- 327 - 徳島県那賀町下雄閃緑岩の岩石学的研究 教科・領域教育専攻 自然系コース(理科) 坂下貴史 はじめに 西南日本外帯は中央構造線より南側の地帯で, 約 14Ma前後の中新世中期花闘岩類が分布して いる.これらの花商岩について各地で地質学 的-岩石学的研究が進められ,その成因について 論じられてきた. このような西南日本における大陸地殻の形成 プロセスを考える上でアダカイト質花開岩質岩 が着目されるようになった.アダカイトとはア リューシャン列島の.Adak島に産出する軽希土 類 元 素(LREE)やストロンチウム(Sr)に富み,重 希 土 類 元 素(HLEE)やイットリウム (y)に乏しい といった特殊な化学組成を持った火成岩で、ある (Defant etal 1990)ーその成因としては若くて 熱い海洋地殻が沈み込んだ際の部分融解によっ て生じることや(Defantet al 1990),ざくろ が安定して存在できるような厚い大陵地殻探部 の部分融解(Athertonet al 1993)等によって 生じることが報告されている.日本におけるア ダカイト質火成岩においても北土産地(Tsuchiy a et al 20(5),八
1
茸山地l(Takahashiet al 200 5),丹波山地(貴治ら 2000)等各地で報告され,そ の成因が議論されてきた. 徳島県那賀町下雄地域において西南日本外帯 花闘岩類の放射状配列の傾向によく調和した閃 緑岩が報告され(野沢ら 1972),下雄閃緑岩と 命名された.谷(2004),新田 (2007)により詳細な 研究が行われ,本岩は放射年代が約 115Maを示 す高Mg安山岩 (HMA)とアダカイト組成を持つ 指導教員 村 田 守 た閃緑岩であることが明らかとなった. 本研究では下雄関緑岩 A~E 岩体における鉱 物化学組成の特徴を明らかにした. 各岩石試料につv
、て 四万十帯は安芸構造線(ATL)を境に北帯と南 帯に分けられ,北帯は主に白亜系から,南帯は古 第三系からなり,本研究で扱う下雄閃緑岩は, 四万十類帯北帯の赤松累層上部層に位置する.f
工
A
ν
¥
.
p
-
→
採取した A~E 岩体の造岩鉱物は,主に斜長石, 角閃石からなり,黒雲母,単斜輝石,石英,不透明 鉱物などが含まれていた. 鉱物化学組成 A~E 岩体 7 個の岩石について薄片を作成し, 角関石,斜長石,単斜輝石,不透明鉱物についてE
PMA分析を行った. 角閃石は谷(2004)と同様 Mgに富み,多くが a ctinolitic-hornblende, magnesio・hornblendeの範囲に入った.またCr,Niに富む岩石もあり H
- 328 - 固に入った.一方斜長 石は谷(2004)の結果と同 様 に大部分がNaに富むalbiteであったが,一部 角関石中のインクノレージョンにおいて Caが多 く含まれる andesineが確認された.不透明鉱 物はそれぞれの岩体の中でもmagnetiteが多く 含まれるものと,ilmeniteが多く含まれるもの に分かれた. 0.80 0.75 0.70 0.65 0.60 6.00 1¥-1: Na a