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サイバーフィジカルシステム:7.ライフサポート:ICTを利活用したヘルスケア

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Academic year: 2021

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(1)特集:サイバーフィジカルシステム. 7. ライフサポート:ICT を利活用した ヘルスケア. 基応 専般. 川森 茂樹((株)NTT データ) 大谷 司郎((株)NTT データ). ヘルスケアデータの収集と活用. 険者は,結果データの組合せから生活習慣病の疑わ れるハイリスク者を抽出して特定保健指導や医療の 受診勧奨等のフィードバックを行っている.. ▶データヘルス計画.  医療保険者には,全国の医療機関から医療費の請.  我が国は,世界に誇る「健康長寿」の国であり,. 求データ(レセプトデータ)も提出されており,特. 世界保健機構(WHO)の「World Health Statistics. 定健診・特定保健指導と組み合わせた活用も始めら. の平均寿命は 83 歳と世界一,日常的に介護を必要. かかわらず,どこからも医療費の請求データが提出. 2013(世界保健統計 2013 年版)」によると,日本人. れている.たとえば,医療の受診勧奨を行ったにも. とせず自立して過ごすことができる「健康寿命」に. されない,特定保健指導の費用請求もないといった. おいても 75 歳と同様に世界一である(2004 年).. ハイリスク者を抽出し,電話等の積極的な介入によ.  健康長寿となった背景には,生まれる前から亡く. って受診を促すといった活用方法である(データヘ. なるまでの長期に渡って行われる「健診制度」の存. ルス計画).. 在,さらには,医療を必要とする時に低廉な自己負.  医療保険者には,長年に渡る膨大な被保険者の医. 担で高品質な医療を受けることができる「国民皆保. 療費の請求データが蓄積されている.特定健診の結. 険制度」の存在がある.. 果データ,介護費の請求データ等と合わせて国等に.  2008 年度より開始された,いわゆる「メタボ健. 集約されており,国は,それらを活用して介護・医. 診」によって国民の健康意識が高まり,2012 年には,. 療関連情報の「見える化」施策を推進している.. 2,010 万人(前回比 160 万人減)と,1997 年に厚生. ▶家庭用健康機器とスマートフォン. 労働省が国民健康・栄養調査を開始して以来,初め.  ここまで述べてきた医療保険者による多種多様な. て減少に転じるなど,成果を上げつつある.. ヘルスケアデータの収集と活用は,健康増進の施策.   糖 尿 病・ 高 血 圧・ 脂 質 異 常 症( 高 脂 血 症 ) を. に基づくマクロかつバッチ的なアプローチである.. はじめとする,いわゆる「生活習慣病(Lifestyle. 対して,これから述べるのは,ヘルスケアデータの. Disease,NCDs : Non-Communicable Diseases)」は,. ミクロかつリアルタイム的な収集と活用のアプロー. いったん発症してしまうと完治しない反面,食事・. チである.. 運動・飲酒・喫煙等の生活習慣を見直すことで発症.  我が国の健診制度は,病気の早期発見・早期治療. を予防できる病である.. につながる反面,受診と結果の通知は年に 1 度であ. 糖尿病患者とその予備軍の合計人数(推計値)は約.  40 歳以上の医療保険被保険者に対して行われる. るために,自らの健康状態に継続的に関心を持ちづ. 特定健診・特定保健指導は,生活習慣病の早期発見・. らいといった課題がある.. 早期治療を目的に行われるものであり,健診結果は.  健康状態に関心を持ち続けられるように歩数計や. すべて電子化されて医療保険者に提出され,医療保. 体重計,血圧計等の家庭用健康機器にメモリ機能や. 情報処理 Vol.55 No.9 Sep. 2014. 941.

(2) 特集:サイバーフィジカルシステム ネットワーク機能を付加し,測定データをアップロ. 開発により,これまで見逃されてきた,就寝時に血. ードできるようにすることで,グラフ表示して目標. 圧が上昇するタイプの高血圧症等を早期発見できる. 達成のモチベーションを高める,仲間と共有したり. ようになるだろう.. 競い合ったりするゲーミフィケーションの要素を取.  すでにブレスレット型のウェアラブルデバイスで. り入れるといった試みが盛んになされている.. の心拍数や血中酸素飽和度の測定が可能となってお り,日中の変動が大きい血糖値の測定技術の実用化. ▶非接触・非侵襲のバイタルセンサ. まであと一歩のところまで来ている..  健康機器がネットワーク接続に対応したことで利.  ここまで述べてきたように,これからは,ユーザ. 便性が向上しつつあるものの,多くのユーザにとっ. の「操作を不要とする」モデルへと段階的に移行し. てはいまだ面倒と思われる操作が必要であり,新鮮. ていくと考えられる.そのために解決しなければな. さが薄れるにつれて飽きられ,使われなくなってし. らない技術的課題は,膨大なバイタルデータを受信. まうであろう.. し処理するための高トラフィック対応プラットフォ.  これらの課題に対応するために開発が進められて. ームとセンサをウェアラブルにするための省電力化. いるのが,ユーザが意識することなくバイタルデー. 技術である.. タを測定できる非接触・非侵襲・無拘束のバイタル.  遠隔からユーザを見守る場合,少なくとも分単位. センサである.それらを設置するのみで,利用者が. でのバイタルデータの送受信が必要となる.ビジネ. 操作することなくバイタルデータが測定され,自動. スモデルを成り立たせるためには多くのユーザが必. 的にアップロードされる.さらに,医療従事者によ. 要であり,その結果として,毎秒数十∼数百のセン. りデータがチェックされ,異常がみられたらコール. サと接続し,アルゴリズムを使ってデータを処理す. センタから通知される.このような夢のサービスが. る必要がある.. 始まろうとしている..  身に着けたり,埋め込んだりするウェアラブルセ.  たとえば,ベッドのマットレスの下にシート型の. ンサのバッテリー寿命を延ばすための技術開発も並. センサを敷くだけで,在床と離床の時間,在床中の. 行して進められている.たとえば,貼り付けタイプ. 心拍数と呼吸数,体動レベルを測定し続けるシステ. の心電図計は連続利用で 2 日から 3 日,ブレスレッ. ムはすでに実用段階にある.これらのデータを蓄積. トや腕時計タイプのデバイスもほぼ同レベルである.. し,時系列で分析することで,ユーザ各々の生活リ. 充電のための「操作を必要とする」今日の技術では,. ズム,心拍数と呼吸数の推移を把握できる.. いざというときのバッテリー切れの不安が残り,生.  日本では,心疾患で毎年約 7 万人が亡くなってお. 命を守るシステムとしては十分とはいえないだろう.. り,安静時狭心症の発作は就寝時の明け方 3 時から. (2014 年 5 月 7 日受付). 5 時に起きやすいことが知られている.センサで心. 拍数と呼吸数をリアルタイムでモニタリングし,安 定度が低下したり閾値を超えたら,アラートが発出 されるシステムがあれば,多くの生命を救えるよう になるだろう.  脈波の伝播速度等を活用して収縮期血圧を連続的 に測定する技術の開発も進められている.今日,血 圧を測定するためには上腕にカフを巻き,ボタンを 操作する必要があり,この方法では,測定できる回 数は限られる.無拘束で連続的に測定する新技術の. 942. 情報処理 Vol.55 No.9 Sep. 2014. 川森茂樹 [email protected]  (株)NTT データ公共システム事業本部ヘルスケア事業部第二統 括部医療情報ネットワーク担当課長.日本福祉介護情報学会理事. 大谷司郎 [email protected]  (株)NTT データ公共システム事業本部ヘルスケア事業部第二統 括部 PHR ソリューション担当部長..

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