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主体的・対話的で深い学びを指向するオンライン授業

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Academic year: 2021

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(1)Title. 主体的・対話的で深い学びを指向するオンライン授業. Author(s). 北海道教育大学附属釧路中学校. Citation Issue Date. 2020-08-31. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/11353. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) 主体的・対話的で 深い学び を指向する オンライン授業 北海道教育大学附属釧路中学校 編著 Online Lessons to “Proactive, Interactive, and Deep Learning”.

(3) 目 次. 「はじめに」に代えて・・・・・・・・・・・・・・・・・1 Ⅰ 取組の構想 アプリ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 ICT環境の構築・・・・・・・・・・・・・・・・・6 Ⅱ 実践と考察 国. 語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9. 社. 会・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15. 数. 学・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21. 理. 科・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29. 音. 楽・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35. 美. 術・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39. 保健体育・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43 技術・家庭・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47 外 国 語・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 心身の健康・教育相談・・・・・・・・・・・・・・・59 校内研修・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63 「おわりに」に代えて・・・・・・・・・・・・・・・・・67.

(4) 「はじめに」に代えて ……. 形を変えても,ねらいは変えない! 北海道教育大学附属釧路中学校長. 1.無理はしないで同じ形を目指さないこと. 早勢 裕明. というポイントを考察することにつながったので. 私たちは Covid-19 拡散防止のため,学校教育. ある。今後オンライン授業に取り組む多くの学校. において,対面授業が叶わない状況を経験するこ. に向けて,私たちが試行錯誤した事実のいくつか. とになった。国立情報学研究所の「4月からの大. でも情報提供をしたいと考えたのである。. 学等遠隔授業に関する取組状況共有サイバーシン 2.「同じ価値」とは今日的に求められる学び. ポジウム」で,熊本大学の鈴木教授は,次の「平 時に戻るまでの遠隔授業のデザイン7か条」を提. まず初めに,「同じ形ではなく同じ価値を追求. 言しており, 「無理はしない」に大きな力も得た。. する」(鈴木,2020)の「同じ価値」について確認 したい。. 1.対面授業はやらなくても立派な通学制課程 2.無理はしない 3.同じ形でなく同じ価値を追求する 4.順序を変える 5.大切なのは学生が学び続けること 6.非同期で学生の学習活動を支える 7.平時になっても使えるオンラインの要素を探す. オンライン授業であったとしても,各教科等の 授業で追求する価値といえるものは,学習指導要 領の各教科等の目標に示された資質・能力であ る。そして,それらを実現する「主体的・対話的 で深い学び」という授業改善の視点は安易に譲る. 3月末から5月まで,北海道教育大学附属釧路. ことのできないものである。. 中学校においては,遠隔会議システム(Zoom や. 数学科を例に挙げると,今日,数学科が目指す. Google Meet)と学習支援アプリ(ロイロノート)を. ものは,とりもなおさず平成 29 年に告示された. 活用したオンライン授業に取り組んできた。これ. 中学校学習指導要領数学の目標である。目標は,. までと「同じ形ではないが,同じ価値を追求する」. いずれも「数学的な見方・考え方を働かせ,数学. ような授業を行うことで,子供たちの学びを止め. 的活動を通して」,(1)~(3)の柱書きに示された. ない本気の取組である。. 数学的に考える資質・能力である「知識及び技. 私たちにとって「同じ価値を追求する」とは,. 能」,「思考力,判断力,表現力等」,「学びに向. 平成 29 年告示学習指導要領における各教科等の. かう力,人間性」を育成すると読める。. 目標に示された資質・能力を育むために,「主体. さらに,平成 29 年に告示された中学校学習指. 的・対話的で深い学び」の実現を通した授業改善. 導要領解説数学編には,次のような記述がある。. による授業を行うことである。. ◇ 資質・能力の育成に向けて,数学的活動を通して,. しかし,「同じ形」での授業ができないため,. 生徒の主体的・対話的で深い学びの実現を図る. 対面授業では当たり前に行っていた教師の働きか. ◇ その際 (中略) 問題を自立的,協働的に解決し,. けが,否応なしに制限される現実に直面した。教. (中略) 学習の充実を図る. 師集団で知恵を出し合い,試行錯誤する中で,こ れまで臨機応変との名の下で行ってきた無駄や欲. (数学編 p.162). これらから,端的にいうと次の図のように捉え. 張り,教師の拘りや思い込みによる対応を見直し,. るができる。. スリム化,焦点化をせざるを得ない状況に追い込 まれたのである。. 育む資質・能力. 中学校学習指導要領 数学の目標. 授業改善の視点. 主体的・対話的で深い学び. 学習指導の 基本的な考え方. 数学的活動を通した指導. この状況は「主体的・対話的で深い学び」の実 現に向け,日常的に授業改善を継続している教員 にとってはまさにピンチであった。しかし,ピン チはチャンスである。転んでもただでは起きない 一石二鳥の精神を発揮し,逆に「授業構想をブラ ッシュアップするチャンス」と捉え,「主体的・ 対話的で深い学び」の実現に向けた「これだけは」 1.

(5) 数学の目標である資質・能力を育む数学の目標. 間のまとまりをどのように構成するかというデザ. である資質・能力を育むために,「主体的・対話. インを考えることに他ならず,オンライン授業の. 的で深い学び」の視点で授業を改善する。「主体. 取組を通して,教師の「授業をデザインする力」. 的・対話的で深い学び」は,「数学的活動」を通. をブラッシュアップできるのである。. して実現する。数学的活動とは,「事象を数理的. 「主体的・対話的で深い学び」は,対面授業に. に捉え,数学の問題を見いだし,問題を自立的,. おいてでさえも,誰もが容易に実現できるものと. 協働的に解決する過程を遂行すること」(数学編. は限らないのではないだろうか。オンライン授業. p.23)なのである。. ならなおさらである。近い将来ICT環境の通信. こういった構造は,各教科等にも同様に認めら. 速度と通信容量が格段に進歩すれば状況は変わる. れるはずであり,そのことこそが「追求する同じ. かもしれないが,現段階では特に「対話的な学び」. 価値」なのではないだろうか。. のハードルが高いと考えている。ならば「対話的 な学び」を充実することを第一に意識して,オン. 3.「主体的・対話的で深い学び」の視点から捉え. ライン授業をデザインすればよいのではないか。. られるオンライン授業で譲れないこと. 鈴木氏の7か条にある「大切なのは学生が学び. 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた. 続けること」や「非同期で学生の学習活動を支え. 授業改善の具体的な内容については,中央教育審. る」は提出課題の工夫やワークシートの配信でも,. 議会答申において,次の三つの視点に立った授業. 次善策として対応することは想像に難くない。. 改善を行うことが示されている。. 答申で示された「主体的な学び」の下線部分「見 通しをもって粘り強く取り組み,自己の学習活動. ① 学ぶことに興味や関心をもち,自己のキャリア 形成の方向性と関連付けながら,見通しをもって 粘り強く取り組み,自己の学習活動を振り返って 次につなげる「主体的な学び」が実現できている かという視点。 ② 子供同士の協働,教職員や地域の人との対話, 先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ, 自己の考えを広げ深める「対話的な学び」が実現 できているかという視点。 ③ 習得・活用・探究という学びの過程の中で,各 教科等の特質に応じた「見方・考え方」を働かせ ながら,知識を相互に関連付けてより深く理解し たり,情報を精査して考えを形成したり,問題を 見いだして解決策を考えたり,思いや考えを基に 創造したりすることに向かう「深い学び」が実現 できているかという視点。 (解説総則編 p.78 /下線は早勢). を振り返って次につなげる」という生徒の活動は 仕掛けることが,一定程度できると考えられる。 しかし,「深い学び」の下線部分「知識を相互 に関連付けてより深く理解したり,情報を精査し て考えを形成したり,問題を見いだして解決策を 考えたり,思いや考えを基に創造したりすること に向かう」ためにも,先哲の考えを手かがりに自 己内対話することを除き,「対話的な学び」の下 線部分「子供同士の協働,教職員や地域の人との 対話」を通じ,「自己の考えを広げ深める」こと が不可欠なのではないだろうか。 4.「指導と評価の一体化」の視点から捉えられ るオンライン授業で譲れないこと. 勿論これらは,必ずしも1単位時間の授業の中. 「主体的に学習に取り組む態度」の評価は,知識. で全てが実現されるものではなく,単元や題材な. 及び技能を習得させたり,思考力,判断力,表現力. ど内容や時間のまとまりを見通して,例えば,主. 等を育成したりする場面に関わって,行うものであ. 体的に学習に取り組めるよう学習の見通しを立て. り,その評価の結果を,知識及び技能の習得や思考. たり学習したことを振り返ったりして自身の学び. 力,判断力,表現力等の育成に関わる教師の指導や. や変容を自覚できる場面をどこに設定するか,対. 児童生徒の学習の改善にも生かすことによりバラン スのとれた資質・能力の育成を図るという視点が重. 話によって自分の考えなどを広げたり深めたりす. 要である。. る場面をどこに設定するか,学びの深まりをつく. すなわち,この観点のみを取り出して,例えば挙. りだすために,生徒が考える場面と教師が教える. 手の回数など,その形式的態度を評価することは適. 場面をどのように組み立てるか,といった観点で. 当ではなく,他の観点に関わる児童生徒の学習状況. 授業改善を進めることが重要と述べられている。. と照らし合わせながら学習や指導の改善を図ること が重要である。. 「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた 授業改善を考えることは単元や題材など内容や時 2. (中教審報告 p.12 /下線は筆者).

(6) また,「指導と評価の一体化」といわれるよう. 【教師は・・・】 ① 自らの考えを修正したり,立場を明確にして 話し合ったりする場面を設ける。 ② 自らの考えを記述したり話し合ったりする場面 を設ける。 ③ 他者との協働を通じて自らの考えを相対化する 場面を設ける。 ④ 自らの理解の状況を振り返ることができるような 発問を工夫する。. に,評価の側面からも指導の改善のポイントが見 えてくる。「児童生徒の学習評価の在り方につい て(報告)」(中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会,2019.1.21.)には,前頁右下のよう な記述がある。 特に,下線部分から,「主体的に学習に取り組 む態度」の評価は,資質・能力をバランスよく育. ただ,教師は毎時間の授業で,これらの①から. む「主体的・対話的で深い学び」を実現する上で, 「知識・技能」や「思考・判断・表現」に関わる. ④を常に意識しなければ,到底実現できないと考. 子供の学習状況と照らし合わせながら学習や指導. えている。たまに意識する程度であれば「主体的. の改善を図ることが重要であることが分かる。. ・対話的で深い学び」を実現する日常授業をデザ インする力の伸長も期待できないからである。. そこで,中教審報告における「主体的に学習に 取り組む態度の評価の方法」の記述のキーフレー. 5.平時になっても使えるオンラインの要素を探. ズに着目すると,次の図のようにまとめられる。. しながら. ○ 特に,小学校低学年・中学年段階では,. オンライン授業に取り組んだ1か月余の期間 は,まさに試行錯誤の連続であった。この取組は,. 他の児童との対話を通して □自らの考えを修正したり,. 「本質を見据えて本気で本物の教育を行う」との. □立場を明確にして話していたり. 合い言葉のもと,本校教職員が一丸となって, 「生 徒の学びを止めない」「今こそ貪欲に学ぶ」とい. する点を評価する ○特に,評価に当たっては,. う強い意志に支えられたものである。しかも,ポ ストコロナを見据え,悪戦苦闘しながらも生徒に. □児童生徒が自らの理解の状況を振り返ることが. 寄り添い,平時になった際の対面授業を適時適切. できるような発問の工夫をしたり,. なICT活用によってバージョンアップすべく,. □自らの考えを記述したり話し合ったりする. 授業改善のポイントを探り続けてきたのである。. 場面,. この試行錯誤の事実と取組の経験から学んだこ. □他者との協働を通じて自らの考えを相対化. とについて,失敗から学んだことをも包み隠さず,. する場面を設けたりする。. 以降の頁で各教科等ごとに紹介させていただく。 まだまだ実践も研究も半ばであり,不十分な情 報提供となることを伏して御容赦願いたい。. 小学校低・中学年段階で,他者との対話を通し. また,詳細な内容についてのお問い合わせもあ. て,自らの「考えを修正」する,「立場を明確」. りがたく,共に学ばせていただきたい。. にして話す点を評価するということは,中学校段. 本冊子の何か一つでも,皆様のお役に立てば,. 階でも同様な評価ができるような「対話的な学び」. 私たちにとって,この上ない喜びである。. を行う意義があると考えられる。 加えて,. のような教師の働きかけに 引用・参考文献. よって,「主体的・対話的で深い学び」の視点か らの授業改善を図る中で,適切に評価できるよう. 鈴木克明(2020),無理はしないで同じ形を目指さない. な授業のデザインを構想することが不可欠になる. こと-平時に戻るまでの遠隔授業のデザイン-,. のである。. 4月からの大学等遠隔授業に関する取組状況共有. これらのことから,オンライン授業においても,. サイバーシンポジウム,国立情報学研究所 HP.. 特に「対話的な学び」を充実させる「これだけは」. 文部科学省(2017),中学校学習指導要領解説総則編.. というポイントとして,次の点を意識したい。. 文部科学省(2017),中学校学習指導要領解説数学編.. なお,これらは毎時間すべてを教師が働きかけ. 中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会(2019),. るというものではない。教科特性や指導内容,生. 児童生徒の学習評価の在り方について(報告),文. 徒の実態を十分考慮することは言うまでもない。. 部科学省 HP,p.12.. 3.

(7) 本校で利用しているアプリについて紹介します。. Apple application. アプリ. iPad には,もともと充実したアプリがインストールされています。さらに様々なアプリの機 能を利用することで生徒の考えの共有や資料の配付や成果物の回収をすることも可能です。 また,各教科の特性に応じて先生方がオンライン授業で, 『こんな授業がしたい』 『こんな学習 活動がしたい』という思いを叶えることができるアプリが盛りだくさんです。. Keynote. モバイルデバイスのためにつくられた,プレゼンテーション用アプリケー ションです。リアルタイムな共同制作機能を使えば,グループ全員が同時に 1 つのプレゼンテーションで共同制作できます。プレゼンテーションの作成 だけでなく,情報を共有するためのボードとしても使用できます。. Pages. モバイルデバイスのためにつくられた文書作成アプリケーションです。洗 練されたテンプレートが豊富にあり,空白の書類から独自のデザインで作成 することも可能です。リアルタイムな共同制作機能を使えば,グループ全員 が同時に 1 つの書類で共同制作できます。. GarageBand. 楽器に触ったことがない人でも,マルチタッチジェスチャを使用して,キ ーボードやギターを演奏したり,ビートを作成したりできます。豊富なテン プレートが用意されており,独自のグリッドを作成することもできます。楽 器演奏の苦手な生徒でも表現が可能となります。. iMovie. 動画編集用アプリケーションです。直観的なマルチタッチジェスチャを備 えており,レベルの美しいムービーを作成できます。タイトル,トランジシ ョン,音楽を組み合わせたオリジナルテーマから選べます。10 種類のビデオ フィルタを使って仕上げられます。. Clips. 動画作成用アプリケーションです。数回タップするだけで,動画を簡単に 作成でき,タイムラインもトラックも複雑な編集ツールも必要ありません。 ビデオを録画したり,写真を撮影したり,ライブラリからビデオや写真を追 加したりできます。. AirDrop. これはアプリではありませんが,とても便利な機能です。Apple 製のデバ イス同士であればデータの送受信を簡単に行うことができます。授業中の資 料の配付や生徒の成果物の回収など様々なデータを即時的に行うことが可 能です。. Zoom. ロイロノート・スクール. 双方向型のオンライン授業では欠かせない遠隔会議システム用アプリケ ーションです。パソコンの web ブラウザ,スマホやタブレットでアプリをイ ンストールするというどちらかの方法で使用できます。また,チャット機能 や画面共有,ブレイクアウトルームという小グループでの活動も可能です。 カードとして表示されるいろいろな情報をつなげていくことで,発表資料 をつくることができたり,クラス全員の考え方を共有したりすることが簡単 にできる学習支援アプリケーションです。シンキングツールやカメラ機能も 簡単に利用することができます。 4.

(8) Google Classroom. 課題の受け渡しや管理をするためのウェブサービスです。作成したクラス のホームページに,生徒へのお知らせを投稿することができます。文章のメ ッセージだけでなく,ファイルや YouTube 動画,または自分で録画した動 画などの添付も可能です。また,生徒の成果物も回収可能です。 どのモバイルデバイス,タブレット,パソコンからでも,ファイルやフォ ルダの保存,共有,アクセスができます。安全なクラウドベースの共同作業. Google Drive. プラットフォームで,ファイルの共有,保存,アクセスが簡単になります。 双方向型のオンライン授業では欠かせない遠隔会議システム用アプリケ. G Suite application. ーションです。クラスルームに登録している人か,招待されたゲストしか入 Google Meet. ることができないので,セキュリティーは万全です。 スマートフォンやタブレットから文書作成や編集をすることができるアプ. リケーションです。ファイルを共有して,同じドキュメントで同時に共同作 Google Document. Google Slides. Google Forms. 業を行えます。 スマートフォンやタブレットでプレゼンテーションの作成や編集をした り,共同編集したりできます。1 つのファイルに複数のスライドを用意しグ ループに割り当てて活動させることでクラス全員が各グループの活動を共 有することが可能となります。 オンラインフォームでアンケートを行うことができます。自動的に結果を 集計され,結果はスプレッドシートに整理されます。質問に対するすべての 回答がスプレッドシートに整理されグラフ化されるので,並べ替えや分析が 簡単です。 オンラインで利用できるホワイトボードアプリケーションです。付箋を貼 るメモ目的から,ブレインストーミングの補助ツールとしても利用できま. Google Jamboard. Padlet. す。授業の中では,グループ活動の中で活用させています。 オンライン上でひとつの画面にいろいろな人が文字を書いたり写真を貼 り付けたりできるアプリケーションです。生徒への日々の課題提示や教科連 絡の掲示場として利用することが可能です。シェアが簡単なので,グループ ワークやアイディアを出し合う活動などに最適です。 オンラインで利用できるホワイトボードアプリケーションです。付箋を貼 るメモを共有から,ブレインストーミングの補助ツールとしても利用できま. miro. Mentimeter. す。授業の中では,グループ活動の中で活用させています。 PC やスマートフォンで参加者からのレスポンスを集めることができる Web サービスです。教室ではホストの画面をプロジェクターに出します。オ ンライン授業では,この Web ページを画面共有します。リアルタイムで結 果が表示されます。. 5.

(9) ICT 環境の 構築. 本校の ICT 環境の構築の経緯と休業期間中の対策について ここでは,本校が実際にオンラインでの授業を行うまで ICT 環境の構築 に向けた準備や経過などについてご紹介します。. 本校がオンライン授業を展開できた理由には,これまで機器を取り入 れた授業への挑戦が土台にありました。本校の ICT 環境の構築の経緯を 第 0 期~第 4 期に分けご紹介します。各校の実状にあわせながら,ご覧 ください。. 第0期. 2012 年 iPad 導入(47 台) その後,毎年10台ずつ購入 2012 年 一台ずつ設定し,管理を開始. 管理. 活用. 2018 年. Apple configurator2(無料) で 80 台を一括管理開始(現在は 180 台). 2020 年. 所有台数 180 台. MDM(無線管理)で管理を予定. 音・美・体・技家,総合的な学習の時間など特定の教科で継続した活用しきました。. 現在. 初期 カメラやインターネットの検索のアプリ. 授業で活用した方が効果的なアプリ. 共有や制作の自由度が高いアプリ. 第 0 期は,iPad が初めて導入され,どのように管理してよいか手探りの時代でした。その後,授業で活用する教科も増え, それにあわせて使用するアプリケーションも変容してきました。生徒が授業で活用してきたことによる慣れもありますが, 徐々に汎用性の高いアプリケーションの使用が増えています。 また,新1年生を対象に 4 月には必ず iPad の使い方の授業を設定し,学校での利用に関わる注意や利用法について確認す る時間を取っています。. 管理. Apple configurator2(無料)とは Apple Configurator(アップルコンフィギュレータ)は,iOS デバイスを企業や学校,その他の組織 で導入する際に,iOS デバイスの設定(キッティング作業)を行い,大規模展開するためのアップル 純正ツール。Mac App Store から Mac 用のソフトとして,無料で入手できます。 本校では,保管庫に入れた iPad を USB で Mac book pro に接続し 20 台ずつ,アプリの追加や設定を 行っています。. 本校では 2015 年より configurator の登録を試みてきましたが,必要な情報が得られず,当時は英語版しかないことから,見送ってきま した。 しかし,iPad の台数が 80 台を越えたことから,2018 年に Apple に直接連絡を取り,導入を進めました。実際に登録を進めていく 作業の中では,不透明な部分も多かったですが,少しずつ解決策が見つかり,現在はスムーズに作業を進めることができています。. Apple 仙台店(閉店)後,Apple 銀座店,Apple 本部のエデュケーションとの連絡体制を整えています。 2018 年 12 月 一括 App の購入のため,「Apple School Manager」の登録. ブリーフィング 2 回実施. Apple Japan 合同会社エデュケーション本部/ビジネスディベロップメントとの連携 2019 年. 1 月 Apple Distinguished School の視察 2 月 講師招聘(セミナーとして実施) 8 月. 6. 合同本社への視察 講師招聘(セミナーとして実施).

(10) 第Ⅰ期. 2月27日(木)~3月19日(木)臨時休業 学校 HP の掲載開始2月28日(金) 学校 HP に「在宅学習」ページを開設(パスワード付き)すべての教科の課題を配信. 当初の 2 週間は…国,数,社,理,英は PDF での配信 音,美,技家,体は Padlet(app)を利用 その後,すべての教科で Padlet を活用し,週単位で情報を更新しました。 3 月末の段階では,本校が使用できるオンライン学習ツールはなく,特定の教科で全学年が利用した経験のある Padlet で学 習課題を配信しました。しかし,在宅の生徒とやりとりを更に深めるためには,早急に学習ツールの導入をしなければならない と判断し,ロイロノート及び G suite for Education への登録を行いました。. これまでも検討していたが,思い 切って申込みを行いました。. 4月 8日(水)学年別時差登校,学年別時差登校開始. 4.10 に申込み. 4月10日(金)・13(月)全校生徒対象とした,Zoom 及び Padlet 講習. 4.13 に申込み. 4月17日(金)全校生徒対象とした,ロイロノート講習(アカウント,パスワード配付) 4月17日(金)学校HPにリモートでの在宅学習についての掲載,iPad の貸し出し. 第Ⅱ期. 4月20日(月)~5月6日(水)臨時休業 4月22日(水)Zoom の学活(接続実験) 4月24日(金)~Zoom とロイロノートでの授業開始(2時間) 4月27日(月)~Zoom とロイロノートでの授業開始(毎日3時間). すべての教科での授業開始,初期の段階では家庭での通信環境が整わなかったため,紙面での同等の課題も準備して 対応しました。その後,おおよそ全ての家庭で双方向学習支援システム(ロイロノート)のやりとりが可能となりまし た。しかし,全国的に使用する時間帯による遅延も生じたため,Zoom での接続をしつつ利用してきました。. 5月 7日(木)~Google G suite for Education 生徒用アカウント作成・配付(ロイロノートで配付). 第Ⅲ期. 5月7日(木)~5月31日(日)臨時休業 5月8日(金)Zoom から Google Meet への移行(学活) 5月11日(月)Google Meet とロイロノート,G suite での授業開始(毎日3時間). Zoom のセキュリティやアカウントライセンスの問題から認可のおりた Google Meet への移行を図りました。第Ⅱ期 同様,ロイロノートを使用して授業を展開しました。適切な課題の在り方を模索しました。. 第Ⅳ期. ポスト・コロナ~臨時休業後を考える. これまでの本校の授業の本質は,コロナ以前から何も変わらないものとおさえました。 しかし,臨時休業期間中に実施したオンライン授業で生徒が感じたことや教師がオンライン 授業の構築を進めていく上で考えたことを振り返る必要があります。 新しくなる学習評価に関わっても,この臨時休業期間中に利用した学習ツールは有効活用できると,現段階で数多 くの先生方が認識しています。また,授業の中で一度に生徒の意見を集約できる利点もあります。 個別最適化を見越し,EdTech の活用により新しい学校づくり(令和3年度から義務教育学校となります)を進める 上で,本校が研究主題として掲げる「道東に根ざし 9 年一貫したリーダーシップ・フォロワーシップの育成」に向け, 評価・改善をして今後の授業の在り方を模索していきたいと考えています。 対面授業が再開した現在,本校ではロイロノート,Google Classroom,iPad のアプリケーションを使って授業を展開して います。今後は,Apple のスクールワークやクラスルームを導入する予定となっています。. 7.

(11) オンライン授業の実践に向けた教師側の準備 全教職員でオンライン授業を行う上で, 「どのようにしたらオンライン授業ができるのか」を考えてきました。 教員間で共有したスローガンや事前の準備,全校研修の内容について紹介します。 教員間で共有したスローガン. 「学びを止めない」,「やらないよりはやったほうがまし」,子供たちと次なるステージに歩み続ける ◎困難な時期を乗り切り,様々な問題に対応しながら,主体的な学びを支援したい。 ◎すべての教科における休業中の学習保障を図り,学習習慣を確立していきたい。 ◎在宅中の心のケアをしていきたい。 オンライン授業の展開の実際と内容. 学習保障と学習習慣の確立 実態調査 教育情報環境調査 4/10. 事前準備. iPad 貸し出し 4/18. 入学式翌日からの全生徒対象にした iPad・Zoom・Padlet 講習 ロ イロノート登録完了日翌日に実施したロイロノート講習を行いまし. 心のケア 実態調査 5/8 学活 教育相談 保健の授業. た。. オンライン授業. 当初は学習支援としてスタートした授業でしたが,指導計画に基 づいた授業展開,問題や課題の提示を行えるようになり,授業とし ての位置付けに移行しました。. 即時的なやりとりが,その場で全員が繋がり学習活動をしているという共同体的意識を持 たせ,自主的な学習を促進させていくのではないかと考えました。 オンライン授業. ①10:00 ②11:00. ③14:00. ④15:00. のうち3時間を設定 授業の受け方についてはHPに掲載. 機器の不具合は学校に連絡(現在はほとんどない). 先生方の本音を解消するために設けた「全校研修」. オンライン授業に向けて取り組んだ 「全校研修」 先生方の本音 「こんなんじゃこれまでと同じ授業できないよ,どうやってやるの?」 →ツールを駆使して,工夫改善が必要となる →このツール,普段の授業に使えたら効果的!. オンラインだからこそできる授業の確立を目指しました。 ・・・これまでの学習スタイルと同じ事を求めない教師側の決断が求められました。 ・・・(次なる展開)・・・ポストコロナを見通すこと 今回取り組んだオンライン授業は,わずかな期間での準備,そして実践への踏み切りとなりました。そのため, 即時的に研修を設け,各教科で試行錯誤しながら授業実践を行ってきました。悩みながら実践した経験によっ て,現在の対面授業でも活用されている収穫がたくさんあります。. 8.

(12) 言葉による見方・考え方を働かせ,言語活動を通して,国語で正確に理解し適切. 国語. に表現する資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 (1) 社会生活に必要な国語について,その特質を理解し適切に使うことができるようにする。 (2) 社会生活における人との関わりの中で伝え合う力を高め,思考力や想像力を養う。 (3) 言葉がもつ価値を認識するとともに,言語感覚を豊かにし,我が国の言語文化に関わり, 国語を尊重してその能力の向上を図る態度を養う。. 国語科の 主体的・対話的で深い学び. 事例 「第1学年 漢字の部首」 (本時 1/1時間扱い) 指導者 中 村 純 平. 【主体的な学び】. 日常生活や社会生活との関わりが深い学習課 題を通して,身近な話題や現代の社会問題に向. 使用した APP. き合ったり,自己の在り方や生き方に関わる話. → p.10 から. 題に取り組んだりして,目的や必要性を意識し て取り組むこと。. 【対話的な学び】. 言語活動を通して,自他の知見や考えを伝え 合ったり,議論したり,協働したりすることや 本を通して書き手の考えに触れ,自分の考えに 生かすこと。. 事例 【深い学び】. 「第2学年 読まれる新聞投書を書 こう」 (本時 2/3時間扱い) 指導者 足 立 英 世. 「言葉による見方・考え方」を働かせ,自分 の思考の過程をたどり,理解したり表現したり した言葉を創造的・論理的思考の側面,感性・. 使用した APP. 情緒の側面,他者とのコミュニケーションの側 面からどのように捉えたのか問い直して,理解 し直したり表現し直したりしながら自分の思い や考えを広げ深めること。. 9. → p.12 から.

(13) 「第1学年 漢字の部首」 (本時 1/1時間扱い) 本時の目標:漢字の部首に着目し,それぞれの部首がもつ意味を知り,それらを活用して漢字の意味を予想 するとともに,その理由を説明することができる。 〔知識・技能〕. 学習活動. オンライン授業での工夫点. 〇教師の働きかけ ・生徒の反応. 使用した APP や資料. 未習の漢字の読み方を予想する。 ○次の漢字の読み方はなんだろう。理由と共に考えてみよう。 ・ 「椿」…木へんだから,植物に関係するだろう。. ◆留意事項 ※評価. ◆Google Meet でロイロノートの画面を 共有する。. 春とあるので,春に咲く植物だろう。 画面共有. ・ 「鮃」…魚へんなので,魚の一種だろう。 平とあるので,平べったい魚だろう。. 教科書を読み,部首のはたらきや分類について確認する。. ◆ロイロノートのカードを用いて,特に. ○教科書 p.46 を読んでみよう。. 本時の活動にかかわる部分を整理し て提示する。. ◆画面共有した状態で生徒が説明をし. ○次の部首にはどんな意味があるだろう。 ・ 「さんずい」……水にかかわる漢字につく。. たり,資料箱からカードを出して書き. 「河」や「泳」など。. 込んで提出したりすることにより,発 画面共有. ・ 「にんべん」……人にかかわる漢字につく。 「住」や「休」など。 ・ 「にくづき」……体の一部にかかわる漢字につく。 「腹」や「腰」など。. 表者の考えが視覚的に伝わりやすく なるよう留意する。. ○便覧 p.246 を見て確認しよう。 〔課題提示〕. 部首の意味をヒントに, 漢字の読み方(意味)を予想しよう! 課題提示 部首の意味をもとに,漢字の読み方(意味)を予想する。 ○次の漢字「訛」の読み方(意味)はなんだろう。 ・ 「言葉」が化けるので, 「なまり」と読むのではない か。 ・ 「言葉」で化かすので, 「いつわる」だと思う。. ◆ここで Google Meet をいったん離れ る。ここまで使ったロイロノートのカ ードを全員に送り,Google Meet が不 調で,満足に授業に参加できなかった. 画面共有. 生徒も活動することができるよう配 慮する。 ◆提出されたカードを見て,説明が不足 していたり,主旨に誤りがあったりす. 活動・提出 回答共有. るものについては,適宜カードに記 入・返却し,対面授業でいうところの 机間指導とする。. ○他の人の考えを見てみよう。. ◆回答共有して,提出後に級友の考えを 見られる状態にしておく。. 10.

(14) (上は生徒の提出物の一部) ※部首の意味から言葉に関係している 〔全体交流〕. 漢字だと予想することができている。 「化」との関係を踏まえて読み方を予. ○では,調べてみましょう。. 想することができている。. ◆対面授業では机間指導において補助 するであろう苦手意識をもつ生徒に 対し,活動の中で困り感を抱えないよ う,全体交流を参考に,部首の意味と それ以外の部分を合わせて考えるよ う促す。 多様な字について,部首の意味をもとに,漢字の読み方(意味) を予想する。 ○同じように考えると,次の漢字の「峠」 「麺」 「麓」の読み 方(意味)はそれぞれなんだろう。. 本時のまとめ ・教科書 p.47 の練習に取り組む。. 提出. ■. 本授業における「対面授業」と「オンライン授業」の違いと工夫点 「Google Meet」と「ロイロノート」の行き来に時間がかかると考えられるため,活動の内容を精査しました。. 「対面授業」では教科書内容について,部首の位置による分類や,同一の部首をもつ熟語の意味についても学習し ますが,今回の「オンライン授業」では漢字の読み方を予想することに重点を置き,全体で一度確認してから同様 の手順で他の課題に取り組むことで,苦手な生徒にも取り組みやすくなるよう心掛けました。 ■. 「オンライン授業」での「主体的・対話的で深い学び」に近接するためのポイント 「ロイロノート」上で交流の前に解答共有を行うことにより,自発的に質問や感想を述べたり,他者の考えをも. とに自分の意見を深めて発表したりする様子が見られました。交流と解答共有について,意図的な順番の設定や, 他者の考えを見る際の視点を工夫するなど,両者をもっとうまく組み合わせられれば,更に面白い活動になるとい う可能性を感じました。. 11.

(15) 「第2学年 読まれる新聞投書を書こう」 (本時 2/3時間扱い) 本時の目標:投書の比較を通して,多くの人から関心を集める見出しのあり方についての視点を見いだすととも に,見出しと本文との繋がりの持たせ方について考え,整理することができる。 〔思考・判断・表現〕 学習活動. オンライン授業での工夫点. 〇教師の働きかけ ・生徒の反応. 使用した APP や資料. 「見出しのみ」を読み比べ,多くの人が引き付けられるであろう 見出しを選定する。. ◆留意事項 ※評価 ◆対面授業では, 「 『学級投書集』 (紙媒 体)を読む間の時間に,自分の投書が 読まれるためにどんな要素が含まれ. 多くの人に読み進めてもらえる文章を書くにはどんなことが 必要だろうか。 ◯この問いを考えていく上で,初めに検討すべき部分はどこ だろう。 (なぜ?) ・読みやすさ・・・ ・本文の構成・・・ ・どんな話題か・・・ いや,やはり「見出し」 初めに目に入るところ. チャット (Google Meet 内). ていればよいだろうか」といった発問 を起点に本時の課題にあたる問いを 引き出すが,時間短縮のねらいから, 初めに問いを提示する。. ◆対面授業では黒板に見出しの一覧を 掲示するが,解答共有機能により手元 の画面でじっくりと比較できる。. 回答共有 活動指示 ○最も多くの人が初めに読もうとするのは,どの投書だろう か。 多くの人を引き付ける「見出し」がもつ要素を整理する。 ○この見出しが選ばれるのはなぜだと考えるかな。 ・一目で「主張は何だろう」と思わせたり,どきっとさ せたりする迫力があります。 (表現面) ・話題をすぐに想像させないように,具体を避けたこと が気を引いたと思います。 (表現面) ・今,ニュースでも騒がれていて,自分たちの世代に直 接関係が深かったのが大きかったんじゃないかな。 (内 容面) 「見出し」と「本文」との関わりにおいて,「読み進めさせる」上で 重要となる要素を整理する。 ◯皆が選ぶ見出しは,いずれも最後まで読み進めたくなるも のばかりだったかな。 ・正直,期待したよりは当たり前の内容でした。 ・想像した話題と違った。それなら,自分が思っていた 話題の方が興味が湧きました。 ・たまたま読んだ○○さんの投書が,出だしからぐいぐ い引き付けられました。 ・ 「気になる」と最後まで思わされて,一気に読んでしま いました。. 課題提示 活動指示 解答共有. ◆提出箱への提出内容を見ながら,画面 外の黒板において特に票を集めてい る見出しを板書する。特徴が似通って いれば,異なるパターンの見出しも把 握し,板書しておく。なお,この提出 箱自体の解答は共有しない。. 12.

(16) ○見出しを工夫すれば,読み手は最後まで読んでくれるだ ろうか。 ・見出しと本文との繋がりは大切にしなければならな い。 (その上で様々な工夫をする) ・本文自体の構成や言葉選びも,途中で飽きさせないた めに重要である。. ◆対面授業では紙媒体の冊子で配付す るところを,作品の解答共有によって 一目で見出し把握,比較→本文へと進 めるため,「全体で見出しについて議 論した作品+興味を持った作品」とい う明確な選択指示を行う。. 次時に向けた課題を把握する。 ○次回までにロイロノートの提出箱へ入れる課題について 説明します。 提出. 「本日の学習を生かし,自分の投書を推敲しよう」 ・提出の仕方 2 枚のロイロカードを繋げること ・1 枚目:推敲した新投書,2 枚目:前回の旧投書 ・別の提出箱に「推敲の視点」を記述し,入れる. ■ 本授業における「対面授業」と「オンライン授業」の違いと工夫点 「紙媒体での冊子を作成・配付する」ことと, 「ロイロノートの解答共有機能を活用すること」の違いがあり,事 前の提出のさせ方と共有するべき内容およびタイミングを工夫しました。本時前段では, 「見出し」のみを比較さ せる必要がありましたが,対面授業では拡大印刷による実践となります。そして, 「よい見出しとされた投書が, 本当に読み進めたくなる内容か」を確かめる後段に繋げますが,対面授業ではこのタイミングで冊子を配付する必 要があり,流れを途切れさせてしまいます。しかし,事前に「見出しのみ」と「見出し+本文」を別の箱に提出さ せたことにより,流れよく後者の提出内容を比較・検討する活動に入れるようにしました。 ■ 「オンライン授業」での「主体的・対話的で深い学び」に近接するためのポイント 国語科は説明や作品の文章量が多くなるため,できるだけ事前の作成・提出を位置付け,授業内においては提出 した内容をもとに発問や課題を工夫することが肝要であると考えています。言葉による見方・考え方を自他や他者 同士の比較を通して働かせる上で,座席の位置関係によらず広く共有できるツールを有効に活用することは,従来 の実践における授業効果を向上させうる可能性に満ちていると感じました。. 13.

(17) 推敲の視点. ■オンライン授業に対する不安 どの領域の授業にせよ,他教科以上にや りとりする言語の量が多いことは間違いな いため,正直,授業の質は保障できないと 感じていました。教師と生徒の間にこれま では存在しなかった「機器の操作」やそれ に伴う様々な不具合による活動時間の縮減 により,生徒が学ぶための「時間」が一定量 削られてしまうのは不可避だとすぐに気が 付きました。 そうであれば,学習過程を見直すことで, いかに「学びの質」が削られないよう工夫 できるかが勝負だと考えるようになりまし た。. ■. ■オンライン授業に対する不安 一番不安だったことは,生徒の反応が分 かりづらいことでした。特に生徒が発言し たことに対して, 「お~」とか「へ~」 ,ある いは「ん?」のような反応が,生徒間で共有 できないことが気にかかりました。自らの 発言に対して,周囲の反応が即時的な評価 や思考に繋がる部分が多いと考えているか らです。また,生徒とのやり取りの際には, どうしてもタイムラグが生まれてしまうた め,一つ一つの活動に時間がかかってしま うことが予想されました。 そこで,対面授業よりもオンライン授業 では,より課題や活動を絞り,より生徒に とって学習に向かいやすい授業をデザイン することが必要だと考えました。. ■. ・学習事項の必要性・有用性や,日常及び社会 生活との繋がりについて意識づける指導 (オンライン授業では,対「個」 (自分)に 教師の言葉が向けられている意識が高かっ たであろうことから,単元の導入時など一 層丁寧に行いました。 ) ・対話の必要性や欲求を生む学習課題の設定 及び発問(オンライン授業では直接対話は 設けられなかったものの,生徒による提出 物を教材にして,それをもとに問う課題に 対する発言が最も意欲的に答えていまし た。 ) ・ICT 機器を意図的・継続的に使用(ロイロノ ートの提出・共有機能を中心に,対面授業 に活用すべきよさを見いだしました。 ). ・課題や発問の精選については,対面授業に も通じるところが大きいと感じました。オ ンライン授業では,生徒の反応や机間指導 をもとに補助発問を行うことが難しいの で,課題の解決に向かう発問が生徒にとっ てクリアになっていないと,充実した活動 を行うことが難しいと感じたためです。こ れは,普段の対面授業にも大いに生かせる 部分だと感じました。 ・授業における思考の流れが可視化されるこ との重要性を改めて感じました。オンライ ン授業では,常に板書が見られる状態では ないため,授業の流れを常に視覚化した状 態で進めることが難しかった反面,ロイロ ノートの活用などにより,級友全員の考え を一度に共有することが可能でした。それ ぞれのよさを生かしつつ,今後の授業に活 用していきたいと考えました。. 14.

(18) 社会的な見方・考え方を働かせ,課題を追究したり解決したりする活動を通して,広い 視野に立ち,グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の 形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎を次のとおり育成することを目指す。. 社会. (1) 我が国の国土と歴史,現代の政治,経済,国際関係等に関して理解するとともに,調査や諸資料 から様々な情報を効果的に調べまとめる技能を身に付けるようにする。 (2) 社会的事象の意味や意義,特色や相互の関連を多面的・多角的に考察したり,社会に見られる課 題の解決に向けて選択・判断したりする力,思考・判断したことを説明したり,それらを基に議 論したりする力を養う。 (3) 社会的事象について,よりよい社会の実現を視野に課題を主体的に解決しようとする態度を養う とともに,多面的・多角的な考察や深い理解を通して涵養される我が国の国土や歴史に対する愛 情,国民主権を担う公民として,自国を愛し,その平和と繁栄を図ることや,他国や他国の文化 を尊重することの大切さについての自覚などを深める。. 社会科の 主体的・対話的で深い学び. 事例 【主体的な学び】. 「第2学年 日本の地域構成」 (本時 3/5時間扱い) 指導者 眞 島 良 太. 学習課題を把握しその解決への見通しを持つこ と。そのために,単元を通した学習過程の中で動 機付けや方向付けを重視し,学習内容・活動に応. 使用した APP. → p.16 から. じた振り返りの場面で振り返るようにする。. 【対話的な学び】 実社会で働く人々が連携・協働して社会に見ら れる課題を解決している姿を調べたり,実社会の 人々の話を聞いたりする。. 事例 【深い学び】. 「第3学年 二度の世界大戦と日本」 (本時 2/11時間扱い) 指導者 細 野 歩. 「社会的な見方・考え方」を用いた考察,構想 や説明,議論等の学習活動が組み込まれた,課題 を追究したり解決したりする。具体的には教科・. 使用した APP. 科目及び分野の特質に根ざした追究の視点と,そ れを生かした課題の設定,諸資料等を基にした多 面的・多角的な考察,社会に見られる課題の解決 に向けた広い視野からの構想をする。. 15. → p.18 から.

(19) 「第2学年 第1章 日本の地域構成 ③日本の領土をめぐって」 (本時 3/5時間扱い) 本時の目標:竹島と北方領土は日本固有の領土であるが,現在,韓国とロシア連邦にそれぞれ不法に占拠されて いること,尖閣諸島については中国が資源をめぐって領有を主張し始めたが,領有権の問題は存在 しないことを説明することができる。 〔思考・判断・表現〕 学習活動 〇教師の働きかけ ・生徒の反応. オンライン授業での工夫点 使用した APP や資料. 問題の把握 日本だけど,日本人が行くことができない 島はどこ?. ・北方領土. ・竹島. 動画. 〇現在,北方領土はロシア連邦に,竹島は韓 国に不法占拠されていますが,これらの. ≪授業風景 1≫. ◆留意事項 ※評価. ◆機器の不具合や授業内の質問は Zoom を用いて対応できるよう にしておく。 ◆問題提示後,1 分間動画を停止 させ,予想をノートに記入させ る。. 島々が日本の領土といえるのはなぜでし ょうか?. 課題の明確化Ⅰ・課題追究. カード. 〇いつから日本の領土となったのでしょう か? 教科書 p.130 からみつけてノート に書いてみましょう。 ・1855 年 日魯通好条約 課題1 北方領土に関係する4つの条約をもとに, 北方領土が日本固有の領土であるといえる かな?. 〇自分の考えをノートに書いてロイロノー. ≪授業資料≫. トの提出箱の「提出物D」に提出しましょ う。提出後,動画を再生しましょう。. ◆自らの考えを書いて提出箱へ提 出させる。 【生徒が提出したカード】. 〇地図帳 pp.137-138 の 4 つの条約を見る と,どの条約においても北方領土は他国の 領土になったことがないことがわかりま す。ここから,北方領土は日本固有の領土 であるとの根拠を示すことができます。 次に竹島が抱える領土問題について整理. 動画. します。 (①1905 年から日本固有の領土, ②1952 年以降韓国が領有権を主張し,不 法占拠,③日本は国際司法裁判所で決める. ≪授業風景 2≫. ◆提出されたカードには即時的に 評価を行い返却する。. よう 3 回提案するも韓国側が拒否). 課題の明確化Ⅱ・課題追究 〇教科書 pp.130-131 を開いてください。 そこには先ほど学習した北方領土問題と 竹島問題が載っています。それとは別にも. ◆提出し終えたら次の動画を再生 させる。 ※北方領土が日本固有の領土であ ることを 4 つの条約を用いて説 明している。 (カード・ノート) ◆教科書 pp.130-131 を開くよう 指示した後,生徒が教科書を開. う一つ島が載っているのはわかります か? ・尖閣諸島 〇(尖閣諸島と板書して)みなさん,これを 何と読むかわかりますか? ・せんかくしょとう ・なんと読むのかな 〇これは「せんかくしょとう」と読みます。. 16.

(20) けるよう少し間をあけて次の発 話を行うよう配慮する。. 尖閣諸島は先ほどの北方領土や竹島など の領土問題とは異なり,日本が支配してい る島です。ですから領土問題ではないとい うことを踏まえて尖閣諸島について整理. 動画. します。 (①1895 年から日本固有の領土,. ◆調べたことカードに書いて提出 箱へ提出させる。 ◆提出されたカードには即時的に 評価を行い返却する。 ◆提出し終えたら次の動画を再生 させる。 ※尖閣諸島について中国が領有権 を主張し始めた背景を調べ,カ ードやノートに記述している。 (カード・ノート) ※北方領土,竹島における領土問 題があることと尖閣諸島は領土 問題が存在しないことについて 学習したことを踏まえカードや ノートに記述している。(カー ド・ノート). ②1970 年代から中国が領有権を主張し始 めた) 課題2 中国が 1970 年代から領有権を主張し始めた のはなぜだろう?. ・周辺海域に埋蔵されているとされる資源 をめぐり,中国が領有を主張し始めた。. 振り返り 〇北方領土問題,竹島問題,尖閣諸島につい て学習したことをまとめてロイロノート で提出してください。. ≪授業風景 1≫. ≪授業資料≫. ≪授業風景 2≫. ■ 本授業における「対面授業」と「オンライン授業」の違いと工夫点 授業冒頭に Zoom を用いて,本時の学習の概要を説明し,質問等は Zoom 内で即時的に対応することを伝え ました。授業で用いる資料は教師の指示や説明,想定する生徒のやりとりを記したカードと授業者による動 画解説を組み合わせて作成しました。すべて動画にすると再生に時間がかかることや,生徒への身体的負担 が懸念されることなどを考慮し,1 つの動画あたりの収録時間を 10 分以内におさめるよう工夫しました。ま た,授業者による一方的な解説とならないよう,生徒に問いかけたり,板書を書き写す「間」を設けたりし て,学習者のペースに配慮しました。リアルタイムで進行しているかどうかという点では緊張感に欠く面も 考えられるため,授業の中では「授業前課題」 「授業中課題(本時の目標に迫る課題) 」 「授業後課題」の 3 回, 課題提出場面を設定し,提出された課題に対しては即時的に解答やアドバイスをするようにしました。資料 の最後には本時の板書を掲載しました。 ■ 「オンライン授業」での「主体的・対話的で深い学び」に近接するためのポイント 生徒が提出した課題は解答共有をかけることでクラス全員の提出内容を生徒自身が把握することができま す。他者の考えに触れる中で自らにはない視点や考えを獲得し,学びに生かすことができます。対面授業に おいても他者の考えに触れる機会は重要ですが,オンライン授業ではそれが容易にできること,また文章や 絵,音声で表すなど生徒の表現の幅も広げることができ,他者の考えを理解しやすくなります。授業の終末 では授業のまとめを Zoom の中で行い,その際に提出された課題を比較して提示し,ブレイクアウトルーム を用いた議論などを行いました。 17.

(21) 「第3学年 歴史的分野 第7章 二度の世界大戦と日本」 (本時 2/11時間扱い) 本時の目標:日本はなぜ戦争の道へと進んでしまったのかについて,自分の追究の視点を確立した上で見通しを もって次時へ臨もうとしている。 〔主体的に学習に取り組む態度〕 〔思考・判断・表現〕 学習活動 〇教師の働きかけ ・生徒の反応. オンライン授業での工夫点 使用した APP や資料. 課題把握 みんなから出た「なぜ?」 「知りたい」 は学習の流れのどこに位置付けられる のかな?. 追究の視点の明確化. 画面共有. ◆留意事項 ※評価. ◆前時に生徒が提出したロイロノ ートの提出箱を画面共有にか け, 「それぞれがどこに追究の視 点を置くのか」について考える よう仕向けていく。. 〇パフォーマンス課題を解決するために,自 分がどの視点で追究すれば解決できそう かな?. ・世界恐慌が影響ありそうだから,経済 について調べていきたい。 ・私はナチスドイツのユダヤ人迫害の視 点から課題を追究したい。 追究の視点を学習計画に位置づける 〇自分の追究の視点を踏まえ,自分たちが 調べたいことは何かな? ・経済の視点で追究したいと思ったけ ど,アメリカやイギリス・フランス, 日本やロシアでも対応が違っていそ うだから,そこをグループで分担して 調べてみよう。. 全体共有 〇皆さんが話し合ったことを発表してくだ. ブレイクアウトルーム. ノート 画面共有. さい。 ・私たちは人種差別について調べようと 思います。アンネの日記にヒントがあり そうなので図書館で借りて読んでみよ うと思います。. 18. ※日本がなぜ戦争の道に進んでし まったのかについて,追究の視 点を持って考えをカードに記述 している。 (カード) ◆視点ごとにブレイクアウトルー ムの部屋を準備し,生徒が何を 調べていきたいのかについて話 し合う。教師は適宜発言を聞い て板書していく。. ※次時に自分たちが何を追究して いくのかについて発言してい る。 (発言・板書) ◆話し合いの経過や結果が聴覚の みに残らないよう,画面共有を かけて可視化する。また,教師 も生徒の発言を随時拾いながら 黒板にシンキングツールを活用.

(22) 次時への見通し. 板書を生徒へ配信. 〇今回の授業を踏まえ,次の時間では皆さん が各時間の学習課題をつくりましょう。. して生徒一人ひとりの追究の視 点を示す。授業の最後に板書を ロイロノートで生徒へ配信す る。. ■ 本授業における「対面授業」と「オンライン授業」の違いと工夫点. 授業形態は変わったが,社会科を通して生徒が公民としての資質・能力を育成することに変わりはないと 捉え,授業準備を行ってきました。授業準備にこれまでと特段大きな違いはありません。 授業準備で重点をおいたのは,生徒一人一人の考えを本単元(本時)にどう組み込むかということです。 その考えは「個別最適化」に通じると捉えています。 「個別最適化」の具現化に向けて,特に活用したのがロ イロノートのシンキングツールと画面共有による生徒一人一人の思考の可視化です。 ■ 「オンライン授業」での「主体的・対話的で深い学び」に近接するためのポイント 「 『画面共有やシンキングツールの活用』により一人一人の考えを可視化して共有する」ことがポイントとなり ます。社会科の基本的な考えとして,単元を通して資質・能力を育成する特性ゆえ,単元レベルで授業を展. 開していくことになります。そうすると,各時間において全体で共有しているものにみんなで考えたこと(思 考の流れ)が可視化され残っていることは,学びの蓄積の観点から非常に効果的でした。重要な個別最適化の指導 技術であると考えます。. 図1 生徒が作成したパフォーマンス課題に対する答え(紙面の関係上により一部抜粋) 図1は,実際の授業で生徒が作成したシンキングツールの実際です。生徒は,教師からの全体説明を受け た後,小グループでどうすれば既習の知識を関連付けて構造化できるのかについて意見交流を行いました。 その後,授業者とロイロノートで個別のやり取りを行い,シンキングツールを完成しました。本単元の 6 時 間目において,生徒個々が作成したシンキングツールを画面共有にかけて,生徒の思考を可視化しました。 すると,主張を導く根拠や表現方法の差異等について疑問が湧き,対話が促される姿が見られました。 19.

(23) ■オンライン授業に対する不安. ■ポストコロナにおける授業の充実・改善に向けて オンライン授業を通して日常の授業 において次の点が重要であると再認識 しました。 ・生徒にとって学びたいと思える学習課 題に行きつくような問題の提示をする ことです。生徒自らがもつ考えとのず れを感じたり,既存の知識であっても 生徒が新たな視点で考えたりすること を促す資料や問題を提示します。また, ICT を活用することで生徒と共有しや すくすることができます。 ・学習課題に迫る上で,生徒の考えを可 視化することです。一人一人の考えを すべて表出させることが ICT 活用によ り容易にでき,比較などを通じて対話 を生み出しやすくなります。. 同じ空間にはいない生徒にどのように授 業をすればよいのか,学習状況の見取りや 課題提出はどのようにさせればよいのか, そもそもオンラインの中で教科目標を達成 するための授業がどの程度可能なのか, 様々な不安がありました。授業構築にあた りリアルタイム配信のいわゆる「同期型」 にするのか,動画を予め撮影し配信するい わゆる「非同期型」にするのか,どちらが生 徒にとって学びやすい形なのかを模索する ところから始めました。改めて教科として 目指すこと,授業のあり方などを見つめ直 す機会となりました。. ■オンライン授業に対する不安 不安しかありませんでした。私は元々, パソコンをはじめ様々な機器の操作に強い 苦手意識がありました。ですので,オンラ イン授業と一言でいっても, 「何をどうした らよいのか」が全く見えませんでした。し かし,臨時休校の中で生徒にとって何が成 長につながるのかを考えたときに,答えが 見えました。機器の操作方法や準備の仕方 など全てを同僚から教えてもらい,時には 生徒から教えてもらったこともありまし た。オンライン授業を通して,教師も生徒 も,これまで以上に「授業で勝負」を実践し て互いの関係が強固になったのは何より大 きな成果だと感じます。. ■ 何より, 「やってみよう」という気持ち が大切なのだと身をもって経験しまし た。オンライン授業を通して得た成果 は,①個別最適化にむけた生徒同士,教 師と生徒のやりとりがより丁寧かつ精 選されたものになったこと,②社会科で. 講じる手立てがロイロノートを活用す ることでより効率的に実践できたこと が挙げられます。これらは,今後の授業 に特に生かせると感じています。生徒か らの質問も格段に増えました。生徒の困 り感がどこにあるのかもこれまで以上 に見えるようになってきました。. 20.

(24) 数学的な見方・考え方を働かせ,数学的活動を通して,数学的に考える資質・ 能力を次のとおり育成することを目指す。 (1) 数量や図形などについての基礎的な概念や原理・法則などを理解するとともに,事象を. 数学. 数学化したり,数学的に解釈したり,数学的に表現・処理したりする技能を身に付ける ようにする。 (2) 数学を活用して事象を論理的に考察する力,数量や図形などの性質を見いだし統合的・ 発展的に考察する力,数学的な表現を用いて事象を簡潔・明瞭・的確に表現する力を養 う。 (3) 数学的活動の楽しさや数学のよさを実感して粘り強く考え,数学を生活や学習に生か そうとする態度,問題解決の過程を振り返って評価・改善しようとする態度を養う。. 数学科の. 事例. 主体的・対話的で深い学び. 「第1学年 2章 文字と式」 (本時 13/20時間扱い) 指導者 野 口 朝 央. 【主体的な学び】 生徒自らが,問題の解決に向けて見通しをもち,. 使用した APP. 粘り強く取り組み,問題解決の過程を振り返り,. → p.22 から. よりよく解決したり,新たな問いを見いだしたり するなど。. 【対話的な学び】. 事例. 事象を数学的な表現を用いて論理的に説明した. 「第2学年 2章 連立方程式」 (本時 2/14時間扱い) 指導者 稲 葉 泰 愛. り,よりよい考えや事柄の本質について話し合い, よりよい考えに高めたり事柄の本質を明らかにし たりするなど。. 使用した APP. → p.24 から. 【深い学び】 数学に関わる事象や,日常生活や社会に関わる 事象について,数学的な見方・考え方を働かせ, 数学的活動を通して,新しい概念を形成したり,. 事例. よりよい方法を見いだしたりするなど,新たな知. 「第3学年 1章 多項式」 (本時 8/19時間扱い) 指導者 赤 本 純 基. 識・技能を身に付けてそれらを統合し,思考,態 度が変容する。. 使用した APP. (中学校学習指導要領解説数学編 p.163). 21. → p.26 から.

(25) 「第1学年 2章 文字と式」 (本時 13/20時間扱い) 本時の目標:単位の異なる数量の和や差を,単位をそろえた式に表すことができる。 〔知識・技能〕 学習活動 〇教師の働きかけ ・生徒の反応. オンライン授業での工夫点 使用した APP や資料. ◆留意事項 ※評価. ◆黒板の板書の字の大きさが実際 に読み取れるか確認しながら問 題を提示する。 問題の把握Ⅰ. 黒板の板書をカメラ で提示. 問題 𝑥m のひもから𝑦cm のひもを切りとったとき,残りのひも の長さは,何 cm になるだろうか。. ○(下記の①,②を板書して)大きく 2 つ 答えがあったんだけど正しいのはどち らかな? チャットを利用して①が正 しいと思ったら 1 を②が正しいと思っ たら 2 と書き込もう。 ① (𝑥−𝑦) cm ② (100𝑥−𝑦)cm. ノートに 解いた問 題をロイ ロノートで提出. Zoom のチャット機能 を利用. 課題の明確化. ◆3 分以内にロイロノートに提出 させる。 (提出された生徒の個人 の考えは共有しない) ◆ロイロノートに提出されていた 生徒の考えから指名計画を立て る。 ◆ロイロノートに提出された考え では①だったのにチャットでは ②を記入した生徒に「考えが変 わったきっかけは何かな?」と 問う。. 課題 どちらが正しいか,どのように説明すればよいのかな?. ○できる場合はマルをできない場合は, バツをジェスチャーで示させる。. ◆考えが②に偏っている場合は 「本当に②が正しいといえる の?」とゆさぶる。. 個人思考・集団思考 ○マルを示した人は何か自分が正しいと 思っている考えのヒントを言えるか な? ・残りだから引き算。 ・単位をそろえる。 ・1m は 100cm。. ◆Zoom 上での生徒の表情とロイ ロノートに提出された考えから 指名を行う。 ◆生徒からのヒントを逐次板書す る。また,生徒の発言をそのま ま復唱して全体に返す。. ○自分の今の考えを交流してみよう。. ブレイクアウト ルーム ◆困り感をもっていた生徒のブレ イクアウトルームに教師も参加 して,生徒の話し合いを観察。. 〇今当てられたら困る人はいるかな? 〇なぜ②が正しいのかな?. ・まず𝑥m と𝑦cm では単位が違います。 問題では残りは何 cm と聞かれてい るので,1m は 100cm で 100 倍なの で𝑥m は 100 倍すると 100𝑥cm とな ります。したがって,答えは(100 𝑥− 𝑦)cm となります。. ◆困り感をもっている生徒に対し て,どのあたりで困っているの かを焦点化した後,困り感をも っている生徒ともっていない生 22.

(26) 徒(ロイロノートの最初に提出 した考えを踏まえて)を指名し て,その 2 人のミュートを解除 させ,説明のやりとりを全体で 共有する。その際,説明してい る生徒の発言の要点を逐次板書 する。. 〇今の説明が伝わった人はどれくらいいま すか? 〇もし,問題が「残ったひもの長さは何 m」 だったら答えはどうなるかな? ・𝑦cm を m に直すので 1cm は 0.01m な ので, (𝑥−0.01 𝑦)m となります。. ノートに 解いた問 題をロイ ロノートで提出. ◆理解できたかどうか全体に確認 し,説明した生徒とは違う生徒 を指名して再度説明させる。. 振り返り 〇2つ問題を解いたけれども今回の問題を 解決するポイントは何だったかな?. ・単位に注目して,単位が違う場合は単 位を問題の答えに合わせる。 練習 ○教科書(p73)の問題や問題集に取り組も う。. ノートに 解いた問 題をロイ ロノートで提出. ◆生徒の発言を板書し,何がポイ ントだったのかを強調する。. ※位の異なる数量の和や差を,単位 をそろえた式で表すことができ る。 (ノート). 最終板書. ■ 本授業における「対面授業」と「オンライン授業」の違いと工夫点 「自分の考えをロイロノートで提出させた後,代表的な 2 つの考えを取り上げ,自分の考えを再考し,チャット で打ち込む場面」を位置付けました。対面の授業では「考えが変わった人はいますか?」と聞いても周りの様子を 見て判断する生徒が少なからずいるため,本当に自分の考えが変わったか,意思を表明しづらいことが考えられま す。しかし,オンライン授業では周りの様子を把握することが難しいこととチャットでの 1 か 2 の単純な打ち込 みしかないので対面授業より自分の立場を表明しやすいものです。授業内ではチャットへの打ち込みは記録とし て残るので,ロイロノートで提出された考えと見比べ,意図的な指名計画を立てることができます。 ■ 「オンライン授業」での「主体的・対話的で深い学び」に近接するためのポイント 黒板に生徒の発言を逐次板書することで思考を可視化・共有化することがポイントとなります。オンライン授 業では生徒同士の発言を直接結びつけることが困難となります。そのため思考の流れが可視化された板書は生徒 の言葉を紡いで授業を展開していく上で必要不可欠と思います。. 23.

参照

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