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夏目漱石『夢十夜』論(二〇一六年度卒業論文要旨集)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 夏目漱石『夢十夜』論(二〇一六年度卒業論文要旨集). Author(s). 進, 万里奈. Citation. 札幌国語研究, 22: 72-72. Issue Date. 2017. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/9593. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 夏目漱石『夢十夜』論. 横光利一『蠅』論. なぜ夢を描いたのかを考察した。従来の視点についての研究で. した創作、或いは、全くの創作として捉え、視点に注目して、. これまで、本作は、漱石が実際に見た夢を書いた作品である か、創作であるかが問題となっていた。本研究では、夢を基に. ない。 『蠅』における擬人化はこれまで作品のテーマと大きく. ドは伝わっても、蠅が「ひとり」であると表現することは出来. イのズーム・アップによって、蠅が重要であるというキーワー. 中で蠅が「ひとり」と擬人化されている場面では、カメラ・ア. 『蠅』は徹頭徹尾カメ 従来の研究では由良氏の論を基にし、 ラ・アイという技法で書かれているとされてきた。しかし、作. 近代文学研究室 二五一一 城下 円香. は、作品全体に言及したものは少なく、 「第五夜」 「第九夜」に. 近代文学研究室 三四八七 進 万里奈. 集中していたが、全篇に渡って考察し、他作品との比較を試み. 関 わ る 特 別 な 技 法 で あ る と さ れ て き た が、 そ の 擬 人 化 と カ メ. 語る「自分」の視点による叙述が多くなる。 「第九夜」 「第十夜」. 「第七夜」 「第八夜」は、体験する「自分」が後退し、夢を物. を体験する 「自分」 の視点が離れた場所や未来に移動していた。. たことを事実として裏付ける構成であった。 「第五夜」は、夢. の視点から語られており、読者を夢の世界に誘い入れ、夢を見. ズを通して等質に映されることを意味していると考えた。つま. 映りこむことによって、大きいものも小さいものも水滴のレン. らかになった。この句は、広大な森が汗のような微量の水滴に. 本文全体を考察した中で、「馬の額の汗に逆さに映りこんだ 森」という表現をカメラ・アイや映画技法で表せないことも明. ことを目的とした。. そこで、本文全体がカメラ・アイで描かれているか考察し、 カメラ・アイと擬人化とがどのような関係なのか明らかにする. ラ・アイとの関わりについて明らかにされてきていない。. た。. になると、夢を体験する「自分」はほとんど姿を消し、語るこ. ( 「第五夜」を除く)は、冒頭では 「第一夜」から「第六夜」 夢を体験する「自分」の視点から、 末尾では夢を物語る「自分」. とに徹していた。. している。. 作中の擬人化とカメラ・アイも、ものが人と等質であること を示している。よって、「人とものが等質に映される」というテー. り、汗に映った森はどんなものも等質であるというテーマを表. 同時期の『三四郎』でも、視点が主人公と一体化したり、背 後に控えたり、主人公と距離を空けたりしており、三人称だか 人称で視点の自由な移動を行うために、夢をモチーフにした小. マをカメラ・アイと擬人化が表していると考えられる。. ら、自由に視点を変化させることができていた。本作では、一 説を書いたと考えられる。. - 72 -.

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