日本国民のパーソナルアーカイブ構想(2)―個人基本データ検索機能の検討―
8
0
0
全文
(2) 社団法人 情報処理学会 研究報告 IPSJ SIG Technical Report. 3.2 どのような内容 どのような内容を 内容を表示するのか 表示するのか. あるとしたが, 詳細は未検討であった. 本稿で は, 個人基本データ検索機能の検討を行う. 以下, 2 節では個人基本データ検索機能の概 要, 3 節で検討課題, 4 節で基本設計を述べ, 5 節 で簡単な例を示し, 6 節で関連システムとの相 違点を論じる.. 本機能の主な目的は特定他者の存在とその データの検索であるが, その観点からみると, 現在の戸籍には不要と思われる項目がある. た とえば, 推定相続人廃除の裁判確定の記載は相 続のためには必要であるが, 本機能においては 不要であろう[2]. また, 現在の戸籍には氏名のよみかたの記載 はないが, 出生届にはよみかた欄があり, 戸籍 に記載されてもよいのではないかと考える. 上記のように, 現在の戸籍には存在するが必 要ないと思われるもの, 現在の戸籍にはないが あると便利であると思われるものを洗い出し て検討する必要がある.. 2 個人基本データ 個人基本データ検索機能 データ検索機能 個人基本データ検索機能(以下, 本機能)の 目的は以下のとおりである. (1) 特定他者(自己の身内や先祖や子孫, 以下同 様)の存在を知る (2) 特定他者の個人基本データの閲覧 (3) 特定他者の作成した個人作成データの閲覧 本稿では続柄に基づく個人基本データ検索 に焦点をあてる. 日本国民がログインしている 状態において, 続柄をたどることにより特定他 者の存在を知り, その個人基本データの全部あ るいは一部を閲覧する. 図 2 に続柄に基づく個人基本データ検索の概 念図を示す. 続柄をたどることにより特定他者 の存在を知り, その個人基本データの全部ある いは一部を閲覧する. 特定他者が, 自己が閲覧 可能な個人作成データを作成している場合に は, 閲覧できる. 個人 基本 データ. 個人 基本 データ. 3.3 誰の記録を 記録を閲覧可能 閲覧可能にするのか 可能にするのか 元来戸籍は公開の原則であるが, 近年ではプ ライバシーの配慮から戸籍簿や除籍簿の閲覧 制度は廃止され, 戸籍謄抄本の取得は制限され ている[3]. 本機能において, 誰の記録を閲覧可 能にするのか, 閲覧の範囲を検討する必要があ る. 幸雄. 竹子. 孝助. 冬子. 忠治. 春子. 梅子. ○. 個人 作成 データ. ○. 普通養子 普通養子 特別養子 ○. 個人 基本 データ 個人 基本 データ. 松子. 義太郎. 信夫. 個人 基本 データ. 2006−DD−58(9) 2006−EIP−34(9) 2006/11/30. 啓太郎. ○. 松子. ゆり. ○. みち. ○. 信吉. 芳次郎. ○. 英助. ○. 啓二郎. ○. 図 3:戸籍法施行規則附録第六号 戸籍のひな形 より起こした家系図. 個人 作成 データ. 図 3 は「戸籍法施行規則付録第六号 戸籍の ひな形」の例から書きおこした家系図である. 義太郎が筆頭者である戸籍に, 名前の右下に丸 印のある人物が記入されている. 丸印がないも のは, 戸籍内の人ではないが, 戸籍内の人の身 分事項などから, ある時点の氏名がわかる人物 である. 戸籍法では自分が記載された戸籍謄本や除 籍謄本を取得できる(戸 12 条の 2 ほか). この 例では, 丸印の人物は, 自分の記載された, 義 太郎筆頭の戸籍謄本を取得できる. そのことに より, たとえば, 梅子が義太郎との婚姻前に出 産した子である英子が, 母の夫である義太郎の 婚外子である信夫の出生年月日やその母の竹 子の過去の氏名を知ることができる. このように, 戸籍謄本の取得を参考にして本 機能の閲覧の範囲を決めると, プライバシーの 問題が大きいと考える. このようなことがおこ る背景には, 英子の氏を婚姻後の梅子と同じに するために, 英子を義太郎筆頭の戸籍に入籍さ せたことがあり, その背景には, 戸籍が個人単. 図 2:続柄に基づく個人基本データ検索の概念図. 3 検討課題 3.1 前提 1 節で個人基本データベースは戸籍の一部の 利用を検討すると述べた. しかし, 除籍簿の保 存期間は 80 年であり(戸規 5 条 4 項), 本機能 を実現するには法改正が必要である. 本研究で は, 戸籍法と関連する法律を改正して「新しい 戸籍」をつくり, その戸籍のデータの一部を利 用することを前提とする. その際, 現在の戸籍 制度におけるプライバシー上の問題(後述)を 可能な限り排除する方向で検討したい. 以下では, 現在の戸籍に基づいて本機能を設 計する上で, 筆者が最も重要であると考える検 討課題を 2 点述べる.. −46−. 英子○ ○.
(3) 位ではなく家族単位であることや夫婦同氏制 度がある. これは民法の規定による. 筆者は, 本機能における閲覧の範囲としては, 戸籍抄本の取得を参考にすればよいと考える. 戸籍法では, 戸籍抄本を事由なしに取得できる 範囲は, 本人, 直系血族, 配偶者である. 本研究では, 過去の日本文化を反映している 日本国の法令を基にしつつ, 国際的な動向や将 来の変更も視野にいれて対応できるように設 計したい. たとえば, 戸籍が個人単位に変更さ れたり, 夫婦別氏制度が可能となった場合を考 慮したい.. などの身分事項を表示する身分事項表示領域, (5) 利用者が探訪できる人物の氏名を表示する 続柄事項表示領域の 5 種類からなる.. 4.3 表示領域の 表示領域の詳細 4.3.1 氏名等表示領域 氏名等表示領域は, システム利用時の年月日 と氏名などを表示する領域である. 表 1 に氏名 等表示領域の表示項目を示す. 氏名は変わることがある. 生存者の場合は, システム利用年月日での氏名, 氏名のよみかた, 年齢を表示する. 死亡者の場合は死亡時の氏名 と氏名のよみかた, 年齢を表示する.. 4 基本設計 4.1 方針. 項目 氏名 氏名のよ みかた 表示年月 日 年齢. (1) 誰の記録を閲覧してもよいかについては, 戸籍抄本の取得を参考とする. すなわち日本国 民である直系血族と配偶者とする. (2) 現在の戸籍の内容に, 西暦, 個人 ID[4], 氏 名のよみかた, 住所(戸籍の附票)[5]を加える. (3) 現在の戸籍の内容から, 本機能の目的に関 係ないと思われる記載や, プライバシーの問題 があると思われる記載は省く. (4) 自己及び死亡した他者についてはすべての 内容を閲覧できる. (5) 生存している他者については必要最小限の 内容を閲覧できる. (6) 戸籍が個人単位に変更されたり, 夫婦別氏 制度が可能となった場合でも対応可能とする.. 表 1:氏名等表示領域 表示内容 備考 利用年月日の氏名 死亡者の場合 利 用 年 月 日 の 氏 名 は死亡時 のよみかた 利用年月日 利用年月日の年齢. 死亡者の場合 は死亡時. 4.3.2 基本事項表示領域 基本事項表示領域は, 個人 ID, 性別, 出生年 月日など, 個人を特定する基本事項を表示する 領域である(表 2). 個人 ID, 性別, 出生年月日, 死亡年月日を表 示する. 個人 ID は生存している他者の場合は 表示しない.. 4.2 画面設計の 画面設計の概要. 表 2:基本事項表示領域 表示内容 備考 個人 ID 自己あるいは 死亡した他者 の場合 性別 性別 出生年月日 出生年月日 死亡年月日 死亡年月日 死亡者の場合. まず, すべての内容を見ることができる場合 の画面について設計した(図 4).. 項目 個人 ID. 氏名等表示領域(氏名, 氏名のよみかた, 表示年月日, 年齢) 基本事項表示領域(個人ID, 性別, 出生年月日, 死亡年月日). 所在地事項表示領域(出生地, 本籍地, 住所, 死亡地). 4.3.3 所在地事項表示領域. 身分事項表示領域(出生, 子出生, 婚姻, 離婚, 養子縁組, 養子縁組離縁, 特別養子縁組, 特別養子縁組離縁, 死亡, 国籍取得, 国籍喪失, 氏の変更, 名の変更). 所在地事項表示領域は, 場所に関わる所在地 事項を表示する領域である(表 3). 出生地, 本 籍地, 住所, 死亡地があり, それぞれ, 変更な どの際に年月日とともに表示する.. 続柄事項表示領域(父, 母, 養父, 養母, 夫, 妻, 子男, 子女, 養子男, 養子女). 図 4:画面設計(詳細画面). 項目 出生地 本籍地 住所 死亡地. 画面は (1) システム利用時の年月日と氏名 などを表示する氏名等表示領域, (2) 個人 ID, 性別, 出生年月日など, 個人を特定する基本事 項を表示する基本事項表示領域, (3) 出生地, 本 籍地, 住所など場所に関わる所在地事項を表示 する所在地事項表示領域, (4) 出生, 婚姻, 死亡 −47−. 表 3:所在地事項表示領域 表示内容 備考 出生地と年月日 本籍地と年月日 住所地と年月日 死亡地と年月日 死亡者の場合.
(4) 4.3.4 身分事項表示領域 身分事項表示領域 身分事項表示領域は, 出生, 婚姻, 死亡など の身分事項を表示する領域である. 身分事項は 年月日を持つ. 身分事項には, 他者との身分関 係が発生するものと発生しないものがある. 表 4:身分事項表示領域(他者との身分関係が発生) 項目 表示内容 備考 出生 出 生 年 月 日 , 子に表示 氏名, 氏名の よみかた, 親 の氏名 子出生 出 生 年 月 日 , 親に表示 子の氏名 婚姻 婚 姻 年 月 日 , 夫と妻に表示 配偶者の氏 配偶者が外国人の場 名 合は, 配偶者の氏名, 出生年月日, 国籍を表 示 離婚 離 婚 年 月 日 , 夫と妻に表示 配偶者の氏 名 養子縁組 養 子 縁 組 年 養親と養子に表示. 月日, 養親ま 養親の場合は, 養子の た は 養 子 の 氏名を表示. 氏名 養子の場合は, 養親の 氏名を表示. 養子縁組 離縁. 特別養子 縁組. 特別養子 縁組離縁. 養子縁組離 縁年月日, 養 親または養 子の氏名 養子縁組年 月日, 養親ま たは養子の 氏名. 養子縁組離 縁年月日, 養 親または養 子の氏名. 養子が外国人の場合 は, 養親に表示. 養子 の氏名, 氏名のよみか た, 出生年月日, 国籍 を表示 同上. 親と養親と養子に表 示. 親の場合は, 子の氏名 を表示. 養親の場合は, 養子の 氏名を表示. 養子の場合は, 養親の 氏名を表示 養子が外国人の場合 は, 養親に表示. 養子 の氏名, 氏名のよみか た, 出生年月日, 国籍 を表示 同上. 他者との身分関係が発生する身分事項とし −48−. て, 出生, 子出生, 婚姻, 離婚, 養子縁組, 養子 縁組離縁, 特別養子縁組, 特別養子縁組離縁を 設計した. これらは, 他者の続柄と氏名を表示 する(表 4). 他者との身分関係が発生しない身分事項と して, 死亡, 国籍取得, 国籍喪失, 氏の変更, 名 の変更を設計した. 表 5 参照. 表 5:身分事項表示領域 (他者との身分関係が発生しない) 項目 表示内容 備考 死亡 死亡年月日 国籍取得 国籍取得年月日, 氏 名, 氏名のよみか た, 前の国籍 国籍喪失 国籍喪失年月日, 取 得した国籍 氏の変更 変更年月日, 新しい 氏名, 氏名のよみか た 名の変更 変更年月日, 新しい 氏名, 氏名のよみか た. 身分事項に関しては, 現在の戸籍法とは大き く異なる点が 4 点ある. (1) 戸籍法では子の出生 は親の身分事項に存在しないが, 本機能では 「子出生」という身分事項を作成した. これは, 親から子を見る利便性のためと, プライバシー に問題があると思われる「認知」をなくすため である. (2) 戸籍法では入籍時に筆頭者と同じ 氏となるため, たとえば婚姻による入籍の場合 に身分事項として「氏の変更」の記載はないが, 本機能では「婚姻」と「氏の変更」を別の身分 事項として表示する. これは将来の夫婦別氏制 度も視野にいれている. また, 将来, 氏や名の 変更は本人の権利であるという考え方が主流 になった場合にも対応している. (3) 入籍, 転籍, 就籍, 推定相続人の排除, 未成年者の後見など, 本機能において必要ないと考える身分事項を なくしている. (4) 国籍取得と帰化など, 本機能 において区別する必要がないものは統合して いる. 現在の戸籍に存在して本機能で存在しない 身分事項は, (a) 本機能では不要なもの, (b) 身 分事項としては不要だが別の事項として必要 なもの, (c) 別の身分事項を使用するもの, に分 けられる. 表 6 に, 戸籍法施行規則 35 条におけ る「身分事項欄に記載しなければならない事 項」の本機能での扱いを整理する..
(5) 表 6:戸籍法施行規則 35 条における 身分事項欄に記載しなければならない事項 戸籍法施行規則 35 条 本機能 (a) 失踪, 離縁の際に称してい 不要 た氏を称すること, 離婚の 際に称していた氏を称する こと, 親権, 未成年者の後 見, 姻族関係の終了, 推定 相続人の廃除, 国籍留保の 意志の表示, 日本国籍の選 択の宣言, 外国の国籍の喪 失 (b) 入籍 本籍地変更の場 合がある 分籍 転籍 本籍地変更 性別の取り扱いの変更 性別変更 (c) 認知 子出生を使用 生存配偶者の復氏 氏の変更を使用 婚姻, 離婚, 養子縁組, 養 子縁組離縁, 入籍などに伴 う氏の変更 就籍, 帰化, 国籍の得喪 (取 国 籍 の 取 得 を 使 得) 用 国籍の特喪(喪失) 国籍の喪失を使 用. 続柄事項を見ることができる. 詳細画面の表示 項目を減らして見やすくすること, あまり見た くない過去に関わる事項を表示せずにシステ ムを利用可能とする目的で設計した. (2) 自己 詳細画面ではすべての表示領域が見える. これ は自分の記録を確認し, 間違っている場合に訂 正を求めるためである. (3) 他者簡易画面は, 生 存している他者を経由して他者を探索するこ とが主な目的である. プライバシーに配慮して, 氏名, 氏名のよみかた, 性別, 出生年月日, 続 柄事項のみを表示する. (4) 他者詳細画面は, 死 亡した他者の表示画面である. 表示項目は自己 詳細画面と同じである. 表 8 に表示できる項目を整理した.. 対象者 氏名等 基本事 項 所在地 事項 身分事 項 続柄事 項. 4.3.5 続柄事項表示領域 続柄事項表示領域は, 利用者が探訪できる人 物の氏名を表示する領域である. 続柄と氏名の 対を続柄事項と呼ぶ. 氏名等表示領域に表示さ れた人物の, 父, 母, 養父, 養母, 配偶者, 子, 養子に関して, 続柄と氏名を, この順番に表示 する(表 7 参照). ただし, システム利用者(自 己)から閲覧可能な範囲(本人と直系血族と配 偶者)に限定する. 特別養子は, 養親に対して は子, 養子に対しては父母として表示する. 戸籍法では嫡出子は長男, 長女, 非嫡出子は 男, 女などのように表示されるが, プライバシ ーに配慮してすべて子とし, 性別を表すために 男, 女をつけ, 出生順に表示する. 養子につい ても男, 女をつけ, 出生順に表示する.. 項目 続柄. 表 8:画面の種類と表示項目 自己簡 自己詳 他者簡 易 細 易 自己 自己 他者(生 存者) ○ ○ ○ ○ ○ △個人 ID 以外 △最新 ○ ×. 他者詳 細 他者(死 亡者) ○ ○ ○. ×. ○. ×. ○. ○. ○. ○. ○. 自己詳細画面と他者詳細画面は既に図 4 に示 した. 自己簡易画面を図 5 に他者簡易画面を図 6 に示す. 氏名等表示領域(氏名, 氏名のよみかた, 表示年月日, 年齢) 基本事項表示領域(個人ID, 性別, 出生年月日). 所在地事項表示領域(出生地, 本籍地, 住所の最新). 続柄事項表示領域(父, 母, 養父, 養母, 夫, 妻, 子男, 子女, 養子男, 養子女). 表 7:続柄事項表示領域 表示内容 備考 利用年月日に 父, 母, 夫, 妻, 子 閲覧可能な人 男, 子女, 養父, 養 物 の , 続 柄 と 母, 養子男, 養子女 氏名 と表示. 図 5:自己簡易画面. 氏名等表示領域(氏名, 氏名のよみかた, 表示年月日, 年齢) 基本事項表示領域(個人ID, 性別, 出生年月日). 4.4 画面の 画面の種類 生存している他者のプライバシーに配慮し て, (1) 自己簡易画面, (2) 自己詳細画面, (3) 他 者簡易画面, (4) 他者詳細画面の 4 種類を設計し た. (1) 自己簡易画面は, 最初に表示される画面 である. 氏名等, 基本事項, 最新の所在地事項,. 続柄事項表示領域(父, 母, 養父, 養母, 夫, 妻, 子男, 子女, 養子男, 養子女). 図 6:他者簡易画面. −49−.
(6) 5例 5.1 設定. り当時の氏名を知ることができる. 良雄. 図 7 に架空の家系図を作成した. 太郎を中心に説明する. 太郎の父は一郎であ る. 一郎の父は久, 母は順子である. 太郎の母 は花子である. 花子の父は良雄, 母は美枝子で ある. 花子は, 洋子を産んだ後に一郎と結婚し, 太郎と美樹を産んだ. 太郎は由美子と結婚し, 由紀子が生まれた. 離婚後, 浩美と結婚し, 次 郎が生まれた. 正を養子にした. 由紀子は充と 結婚し, 優子が生まれた. 由美子の父はジョン, 母は由子で, ジョンは外国人である. 正の父は 真, 母は知代である. 良雄, 美枝子, 久, 順子, 花子, 次郎は死亡している. 良雄. 美枝子. 久. 洋子. ×. 洋子. 由美子. 浩美. 由紀子. 次郎. 一郎. 太郎. 浩美. 次郎. 正. (凡例は図 8 と同じ). 図 9:太郎の視点(2006 年 11 月 30 日). 美樹. 真. 知代. 男. 正. (a) 太郎の自己簡易画面(図 10) 続柄表示領域には, 父, 母, 妻, 子, 養子の, 現在の氏名が表示される. 娘, 由紀子の氏が変 わっていることがわかる. 続柄表示領域の氏名 を選択すると, その人物の他者画面を閲覧でき る. 「詳細」を選択すると, 自己詳細画面に切り 替えできる.. 女 男(死亡者). 優子. 女(死亡者). 図 7:家系図. 以下では, 時間と視点の違いにより, 誰のど の内容を閲覧できるかを中心に説明する.. 5.2 太郎の 太郎の視点1 視点1 美枝子. 花子. 由美子. 太郎. 久. 図 10:太郎の自己簡易画面. 順子. 一郎. ×. 順子. 凡例. 良雄. 美樹. 優子. 養子 充. ×. 由紀子. 一郎. 太郎. 由美子. 順子. 養子. 由子 花子. 久. 花子. 外国人. ジョン. 美枝子. 凡例. (b) 太郎の自己詳細画面(図 11). 男. 女. 名前. 名前. 自己画面. 名前. 名前. 他者詳細画面. 名前. 名前. 他者簡易画面. 名前. 名前. 氏名と身分 事項の一部. ×. ×. 図 8:太郎の視点(1986 年 11 月 30 日). 図 8 に 1986 年 11 月 30 日に太郎から存在が 見える人物を示す. 直系血族と配偶者がすべて 生存しているため, 彼らの他者簡易画面を閲覧 できる.. 5.3 太郎の 太郎の視点2 視点2 図 9 は 2006 年 11 月 30 日の太郎の視点であ る. 背景色付き[6]の人物の他者画面(生存者は 他者簡易画面, 死亡者は他者詳細画面)を閲覧 できる. 名前の右下に×印のついた人物につい ては, 自己または他者画面の身分事項の記載よ. 図 11:太郎の自己詳細画面 −50−.
(7) 身分事項表示領域より, 最初の妻の氏名が佐 藤由美子, 次の妻の氏名が松山浩美, 養子の氏 名が小川正であったことがわかる. 子の氏名と 出生年月日がわかる. 前妻の由美子は続柄事 項には表示されず, 他者簡易画面を閲覧できな いが, 自己詳細画面の身分事項に当時の氏名が 記載されている. 「簡易」を選択すると, 自己簡易画面に切り替 えできる.. 図 14:浩美の他者簡易画面. (f) 娘, 由紀子の他者簡易画面(図 15). (c) 父, 一郎の他者簡易画面(図 12) 図 15:由紀子の他者簡易画面. 孫(由紀子の子)ができていることがわかる. 由紀子の母の由美子は太郎から見て前妻であ るため表示されない.. 図 12:一郎の他者簡易画面. 妻が表示されないので, 母の花子の死亡時に は婚姻状態でなかったことがわかる.. (g) 孫, 優子の他者簡易画面(図 16). (d) 母, 花子の他者詳細画面(図 13) 図 16:優子の他者簡易画面. 太郎から優子の父(由紀子の夫)は見えない. (h) 息子, 次郎の他者詳細画面(図 17). 図 17:次郎の他者詳細画面. 現在の妻との間の子であるため, 父母ともに 身分事項表示領域と続柄表示領域に表示され る.. 図 13:花子の他者詳細画面. 死亡したため, 他者詳細画面ですべての情報 を閲覧できる. 身分事項表示領域より, 母の子 である異父姉の鈴木洋子(出生当時)と妹の山 田美樹(出生当時)の存在が身分事項よりわか る. 父とは結婚して離婚したこと, 婚姻時には 氏を変更したが離婚時には変更しなかったこ とがわかる.. (i) 養子, 正の他者簡易画面(図 18). 図 18:正の他者簡易画面. (e) 妻, 浩美の他者簡易画面(図 14) 子としては, 浩美との間の子, 次郎だけが表 示される. 一緒に養子縁組した養子の正が表示 される. 姻族をたどることはできない.. 実の父母は表示されない. 以下では, すべて 2006 年 11 月 30 日時点とす る. −51−.
(8) 5.4 由紀子の 由紀子の視点. 知代からは正を他者簡易画面で閲覧できな いが, 自己詳細画面の身分事項で, 子出生, 特 別養子縁組時点での正の氏名を見ることがで きる.. 由紀子の視点(図 19)からは, 太郎の直系尊 属をたどることができるが, 太郎の妻や異母弟 や養子は見えない. 由美子の直系尊属をたどる ことができるが, 祖父のジョンは外国人である ため, 母の由美子が生存中はジョンの氏名を見 ることができない. 由美子が亡くなれば他者詳 細画面から由美子の父の氏名を閲覧できる. 良雄. 美枝子. 久. 6 関連システム 関連システムと システムと議論 家 系 図 デ ー タ ベ ース に 関 し て は , FamilySearch [7], WorldGenWeb Project [8]などが 有名である. ここでは前者を例にあげる. FamilySearch は末日聖人イエス・キリスト教会 による世界最大規模の家系図データベースで ある. 本機能との大きな違いとして, (a) データ は死亡者のみ, (b) データの登録は各種資料を 参考にしつつ教会や利用者が行う(重複や間違 いなどが発生する), (c) 誰でも閲覧可能, (d) 国 籍を問わない, があげられる. 本機能とは異な るものであり, 共存できると考える. 米国において家系図データベースがさかん な背景には移民が多いことがあるが, 国家が身 分関係を記録する戸籍というシステムが存在 しないことも理由のひとつではないだろうか. 本機能のアイディアは, 戸籍を有する我が国だ からこそ実現可能であり, 世界に向けて意義の あるプロトタイプを提案できるのではないか と考える.. 順子. 由子 花子. 洋子. ×. 由美子. 充. 一郎. 美樹. 太郎. ×. 由紀子. 優子. (凡例は図 8 と同じ). 図 19:由紀子の視点. 5.5 正の視点 良雄. 美枝子. 久. 花子. 洋子. ×. 順子. 7 おわりに. 一郎. 太郎. 浩美. 美樹. ×. 真. 知代. 養子 正. (凡例は図 8 と同じ). 日本国民のパーソナルアーカイブ構想にお ける個人基本データ検索機能について, 続柄に 基づく検索に焦点をあてて検討, 設計を行った. 戸籍法と関連する法律を改正して「新しい戸 籍」をつくり, その戸籍のデータの一部を利用 することを前提とした. 本機能は, 将来日本国民による戸籍検索が可 能になった場合の戸籍検索システムのプロト タイプとして位置付けられると考えている.. 図 20:正の視点. 注・参考文献. 正から(図 20)は, 実の父母(真と知代)と 養父母(太郎と浩美)が見え, 両方の直系血族 をさかのぼることができる.. [1] 村上晴美:日本国民のパーソナルアーカイブ構想, 情報処理学会研究報告, Vol.2006, No.31, pp.41-46, (2006). [2] 本機能を相続に関連する身分事項も含めて設計 することも可能であるが, 今回は検討外(別途検討) とする. [3] 深谷松男:現代家族法第 4 版, pp.16, 青林書院, (2004). [4] 個人 ID は仮に「出生年-シリアル番号」とする. [5] 住所を永久保存にすると住民移動に問題が発生 するかもしれないので, 記録を残さない選択を本人 ができる設定にしたほうがよいかもしれない. [6] 紙原稿で背景色を確認できない場合は, 「背景色 付き」を「名前が表示され, 右下に×印のついていな い」とよみかえてほしい. 以下の図も同様である. [7] FamilySearch, http://www.familysearch.org/. [8] WorldGenWeb Project, http://www.worldgenweb.org/. (URL は 2006 年 10 月 26 日にアクセス確認した.). 5.6 知代の 知代の視点 夫と子(正)を他者簡易画面で閲覧できる. 正 の直系卑属を閲覧できる. 正の養父の太郎の他 者簡易画面を見ることはできない.. 5.7 正が特別養子となる 特別養子となる場合 となる場合 正が普通養子ではなく特別養子となる場合を 考えてみる. 正からは父母(太郎と浩美)を他 者簡易画面で閲覧できるが, 実の父母(真と知 代)は閲覧できない. 自己詳細画面の身分事項 で自分が出生時の実の父母の氏名を見ること ができる(実父, 実母と記す). −52−.
(9)
図
関連したドキュメント
肝細胞癌は我が国における癌死亡のうち,男 性の第 3 位,女性の第 5 位を占め,2008 年の国 民衛生の動向によれば年に 33,662 名が死亡して
氏名 生年月日 本籍 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付
氏名 小越康宏 生年月日 本籍 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目..
『国民経済計算年報』から「国内家計最終消費支出」と「家計国民可処分 所得」の 1970 年〜 1996 年の年次データ (
事 業 名 所 管 事 業 概 要 日本文化交流事業 総務課 ※内容は「国際化担当の事業実績」参照
①氏名 ②在留資格 ③在留期間 ④生年月日 ⑤性別 ⑥国籍・地域
在籍者 101 名の内 89 名が回答し、回収 率は 88%となりました。各事業所の内訳 は、生駒事業所では在籍者 24 名の内 18 名 が回答し、高の原事業所では在籍者
Photo Library キャンパスの夏 ひと 人 ひと 私たちの先生 神学部 榎本てる子ゼミ SKY SEMINAR 人間福祉学部教授 今井小の実