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今の研究を語る「地球に影響を与える太陽」

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Academic year: 2021

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12 13  私の専攻は経営学の一領域である組織行動論になります。 組織行動論は、心理学、経済学、社会学などの基礎理論に基 づき、会社組織の中の人間行動や心理状態について明らか にする学際的な研究領域です。私はその中でも、会社とその 社員の「心理的契約」という研究テーマを追い続けています。  平成不況といわれた1990年代以降、多くの日本企業が、成 果主義に代表される新たな人材マネジメント導入を検討し てきました。会社に長くいつづければ放っておいても給料・ 地位があがっていく、という時代は過去のものになりつつあ ります。会社で働く社員の意識もまた変化しています。これま では、会社の中で高い地位に登りつめることが、多くの社員 にとって人生の「成功」を意味していました。しかし今日では、 「自律的キャリア」「働き方の個別化」などといわれるように、 会社の枠にとらわれない自分らしいキャリア、自分らしい働 き方を多くの人が望むようになっています。その結果、会社と 社員との関わりあいも大きく変化していると言われています。 こうした変化の節目にあって、ここ最近にわかに注目されは じめたのが、心理的契約(psychological contract)という概念 です。  心理的契約とはなにか。大学の講義っぽく、まずは定義か らはじめましょう。カーネギー・メロン大学(米国)のデニス・ ルソー教授は、心理的契約を「当該個人と他者との間の互恵 的な交換において合意された項目や状態に関する個人の信 念」と定義しています。なにやら難しそうな定義ですが、要す るに、会社と社員とが、お互いに求め合っているものの具体 的な内容(例えば「高い賃金」「会社への忠誠」)について合意 していること、それが心理的契約になります。会社と社員との 相互期待といったほうがわかりやすいでしょうか。  例えば、かつて多くの日本企業でみられた「終身雇用」がそ の典型例です。かつての日本企業は余程のことが無い限り社 員を解雇せず、社員もまた容易に他の企業に移ることはあり ませんでした。面白いのは、この終身雇用が文章化され法的 に履行を担保された契約 ではなく、会社と社員との 間の書かれざる約束に過 ぎなかったということで す。日本企業においては、 このような法的拘束力を 持たない書かれざる約束 が、長きに渡って守られ続 けてきたのです。これが「心理的」契約の意味合いです。「高 いレベルの教育を提供してほしい」という大学生の期待と、 「そのかわり講義にしっかりと出席して真面目に学業に専念 すべし」という大学側の期待もまた、心理的契約の一例で しょう。同様に、夫婦や恋人同士、また友人関係においても 様々な心理的契約が成立しているはずです。私たちは日常 の様々な場面で様々な相手と心理的契約を取り交わしてい るのです。  私は、この心理的契約が、今日の日本企業で起りつつある 問題を考えていく上で、非常に重要な視点だと考えていま す。先に述べたような会社側と社員側双方の様々な変化の 結果、日本企業と社員との関わりあいが何かこれまでとは 違ったものになりつつあるということ自体は、多くの人が認 めています。しかし、終身雇用が崩壊し、多くの企業に成果主 義が導入された、現在の日本企業と社員との関わりあいの 実態についてわかっていることは驚くほど少ないのです。日 本企業は社員に何を期待していて、反対に社員は企業に何 を期待しているのか。両者の期待にすれ違いは起きていな いのか。こうした点について明らかにしてくことが、私の当面 の課題です。加えて、一般にはまだよく知られていないこの 概念を、日本の企業社会に広めていくことも、自分の役割だ と考えています。  2009年は、46年振りに皆既日食が日本で見られるという ニュースが、テレビや新聞で賑わいました。私もNPO法人・ 花山星空ネットワークの会員と共に、皆既日食帯の屋久島に 行ってきました。残念ながら、小雨の降る曇空でまったく太陽 を拝めませんでしたが、厚い雲の下、突如暗闇が訪れるとい う貴重な体験をすることができました。  さて、この皆既日食で淡く見られるものが、コロナと呼ばれ る太陽の外層大気です。写真1は2008年にロシアに行って撮 ってきたものです。中央の黒い円形の箇所は、太陽表面が月 によって隠され、黒くなっていることを示しています。コロナ は太陽表面より100万倍以上も暗いため、通常は見ることが できず、皆既日食の時にその姿を表します。私はこれまで、こ のコロナで発生している爆発現象やコロナガスの放出現象 について研究しています。  太陽の表面が6,000度に対し、外層にあるコロナは数百万 度と非常に高温なガス(プラズマ)の層となっています。これ ほど高温になると、X線を放射しますので、人工衛星を用い てX線観測を行います(写真2)。X線像を動画で見ると、黒点 上空で爆発現象が起きていることがよく分かります。これが 太陽フレアであり、X線や紫外線だけでなく、プラズマ塊を宇 宙空間に放出します。これらが地球に届くと、電波障害や通 信障害、磁気嵐などを引き起こします。そのため、太陽に注目 する必要があります。  さらに、太陽は地球の気候にも影響を及ぼします。フレア の活動度とも相関のある黒点数は、約11年周期で増減を繰 り返していますが、過去には数十年間黒点が少なかった時 期が何度かありました。これらの時期には、地球の気温が低 く、小氷河期であったことが分かっています。そして、現在、黒 点数が増えず、少ない時期が続いています。地球温暖化が騒 がれている昨今、寒冷化か!?というニュースを目にすること があります。これは、太陽が原因です。黒点数、フレアともに 地球環境に影響を及ぼすため、今後も注目して太陽を研究 していく必要があります。

変化の節目にある

「会社と社員の関わりあい」にせまる

服部 泰宏

(経済学部講師)

地球に影響を与える太陽

大山 真満

(教育学部准教授) 写真1:皆既日食。月が太陽表面を隠すために、中央部が黒くなる。太陽のまわりで淡く輝いて    いるのが、外層大気のコロナ。2008年8月1日ノヴォシビルスク(ロシア)にて撮影。 写真2:X線で見た太陽コロナ。明るい所は、X線が強く放射されている領域である。 ・・・・

研究

参照

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