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技術移転と産業発展の長期的展開過程 -- インドとタイにおけるオートバイ産業と自動車産業の比較事例研究 (特集1 開発途上国、地域の理解の深化に向かって -- 2017年度アジア経済研究所の研究プロジェクト)

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Academic year: 2021

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技術移転と産業発展の長期的展開過程 -- インドと

タイにおけるオートバイ産業と自動車産業の比較事

例研究 (特集1 開発途上国、地域の理解の深化に向

かって -- 2017年度アジア経済研究所の研究プロジ

ェクト)

著者

大塚 啓二郎

権利

Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア

経済研究所 / Institute of Developing

Economies, Japan External Trade Organization

(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp

雑誌名

アジ研ワールド・トレンド

260

ページ

7-7

発行年

2017-05

出版者

日本貿易振興機構アジア経済研究所

URL

http://hdl.handle.net/2344/00048947

(2)

特集1

開発途上国、地域の理解の深化に向かって

―2017年度アジア経済研究所の研究プロジェクト― は、FDIとGVCの研究の融合を図りたい。 具体的には、どのような人材がどのようにして技術 移転に貢献しているのかを正確に理解したうえで、適 切な計量経済学的推定方法を考えたい。そこでは経営 者の外資系企業での勤務経験などが重要な変数になる であろう。また、技術移転が長期にわたって行われて いることを踏まえ、時間軸の長いデータを用いた分析 を目指したい。 現実性のある研究を行うために、本研究では、まず 第一に、丹念な実地調査を実施する。そのために、本 研究ではインドとタイという2つの国の特定の産業を 研究対象にした。オートバイと自動車は隣接分野で類 似性があり、企業の生産物や生産方法のアップグレー ドの実態を、産業間と国家間で比較することに大きな 意味があると思われる。それと同時に、GVCやFDIに 関する文献を精査し、これまでの研究で何が問題で あったかを明らかにする。現時点で判断すれば、これ らの分野の研究は政府が発表している二次資料にもっ ぱら依存しており、必ずしも分析に必要な変数が利用 できていないことが問題である。本研究では、どのよ うな独自調査を実施すれば、より現実味のある研究が できるかを、常に念頭に置くことにしたい。次に、理 論的に実態を把握し、検証可能仮説を定式化して、パ ネルデータを用いて検証を行いたい。究極的には、ど のようにすればFDIを基軸とした産業発展が実現する かについて、政策的含意を導きたい。 (おおつか けいじろう/アジア経済研究所 新領域 研究センター) 先進国から途上国への「技術」移転、あるいは途上 国で操業している多国籍企業から国内企業への技術移 転が、途上国の産業発展のエンジンであることは広く 認識されているところである。しかしながら、具体的 にどのような経路を通じて技術移転が実現され、それ がどれくらい産業発展に結びついているかについては、 説得的な実証分析が行われてきたわけではない。また 直接投資(FDI)に関する実証研究では、技術の概念 が狭くとらえられており、最近とみに注目を集めてい る「経営」の重要性は無視されている。 本研究は、インドとタイにおけるオートバイ産業と 自動車産業の数年間にわたる企業レベルのデータを用 いて、技術移転と産業発展の長期的展開過程について、 丹念に究明することを目的としている。 単純化して言えば、従来のFDIの途上国経済への影 響に関する研究は、多国籍企業の存在が、技術のスピ ルオーバーを通じて、同一産業または川上の産業に従 事する企業の生産額や生産性にどの程度のプラスの効 果があるかを、主にクロスセクションデータを用いて 計量経済学的に推定しようとするものである。しかし ながら、この種の研究では実態解明をもっぱら計量経 済学的な推定結果に依存している。そうしたアプロー チで、正確に実態解明ができるとは思えない。例えば、 どのような出自で、どのような教育を受け、どのよう な経験を有する人材が新しい技術を導入し、どのよう なビジネスを展開しているのかといった、基本的な動 向は計量経済学一辺倒の分析ではわかりえない。また それがわからなければ、意味ある政策提言はできない。 他方で、より現実を直視しているように思われるグ ローバルバリューチェーン(GVC)の研究では、概 念化が先行し、実証研究が欠如している。実際問題、 GVCの研究では実証分析が少ないうえに、あったと しても変数の内生性を無視するなど、分析の信憑性は 低い。ただし、GVCの研究ではFDIの研究と異なり、 デザインやマーケッティングなど、企業活動の本質部 分を取り入れている点が評価できる。そこで本研究で

大 塚 啓 二 郎

技術移転と産業発展の長期的展開過程

―インドとタイにおけるオートバイ産業と自動車産業の比較事例研究―

インドの街角のオートバイ(三嶋恒平氏提供)

7

アジ研ワールド・トレンド No.260(2017. 6)

参照

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