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日本と韓国の特別支援教育におけるICT活用教育の促進に関する研究

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Academic year: 2021

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日本と韓国の特別支援教育におけるICT活用教育の

促進に関する研究

著者

Lee Sunhee

7

学位授与機関

Tohoku University

学位授与番号

教情博第40号

URL

http://hdl.handle.net/10097/00123007

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教情 4 イ ソンヒ

ソンヒ

学 位 の 種 類 博士(教育情報学) 学 記 番 号 教情博 第 40 号 学位授与年月日 平成 30 年 3 月 27 日 学位授与の要件 学位規則第 4 条 1 項該当 研 究 科 ・ 専 攻 東北大学大学院教育情報学教育部(博士課程後期3年の課程) 教育情報学専攻 学 位 論 文 題 目 日本と韓国の特別支援教育における ICT 活用教育の促進に 関する研究 論 文 審 査 委 員 (主査) 教 授 熊 井 正 之 教 授 渡 部 信 一 准教授 中 島 平 助 教 橋 本 陽 介 (宮城大学)

< 論 文 内 容 の 要 旨 >

日本と韓国では特別支援教育においても教育の情報化が進められている。しかし、日本と 韓国の特別支援教育における情報化の現状とその課題、課題を解決する方法、日本と韓国の 特別支援教育における ICT(情報通信技術)活用の教育効果は、これまで十分に検討されて こなかった。 本研究では、まず、日本と韓国の特別支援教育の制度、対象、日本と韓国における教育の 情報化の体制、施策といった、特別支援教育における情報化、ICT 活用の背景を概観し、日 本と韓国の特別支援教育における情報化の現状と課題の把握、課題の解決方法の提案とその 有効性検討、ICT 活用教育の成果評価の必要性を示した。次に、日本と韓国の特別支援教育 における情報化の現状に関する先行研究、ICT 活用教育の成果に関する先行研究を概観し、 問題点を指摘した。そのうえで、以下の 5 つの研究を実施した。 1 つ目は、日本と韓国の特別支援教育における情報化の現状と課題の検討である。日本と

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教情 5 韓国の特別支援教育における情報化に関する資料を分析し、主にインフラ、ICT 環境の整備 の現状、e-AT(電子情報通信技術に基づく支援技術)の整備の課題、障害特性への適合性の 高さが指摘されている後発端末の整備の課題、特別支援教育の情報化の現状把握に関する課 題を明らかにした。 2 つ目は、日本と韓国の特別支援教育における情報化の現状把握に関する課題の解決方法 の提案とその有効性の検討である。まず、日本、韓国、アメリカ、カナダ、OECD の資料を分 析し、課題解決方法のプロトタイプを開発した。さらに、日本と韓国の特別支援教育関係者 を対象にプロトタイプに関する意見調査を実施し、その結果を受けてプロトタイプの修正を 行った。そのうえで、修正したプロトタイプを用いて日本と韓国の特別支援教育教員を対象 とする現状把握を試行することで、その有効性を確認した。 3 つ目は、日本と韓国の特別支援教育における ICT 活用の教育効果の評価方法の検討であ る。日本と韓国の特別支援教育、知的障害教育、発達障害教育、視覚障害教育、聴覚障害教 育、肢体不自由教育、病弱教育等の分野における ICT 活用に関する資料を分析し、期待され る教育効果が、聞く、話す、伝える、表現する、コミュニケーションするといった「コミュ ニケーション能力」の向上、社会参加、社会参加への意欲、自己尊重感、健康の補完・維持 といった「社会生活機能」の向上、情報の収集・分類・整理、情報検索・探索、情報・ICT 理解、ICT 活用スキルといった「情報活用能力」の向上の 3 領域に分けられることを示唆し た。さらに、日本、韓国、WHO の資料を分析し、「コミュニケーション能力」「社会生活機能」 「情報活用能力」の各領域における教育効果を評価するための項目群を抽出した。そのうえ で、日本と韓国の特別支援教育関係者を対象に、これら 3 領域とその評価項目案についての 意見調査を実施し、その適切さ、妥当性、信頼性を確認するとともに、必要な修正を行って 尺度を試作した。 4 つ目は、日本と韓国の特別支援教育における ICT 活用の教育効果の検討である。日本と 韓国の特別支援教育教員を対象に、3 つ目の研究で試作した尺度を用いた調査を実施し、日 本と韓国の特別支援教育における ICT 活用の教育効果の現状評価を試行した。その結果、 「コミュニケーション能力」「社会生活機能」「情報活用能力」の各領域における教育効果を 一定程度評価できること、今回の対象者の認識によれば日本では「コミュニケーション能力」 領域の効果が高く、韓国では「社会生活機能」領域の効果が高いこと、両国とも「情報活用 能力」領域に課題が残る可能性があること等が示唆された。特別支援教育を含むほぼすべて の分野に成果評価システムが導入されているという韓国の社会的特徴や、特別支援教育分野 における ICT 活用教育に関する最近の研究の関心が韓国では「社会生活機能」関連に向いて いる一方で日本では「コミュニケーション能力」関連に向いているということなどが、日本 と韓国の結果の差に影響している可能性が推測された。 5 つ目は、補論として実施した、障害者における情報利用能力(パソコン、インターネッ ト利用能力)、情報活用度(日常生活の活動領域・用途別の活用度)と ICT 活用教育等との 関係の検討である。韓国の障害者 2,700 人を対象とした調査データを分析した結果、ICT 活 用教育の受講が、障害者の情報利用能力と情報活用度の向上に影響している可能性が確認さ れた。

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教情 6

< 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 >

パソコン、インターネット、電子メール等の ICT は我々の生活・社会に浸透し、その活用 は日常的な事柄となった。社会の情報化に対応するため、教育の情報化も進められてきた。 現在の高度に情報化された生活・社会が、今後、ICT と無関係に発展する可能性、子どもた ちが社会に出る頃に ICT と無縁なものになっている可能性は極めて低く、子どもが ICT を生 活・社会の一部として安全・有効に活用できるよう教育することが私たちに求められている と考えるのは自然である。特別支援教育も例外ではなく、特別支援の情報化、障害の状態・ 特性等に応じた ICT 活用等が求められている。 本研究で筆者は、まず、日韓の特別支援教育における情報化、ICT 活用の背景として、日 韓の特別支援教育制度、日韓の教育情報化の体制・施策を概観した。さらに、日韓の特別支 援教育における情報化、ICT 活用教育の成果に関する研究を概観し、日韓の特別支援教育に おける情報化の現状・課題とその解決方法の検討、日韓の特別支援教育における ICT 活用教 育の成果評価の検討が必要であることを示した。 そのうえで、筆者は、1)日韓の特別支援教育における情報化の現状に関する資料、日本、 韓国、アメリカ、カナダ、OECD の資料の分析と、日韓の特別支援教育関係者への意見調査か ら、インフラ、環境整備の現状、e-AT 等の整備の課題、情報化の現状把握の課題を明らかに するとともに、課題を解決する方法の案を開発し、その有効性の実証を試みた。また、2)日 韓の特別支援教育、各種障害児教育分野における ICT 活用に関する資料、WHO の資料の分析 と、日韓の特別支援教育関係者への意見調査から、特別支援教育における ICT 活用の効果 が、「コミュニケーション能力」「社会生活機能」「情報活用能力」の 3 領域にカテゴリー化 できることを示すとともに、その 3 領域の教育効果を評価する項目群を試行的に選定し、評 価尺度を試作した。さらに、3)試作した尺度を用いて、日韓の特別支援教育教員を対象とす る調査を実施し、「コミュニケーション能力」や「社会生活機能」領域における効果が高い 一方で、「情報活用能力」領域に課題が残る可能性があることを明らかにした。また、補論 として、4)韓国の障害者 2,700 人の調査結果を分析して、障害者の情報利用能力、情報活用 度と ICT 活用教育等との関係を検討し、ICT 活用教育の受講が、障害者の情報利用能力と情 報活用度に促進的に影響している可能性を明らかにした。 審査の結果、本研究が、ICT 活用教育の成果評価項目の障害種・程度別および発達段階別 の検討等、いくつかの課題を残しながらも、a)日韓の特別支援教育における情報化の現状を 整理・分析してその課題を明示した点、b)日韓だけでなく、OECD、カナダ、アメリカの資料 を広く分析・検討して課題解決方法を提案した点、c)日韓の特別支援教育における ICT 活用 関連の資料を分析・検討して教育効果を評価すべき 3 領域を抽出した点、d)その 3 領域にお ける成果を定量的に評価する尺度を、実証的な有効性検討を経て試作した点、e)その尺度を 用いて日韓の特別支援教育における ICT 活用教育の成果の現状評価を試行し、比較検討した 点が高く評価された。 よって、本論文は博士(教育情報学)の学位論文として合格と認める。

参照

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