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地域子育て支援拠点における食育

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Academic year: 2021

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(1)Title. 地域子育て支援拠点における食育. Author(s). 岡本, 千晴; 岡田, みゆき. Citation. 北海道教育大学紀要. 教育科学編, 71(2): 169-176. Issue Date. 2021-02. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11694. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 北海道教育大学紀要(教育科学編)第71巻 第2号 Journal of Hokkaido University of Education(Education)Vol. 71, No.2. 令 和 3 年 2 月 February, 2021. 地域子育て支援拠点における食育 岡本 千晴・岡田みゆき* 旭川市子育て支援センターぱれっと *. 北海道教育大学旭川校家庭科教育研究室. A Study on Food Education in Child Care Support Center Services OKAMOTO Chiharu and OKADA Miyuki* Asahikawa Childcare Support Center, Paretto *. Department of Education, Asahikawa Campus, Hokkaido University of Education. 概 要 乳幼児期の食は,基本的な食習慣の形成,味覚や食嗜好の基礎が培われる重要な時期である。 食育基本法(2005)や第3次食育推進基本計画(2016-2019)において,子どもに対する食育 の重要性が指摘されており,同計画には,保育所,幼稚園及び幼保連携型認定こども園等にお ける食育推進についても述べられている。在籍する子ども及び保護者のみならず,地域の子育 て家庭への食育推進が掲げられ,家庭における食育推進のあり方の検討が必要と考えられる。 そこで,本研究では,家庭での食育を推進するため,地域子育て支援センターや子育て支援拠 点等で,簡単に継続して行える食育講座の内容を開発し,食育講座を実践し,保護者自身が講 座内容から学びたい事柄,家庭で実践したい内容がどのようなものであるか検証することを目 的とした。食育講座実践後,「参加して学んだこと」「参加してもっと知りたい点」「参加して 自宅でやってみたいこと」 「食についての関心点」の4項目の自由記述式アンケートを実施し 記述内容からカテゴリー形成をして結果を整理した。結果は以下の通りであった。 ・食育講座は座学だけではなく,試食や調理を取り入れるなど講座方法を工夫し構成した。 ・食育講座では,酸味のような苦手な味も避けずに食卓に出すことや,子どもの好き嫌いを 神経質に捉えず改善することに焦らなくて良いことを学んだ。 ・食育講座で更に保護者が知りたい事は,簡単にできる調理法,なお且つ栄養がある献立だっ た。 ・保護者が食で興味がある事は,栄養バランスや食品添加物についての事だった。. 169.

(3) 岡本 千晴・岡田みゆき. 1.研究の目的 乳幼児期の食は,基礎的な食習慣の形成,味覚や食嗜好の基礎が培われる重要な時期である。食育基本法 (2005)においては,第19条の家庭における食育の推進として,「保護者や子どもの食に対する関心と理解 を深め,健全な食習慣の確立を図る他,親子の料理教室など望ましい習慣を学びながら食を楽しむ機会の提 供や,適切な栄養に関する知識の普及や情報提供,乳幼児をはじめとする子どもを対象とする発達段階に応 じた栄養指導など,家庭における食育推進を支援するために必要な施策を講ずるものとする」が掲げられて いる。子どもに対する食育を推進するために,家庭も重要な役割があるとされている。また,第3次食育推 進基本計画(2016-2019)の重点課題に「若い世代を中心とした食育の推進」が挙げられている。重点課題 に取り組むにあたって, 「子供のうちに健全な食生活を確立することは,生涯にわたり健全な心身を培い, 豊かな人間性を育んでいく基礎となるため,子供への食育の基礎を形成する場である家庭や学校,保育所等 との連携により食育の取組を確実に推進する」と掲げられており,子どもに対する食育の重要性が指摘され ている。同計画には,保育所,幼稚園及び幼保連携型認定こども園等においての食育推進が述べられており, 在籍する子ども及びその保護者のみならず,地域における子育て家庭への対応や情報提供などに努め,積極 的に食育を推進することが掲げられており,家庭における食育推進のあり方の検討が必要と考えられる。 それでは,保育所等にまだ通っていない子どもの食育は,どのように推進すべきであろうか。 保育所等に在籍していない親子の多くが集う場として,地域子育て支援センターや,保育所及び幼保連携 型認定こども園に併設された子育て支援を行う未就園児親子が集える場がある。主に,子育ての不安等を緩 和し,健やかな育ちを推進する場である。これらの場は,家庭での食育を推進する場所として期待できると 考える。 これらの支援施設では,食育講習として,保護者向けに,栄養士より離乳食講習や季節の素材を 活かしたクッキング等,多岐にわたり実施されているが,単発の講習が多く,継続された食育講座ではない。 しかしながら,食習慣は,日々の積み重ねを通して習得していくものであり,継続した食に関する講習が必 要であると考えられる。 これらの場での食育に関する先行研究は,保育所等における子どもの食育に関する文献や保護者の食意識 に関するものは多く見られるが,子育て支援施設での先行研究は,橋本ら(2011)の「子育て支援センター における食育に対する取り組みに関する調査」と岩橋(2016)の「子育て支援センター親子教室における食 育の取組」と文献が少ない。橋本ら(2011)は,子育て支援センターでの食育活動を推進する可能性を検討 し,そのためには,栄養士や食生活ボランティア団体との連携によって食育の方法や場所,スタッフの充実 を図ることが必要であることが報告されている。また,岩橋(2016)は,子育て支援センターで行った「野 菜スタンプ遊び」の事例を取り上げ,効果について検証しており,子どもの食育を推進するには,経験が重 要であると報告されていた。しかし,どちらも子育て支援センターで,食育を推進するための具体策や,継 続された活動については取り上げられていなかった。 そこで,本研究では,家庭での食育を推進するため,地域子育て支援センターや子育て支援拠点で簡単に 継続して行える食育講座の内容を開発し,食育講座を実践し,保護者自身が講座内容からどのような事を学 び,家庭で実践したい内容がどのようなものであるか検証することを目的とした。. 2.研究の方法 ⑴ 研究対象と実施期間 研究対象は,認定こども園たかす円山幼稚園の子育て支援カンガルー組(主に0,1,2歳児)利用親子. 170.

(4) 地域子育て支援拠点における食育. とした。人数は,延べ36組である。 実施期間は,2019年6月〜2020年1月まで毎月1回実施した。 ⑵ 食育講座の視点 乳幼児栄養調査(2015)によると,子どもの主要食物の摂取頻度において,魚,大豆・大豆製品は肉や卵 に比べて摂取割合が低いこと,また,子どもの食事について約8割の保護者が偏食や,食事に時間がかかる こと,遊び食べ等の困りごとを抱えている。これらの点に注目し,講座を行う上で以下の視点に着目し取り 上げた。 ① 子どもの食嗜好について ② 味覚について ③ 子どもが苦手とする食材・食習慣について ⑶ 食育講座内容 食育講座は,表1に示す通り,全8回で構成した。 6月21日は,子どもの好き嫌いについての話をし,なぜ子どもが好き嫌いをするのか,家庭の中でできる こと,家庭の食卓で大切にしてもらいたい事を理解してもらうため,資料とスケッチブックを用いて説明を した。また,子どもが苦手とする食材である「人参」を用いて人参ごはんを炊き,一口ずつ試食をし,子ど もが苦手とする野菜を簡単に活用する方法を伝えた。 7月5日は,美味しさについて取り上げた。導入として,「最近食べた美味しかったもの」について,参 加者と話し合った。美味しいと感じる要素として,味覚以外にも,さまざまな要素が感覚器官を通して脳に 伝わり「おいしい」と判断される話をした。最後に乾物を利用した家庭でも簡単に作れる「ふりかけ」作り をした。当日,実際に保育園で提供している給食の試食会があり,皆で一緒に給食を食べた。参加者は,保 育園の給食と自分の子どもが食べる量を確認したり,試食をすることで,家庭との味付けの比較を行ってい た。 8月23日は,甘味・塩味について取り上げ,甘味は,エネルギー源になるが,過度に摂る習慣がつくと, 甘味に対する味覚が鈍ってくる話をした。実際に,清涼飲料水の糖分について,スティックシュガーを使い, それぞれの清涼飲料水がどのくらい使われているか,参加者に試してもらった。塩味についても,体液のバ ランスを取るのに,必要なミネラルだが,普段の食生活の中で,塩辛いものばかりを摂取すると塩味に対す る味覚が鈍ることや,加工品などに含まれている食塩相当量についての話をした。 9月27日は,1歳前後の子どもを持つ保護者の参加だった。旨味は料理の美味しさを生むもので癖になる 味であり,離乳食で大切に活用して欲しいということを話した。 また,旨味成分を組み合わせることで旨 味の相乗効果でより料理が美味しくなる話をした。 実際に,昆布だし,にぼしだし,かつおと昆布だし, 市販の粉末だし,しいたけだしの「だしの味わい比較」を行った。味の違いと簡単に出汁をとる方法を紹介 した。 10月25日は,酸味と苦味についての話をした。酸味も苦味も赤ちゃんや子どもは苦手であり,不快な味だ と口から出す事もある話をした。しかし,それは自分の身を守るために敏感に味を感じ取っている事を伝え た。その後,園で育て収穫した「縦長かぼちゃ」を使い,米粉を使った「簡単かぼちゃ蒸しパン」づくりを 行った。乳幼児は,小麦,乳,卵のアレルギーを持っているお子さんが多いため,皆が対応できるよう,小 麦→米粉,乳→豆乳に変更した。 「まぜる」作業は,子どもとお母さん達と一緒に行うことができるため, 家庭の中でできるおやつ作りで有効な方法である。酸味と甘味と一緒にすると,食べやすくなるということ. 171.

(5) 岡本 千晴・岡田みゆき. を伝え,ヨーグルトとカボチャを混ぜ,試食をした。 11月22日は, 子どもが苦手とする食材の一つである魚について話をした。 「自宅で魚を食べるか(頻度含む)」 「どんな風にして食べているか」等,参加者と対話形式をとりながら講座を進めた。保育園の給食の献立の メニューである「鱈のもみじ焼き」をアレンジし,旬である鮭を使い,もみじ焼きを紹介した。 12月13日は,積極的に摂取してもらいたい食材の一つである豆についての話をした。お正月が近いことも あり,黒豆の簡単な作り方についても紹介をし,残り時間で母親からの食に関する質問を受けた。具体的な 質問としては,離乳食に関する事やスプーンの持ち方などであった。 1月31日は,子どもが成長する中で, 「こしょく」がどのような影響を与えるかについて話をした。こしょ く=孤食のみと思っている母親が多いが, 「孤食」「個食」「小食」「子食」「濃食」「固食」「粉食」といった 現代社会に増えている食生活の問題と併せて話をした。また,加工食品とはどのようなものかについて説明 し,クイズ形式で,母親達と一緒に加工食品が何からできているか考え,また多く使われている食品添加物 の話をした。買い物をする時は,食品表示をよく見ることの大切さも話した。 表1 子育て支援「カンガルー組」における食育プログラムの内容 日 時. 内 容. 補 足. 6月21日(金). 好き嫌いについて. 母親の悩み. 7月5日(金). 美味しさについて(味覚・要因) 給食試食会. 五味を大切に. 8月23日(金). 甘味・塩味. 五味を大切に. 9月27日(金). 旨味. だしの飲み比べ. 10月25日(金). 苦味・酸味,おやつづくり. 五味を大切に. 11月22日(金). 魚について. 子どもが嫌う食材. 12月13日(金). 豆について. 子どもが嫌う食材. 1月31日(金). 7つの孤食と食品添加物. 孤食・加工食品. ⑷ 分析方法 食育講座実践後に, 「参加して学んだこと」 「参加してもっと知りたい点」「参加して自宅でやってみたい こと」 「食についての関心点」の4項目の自由記述式アンケートを実施し,記述内容からカテゴリー形成を して結果を整理した。. 3.結果と考察 ⑴ 食育講座に参加して学んだこと 表2は,食育講座を通して学んだことをまとめたものである。( )内は,記述した保護者の人数を示す。 講座に参加し学んだこととして,子どもの食嗜好については,「子どもの好き嫌いを神経質に捉えたり, 改善するのに焦らなくて良いこと」を挙げていた。味覚については,五味の中でも子どもが苦手とする酸味 に関心があり, 「酸味のような子どもが苦手な味も避けずに食卓に出すこと」を挙げていた。食材・食習慣 では, 「いつも食べている食品の材料や食品添加物」について学んだことである。次に,好き嫌い,食べム ラは子どもの発達の上で当たり前であることを学び,また,出汁の大切さについても挙げられていた。家庭 での実践については,講座内で体験をした「人参ご飯・ふりかけ」を作ってみたいという内容や,「子ども. 172.

(6) 地域子育て支援拠点における食育. が嫌いな物も諦めずに食卓に出してみる」ことも挙げられていた。味覚については,実際に「出汁をとって みたい」という声があがり,食材・食習慣については,講座内で体験や紹介をした魚や豆料理を作ってみた いということが挙げられていた。 以上から,この講座の参加者達は,他の参加者や支援者と話をすることで食に対する不安を解消し,作る 体験や試食,作り方を知ることで,食事に対する考え方を変容したり,家庭で我が子に作ってみようという 意欲を持つ事ができた。この食育講座は,家庭において実践が可能な食育や,育児支援につながったと思わ れる。また,子育て支援施設に来る対象年齢が,主に0,1,2歳児なため,講座を行う上で,子どもの食 発達の理解についても説明することが大切であることを感じた。 表2 食育講座に参加して学んだこと. 講 座 家庭での実践. 講座内での 体験・紹介. 子どもの食嗜好. 味覚について. 食材・食習慣について. ・子どもの好き嫌いを神経質に捉 えたり改善するのに焦らなくて 良いこと(3名) ・好 き嫌い, 食べムラは子どもの 発達の上で当たり前であること (2名) ・食事は楽しくすべきということ. ・酸 味のような苦手な味も避けず に 食卓に出す(4名) ・出汁の大切さ(3名) ・甘味と酸味の組み合わせ(2名) ・子どもに飲ませる飲料について見直 すこと ・出汁を取った後の活用法. ・いつも食べている食品の材 料や食品添加物について (2名) ・魚の食べさせ方 ・魚の栄養やメニュー ・豆の簡単調理法 ・5つのこしょくについて. ・人参ご飯・ふりかけを作ってみ たい(2名) ・子どもが嫌いな物も諦めずに食 卓に出してみる(2名). ・鮭のもみじ焼きに挑戦した ・出汁をとってみたい(3名) い ・砂糖の量を気をつける ・簡単にとれる出汁の方法でとりたい ・黒豆を炊飯器で作りたい ・かぼちゃ蒸しパンを作ってみたい. ・人参ご飯 ・ふりかけを紹介. ・清涼飲料水に含まれる糖分の量当て クイズ ・だしの飲み比べ ・酸味と甘味を利用したおやつづくり (かぼちゃ蒸しパン). ・簡単魚メニュー (鮭のもみじ焼き) ・簡単炊飯器黒豆メニュー紹 介 ・加工食品ワークシート. ⑵ 食育講座についての質問,もっと知りたいこと 表3は,食育講座についての質問と,もっと知りたいことについてまとめたものである。子どもの食嗜好 では「少し食べるとあきてしまう」「野菜を食べず,口から出してしまう」「あったらあっただけ食べ物を食 べてしまう」という質問が挙げられた。味覚については,「簡単な出汁のとり方」「出汁の相乗効果」につい て,食材・食習慣についてでは,「スーパーで行っている魚処理について」「離乳食に使える魚」の質問が挙 げられた。もっと知りたい点については,子どもの食嗜好,味覚について,食材・食習慣について,どの項 目の中にも「簡単」や「手軽」にでき,且つ栄養があるメニューを教えてもらいたいことが挙げられていた。 また,食育講座の内容以外で知りたい点として,「添加物について」「栄養バランス」が挙げられていた。 このことから,母親は,我が子に何でも好き嫌いなく食べてもらいたい,食べる量の適量がどのくらいな のかを気にしていることがうかがえる。また,出汁の良さについて理解をしているが「出汁をとることが面 倒」という先入観があるようだった。その他,スーパー等で手軽に魚の処理をしてくれる事も知られていな かった。そして,母親達が更に知りたい事として,日々,簡単にできる調理法,なお且つ栄養がある献立を 知りたい事が分かった。育児を行いながらの食事作りの負担感がある一方で,子どもが健康に成長して欲し いという母親の願いがあり,子どもの毎日の食事の様子で一喜一憂していることがうかがえる。母親の思い や子どもの食の様子について丁寧に質問を聞き,不安を取り除くことで,子どもの食事作りに自信をつける ことが必要である。. 173.

(7) 岡本 千晴・岡田みゆき. 表3 食育講座についての質問,もっと知りたいこと 子どもの食嗜好. 味覚について. 食材・食習慣について. 講座後の質問. ・少し食べるとあきてしまう ・出汁の良さは分かるが子育て中は出 ・スーパーで行っている魚 ・野菜を食べず,口から出してし 汁をとるのも大変。簡単な出汁のと 処理について まう り方 ・離乳食に使える魚 ・あったらあっただけ食べ物を食 ・簡単だしや出汁の相乗効果 べてしまう. もっと知りたい点 . 食育講座内容以外で. 知りたい点. ・栄 養がとれて簡単にできるメ ニューを知りたい ・子どもが苦手と感じにくい野菜 の調理の仕方 ・子どもが食べたがらない物の食 べさせ方. ・砂糖を減らす調理法 ・手軽な魚料理 ・簡単な出汁のとり方 ・色々な魚のレシピ ・美味しい出汁を使った簡単料理 ・出汁を使った離乳食 ・甘い物の与える量について ・食べやすい野菜メニュー ・簡単に作れてお昼ご飯にもなる美味 しいおやつ. ・添加物について(2名). ・人工甘味料などに使われているもの は,人体に影響があるのか ・栄養バランス. ⑶ 「食」についてどのような関心があるか 表4は, 「食」についてどのような事に関心があるかをまとめたものである。カテゴリーを「栄養」 「味覚」 「家庭の食卓」 「食行動」「食品」「料理」の6項目に分けた。「栄養」では,栄養バランス,自分が作る料理 の栄養に偏りがないか,成長する上で必要な栄養を取りやすい料理に関心があることが挙げられた。「味覚」 表4 「食」についてどのような事に関心があるか カテゴリー 栄養. ・栄養バランス(4名) ・栄養が偏っていないかが心配なので,分かりやすい配分法 ・子どもの成長する上で必要な栄養を取りやすい料理. 味覚. ・薄味でどう美味しく食べられるか ・赤ちゃんが好きな味覚. 家庭の食卓 食行動. 174. 内 容. ・楽しく食べてもらう方法(2名) ・楽しく団らん,会話の場にするのにどのような事に気をつけるか ・食べる事を好きになるには ・好き嫌いについて ・子どもが調理に興味を持ってもらいたい. 食品. ・食品添加物について(4名). 料理. ・子どもがすすんで食べてくれるようなレシピ ・バランス良く美味しく食べられるレシピ ・おやつや食事のレシピ ・野菜が沢山食べられるレシピ ・高血圧予防や糖尿病予防の効果が期待される料理 ・塩分について ・頑張らない食事.

(8) 地域子育て支援拠点における食育. では,薄味でどう美味しく食べられるか,赤ちゃんが好きな味覚がどのようなものかについて挙げられた。 「家庭の食卓」では,食事を楽しく,団らんの会話の注意点について挙げられた。「食行動」について,食 自体を好きになってもらうこと,好き嫌いについて関心がある。「食品」について,母親達は食品添加物に ついて関心がある事が分かった。 「料理」について,子どもが進んで食べてくれるようなレシピや,バラン ス良く美味しく食べられるレシピ等といった料理法について関心が高いことが分かった。 以上から,母親が多岐にわたる食について関心があることが分かる。母親自身,子どもの健やかな成長を 願い,食や子どもの食生活に対して興味があるが,慣れない育児での疲労もあり,日々奮闘している母親達 にとって,自分で献立などを検索する事は容易な事ではない。家庭の中で,簡単に作れ,栄養がある食事を 子育て支援センターや,子育て支援施設で,講座を提供していくことは大切であると考えられる。. 4.まとめ 本研究では,家庭での食育を推進するため,地域子育て支援センターや子育て支援施設で簡単に継続して 行える食育講座の内容を開発し,食育講座を実践し,保護者自身が講座内容からどのような事を学び,家庭 でも実践してみたい内容がどのようなものであるか検証することを目的とした。結果は以下の通りである。 ① 食育講座は,座学だけではなく,試食や調理を取り入れるなど講座方法を工夫し構成した。 ② 食育講座では,酸味のような苦手な味も避けずに食卓に出すことや,子どもの好き嫌いを神経質に捉え たり改善するのに焦らなくて良いことを学んだ。 ③ 食育講座で更に保護者が知りたい事は,簡単にできる調理法,なお且つ栄養がある献立だった。 ④ 保護者が食で興味がある事は,栄養バランスや食品添加物についての事だった。 以上のことから,子育て支援施設における食育講座は,保護者が試食や簡単な調理体験を通して,家庭で の実践に活かすことに有意義であった。保護者は,日々,子どもの食の完食や食べ残しに一喜一憂している。 子どもの食嗜好は,子どもの食発達も影響していることを学び,安心してもらうことができた。保護者は, 我が子が健やかに成長するために,栄養バランスや食の安全に興味を持ち,簡単に手間を取らず調理ができ, 栄養や身体に良い献立を求めている。 そして,子どもが美味しく食べてもらうだけではなく,家族にも喜 んでもらえる料理を求めている。しかしながら,子育て支援センターや子育て支援施設に通う主な子どもの 年齢が0,1,2歳であり,食発達の幅が広いため,食育講座に,子どもの食発達の知識も取り入れること が大事である。その上で,年齢に応じた食の形態と,大人の食事が一緒に作れる方法などを講座で取り扱う など,簡単で,自分たち大人が負担にならない調理法などを組み込んだプログラムを提案し,家庭での食育 推進に繋がる食育講座を,今後も継続して行っていきたいと考える。 最後に,本稿執筆にあたりまして,研究資料収集に協力いただいた,認定こども園たかす円山幼稚園,同 園子育て支援カンガルー組,利用親子の皆様に心より感謝いたします。. 引用・参考文献 1)食育基本法. 2005(入手日:2020. 6.20)https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/pdf/kihonho_28.pdf(入手日:2020.6.20) 2)第3次食育推進基本計画. 2016-2019 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/dai3_kihon_keikaku.html(入手日:2020.6.20) 3)橋本加代,岸田恵津「子育て支援センターにおける食育に対する取り組みに関する調査」神戸女子大学家政学部紀要 . 175.

(9) 岡本 千晴・岡田みゆき. pp.36-42. 2011 4)岩橋明子「子育て支援センター親子教室における食育の取組」帝塚山大学現代生活学部子育て支援センター紀要第1号 pp.19-25. 2016 5)乳幼児栄養調査(2015)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000134208.html(入手日:2020.6.20). . (岡本 千晴 旭川市子育て支援センターぱれっとセンター長). . (岡田みゆき 旭川校教授) . 176.

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