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老人病院におけるいわゆるいじめの実態

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Academic year: 2021

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56 第45巻 日本公衛誌 第1号 平成10年1月15日

老人病院におけるいわゆるいじめの実態

池川

公章

奥村

悦之

目的 老人病院長期入院患者における,いじめの実態を調査した。そして,患者のもつ,いじめられ意識の 経験の有無を従属変量とした判別分析を行い,いじめられ意識を有する患者を判別予測することが可能 か解析した。本調査は,老人病院におけるいじめの実態を把握し,医療の立場から,いじめ対応の羅針 盤をさぐる資料として実施したものである。 対象と方法 脳血管障害患者79人,男性25人,女性54人,平均年齢80.0±88歳を対象に,某老人病院入院 中の患者に面接方式によるいじめ調査を実施した。調査の内容は,いじめられ意識の経験,いじめ意識 の経験,いじめられて誰かに相談したか,いじめにあってどうしたいと思ったか,誰にいじめられた か,等を調査した。そして,判別分析における従属変量として,いじめられ意識の経験の有無,独立変 量として性別,性格,Quality of Life,Zungの自己評価抑鬱尺度(SDS),日常生活満足度(SDL)等を 調査し,いじめられ意識の経験の有無の判別因子を検討した。 成績 いじめられ意識の経験を有する者は,19.0%,無い者は,76.0%であった。いじめ意識の経験を有す る者は,3.0%,無い者は,91.0%であった。いじめられて誰かに相談したかの質問に対して,誰にも 相談しなかった66.5%であった。いじめにあってどうしたいと思ったかの質問に対して,我慢した 58.9%であった。誰にいじめられたかの質問に対して,患者68.0%,介護者18.0%であった。  いじめられ意識の経験の有無おいて,マハラノビスの距離による判別を行った結果,見掛け上の誤判 別率22.5%,正判別率77.3%で,性格(p<0.0005)とSDS(p<0.01)が判別因子であった。 結論 いじめられ意識の経験を有する者は,性格が強く,概して抑鬱度が高い傾向であった。当該患者を把 握し,適切な対応と,患者における,日々の生活の質的向上を図る努力,工夫の必要性が示唆された。 Key words : 老人病院,いじめ,判別分析

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