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乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 : 施設職員と里親との関係が構築されているA 県を事例として

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乳児院・児童養護施設の

里親担当職員による里親支援の特徴

──施設職員と里親との関係が構築されている

A 県を事例として──

井上 寿美・笹倉千佳弘

1.研究目的

本研究の目的は、A 県の乳児院と児童養護施設における里親担当職員(1)による里親支援の特 徴を、児童相談所の里親担当職員、施設の里親担当職員、里親という三者の関係性に注目して明 らかにすることである。 2017(平成 29)年 8 月、当時の塩崎恭久厚生労働大臣によって設置された「新たな社会的養 育の在り方に関する検討会」から『新しい社会的養育ビジョン』が発表された。その中で里親支 援に関しては、「里親とチームとなり、リクルート、研修、支援などを一貫して担うフォスタリ ング機関による質の高い里親養育体制の確立を最大のスピードで実現し、平成32 年度はすべて の都道府県で行う体制とし、里親支援を抜本的に強化する」(新たな社会的養育の在り方に関す る検討会2017 : 3)と述べられた。加えて、現在、「主として児童相談所が単体で、あるいは、 民間の里親支援機関や里親支援専門相談員と連携して」(新たな社会的養育の在り方に関する検 討会2017 : 33)おこなわれている、リクルートから委託後支援までのフォスタリング業務を、 今後は、社会福祉法人やNPO 法人などの民間機関に委託する方法についても言及された。 里親支援に関しては、乳児院や児童養護施設の家庭支援専門相談員(ファミリーソーシャルワ ーカー)や里親支援専門相談員(里親支援ソーシャルワーカー)が担うところも大きい。すべて の施設に配置されているわけではないが、1999(平成 11)年に家庭支援専門相談員が配置され てから19 年め、2012(平成 24)年に里親支援専門相談員が配置されてから 6 年めを迎える今、 施設の里親担当職員と里親との関係が構築されているA 県を事例として、児童相談所の里親担 当職員、施設の里親担当職員、里親という三者の関係性に注目して、施設の里親担当職員による 里親支援の特徴を明らかにし、検討を加えることは、里親支援をめぐる新しいシステムを構築す るにあたり有用な知見をもたらしてくれるに違いない。 国立情報学研究所のデータベースCiNii を用いて、フリーワードに「児童養護施設 里親養 育支援」、「児童養護施設 里親支援」、「乳児院 里親養育支援」、「乳児院 里親支援」を入れて 論文検索をおこなったところ(2017 年 12 月 7 日)、抽出された文献のほとんどが実践報告であ (71)

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った。その中で、伊藤・髙田・森戸(2014)は、里親と施設との関係調整などの役割を担う 「直接支援職員」にインタビューをおこなっており、先行研究に位置づくものである。しかしそ のインタビューでは、施設に対する里親の批判的な言動、それに対する施設職員による里親への 不信感が語られており、施設と里親との関係が必ずしも良好とは言えない地域での調査になって いる。 施設と里親の関係については、児童相談所も含め「相互の不信が非常に強いのが現状」(庄司 2011 : 76)であると言われているが、A 県では、施設の里親担当職員と里親との関係が構築さ れている。したがって本研究は、施設と里親の関係が構築されている地域をとりあげるという点 において独自性があると言える。なおA 県において、施設の里親担当職員と里親との関係が構 築されているとする理由については「2.(1)」で詳しく述べる。

2.研究の視点および方法

1)調査対象地選定理由 A 県を調査対象地に選定したのは、施設職員と里親の定期的な交流や懇談機会の少なさが指 摘される中(伊藤・髙田・森戸2014)、当該県では施設職員と里親の交流や連携が良好におこな われているからである。施設職員研修会に里親が参加する、里親研修会に施設職員が参加する、 また、児童相談所の里親担当職員と施設の里親支援専門相談員と里親が同席する会議が開催され ている。具体的には次のとおりである。 2016(平成 28)年度の A 県児童養護施設協議会主催の全体研修会に里親が参加するだけでな く、同研修会で里親が養護実践発表者7 人のうちの 1 人として報告をおこなっている。2017 (平成29)年度に A 県で開催された Z 地区里親研修会では、A 県の里親支援専門相談員が分科 会の記録や里親委託児の保育を担当し、当日の運営に参加している。児童相談所でおこなわれて いる児相の里親担当職員と施設の里親支援専門相談員による毎月の定例会議に、2017 年度から テーマによって里親会会長が参加している。 また、A 県里親会中央支部のニュースレター創刊号(2000(平成 12)年)に、県内の児童養 護施設E の子どもと職員、里親会の親子が野外での活動を通して交流した記事が掲載されてい る。記事では、「いままでJ 里親会で行っていた E との交流会」と綴られており、2000 年より 前から双方の交流会が実施されていたことがうかがえる。その後もニュースレターにはこの交流 会の様子が継続して報告されている。 加えてA 県では、1982(昭和 57)年頃に、児童養護施設からの「盆や正月に家に帰れない子 どものために」という提案を受けて始まった「三日里親」が、やがて県の「一時里親事業」(児 童養護施設に入所している児童を、里親に一定期間あずけて家庭生活を体験させることにより、 児童の情緒の安定を図る事業)としてとりくまれるようになった。つまりA 県では、1980 年代 から施設養育が里親と連携しながらおこなわれてきたのである。A 県の里親会前会長は、里親 (72)

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から相談を受けた際、相談内容によっては、自分が答えるのではなく、「Ⅹ施設のY さんに相談 してはどうか」というように、具体的な施設名と職員名を挙げて、里親と施設職員をつなぐよう に関わってきたという(2015 年 8 月 24 日、当時の A 県里親会会長へのインタビュー)。社会 的養護を、施設職員と里親が協働して担っていこうとする意識が双方の側にあることがうかがえ る。 その他、A 県では、東日本大震災によって親族里親が誕生した沿岸部で、施設による親族里 親への支援が積極的におこなわれている。また震災後、内陸部の里親会は、沿岸部の里親会の支 援にとりくんできた。親族里親への支援や里親会同士の支援など、多様な里親支援を考えるため にもA 県を調査対象地として選定した。 (2)インタビュー調査 2017 年 8 月 21 日∼24 日に A 県内すべての児童養護施設 6 か所、2018 年 2 月 19 日∼20 日 にA 県内すべての乳児院 2 か所を調査者 2 人が訪問してインタビューを実施した。事前に施設 長宛てに調査項目を記した依頼文書を送り、里親支援専門相談員の業務内容を参照しながら里親 担当職員などの協力を得て里親支援に関する半構造化インタビューをおこなった。インタビュー 時間は1 時間∼2 時間程度である。インタビューは IC レコーダーに録音し、後に逐語録を作成 した。各施設における調査協力者、インタビュー形態、調査日、調査場所、調査時間については 「表1」を参照されたい。 D 施設と G 施設のインタビューが 1 時間に満たないのは、施設見学をおこなったため、見学 中のやりとりがIC レコーダーに録音されていないからである。また、調査協力者の職種が施設 により異なっているのは、調査時点では、A 県内で里親支援専門相談員が配置されているのは 5 施設であり、未配置の3 施設については、家庭支援専門相談員にインタビューをおこなったこ 表1 インタビュー調査の概要 施設名 調査協力者 インタビュー形態 調査日 調査場所 調査時間 B 里親支援専門相談員里親支援担当職員 グループ 2017 年 8 月 21 日 B 施設 1 時間 50 分 C 里親支援専門相談員 個人 2017 年 8 月 22 日 C 施設 1 時間 39 分 D 家庭支援専門相談員(2 人)施設長 グループ 2017 年 8 月 22 日 D 施設 44 分 E 里親支援専門相談員施設長 グループ 2017 年 8 月 23 日 E 施設 1 時間 8 分 F 里親支援専門相談員施設長 グループ 2017 年 8 月 23 日 F 施設 1 時間 7 分 G 家庭支援専門相談員施設長 グループ 2017 年 8 月 24 日 G 施設 52 分 H 家庭支援専門相談員 個人 2018 年 2 月 19 日 H 施設 1 時間 13 分 I 里親支援専門相談員(2 人) グループ 2018 年 2 月 20 日 I 施設 1 時間 7 分 乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 (73)

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とによる。また事前に調査協力依頼状を施設長宛てに送っていたことから、4 施設では施設長も インタビューに同席した。 インタビュー資料の分析は、逐語録の中から施設の里親担当職員、児童相談所の里親担当職 員、里親という三者の関係性にかかわるセグメントを切り出し、それにコードを付し、カテゴリ ー化をおこなった。

3.倫理的配慮

大阪大谷大学文学部・教育学部・人間社会学部研究倫理委員会の承認を得、「日本社会福祉学 会研究倫理指針」を遵守しておこなった。 インタビュー調査に先立ち、調査協力者に、①調査目的、②調査方法、③調査不同意の際に不 利益を受けない権利、④データの管理法、⑤調査協力者が中止・保留を申し出る権利、⑥入手し たデータの公表について依頼文書で明確にし、協力同意を得た。調査開始時に、再度、口頭で上 記①∼⑥について説明し、「研究協力同意文書」2 通に署名を得、そのうちの 1 通は調査協力者、 他の1 通は調査者が保管することとした。研究結果の公表にあたっては、調査協力者が特定さ れないように、施設名などの固有名詞をランダムにアルファベット表記とした。なお、聞き取り 資料の引用に際して、語り手である調査協力者の所属施設名をアルファベット表記していないの は、関係者間で語り手が特定されるのを避けるためであることを追記しておく。

4.研究結果

施設の里親担当職員、児童相談所の里親担当職員、里親という三者の関係性にかかわるセグメ ントから、①里親と児童相談所のつなぎ役としての施設、②施設と里親のつなぎ役としての児童 相談所、③児童相談所に対する子どもの代弁者としての施設、④同行訪問における児童相談所と 施設の役割分担、⑤乳児院と児童養護施設のネットワーク、⑥乳児院から児童養護施設につなぐ 里親支援、⑦児童養護施設の強みを活かした里親支援、⑧施設養護に必要な里親、⑨尊重される 里親経験による知見、⑩対等なパートナーとしての施設と里親、という10 のコードが抽出され た。これらのコードのうち①∼④は、(1)施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の 役割分担と連携、コード⑤∼⑦は、(2)乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員 の役割分担と連携、コード⑧∼⑩は(3)施設の里親担当職員と里親の役割分担と連携という 3 つにカテゴリー化された。以下ではカテゴリー別に述べる。 (1)施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携 カテゴリー【施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携】は、〈里親 と児童相談所のつなぎ役としての施設〉、〈施設と里親のつなぎ役としての児童相談所〉、〈児童相 (74)

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談所に対する子どもの代弁者としての施設〉、〈同行訪問における児童相談所と施設の役割分担〉 という4 つのコードから構成された(「表 2」参照)。 〈里親と児童相談所のつなぎ役としての施設〉では、たとえば、里親が児童相談所の里親担当 職員に対して、直接、伝えたり質問したりすることが躊躇されている場合に、施設の里親担当職 員が里親と児相の間に入って里親の思いを児相の職員に伝えたり、質問したりしていた。「愚痴 とか何かを言って、児相の方につながって、それで、『じゃ、子どもを返してくれ』みたいにつ ながると嫌だから、『この辺はどうしたらいいでしょうね』とクッション的に私たちに相談に来 ることは多々あります」というように、里親自身が施設の里親担当職員に「緩衝材」の役割を期 待していることがうかがえた。 〈施設と里親のつなぎ役としての児童相談所〉では、施設の里親担当職員の里親訪問は、被災 地支援としての里親支援をおこなっている沿岸部を除き、委託里親、未委託里親を問わず、通 常、児童相談所の里親担当職員との同行訪問になっていた。施設の職員と里親が初対面の場合、 児相の職員は里親にとって既知の人になるため、同行訪問は、「一緒に行って助かった」、「顔つ なぎ」ができたというように、施設の職員によって評価されていた。 〈児童相談所に対する子どもの代弁者としての施設〉では、施設の職員からすれば、児童相談 所の里親担当職員は、里親支援に関しては、どちらかと言えば里親の立場をとりがちであると感 じられる中、児相が決める委託先や委託時期が、子どもの状況に合致していないと判断された場 合、施設の職員は、子どもの立場から児相の職員に意見を述べていた。「うちらが言わなくて誰 表2 施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当者職員の役割分担と連携 カテゴリー コード テキストの概要 施 設 の 里 親 担 当 職 員 と 児 童 相 談 所 の 里 親 担 当 職 員 の 役 割 分 担 と 連 携 里親と児童相談所のつ なぎ役としての施設 直接、児相に質問すると角が立つと悩んでいる里親にかわって、施設の 里親担当職員が児相に質問する 児相に伝えるべきかどうか迷う里親にかわって、施設の里親担当職員が クッション役になって児相に伝える 里親からあがってきた情報を必要に応じて児相に伝える 児相と施設で里親に関する情報を共有する マッチングやアフターケアに関して児相から里親に関する意見を聞かれ ることが多々ある 施設と里親のつなぎ役 としての児童相談所 同行訪問によって初対面の里親との顔つなぎができる 里親訪問の初回は同行訪問で助かったと思う 児童相談所に対する子 どもの代弁者としての 施設 一時里親の委託先を毎回変更しようとする児相に対して、同じ委託先に して欲しいと希望を出す 児相との間に信頼関係があるから、児相の決定に対して場合によっては 子どもの立場から異議申し立てをおこなう 同行訪問における児童 相談所と施設の役割分 担 気になる里親家庭を児相の里親担当職員と同行訪問し、訪問先で、里親 担当と委託児担当に手分けして話を聞くことにより子どもの本心を聞く 同行訪問では委託児に会い、そこで得られた情報から里親養育の様子を 把握して里親支援につなげる 里親の訪問では児相や里親と関係のないところで委託児と遊ぶ 乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 (75)

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が言う、みたいな感じで、とことん闘う」ことができるのは、「信頼関係があるからだと思いま す」と語られていた。 〈同行訪問における児童相談所と施設の役割分担〉では、施設の里親担当職員が、児童相談所 の里親担当職員に同行して里親を訪問した際に、施設の職員は「子どもに会いにいきます」とい うように両者の役割分担がおこなわれていた。児相の職員が、里親担当となり里親と話をしてい る間、施設の職員は、子ども担当として委託児と話をしていた。また里親の養育状況が気になる 場合などは、施設の職員が委託児を「『ちょっと遊びに行かない?』みたいな感じで外に連れ出 して」、里親のいないところで子どもの本心が聞けるようにしていた。 (2)乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携 カテゴリー【乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携】は、 〈乳児院と児童養護施設のネットワーク〉、〈乳児院から児童養護施設につなぐ里親支援〉、〈児童 養護施設の強みを活かした里親支援〉という3 つのコードから構成された(「表 3」参照)。 〈乳児院と児童養護施設のネットワーク〉では、A 県には乳児院と児童養護施設を併せ持つ法 人が存在しないということをふまえ、里親支援では、両者が「ネットワークのようにつながって 何かやらないと、他県のような立派な支援はできない」と自覚されていた。 〈乳児院から児童養護施設につなぐ里親支援〉では、原則、A 県においては乳幼児を委託して いる里親への訪問は乳児院の里親担当職員、小学生以上を委託している里親への訪問は児童養護 施設の里親担当職員というように分担されていた。委託児の年齢が高くなると、乳児院の職員に よる訪問から児童養護施設の職員による訪問へと移行するため、両施設の職員が一緒に訪問して 訪問者の「バトンタッチ」がおこなわれていた。また乳児院の職員が受けた相談であっても、委 託児が思春期の子どもの場合などは、「それはあちらのほうがいいんじゃないですかみたいな感 表3 乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携 カテゴリー コード テキストの概要 乳 児 院 の 里 親 担 当 職 員 と 児 童 養 護 施 設 の 里 親 担 当 職 員 の 役 割 分 担 と 連 携 乳児院と児童養護施設 のネットワーク A 県には乳児院と児童養護施設の両方を持つ法人がないので、乳児院 と児童養護施設がネットワークのようにつながらなければならないと思 っている 乳児院から児童養護施 設につなぐ里親支援 乳児院で中学生の子どもを受託している里親から相談を受けたが、児童 養護施設で受けた方がよいだろうということで、児童養護施設で担当す ることになった これまで乳児院で担当していた委託児の年齢が高くなったので、児童養 護施設の里親担当職員にバトンタッチした 児童養護施設の強みを 活かした里親支援 現在、乳児院でおこなわれているサロンの参加者は乳幼児受託の里親が 中心であるため、児童養護施設で里親サロンを開催する時には、学齢児 受託の里親を中心にしたい 思春期以降の子どもの相談に応じるというスタンスで乳児院のサロンに 参加している 中高生の子どもをもつ里親が乳児院のサロンの会話に加わり難いことを 知ったので、年齢の高い受託児の話ができるサロンを考えたい (76)

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じで」児童養護施設の職員に引き継ぎがおこなわれていた。 〈児童養護施設の強みを活かした里親支援〉では、児童養護施設の里親担当職員は、乳児院で おこなわれているサロンに参加する意味を、思春期以降の子どもの対応に慣れているという自ら の経験を活かすことにあると考えていた。仮に、サロンの場で相談を受けることがなくても、 「いつでもいいので児童養護施設に相談してくださいということもふまえて」参加しているとい うことであった。また今後、児童養護施設でも里親サロンを開催するのであれば、現在、乳児院 で開催されているサロンの参加者は、乳幼児を受託している里親が中心となっているので、学齢 児、とりわけ思春期以降の子どもを受託している里親が参加者の中心となるようなサロンにした いという意向が示されていた。 (3)施設の里親担当職員と里親の役割分担と連携 カテゴリー【施設の里親担当職員と里親の役割分担と連携】は、〈施設養護に必要な里親〉、 〈尊重される里親経験による知見〉、〈対等なパートナーとしての施設と里親〉という3 つのコー ドから構成された(「表4」参照)。 〈施設養護に必要な里親〉では、「うちの施設は里親さんと連携というか、信頼しながら本当に やっていかないと駄目」というように、施設養護を進めていくために里親の存在が不可欠である と語られていた。 〈尊重される里親経験による知見〉では、里親委託や里親支援については、里親養育をおこな っている「現場側の話」に耳を傾けながら進めていく必要があるということで、里親に相談した り、里親会に会議への参加を求めたりしていた。そして相談や会議は、里親から「意見がもらえ る」機会ととらえられており、里親の知見は、「参考にさせてもらう」と尊重されていた。里親 サロンへの参加を「こっちが勉強させてください」というような学びの機会としてもとらえられ ていた。 〈対等なパートナーとしての施設と里親〉では、里親と施設は社会的養護の子どもを育てると いう点では同じことをしているという自覚の下、お互いに「歩み寄っている」ということであっ た。そのため、「『何か相談ないですか、相談してください』というのもおこがましい」というよ うに、「施設としての里親支援とは“社会的養護のパートナー”」というようにとらえられてい た。里親と施設の里親担当職員は、「(お互いに)弱みをだせる」、「一緒に聞いて、共有して、一 緒に考えて、悩んで」というような関係であり、同時に、一時里親の受け入れ内容がイベント化 する傾向にあると感じれば、家庭経験を大切にして欲しいと里親会に伝えることができる関係に もなっていた。 以上から、A 県の乳児院と児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴は、①施設の 里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携、②乳児院の里親担当職員と児童養 護施設の里親担当職員の役割分担と連携、③施設の里親担当職員と里親の役割分担と連携、とい 乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 (77)

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う3 つであることが明らかになった。

5.考 察

A 県の乳児院と児童養護施設の里親担当職員による里親支援に見られるの 3 つの特徴が、里 表4 施設の里親担当職員と里親間の役割分担と連携 カテゴリー コード テキストの概要 施 設 の 里 親 担 当 職 員 と 里 親 の 役 割 分 担 と 連 携 施設養護に必要な里親 お互いに持ちつ持たれつの関係でやっていく中で施設の子どもを受け入 れてもらう うちの施設は里親さんと連携しながらやっていかないと駄目だと思って いる 尊重される里親経験に よる知見 里親委託に関してベテラン里親に相談させてもらい参考にしている 児相と施設職員だけで話をするのではなく、現場側の話を聞かせてもら うために会議に里親会からも参加してもらっている 会議の場で里親さんの意見を聞かせてもらった 里親抜きで進めることがないよう、里親の思いを会議の場で聞かせても らった 里親サロンに行くと、こちらが里親に勉強させてもらうぐらいの感じで ある ある里親の状況を判断する際に、里親の意見ももらえるので施設側だけ の見方で判断しないようになる 対等なパートナーとし ての施設と里親 3 者が同じラインに立って活動の目的を共有している 頑張っている人に「相談してください」というスタンスはおこがましい ソーシャルワーク的なことは、施設職員があたり前に学んで実践してい ることなので、里親さんもスキルとしてもてるような学びの機会を提供 したい 里親は社会的養護のパートナーである 里親から相談を受けた里親会が、その相談を施設の里親担当職員につな ぐこともある 里親同士が力を発揮できるようにつなぐのが施設の里親担当職員の役割 だと思う 次のZ 地区の里親大会には、事前の打ち合わせから関わってバックア ップしたい 里親の話を一緒に聞いて、共有して、一緒に考えて悩む 相談を受けた際、アドバイスをするのではなくこちらの経験を伝え、里 親家庭に話し合いの材料を提供する お互いに弱みを出せる関係である 里親支援について施設職員と里親それぞれの立場で話し合った 1 人の里親の悩みを解決するためにはどういう方向に進めていくのがよ いか里親たちと一緒に相談する 家庭体験よりもイベントになりがちな里親家庭が増えてきたので、里親 家庭ではイベントよりも家庭体験を大切にして欲しいと里親会に伝え、 会長から周知してもらった 名称は異なるが子どもを育てるという意味では同じ仕事をしている (78)

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親や里親委託児の支援においてどのような意味をもつのかについて考察を加える。 (1)施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携−里親委託児の権利に 対するモニタリング 『新しい社会的養育ビジョン』では、「7.子どもの権利を守る評価制度の在り方」において、 「子ども家庭福祉の分野において子どもの権利擁護が適切になされているかどうかを判断する制 度の構築は急務である」と指摘された。そして、「社会的養護を受けている子どもに関しては定 期的に意見を聴取し、意見表明支援や代弁をする訪問アドボカシー支援などが可能になる子ども の権利擁護事業や機関」(新たな社会的養育の在り方に関する検討会2017 : 45)の創設について 言及された。 このような訪問アドボカシー支援が、里親委託児にとっても必要であることは言うまでもな い。なぜなら里親養育は、安定した一貫性のある養育者の下で24 時間体制のケアを受けること を可能とするが、養育の不調が生じても、家庭というプライベート空間であるため密室化されや すく、それが露見し難いからである。たとえば、2009(平成 21)年度から 2013(平成 25)年 度の5 年間に、被措置児童等虐待の事実が確認された事例の施設等種別では、児童養護施設が 184 件(60.0%)と最も多く、里親・ファミリーホームが 43 件(14.2%)と続く(社会保障審 議会児童部会社会的養護専門委員会被措置児童等虐待事例の分析に関するワーキンググループ 2016 : 36)。この数字からは一見すると、里親家庭の方が児童養護施設より虐待が起こり難いよ うに感じられるが、5 年間の被措置児童数の合計は里親家庭よりも児童養護施設の方がはるかに 多いため(2)、子どもの側からすれば、里親家庭の方が児童養護施設よりも虐待を受ける可能性 が高いことがわかる。 A 県では、里親家庭の訪問に際して、通常、児童相談所の里親担当職員と施設の里親担当職 員による同行訪問をおこなっており、訪問先では、児相の職員が里親担当となり、施設の職員は 子ども担当として委託児に面会していた。養育状況が気になる里親を訪問した時の様子につい て、施設の里親担当職員は次のように語っていた。 最初は一緒に(子どもの話を)聞いていたんですけれども、1 回目は聞いていて、「やっ ぱり、なんか本心じゃないな」というのがあって、(略)それで、「ちょっと遊びに行かな い?」みたいな感じで、外に連れ出して、お父さん、お母さんは中で児相の方が面談をし て、事務的なこととかも含めて話して、施設の職員は外に行って、(子どもから)いろんな ことを聞く。そうすると、家に対して「帰りたくない」とか、「きょうだいと面会したい」 とか、そういうあたりを掘り下げて聞ける。 最近行ったのは、本当に行ってすぐ「遊びに行こう」って言って、分かれて。結局、家庭 の中に他の家族もいるわけですよね。だから、部屋を別に借りたとしても聞かれたら怖いの 乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 (79)

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で。 たとえ里親がその場にいなくても、同じ家の中に里親がいると思えば、子どもが本音で語るこ とが難しくなることを危惧し、安心して話ができる場に連れ出し、そこで子どもの率直な思いを 聞いている。このような対応は、「意見表明支援や代弁をする訪問アドボカシー支援」につなが るものであると言える。里親担当職員である限りにおいて、里親支援もおこなうことになるた め、第三者性の担保という点からすると、厳密には、同行訪問は訪問アドボカシー支援とは言え ない。しかし里親委託児への訪問アドボカシー支援機関が整備されていない現状では、A 県で おこなわれている同行訪問における、施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分 担と連携には、里親委託児の権利をモニタリングしているという意味があると考えられる。 (2)乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携−養育経験に基づ く具体的かつ実践的な情報提供や援助 A 県では、乳幼児を委託している里親家庭への訪問は、乳児院の里親担当職員が担うことに なっている。しかし月日が経てば乳幼児も小学生となりやがて思春期を迎える。このように子ど もの年齢が高くなると、乳児院と児童養護施設の里親担当職員が一緒に訪問して担当者の「バト ンタッチ」がおこなわれていた。また乳児院の職員が受けた相談であっても、思春期の子どもを 受託している里親からの相談である場合などは、児童養護施設の職員に引き継がれていた。里親 の側からすれば、担当者の交代は不安要素にもなり兼ねない。相談した里親にしてみれば、施設 間の引き継ぎは「たらい回し」にされたと感じられるかもしれない。このようなリスクも考えら れる中で、乳児院の職員から児童養護施設の職員へと引き継がれることの意味は何であろうか。 児童養護施設の職員が里親からの相談にどのように応じているのかを手がかりに考えていくこと にする。 中学生の子どもを受託している里親から、知らない間にゲーム機などの持ち物が増えているこ とを心配して相談があり、それについて児童養護施設の職員は次のように対応したという。 こちらとしては例えば学校ではどうなんだろうかと。(略)ちょっとトータルに見てみま せんかと。学校の様子だったり、本人にとって誰か影響力がある、キーパーソンになれる人 が身近にいるかどうかとか、そういったことを一緒に見ていった方がいいかもしれないので ということをアドバイスして。 例えば学校というのは、システム的に学校の文化というか、そういったこともあるので、 いきなり単刀直入にいってしまうと、どうしても学校も構えてしまう部分もあるので、(略) 今後、三者面談とか、そういうことがあるんであれば、そういったところで学校の先生を巻 き込んで、じゃあ、どういう状況とか、そういったやり方もあるのでという話をさせてもら (80)

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ったんです。 子どもの気になる状況を、家庭生活の影響という狭い枠組みだけでとらえるのではなく、学校 生活のことも含めて広く考えていく必要があるというアドバイスは、ソーシャルワークの視点を 有している乳児院の職員であれば可能であろう。しかし学校文化を考慮しつつ、学校とどのよう に話をしていけばよいのかというアドバイスは、実際に類似の状況を経験し、学校とかかわりの ある実践者ならではの具体的かつ実践的なアドバイスであると言える。また別の児童養護施設の 里親担当職員は次のように語っている。 実際にこっちで体験したことをお伝えして、こうしろと言うのではなく、それを吸収しな がら、どういうふうに家族で話し合って結果として出せるか。 施設の職員が実際に体験したことを伝えても、ケースごとに状況は異なるのであるから、その やり方をそのまま適用できるとは限らない。しかし具体的かつ実践的な情報提供は、子どもへの 対応を考える際の貴重な知見になるであろう。このように見てくると、A 県でおこなわれてい る担当者間の引き継ぎにおける、乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分 担と連携には、それぞれの施設で蓄積されてきた経験に基づく、具体的かつ実践的な情報提供や 援助をおこなっているという意味があると考えられる。 (3)施設の里親担当職員と里親の役割分担と連携−里親養育が社会的養護であるという意識の 醸成 里親養育について語られる際、一般的には委託児にとってのメリットが注目されやすい。たと えば、安定した一貫性のある家族メンバーの下で、24 時間体制の個別ケアを受け、特定の養育 者との親密な関係を築くことができるというようなことである。しかし里親養育は、委託児にと っては、あたり前の家庭生活に近い経験の提供であるが、里親にとっては、あたり前とは言えな い状況である。たとえば、全国里親委託等推進委員会(2016)によれば、28.8% の里親が、子 どもを受託して最も大変だった時期に心身上の問題があったと回答しており、その内の37.5% の里親が体調不良、睡眠障害、不安症状、鬱症状などで通院している。 御園生(2017)が、里親養育と一般養育の違いとして挙げている次の 6 点は、里親養育の難 しさを裏づけるものとなっている。「①子どもとの共有しない時間の存在、②守秘義務の存在、 ③子どもに関する決定を単独には行えない、④養育の難しさを持つ子どもが多い、⑤養育に専門 的な知識を求められる、⑥養子縁組でない限り常に分離や喪失を想定した養育となる」、という 点である。加えて、御園生(2017)は、里親養育は、悩みがあって相談したくても、専門職や 同僚が常に側にいるわけではない、また、プライベート空間を提供しているため、何か問題が起 こった際に、負担感や疲労感が増大するという特徴も指摘している。このように里親養育は家庭 乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 (81)

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生活を提供するものであるが、一般養育と同じではなく、あくまでも里親が家庭で養育をおこな う形態の社会的養護なのである。 2017(平成 29)年 3 月に出された「里親支援事業の実施について(雇児発 0331 第 44 号)」 において、里親支援機関が実施する里親訪問等支援事業の中に里親に対するレスパイト・ケアの 調整が挙げられている。遡れば、里親支援専門相談員の業務内容の1 つにも「レスパイト・ケ アの調整」が挙げられていた(厚生労働省雇用均等・児童家庭局長2012)。里親支援においてレ スパイト・ケアの利用促進は重要課題であると言える。 ではレスパイト・ケア利用に対する里親側の意識はどうであろうか。「里親の一時的な休息の ための援助(レスパイト・ケア)」は、専門里親制度や親族里親制度の創設と同時に2002(平成 14)年に導入されている。制度導入から 12 年が経った 2014(平成 26)年、レスパイト・ケア 利用に対するアンケート調査が、全国里親会によって、各地の里親会を対象におこなわれた(全 国里親会2014)。その結果、この時点でもレスパイト・ケアに取り組んでいない自治体が 5 自 治体あることが判明した。この5 自治体の里親については、レスパイト・ケアを利用したくて も利用できなかったわけであるが、利用可能な自治体であっても里親の32.8% は制度が使いに くいと回答していた。そして自由記述欄には、「里親がレスパイト・ケアを利用することへのマ イナス・イメージがある。里親自身がもっと制度を利用しようとする意識改革が必要」、「里親自 身、レスパイト・ケアを受けることに罪悪感があるようなので、お泊り会など、もっと気軽に預 け合える仕組みをつくりたい」、「『里親の休息のため』という理由では申請しにくいので、『里 親・里子お互いのリフレッシュのため』などの理由で利用できたらいい」、というような声が挙 がっていた。 社会的養護にかかわる施設の職員にとって休息や休暇はあたり前の権利であり、その権利を行 使するにあたりマイナス・イメージや罪悪感を抱く者は少ないであろう。他方、里親にはレスパ イト・ケア利用に対するマイナス・イメージや、罪悪感、自分だけが休息をとり難いという思い が生じがちであるとすれば、レスパイト・ケア制度の整備と同時に、「里親自身がもっと制度を 利用しようとする意識改革が必要」である。そこには、里親養育が一般養育と同じではなく、家 庭で養育をおこなう形態の社会的養護であるという意識が求められていると言える。里親がこの ことを明確に自覚できるようになれば、レスパイト・ケア利用のハードルが低くなり、重篤な養 育不調に陥る手前のところで子どもと距離を置くことにより、子どもとの関係回復も不可能では なくなるかもしれない。 施設の里親担当職員が、里親を社会的養護児童の養育を共に担うパートナーとして位置づけて いることは、里親にこのような自覚を促していると考えられる。「支援−被支援」の関係は、時 に、「専門家−非専門家」の関係を作り出してしまう。それに対しパートナーという位置づけは、 里親に社会的養護を担うチームの一員であるという意識を醸成するに違いない。このことから、 A 県でおこなわれている社会的養護児童の養育パートナーとして里親を位置づけるという、施 設の里親担当職員と里親の役割分担と連携には、委託児の養育は家庭の私的な養育ではなく、家 (82)

(13)

庭で養育をおこなう形態の社会的養護であるという意識を里親に醸成しているという意味がある と考えられる。

6.結 論

本研究の目的は、A 県の乳児院と児童養護施設における里親担当職員による里親支援の特徴 を、児童相談所の里親担当職員、施設の里親担当職員、里親という三者の関係性に注目して明ら かにすることであった。県内の児童養護施設、乳児院の里親担当職員に里親支援に関する半構造 化インタビューを実施した。インタビュー資料の分析では、逐後録の中から施設の里親担当職 員、児童相談所の里親担当職員、里親の関係性にかかわるセグメントを切り出し、それにコード を付し、カテゴリー化をおこなった。 その結果、①里親と児童相談所のつなぎ役としての施設、②施設と里親のつなぎ役としての児 童相談所、③児童相談所に対する子どもの代弁者としての施設、④同行訪問における児童相談所 と施設の役割分担、⑤乳児院と児童養護施設のネットワーク、⑥乳児院から児童養護施設につな ぐ里親支援、⑦児童養護施設の強みを活かした里親支援、⑧施設養護に必要な里親、⑨尊重され る里親経験による知見、⑩対等なパートナーとしての施設と里親、という10 のコードが抽出さ れた。これらのコードをカテゴリー化することにより、A 県の乳児院、児童養護施設の里親担 当職員による里親支援の特徴は、①施設の里親担当職員と児童相談所の里親担当職員の役割分担 と連携、②乳児院の里親担当職員と児童養護施設の里親担当職員の役割分担と連携、③施設の里 親担当職員と里親の役割分担と連携、という3 つであることが明らかになった。 また、これらの特徴から次の3 点が考察された。1 点、同行訪問における、施設の里親担当職 員と児童相談所の里親担当職員の役割分担と連携には、里親委託児の権利をモニタリングしてい るという意味がある。2 点、担当者間の引き継ぎにおける、乳児院の里親担当職員と児童養護施 設の里親担当職員の役割分担と連携には、それぞれの施設で蓄積されてきた経験に基づく、具体 的かつ実践的な情報提供や援助をおこなっているという意味がある。3 点、社会的養護児童の養 育パートナーとして里親を位置づけるという、施設の里親担当職員と里親の役割分担と連携に は、委託児の養育は家庭の私的な養育ではなく、家庭で養育をおこなう形態の社会的養護である という意識を里親に醸成しているという意味がある。 ※本研究はJSPS 科研費 JP16K04233 の助成を受けておこなったものであり、日本社会福祉学会第 66 回秋季大会(2018 年 9 月 8 日∼9 日、於:金城学院大学)の発表資料に修正を加えたものである。 注 ⑴ 調査をおこなった2017 年 7 月、2018 年 2 月の時点では、里親支援専門相談員未配置の施設があった ため、里親支援を担当している職員を「里親担当職員」と表記した。なお、2018 年 4 月以降は、A 県内すべての施設に里親支援専門相談員が配置されている。 乳児院・児童養護施設の里親担当職員による里親支援の特徴 (83)

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⑵ たとえば、2009(平成 21)∼2013(平成 25)年度の中間年度にあたる 2011(平成 23)年度の里 親・ファミリーホーム委託児童数は4,055 人、児童養護施設の児童数は 30,594 人である。この年度 の児童養護施設の児童数は里親・ファミリーホームの児童数のおよそ7.5 倍となっている。 文献 新たな社会的養育の在り方に関する検討会(2017)『新しい社会的養育ビジョン』. 伊藤嘉余子・髙田誠・森戸和弥(2014)「児童福祉施設と里親とのパートナーシップ構築に向けての課題 −児童養護施設・乳児院職員のインタビュー調査結果からの考察」『社会問題研究』63(143),27-38. 厚生労働省雇用均等・児童家庭局長(2012)「家庭支援専門相談員、里親支援専門相談員、心理療法担当 職員、個別対応職員、職業指導員及び医療的ケアを担当する職員の配置について(雇児発0405 第 11 号)」. 御園生直美(2017)「心理的視点から見た里親支援」(日本子ども虐待防止学会第 23 回学術集会ちば大会、 教育講演1 配布資料). 社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会 被措置児童等虐待事例の分析に関するワーキンググルー プ(2016)『被措置児童等虐待事例の分析に関する報告』. 庄司純一(2011)『子どもの虐待とネグレクト』13(1),56-78. 全国里親会(2014)「里親だより」101. 全国里親委託等推進委員会(2016)『平成 27 年度 調査報告書』. (84)

参照

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