〈特集: 精神科診療における精神療法・カウンセリングの必要性について〉精神科診療における人間存在分析(精神分析的心理療法)
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(2) 22. 近畿大学臨床心理センター紀要 第 6 巻 2013年. 私は、大学院に在学中に中野先生の紹介で Zürich 大学医学部精神科 Willi 教授の元に 2 年 間留学。帰国後、これも中野先生の紹介で当時の精神分析学会の会長であった故山村道雄先 生の教育分析を 3 年受け、これと並行して、当時、神戸大学の精神科医局の勉強会の一つと して中野先生が主宰され、毎週水曜日に開催されていたスーパービジョン研究会(水曜研究 会)で、先生のスーパービジョンを受けるようになった。Zürich から帰国直後に、日本集 団療法学会が招待した心理劇の Moreno 夫人(J.L.Moreno の奥さん)のプロタゴニストを 経験したが、印象的なセッションであった。 私が経験した心理療法の研修はざっとこんなところである。心理療法を習得しはじめた若 い人たちが、何派の心理療法を習得するかで迷っている人を見かけることが少なくない。私 が経験した心理療法の研修は、中野先生は精神分析的心理療法(現在では「人間存在分析」 と名付けているが)、Zürich の Willi 先生は夫婦同席面接、Moreno 夫人は心理劇と、それぞ れ理論と技法は違うが、基本は私が中野先生から学んだ心理療法の基本的技法と全く同じで、 他の方法がいいのかという迷いを感じることもなく、心理療法や精神科の面接はこういうも のだと思ってやってきた。 現在は、H11 年に中野先生か神戸市営地下鉄・学園都市駅で開業された「心療クリニッ ク中野」を、H21 年から院長として引き継ぎ、精神科の診療を続けている。駅上の小さい 診療所で、これまでに私が経験してきた神戸市立中央市民病院や大学病院などという大病院 の精神科とは異なり、病気の治療というより、その人の人生により生に触れる“相談”に来 られる方も多い。このクリニックの診察・治療にも、中野先生から教えられた心理療法の基 本、患者が語るところを「受容的」「支持的」 「感情移入的」に、「患者から詳しくきき、治 療者に理解できたところを二人で確認する」という方法が、大いに役立っている。 じっくり落ち着いた心理療法が必要と思われる時には、クリニックの連携機関で心理療法専門 の関連機関である神戸精神分析研究所を紹介している。神戸精神分析研究所はクリニックとは 緑の公園に囲まれた落ち着いた場所にある別の建て物で、精神科医、臨床心理士、作業療法 士が、それぞれにカウンセリングや心理テストを担当している。症例検討会もそこで行っている。 関心のある方は下記の HP 見てください。 心療クリニック中野; http://www.shinryou.jp/ 神戸精神分析研究所 http://www.humanbeing.jp/.
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