実験・観察へのコンピューター利用について(5) : 支援装置FITによる中和滴定の実験と授業
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(2) No.51. 1997.3. 実験・観察へのコンピューター利用について (5)支援装置FITによる中和滴定の実験と授業 矢作 裕(北海道教育大学釧路校)・高橋 和幸(釧路市立北中学校). OntheComputerTechniquesforEducationalExperimentsandObservations (5)Anexampleofachemicalexperimentusingasimpleinterface,,FIT,, HiroshiYAliAGI,KazuyukiTAKAHASHI. ********************. 2:溶液の電導度の測定. 目 次 1:FITの使用領域. (1)中和点の検出. 2:溶液の電導度の測定. 酸とアルカリを混合して中和するときの現象を調べる. とき,もっとも−一般的な方法として,たとえばBTB指 示薬などによる変色を観察する方法がある。このとき,. 3:滴定と中和反応 4:授業の構成. 使用する溶液が商っている場合とか,色がついている場. おわりに. 合などは指示薬を使用することばできない。このような. ********************. 場合,中和点を知る方法としては,電気電導の測定によ るのが便利である。とくに,エレクトロニクスの進歩が. 1:FITの使用領域. 著しい今日,コンピューターの利用を前提にするとき, この方法は特に従前とは全く異なった手軽さで使用できる。. コンピューターの理科の実験での利用は,(1)音の高さ と振動,(2)抵抗の接続,(3)水の温度の上昇,(4)物質の融. (2)FITによる電導度の測定. 点といったテーマ1ト5)をとりあげてきた.その間に抵. 写真−1のような外観をもつFITの内部では,電気. 抗一周波数一分周一一コンビコ_一夕一入力方式のFITに,. 信号の計測方式は,医卜1の回路図に示すようにFIT. 電圧機能を持たせるための回路的な改良も加えられて,. の基本的な動作は交流的な抵抗測定によっている。これ. 現在にいたっている。これまでのテーマに見られるよう. を内部で抵抗(可変抵抗)を変化させて,音をっくりだ. に,物理領域が利用範囲になっているが,FITの利用は,. したり(周波数を変化させる),外部に,とりつけ温度. もちろんこの範囲に限定されるものではない。実際に,. によって抵抗値が変化するサーミスタをセンサ¶として. コンピューター室でヒーターや水を扱ってきた経緯から. 温度計として機能させるなどしてきた。 電解質溶液の測定は,直流的な測定を行うと,電解し. すれば,たとえば化学の分野もはとんど物理領域の実験 のようにあつかうとができる。このことを確認し,あわ. て逆起電力を発生し,分解作用を起こす。しかし比較的. せて実際の授業に適合した内容とするために,副題の酸. 大きな周波数を用いれば分解作用の影響は除去できる。. ・アルカリの中和反応をとりあげた。コンピューター室. この測定方式は周波数が溶液の電導度によって変化する. での化学実験として,まだ改良・改善の余地はあるが,. 点はあるが,比較測定によって固定抵抗に相当する値を. 授業も実施され,化学領域でのコンピューター利用が現. 求め,それを直流電流に置き換えれば,その問題も解決. 実のものとなっている。このように学校教育でのコン. される。この測定はばば交流的(デジタル回路によるCR. ピューター利用は,理科の分野で着実にその利用範囲を. 発振波形)であること,微弱な電流による測定であるこ. ひろげっっある。ここでは,これまでの測定方法の利点. と,そして広い範囲の測定が可能であること,測定対象. を紹介しながら中和滴定実験に関して報哲する。. が相対的な値を問題としていることなどから,液体の電 導度の測定に大変都合がよい。また,FITにはイアホ …ンがついているためKohlrauschブリッジのように働 作させることもできる。. ¶ 9 −.
(3) 矢作 裕・高橋 和幸. 表1 陽イオンと陰イオン¢) Å烏. 陽イオン18℃ 25℃. Ag+. 53.5 61.9. 315 349.8. H+ K+. 63.9 73.5. Na+. 42.8 50.10. NH言. 63.9 73.5. Ba++ 54.6 63.6. 写真1 FITの外観. 入A. 18℃ 25℃. Br ̄. 67.0 77.1. Cl ̄. 65.2 75.2. Ⅰ〝. 66.5 76.4. NO3 ̄. 62.0 71.0. 0H ̄. so3−. 174 196 67 77. ca++ 50.7 59.5. CH3CO2 ̄ 35 41. Mg十・44.9 53.0. C2H5CO2 ̄. cu++ 45.3 56. 喜c204− 63 74.1. これまでFITが現在の抵抗入力型(入力する物理量. 喜pb+十 60.5 70. が抵抗値)である特性を,そのまま利用して,1)抵抗. 陰イオン. C6H5CO2≠. − 35.8. − 32.3. 値一昔の変化,2)抵抗値一抵抗値(可変抵抗を使用せ ずに外部抵抗の測定をおこなう.),3)抵抗値−サー. (4)予備的実験. ミスタ(温度測定),などのような変換をおこなってき. 教科書7)には,「酸・アルカリとその反応」の表題の. た.FITの使用形態としては,このはかに,2値(抵. もとに,実験として,「酸性・アルカリ性の水溶液の性. 抗値がある値を越えたかどうかだけに注目して,コン. 質を調べよう」「酸性・アルカリ性とイオンとの関係を. ピューターに入力させることも考えられるが,現在はそ. みつけよう」「塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の反応に. のようなかたちで教材として利用されていない.FIT. よって生じる物質をしらべよう」と続く。この実験のあ. は多目的の入力装置であるが,FITを利用しないでコ. とに,【中和と電流の変化】の項で,酸にアルカリを加. ンピューターの機能(マウス,キーボードなど)そのも. えたときの電流の変化の実験装置の構成と,グラフとし. のを,たとえばストップウオッチをっくるような直接利. て,加えた水酸化バリウム水溶液の量と電流の変化が示. 用する用途もある点なども指摘しておきたい.. されている。この図に相当する実験をコンピューター 室で行い,希硫酸に水酸化バリウムの溶液を滴下して,. 内部的には時間(¶一定速度で加えた溶液の量)と抵抗 (電流)の関係を直接画面上に示そうというものであ. イ00J「〃ロ月∬り. る。図−2は中和点検出用の基本プログラム(文番号1 40−210の8行)である。. †. 100’BASICMBASIC1996JULY19TEKITEI.BAS llO SCREEN3:CONSOIJEO,25,0,1:MOUSEO:COIJORl,4,0,2:CLS3. 120 WIDTHIJPRINT60:TIME$=“00:00:00”. 130’==============ニ====== 図1 測定回路. 140 FORI=OTO2 150IFMOUSE(2,2)=OTHENN=N+1:GOTO150. (3)中和滴定の原理的な説明. 160IFMOUSE(2,2)=1THENN=N+1:GOTO160. 酸をアルカリで中和していくときは,溶液中の水素イ. 170 NEXTI:M=N. オンの濃度は次第に減少していくので,電導度も次第に. 180 T=VAL(MID$(TIME$,4,2))*60+VAI」(RIGHT$(TTME$,2)). 小さくなっていく。ちょうど中性の液となったところで,. 190 N=N/3:N=(N岬250)*1.2:CIRCLE(T*1,N/2),2,2. 電導度が極小になる。そして,アルカリ溶液がさらに加. 200 MR=32/1900*M−32/1900*800. えられて,それが過剰になれば,水酸化物イオンの増加. 210 LOCATE5,23:PRINT” “:I」OCATE5,23:PRINTT;M;IN. のため再び電導度は増加する。これは水酸化物イオン,. T(MR):N=0:M=0:GOTO140. 水素イオンは表岬16)のようにその他のイオンに比べて 電導度が極端に大きいためである。. 図2 電導度測定用プログラム. 【 10 −−.
(4) 実験・観察へのコンピューター利用について. 恥51. 1997.3. 4:BTl∋液5滴はど滴下・・・溶液は黄色(酸性)を. 3:清定と中和反応. 示す。「指示薬による色の変化の確認」. (1)溶液の準備と電極. 5:コンピューター画面上の左上部に点が現れ右に線を. 実験に使用する硫酸と水酸化バリウムの2種類の溶液. 措いていく。縦軸は抵抗値,横軸は時間軸を示す。. の準備はつぎのうように行う。 #1:蒸留水100ccに濃硫酸0.25ccを加える。. 画面の縦軸,最上部は約30kn,最下部はOkn(電 流値で表現するはうがよいかば課題である。)。コ. ♯2:蒸留水100ccに水酸化バリウムの粉末2gを入. ンピューターはRUNで再スタートさせる。「画面. れる。(上澄み液を使用する). の点の位置による導体/不導体の確認」. また電導度の検出に用いる電極は,図−3のようなも. 6:表示が安定化したところで,水酸イレヾリウムの飽和. のを使用した。. 水溶液の上澄み液2ccをストロー付き注射簡にとり, 溶液に一滴落とし横枠する(たとえば10回ビーカー. をゆり動かす)。「滴定開始」 7:滴下,攫秤を繰り返していく。画面は時間の経過と. 表2 実験に使用するもの. ともに中和が進み,電流が減少し,再び増加に変わっ. て導電性はⅤ字型となる。. 蒸留水(脱イオン水). 8:1ccまで滴下したあたりで,溶液の色は青に(アル. 希硫酸溶液(調整溶液). カリ性)変化する。. 水酸化バリウム(蒸留水を加えた上澄み液) 50鳳gビーカー 2個. 写真−2は中和点を示す表示画面の例である。スケー. BTB溶液. ルは入れていない。. 電極つきFIT プログラム入りディスク. 図3 電極の形状. 写真2 中和点の表示画面. (2)実験の手順. まず所定のディスクをコンピューターに差込み動作状 40. 態にする。 1:50肌β用ビーカーに蒸留水20ccをいれる。. 電 30. 2:電極を挿入し,コンピューターを動作(RUN)さ 涜 20. せる。蒸留水なので,測定結果の表示範囲0∼30k. 〔mA〕. Qを越えているので,画面にはなにも表示されない。. 10. 「電流をはとんど通さないことの確認一J. 0 2 4 6 81012 川. 3:希硫酸を4mm径のストローで2cm(約0.3cc)加え l攫拝する。表示が画面左上に現れ,抵抗値が小さく なったことを示す。「酸によって導電性を獲得した. 加えた水声変化バリウム水溶液の量 〔om3〕. 図4 =教科書7)に示されている電流の変化. ことの確認_」. 一一−11−−−.
(5) 矢作 裕・高橋 和幸. ⑦ この後,滴下,攫拝を繰り返す。画面は時間の経過. 4:授業の構成. とともに,Ⅴ字型に変化する。. ⑧ 溶液の色は青(アルカリ性)に変化する。. (1)授業の実際. 中和反応において,水素イオンH+と水酸化物イオン OH ̄とが結びっいてH20ができてくるが,それにとも なって水溶液中のイオンの数が減少し溶液全体が中和さ. れた時点で最も少なくなる。 従って溶液中を流れる電流も中和の時点で最少になる. ことから,溶液中の流れる電流を取り出すことで中和点 を知ることができる。 BTB溶液の色の変化により中和点を見つける方法と. 合わせて,コンピューターによる電流の強さを時間の経 過による変化を読み取りグラフ化し,中和反応を多面的 にとらえさせることができる。. 写真4 満定に取り組む生徒. ここでは希硫酸に水酸化バリウム水溶液を加えていき, 沈殿物として硫酸バリウムができ,中和の時点では溶液. 実験開始15分ほどで,中和点に達したⅤ字型の変化が. 中にはばとんどイオンが存在していないので電流が流れ. 画面上に措かれた。短時間で出来る実験なのでグループ. ないことから,中和点をみつけだすことができる。. によっては手順(滴下が早かった)ことによる失敗で, 実験やり直しをし,時間内で終了することができるはど. (2)実験学習. 写真3 溶液を準備しているところ. 写真5 中和点に達した画面. 従来の実験学習は多くの溶液を必要とするが,今回の. 短時間で実験可能な内容である。 ディスプレーに右の画面が表示されたので,プリント. 滴定に使用され溶液の量は少量(希硫酸20cc水酸化バリ. ウム5cc)なので,三角フラスコに全体で必要量を作っ て置き,写真−3のように各グループごと持っていっ. いいのですが,時間の中では無理なので,スケッチ程度. てもらった。. に(資料参照の事)まとめさせた。. アウトし,生徒一人ひとりが実験カードに貼付させると. 実験の手順. ① 50耽β用ビーカーに蒸留水20ccを入れる。 ② 電極を挿入し,コンピューターを動作させる。「電 流をほとんど通さないことを確認」. ③ 希硫酸をスポイトで(0.3cc)加え攫拝する。 ④ BTB溶液を5滴はど滴下。 ⑤ コンピューター画面左上部に点が現れ,線を描いて いく。 ⑥ 水酸化バリウムの水溶液をスポイトで溶液に一バ敵落. とし攫拝する。(その時,ビーカーを5回はど,ゆ り動かす。). 写真6 画面に表示された中和反応. 12.
(6) No.51. 実験・観察へのコンピューター利用について. 1997.3. (3)本時の展開 生 徒 の 活 動. 教 師 の 援 助. ○本時の学習課題を確認する。. 学 習. ○本時の課題を提示する。. 留 意 点. 形態. 食 黒板に提示. パソコンを使い電流の流れの遠いから中和点を見つける。 l. I. 課. L−−【−−【∧−一−−−一一一一−−1−−−−一_−−・−−−・・・・・・,_,.____−一一._.▼¶.【___.一一一▲_▼,___.,_.−一__._曲__。__▼_,____.←【__▲_...,.▼_____←_,_,.____.←▼,▼____−_H【J. 題. ・電極とFITを接続した. の 把. ・希硫酸にバリウム水溶液を一一滴落下し,かく。. 捏. ・BTB溶液の変化から中和点をみつける。 ○班ごとに手順に従って実験を行う手順 ○手順の補足をして実験に入るよう指 班 実験上の注意点を喚起 ・マウスとFITの交換 示する。 ○上昇温度=測定値一始めの水温であ ・水溶液の準備 ることを徹底させる。. 課 題. させる。 測定値と上昇温度との 関係を理解させる。 誤差に留意させる. の. ラフになることを考えさせる。. 追. 及. ・コンピューターの画面上で変化をとらえる。 課 ○結果の考察と発表 画面上のグラフからどんなこ とが言えるか考察をくわえる。. 題 田 考 察. ○結果の考察と発表の準備を指示。 ○各班ごと発表. ○発表. 班. 温度変化の原因は熱で あること。 班. ま と. ○実験結果をまとめ,次時は熱量につ 全 自己評価 いて学習することを予告。. め. 形成的評価. TB溶液の色の変化」「酸性・アルカリ性の性質」「溶. (4). 中和反応のプロセスを多面的に把握させ,中和という. 液中のH十イオンやOHイオンの数」等について研究. 化学変化を認識させようと考えた。. し,結果をまとめてみた。その結果,下記のように(生 徒用実験カードより)なった。. したがって,実験結果についても,「電流の強弱」「B. 実験カード 3年3組 氏名(. 中和反応 学習のねらい. コンピューターを使って,中和反応の時,液中の電流の強さはどう変化するか調べる。. 実験の結果 電流 の 強さ. ○マウスとFITとの交換。 ○電極との接続。 ○ソフトをセット。 050鳳g用ビーカーに蒸留水を20ccとる。 それに,希硫酸を2cc入れる。 ○次に,BTB溶液を5滴程滴下。溶液は黄色(酸 性)を示す。. 実験の結果わかったこと 黄色の液体の中和点で緑. 色になり,中和点をすぎ ると結びっくイオンがな いから,水酸化バリウム 水溶液がのこるのでBT. 指示薬による色の変化の確認。. 時 間. ○コンピューター画面上の左上部に点が現れる。 右に線を引いていく。 縦軸は抵抗値,横軸は時間を示す。 (画面の点の位置によって導体・不導体の確認) ○希硫酸の入った50鳳βのビーカーに水酸化バリウ. ム水溶液をスポイトで一滴滴下し横枠する。(5 回ビーカ【を揺する). O「滴下」「横枠」を繰り返す。Ⅴ字型に変化す るまで行う。. −13 【. B溶液は青色になる。.
(7) 矢作 裕・高橋 和幸. 竜 流. ①の段階 ②の段階 ③の段階 ④の段階. の 強. 電流の流れ方 強い あまり強 くない ない. BTB溶液に. さ. よる色の変化. 黄. 黄. 酸性・アルかノ性 酸性 酸性. 時. 間. 強い. 緑. 中性 アルかノ性. H十のイオンの数 多い 少し多い ない. 考察 実験の結果どんなことが言えるか。(電流の強弱とイオンの数). ない. OH】■のイオンの数 ない. ない. ない 多い. 中性に近づくにつれ,電流が弱くなっていく。 イオンの数は,H+一中和のため近づくにつれて少な. くなり,OH ̄は中和から遠ざかるにつれて多くなる。 自己評価集計結果 (5)実験準備(教師). 自 己 評 価. く溶液の準備〉. 中和反応. ○蒸留水100cc+濃硫酸0.25ccこれを生徒実験に必要な 量400ccを準備。. 3年3組氏名(. 今日の授業を反省し,次の1∼8の項目について. A,B,Cに○を付けなさい。. ○蒸留水200ccに対して水酸化バリウムの粉末を1gを. (A:良くできた B:普通 C:良くできなかった). 入れる。(上澄み液を使用). 1.今日の実験の目的がはっきりしていましたか。. く用具の準備〉. A−25人 B−8人 C−0. ○電極は水溶液の中に 常に入っていなけれ. 2.結果の記録やグラフの意味が分かりましたか。. ばなりませんので,. A−30人 B−3人 C−0. 右の写真のような形 3.協力して,進んで実験に取り組みましたか。. にした。. A−28人 B−5人 C−0 4.準備がしっかりできましたか。. A−28人 B−5人 C−0. 写真7 電 極 ○電極が容器の中に. 5.実験は満足できる内容でしたか。 A−20人 B−11人 C−2人. しっかり固定される. には,写真−8のよ. 6.自分の考えを発表できましたか。. うに50ccビーカーに. A−19人 B−12人 C−2人. 固定させる。 7.話し合いに積極的に参加できましたか。. A−26人 B−5人 C−2人 8.コンピューターの使い方はどうでしたか。. 写真8 固定された電極. A−23人 B−8人 C−2人. ○写真−9FITとの 接続。. (6)授業の反省と今後の課題 自己評価の集約結果,「結果の記録やグラフの意味」 について9割の生徒が,反応のⅤ字型の意味がしっかり とらえられたようである。FITを使ったコンピュー. ターの使い方や使う目的がはっきりしていて良くできて いた。また,自己評価表より「感想」を拾ってみると,. 写真9 FITの接続. ー14 −. ).
(8) 実験・観察へのコンピューター利用について. Nα51. ・時間がもう少しあれば,発表も完壁にできたのに,と. 1997.3. イトによる自動滴下の工夫など). 思った。でも,きちんとグラフはⅤ字型になったし,. f:測定方法との関連で,画面上の表示の工夫(縦軸一. 実際に実験で中和反応の結果を確かめられたので,良. 電流,横軸一時間の表示範囲,時間軸スキャン). かったと思う。. g:いくつかの授業展開例と実験の手引き(生徒用)の. ・今回のコンピューターでの実験は,中和になるとイオ. 作成. ンの数は0になるということがわかりました。でも先. h:教師用実験マニュアルの作成. 生は,いっも普通の授業の時も実験をやってくれて,. i:授業の実践例,指導案の例を用意する。. コンピューターのと,どっちが面白くわかりやすいか. j:水や氷を素材とする教育実験の一環として,水の凍. は,決められないくらい,どっちとも面白くわかりや. 結のさいの不純物の除去による導電性の変化につい. すいし,しかも覚えやすいので,先生には感謝してい. ての実験,酸性雨の測定など関連する実験方法の開. ます。. 発も課題である。. ・コンピューターで実験をすると,グラフがはっきりわ. k:RC発振器の原理的な回路によって,溶液に対して. かるので良かったと思う。実験の結果は少しいまいち. 安定的な電流測定をすることによって,簡易電導度. だったが,中和反応がはっきりわかるようになったと. 計の開発の可能性の追求,周波数依存,温度依存,. 思う。. 自動測定法の開発などの問題. 実験を通して認識できたよろこびと同時に,コン. F轟Tの利用の今後. ピューターを使って反応の過程を知りえた面白さが伝. わってくる感想文であると思う。. a:これまでの理科実験の全体を総括した教師用の実験 者の作成. 今後の課題として. b:ビデオによる教材の作成. 1.画面表示の工夫,特に時間や電流が表示されること. C:FITの力学分野での応用の構築. が必要と思う。. d:体育の遊具,児童館などの参加型展示器具,計測機. 2.使用する溶液の濃度(硫酸や水酸化バリウム)をど. 器への発展の可能性の追求. うするか。. e:高等学校の授業への展開. 3.画面上のグラフを手書きしたが,一人ひとりの生徒. 以上のうち,体育の遊具や運動の測定については,F. の保存をどのようにするか。. ITが開発される以前から,汎用のコンピューターを. 4.電極の形や材質によって,液の畳や電極間の距離に. 使って「なわとびカウンター」などが制作され,授業な. ついて工夫をはかる。. どに利用されている。この種の運動関連教具もFITを 経由して一元化されれば,その利用範囲はいっそう広く. おわりに. なる。このようにしてコンピューター利用の範囲がさら. コンピューター室で理科の実験を行うことを念頭にお. に拡大していき,質的にも量的にも充実したコンピュー. いて,今回とりあげた実験についての,残された課題や,. ターの豊富な利用形態に発展していくことが期待される. コンピューター利用の今後の展開について列挙すればっ. ところである。. ぎのような点があげられる。. この論文を作成するにあたって,1:,2:,3:お よび,この項については矢作が,4:授業の構成につい ては,実際に授業を試みた高橋が執筆を担当した。授業. 中和満定の実験の残された課鰯. にあたって,釧路市立北中学校の協力を得た。また大崎 治樹教諭(阿寒町仁々志別中学校),五十里一路教諭(厚. a:一斉実験またはグループ実験をコンピューター室で. 行う。このときの使用する溶液(希硫酸など)の最. 岸町立上尾幌中学校)の両氏には,予備的実験で協力を. 適の量と濃度の決定の問題が残されている。. いただいた。ここに記して感謝します。. b:使用量と容器(溶液の飛散を防ぐなど)の工夫。 C:電極の形状,材質によって,液面の高さ,電極間の 文献・参考資料. 距離などの最適化をはかる。 d:画面表示,グラフの保存など授業との関連でコン. (1)矢作 裕,実験・観察へのコンピューター利用につ. ピューターのプログラムの工夫が求められる。. いて(1),僻地教育研究,仙47,3,p.133−140.1993. e:作業しやすい装置一式の工夫が必要である。(一定. (2)矢作 裕・酒井源樹・高橋和幸・大崎治樹・五十里. 時間間隔で,一定量の水酸化バリウムの滴下(スポ. 一路,実験・観察へのコンピューター利用について(2),. 剛15 −.
(9) 矢作 裕・高橋 和幸. 僻地教育研究,No.48,p.65−75.1994 (3)高橋和幸,コンピュータ岬を使った課題選択学習,. 北中学校研究授業資料1993 (4)大崎治樹,第40回全国中学校理科教育研究会東京大. 会研究発表資料1993 (5)矢作 裕・酒井源樹・高橋和幸・細川文良,実験・ 観察へのコンピューター利用について(3),僻地教育研 究,No.48,2,p.63−70.1995. (6)鮫島実三郎 物理化学実験法 裳華房p.2541973 (7)教育出版 新版 中学理科1.分野下 67−70酸 とアルカリの反応1996 (8)矢作 裕 あたらしい基礎物理学実験の試み物理教 育研究(日本物理学会北海道支部)Nα21,23−27,1993. (9)矢作 裕 物理系の理科実験教材の開発−コンパ レーク型組立電圧計について一僻地教育研究 仙45, 27−35,1991. (10)矢作 裕『釧路と凍土』釧路叢書第31巻(釧路市) 222−226,1995 (11)生涯学習叢書Ⅳ「教育系大学における生涯学習と大. 学開放」北海道教育大学旭川校 205−210,1995. −16 ¶.
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