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7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について       

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37

7年間の栄養調査からみた学生の食物

摂取状況とこれに伴う問題点について

The State of Students’ lngestion Based on a Seven−year Nutrition Survey and Some Accompanying Problems

村香

上月

裕佳

子子

緒 言  昭和56年の国民栄養調査の栄養摂取状況調査の結果を見ると、一人平均の摂取栄養量は表1 のとおりで、昭和50年以来の栄養素摂取量の年次推移をみると、昭和56年までは各年とも大差 なく摂取しているが、個々人としてみるとかなりの格差があることが指摘されている。  これは図1のとおりで、エネルギー及びたんばく質の国民一人平均摂取量を成人男子一人一 日当量に換算し、この摂取量の分布を示した図1によると、エネルギーについては20歳男子 (B普通の労作)の所要量2,500kca1に対し、2,600∼3,000kcal摂取している者が、29.7%あ る一方、2,400kcal未満の摂取しかしていない男子が27,6%もある。

表1栄養素摂取量の年次推移

年 度

昭和・・年1昭和53年昭和・4年昭和55年昭和56年

エネルギー たん白質  うち動物性 脂肪  うち動物性 炭水化物 カルシウム 鉄 ビタミン A ビタミン B1 ビタミン B2 ビタミン C kcal  g  9  9  9  g  mg  rng I.U.  mg  mg  ng 2,183  80.0  38.9  52.0  27.4  337  550  13.4 1,602  1.11  0.96  117 2,167  80.0  39.8  54.7  28.2  326  562  13.9 1,853  1.19  1.06  123 2,113  78.4  39.4  54.8  28.7  315  548  13,3 1,628  1.18  1.03  115 2,084  77.9  39.2  52.4  27.2  313  535  13.1 1,576  1.16  1.01  107 2,101  78.8  40.1  54.7  28.6  3!0  546  13.4 1,730  1.17  1.04 11s一.m−1  これは、たんぱく質摂取量についても同じような傾向がみられ、国民が平均的には良好な栄 養摂取状態であるといわれるが、その摂取内容を分析すれば、問題となるべき点が多い。       76

(2)

38 7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について (%) 15 16.8 (エネルギー) 10      5 o    σ  . .   ■ .   ●   o ■   ■    7   ■ @ 6・61 .   ,   贋   ■   ■   . 4。6i 6.4 1 1・・21 ・2.gl 81 14.8 .,灘灘・‘ ’ −翻 ・・ Di総盟,.@い轍濯 11.6 1 7・gI 8.11 o  (kcal) 3,600  以上 3,400一.  3,599 3,200一‘一  3,399 3,000一一  3,199 2,800一一  2,999 2,600一一  2,799 2,400一一  2,599 2騨200∼  2,399 2,000一一  2,199 2,000  未満   o(g) 130 以上 120一一  129 110一一  119 100一一  109 90一一  99 80...  89 70∼霰・  79 60−v  69 50−  5950 未満 5 (たん白質)

10 15

20 (%) . ■  騨 . 膠 . ● 5  願 ・ o 冒 ■ o ●  o ・ o ・ ・ . .  . 1 12・8 13・o 15.6 110.o 117・2 121.7

醒蟹一継翁灘騰軽19.8

112・1 ___」5・2

@12.5

(調査対象の平均栄養i所要量=100) 図1 栄養素摂取量と調査対象の平均栄養所要量との比較  そこで我々としては、身近な対象である女子学生の栄養摂取状態の一端でも把握し、栄養摂 取に欠陥があれば早急に是正し、将来家庭婦人として健康な生活を営めるようにさせることが 肝要であると考えた。  女子学生の栄養摂取状態の一端を把握する方法として、昭和50∼昭和56年の7年間に亙って 本学栄養士コース学生に夏期及び冬期休暇中、各人の食物摂取状況調査を行なわせたので、 この結果を引用することとした。  ここに7年間の栄養摂取状況及びそれに伴う問題点について報告する。

調 査 方 法

 対象は本学栄養士コース昭和50年度∼56年度の一年前全員で昭和50年及び53年度は冬期休暇 の12月下旬に、他の年度は8月の夏期休暇中に、国民栄養調査栄養摂取状況調査に準じて行な わせた。  調査実施日は休日や特殊な摂取状況であると思われる日を除き、連続した3日間を選ばせ、 摂取した食品の総てを表Hに記入させた。

集 計 方 法

 表llで、調理前後の廃棄量を除き実際に食した食品の純摂取量を求め、次に3日間の、のべ 摂取量を、食品群別、食品別に分類したものを表皿に記入させ栄養価を算定した。この算定に あたっては昭和50年目54年は三訂食品成分表を、昭和55年、56年は三訂補食品成分表を使用し 75

(3)

  7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 表H         栄 養 調 査  (食物摂取状況記入票)       (昭和  年  調査) 39 月 日

料理名

食 品 原食品使用量 9 ※ 量 数 廃棄量

純摂取量

数 量 g 備 考 74

(4)

膳O 刈岳酷θ源愚盲餅サ中豊詩態躊θ海薄霞聲鴬灘伴書きa雫ゆ囲醐斯aJぐノペ 表皿 Fe (mg) ン       Ca (mg) ゆト。 (mg) 、、、 タ ビ B, (mg)]B2 (mg) A(1.U.) カmリー  (kcal) 糖質(9) 脂質(9) 蛋白質(9) B. P. A. P. 糸田壬異iI侠L童と 名 品 食 食品群名 鳶

(5)

     7年問の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について た。  尚、食品群の分類も国民栄養調査に準じた下記の分類法を用いた。 穀   類 砂 糖 類 油 脂 類 豆   類 肉   類 乳   類 その他の野菜類

きのこ類

調味嗜好品及び飲料

     類

類類類類類菜類二品

も子実介響∴

い菓種魚卵緑果海釣

41  この食品に含まれる単一の食品も国民栄養調査食品群別表に基づいて分類した。  食品別の栄養価算定後、各食品一別栄養価の算出をし、最後に各栄養素の総摂取量を求め た。

結果と考察

3日間の食物摂取状況調査集計の結果は表IVのとおりである。

       表IV年度別栄養摂取状況表

年度 昭和 50年 (冬) 51年 52年 53年 (冬) 54年 55年 56年 蛋白質(9) ’wt.RB.P. 39.8 30.2 36.6 36.5 38.3 34.5 35.1 26.8 24.4 23.8 25.1 20.9 21.5 22.0 エネルギー   (kcal) 1,717 ユ,434 1,512 1,714 1,561 1,443 1,511

謡講

糖エギ

瀦諮

脂エギ 33.1 29.0 35.5 31.7 37.8 34.4 35.3 54.3 57.6 52.3 55.9 50.0 52.5 53.7 ビ タ ミ ン A (1.U.)1 Bi (mg)1 B2 (mg)1 C (mg) 2,381 1,433 3,256 2,040 2,161 1,698 1,928 O.91 O.68 O.47 O.74 O.70 O.59 O.75   1 1.07 1 127 O.73 O.89 1.08 1.00 O.82 1.00 64

﹂49臼﹂4

ρ◎Qゾρ0

55 108 カルシ ウム  (mg) 470 320 360 421 395ヨ 340 405 鉄 (mg) 8.2 2 ・ 6 4 . 6 6.2 6.3 5.7 5.4 更にこれを各栄養素別に摂取状態を図示したのが図2∼9である。       72

(6)

7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 56

N

55

N

53A 54 年冬  年  w エネルギー摂取量 52

N

51

N

50 A 年冬  Nu 2000 1600 1200 800 400

or

kcal 図2 全摂取量たん白質⊂===コ 動物性たん白質摂取量ZZZZZ 80 70 60. 一 . 一 【 ■ , 口 50・ 40・ 30・ ヲ 20・ ’

, 7 ’ 二 10・

5

二 5 5 5

09

50( N冬 ) 51

N

52

N

53(N久 o 54

N

55

N

摂取量 たんぱく 図3 3400 3200 3000 2800 2600 2400 2200 2000 1800 1600 1400 56

N

55

N

駈年量   取

梅纈

  バ71

52

Nビ

51 年 図4 ︵冬︶ 50

N

。訊  1 42

(7)

7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 43 1.40 1.20 ユ.00 O.80 O.60 O.40 O.20 o rng・ 50 /rs 51 52 53 A 54 55 56

年冬年年年冬年年年

v       

w

図5 ビタミンBi摂取量 1.40 1.20 1.00 O.80 O.60 O.40 O.20 α9  m

50A 51 52 53 A 54 55 56

年冬 年  年  年冬 年  年   年

vv w

図6 ビタミンB2摂取量 160 120 100 80 60 40 20 o rng

50 r−s 51 52 53A 54 55 56

年冬 年  年  年冬 年  年  年v      

w

図7 ビタミンC摂取量 70

(8)

44 7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 700 600 500 400 300 200 100 0σO  m

X.

磨^/一x/一

助年 ︵冬︶ 53

N

52

N

量 取 摂 ム ウ シ ル カ   図 51

N

︵冬︶ 50

N

55

N

56

N

10.0 7.5 5.0 2.5          O ’ sb 一 s’1 5’2 53 .. 54 55 56

         mg年E.年年年冬年年年

       図9 鉄摂取量  対象学生の栄養所要量を、昭和54年改訂の日本人の栄養所要量を引用して、性別、年waXl 労作別にみると、      (軽い労作の栄養所要量19歳∼20歳女子)    エネルギー   1,800kca1∼1,850kcaI    たん白質    65g    ビタミンA   1,8001.U.     ii B l O.7mg     〃  B2  0.9皿9

    ,, C 50mg

       69

(9)

      7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について      45    カルシウム   600mg    鉄       12mg  となる。  この栄養所要量と比して彼女たちの栄養摂取量を、百分率にして表わしたのが図10∼17であ り、摂取量が所要量を上回ったものはビタミンCのみで、ほぼ目標量に達したビタミンA、 B,、B2にしても平均値は上回っても、年度別にはかなりのバラツキがみられる。 100・ _ 一  輌  一  一  一  一  噂  一  一  一  一  一  一  一 一   _   _   一   一   ■   一   一   一   一   一  一 一 一 90 80 一 一 ■ 一 一 70 60 50 40 30・ 20・ 10・ 0 50( 言1 53( ピ4 ;5 56 % 年冬 ) 年冬 ) 図10 エネルギー摂取量(1,850kcalを100とする) 110・ 100一一一一 =一 一 一  一 哺 胴  一  一  一 一  一 一  一  肩   一   一  一  一  一  一  御  一  一 一 一  一  _  一 90 一 一 隔 一 80・ V0・ U0・ T0・ 一 0   0   0   04・  qU  n6   1 巳 ・ ■ 冒 0 50( 51 52 53( 54 55 56 % 年冬 年 年 年冬 年 年 年

 V. L一

図11たんぱく質摂取量(65 9を100とする) 68

(10)

46 7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 180, 唄 170一 .: 160「 ::i 150一

§

140 :: 1: 130 ※琴 ヒ ● ■ 120 P10 P00 巳,一  q  囎  一  卿

葦葦達

一一一 一一 一 . ■o_ ’ :::︸:/ヒli 一  一  働 印 一 虫喰 一 即  一 一 〇

璽li

冨___.且一

90, 闘 80・ 口 ■ ・ %0 1 50(  51 N冬  年 冒2年 53( N冬 54

N

55

N

弓6年 ) ) 図12 ビタミンA摂取量(1,800LU.を100とする) 130 120 110 100 90 80 70 o % 55

N

54

N

︵冬︶ 53

N

52

N

51

N

︵冬︶ 50

N

  る す と oo ユ を ㎎

4

⑩ 量 取 摂

B

ン 、、、 汐 ビ ー3 図 56

N

130 P20 P10 葎÷ 嚢::; 羅 100一一   一  一 途 一一.喝一一一一G」一楠一 追 一  一  一 ÷ 翼______ ひ氏 _噂 90 一 0  08  7 一 0   0ρ0   ︻0 0 9 50( ヨ1 ヨ2 1 53( ぎ4 §5 ヨ6 % 年冬 ) 年 年冬) 年 年 年 図14 ビタミンB2摂取量(0.9mgを1∞とする) 67

(11)

47 7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 260 騨 ●o 240 ︾: ÷ 220 :壱ト冥 200 藍 w 180 P60 P40 P20 P00一  一   ,  一 liiiiii雲iiiii噌 一   一   一 署臣__一 薫︸︸:::::1ひ:菱 一  一  一 霞li葦lliii一 一  一  ■ 雲彪 曽   枷   脚 竃 一  一  一 ●::ミミ≒:≡陥 一  一 80 1 1 1 1 ■ 一  0 50( N冬 51

N

52

N

53(N冬 54

N

55

N

56

N

る) リハ      ワコ         リリ   年   年   年冬           ビタミンC(50mgを100と ︵冬>15       “        一       一       一        一       一        一        嚇       一        一       一       一        一       匂        一       一       一          一         一        一        一       一      一     一     一    一   一  一  一 一 00 X0 W0 V0 U0 T0 S0 R0 Q0 P0 1 56

N

55

N︶

  る   す   と 54

N00

  エ   を ︵冬︶㎎ 53

N00

  ⑯   量 52

N取

  摂   ム   ウ 51

Nシ

  ル ︵冬︶カ 50

N6

  ユ   図 0 % 100一一一一一一一一一一一一一一一一一_____一_____ 90・ W0・ V0 一 60・ 一 50・ 一 卿 一 一 40・ R0’ 一 20・ P0伽 顎 . . − . , 0 50( 51 52 53( 54 55 56 % 年冬 年 年 年冬 年 年 年 ) )   りリ        ロゆ       り    年   年冬  年       ) 鉄(12mgを100とする) 図17 66

(12)

48 7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について  特に注意を要するのはエネルギー摂取量とミネラルの摂取が著しく不足することである。エ ネルギーは冬期の摂取量は所要量の93%で、大した問題はないが、夏期に於いては77%∼84% と、かなりの不足が見られる。またミネラルの摂取量は、夏期、冬期にかかわらず、カルシウ ムは49%∼72%、鉄は45%∼69%しか摂っていない。  エネルギーの摂取が夏期と冬期に200∼250kca1の差があるのは、気温と湿度が我々の食欲 に関係深いと常識的にいわれ、これに基づくものと推察されるが、夏期でも年度により摂取量 には多少差があり、これを図2から最低のエネルギー摂取量である昭和51年をとり出し、昭和 51年∼56年の8月の大阪地方の平均気温、湿度との関係を考えてみた。  年度別の大阪地方の8月の平均気温及び湿度は図18のとおりで昭和51年は気温も月間平均 31.7℃、湿度は70%と異常に高温、多湿の年であったことがわかり、エネルギー摂取量と気 温、湿度の関係がうかがえる。        湿度,_一一..        80 40’ 60 30’ 40 20’ 20 10’

﹃C

 晃 。湿度

51 52 53 54 55 56

年   年   年   年   年   年 図18大阪地方8月の平均気温・湿度  特に注意を要するのは鉄で昭和55年、56年と近年摂取量が下向いている現象である。  鉄は女子にとっては生理的にも体外への喪失などで失われ、また将来も体内需要の充進(妊 娠、発育、授乳など)でその需要は一段と増す年齢である。  しかし鉄はその吸収が上部小腸で調節機構が作動する為、一般には経口摂取量のおよそ10% が吸収されるにすぎず成人の鉄含有量は3∼4gであり、その中でフェリチンなどで体内貯蔵 される鉄は0.2∼1.09にすぎないといわれている。  この鉄吸収率は総摂取エネルギーに対する動物性たん白質エネルギー比と関係があり、FA

O、WHOでは、

動物性たん白質比 ①10%以下 @10N25% ③25%以上 Fe吸収率上限   10%   15%   20% 65

(13)

      7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について     49  が正常者の吸収率としている。本学学生の総摂取エネルギーに対する動物性たん白質の摂取 エネルギー比からみて鉄の吸収率は10%とみるのが至当と考える。  また、H召和57年の大阪府下の女子学生で献血を申し出た者の中、血液比重等で採血不能とな った者が13.6%もありこれはFe欠乏と関係深い。慢性のFe欠乏貧血が年令的にFeの必 要性の高い若い女性に多いことは大きな問題で本学学生にも同じようなことがいえる。  ここで、夏期に調査した昭和52年、54年、55年、56年の食品群別摂取量をみると、表Vのよ うになる。 表V S.52、54、55、56年食:品士別摂取量 感 品 群 名 穀 類 い も 土 砂 糖 類 菓 子 類 油 脂 二 種 実 類 豆 類 魚 介 類 肉 類 卵 土 台 亡 師 黄 色 野 類

その他の野類

果 実 類 き  の  こ  類 海 草 類 調味嗜好品及び飲料類 加 工 食 品 類

純計計量(9)

S.52年  S.54年 ・・55年1・・56年 332 51 10 9 27 36 46 85 54 131 46 197 130 3 18 451 40 13 15 38 38 54 77 74 208 46 171 96 5 56 369 28 8 11 24 31 34 87 51 147 42 106 70 5 46 338 22 9 17 26 33 45 75 50 170 28 153 255 3 41 21  この表Vと表IVとを照合すると、栄養素の摂取量と各々の食品群の栄養i的な役割が理解出来 ると思う。例えば、S.56年のV.C摂取量を表IVからとり上げると他の年に比べ多いが、そ の要因となる表Vの果実類の摂取量が一段と高くなっていることがわかる。また、S.55年の エネルギー摂取量が低いが、この年は、図18でみると例年より湿度が高く、食欲を低下させた       64

(14)

50      7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について ようで、いも類や油脂類を始め、一般に各食品群の摂取が少い傾向を示している。その他注目 する点はS.56年から加工食品(冷凍ハンバーグ、コロッケ、ポテトサラダ)等が摂取食品群 にあらわれ出したことである。今後この加工食品群摂取量は調査をする毎に増していくものと 思われる。  つぎに、食事内容として、朝食摂取状態の型をみると、図19∼22のとおりで、パン食は50.0 %∼72.5%と大半を占め日本人の伝統的な、米飯と味噌汁形式は、5,0%∼42.5%と家庭の食 習慣が大きく変わっているが、米飯食とパン食がミックスした形式のものが5.O%∼33.3%と あるのは、未だ日本人伝統の食事形式が残っていることを示している。

5

肱獲驚

米飯と  味噌汁 職\ パンと米飯の     混合   銚   翫   3

パン食

51.3% 瀦 2   米飯と 砺味噌汁 5 欠食 または飲物の パンと米飯の    混合  砺  20 欠食または  飲物のみ

パン食

72 .5% 図19 S.52年 図20 S.54年 米飯と秘 味噌汁7 欠食または 飲物のみ    筋    12﹂ パンと 米飯の混合  眺  飢  り白      \

パン食

60 .0% 筋欠食 2    パンと米飯の

砺混合

5 米飯と味噌汁 42 .5%

パン食

50 .0% 図21S.55年 図22 S.56年 63

(15)

      7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について      51  ここで我々が注意せねばならないことは、欠食または飲物のみで朝食を済ませる者が何れの 年にも2.5∼12.5%もいることである。 雪印猴の当世大学生の食鶉晴ア・ケー・結果では下宿学生の言力轍を抜いて…そう である。  本調査では、このアンケート結果よりも下廻るとはいえ、健康な生活維持の為には、この悪 習慣は是非改めるよう指導しなければならない。  つぎに、昼食、夕食の食事内容をみると、使用頻度の高い料理のベストテンは表VIのとおり である。

      表VI年度別摂取頻度料理名

犠・…年(冬) 51年 52年 53年(冬) 54年 55年 56年

1 サラダ類サラダ類

サ・ダ類1サ・ダ類

サラダ類

サ・ダ酬サ・ダ類

・隊噌汁1冷やし繭i味噌汁隊P曽州味噌汁i味噌汁1味噌汁

・つけものカレ

Gイ刻冷やし繭

4 野菜したし

・1焼

6 すまし汁

7 8 9 10 妙   飯 ピラフ類 スープ類 酢のもの 肉、野菜   妙め オムレツ 肉、野菜   妙め 味噌 汁 煮 メ 酢のもの 肉、野菜   妙め 酢のもの 焼 魚 つけもの 野菜したしけまし汁 フ飯 層フ ピ妙 冷 奴 冷 奴 フ飯 一フ ピ妙

スープれレツけまし忘

すまし汁 煮 メ 二 二 肉、野菜   妙め 焼 魚 /ハンバーグ 厨回したし 冷 奴 野菜したし

魚 /酢のもの サンド  イッチ 冷 奴 ハ・バー

冷し繭

野菜したし 焼 魚 すまし汁 妙 寺 フ飯 ラ ピ妙 酢のもの 焼  魚 冷し素麺

冷し繭肉・野鵜

ハンバーグ フ飯 田フ ピ妙 サンド   イッチ カレー   ライス   注{内の料理名は、使用頻度が同じものである。  この表VIのとおり、サラダ類は夏冬年間を通じ、また各年度とも摂取頻度が高く、毎日一食 はサラダ類を摂取しているようでこれは、サラダが美容に貢献するというマスコミの宣伝にも 関係あるものと思う。雪印乳業の当世大学生の食事事情アンケートにも同じ結果が得られてい る。  また味噌汁の摂取頻度が各年度とも高いが、朝食に米飯と味噌汁という古来からの日本食は 減少したようにも見えるが、未だ日本人には、味噌汁に対する愛着が残っているように思え る。  これに対して漬物類の摂取は年々減っているようで、S.50年は21.0%の摂取率であるのに        62

(16)

52     7年間の栄養調査からみた学生の食物摂取状況とこれに伴う問題点について 対しS.55年は8.3%となっている。これも近年の多量の塩分摂取の害を喧伝されているため でもあろう。  つぎに、摂取している料理は、和、洋、華と多種にわたり、その料理数は年度別にみると最 低51種で、各年とも多種の和、洋、華の料理がミックスして摂られ、近年の日本人の食生活の 多様化をあらわしている。  厚生省は、国民の加工食品の摂取量増加傾向と、成人病予防の見地から、2,3年後の実施 にむけ、加工食品の容器や包装に食品中に含まれている栄養成分とその量を表示させるという 方針を決めたが、我々栄養教育に携わる者としては、一日も早い実施、それも食品加工業者に 義務化されたものが実施されることを望んでやまない。  この調査結果から学生達のエネルギー摂取の少なさを老えると、彼女達は本当にこれだけの 食物しか摂っていないのだろうか。もしこれが正確な摂取状態ならば、慢性のエネルギー量不 足をどうしているのだ6.うか。今年の栄養士コース学生の臨地実習中、脳貧血で数名の学生が 倒れたことなど考え合わせると不安が絶えない。  我々としては、学生に、正しい日常の栄養摂取のあり方を絶えず教育すると共に、マスコミ の宣伝に惑わされず、正しい栄養知識のもとに、特定の食品摂取に偏らず、食品材料を幅広く 摂取し、賢明な食品の選択をして、日々の健康を維持し明るい学生生活を営めるよう、細かい 指導を重ねて行くことが必要と考える。 ●●● ●●● 参考文献資料 日本栄養i士会発行 「栄養日本」vo1.1 大阪府統計課編  「大阪府統計年鑑」S50∼57年度版 光生齢行

武i落嬬「蠕の統計学」

建仁社発行種子島千鶴子編 「新版栄養指導」 同文書院発行 岡部和彦話劇「病態栄養学」 第一出版株式会社厚生省公衆衛生局栄養弱国        昭和54.55.56年「日本人の栄養所要量」 61

参照

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