教員養成段階におけるリコーダーの学び
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(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第70巻 第1号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 70, No.1. 令 和 元 年 8 月 August, 2019. 教員養成段階におけるリコーダーの学び 石出 和也・中野 聖子* 北海道教育大学札幌校音楽教育学研究室 *. リコーダー製作家・演奏家. Learning and Relearning the Recorder in the Teacher Training Course ISHIDE Kazuya and NAKANO Seiko* Department of Music Education, Sapporo Campus, Hokkaido University of Education *. the Recorder Maker / the Recorder Player. 概 要 教員養成カリキュラムに位置づけられている「器楽」は,音楽科教育における「器楽」を想 定した教科内容論および教材論としての性格を含み持つ授業である。本稿では,北海道教育大 学教育学部札幌校における授業科目「器楽Ⅱ」の実践内容を手掛かりとして,教員養成段階に おけるリコーダーの学びの特質を検討する。小学校,中学校から高等学校へと至るまでにリコー ダー演奏を経験している学生にとって,大学でのリコーダー学習は,新たな知識や技能を習得 する学びの場であると同時に,「学び直し」の場でもある。授業内容を総括的に振り返ると, ⑴リコーダーの演奏技能の習得と向上,⑵リコーダーについての理解を深める学び,⑶リコー ダー演奏を通しての学び,という3つに区分することができた。それらの授業内容を「学び直 し」と「新たな学び」という軸に基づいて整理することは,教員養成カリキュラムのなかで教 科内容論および教材論を担う授業のありようを追究する上で,一定の意義を持つと考えられる。. 1.はじめに. を指す。したがって,音楽科教育における「器楽」 を想定した教科内容論および教材論としての性格. 現在の音楽科教育における「器楽」は, 「歌唱」. を含み持つ授業が,教員養成カリキュラムに位置. 「創作(音楽づくり)」と並び,表現領域に含ま. づけられている「器楽」である。. れる活動内容の1つである。器楽の授業を通し. 本研究では,教員養成段階における大学生の器. て, 子どもたちはさまざまな楽器や楽曲と出会い,. 楽の学びを,中学校(あるいは小学校)の器楽指. 音楽表現の可能性や多様性を学ぶ。一方,教員養. 導と関連させながら検討する。具体的には,北海. 成カリキュラムにおける「器楽」は,「教科に関. 道教育大学教育学部札幌校の授業科目「器楽Ⅱ」. する専門的事項」に相当する授業(講義,演習等). の実践内容を報告するとともに,そこから得られ. 283.
(3) 石出 和也・中野 聖子. たいくつかの示唆について述べる。. 教科の指導法」の授業内では,リコーダーの特徴 や演奏法,ならびにリコーダーにかかわる教育内 容をいわば〈間接知〉として習得するのにとどま. 2.研究の前提と意義. らざるを得ない面があるのは事実である。そこ. 音楽科における器楽指導の現状を俯瞰すれば,. で,本稿で実践内容を報告する「器楽Ⅱ」の授業. そこで教え学ばれている代表的な楽器の1つとし. では,「各教科の指導法」のこうした側面を補完. て,リコーダーを挙げることができる。本研究で. し,リコーダーについての〈間接知〉と,実際の. は,こうした「リコーダーは音楽科の器楽指導に. リコーダー演奏体験を伴う〈直接知〉とを結び付. おける代表的な楽器である」という現状認識を前. けることを目指した。. 1). 提に据える 。 リコーダー指導にかかわる先行研究としては, 柳生(1978)や橋本(2001)などがあるものの,. 3.研究の方法と視点. 音楽教育学研究の成果が蓄積され,その研究内容. 以下は2018年度前期(4月~8月)に北海道教. も多様化している一方で,リコーダー指導にかか. 育大学教育学部札幌校 芸術体育教育専攻 音楽教. 2). わる先行研究は非常に少ない 。教員養成段階に. 育分野2年次学生10名を対象として実施した「器. おけるリコーダー指導やリコーダー学習を対象と. 楽Ⅱ」の主な授業内容である。. 3). した先行研究は,さらに限られている 。すなわ ち,広く一般的なリコーダー初学者に向けた教則 本や,学校教師用の指導書などは一定数存在して いる一方で,教員養成という視点に即してリコー ダー指導やリコーダー学習が吟味される機会は少 ないといえるだろう。 ところで,教育職員免許法と教育職員免許法施 行規則で定められている「各教科の指導法」では, 当該教科の目標や内容をはじめとした学習指導要 領についての基礎的理解,教材研究の方法,授業 設計の方法,学習評価の方法などが扱われる。音 楽科についても,たとえば「中等音楽科教育法」 などの名称を持つ講義において,これらの内容が 扱われる。けれども,上述の内容を網羅し,かつ 特定の内容に偏ることなく扱うことを考えれば, 当然ながら,器楽にかかわる教育内容や指導方法. ・リコーダーの構え方 (持ち方や姿勢,くわえ方など) ・リコーダー演奏の基礎技能 (ロングトーン,タンギングなど) ・リコーダーの基本的奏法 (サミング,アーティキュレーションなど) ・リコーダーの歴史 ・木製リコーダーの製作工程 ・チューニングの方法 ・バロック時代の舞曲の二重奏 ・ルネサンス期の舞曲の三重奏 ・古典派の楽曲の四重奏 ・ドイツ民謡などの四重奏 ・ルネサンス期の舞曲の五重奏 ・ポピュラー音楽の奏法. を確認することのできる時間は限られている。ま. この「器楽Ⅱ」は,本稿の著者2名のうち,中. た,実際にリコーダーに触れながらその演奏技術. 野が授業を担当した5)。授業内容についての分析. や音色などを確認する場面を設けたとしても,そ. と検討,ならびに本論文全体の執筆は,2名の著. うした場面に充てることのできる時間は,やはり. 者で協議しながら進めた。授業内容の報告とその. 「各教科の指導法」 限定的であろう4)。もちろん,. 考察において中心的な資料となるのは,授業者に. と「教科に関する専門的事項」は,隣接しつつも. よる「完全な参与」の立場に基づく観察記録であ. それぞれ異なる目的・性格を持っているから,こ. る。また,観察記録とあわせて,全15回の授業終. のこと自体を問題視する必要はない。だが,「各. 了後に受講学生が書いたレポートを,学習者によ. 284.
(4) 教員養成段階におけるリコーダーの学び. る振り返りの言葉として参照する。全授業終了後. 術を要しない楽曲である。これらの楽曲に続けて,. の学生の振り返りには, 「リコーダーの奏法につ. 《あの丘につづく道》(金子健治作曲),《ウォー. いては,小学校,中学校の音楽の授業で習って理. ター・イズ・ワイド》 (スコットランド民謡)な. 解していたつもりでも,実際には分かっていない. ども演奏した。授業初回から第3回目にかけての. ことが多くあった」 「リコーダーは小学校から慣. ソプラノリコーダーの二重奏には,アンサンブル. れ親しんでいたものであるため,ある程度は分. に慣れさせるための導入としての目的があったの. かっているつもりであったが,リコーダーの世界. と同時に,授業者にとっては,演奏技能について. は深いということを学んだ」などの言葉が見られ. の診断的評価を行うという意図があった。. た。前節で示した現状認識に即して考えれば,教. ここから見えてきたのは,タンギングの基礎に. 員養成課程に学ぶ大学生の多くは,小学校,中学. ついては概ね身に付いている一方で,スラーやス. 校から高等学校へと至るまでに,少なからずリ. タッカートなどの細かい演奏技術の習得状況には. コーダー演奏を経験していることになる。した. 個人差があるということであった。こうした個人. がって大学のカリキュラムの中でリコーダーを学. 差の要因については,練習の仕方や練習時間の量. ぶということは,新たな知識や技能について学ぶ. など,個人の取り組みに帰する点があるのはもち. 営みであると同時に「忘れていたことを思い出す」. ろんだが,加えてその背景には,これまでの音楽. 「できると思い込んでいたことや知っていると思. 科授業でリコーダーに触れてきた学習時間の違い. い込んでいたことを再確認する」といった学び直. や,リコーダー授業時の教師による指導方法の違. す営みでもあるといえるだろう。本研究ではこの. い,高等学校におけるリコーダー学習経験の有無. 「学び直し」と「新たな学び」という視点を軸と. など,より複合的な要因も考えられるだろう。. して,教員養成段階におけるリコーダーの学びを. このように,ソプラノリコーダーの二重奏とし. 検討する。. て小規模な楽曲を演奏させることにより,学生た ちのリコーダー演奏技能にかかわるレディネスの. 4.難易度に基づく選曲の視点. 把握がしやすく,個人差に応じた指導方策を考え ることが可能となった。だが,学生側に目線を移. 楽器の演奏技能習得を目指す授業では,演奏す. すと,第1回目~第3回目まではソプラノリコー. る楽曲の難易度や音楽ジャンルの選び方によっ. ダーのみを使用していたため,第4回目からのア. て,学びの質や方向性,学びのスピードが大きく. ルトリコーダーへの移行に際して,運指に少し戸. 変化する。ここでは,楽曲の難易度の設定にかか. 惑う様子も見られた。中学校1年生がソプラノリ. わる教育的意図として,⑴レディネスの把握,⑵. コーダーからアルトリコーダーへの移行に際して. 技能習得への意欲喚起,の2点について報告する。. 抱 く 苦 手 意 識 の 詳 細 に つ い て は, 例 え ば 平 井 (2017)も考察しているが6),大学生としての「学. ⑴ レディネスを把握するために. び直し」の過程で,中学生が抱える苦手意識を追. 前年度(2017年度)に同授業を実施した際は,. 体験・再体験したことになる。. 第1回目~第3回目の授業において,ソプラノリ. そこで2018年度は,授業初回からアルトリコー. コーダーによる二重奏を行った。ソプラノリコー. ダーを使用して,小規模な二重奏の楽曲を演奏さ. ダーの奏法自体は,受講者全員が小学校以降の音. せた。前年度と同様,ここではアンサンブルに慣. 楽科授業ですでに学んでおり,基本的には「学び. れさせることを主目的とした。学生たちが小学校. 直し」であった。演奏したのは《ソラシドレのカ. から中学校にかけて学んできた順序としては,ソ. ノン集》 (フランス民謡),《冬が来た》(ドイツ民. プラノリコーダーが最初で,アルトリコーダーが. 謡)などの,比較的小規模であり,複雑な演奏技. 後ということになるが,小学生の頃に触れたソプ. 285.
(5) 石出 和也・中野 聖子. ラノリコーダーよりも記憶に新しいのはアルトリ. ダー学習場面で演奏する楽曲については,リズム. コーダーであったことや,子どもの頃とは違う現. 構造が単純である,類似するメロディーが反復す. 在の手の大きさからみて,アルトリコーダーのほ. る形式である,跳躍進行が少ない,派生音が少な. うが自然に持つことができたことなど,アルトリ. いなど,児童生徒が楽譜の読み取りや運指などの. コーダーから授業を開始しても,演奏技能にかか. 面でできるだけつまずかないように,そして限ら. わるレディネスの把握は十分に達成することがで. れた練習時間であっても充実した演奏表現を味わ. きた。. うことができるように,楽曲の難易度が設定され. さらに, 前年度の様子を踏まえ,スラーやスタッ. ている場合が多い。. カートに慣れさせるための指導も重点的に行っ. けれども,そうであるがゆえに,リコーダーの. た。特にスタッカートの演奏では,必要以上にア. 学び直しに際し「子どもの頃に触れた簡単な教育. クセントが付いてしまわないように指導した。指. 用楽器である」といった印象や認識を潜在的に抱. 導の過程では,大学に至るまでに「リコーダーは. いている学生もいるだろう。このような場合,そ. 音を出す際のタンギングが大切である」という意. うした印象や認識を覆すような難易度の楽曲に取. 識が強く身に付いているがゆえに,却ってタンギ. り組ませることが,より高い演奏技能を習得する. ングをせずにスラーで演奏することや,スタッ. ことへの意欲につながると考えた。そこで楽曲の. カートの音の切り方などに慣れていない様子が見. 選択に際しては,その時点での学生の技能習得の. られた。. 状態からみて,難易度が高めの楽曲を意図的に選. ところで,全員で吹いている時には,指導者側. ぶようにした。. にとっても演奏者側にとっても,一人ひとりがき. ルネサンス期やバロック時代の舞曲などのアン. ちんと吹けているかどうかを聴き取るのは難し. サンブルに取り組むなかでは,派生音の運指が克. く,細かい音の処理が曖昧なまま授業が進んでし. 服すべき課題点の1つとなった。運指そのものを. まいがちである。そこで,10人という少人数授業. 正確に習得できないということよりも,派生音の. の利点を活かし,1人ずつ吹かせる場面を意識的. 運指に対する強い苦手意識が窺えたのである。そ. に多く設けた。全員で演奏している際にはスラー. の要因としては,小中学校の頃にリコーダーを演. などがきちんと吹けているように聞こえても,1. 奏した際の「時々登場する特別な音」という意識. 人ずつ吹く場面を設けることで,より緊張感を. が強く残っており,必要以上に身構えてしまって. もってスラーなどの音の処理を意識することにな. いることが推察される。派生音の少ない楽曲を吹. る。中学校や小学校の器楽指導においても,指導. くことからはじめて,徐々に派生音を多く含む楽. 者が,学級全体の響きとしてリコーダーの音を捉. 曲の練習に移行させていくようにしたのはもちろ. えるだけではなく,児童生徒一人ひとりの音を捉. んだが,派生音を単体の音として吹くだけでなく,. える場面や視点を意識的に確保することは重要で. メロディーの一定の流れの中で吹くことができる. あろう。. ようになるための指導を重点的に行った。. ⑵ 技能習得への意欲を喚起するために 第4回目以降の授業では,後述するように,ル. 5.音楽ジャンルに基づく選曲の視点. ネサンス期やバロック時代の舞曲などのアンサン. 授業の中で扱う楽曲については,特定の音楽. ブルを行った。ソプラノリコーダーもアルトリ. ジャンルに偏らないように,ルネサンス期の舞曲,. コーダーも, 学生にとっては基本的に「学び直し」. バロック時代の舞曲,唱歌,民謡,ポピュラー音. であり,小中学校での学習経験や記憶などと切り. 楽などのジャンルを幅広く扱った。これらのジャ. 離せるものではないだろう。小中学校のリコー. ンルのうち,ここでは授業で扱った順序に従い,. 286.
(6) 教員養成段階におけるリコーダーの学び. ⑴バロック時代の舞曲,⑵ルネサンス期の舞曲,. ス期にはすでに,リコーダーアンサンブルが楽し. ⑶ポピュラー音楽の3つについて,その指導の要. まれていたことが窺える。. 点を述べる。. 第5回目の授業からは,バロック時代から歴史 を遡り,三重奏や四重奏によるルネサンス期の舞. ⑴ バロック時代の舞曲. 曲を演奏した。演奏したのは,ソプラノリコー. バロック時代になると,ルネサンス期のリコー. ダー2声部とアルトリコーダー1声部による三重. ダーに比べ,その内径が大きく変化した。内径を. 奏として《3声のカンツォーネ集》から「三重奏」. 円錐形にすることにより,2オクターブ以上の音. (T. モーリー作曲),ソプラノリコーダー・アル. 域が出せるようになった。ピッチについては,現. トリコーダー・テナーリコーダー・バスリコー. 代のような一定の基準はまだなく,地域や年代に. ダー各1声部による四重奏として《バスダンス》. よって違いがあった。外観に装飾がみられ華やか. (T. スザート作曲)などの楽曲である。ここでは,. になり,ジョイントが作られて分割できるように. ソプラノリコーダーやアルトリコーダーとは違. なったのもバロック時代である。ブレッサンやス. い,初めて触れるテナーリコーダーとバスリコー. テンズビー,デンナーなど,名器が多数生まれ,. ダーの演奏技能の習得を目指すとともに,ルネサ. リコーダーのための曲も数多く作曲された。. ンス期の音楽様式に触れさせることも意図した。. 第4回目の授業では,アルトリコーダーによる. たとえばピアノ演奏を習った経験を持つ学生の. 二重奏として,バロック時代の舞曲からさまざま. 場合,弾いたことのある楽曲はおおよそバロック. な作曲家による《ガヴォット》,《メヌエット》,. 時代から印象主義の範囲であることが多く,バ. 《サラバンド》 ,《ジグ》などを演奏した。バロッ. ロック時代以前のルネサンス期の音楽に触れた経. ク時代の様式的特徴をもつこれらの楽曲の演奏を. 験は少ないことが予想される。他方,リコーダー. 通して,ヘミオラやトリルの奏法,替え指の方法. の場合には,ルネサンス期の楽曲レパートリーが. などについて学ばせることを意図した。例えば《サ. 豊富であり,ルネサンス期の音楽様式を体験的に. ラバンド》 (シックハルト作曲)の演奏では,ヘ. 学ぶことが可能となる。実際に三重奏や四重奏に. ミオラを意識して楽譜を見つめ,ヘミオラの拍感. 取り組むなかでは,旋律のリズムや音価を把握す. を捉えて旋律を演奏することにより,曲想にとっ. ることに難しさを感じている場面も見られ,やは. て適切なブレスの位置を判断することの必要性に. りピアノの演奏経験などを通して身に付いている. 気づかせた。. 音楽様式との違いに戸惑う様子が窺えた。 ルネサンス期などの古い時代の楽曲の場合は,. ⑵ ルネサンス期の舞曲. 楽譜にスタッカートやブレス記号などが記載され. リコーダーの歴史は長く,ドルドレヒト(オラ. ていないことが多い。そのため,これらの楽曲を. ンダ)で発見されたリコーダーが,現存する最も. 演奏する際には,演奏者自身がフレーズのまとま. 古いリコーダーとされており,14世紀後半のもの. りや区切れを見つけたり,どの音を短くすればそ. とみられている。ルネサンス期には,絵画や教本. の楽曲の曲想に合っているかを判断したりしなけ. の中にリコーダーが多数描かれており,それらは. ればならない。さらに,ルネサンス期の舞曲をリ. 円筒形のシンプルな形状をしている。第7孔(小. コーダーアンサンブルとして演奏する際には,そ. 指の孔)が左右に2つ開けられていて,使用しな. れぞれの演奏者が吹く音の長さを揃えて吹くこと. いほうの孔はワックスで閉じて演奏する7)。これ. が,非常に重要であると同時に,克服すべき課題. は,右手と左手のどちらが上でも吹けるように作. となる。指導の過程では,たとえばスタッカート. られていたためである。大小様々なリコーダーが. で吹く場合にも,一律に同じ音価で処理するので. 描かれた絵画が残されていることから,ルネサン. はなく,それぞれの楽曲の曲想にあった長さで吹. 287.
(7) 石出 和也・中野 聖子. く必要があることや,同じ楽曲のなかであっても, フレーズなどの特徴に応じてスタッカートの長さ. 6.リコーダーについての理解を深める学び. を変えることなどを,意識的に経験させるように. 現在の学校教育では,プラスチック樹脂製のリ. した。. コーダーを使用することが一般的であろう。一方, 歴史的な流れの中で捉えれば,柘植や楓,黒檀,. ⑶ ポピュラー音楽. 紫檀などの堅い木を素材としたものからリコー. 第11回目の授業からは, 《虹の彼方に》(H. アー. ダーの歴史は始まっている。そこで第2回目と第. レン作曲)や《ミシシッピミュール(カクテルズ. 3回目の授業では,前述のような演奏技能を習得. より) 》 (J.D. ケアリー作曲)などのポピュラー音. するための授業内容とあわせて,リコーダーその. 楽の演奏に取り組んだ。それまでの授業で演奏し. ものについての理解を深める場面も設けた。第2. ていたルネサンス期やバロック時代の舞曲に比べ. 回目の授業では,その後の授業でルネサンス期や. ると,これらは,よりリズミカルであり,いわゆ. バロック時代の舞曲を扱うことを見据えて,リ. る「ノリのいい楽曲」である。そのため,これら. コーダーの歴史についての学習場面を位置づけ. の楽曲の練習では,ある程度演奏することができ. た。具体的には,ルネサンス期からバロック時代. るようになると,曲調に応じてスタッカートの付. にかけてのリコーダーの特徴とその変化,バロッ. け方を考えるなど,自分たちで表現方法を工夫し. ク時代以降のリコーダーの一時的な衰退11),「古. てまとめる様子も見られた。. 楽復興運動」による復活などの歴史的変遷につい. さらに,《虹の彼方に》には高音域への跳躍進. て概説した。このような歴史的背景があることを. 行が含まれていることから,特にサミングの「学. 知り,学生たちがリコーダーについての認識を新. び直し」にもなった。小中学校におけるサミング. たにすることを目指した。. の指導については,タンギングに比べると時間を. 続く第3回目の授業では,授業者が実際に木製. かけて手厚く指導される機会が少ないことや,教. リコーダーを製作している工房の様子を示しなが. 師と子どもが対面している学習形態では,教師か. ら,その製作工程について説明した。以下①~④. ら子どもの左手親指とサムホールを目視で確認し. は,木製リコーダーの製作工程について,その概. にくいことなど,いくつかの課題点も指摘されて. 要を要約的に示したものである。. 8). いる 。また,運指表の表示記号の見た目に影響 されてしまい,サミングはサムホールの隙間を. ①10年以上乾燥させた木(柘植や楓など)を角材. ちょうど半分開けると誤解している例もある9)。. にする。その角材を丸く削り,ドリルで内径を. 教員養成段階でサミングの「学び直し」をする. 削ったあと,寸法通りになるようにリーマーを. 際には, 「サミングはこのようにしなければなら. 通す〔写真1〕。内径加工が終わった木を旋盤. ない」という意識から, 「音を出すためにサミン. にセットし,外観を削っていく。基準の数値ま. グをする」という意識へと転換させることが大切. で削り,丸みをつけてリコーダーの形に仕上げ,. 10). となるだろう. 。つまり,サミングを単なる手. 指の運動として捉えさせるのではなく,自分が作. サンドペーパーで磨く〔写真2〕。着色するも のには着色をして,オイルに漬ける。. り出す音を注意深く聴きながら吹かせることによ. ②頭部管をのみで削り,ウィンドウ部分を作る〔写. り,リコーダーは作音楽器であるということを再. 真3〕。ウィンドウに合わせてウィンドウェイ. 認識させることが重要となる。. を削る。ウィンドウェイが完成したら,そこに ぴったり合うようにブロック(杉材)を入れて いく〔写真4〕。リコーダーは,ウィンドウェ イとブロックのバランスで音色がほとんど決ま. 288.
(8) 教員養成段階におけるリコーダーの学び. 〔写真1〕. 〔写真2〕. 〔写真3〕. るため,削り過ぎないように,少しずつ調整し ていく。. 〔写真4〕. 〔写真5〕. 〔写真6〕. ④音色や音程を確認しながら,全体を微調整して 完成となる〔写真7〕。. ③中部管のジョイント部の上下に糸を巻き,頭部 管と足部管が抜けないよう調整する。中部管と. 教員養成課程に学ぶ学生たちは,将来的に小学. 足部管にドリルで音孔を開ける〔写真5〕。最. 校や中学校の音楽科授業を担うことになる。そう. 初のうちは,音孔は小さめに開けて,調律しな. した学生たちが,教師への学びの一環として,リ. がら少しずつ削っていく〔写真6〕。. コーダーの歴史について理解し,その魅力や可能. 289.
(9) 石出 和也・中野 聖子. 習得は「学び直し」ではなく「新たな学び」であっ たといえるだろう。 小学校や中学校の音楽科授業においても,ソプ ラノリコーダーやアルトリコーダー以外の種類の リコーダーを児童生徒に示し,目で見て比較をさ せたり,耳でその音色の相違を確かめさせたりす る場面はしばしば見られる。また,児童生徒たち が目にする各種資料等では,ソプラノリコーダー やアルトリコーダーのみではなく,さまざまな種 〔写真7〕. 類のリコーダーが紹介されていることも多い。例 えば山中他(2010)では,小学校第3学年におけ. 性を再発見することは,器楽の授業づくりをより. るソプラノリコーダーの初期指導場面において,. 広い視野から支える力にもつながると考えられ. ソプラニーノリコーダーからソプラノリコー. る。楽器を歴史や文化の中に位置づけて捉えるこ. ダー,アルトリコーダー,テナーリコーダー,バ. とは, 今日の音楽科教育が標榜する教育内容とも,. スリコーダーを子どもたちに「楽器博物館」とし. 矛盾するものではない。. て示す実践事例が報告されている。この実践では,. ただし,価格やメンテナンス方法,保管方法な. 子どもたちがリコーダーと初めて出会う場面で. どの面において,プラスチック樹脂製のリコー. 「大人の世界の本格的な楽器」が演奏できるとい. ダーが学校教育上の優れた利点を持っていること. う気持ちを持たせ,演奏への意欲を高めることを. は疑い得ない。教員養成段階でのリコーダーの学. 目指している12)。. び直しを考えると, 「本物のリコーダーは木製で. また,小学校のソプラノリコーダー指導におけ. あり,プラスチック樹脂製は本物のリコーダーで. る授業進行上の工夫として,しばしば教師がテ. はない」といった,本物であるか否かの短絡的な. ナーリコーダーを使用することもある。テナーリ. 理解を求めるのではなく,木製リコーダーの長い. コーダーはソプラノリコーダーよりも音孔と音孔. 歴史や文化をきちんと知りつつ,その上で現代の. の間隔が広いため13),教師による運指の手本を. プラスチック樹脂製リコーダーの利点も把握する. 児童が見やすいこと,そして,テナーリコーダー. ことで,木製とプラスチック樹脂製の両方をあわ. はソプラノリコーダーよりも1オクターブ低い音. せたリコーダーの世界の拡がりを認識させること. が鳴るため,児童たちが吹くソプラノリコーダー. が重要であろう。. の音と教師による範奏を区別して聴き取りやすい ことなどが,その主な利点である。ただし,児童. 7. さまざまな種類のリコーダー演奏を経験 することの意義. 生徒が実際に演奏するリコーダーの種類として は,小学校ではソプラノリコーダー,中学校では アルトリコーダーがやはり中心であろう14)。. 前述のように第5回目以降の授業では,さまざ. それでは,教員養成段階での学びとして,ソプ. まな種類のリコーダーを用いたアンサンブルを. ラノリコーダーとアルトリコーダー以外のリコー. 行った。ソプラノリコーダーやアルトリコーダー. ダー演奏を習得することの意義はどのような点に. にかかわる技能習得が主に「学び直し」であるの. あるのだろうか。再び学生による振り返りの言葉. に対して,テナーリコーダー,バスリコーダーに. を参照しながら,主な意義として考えられるもの. ついては,初めて演奏するという学生がほとんど. を2点指摘したい。. であった。そのため,これらのリコーダーの技能. 290.
(10) 教員養成段階におけるリコーダーの学び. 「リコーダーの種類に応じた留意点も学ん. 「吹奏楽のアンサンブルをする機会はたくさ. だ。ソプラノリコーダーは管が短いため,ア. んあったが,このようにリコーダーでアンサ. ルトリコーダー,テナーリコーダー,バスリ. ンブルをするという機会は初めてで,リコー. コーダーなどと同じ要領で吹こうとすると,. ダーのアンサンブルはやりがいがあるのだと. 低い音が上手く出なかったり,ピッチが高く. とても実感することができた。」. なってしまったりするので,注意が必要だと 感じた。 」. 小学校や中学校の音楽科授業でもリコーダーア ンサンブルに取り組むことは多いが,基本的に. 第1の意義として,ソプラノリコーダーとアル. は,ソプラノリコーダーのみによる合奏や,アル. トリコーダーの演奏方法を,さまざまな種類のリ. トリコーダーのみによる合奏,あるいはソプラノ. コーダーの中に位置づけて〈相対的に〉捉え直す. リコーダーとアルトリコーダーの両方を用いた合. ことができる点が挙げられる。つまり,自分自身. 奏などが一般的である。もちろん,ソプラノリ. の手指と楽器とのかかわりや,その楽器を吹くた. コーダーやアルトリコーダーのみによるアンサン. めに必要な呼気の量などを,リコーダーの種類に. ブルの教育的意義は十分に認めらよう。だが一方. 応じて調節することができるようになるのであ. で,旋律の音域が偏ったり,和音などの音の重な. る。 たしかに, ソプラノリコーダーやアルトリコー. りが響きの厚みを欠いたりすることもある。. ダーのみを演奏することによっても,リコーダー. ソプラノリコーダー,アルトリコーダー,テナー. の技能を身に付けることは可能であり,事実,学. リコーダー,バスリコーダーのすべてを用いたア. 生たちは小学校以来そのようにして,リコーダー. ンサンブルの響きを味わうことで,前述した演奏. の技能を学んできた。だが別の見方をすれば,そ. 技能の相対化と同様,ソプラノリコーダーやアル. れらは「ソプラノリコーダーの演奏方法」や「ア. トリコーダーによるアンサンブルの鳴り響きにつ. ルトリコーダーの演奏方法」であり, 「リコーダー. いても,より〈相対的に〉把握できるようになる. の演奏方法」として一般化できる技能とは少し異. ことが期待される。将来的に小学校や中学校でア. なる。複数の楽器の微妙な違いを意識しながら,. ンサンブルの指導を行う際にも,リコーダーの種. より汎用性のある吹き方を身に付けることは,教. 類に応じた響きの特性を理解しておくことは,各. 師の側にとっては重要な技能となるはずである。. パートの人数バランスを調整したり,音域や音の. たとえば,将来的に小学校でソプラノリコーダー. 重なり方に着目した選曲をしたりするなどの工夫. を指導する場合を考えてみても,ソプラノリコー. を可能とするだろう。. ダー以外のさまざまなリコーダーの特徴も知った. 以上,教員養成段階でソプラノリコーダーとア. うえでソプラノリコーダーの演奏方法を捉えるほ. ルトリコーダー以外のリコーダー演奏を習得する. うが,何をどのように調節すればよいのかを,楽. ことの意義を2点示した。学生の振り返りの言葉. 器の大きさや構造に即してより細かい視点で思考. を参照すると,さまざまな種類のリコーダー演奏. することが期待できる。. を体験したこと以外にも,各パートを複数人では. ソプラノリコーダーとアルトリコーダー以外の. なく1人ずつ演奏することや,アンサンブルを行. リコーダーを学ぶことの第2の意義としては,よ. うために欠かせないチューニングを行ったことな. り幅広い音域や音色によるアンサンブルの響きを. どについて,それまでに経験したことのない新た. 感得できる点が挙げられる。学生の振り返りの言. な学びとして捉えていることが窺える。. 葉からは,さまざまな種類のリコーダーを用いた アンサンブルという体験自体が,新たな学びと なっていたことも窺える。. 「今までの学校の音楽教育の中ではクラス全 体での合奏はすることはあっても,アンサン. 291.
(11) 石出 和也・中野 聖子. ブルや少人数での合奏はあまりしたことがな. な っ た 記 憶 が あ る。 実 際 に こ の 講 義 内 で. く,時間をしっかり取ってメンバーと息を合. チューニングをすると全体の響きが良くなる. わせたりするような場面もなかったため大変. し,吹いている私たちも気持ちよく吹けると. 貴重な経験になった。」. いうことを再確認できた。」. 「アンサンブルでは,四つの楽器をみんなで 交代しながら吹くことが出来た。そのため高 音のパートから中低音,低音のパートの役割 を考えながら吹くことが出来,良い学びの機 会となった。…(中略)…違うパートを吹く ことで,ほかのパートもイメージしながら合 わせることができて,良いアンサンブルと なった。 」. チューニングについては,演奏者が元々持って いる息圧や吹き方に加えて,木の削り方の違いに よる楽器の個体差も考慮しなければならない。毎 回の授業では,ソプラノリコーダーはG音を基準 と し, ア ル ト リ コ ー ダ ー は C 音 を 基 準 と し て チューニングをさせた。ただし,演奏前に1つの 音 の み で 音 程 を 合 わ せ る だ け で は な く, メ ロ ディーやフレーズなどの音楽的な流れの中で音程 をそのつど捉え,調整する必要もある。サミング. 特に,同一の楽曲について,すべてのパートを. の説明の際にも述べたように,作音楽器であるリ. 一通り演奏できるようにすることは,楽曲の全体. コーダーの音を,きちんと意識的に聴くことが重. 構成の把握を促し,旋律どうしの関わりを鮮明に. 要である。そこで最初は,お互いの音程が合って. 聴き分けながら演奏することにもつながる。アン. いないときに生じる「うなり」に気づかせること. サンブルに必要なリコーダーの演奏技能を習得・. から始め,聴き合いながら音程を調整できるよう. 向上させていくことと同時に,演奏している楽曲. にしていった。. についての構造的理解を深めていくことは,いわ ば「リコーダー演奏を通しての学び」として整理 できるだろう。 「リコーダーの音程を合わせるということも この授業で学んだ。小・中・高と学生の時, リコーダーに関してはあまり音程を気にせず に演奏していた。音程を合わせることでより 音楽がまとまった。自分が授業をするときに, 一人ひとりの音程を合わせることは難しいの かもしれないが,そういうところにも気を 配って指導していけたらと思った。」 「この講義では,小中学校で習ったことはも ちろん,それ以外のこともたくさん学ぶこと が出来た。例えば,リコーダーのチューニン グである。私は,小中学校の授業でリコーダー のチューニングをしたことがない。そのため 中学校の頃,音があっておらず,リコーダー のチューニングはしてはいけないのかと気に. 292. 8.まとめにかえて 本稿は授業実践の報告が中心であり,その実践 内容はあくまでも授業者と学生の相互作用の結果 である。そのため,本稿での報告内容を「教員養 成カリキュラムにおけるリコーダー学習の方法」 などとして一般化することは慎まなければならな いだろう。ただし,教員養成段階におけるリコー ダーの学びを「学び直し」と「新たな学び」とい う軸に基づいて整理することは,教科内容論およ び教材論としての性格を含み持つ授業のありよう を追究する上で,一定の意義を持つと考えられる。 本稿で報告した授業内容を総括的に振り返れ ば,⑴リコーダーの演奏技能の習得と向上,⑵リ コーダーについての理解を深める学び(リコー ダーの歴史や製作工程など),⑶リコーダー演奏 を通しての学び(ルネサンス期の音楽様式を体験 的に理解することや,楽曲の全体構造を把握する ことなど),という3つの区分を設けることがで.
(12) 教員養成段階におけるリコーダーの学び. きる。これらのうち,学生たちにとって「学び直. 密には,音楽科授業としての教育内容が明言されてい. し」の対象となっていた内容が,中学校(あるい. ない文脈では教材・教具という表記はできないことか. は小学校)の音楽科の教育内容・教科内容と重. ら,基本的に本稿では「リコーダー」とのみ表記して いる。. なっていることは言うまでもない。一方,「新た. 5)本文中でも明記したように,授業内容の分析と検討,. な学び」の対象となっていた内容には,当然なが. ならびに論文全体の執筆は,2名の著者で協議しなが. ら,中学校や小学校における音楽科の教育内容・. ら進めた。本研究紀要の規約・要領が示す条件に従い,. 教科内容を超えた内容もしばしば含まれる。そう であればこそ,そうした新たな学びの内容が,音 楽科の教育内容・教科内容と矛盾するのではな く,むしろ音楽科授業を構想・実践するための力 量として昇華されることを目指す必要がある。今. 専任教員を第一著者として挙げているが,論文の執筆 作業の上では2名の著者に実際的な差はなく,従って 執筆分担箇所を抽出することはできない。 6)平井李枝(2017)「学習者の苦手意識を解決するアル トリコーダー指導法の研究-中学生への指導を中心 に-」 『宇都宮大学教育学部教育実践紀要』第3号, pp.171-178.. 回の考察を基礎として,教員養成段階におけるリ. 7)本稿では,リコーダーの構造に関わる説明でトーン. コーダーの学びについて,継続的に研究を進める. ホールやサムホールを指す際に,「穴」ではなく「孔」 という表記を使用する。. 予定である。. 8)橋本龍雄(2001) 「リコーダー学習におけるサミング の指導のあり方と教材開発-小学校における教師と子. 註および引用文献 1)参考までに「小学校学習指導要領」(平成29年3月告 示)を見ると, 「第3学年及び第4学年で取り上げる旋 律楽器は,既習の楽器を含めて,リコーダーや鍵盤楽器, 和楽器などの中から児童や学校の実態を考慮して選択 すること」とある。本研究の範囲内では,小学校およ び中学校の音楽科授業におけるリコーダー使用につい ての量的調査を行ってはいないが,これまでの音楽科 の授業実践の蓄積からすれば,こうした現状認識は十 分妥当であろう。 2)梶間(2017)の指摘するところによれば,器楽教育 に関する研究動向としては,授業案や授業構成,合奏 活動にかかわるものが多いという。 梶間奈保(2017)「小学校音楽科にみる器楽教育の楽 曲研究⑴-器楽教育における教材曲の教育的価値-」 『島根県立大学短期大学部松江キャンパス研究紀要』 Vol.56,pp.165-171. 3)教員養成段階におけるリコーダーの技能習得にかか わる先行研究としては,例えば埜上(1996),埜上(1997) , 崎山(2016)などがある。 4)本稿では,中学校(あるいは小学校)の音楽科授業 場面を想定した文脈であっても,「教材としてのリコー. どもの実態を通して-」『福井大学教育地域科学部紀要 Ⅵ(芸術・体育学 音楽編) 』34,pp.37-55. 9)前掲6) ,p.177. 10)前掲8) ,p.48. 11)「リコーダーの一時的な衰退」に関しては,例えば, 大きなコンサートホールが建てられたことでオーケス トラのための曲が数多く作られるようになり,音量の 小さなリコーダーは活躍の場がなくなってしまったこ となどを概説した。 12)山中和佳子, 庭田光晴(2010) 「 〈活動別プロジェクト〉 プロジェクトⅡ:器楽 小学校第3学年におけるリ コーダーとの出会いの指導と教育評価-子どもたちに とって楽しく愛着のある楽器になることを目指して-」 『音楽教育実践ジャーナル』vol.10,no.1,日本音楽教 育学会,pp.23-31. 引用はp.25. 13)南谷悠子(2017)「 【研究ノート】小学校第3学年にお けるリコーダー導入期の試案-意欲の高まりと学習定 着の観点から-」 『子ども学研究論集』⑼,pp.89-98. 14)高等学校芸術科音楽の授業においては,テナーリコー ダーやバスリコーダーを用いたアンサンブルなどの授 業実践も見られる。ただし本稿では,義務教育段階の 音楽科授業として,中学校あるいは小学校の授業を想 定している。. ダー」 「教具としてのリコーダー」などの表記は意図的 に避けた。教材とは,一般的には「教育内容の獲得を. 参考文献. 意図して授業過程に導入され,学習活動の直接の対象 となる素材」などと説明される。こうした概念規定に 従えば,音楽科授業における教材は,教育内容とのか かわりに応じて規定されることになる。「教材・教具と してのリコーダー」という表記も可能ではあるが,厳. 緒方満(2016)「小学校音楽科におけるリコーダー奏法の 学習指導に関する提言-息づかい・指づかい・舌づか いの指導を中心に-」 『 比 治 山 大 学 紀 要 』 第23号, pp.163-169.. 293.
(13) 石出 和也・中野 聖子. 崎山弥生(2016) 「学生の「リコーダー」に対する基礎知 識の現状-学校教育教員養成課程 共通科目小学校教 科「音楽」の授業を通して-」『琉球大学教育学部教育 実践総合センター紀要』第23号,pp.171-176. 埜上定(1996) 「教員養成大学における効果的なリコーダー の履修Ⅰ(アルトを中心として)」『新潟大学教育学部 紀要(人文・社会科学編)』第37巻第2号,pp.327-350. 埜上定(1997) 「教員養成大学における効果的なリコーダー の履修Ⅱ」 『新潟大学教育学部紀要(人文・社会科学編) 』 第38巻第2号,pp.327-350. 柳生力(1978) 『学級におけるリコーダー指導の研究』音 楽之友社.. (石出 和也 北海道教育大学札幌校准教授) (中野 聖子 リコーダー製作家・演奏家) . 294.
(14)
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