黒点緯度と気温との関係について
著者
藤田 親男
雑誌名
鹿児島大学水産学部紀要=Memoirs of Faculty of
Fisheries Kagoshima University
巻
3
号
2
ページ
29-32
別言語のタイトル
On the Relation between Sunspot Latitude and
Mean Air Temperature
黒点緯度と気温との関係について
藤 田 親 男 OntheRelationbetweenSunspotLatitude andMeanAirTemperature TikaoHuzITA 29 §1.天気変化を直接に太陽活動の変化と関連せしめた研究は非常に沢山あり(')(2),産業 関係では農作物の豊凶や(3),漁の豊凶(1)等を太陽活動と関係づけた多くの研究も亦発表され ている.この種の研究で用いられる太陽活動の標示は,通常,黒点のWolf数か,叉は太 陽常数である.なお,黒点面積(のか,叉はその時間的変化等も用いられることもある.天 気変化の方は気圧,気温,降水量を主としている.これらの中でWolf数と気温との関係 は非常によくしらぺられていて,何れも,相関叉は周期の形においてあらわされ,気温の 永年変化を取扱った研究(wi)に用いられる.しかし細かくしらべて承ると,短期間において はWolf数か多寡が必ずしも気温の高低と関係しない.1例をあげれば,1946年はWolf 数は92.6であって,鹿児島の気温年偏差は+0.5℃であるが,1947年DWolf数は151.7 で約1.5倍も大きくなっているにもかかわらず,年偏差は-0.7℃となっている.即ち 1946年の気温は平年よりも商かつたが,1947年の1月下旬になって,突然平年よりも2℃ も低くなり,1年中を通じて寒冷な年であった.周期もしくは相関をもってしては,この 事実を説明することはむつかしい.そしてかくの如き「相関の反転を予想することは気象 学の現階段では困難であろう_l(7)とされている.しかし私は,この突然の変化を予想するこ とは出来なくても,次のようにして説明出来ることを明らかにしたい. §2.以上のようなわけであるから,短期間か変化に対しては従来用いられているWolf 数,黒点面積,白斑面積,緬羊斑など以外に,何等かの因子があると推定せざるを得ない. 私ばこの因・子は,太陽面における黒点の総平均緯度であるとの見解のもとに,鹿児島の気 温の年指数と,夫奄の年の黒点の総平均緯度(鋤とを対比して象ると,1933∼1944では,気 温の年指数の+,−と,黒点の総平均緯慶、+'一とは,1933,1934の両年以外は一 致しており,この両者は4%の危険率で相関を象とめることができたCl).ひきつづいて, 1901∼1922についてしらべてふると,前の結果と同様に, 〔1〕黒点の総平均緯度の+’一と気温の年指数の+’一とは対応している. 〔2〕対応の成りたたない年は,極大極小期にあたっている. ことを知った.<'0)更に鹿児島における気象観測開始の1883年より1946年迄について,しら べてぶても,上記の〔1〕〔2〕は成り立っているしその外に, 〔3〕大黒点の出現年(u)には,成りたたないこともある. ことがわかった.それ故,「気温の年指数の+’一と,黒点の総平均緯度の+'一とは 対応している」ことを,黒点緯度と気温との「対応の原斑」とよぶことにした〔'鋤. §3.地域的にゑては,どうであるかを,鹿児島と熊本についてしらべてみると,前者 では1883∼1946,後者では1891∼1946について,対応の原理が成立するかしないかを,30 、四 統計的に処理して承ると,鹿児島では2%D危険率で,この原理が成立しているし,熊本 では10%もの危険率をゆるさなければ成立しないことを知った.即ちこれは「対応の原 理」の発現の仕方が,観測地の地域的条件に左右されることを示唆するものである(13).そ れ故,36,30'N以南で,大体海岸に近い29個所を理科年表(1950)よりえらび「対応の原 理」が成立するかをしらべてふると,第1表に示すように約25m以下の地点ではよく成 立しているし,それ以上の地点では成立していない.(これを高度効果とよぶことにした.) 更に日本以外では,北半球の3J。∼35°について,印度,イラン,イラク,大西洋東岸附近 など鮒2表に示すように13ケ所についてしらべてみたが,Lahore(Pakistan)だけしか 第1表日本の31。∼35.N,130P∼137.EにおけるX2表 鹿 児 島 大 学 水 誰 学 部 紀 要 鋪 3 巻 第 2 毎 .
p9939973
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Leh Simla Lahcre Quetta Meshed Jask Busmh Bouzareah Bagdad GibraItar CapeSpartel LaLaguna Medeixa 可d r.︲L 統 計 年 数高mさ|x’
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3.85* 4.34* 1.61 2.11 5.69* 3.12 7.42t* 6.10* 7.81鐸 0.388 11.95*輩 2.38 8.80** 2.15269g753p83335β64422340516338
174838112
名 | 高 m さ
India India Pakistan Pakistan lran Iran lraq lraq lraq British Tangiers(Morocoo) Canaryls.(Spain) Funchaal(Portugal) 名 I 地 国 J − U 5 U l l 4 8 1 1 両 第 2 表 印 庇 , イ ラ ン , イ ラ ク , 太 西 洋 東 岸 附 近 な ど の 30。∼35.NにおけるX2表 統 計 年 数 。 ’ | 釣 ド 要 1 1 4 8 . Z ’ 6 . 1 ( 』CapeTown 31 122 1.70 成立していない. 次に,もし黒点の総平均緯度が某地点の気温に及ぼす効果が直接的であると考えると’ 35。S地帯では35,N地帯とは逆に,黒点緯度が+ならば,気温指数は−に,黒点緯度が− ならば気温指数は+になってもよい筈である.このために3r∼35詞S地帯のSydneyや Capetownなど6ケ所(第3表)についてしらべて承たが,この原理は成立していなかっ た(1,. 第3表南半球の31。∼35.におけるX2表 59 520.0 423.0 ,5.0 0.101 0.0146 0.574 “““ SouthAfrica
名 | 商
さ 統 計 年 数 国 名 ’ 地 X2 了、 以上を要するに,私は太陽活動が気温に及ぼす影禅をしらべるため,太陽活動の一標示 としての黒点の総平均緯度D+’一を用いると,日本の中部以南の比較的海:,こ近い地点 で且つ割合に低い地点即ち約25m以下の地点では,気温に対し「対応の原理」という形 で影響することを知った. §4.Rotation毎D平均練成と気温偏差はどうであろうか.今各年の偏差と各年の黒点の 総平均緯度との関係が上述のように認められるならば,各年の気温偏差は年内各日の偏差 の平均であるから,年間よりも短期間の気温偏差とそれに対応する期間の黒点の総平均緯 度とには「対応の原理」が承とめられなければならない.それで1946年末から1947年初 め,1947年末から1948年初めにかけての太陽DRぅtgltion毎か黒点の平均緯度と(l5x1I;x'7), それに対.応する気温の偏差を表示(菊4表)して承ると,両者J、間D符号ばRotationl24 7を除いては実によく一致していることがわかる.従って各年毎に成り立つ「対応の原理」 は,このような短:期間でも成りたつことが云える. この期間即ち1946年の11,12月,1947年の初旬までは,北半球の黒点が優勢で,12月中 旬から南半球にも大黒点が出現しはじめ,およそ4月下旬まで大黒点を承とめているし(I鋤, 3月10日には,-23・に4300単位,4月7日には-24Pに5400単位の大黒点が出現して いるが(11),5月になると北半球の勢力がもりかえして来ている(10).これも8,9月をへて次 第におとろえ(2(1),1948年の11月以降再び北半球に黒点が活溌になって来ている.この間の 黒点の消長と気温の変化とを比較し,且つ表より緯度変化を考噛すれば,太陽活動の変化 が気温に及ぼす効果を承とめざるを得ないし,しかもそれは黒点緯度が重大な役割をはた しているといわざるを得ない. §5.黒点が気温に及ぼす影響をしらべたところ,日本の中部以南の約25m以下の土 地では,黒点緯度の+,−に応じて気温が上昇叉は下降する聯を知った.この間の物理 的機構や緯度とWolf数とを組合せての影響については別の機会にのべるが,本研究では, 太陽活動の気温に及ぼす影響をしらべるには,従来の如くWolf数等のみを単独にとりあ 1.10 0.308 42.7 47.3 66 66 藤田親勇一黒点純度と無漁との関係について Chilie Argentine Argentine Santiago Cordoba BuenosAires AuStraI堕 AugtraIia AdeIaide Sydney● 32 No.of Rotation 1244 1245 1246 1247 1248 1249 1250 1251 1252 − − ∼ 一 一 一 一 ∼ へ 毎 毛 戸 一 一 ∼ へ − 1259 1260 1261 1262 1263 1264 1265 鹿児島大学水産学部紀要簾3巻第2易 第 4 表 短 期 間 に お け る 対 応