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照明の照度と色温度に対する執務者の満足度の評価と満足度を最大化する知的照明システム

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Academic year: 2021

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184回 月例発表会(201710月) 知的システムデザイン研究室

照明の照度と色温度に対する執務者の満足度の評価と

満足度を最大化する知的照明システム

坂東 航

Wataru BANDO

1

はじめに

我々はオフィスにおける執務者の執務快適性や知的生産 性の向上を目的とした知的照明システムの研究を行ってい る1) .知的照明システムは各執務者が要求する照度およ び色温度を最小の消費電力で実現する.しかし,隣接する 執務者が大きく異なる照度および色温度を要求した場合, 使用する照明の配光特性と設置間隔及びオフィスレイアウ トの関係により,各執務者が要求する照度および色温度を 同時に実現できないことがある. 一方で,執務における照度・色温度を含む光環境の許容 領域には個人差があることがわかっている2).これより, 執務者が満足と感じる照度・色温度領域にも個人差がある と考えられる.そこで本研究では,執務者が照度と色温度 に対して感じる満足感の指標である満足度を導入する.そ して,目標照度および色温度が実現できない場合に全執務 者の満足度の合計が最大となるように照明を制御する手法 を提案する.

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満足度を最大化する知的照明システム

執務者が執務において満足できる照度・色温度の領域に は個人差があると考えられる.ここで,満足できる領域が 広い執務者の目標照度および色温度の実現精度を満足度が 下がらない範囲で下げることで,満足できる領域が狭い執 務者の目標照度および色温度の実現精度を上げることがで きると考えられる.また,それにより全執務者の満足度の 合計は向上すると考えられる.そこで本研究では,目標照 度と色温度が実現できない場合に全執務者の満足度の合 計が最大となる照明の制御手法を提案する.提案する全執 務者の満足度の合計を最大化するアルゴリズムを以下に 示す. 1. 執務者の中で満足度が最も高い執務者を選択する 2. 選択した執務者の目標照度および色温度を満足度が下 がらない範囲で中照度・中色温度になるよう変更する 3. 数理計画法により目標照度および色温度を実現する 4. 全執務者の満足度の合計を判断する 5. 同じまたは上がっていた場合,1.に戻る 6. 下がっていた場合,元の状態に戻して1.に戻る 執務者の照度と色温度に対する満足度はSD法に基づい て満足から不満まで5段階で評価する.また,執務者が評 価した満足度をSupport Vector Machine(以下,SVM)を 用いて学習することで評価をしていない照度と色温度に対 する満足度の推定を可能にする.

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満足度の取得実験

3.1 実験概要 執務者として眼疾患を有さない21∼22歳の男性3名 (以下,被験者A,B,C)に対して実験を行い,照度と色温 度に対する満足度の取得を行う.実験環境をFig. 1に示 す.実験中,被験者はデスクに座り紙面作業としてテキス トの読書を行う.被験者は実験の始めに選好照度と選好色 温度を選択し,満足度5の基準とする.その後,机上面の 照度と色温度をランダムに変化させ,3分間の順応後,満 足度の評価を行う.満足度を取得する対象となる机上面の 照度と色温度は照度が100 lx∼1000 lxまでの50 lx刻み, 色温度が3000 K,3500 K,4200 K,5000 K,6500 Kで ある. ᮘ 1.2 m 6 .0 m 7.2 m ⿕㦂⪅ 0.70 m ↷᫂ ⿕㦂⪅ ⿕㦂⪅ Fig.1 実験環境 3.2 実験結果および考察 実験により取得した被験者Aの満足度をFig. 2に示す. Fig. 2より,低照度の方が満足度が高くなる傾向が見られ る.また,被験者によって満足度が5となる点の数が異 なった.このことから,照度と色温度に対して満足に感じ る領域には個人差があることが確認できた. Fig.2 被験者Aの満足度

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満足度の推定

4.1 推定方法 取得した満足度を学習データに使用し,照度と色温度を 特徴量としてSVMにより満足度の推定を行う.SVMの 17

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カーネルはRBFカーネルを用い,パラメータC,γはグ リッドサーチにより各被験者ごとに求める.また,照度と 色温度の絶対値に差があるため,照度と色温度を0-1ス ケーリングにより標準化を行う. 4.2 有効性の検証 被験者A のSVM による推定結果をFig. 3に示す. SVMを用いた満足度の推定による満足度評価の有効性の 検証を行う.学習に用いていない照度と色温度の組み合わ せ20点に対する満足度をテストデータとして3日間分取 得し,SVMによって推定した満足度と比較し推定精度の 検証を行う.3日間分のテストデータに対する満足度の推 定精度をTable 1に示す.Table 1より,3日間分のテス トデータに対して最大で85 %,最小で75 %の推定精度を 実現した.日によって精度が変化している原因としては, 満足度の評価の基準がずれてしまい外れ値が発生してし まったことが考えられる.しかし,3日間で全て異なった 満足度を推定したテストデータはなかっため,満足度は正 しく推定できていると考えられ,SVMによる満足度の評 価は有効であることがわかった. ↷ᗘ[lx] Ⰽ  ᗘ [K] Fig.3 被験者Aの推定結果 Table1 3日間のテストデータに対する推定精度   被験者   1日目   2日目   3日目 A 85 % 85 % 80 % B 75 % 80 % 80 % C 80 % 75 % 75 %

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検証実験

5.1 概要 満足度の向上における提案手法による有効性を示すた め,模擬オフィスを想定したシミュレーション環境を構築 し検証実験を行う.構築したシミュレーション環境をFig. 4に示す.執務者は6人を想定し,照明6灯の環境に6台 のデスクを対抗島型で設置し,ぞれぞれのデスクに図のよ うに実現が困難になる目標照度と目標色温度を設定する. 設定した目標照度と目標色温度に対して従来手法と提案手 法により照度・色温度収束シミュレーションを行い,満足 度評価により従来手法と提案手法による満足度の検証を 行う. 0.60 m LED↷᫂ 3.6 m 5 .4 m ᮘ Ⰽᙬ↷ᗘィ 0 .6 0 m 300 lx 4200 K 800 lx 5000 K 300 lx 4200 K 800 lx 3000 K 300 lx 4200 K 800 lx 3000 K ┠ᶆ↷ᗘ ┠ᶆⰍ ᗘ Fig.4 シミュレーション環境 5.2 結果および考察 照度・色温度収束シミュレーション後の満足度の結果を Fig. 5に示す.結果より,従来手法と比較して提案手法に より6人中3人の執務者の満足度が向上し,満足度の合計 が19から22に向上した.これより,提案手法を用いるこ とで全執務者の満足度の合計が向上することを確認した. ᚑ᮶ᡭἲ ᥦ᱌ᡭἲ ‶㊊ᗘ㸸3 ‶㊊ᗘ㸸4 ‶㊊ᗘ㸸3 ‶㊊ᗘ㸸3 ‶㊊ᗘ㸸3 ‶㊊ᗘ㸸3 ‶㊊ᗘ㸸4 ‶㊊ᗘ㸸4 ‶㊊ᗘ㸸3 ‶㊊ᗘ㸸4 ‶㊊ᗘ㸸4 ‶㊊ᗘ㸸3 ྜィ‶㊊ᗘ㸸19 ྜィ‶㊊ᗘ㸸22 Fig.5 シミュレーション結果

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結論および今後の展望

本研究では執務者が光環境に対して感じる満足度を被験 者実験とSVMを用いて推定する手法を提案し,検証実験 により推定による満足度評価の有効性を示した.また,知 的照明システムが照度と色温度を実現できない条件下で満 足度を最大化する照明制御方法を提案し,シミュレーショ ン環境により提案手法が従来手法と比較して満足度の向上 に有効であることを示した. 今後の展望として,照度が下がっても満足度が変わらな い執務者がいたことから,満足度が下がらない範囲で消費 電力を下げる照明制御方法についての検討も行う.

参考文献

1) 三木光範,知的システムと知的オフィス環境コンソーシアム, 人工知能学会誌,Vol.22,No3(2007),pp.399-410. 2) 鈴木真理子,色度図上における人間の許容照明環境領域,照 明学会誌,第96巻,第5号,pp.279-285(2012). 18

参照

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