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〈緩和ケアの実践〉がん性疾痛の薬物療法

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Academic year: 2021

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(1)109. Buhetinof⊂enterfor⊂linicalPsychologyKinkiUniversityVol.2:109∼116(2009). がん性痺痛 の薬物療法 原. 聡. 近畿大学 医学部 附属病 院緩和 ケア科. 要. 約 が ん患 者 に は身 体 的 な痛 み の み な らず 精 神 的 苦 痛 な ど多 くの 痛 み 、 苦 痛 が あ り、 全 人 的 苦 痛 を形 成. して い る。 また これ らは 互 い に 関 連 性 を有 し苦 痛 が 増 悪 す る こ と も、 軽 減 す る こ と もあ る。 身 体 的 な 苦 痛 の 代 表 で あ る、 い わ ゆ る痛 み は鎮 痛 剤 を用 い る こ とに よ り軽 減 す る こ とは 明 らか で あ る。 しか し、 が ん 性 疹 痛 に 欠 か せ な い 医療 用 麻 薬 、 オ ピ オ イ ドに 関 して は過 去 の 「最 期 の 薬 」 とい う イ メー ジが 払 拭 さ れ て お らず 、 使 用 量 も欧 米 に 比 べ て は る か に少 な い。 そ こ で 、 が ん 診 療 に 関 わ る 医 療 者 が オ ピオ イ ドを適 切 に 処 方 、 使 用 で きる よ う に薬 剤 の効 果 と副 作 用 を 中心 に が ん 性 疹 痛 の緩 和 ケ ア につ い て述 べた。. Keywords:オ. ピ オ イ ド鎮 痛 薬 、 医 療 用 麻 薬 、 緩 和 ケ ア 、 全 人 的 疹 痛 、 緩 和 ケ ア チ ー ム. は じめ に 2007年. に 施 行 さ れ た が ん 対 策 基 本 法 で は 、 「・ ・、 が ん 患 者 の 状 況 に 応 じ て 疹 痛 等 の 緩 和. を 目 的 と す る 医 療 が 早 期 か ら 適 切 に 行 わ れ る よ う に す る こ と 、・ ・」 と規 定 さ れ た 。 ま た 、 こ の 基 本 法 に 基 づ き 、2011年. 度 ま で の5年. 間 を 対 象 に し て2007年. に 「が ん 対 策 推 進 基 本 計. 画 」 が 策 定 さ れ た 。 こ の 基 本 計 画 で は 、 「放 射 線 療 法 及 び 化 学 療 法 の 推 進 並 び に こ れ ら を 専 門 的 に 行 う 医 師 等 の 養 成 」 並 び に 「治 療 の 初 期 段 階 か らの 緩 和 ケ ア の 実 施 」 が 掲 げ ら れ て い る 。 そ こ で 近 畿 大 学 医 学 部 附 属 病 院 に は 、 緩 和 ケ ア チ ー ム 、 緩 和 ケ ア 室 が あ り、 身 体 症 状 、 精 神 症 状 の ケ ア 、 さ ら に 家 族 の サ ポ ー トな ど の た め に 緩 和 ケ ア 医 師 、 看 護 師 が 専 従 し て お り、 メ ン タル ヘ ル ス 科 医 師 、 薬 剤 師 、 理 学療 法 士 、 管 理 栄 養 士 、 ソー シ ャル ワー カー が 兼 任 で従 事 して い る 。 そ こ で 、 緩 和 ケ ア=終. 末 期 医 療 と い う 考 え 方 を 払 拭 す べ く、 わ れ わ れ が 日 ご ろ 行 っ て い る. 身体 症 状 、 な か で もが ん性 疹 痛 の ケ ア に つ い て 触 れ る。.

(2) 近 畿 大 学 臨 床 心 理 セ ン タ ー紀 要. 110. 第2巻2009年. 全人的痙痛 Twycross&Wilcok(2002/2003)は. 、 が ん の 痛 み を構 成 す る4つ. の 痛 み を 示 して い る 。. す な わ ち、 が ん そ の もの が発 す る痛 み や 治療 の副 作 用 に よる な どの 身体 的 痛 み 、社 会 的 地 位 の喪 失 や家 族 や 家 計 につ い て な どの社 会 的痛 み 、 ボ デ ィー イメ ー ジの 変化 や 死 や 痛 み へ の 恐 怖 な どの心 理 的痛 み、 そ して なぜ 私 に起 こ っ た の か 、 なぜ 苦 し まな け れ ば な らな い の か とい うス ピ リチ ュ ア ル な 痛 み で あ る。 こ れ らの 痛 み は互 い に作 用 し合 い、 身 体 的 な痛 み が あ る と不 眠 や 恐 怖 心 、 絶 望 感 と い う心 理 的 痛 み を 生 じ る と い う 悪 循 環 を生 み 、 全 人 的 疾 痛(total pain)を. 引 き起 こ す 。 こ の よ う に が ん 患 者 の70%に. を 悩 ま せ 、QOLに. み られ る とい わ れ る 身 体 的痛 み は患 者. 大 き な 影 響 を も た ら す 。 さ ら に 身 体 的 疾 痛 は 精 神 面 の 関 与 も 大 き く、 痛. み を 増 強 す る 要 素 と し て は 、 不 快 感 、 不 眠 、 不 安 、 抑 う つ な ど が あ り、 一 方 痛 み を軽 減 す る 要 素 に は 良 眠 、 共 感 、 理 解 、 抗 不 安 薬 、 抗 うつ 薬 な ど が あ る 。 こ の よ う に 身 体 的 疹 痛 を 緩 和 す る こ とはが ん患 者 の診 療 で は非 常 に重 要 で あ り、 かつ 比 較 的容 易 な こ とで あ る。. 緩和ケア WHOは2002年. に緩 和 ケ ア を 以 下 の よ う に定 義 した 。 緩 和 ケ ア は生 命 を脅 か す疾 患 に伴. う 問 題 に 直 面 す る 患 者 と家 族 に 対 し、 疹 痛 や 身 体 的 、 心 理 社 会 的 、 ス ピ リ チ ュ ア ル な 問 題 を 早 期 か ら 正 確 に ア セ ス メ ン ト し 解 決 す る こ と に よ り、 苦 痛 の 予 防 と 軽 減 を 図 り、 生 活 の 質 (QOL)を. 向上 させ る た め の ア プ ロー チ で あ る。 す な わ ち緩 和 ケ ア を実 施 す る か ど うか は、. 患者の状態が. 「終 末 期 」 で あ る か ら、 が ん 治 療 中 で あ る か ら、 と い う状 況 で 決 ま る の で は な. く、 患 者 に 「苦 痛 」 が あ る か ど う か が 重 要 で あ る 。 そ し て 患 者 や 家 族 の 「求 め 」 に 基 づ い て 行 う 医 療 が 緩 和 ケ ア 、needsbasedpalliativecare、. で あ る。. 症状 マネジメン ト 1.痙 (1)症. 痛の評価 状の評価. 患 者 自 身 が 評 価 し た も の が 症 状 の 評 価 の 基 準(goldstandard)で で あ る 。 そ の た め に は 開 か れ た 質 問(open-endedquestion)を. あ る こ と を認 識 す べ き 用 い て、 どん な こ とが つ ら. い か を 尋 ね 、 そ の 症 状 が 日 常 生 活 、 特 に 睡 眠 、 に どの 程 度 支 障 が あ り、 ど の 程 度 の 対 応 を 期 待 し て い る か を確 認 す る 。 そ し て 症 状 の 強 さ を 客 観 的 に と ら え 、 そ の 後 も継 続 的 に 経 過 を み て い くた め にnumericratingscale(NRS)な (2)疹. どの ツ ー ル を用 い る。. 痛 の 評価. 前 述 し た よ う に 、 症 状 の 評 価 は 患 者 自 身 が ど の よ う に 痛 み を 感 じて い る か がgoldstandard で あ り、 疹 痛 の 評 価 が 重 要 で あ る 。 そ の た め に は ① 疹 痛 の パ タ ー ン と 強 さ 、 ② 部 位 と経 過 、 ③ 痛 み の 性 状(体. 性 痛 、 内 臓 痛 、 神 経 障 害 性 疹 痛)、 ④ 痺 痛 の 増 悪 因 子 と軽 快 因 子 、 ⑤ 治 療 の.

(3) 原. 聡:が. ん性 痙 痛 の 薬 物療 法. 111. 反応 、⑥ 疹 痛 増 強 時 に使 用 す る レス キ ュ ー の 効 果 と副 作 用 、 な どの 評 価 が 必 要 で あ る。 な お体 性 痛 は皮 膚 、 筋 肉 が傷 害 され る こ とに よ り生 じる疹 くよ う な持 続 痛 と体 動 時 の 鋭 い 痛 み が特 徴 で 、骨 転 移 痛 は そ の代 表 的 な もの で あ る 。 内臓 痛 は腹 部 の 管 腔 臓 器 の 内 圧 が 上 昇 した り、 被 膜 に 覆 わ れ た 肝臓 や 腎臓 の よ うな 充 実性 臓 器 の 被 膜 が 進展 した 際 にみ られ る痛 み で、 深 く絞 られ る よ うな 、押 され る よ う な痛 み が 特 徴 的 で あ る。 体性 痛 と内 臓 痛 は侵 害 受 容 性 痙 痛 とい わ れ、 次 に述 べ る神 経 障害 性 疹 痛 と区 別 され る。神 経 障 害性 疹 痛 は末梢 神 経 や 中 枢 神 経 が 圧 迫 や切 断 され る こ とに よ り生 じ、 しび れ を伴 う痛 み や 、 電 気 が 走 る よ う な痛 み で あ り、 一 般 的 に オ ピオ イ ド抵 抗 性 と され て い る 。 2.痙. 痛の治療. 疹 痛 治 療 はWHO方. 式 に よる 原 則(図1)に. の ひ とつ の 除痛 ラ ダー(図2)に. 準 じて 行 う こ とが 推 奨 され て お り、 そ の なか. 沿 っ て痛 み の 強 さに 応 じた 薬 剤 を選択 す る 。 また 、 除 痛 の. ・ できるだ け経 口投 与 で ・ 時 刻 を決 め て規 則 正 しく ・ 効 力 の 順 に薬 を選 ん で ・ 痛 み が 消 える個 別 的 な量 で ・ その うえで細 か い点 に配 慮 す る 図1.が. ん疹 痛 に対 す る鎮 痛 薬 使 用 の 原則. 強 オ ピオ イド薬;モ ル ヒネ 、オ キ シコドン 、フェンタニ ル 弱 オ ピオ イド薬;コ デ イン他 非 オ ピオ イド鎮 痛 薬;NSAIDs,ア セ トアミノフェン他. 痛 み の残存 または増 強. 強 オ ピオ イド ±非オ ピオイド鎮痛 薬 ±鎮 痛補 助薬 弱 オ ピオ イド. 痛み の残 存 または 増強. ±非 オピオイド鎮 痛薬 ±鎮 痛補 助薬. 非オ ピオ イド鎮痛 薬 ±鎮 痛補 助薬. 図2.WHO除. 痛 ラ ダー.

(4) 近 畿 大 学 臨 床 心 理 セ ン タ ー紀 要. 112. 第2巻2009年. 目標 を 設 定 し て お く こ と も 患 者 に 安 心 感 を 与 え 、 オ ピ オ イ ド(医 療 用 麻 薬)へ. 不 安 感 を抱 か. せ な い た め に も 大 切 で あ る 。 す な わ ち 痛 み が な く夜 眠 れ る こ と を 最 初 の 目標 と し、 安 静 時 に 痛 み が な い こ と 、 次 に 動 い て も痛 み が な い こ と を 目標 と した 治 療 法 が 望 ま し い 。 (1)NSAIDsの. 開始. 疹 痛 治 療 の 薬 物 療 法 の 第1段 あ り、NSAIDsは. 階 はNSAIDs(nonsteroidalanti-in且ammatorydrugs)で. が ん の 炎 症 に よ る 痛 み を軽 減 す る 。NSAIDsは. 定 期 投 与 に よ り消 化 管 潰 瘍 、. 腎 機 能 障 害 、 出 血 傾 向 な ど の 副 作 用 を 来 た す 可 能 性 が あ る の で プ ロ ト ン ポ ン プ 阻 害 剤 やH2 プ ロ ッ カ ー を 併 用 し た り、 腎 機 能 障 害 、 出 血 傾 向 が あ る と き に はCOX-2選 トア ミ ノ フ ェ ン を 投 与 す る 。 レ ス キ ュ ー が 必 要 な 場 合 はNSAIDs単. 択 阻 害 剤 や アセ. 独 で の鎮 痛 が 不 十 分 と. 考 え ら れ る の で 、 次 の 段 階 と し て オ ピ オ イ ド を 導 入 す る 。 た だ し 、 オ ピ オ イ ドを 導 入 す る 場 合 で も 原 則 的 にNSAIDsを (2)オ. 併 用 す る。. ピ オ イ ドに つ い て. オ ピ オ イ ド と は 、 中 枢 神 経 系 の オ ピ オ イ ド受 容 体 に 作 用 し 除 痛 効 果 を 来 た す 薬 剤 の 総 称 で あ り、 わ が 国 で は モ ル ヒ ネ 、 オ キ シ コ ド ン 、 フ ェ ン タ ニ ル の3種. 類 が 認 め られ て い る。 モ ル. ヒ ネ は 最 も歴 史 が 古 く 、 経 口 薬 、 注 射 薬 、 坐 薬 の 全 て の 剤 型 が そ ろ っ て い る 。 オ キ シ コ ドン は 経 口 薬 、 注 射 薬 が あ り、 フ ェ ン タ ニ ル に は 貼 付 薬 と注 射 薬 が あ る 。 ま た 、 経 口 薬 に は 作 用 発 現 ま で の 時 間 や 効 果 持 続 時 問 の 差 に よ っ て 、 速 放 性 製 剤 と徐 放 性 製 剤 が あ る 。 突 然 襲 っ て く る 痛 み(突. 出 痛 、breakthroughpain)に. 性 製 剤 を 用 意 し て お く(レ. は 服 用 後15∼30分. ス キ ュ ー ・ ドー ズ)。 徐 放 性 製 剤 の う ち 経 口 薬 に は12時. 時 間 血 中 濃 度 が 鎮 痛 域 を 維 持 す る も の が あ り、 貼 付 薬 で は72時 (3)オ. 間 と24. 間維 持 す る と され て い る 。. ピ オ イ ドの 導 入. NSAIDsの は 第2段. 以 内 に効 果 が発 現 す る速 放. 投 与 で 鎮 痛 で き な か っ た 場 合 はWHOラ. ダ ー の 第2∼3段. 階 に あ た る。 現 在 で. 階 に 位 置 す る コ デ イ ン は ほ と ん ど使 用 さ れ ず 、 オ キ シ コ ド ンが 低 用 量 か ら投 与 さ れ. て い る こ と が 多 い 。 経 口 投 与 が 可 能 か 、 腎 機 能 障 害 の 程 度 に よ りオ ピ オ イ ドの 種 類 と 投 与 経 路 を 決 定 す る。 腎 機 能 が 重 度 に 障 害 され て い る場 合 に は モ ル ヒ ネの 活 性 代 謝 産物 で あ る M-6-G(morphine-6-gluclonide)が. 蓄 積 し 有 害 事 象 を 来 た す こ とが あ る の で 、 原 則 と し. て モ ル ヒ ネ を 使 用 せ ず 、 オ キ シ コ ド ンか フ ェ ン タ ニ ル の 投 与 を 考 え る 。 オ ピ オ イ ド を 開 始 す る に 当 た っ て 、 以 下 の4つ. の こ と が 重 要 で あ る 。 ① 「毎 食 後 」 「屯 用 」. で は な く、 時 刻 を 決 め て 定 期 的 に投 与 す る 、 ②NSAIDsは. 中 止 しない で 併 用 す る、 ③ オ ピオ. イ ド投 与 で よ くみ ら れ る 嘔 気 、 便 秘 を 予 防 す る 、 ④ 疹 痛 の 増 悪 に 備 え て 必 ず レ ス キ ュ ー の 指 示 を用 意 す る。 そ れ ぞ れ に つ い て も う 少 し詳 し く触 れ て お く。 ① 前 述 し た よ う に 経 ロ オ ピ オ イ ドに は12 時 間 、24時. 間 徐 放 性 の も の が あ る の で 、 食 事 に は 関 係 な く時 刻 を 決 め て 定 期 的 に 服 用 す る. こ と が 適 切 で あ り、 疹 痛 増 強 時 に は 速 放 性 オ ピ オ イ ド を 使 用 す る 。 ②NSAIDsは. が ん性 疹 痛.

(5) 原. 聡:が. ん性 痔 痛 の薬 物 療 法. 113. 治 療 の基 本 とな る薬 物 で あ り、 オ ピオ イ ドと併 用 す る こ とに よ り鎮 痛 効 果 、特 に炎症 性 疾 痛 へ の 鎮 痛 効 果 、 の増 強が 期 待 で きる。 そ の た め、 オ ピオ イ ド単 独 よ りも少 な い投 与 量 で効 果 が 期 待 で き、 さ らに オ ピオ イ ドの副 作 用 の軽 減 も期 待 で きる。 ③ モ ル ヒネ や オ キ シ コ ドンの 開 始 時30∼60%に. 一 時 的 に嘔 気 嘔 吐 が み られ る の で、 予 防 的 に 制 吐 剤 を併 用 して お く。 ま. た 、 便 秘 は オ ピ オ イ ドを使 用 して い る 間 は持 続 す る の で便 秘 へ の対 処 も して お く。 ④ 痛 み が 残 存 また は増 強(突 出痛)し た場 合 に定 期 的 に投 与 さ れ て い る徐 放 性 製 剤 と同一 の速 放 性 製 剤 を用 意 す る。 経 口薬 や 坐 薬 の 場 合 の レス キ ュー(1回. 量)は 、 定 期 オ ピ オ イ ド1日 総 量 の. 1/6で あ り、1時 間経 て ば再 投 与 可 能 とす る。 貼 付 薬 の 場 合 は経 口薬 に換 算 して投 与 量 を決 定 す る。 持 続 注 射 の場 合 は1時 間量 を早 送 り し、30∼60分. 経 て ば再 投 与 可 能 とす る。 また、. レス キ ュ ー の使 用 方 法 を患 者 が 習 得 す る必 要 が あ り、 「痛 み が 強 くな って か らで は な く、 少 し痛 い と感 じた ら早 め に服 用 す る 」 「身 体 を動 かす 前 に予 め 使 用 す る 」 な どの 細 や か に指 導 す る。 (4)痛. みが 残 存 、増 強 した場 合 の 治療. 先 ず は 痛 み の 評 価 で あ る。 以 前 か らの 痛 み か 、 新 しい 原 因 が 加 わ っ た の か を評 価 す る。 次 に痛 み の 強 さ も重 要 で あ る が 、 痛 み が 一 日中 あ る持 続 痛 か、 時 々痛 む 突 出 痛 な の か を 判 断 す る 必 要 が あ る。 持 続 痛 の場 合 、 どの よ う な状 況 で も、 特 に痛 み が 限 局 し て い る場 合 に は、 放 射 線 治 療 や 神 経 ブ ロ ック の適 応 は な いか を考 慮 す る。 次 に薬 物 療 法 の 第一 段 階 と して NSAIDsま. た は ア セ トア ミノ フ ェ ン を最 大 投 与 量 ま で増 量 してみ る。 第二 段 階 は オ ピオ イ ド. の 定 期 投 与 量 を増 量 す る。 増 量 の 方 法 と して は 、 通 常30∼50%増 人 ・高 齢 者 ・全 身 状 態 不 良 の 場 合 は30%増. 量 す るが 、 体 格 の小 さ い. 量 を原 則 と して い る。 痛 み が 強 い と きは 前 日に. 使 用 した 総 レス キ ュー 量 を定 期 量 に上 乗 せ す る方 法 もあ る。 定 期 量 を増 量 した 際 に は、 レス キ ュ ー量 もあ らた め て計 算 しな お す こ と を忘 れ て は な らな い 。 第三 段 階 は オ ピ オ イ ドロ ー テ ー シ ョンや鎮 痛 補 助 薬 を考 慮 す る が 、 両 者 につ い て は後 述 す る。 定 期 的 に オ ピ オ イ ドが 処 方 さ れ て い て も70%の. 患 者 が 突 出痛 を経 験 す る とい わ れ て い る. が 、 な か で も骨 転 移 の痛 み に は、 放射 線 療 法 や ビス ホ ス ホ ネ ー ト製 剤 の 適 応 の 有 無 を考 え る べ きで あ る。 次 に突 出痛 に対 す る第一 段 階 は非 オ ピオ イ ド鎮 痛 薬 を最 大投 与 量 まで増 量 す る。 ま た定 時 の服 用 前 に痛 くな る 「 薬 の切 れ 際 の痛 み」 は 定期 オ ピオ イ ド量 の不 足 を意 味 して い るの で 定 期 オ ピ オ イ ドを増 量 す る。 第 二 段 階 は前 述 した よ うに レス キ ュー を正 し く処 方 し使 い方 を指 導 す る。 第三 段 階 は 定期 オ ピ オ イ ドを20∼30%ず. つ 増 量 す る が 、増 量 に と もな い 眠気 が生 じ、場 合 に よ っ て は生 活. に支 障 を来 た す こ とが あ るの で 慎 重 に経 過 を観 察 す る必 要 が あ る。 ま た レス キ ュ ー を使 用 す る場 合 、 効 果 が あ るか ど うか も判 断 し効 果 が な けれ ば レス キ ュー 量 を増 量 す る。 ま た一 方 で オ ピオ イ ドが 無 効 な痛 み で あ る可 能 性 が 示 唆 され 、 鎮 痛 補 助 薬 の 併 用 を検 討 す る。 また 、 オ ピオ イ ドの 効 果 が 期 待 で きな い 痛 み が み られ る こ と も多 い 。 す なわ ち神 経 障 害 性.

(6) 近 畿 大 学 臨 床 心 理 セ ン タ ー紀 要. 114. 第2巻2009年. 疹 痛 そ の も の 、 あ る い は 併 存 し て い る 場 合 で あ る 。 こ の 場 合 、NSAIDsを. 最 大 量 併 用 し、 オ. ピ オ イ ド も副 作 用 を 生 じ な い 最 大 量 ま で 増 量 し て み る が 、 効 果 が 十 分 で な い と き に は 鎮 痛 補 助 薬 を使 用 す る。 (5)オ. ピ オ イ ドロ ー テ ー シ ョ ン. 鎮 痛 効 果 が 十 分 得 ら れ な い 、 ま た は 副 作 用 の た め に オ ピ オ イ ドの 種 類 を 他 の オ ピ オ イ ドに 変 更 す る こ とで あ る。 す な わ ち、 副 作 用 の軽 減 、鎮 痛 効 果 の 改 善 、投 与 経 路 の 変 更 、 効 果 耐 性 形 成 の 回 避 を 目 的 と し て 行 う。 方 法 と し て は 、 オ ピ オ イ ドの 力 価 計 算 に 従 い(表1)、. 使 用 中 の オ ピ オ イ ドと 等 価 の 別 の. オ ピ オ イ ドに 変 更 す る 。 新 し い オ ピ オ イ ド投 与 量 に 従 い レ ス キ ュ ー 指 示 を 変 更 す る 。 変 更 後 は 再 度 痛 み と 眠 気 を 観 察 し、 オ ピ オ イ ド量 を 加 減 す る 。 た だ し 、 高 用 量 の オ ピ オ イ ドの 場 合 は 、 変 更 に よ っ て 痛 み や 副 作 用 が 増 悪 す る 可 能 性 が あ る の で 、2回. ま た は3回. に 分 け て徐 々. に 置 き換 え る 。. 表1.オ. ピ オ イ ド換 算. 経 口 ・坐 薬 ・ 経皮 モ ル ヒネ 経 口(mg1日). 30. モ ル ヒネ 坐 薬(mgノ 日) ッチ(mg13日). ブ プ レノル フィン 坐 薬(mg1日) モ ル ヒネ(mgノ 日) フエン タニ ル(mg1日). (6)鎮. 4080160240 4.28.416.825.2 1.2 0 お 3 0. 静 脈 ・皮 下. ( 0 0. フェン タニ ルMTパ. ハ ∠. オ キ シ コ ドン(mg1日). 60120240360 4080160240. 60120180 1.22.43.6. 痛補 助 薬. 鎮 痛 補助 薬 は オ ピ オ イ ドに抵 抗 性 を示 す 痛 み 、 特 に神 経 障 害 性 疹 痛 に対 して用 い られ る薬 剤 と、 副作 用 対 策 に用 い られ る薬 剤 とが あ るが 、 通 常 は前 者 を指 す 。 鎮 痛 補 助 薬 に は 抗 うつ 薬 、抗 痙 攣 薬 、 抗 不 安 薬 、 抗 不 整 脈 薬 、NMDA受. 容体拮 抗薬、お. よび ス テ ロ イ ドが あ る。 痛 み の 特 徴 で これ らを使 い 分 け るが 、 代 表 的 な もの と して、 発 作 性 の刺 す よ うな 、 び りび り電 気 が 走 る よ う な痛 み に は抗 痙 攣 薬 が 有 効 な こ とが 多 い。 ま た持 続 的 な しび れ 、 じん じん す る痛 み の場 合 に は抗 うつ 薬 が 有 効 で あ る こ とが 多 い 。 ス テ ロ イ ドは 腫 瘍 が 神 経 を圧 迫 す る こ とで生 じる神 経 の浮 腫 に と も な う痛 み の軽 減 を 目的 に使 用 す るが 、 副 作 用 の 点 か ら効 果 が な け れ ば 早 期 に 中止 す る。 鎮 痛 補 助 薬 の 有 効 率 は40∼60%で. 、副作. 用 と して 主 に 眠気 が あ る 。 (7)オ. ピオ イ ドの副 作 用 と対 策. オ ピオ イ ドは が ん性 疹 痛 の鎮 痛 薬 と して 非 常 に有 効 で 貴 重 な薬 剤 で あ るが 、 そ の 副 作 用 を.

(7) 原. 聡:が. ん性 痙 痛 の 薬 物療 法. 115. い か に し て 予 防 し 軽 減 す る か が 、 オ ピ オ イ ドに 対 す る 患 者 、 家 族 の 不 安 を 緩 和 す る た め に 、 服 薬 コ ン プ ラ イ ア ン ス の 維 持 に 重 要 で あ る 。 た だ し、 嘔 気 や せ ん 妄 な ど の 症 状 は が ん の 進 行 に と もな っ て 随伴 して 発 生 す る の で 、鑑 別 が 必 要 にな る こ と もあ る。 オ ピ オ イ ドに よ る 副 作 用 に は 、 嘔 気 ・嘔 吐 、 便 秘 、 眠 気 が 三 大 副 作 用 で あ り、 そ れ 以 外 に もせ ん 妄 、 口 渇 、 掻 痒 な ど が あ る が 、 こ こ で は 頻 度 が 高 く確 実 な 対 応 が 必 要 な 三 つ の 主 な 副 作 用 とせ ん 妄 に つ い て 述 べ る 。 ① 嘔 気 ・嘔 吐;嘔. 気 ・嘔 吐 は オ ピ オ イ ドの 開 始 時 、 増 量 時 に み ら れ る が 、 高 カ ル シ ウ ム 血 症 、. 消 化 管 閉 塞 、 便 秘 な ど で も み ら れ る こ と に 留 意 す る 。 対 応 の 第 一 段 階 と して は 、 オ ピ オ イ ド 以 外 の 原 因 の 検 索 と 治 療 で あ る 。 し か し 、 オ ピ オ イ ドが 原 因 で あ る 場 合 に は オ ピ オ イ ドの 減 量 が 必 要 で あ る 。 オ ピ オ イ ド、 特 に モ ル ヒ ネ 、 オ キ シ コ ド ン 開 始 時 に は プ ロ ク ロ ル ペ ラ ジ ン を 予 防 的 に 投 与 す る が 、 症 状 が 軽 減 、 ま た は な け れ ば 投 与 を 中 止 す る 。 オ ピ オ イ ド投 与 中 に み ら れ る 嘔 気 ・嘔 吐 の な か で 、 動 く と生 じ る と き は 抗 ヒ ス タ ミ ン 薬 、 食 後 に 生 じ る と き は ド ンペ リ ド ン な ど の 消 化 管 蠕 動 促 進 薬 、 持 続 的 に み ら れ る と き は ドー パ ミ ン 受 容 体 拮 抗 薬 で あ る プ ロ ク ロ ル ペ ラ ジ ン を 投 与 す る が 、 長 期 投 与 に よ り錐 体 外 路 症 状 や ア カ シ ジ ア を 来 た す こ とが あ る 。 第 二 段 階 と し て は オ ピ オ イ ドロ ー テ ー シ ョ ン を 行 う か 、 制 吐 薬 の 変 更 ま た は 追 加 す る 。 さ ら に 必 要 な 場 合 は 、 制 吐 薬 の 非 経 口 投 与 を 行 う か 、 神 経 ブ ロ ッ ク な ど に よ りオ ピ オ イ ドの 全 身 投 与 量 の 減 量 ま た は 中 止 を 図 る 。 ② 便 秘;便. 秘 も オ ピ オ イ ド以 外 の 抗 コ リ ン作 用 を 有 す る 薬 剤 な ど腸 蠕 動 を 低 下 させ る 薬 剤 を. 見 直 す 、 消 化 管 閉 塞 の 有 無 な ど を 評 価 す る 。 患 者 に 便 の 回 数 、 硬 さ を 聞 き、 腸 蠕 動 音 を確 認 し、 場 合 に よ っ て は 直 腸 指 診 やX-Pで. 確 認 す る こ と も必 要 で あ る。. 対 策 の 第 一 段 階 は 、 便 を 軟 らか くす る 浸 透 圧 性 下 剤 を 用 い る こ と で あ る 。 モ ル ヒ ネ や オ キ シ コ ドンは腸 蠕 動 を抑 制 す る の で便 秘 は ほ ぼ必 発 で あ る た め予 防 的 に投 与 し、 自己排 便 を図 る 。 そ れ で も排 便 が 期 待 で き な い 場 合 は 第 二 段 階 と し て 、 腸 蠕 動 を 促 す 大 腸 刺 激 性 下 剤 を 追 加 投 与 す る 。 著 者 は 微 調 整 しや す い ピ コ ス ル フ ァ ー トナ ト リ ウ ム を 汎 用 し て い る 。 胃癌 や 婦 人 科 領 域 の 癌 腫 で み られ る 癌 性 腹 膜 炎 の 場 合 、 癒 着 や 狭 窄 に よ り腸 蠕 動 を 促 す こ と に よ りか え っ て 腹 痛 を 増 悪 さ せ る こ とが あ る の で 浸 透 圧 性 下 剤 を 先 ず 優 先 す る 。 以 上 の 対 応 で も 十 分 で な い 場 合 は 、 レ シ カ ル ボ ン坐 薬 や グ リ セ リ ン洗 腸 、 摘 便 な ど の 処 置 を 行 う。 こ れ ら の 対 応 で2∼3日. に1回. 排 便 が あ る こ と を 目標 にす る。. ③ 眠 気;が. ん 患 者 、 特 に終 末 期 、 で は眠 気 を来 たす 病 態 に陥 る こ とは多 い。 高 カ ル シウ ム血. 症 、 腎 機 能 障 害 、 脱 水 、 向 精 神 薬 、 制 吐 薬 は そ の 代 表 的 な も の で あ る 。 た だ 、 オ ピ オ イ ド使 用 中 の 眠 気 は 、 患 者 に と っ て 不 快 か 否 か が 重 要 で あ り、 不 快 で あ れ ば 対 応 す る が 、 呼 吸 数 が 10回/分 合M-6-Gが ド を20%ず. 未 満 な ら ば 呼 吸 抑 制 の 可 能 性 を 考 え オ ピ オ イ ドを 減 量 す る 。 腎 機 能 障 害 が あ る 場 蓄 積 す る た め 、 モ ル ヒ ネ の 減 量 ・変 更 を 考 慮 す る 。 痛 み が な け れ ば オ ピ オ イ つ 減 量 す る 。 痛 み が あ れ ば 非 オ ピ オ イ ド鎮 痛 薬 、NSAIDsや. ア セ トア ミ ノ フ ェ.

(8) 近 畿 大学 臨床 心 理 セ ン タ ー紀 要. 116. 第2巻2009年. ン を 強 化 し 、 オ ピ オ イ ドの 減 量 を 図 る 。 次 に モ ル ヒ ネ 、 オ キ シ コ ド ン か ら フ ェ ン タ ニ ル へ の オ ピ オ イ ドロ ー テ ー シ ョ ン や オ ピ オ イ ドの 全 身 投 与 の 減 量 を期 待 し た 神 経 ブ ロ ッ ク を 考 慮 す る。 ④ せ ん 妄;せ. ん 妄 も オ ピ オ イ ドの み が 原 因 で あ る こ と は 少 な く、 薬 剤 を は じ め 、 高 カ ル シ ウ. ム 血 症 、 腎 機 能 障 害 、 脱 水 、 低 酸 素 血 症 、 不 眠 な ど が 関 与 す る こ とが 多 い 。 終 末 期 で は30 ∼80%の. 頻 度 で あ る。. 対 応 の 第 一 段 階 は 抗 精 神 薬 の 頓 用 投 与 で あ り 、 不 穏 時 に ハ ロ ペ リ ドー ル 錠 ま た は リ ス ペ リ ドン 液 を指 示 す る 。 次 に オ ピ オ イ ドの 減 量 を検 討 す る 。 痛 み が な け れ ば20%ず. つ 減量 す るが 、. 減 量 後 痛 み が 再 度 出 現 す れ ば 非 オ ピ オ イ ド鎮 痛 薬 を 強 化 し、 オ ピ オ イ ドの 減 量 を 図 る 。 第 二 段 階 は 、 オ ピ オ イ ドロ ー テ ー シ ョ ン ま た は 抗 精 神 薬 の 定 期 投 与 を 行 う。. 最後 に が ん 患 者 の 苦 痛 は 身 体 症 状 の み で は な く、 精 神 症 状 も大 い に 関 与 し て お り、 ま た そ れ ぞ れ が 互 い に 関 連 しあ っ て い る の で 、 身 体 症 状 の ケ ア が 不 十 分 で あ れ ば 、 精 神 症 状 の 増 悪 を 招 く こ とに な る。 緩 和 ケ アで は身 体 症 状 の み に と らわれ ず 、 患 者 全 体 を捉 え る プ ラ イ マ リー ケ ア で あ る と 認 識 す る 。 ま た 、 緩 和 ケ ア は 薬 物 療 法 の み な ら ず 、 リハ ビ リ テ ー シ ョ ン、 栄 養 管 理 、社 会 資 源 の 活 用 な ど広 い 領 域 が 関 わ る こ とに よ って 形 成 され て い る こ とは言 うまで もな い が 、 こ れ ら の 医 療 者 と 患 者 と が 良 い コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を と る こ と も幾 多 の 苦 痛 を 和 ら げ る鎮 痛 剤 の ひ とつ と考 えて い る。. 引 用 文 献 TwycrossR&WilcockA(2002):SymptomManagementinAdvancedCancer.RadcliffePublishing Ltd.武. 田 文 和(監. 訳)(2003):ト. ワ イ ク ロ ス先 生 の が ん患 者 症 状 マ ネ ジメ ン ト. PP4. 的 場 元 弘(2006):が 日本 医 師 会(監. ん 疹 痛 治 療 の レ シ ピ2007年. 修)(2008):が. 版. 春秋社. ん 緩 和 ケ ア ガ イ ドブ ッ ク2008年. 版. 日本 医 師 会. 第1版. 医学書院.

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参照

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