-1- ※ 本指導案は「福岡県教育センター長期派遣研修」における主題研究に基づき作成されています。 教育センターホームページの「長期研修報告書:平成 30 年度:各研修報告書」と併せてご覧ください。
第3学年 社会科学習指導案
1 小単元「これからのI市のまちづくりについて提案しよう」 2 指導観 本小単元は、身近な地方公共団体の政治について取り上げ、対立と合意、効率と公正、民主主義な どに着目して、課題を追究したり解決したりする活動を通して、次の三つの資質・能力を育成するこ とをねらいとしている。一つは地方公共団体の政治の仕組み、住民の権利や義務についての理解、二 つは地方自治の発展に寄与しようとする自覚や住民としての自治意識の基礎、三つは多面的・多角的 に考察、構想し、表現することを通しての、主権者としての良識ある主体的な判断力である。現在、 地方公共団体を取り巻く状況は、少子高齢化、情報化、グローバル化などにより急速に変化している。 そのような中で、日本創成会議・人口減少問題検討分科会によると、人口減少に伴う「消滅可能性」 のある地方公共団体が全国で 896 にのぼると推計されている。これらのことを受け、地方公共団体は、 財政の健全化や組織の改編、市町村合併等の新しい枠組みづくりに取り組んでいる。それとともに、 多岐にわたる社会問題に着実に対応しつつ、子育て支援や防災対策、福祉、教育の充実、産業の振興 など活力ある豊かなまちづくりに向けた取組を推進していかなければならない。そこで、本小単元で は生徒が生活しているI市のまちづくりを教材として取り上げる。I市においても、少子高齢化、生 産年齢人口の減少とそれに伴う厳しい財政状況の中で、まちづくりの取組を推進し、人口の自然増・ 社会増を達成することが喫緊の課題になっている。したがって、地方公共団体の政治の仕組みや住民 の政治参加について学びつつ、I市の現状や特色などを根拠に、財政状況を考慮しながらこれからの I市のまちづくりのあり方を構想することは、よりよい社会の形成に参画する公民としての資質・能 力の基礎を育成する上で意義深いものであると考える。 本学年の生徒は、実証授業Ⅰを通して、資料から分かったことを根拠にして自分の考えを組み立て ることができる生徒の割合が多くなったものの、依然として苦手意識をもっている生徒も多い。また、 授業後のアンケートから、学習課題に対して意欲的に追究することができなかったと回答した生徒が 多くいたことも課題であった。これは、学習課題を追究していくときの視点を十分にもてていなかっ たことが原因である。さらに、自らが住んでいるI市について多くの課題を感じている生徒が多いも のの、「自分が将来、社会参加(選挙の投票など)することで、社会を少しでも変えられるかもしれな いと思うか」という設問に対して、「思わない」「あまり思わない」と回答した生徒が 60%いた。この ことから、地方自治の意義を理解させ、住民自治の意識を高めていく必要がある。このような生徒の 実態から、本単元を学習することは大変意義深いと考える。 本小単元の指導にあたっては、問題の解決に向けて、「効率と公正」の見方・考え方を中心に働かせ ながら、自らの判断を吟味・再考し、よりよい方策を立案できるように、単元の各段階に ICE モデル のルーブリックを活用したリフレクション活動を位置付ける。「つかむ」段階では、福岡県における 「消滅可能性」のある地方公共団体を地図で示すことにより、I市の人口減少問題に着目させ、単元 を貫く学習課題「これからのI市のために、人口減少を食い止めるまちづくりについて提案しよう」 を設定する。そして、既習の知識やこれまでの生活経験から学習課題について判断(事前の予想)さ せる。次に、ルーブリックのEの指標(単元の学習の最終ゴール)と学習課題を解決するために判断 すべきCの指標を生徒に考えさせ、それを交流する中で全員共通のCとEの指標を設定する。Iの指 標は、リフレクション活動において自らの判断(事前の予想)を振り返らせ、Cの指標を達成するた めに必要となる知識や情報を考えさせる中で、個別に設定させる。それにより、生徒個々に学習課題 の解決へ向けた追究の視点をもたせる。「さぐる」段階前段では、各自が明らかにした追究する視点に 応じた資料を配付し、I市の人口減少問題を多面的(人口減少の原因や影響、I市の特徴と現在の取 組、財政状況など)・多角的(I市の住民〔子供・働く世代・高齢者〕、I市外の人など)に考察させ-2- る。このとき、追究する中でお互いの判断について交流させたり、発問や資料提示をしたりすること により、リフレクション活動において、自らの判断を振り返るとともに、ルーブリックを加筆・修正 しながら学習を進めていけるようにする。また、自分たちの考えを政治に反映させるための方法にも 目を向かせ、「地方政治の仕組み」や「住民の権利」について学習する必然性をもたせる。さぐる段階 後段では、自分と違った判断をしている者同士で小グループになり、お互いの判断について評価・議 論させる。これにより、違った視点からの反論にも応答できるよう、リフレクション活動においてル ーブリックに立ち返り、自らの判断の根拠を強化させていくとともに、具体案の作成に向けた見通し をもたせる。「いかす」段階では、これまでの学習を踏まえて最終的な結論を出し、解決に向けた具体 案を作成し、それを他者に提案させる。そして、ルーブリックをもとにリフレクション活動を行わせ、 これまでの学習の価値を自覚させるとともに、今後、I市のまちづくりのあり方やI市の政治に対し て、どのように向き合っていくか考えさせていく。 3 小単元の目標 ○ I市の人口減少問題の背景や解決に向けた取組、地方自治の意義や仕組みについて理解すると ともに、問題の解決に必要な情報を資料から読み取ることができる。 【知識・技能】 ○ I市の人口減少問題について、多面的・多角的に考察し、「対立と合意」、「効率と公正」、「持続 可能性」の見方・考え方を働かせ、解決に向けた具体案をまとめることができる。 【思考・判断・表現】 ○ I市の人口減少問題に対して、課題を設定し、追究していくとともに、多様な立場の人が納得 できるように解決を図ろうとしている。 【主体的に学習に取り組む態度】 4 小単元計画(7時間) 次 時 学習活動 手立て 一 つ か む 1 ① 本 時 1 1 本単元を貫く学習課題を設定する。 (1) I市の人口減少や少子高齢化の現状、未 来予測を資料から読み取る。 (2) I市の人口減少の理由を考える。 (3) 人口減少や地方公共団体がなくなること の影響を考える。 ○ 人口減少や少子高齢化がI市におい ても喫緊の問題であることを捉えさせ るために、日本創成会議・人口減少問 題検討分科会の推計による「消滅可能 性都市」に挙げられた福岡県の市町村 を地図で示す。 ○ 生徒が普段感じているI市の現状を 振り返らせることで、自分たちの生活 とのつながりを意識させる。 ○ 切実感をもった課題になるように、 「もしI市(地方公共団体)がなくな ったら」と問うことで、地方公共団体 の役割に着目させる。 ○ 追究への見通しをもたせるために、 人口維持もしくは増加している他市町 村の取組の資料を提示する。 ○ 「理想的なまち」のイメージを挙げ させることで、現状とのギャップを明 らかにする。 ○ 「なぜ他の市町村が効果を上げてい るすべての施策を導入していかないの か」と問うことで、地方財政を考慮し なければいけないことに着目させる。 ○ 市長からの VTR を視聴させること で、現実の問題として学習に取り組め るようにする。 ・I市に隣接している K 市や K 町、F 町、K 町が 「消滅可能性都市」に含まれている。 ・I市も 40 年後には人口が 40000 人近く減る予測 になっている。 ・市が提供しているサービスが受けられなくなる のではないか。 ・自分たちの声が政治に反映されにくくなるので はないか。 ・店や病院、学校、バスや電車などが少なくなった り、なくなったりして生活が不便になるのでは ないか。 ・I市は働くところが少ないから人口が減少して いるのではないか。 ・I市は少子化が進んでいることから人口が減少 しているのではないか。 ・I市は観光施設や商業施設が少なく、魅力がな いので、人口が減少しているのではないか。
-3- 一 つ か む 2 本小単元のルーブリックを作成する。 (1) 学習の最終ゴールを個人で考え、それを 全体で交流することで、ルーブリックのE の指標(共通)を設定する。 (2) 学習課題を解決するためにどのような施 策を推進していくべきか(判断①)を考え ることで、Cの指標(共通)を設定する。 3 【リフレクション活動】 (1) Cの指標を達成するために、判断①を 振り返り、必要となる知識や情報を考え ることで、Iの指標(個別)を設定する。 <ルーブリック(例)> (2) 次時のめあてを設定する。 ○ 生徒から出た意見を板書すること で、文言を整理していく。 ○ 「まちづくりを考える上で大切なこ とは何か」を問いかけることで、まち づくりのために必要な視点を焦点化し ていく。 ○ 結論や根拠を整理して書けるよう に、トゥールミン図をもとにした学習 プリントを準備する。 ○ 「I市で本当に実現可能なのか」を 問いかけることで、根拠を具体的にし ていかなければいけないことを意識さ せる。 ○ Cの指標の「根拠」という言葉に着 目させることで、必要な情報を予想さ せる。 ○ 個別にIの指標を設定させること で、主体的な追究を促していく。 ○ 個人追究の時間を2時間とることを 伝えることで、計画的な追究を促して いく。 ○ 個人で考えるのが難しい生徒には、 机間指導でアドバイスする。 ○ インターネットや市政情報誌から必 要な資料を自分で探してきてもいいこ とを指示する。 二 さ ぐ る 前 段 4 ① 1 前時で定めた追究の視点に基づき、各自 で資料を分析し、根拠につながる情報をま とめる。 ●人口減少の原因 ●人口増加に成功している他市の取組 ●I市の魅力や特長 ●I市のまちづくりの課題 ●I市が現在進めている取組 ●I市民の声 ●I市の財政状況 など ○ 同じような追究課題を立てている生 徒同士を近くに配置する。 ○ 事前に生徒のルーブリックを確認し て追究に必要な資料を配付する。 ○ 資料の読み取りが難しい生徒には、 机間指導でアドバイスをする。 ○ I市のまちづくりについて多面的・ 多角的に捉えられるように、調べて分 かったこと、そこから考えたことを表 にまとめさせる。 【学習課題】 これからのI市のために、人口を維持・増加させるまちづくりに ついて考えよう ・子育て支援や医療・福祉に力を入れることで、子 供が産みやすくなり、人口が増えるのではない か ・産業の振興に力を入れることで、働く場所が増 え、人が集まってくるのではないか ・人口減少の原因や人口増加に成功している他市 の取組を調べたい。(追究の視点) I(考え) C(つながり) E(応用) 根拠となる情報について説明する。 ・人口が減少する原因 ・I市の課題 ・I市民の声 人口減少問題に対して、I市はどのような 施策を推進していくべきか、根拠をもとに 判断する。 人口を維持・増加させるために、I市がこ れから目指すべきまちづくりのあり方とそ のための施策について提案する。 ・人口が減少する原因 ・人口増加に成功している他市の取組 ・I市の魅力と課題 ・I市民の声
-4- 二 さ ぐ る 後 段 4 ② ③ 本 時 2 2 資料から得られた情報をもとに、再度ま ちづくりのあり方について判断する(判断 ②)。 3【リフレクション活動】 (1) ルーブリックの観点を踏まえて、判断① から付加・修正した点やその理由を振り返 る。 (2) 次時のめあてを設定する。 1 小グループで、現時点での判断や情報収 集に使用した資料について交流する。 2 交流で得られた新たな視点に基づき、再 度各自で資料を分析し、根拠につながる情 報をまとめる。 ●人口減少の原因 ●人口増加に成功している他市の取組 ●I市の魅力や特長 ●I市のまちづくりの課題 ●I市が現在進めている取組 ●I市民の声 ●I市の財政状況 など ○ 前時の自らの判断と比較しやすいよ うに、前時と同じ形式の学習プリント を準備する。 ○ 根拠を明確にさせるために、結論を 出す際に重視した資料を明示させる。 ○ 資料の中のどの情報を根拠としたの かを明らかにさせるために、資料にア ンダーラインや枠囲みをさせておく。 ○ 個別追究の中で根拠が明確になった ことについて価値付けを行うととも に、追究の視点を広げるために必要な ことを考えさせることで、他者との交 流の必要性に気付かせる。 ○ 追究の視点が広がるように、事前に 生徒のルーブリック及び学習プリント の記述を確認し、結論や追究の視点が 異なる生徒同士を組み合わせる。 ○ 交流を通して得られた新たな視点に ついては、各自のルーブリックに赤ペ ンで付加・修正させておく。 ○ 資料の読み取りが難しい生徒には、 机間指導でアドバイスをする。 ○ I市のまちづくりについて多面的・ 多角的に捉えられるように、調べて分 かったこと、そこから考えたことを表 にまとめさせる。 ・I市は現在でも子育て支援に力を入れており、 市民も保健・医療には満足しているので、I市 の課題である商業の振興に力を入れるべきでは ないか ・人口が維持・増加している市の多くが子育て支 援に力を入れており、移住に期待をするよりは のちのち効果が大きくなるのではないか I(考え) I(考え) 根拠となる情報について説明する。 ・人口が減少する原因 ・I市の魅力 ・人口増加に成功している他市の取組 ・I市民の声 根拠となる情報について説明する。 ・人口が減少する原因 ・I市の課題 ・I市民の声 人口が維持・増加している市の多く がI市同様、子育て支援に力を入れ ており、移住に期待をするよりはの ちのち効果が大きくなるのではない か I市は現在でも子育て支援に力を入 れており、市民も保健・医療には満 足しているので、I市の課題である 商業の振興に力を入れるべき ・資料をもとに自分の判断の根拠を具体的に書く ことができた。 ・他の人の考えが知りたい。 ・〜という点は市民の意見からみても、とても納 得できる。 ・〜という指摘が出たときの説明を考えておいた 方がいい。
-5- 二 さ ぐ る 後 段 3 資料から得られた情報をもとに、再度ま ちづくりのあり方について判断する(判断 ③)。 4【リフレクション活動】 (1) ルーブリックの観点を踏まえて、判断 ②から付加・修正した点やその理由を振 り返る。 (2) 交流の中で得られた新たな視点を踏ま えて、ルーブリックを修正し、それをも とに判断③の不十分な点を振り返り、次 時のめあてを設定する。 ○ 前時の自らの判断と比較しやすいよ うに、前時と同じ形式の学習プリント を準備する。 ○ 根拠を明確にさせるために、結論を 出す際に重視した資料を明示させる。 ○ 資料の中のどの情報を根拠としたの かを明らかにさせるために、資料にア ンダーラインや枠囲みをさせておく。 ○ 本時の学習の価値を自覚できるよう に、ルーブリックをもとに自己評価さ せる。 ○ 次時に追究する内容が明確になるよ うに、赤ペンでルーブリックに付加・ 修正させる。 ○ 自分たちの考えを政治に反映させる ための「地方政治の仕組み」や「住民 の権利」の視点が生徒から出ていない 場合は、「自分たちが考えているI市の まちづくりを実現するためにはどのよ うな方法があるのか」を問う。 4 ④ 1 前時で得られた新たな視点に基づき、地 方政治の仕組みや住民の権利について調 べ、情報をまとめる。 ●選挙制度 ●条例 ●直接請求権 ●住民投票 ●首長と議会の関係 など 2 資料から得られた情報をもとに、地方公 共団体の政治において、住民が果たすべき 役割についてまとめる。 ○ 自分たちが考えたまちづくりの実現 のために必要な情報を複数の視点から 捉えることができるように、板書に整 理する。 ○ 地方自治の意義について自覚できる ように、既習の国政(間接民主制)と の違いを振り返らせる。 ○ 自分たちも住民の一員として市政に 関わることができることに気付かせる ために、選挙権を有していない中学生 や高校生が地方公共団体に対して請願 や陳情を行い、地方公共団体を動かし た事例を資料で提示する。 I(考え) C(つながり) E(応用) 根拠となる情報について説明する。 ・人口が減少する原因 ・I市の課題 ・I市民の声 ・人口増加に成功している他市の取組 ・I市の魅力 人口減少問題に対して、I市はどのような 施策を推進していくべきか、違う考えをも った人も納得できるような根拠をもとに判 断する。 人口を維持・増加させるために、I市がこ れから目指すべきまちづくりのあり方とそ のための施策について、効率・公正、持続 可能性の視点を踏まえて提案する。 ・I市の特長を踏まえて、より根拠が具体的にな った。 ・効率、公正で持続可能なまちづくりを考える。 ・地方政治の仕組みや住民の権利を調べ、どのよ うに提案できるかを考える。 ・選挙権や被選挙権だけではなく、直接請求権や 請願権などが認められており、住民の意思を直 接政治に反映させることができるため、住民が 地方公共団体の政治に関心をもち、まちづくり に自分たちも関わっていこうとすることが大切 である。 ・I市は現在でも子育て支援に力を入れており、 市民も保健・医療には満足しているので、I市 の特長である大学との連携を生かして、課題で ある商業の振興に力を入れるべき
-6- 三 い か す 2 ① 4 これまでの学習を踏まえて、I市のまち づくりのキャッチコピーを考え、そのよう なまちづくりを実現するための具体案を作 成する。 (1) キャッチコピーを考える。 (2) 提案に向け、自分の考えをレポートにま とめる。 ○ キャッチコピーのイメージをもてる ように、他市のキャッチコピーを示 す。 ○ 根拠となるデータをレポートに添付 できるように、これまでに使った資料 を整理させておく。 2 ② 本 時 3 5 まちづくりのキャッチコピーおよび実現 に向けた具体案を発表し、今後I市の人口 減少問題にどのように向き合っていくかを 考える。 (1) グループで、各自の解決に向けた提案を し合い、各グループで代表者を決める。 (2) 各グループの代表になった生徒が全体で 発表する。 (3) 【リフレクション活動】 ・ルーブリックの観点を踏まえて、これまで の学習を振り返る。 ・今後I市のまちづくりに対してどのように 向き合っていくか考える。 ○ 相手意識をもった提案にさせるため に、根拠のもととなった資料を提示さ せる。 ○ 発表がスムーズに進行できるよう に、教師が司会をする。 ○ 本単元の学習の価値を自覚できるよ うに、ルーブリックをもとに自己評価 させる。 【ルーブリックの作成について】 I(知識・技能) C(思考・判断) E(単元の最終ゴール) 根拠となる情報について説明する。 ・人口減少原因 ・人口増加に成功した取組 ・市の魅力 ・市の課題 ・市民の声 ・市の財政状況 必要な情報は何か 人口減少問題に対し てどのような施策を推 進していくべきか。誰 もが納得できるような 根拠をもとに判断す る。 提案するために何を しなければいけないか 人口を維持・増加させるため に、市がこれから目指すべきま ちづくりの在り方とそのための 施策について効率・公正、持続 可能性の視点を踏まえて提案す る。 何ができるようになればいい か。どんな提案をすべきか ①E(ゴール)はその単元で育成したい学習の最終ゴールから設定する。 →生徒への発問「この単元の学習のゴールは?」「何ができ(るようにな)ればいい?」 ②その資質・能力を育成する上で重要となる見方・考え方を明らかにする。 →生徒への発問「どんな(パフォーマンス)をしていくべき?」 「なぜその知識・技能が必要だと思った?」 ③IとCは(資質・能力の育成のために)その単元における知識・技能と思考・判断から設定する。 →生徒への発問「(パフォーマンス)のために何を(考え、判断)しなければいけない?」 「そのために必要な情報やスキルは?」 ・〇〇なまちI ・△△するならI市
-7- 5 本時1(1/7) ○主眼 I市の人口減少の状況を資料から読み取り、その原因や影響を考察することを通して、単元を貫く 学習課題を設定するとともに、ルーブリックを作成し、学習の見通しをもつことができる。 ○準備 学習プリント、ルーブリック、資料(都道府県別人口増減率地図、福岡県の消滅可能性都市地図、 I市の総人口と年齢階層別人口、I市の人口の自然動態と社会動態) ○学習の過程 学習活動・内容 主な手立て 配時 導 入 1 I市の人口減少や少子高齢化の 現状、未来予測を資料から読み取 る。 ・I市の人口の現状と未来予測 ○ 人口減少や少子高齢化がI市においても喫緊 の問題であることを捉えさせるために、「消滅 可能性都市」に挙げられた福岡県の市町村を地 図で示す。 5 展 開 2 I市の人口が減少している理由 を予想する。 ・人口減少の原因 3 人口減少や地方公共団体がなく なることの影響を考え、本小単元 の学習課題を設定する。 ・人口減少の影響 ・地方財政 4 ルーブリックを作成する。 (1) 学習の最終ゴールを個人で考 え、それを全体で交流すること で、ルーブリックのEの指標(共 通)を設定する。 (2) 学習課題を解決するためにどの ような施策を推進していくべきか (判断①)を考えることで、Cの 指標(共通)を設定する。 ○ 生徒が普段感じているI市の現状を振り返ら せることで、自分たちの生活とのつながりを意 識させる。 ○ 切実感をもった課題になるように、地方公共 団体の役割に着目させる。 ○ 追究への見通しをもたせるために、人口維持 もしくは増加している他市町村の取組の資料を 提示する。 ○ 「なぜ他の市町村が効果を上げているすべて の施策をI市で導入していかないのか」と問う ことで、地方財政を考慮しなければいけないこ とに着目させる。 ○ 市長からの VTR を視聴させることで、現実の 問題として学習に取り組めるようにする。 ○ 生徒から出た意見を板書することで、文言を 整理していく。 ○ 結論や根拠を整理して書けるように、トゥー ルミン図をもとにした学習プリントを準備す る。 ○ 「I市で本当に実現可能なのか」を問いかけ ることで、根拠を具体的にしていかなければい けないことを意識させる。 7 13 15 ま と め 5 リフレクション活動 (1) Cの指標を達成するために、判 断①を振り返り、必要となる知識 や情報を考えることで、Iの指標 (個別)を設定する。 (2) 次時のめあてを設定する。 ○ Cの指標の「根拠」という言葉に着目させる ことで、必要な情報を予想させる。 ○ 個人追究の時間を2時間とることを伝えるこ とで、計画的な追究を促していく。 ○ インターネットや市政情報誌から必要な資料 を自分で探してきてもいいことを指示する。 10 めあて I市の人口減少の原因や影響について考えよう 【学習課題】 これからのI市のために、人口減少を食い止めるまちづくりに ついて提案しよう
-8- 5 本時2(3、4/7) ○主眼 I市の人口減少問題の解決に向けて、他者との交流を通して追究の視点を広げ、さらに考察を深め ることにより、自らの判断を見直したり、その根拠を付加・修正したりすることができる。 ○準備 ルーブリック、学習プリント、資料(人口減少の原因、人口増加に成功している他市町村の取組、 I市の魅力や特長、I市のまちづくりの課題、I市が現在進めている取組、I市民の声、I市の財政 状況) ○学習の過程 学習活動・内容 手立て 配時 導 入 1 前時で設定しためあてを確認す る。 ○ 本時の見通しをもたせるために、ルーブリッ クを振り返らせる。 2 展 開 2 小グループで、現時点での判断 や情報収集に使用した資料につい て交流する。 3 交流で得られた新たな視点に基 づき、再度各自で資料を分析し、 根拠につながる情報をまとめる。 ●人口減少の原因 ●人口増加に成功している他市の取 組 ●I市の魅力や特長 ●I市のまちづくりの課題 ●I市が現在進めている取組 ●I市民の声 ●I市の財政状況 など 4 調べて分かったことや判断の根 拠として使えそうな内容をまとめ 再度まちづくりのあり方について 判断する。 ○ 追究の視点が広がるように、事前に生徒のル ーブリック及び学習プリントの記述を確認し、 結論や追究の視点が異なる生徒同士を組み合わ せる。 ○ 交流を通して得られた新たな視点について は、各自のルーブリックに赤ペンで付加・修正 させておく。 ○ 資料の読み取りが難しい生徒には、机間指導 でアドバイスをする。 ○ I市のまちづくりについて多面的・多角的に 捉えられるように、調べて分かったこと、根拠 として使えそうな内容を表に整理させる。 ○ 前時の自らの判断と比較しやすいように、前 時と同じトゥールミン図をもとにした学習プリ ントを準備する。 ○ 根拠を明確にさせるために、結論を出す際に 重視した資料を明示させる。 12 20 6 ま と め 5 リフレクション活動 (1) ルーブリックの観点を踏まえ て、判断②から付加・修正した点 やその理由を振り返る。 (2) 交流や追究の中で得られた新た な視点を踏まえて、ルーブリック を修正し、それをもとに判断③の 不十分な点を振り返り、次時のめ あてを設定する。 ○ 本時の学習の価値を自覚できるように、ルー ブリックをもとに自己評価させる。 ○ 次時に追究する内容が明確になるように、赤 ペンでルーブリックに付加・修正させる。 ○ 自分たちの考えを政治に反映させるための 「地方政治の仕組み」や「住民の権利」の視点 が生徒から出ていない場合は、「自分たちが考 えているI市のまちづくりを実現するためには どのような方法があるのか」を問う。 10 めあて 他者との交流を通して、自分の判断を見直そう
-9- 5 本時3 ○主眼 各自が考えた解決に向けた具体案について提案し、相互評価や自己評価を行うことを通して、これ までの学習の成果を振り返るとともに、今後I市のまちづくりに対して自分事として向き合っていこ うとする意欲をもつことができる。 ○準備 ルーブリック、評価シート、学習プリント ○学習の過程 学習活動・内容 手立て 配時 導 入 1 前時で設定しためあてを確認す る。 ○ 本時の見通しをもたせるために、ルーブリッ クを振り返らせる。 3 展 開 2 グループで、解決に向けた具体 案を発表し合い、グループの代表 者を決める。 3 各グループの代表になった生徒 が全体で発表する。 ○ 相手意識をもった提案にさせるために、根拠 のもととなった資料を提示させる。 ○ 「効率と公正」や「持続可能性」の見方・考 え方を意識させるために、代表に選んだ理由を 書かせる。 ○ 発表がスムーズに進行できるように、教師が 司会をする。 ○ 相手意識をもった発表にできるように、参観 の教師にも評価シートを記入してもらう。 16 16 ま と め 4 リフレクション活動 (1) ルーブリックの観点を踏まえ て、これまでの学習を振り返る。 (2) 今後I市のまちづくりに対して どのように向き合っていくか考え る。 ○ これまでの学習の価値を自覚できるように、 ルーブリックをもとに自己評価させる。 ○ 住民の意思が政治を動かした事例を資料で提 示することにより、住民自治に対する意識を高 める。 15 ≪最終的なルーブリックの例≫