の郊外での居住から交通の便に優れ た中心市街地でのマンションニーズが増し、中心 市街地の地価の下支えとなることも考えられる。 ò 新設工場立地件数 福島県内の新設工場立地件数は、平成16年より 前年を上回る件数で推移した。しかし、平成20年 の工場立地件数は景気後退から前年比で26件減少 した。企業は収益力が低下しており設備投資に対 し慎重な姿勢をとっていることから当面、土地の 活発な取引は期待できない。工場立地件数の減少

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図11 県内60歳以上人口予測及び人口比率 資料:福島県「福島県の人口」、国立人口社会保障研究所 HP 図12 県内工場新設件数推移 資料:福島県 HP

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福島の進路 2009.9 は従業員の新規採用の手控えとなり、購買層が厚 みを増さないことから住宅地価格、商業地価格へ の影響が懸念される。

4.最後に

平成21年3月23日に国土交通省が発表した平成 21年の公示地価は、全国平均で住宅地▲3.2%、 商業地▲4.7%と3年ぶりに下落に転じた。福島 県内については、住宅地で▲3.1%と14年連続で、 商業地で▲4.1%と17年連続で下落するとともに、 5年ぶりに下落幅が拡大した。住宅地の地価に関 しては、人口減少問題に加え、企業業績悪化によ る個人所得水準の伸び悩みや雇用不安などによる 将来に対する不透明感などから個人住宅の買い控 えが広がり、地価も下落しているとみられる。ま た、商業地に関しても、国内景気の後退感が強まっ てきたことから、事業所集約などによりオフィス 需要が減退していることが影響しているものとみ られる。 福島県内も、住宅地は住宅着工戸数の減少やマ ンション用地の需要減退などから供給過剰の状態 となっている。商業地は郊外型大規模商業施設の 立地や中心市街地空洞化の進行が続いていること が地価下落継続の要因とみられている。経済動向 の先行き不透明な現況において、地価は当面、下 落傾向を強めるものと考えられる。 (担当:高橋)

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はじめに ∼経済成長É発展を普遍的に導く『新結合』とは∼ 近年、「イノベーション創出を通じて地域経済の活性化を」などといったキャッチコピーをよく目 にするが、そもそも「イノベーション」って何だろうと、単純に疑問を投げかける声も数多く聞こえ てくる。「イノベーション」とは、我が国では、一般に「技術革新」と理解されているが、果たして そうなのであろうか? この問題については、本誌2007年6月号「イノベーション創出による経済成 長É発展に向けて」というレポートで、既に言及しているが、今回取り扱うテーマと密接に関連する ので、引用のうえ改めて触れることとする。 20世紀を代表する経済学者 J. A. シュンペーターによれば、「イノベーション(彼の言葉では『新« 結«合«の遂行』)」とは、新技術の発明といった『技術の分野に限定されるものではなく』、モノやサー ビスの生産É提供といった経済活動全般に亘り、『今までにない新しい考えや方法を取り入れ行う活 動』」となり、「こうした活動の積み重ねにより『新しい商品ÉサービスÉマーケットなどを創出し、 それにより利«潤«を«生«み«出«し«、その結果経済発展に結びつけること』」と結論付けている。 彼の主張を踏まえ、前回レポートでも述べたが、我が国におけるイノベーションの代表事例の一つ である「ウォークマン」をもとに、イノベーションの本質について考えてみたい。そもそもウォーク マンは、既に開発されていた「テープレコーダー」と「ヘッドフォン」という技術の組み合わせ商品 であり、技術革新により生み出された製品ではない。したがって、その範疇で考えれば、イノベー ションには該当しない。 それでは、何故イノベーションの代表事例なのかといえば、「携帯音楽プレーヤー市場」という今 までにない新しいマーケットを創出し、業界全体に大きな利益をもたらし、さらには経済発展にも大 いに寄与したと考えられているからである。 このウォークマンの事例が示唆する最大のポイントは、「新結合=組み合わせ」の妙味である。つ まり、既存のモノ同士(テープレコーダー&ヘッドフォン)を結合し、新たな市場を創出そして利益 を生み出すといった取り組みであり、発想を変えることにより製造業(第2次産業)ばかりでなく、 農業(第1次産業)や小売業(第3次産業)などの産業においても実現可能であると思われる。そし て、この「新結合」という考えを活用し、低迷する県内産業É経済の活性化に結びつけることができ ないかという発想が、本調査研究の出発点であり、かつ最大のテーマでもある。 本稿では、こうした問題意識をベースとして、既存産業の新結合による経済活性化の可能性につい て、産業の高次化が導く新たな産業振興モデルの創出という視点から、農業など第1次産業を起点と する事例通覧を織り混ぜ考察してみることとしたい。

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福島の進路 2009.9

既存産業の新結合による経済活性化の可能性を探る

∼産業の高次化が導く新たな産業振興モデルの創出に向けて∼

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図表1 県民経済計算総括表(2007年度) (単位:百万円、%) 項 目 実 数 構成比 県内総生産(名目) 7,731,631 100.0 第1次産業 148,528 1.9 農林水産業 148,528 1.9 第2次産業 2,477,015 32.0 製造業 2,141,442 27.7 (うち食料品) 380,469 4.9 (うち電気機械) 522,238 6.8 (うち一般機械) 166,062 2.1 (うち輸送用機械) 178,251 2.3 建設業 330,078 4.3 第3次産業 5,277,082 68.3 電気ÉガスÉ水道業 634,067 8.2 卸売É小売業 605,304 7.8 サービス業 1,524,966 19.7 公務等 845,473 10.9 県民所得(分配) 5,713,206 100.0 雇用者報酬 3,637,930 63.7 企業所得 1,885,727 33.0 (うち民間法人企業所得) 1,152,281 20.2 県内総支出(名目) 7,731,631 100.0 民間最終消費支出 3,548,001 45.9 政府最終消費支出 1,523,672 19.7 県内総資本形成 1,736,856 22.5 (うち民間企業設備) 1,194,848 15.5 (うち民間住宅) 188,479 2.4 (うち公的投資) 307,338 4.0 移出入(輸出入)差引 975,030 12.6 (うち移出) 6,896,484 89.2 (福島県「県民経済計算年報」をもとに当研究所にて作成)

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福島の進路 2009.9

1.県内産業振興を考える上での新た

な視点

ò 産業統計区分の目的とその区分から脱却 することの意義 私たちは、モノの生産やサービスの提供など 様々な経済活動を営むことにより、その成果とし て富すなわち新たな価値(付加価値)を生み出し ている。この付加価値を計量把握したものが、 「県民経済計算年報」における県内総生産の各 データである(図表1「県民経済計算総括表」県 内総生産の項参照)。そこでは、各産業が第1次 産業から第3次産業に亘って区分されており、各 産業ごとに生産額が推計され、どの産業でどれだ けの付加価値が創り出されたかが、分かるように なっている。因みに、「県民経済計算年報」では、 新たに生み出された付加価値が、企業や雇用者に 所得É報酬としてどのように「分配」されたか、 或いは家計や企業、政府により、どのように「支 出」されたかについても分かるようになっている。 さて、私たちの経済活動の実態を把握するため には、前述した産業区分(第1次産業∼第3次産 業)を抜きに考えることはできない。なぜならこ うした区分は、実体経済の把握という目的のため、 内閣府が定めた国民経済計算体系に準拠して作り 上げられたものだからであり、統計上の要請に応 えるには、必要不可欠だからである。 それでは、なぜ産業振興を考える上で、各産業 に対する統計上の区分からの脱却が必要なのかと いうと、今後における産業振興は、こうした区分 にとらわれず、新たな視点や自由な発想のもとで、 産業全体の活性化を考えて行く必要があるからで ある。近年、農林水産業の活性化を実現していく 上で、「第6次産業※」という言葉が注目を集め るようになって来たが、筆者の意図するところと 重なり合うものであり、まずこの点について、以 下に言及する。 ※「第6次産業」とは、東京大学名誉教授 今村奈良臣 氏により提唱された農業の新しい経営形態。農業は、 産業分類では第1次産業に分類され、農畜産物の生産 を行うものとされている。しかし、第6次産業は、農 畜産物の生産だけでなく、食品加工(第2次産業)、 流通、販売(第3次産業)にも農業者が主体的かつ総 合的に関わることによって、加工賃や流通マージンな どの今まで第2次É第3次産業の事業者が得ていた付 加価値を、農業者自身が得ることによって農業を活性 化させようというもの。因みに第6次産業という名称 は、農業本来の第1次産業だけでなく、他の第2次É

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