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新人訪問看護師の訪問看護実践能力を身につけるための効果的な教育時期と教育内容の検討

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Academic year: 2021

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(1)公益財団法人 在宅医療助成 勇美記念財団 2018 年度(後期) 一般公募「在宅医療研究への助成」完了報告書. 新任訪問看護師の訪問看護実践能力を身につけるための効果的な教育 ~訪問看護師 OJT 教育評価項目の認識に関連する要因~. 申請者:藤川裕子 所属機関:公益財団法人三重県四日市医師会訪問看護ステーション 提出日:2020(令和 2)年 7 月 31 日.

(2) Ⅰ ⒈. 緒言 研究背景 近年、我が国は、急速な高齢化の進展により、在宅医療の需要が高まり、地域包括ケア の推進の要として、訪問看護事業所(以下、事業所と称す)の役割機能の充実が求められ る。指定訪問看護事業所は 2019(平成 31)年現在、11,694 ヵ所 1)、そこで就業する訪問看 護師総数は、約 5.1 万人であり 2)、その数は看護師総数の約 3%に過ぎない。超高齢社会を 乗り切るためには、訪問看護師数のさらなる増員が期待される。また、地域では医療機関 での在院日数の短縮化により、慢性疾患を抱え療養する在宅療養者や、悪性腫瘍で終末期 の在宅療養者、医療処置を必要とする在宅療養者が増加している。そのため単に訪問看護 師数を増やすだけではなく、訪問看護師の資質向上が重要となるなどの訪問看護を取り巻 く現状は大きく変化している。 現在、事業所における訪問看護師の多くは、看護基礎教育を修了した新卒看護師という よりも看護基礎教育を修了し、数年から十数年の臨床経験を経て、訪問看護師として就業 している。これまでの病院(施設内)での就業から在宅へと移行した新任訪問看護師は、 病院と在宅での対象者を捉える視点の違い、特に在宅では生活者を支える支援方法が重要 となり、施設内看護と在宅看護(訪問看護)で求められる看護実践能力の大きな相違があ るため、新任訪問看護師に対する人材育成は重要である。 日本看護協会は、新任訪問看護師の人材育成には、 「訪問看護入門プログラム」3)と「訪 問看護人材養成基礎カリキュラム」4)(以下、養成研修と称す)の受講が有効であるとし人 材育成を図っている。しかしながらその人材育成は、各事業所に任されており、十分とは 言えない現状があるが、新任訪問看護師が不安なく、自信を持って一人で訪問できるよう になり、管理者も安心して一人で訪問に送り出せるよう、新任訪問看護師に対する教育体 制を見直し整える事が必要である。また、人材育成には、日本看護協会の訪問看護師クリ ニカルラダー(以下、クリニカルラダーと称す) 5)と、日本訪問看護財団の訪問看護師 On the job training(以下、OJT と称す) 6)があり、 事業所によっては、新任訪問看護師へ の学習支援として、新任訪問看護師の教育的背景を個別的に考慮し、訪問看護実践能力の 向上のために OJT を活用し、新任訪問看護師自身が自己評価し、次の目標を設定するなど して人材育成を図っている。一般的には新任訪問看護師に対して、管理者・先輩訪問看護 師が、同行訪問を通してシミュレーション教育を実施するなど人材育成を行っている。そ れ以外に新任訪問看護師は、事業所外研修を受講するなどして訪問看護師としての技術の 向上を図っている。 新任訪問看護師の人材育成に望ましいのは、養成研修を受講する事であるが、いずれの 研修も新任訪問看護師が勤務時間を削って、これらの研修を受講するのは困難な現状があ る為、新任訪問看護師が自ら学べるような環境づくりが必要であると考える。 本田 7)は、新任訪問看護師が OJT を活用することで自ら学習行動を計画・実施・評価し て自立した訪問看護師になるよう、個人のみならず事業所全体で人材育成環境を整える必 要があると述べている。志自岐 8)は、看護婦の専門職性の構成概念の中で、 「専門職として の自律」を上げている。 これらのことから、訪問看護師の人材育成は、養成研修の受講、事業所での同行訪問、 クリニカルラダーと OJT 等を使用し、事業所に入職後 3 年までは事業所全体でなんとか育 成が行われているが、その後は訪問看護師自らが自律して学び、事業所全体を考え行動で きる実践能力の高い自律した訪問看護師となるよう育成が求められる。新任訪問看護師が 訪問看護師としての専門性を高め自律した訪問看護師として育成するためには、OJT を活 用し、OJT で示されたレベルⅢ(中級)から、レベルⅣ(上級)の教育評価項目(以下、OJT 項目と称す)を自ら身につけることができる訪問看護師へと事業所全体で育成する必要が あると考える。専門性の高い自律した訪問看護師の育成には、レベルⅣ(上級)の OJT 項 目はどのようなものかを知り、また訪問看護師の基本属性や事業所の規模や教育現状、看 護師の自律性が影響していると考えられる為その関連を明らかにすることで、就業後 3 年 以上の訪問看護師自身が OJT を活用し、訪問看護師の育成に役立てる事ができ研究の意義. 1.

(3) があると考えた。 そこで、OJT 項目を参考にし、訪問看護実践能力の高い自律した訪問看護師になるため にどのような教育が必要か、OJT 項目の認識を明らかにすることとした。 ⒉.訪問看護師の人材育成 OJT6)は、事業所内教育プログラムである。OJT の訪問看護師の専門的教育は、 「根幹的能 力」と「特定領域実践能力」の 2 つの柱を持ち、 「根幹的能力」には基本的能力・専門的能 力・組織的能力があり、Ⅰ~Ⅴの 5 段階に分けられている。OJT レベルⅠ(新人)は、半 年の期間で一日も早くひとりで訪問できる訪問看護師を育成する教育評価項目の構造にな っている。OJT レベルⅡ(初級)の到達目標は、 「訪問看護師として、一人で看護展開がで きる」である。その後、OJT レベルⅢ(中級)に達し、 「訪問看護師として自立し、困難事 例にも対応できる」訪問看護実践能力の高い訪問看護師を育成する 。OJT レベルⅣ(上級) は、就業後 3 年以上で、倫理的判断力、高いアセスメント能力、マネジメント能力、生活 と医療を統合する思考力を持ち、看護実践能力の高い訪問看護師で、到達目標は、 「ステー ション内のリーダー的役割が担え管理の補佐が出来る」、訪問看護師を育成する教育評価 項目の構造になっており、訪問看護師として専門性を持ち看護実践能力の高い自律した訪 問看護師を育成する。そして OJT レベルⅤは(管理者)である。 事業所内の教育は、シミュレーションや同行訪問による教育、訪問看護師が自ら OJT シ ートを活用し、管理者等の学習支援者とともに学習行動計画・実施・評価を行っていく。 OJT による教育評価は、学習内容や OJT シート中で、訪問看護師の専門的教育の構造の根 幹的能力を構成しているそれぞれの教育評価項目により効率的に修得する。基本的(職業) 能力は、在宅看護を行うにあたり基本的に必要とされる能力、専門的能力は、在宅看護を 行う人に求められる専門的な能力や在宅看護技術・社会資源の活用等、組織的(管理)能 力は、小さな組織で働くために、スタッフレベルの訪問看護師も身に着けておきたい能力 の組織・役割・リスクマネジメント・地域連携・政策立案への志向等である 6)。 事業所外教育は、養成研修があり、訪問看護研修体系の考え方について、訪問看護は幅 広い対象と様々なサービスを提供し、また、事業所の管理者や経営者の役割を果たすこと も多く、常に質の向上を目指し、学習を継続していく必要があるとされ、すべての訪問看 護師に必須ともいえる教育内容となっている。科目は、訪問看護概論、在宅ケアシステム 論、リスクマネジメント論、訪問看護対象論、訪問看護展開論、訪問看護技術論である 。 世相を反映し、リスクマネジメント論にも重きが置かれた時間・単位配分になっている。 また、訪問看護ステーションの開設・運営の基礎までも詳細に組み込まれており、組織的 能力に関する内容が色濃くなっている 4)。 これらの人材育成方法を用いて、新任訪問看護師は、就業後 3 年以上経過し、OJT レベ ルⅣ(上級)の看護実践能力の高い自律した訪問看護師になれるよう、事業所全体で人材 育成を行うことが望ましいと考える 日本看護協会は、訪問看護の伸び悩みに関する人材確保定着の課題から、伸び悩み要因 のうち、新人看護職員の教育・育成する体制不足を指摘している 9)。人材育成の現状の観 点から以下の 3 点が考えられる。 1 つ目は、新任訪問看護師は一人で訪問することに不安が大きいことにある。松原ら 10) は、新任訪問看護師と管理者との間にひとりで訪問できる実践能力の捉え方の相違が生じ ており、新任訪問看護師の不安は解消されず、そのことが自信の低下につながっていると 述べている。施設内看護と在宅看護では場の違いから、支援内容や対象者を捉える視点も 大きく異なり、新任訪問看護師の不安が大きい。また、施設内看護と在宅看護(訪問看護) とで求められる看護実践方法に差があり戸惑っているにもかかわらず、ひとり立ちが早く 大きな不安を抱えている。 2 つ目として、事業所特性から研修が受けにくく、管理者が人材育成について後回しに ならざるを得ないことにある。柿沼ら 11)、丸山ら 12)は、管理者は、日々の訪問や、24 時間 体制の夜間待機も行いながら、管理運営業務もこなすという、過剰な仕事量を抱えており、. 2.

(4) 事業所の経営を維持させるため、業務遂行が優先され、看護の質は後回しにならざるを得 ない過酷な状況の中で、なんとか人材育成を担っており、その為、事業所内研修などの内 容が乏しく、教育体制が未確立とならざるを得ないことを指摘している。また松原ら 13)、 赤沼ら 14)は、訪問看護は一件あたりの報酬請求であり一人で訪問出来ないと事業所として の収益が上がらず、まずひとりで訪問できることが目標で、安定した事業所運営の観点か ら、新任訪問看護師を一日でも早くひとりで訪問させる必要があり、その為に管理者の新 任訪問看護師の育成優先度が低くなっていることを指摘している。 3 つ目として、訪問看護師の教育現状が異なることから人材育成が難しいことや人材育 成を行う育成者が不足している。長江ら 15)、本田 16) 17)は、訪問看護サービスを必要とす る対象者の年齢幅が広く、また、対象者の抱えている疾患が多様であり、訪問看護師は、 より専門性を求められるが、研修を受ける機会が少なく、新任訪問看護師を教育する人材 が少ないことや新任訪問看護師の教育背景が異なり、教育体制の統一が図りにくいこと等 を指摘している。草野ら 18)は、事業所の安定的な運営と経営、看護職の確保、人材育成・ 質の向上、働きやすい職場環境の整備のため、研修体制を整える事を指摘している。 後期高齢者の増加する 2025 年には、在院日数の短縮化により、在宅療養者が増加し、在 宅療養者の中には医療を必要とする在宅療養者も増える中で、事業所や訪問看護師数を増 やすことも必要であるが、訪問看護師の資質の向上も求められる。事業所数が増加し、事 業所の規模が大きくなれば、看護の質も向上するという考え方がある。看護の質の向上の 為の人材育成が検討されているが、具体的な人材育成の実施や結果に結びつかない現状が あることも否めない。そこで新任訪問看護師が自ら学ぶ人材育成方法についての研究が必 要となる。. Ⅱ ⒈. 研究概要 研究目的 訪問看護実践能力の高い自律した訪問看護師の人材育成に必要な OJT レベルⅣ(上級) の教育評価項目に対する訪問看護師の認識と属性の関連を明らかにすることを目的とする。 ⒉. 概念枠組み 訪問看護実践能力の高い自律した訪問看護師になるためには、どのような教育が必要か、 OJT で示された教育評価項目を参考にし、訪問看護師 OJT の教育評価項目の認識を明らか にするため、研究の枠組みを作成した(図 1)。 訪問看護師の認識 訪問看護実践応力の高い自律した訪問看護師の人材育成に必要な OJT 教育評価項目. 基本属性. 訪問看護師としての背景. 事業所の現状. 事業所の教育現状. 看護職における自律性. 訪問看護師の属性 図1. 本研究の概念枠組み. ⒊. 看護婦の自律性測定尺度(以下、自律尺度と称す) 自律尺度とは、看護専門職における自律性を測る尺度で、看護活動を看護場面における 状況を認知、判断、実践の 3 領域に大別し、職務上の自律性を構成する 5 因子(下位項目) は、認知能力、実践能力、具体的判断能力、抽象的判断能力、自立的判断能力からなるこ とが示されている。 19). 3.

(5) ⒋ 研究方法 1) 調査対象者 2019 年 9 月現在、独立行政法人福祉医療機構の運営している福祉・保健・医療の総合情 報サイト(WAM NET)に掲載されている事業所一覧より、東海 3 県(三重・愛知・岐阜)の事 業所のうち、訪問看護経験年数 3 年以上の在籍者割合の多い事業所 720 か所の管理者と就 業後 3 年以上の訪問看護師 2 名の計 3 名を対象とした。事業所の常勤職員数の平均人数は 3~4 人 20)であることから対象者数は 3 名とした。 2) データ収集方法 ⑴ 調査期間:2019 月 10 月 16 日~2019 年 11 月 30 日 ⑵ 調査方法:自記式無記名式質問紙法を用いた量的横断的研究である。 ⑶ データ収集方法 東海 3 県の 720 か所の事業所の管理者宛に、事業所への調査依頼書を郵送し、管理者に 就業後 3 年以上の訪問看護師 2 名を選んでもらった。対象者が多数の場合は、臨床経験年 数の長い訪問看護師の方を選択してもらった。管理者と訪問看護師 2 名への調査依頼書と 調査票を 3 セット分同封して郵送し、管理者が選んだ訪問看護師 2 名に渡してもらい、無 記名による自記式質問紙調査を行った。調査を依頼する際に、返信用封筒を個別セットに 同封し、個別に直接研究者に郵送で回収を行った。 3) 調査内容 2019 年 6 月に、機縁法でリクルートした現役の訪問看護師及び在宅看護学を教授してい る人 5 名へ予備調査として調査票調査を実施し、得られた回答を基に質問項目の精錬を行 い最終的な調査票とした。調査票の内容は、以下の通りである。 ⑴ 対象者の基本属性と背景 対象者の年齢、性別、雇用形態、訪問看護の経験年数、看護師経験年数、訪問看護管 理者の有無、看護基礎教育機関(複数回答)、看護師およびそれ以外の資格名、訪問看護師 養成講習会受講の有無 ⑵ 事業所の現状 設置主体、1 事業所の訪問看護師の総数、常勤数、非常勤数 、1 か月の利用者数、1 か 月の延べ訪問件数 ⑶ 事業所の教育現状 入職時の訪問看護師の教育指導者、入職時の教育マニュアルの有無、訪問看護師養成講 習会の受講の有無 ⑷ 自律した訪問看護師の育成教育に必要な OJT 教育評価項目の認識 OJT 教育評価項目は OJT レベルⅣ(上級)で、基本的(職業)能力、専門的能力、組織 的管理的能力の大項目に具体的な内容を示す中項目・小項目がある。基本的能力は、訪問 看護を行う為の基本的に身に付けておく実践能力 13 小項目、専門的能力は、訪問看護を行 う為に求められる技術や支援等の実践能力 9 小項目、組織的能力は、組織で働く上で必要 なリスクマネジメントなどの実践能力 15 小項目の計 37 項目である。37 の質問項目につい て「必要である」、「まあ必要である」、「あまり必要でない」、「必要でない」の 4 件法で回 答を得た。 ⑸ 訪問看護師の自律性について 訪問看護師の自律性については、菊池ら 20)21)によって開発された「看護婦の専門職的自 律性測定尺度」で測定した。下位尺度は、認知能力 14 項目、実践能力 14 項目、具体的判 断能力7項目、抽象的判断能力 7 項目、自立的判断能力 5 項目の 47 項目で構成され、各項 目を、看護の仕事についての意見や行動について、1.まったくそう思わない 2.あまりそ う思わない 3.どちらともいえない 4.少しはそう思う 5.かなりそう思う の 5 段階の リッカートスケールで回答を得た。1~5 点に点数化し、点数が高い程自己の看護職の職務 上の自律性が高いことを示している。否定的表現内容は得点が反転されている。本尺度の 下位尺度クロンバックα係数は 0.79~0.93 と高く、信頼性が確認されている。尺度開発者 へ尺度使用許諾を受けた。. 4.

(6) ⒌ データ分析方法 1) 対象者の属性と背景、事業所の現状や教育現状、訪問看護師の自律性、OJT 教育評価項 目(37 項目)の訪問看護師の認識について単純集計した。看護職の自律性については、自 律性測定尺度の 5 下位項目ごとの平均値と総得点を算出し、総得点は平均値と標準偏差を 算出した。総得点の分布を確認し、総得点の中央値で 2 分割した。5 下位 47 項目の平均 値を算出した。 2) OJT 教育評価項目ごとの訪問看護師の認識と訪問看護師の属性と背景、事業所の概要と 教育現状、訪問看護師の自律性について Mann-Whitney の U 検定を行った。統計学的有意水 準は 5%未満とした。尚、期待度数が n≦5 については Fisher の直接法を用いた。 解析には統計ソフト IBM SPSS Statistics Ver. 25.0 を使用した。. Ⅲ. 倫理的配慮 調査対象である事業所の管理者に対して、本研究の目的・主旨・研究方法・倫理的配慮 を記載した書面を調査票と一緒に送付した。倫理的配慮の内容は、調査により得られた結 果は本研究のみに使用すること、研究参加は個人の自由な意思で決定できること、研究に 協力しなくても、本人・事業所共に、何ら不利益を被ることはないこと、調査結果の公表 計画等であった。さらに、調査対象者である訪問看護師に研究の趣旨、目的、プライバシ ーの保護並びに個人情報の取り扱い方法について、調査票は無記名であること、調査結果 は統計的処理されること、個人郵送の為事業所内へのリークが無いこと、調査により得ら れた結果の保管方法及び研究終了後の破棄方法、調査への参加は自由意思であることを文 書で説明した。調査票の回答には 20 分以内に答えられる内容とし、身体的負担がかからな いようにした。調査は無記名で、回収は個別に郵送で行った。本調査により得られた結果 は、本研究のみに使用し、インターネット接続のないパソコンを使用することや情報使用 時は、インターネット接続から切り離すことを厳守した。またパソコン内には、保存しな いよう、認証及び暗号化機能付きの USB メモリ等の外部記憶装置に保存の上、四日市看護 医療大学大学院研究室の個人使用ロッカーに鍵をかけて保管した。事後の検証が出来るよ う研究資料、情報等は 5 年間保存し、その後、外部記憶装置の保存内容は消去し、調査票、 記録文書、メモ類は全てシュレッダー等で粉砕処理する。 本研究は、四日市看護医療大学研究倫理審査委員会の承認(承認番号 46)を得て実施し た。. Ⅳ. 結果 720 事業所に郵送し、住所不明である 14 事業所を除いた 706 事業所 2,118 名を対象と し、276 人から回答を得た(回収率 13.0%)。基準を満たさない 28 名を除外した 248 名を分 析対象とした(有効回答率 89.9%)。調査用紙の返信をもって本研究に同意を得られたもの とした。 1. 対象者の概要 対象者は、平均年齢 48.3±7.8 歳で、男性が 4 名(1.6%)、女性が 244 名(98.4%)であっ た。管理者は 98 人(39.5%)であった。「訪問看護の経験年数」の平均は 9.0±5.6 年で、 「看護師としての経験年数」の平均は、22.2±8.2 年であった。訪問看護師養成研修の受 講について、 「 はい」と回答した者 80 名(32.3%)「 、 いいえ」と回答した者は 166 名(67.0%) であった(表 1,2)。 対象者の事業所について、1 か月の平均利用者数は 70.0±81.6 名、1 か月の平均延べ訪 問件数は、411.1±364.0 件であった(表 3)。 対象者の事業所の教育現状について、入職時訪問看護師の教育を主におこなっている者. 5.

(7) については、 「特に決まっていない」184 名(74.2%)と回答した者が最も多く、次いで「プ リセプター」26 名(10.5%)、 「教育担当」が 24 名(9.7%)、 「その他」8 名(3.2%)、 「未記 入」6 名(2.4%)であった。入職時の教育で参考にしているマニュアルの有無については、 「あり」123 名(49.6%)、 「なし」124 名(50.0%)であった。訪問看護師養成講習会の受 講を勧めているかどうかについては、 「勧めている」124 名(50.0%)、 「勧めていない」118 名(47.6%)であった(表 4)。 2. 訪問看護師の自律性について 訪問看護師の自律性測定尺度の得点の平均値±SD は、178.6±24.0 点であった(表 5)。 3. OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識と対象者の概要との関連 表 6 に OJT 評価項目について訪問看護師の基本的能力(質問項目 1~13)、訪問看護師の 専門的能力(質問項目 14~22)、訪問看護師の組織的能力(質問項目 23~37 項目)ごとの対 象者の概要(①~⑥)との関連を示した。 OJT 教育評価項目の訪問看護師の基本的能力では、 「4.事業所の倫理的問題に対して、対処できる能力を高めるように行動する」と『①年 齢』 『➂訪問看護師の経験年数』 『➄看護師の経験年数』の間には有意な差が認められた(p 〈 0.05)。 「5.コミュニケーションを通して療養者や家族の問題解決を図る」と『➁雇用形態』 『➂ 訪問看護師の経験年数』の間には有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「2.個人情報管理と保護の取り組み状況について、事業所他職員に説明する」と『①年 齢』の間には有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「12.訪問看護師として自分の能力を客観的に評価し、不足部分を発表する」と『➁雇用 形態』の間には有意な差が認められた(p〈 0.05)。 訪問看護師の専門的能力では、 「15.家族を地域ぐるみで支援する体制整備作りに参加する」と『①年齢』『➄看護師の 経験年数』『⑥養成研修受講』の間で有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「20.拡大が予想される感染症発生時には、関係者が協働して対応できるように働きか ける」と『➄看護師の経験年数』 『⑥養成研修受講の有無』の間に有意な差が認められた(p 〈 0.05)。 「14.療養者や家族の持てる力を強化し、自立的に生活できるように支援する」と『①年 齢』(p〈 0.05)『⑥養成研修受講』(p〈 0.01)の間で有意な差が認められた。 「16.管理者と共に療養者に必要な社会資源を拡大していく」と『①年齢』の間で有意な 差が認められた(p〈 0.05)。 「17.職場の看護の質向上を図る為、在宅看護の最新知識・技術の情報収集に努める」と 『⑥養成研修を受講の有無』の間で有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「21.訪問看護師が行った支援が療養者や家族の QOL を重視したものになっているのか を自ら確認する」と『④管理者の有無』の間に有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「22.訪問看護職員が対応困難と観じている療養者や家族の支援について相談に応じ、 指導助言する」は、『➄看護師の経験年数』との間に有意な差が認められた(p〈 0.05)。 訪問看護師の組織的能力では、 「29.多職種との協働の中で、看護の専門性を発揮する」(p〈 0.01)「32.管理者と共に 組織的な問題解決に取り組む」(p〈 0.05)「34.管理者と共に、事業所の健全な経営の維 持に努める」 (p〈 0.01)の 3 つの教育評価項目と『⑥養成研修受講の有無』の間に有意な 差が認められた。 「27.管理者とともに災害時対応マニュアルを作成する」と『①年齢』の間に有意な差が 認められた(p〈 0.05)。. 6.

(8) 「35.管理者とともに組織の現状の分析を行う」と『➄看護師の経験年数』の間に有意な 差が認められた(p〈 0.05)。 4.OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識と事業所の概要・教育現状との関連 表 7 に OJT 評価項目について訪問看護師の基本的能力(質問項目 1~13)、訪問看護師の 専門的能力(質問項目 14~22)、訪問看護師の組織的能力(質問項目 23~37 項目)ごと事業 所の概要(①~②)と事業所の教育現状(③~➄)との関連を示した。 OJT 教育評価項目 37 項目と①利用者数の間では有意な差が認められなかった。 訪問看護師の基本的能力では、 「13.日々の看護実践から看護研究を継続的に実践し、その成果を発表する」の教育評価 項目と『➂入職時教育者』 (p〈 0.01) 『④参考マニュアルの有無』 (p〈 0.05)との間には 有意な差が認められた。 「1.訪問看護師としての誇りをもつように心がける」(p〈 0.01)「3.訪問看護に関連し た法律や制度を認識しながら、倫理的な問題について解決する」(p〈 0.05)「7.訪問看護 師や事業所他職員間の人間関係における困難や悩みを把握し支援する」 (p〈 0.01) 「12.訪 問看護師として自分の能力を客観的に評価し、不足部分を補う」 (p〈 0.05)の 4 つの教育 評価項目と『➄受講の勧めの有無』には有意な差が認められた。 と『④参考マニュアルの有無』 (p〈 0.05) 『➄受講の勧めの有無』 (p〈 0.01)との間に 有意な差が認められた。 「5.コミュニケーションを通して療養者や家族の問題解決を図る」の教育評価項目と 『➂入職時教育者』との間には有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「10.看護の専門知識や技術、能力向上の為に必要な教育資源・費用・体制整備を管理者 とともに行う」の教育評価項目と『②延べ訪問件数』との間には有意な差が認められた(p 〈 0.05)。 「11.管理者とともに実習・研修の教育指導体制を整える」の教育評価項目と『④参考マ ニュアルの有無』には有意な差が認められた(p〈 0.05)。 訪問看護師の専門的能力では、 「14.療養者や家族の持てる力を強化し、自立的に生活できるように支援する」は、『③ 入職時教育者』 (p〈 0.05) 『④参考マニュアルの有無』 (p〈 0.05) 『➄受講の勧めの有無』 (p〈 0.01)との間に有意な差が認められた。 「19.感染管理体制の整備の管理補佐を行う」は、『②延べ訪問件数』(p〈 0.05)『④参 考マニュアルの有無』 (p〈 0.01) 『➄受講の勧めの有無』 (p〈 0.01)との間に有意な差が 認められた。 「15.家族を地域ぐるみで支援する体制整備作りに参加する」は、 『➂入職時教育者』 『➄ 受講の勧めの有無』との間に有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「17.職場の看護の質向上を図るため、在宅看護の最新知識・技術の情報収集に努める」 「20.拡大が予想される感染症発生時には、関係者が協働して対応できるように働きかけ る」は『④参考マニュアルの有無』 (p〈 0.05) 『➄受講の勧めの有無』 (p〈 0.01)との間 に有意な差が認められた。 「16.管理者と共に療養者に必要な社会資源を拡大していく」「21.訪問看護師が行った 支援が療養者や家族の QOL を重視したものになっているのかを自ら確認する」「22.訪問看 護職員が対応困難と観じている療養者や家族の支援について相談に応じ、指導助言する」 は、『➄受講の勧めの有無』との間に有意な差が認められた(p〈 0.05)。 「18.在宅看護技術の現状の課題を常に意識し、最新技術の保持・向上に努める」は、 『② 延べ訪問件数』(p〈 0.05)との間に有意な差が認められた。 訪問看護師の組織的能力では、. 7.

(9) 「28.管理者とともに定期的に災害時対応訓練・確認を行う」 「29.多職種との協働の中 で、看護の専門性を発揮する」は、 『③入職時教育者』 (p〈 0.05) 『④参考マニュアルの有 無』(p〈 0.01)『➄受講の勧めの有無』(p〈 0.01)との間に有意な差が認められた。 「36.事業所の健全な管理・運営に必要な提案を管理者に行う」は、『②延べ訪問件数』 (p〈 0.05)『④参考マニュアルの有無』(p〈 0.05)『➄受講の勧めの有無』(p〈 0.01) との間に有意な差が認められた。 「27.管理者と共に災害対応マニュアルを作成する」「32.管理者とともに組織的な課題 解決に取り組む」「33.管理者とともに訪問看護職員が力を発揮できるような職場環境を作 る」 「34.管理者とともに事業所の健全な経営の維持に努める」 「35.管理者とともに組織の 現状の分析を行う」の 4 つの教育評価項目は、『④参考マニュアルの有無』(34=p〈 0.01) (27,32,33,35=p〈 0.05) 『➄受講の勧めの有無』 (27,33,34=p〈 0.01) (32,35=p〈 0.05) の間で有意な差が認められた。 「23.」 「30.事業所間の新しいネットワークを必要に応じて作る」 「31.訪問看護活動地域 の住民の持つ力を把握し、必要時に活用する」「37.訪問看護活動を行っている地域の行政 機関と協働・連携する」は『②延べ訪問件数』 (p〈 0.05) 『➄受講の勧めの有無』 (31,37=p 〈 0.01)(23,30=p〈 0.05)との間に有意な差が認められた。 「25.多職種や関係機関の苦情に適切に対応する」は、 『➄受講の勧めの有無』の間で有 意な差が認められた(p〈 0.05)。 5.OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識と訪問看護師の自律性との関連 表 8 に OJT 評価項目について訪問看護師の基本的能力(質問項目 1~13)、訪問看護師の 専門的能力(質問項目 14~22)、訪問看護師の組織的能力(質問項目 23~37 項目)ごとの訪 問看護師の自律性との関連を示した。 看護師自律性尺度の合計点数を 2 つに分けて OJT 教育評価項目 37 項目とすべての項目に おいて有意な差が認められた。 6.. 管理者と看護職員別の看護師経験年数、訪問看護経験年数、訪問看護師の看護職にお ける自律性尺度の自己評価 (表 9) 管理者の看護師経験年数は平均 24.3±9.0 年、訪問看護経験年数は平均 7.7±5.7 年、看 護師の専門的自律性尺度点数の平均点は 181.6±25.3 点だった。職員の看護師経験年数は 平均 20.9±7.4 年、訪問看護経験年数は平均 6.7±4.6 年、看護師の専門的自律性尺度点数 の平均点は 175.0±23.3 点だった。 7. OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識と管理者・訪問看護職員別の関連 OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識を 2 つに分け、訪問看護管理者、訪問看護職員につ いての X2 検定 表 10 に OJT 評価項目について訪問看護師の基本的能力(質問項目 1~13)、訪問看護師の 専門的能力(質問項目 14~22)、訪問看護師の組織的能力(質問項目 23~37 項目)ごとの管 理者・訪問看護職員別の関連を示した。 訪問看護師の基本的能力では、「7. 訪問看護職員や事業所他職員間の人間関係における 困難や悩みを把握し支援する」(p=.027)「21. 訪問看護師が行った支援が療養者や家族の QOL を重視したものになっているのかを自ら確認する」(p=.048)の間で有意な差が認めら れた。 訪問看護師の専門的能力、組織的能力では、有意な差は認められない。 8. OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識と訪問看護師の自律性尺度点数との関連 OJT 教育評価項目の訪問看護師の認識を 2 つに分け、看護師自律性尺度の合計点数を 2 つ に分け X2 検定. 8.

(10) 表 11 に OJT 評価項目について訪問看護師の基本的能力(質問項目 1~13)、訪問看護師の 専門的能力(質問項目 14~22)、訪問看護師の組織的能力(質問項目 23~37 項目)ごとの訪 問看護師の自律性との関連を示した。 訪問看護師の基本的能力では、「 1.訪問看護師としての誇りをも持つよう心がける」 (p=.026)「2.個人情報管理と保護の取り組み状況について、事業所他職員に説明する 」 (p=.031)の間で有意な差が認められた。 訪問看護師の専門的能力では、有意な差は認められない。 訪問看護師の組織的能力では、 「29. 多職種との協働の中で、看護の専門性を発揮する」 (p=.017)の間で有意な差が認められた。. Ⅴ 考察 1. OJT 教育評価項目に対する訪問看護師の認識に関連する要因 ⑴基本属性 ⑵訪問看護師としての背景 ⑸看護職における自律性 1994 年に訪問看護制度が始まって 26 年が経過し、訪問看護師不足が叫ばれるが、本研 究結果の訪問看護師は、看護師経験年数、訪問看護経験年数が共に長い看護師が就業して いるという特徴があった。さらに、 「経験年数が長いほど自律性が高く、臨床から在宅へ看 護の場が移っても、看護師としての専門性が蓄積されている。」21)というように、自律尺度 点数が高い結果であった。(表 12) 経営の責任者である管理者は、訪問看護未経験から始めている者もおり、自らが研修に 出向く人的物理的金銭的余裕はなく、管理者教育を受けられずに管理業務をこなしている 者も多い 22)23)。このために、管理者と訪問看護職員(以下、看護職員と称す)の違いによ る、看護師経験年数、訪問看護師経験年数、自律尺度点数の差はなかったといえる。 一方で、 「自律尺度は、看護職就業後に経験で上昇するが、経験年数 6~10 年の間では変 化がない。経験のある看護職に対して職務内容との関連や職場での対人関係など自主的・ 主体的な行動に影響を及ぼす他者の存在などについて検討が必要」24)とも述べられている。 事業所は小さな組織集団であり、看護職員は様々な判断を管理者に委ね、管理者が一人 で責任を負う 25)。また、管理者の職務上の困難の構成要素の中で、「スタッフ管理の難し さ」「全てのことに負う責任の重さ」がある 26)。管理者の有無と OJT 項目の「事業所内職 員間の人間関係調整」 「看護職員を訪問に送り出す不安」について有意差が生じた結果であ った(表 13)。管理者と看護職員の特有の関係性が、看護職員の組織管理的自律行動の影 響要因になるのではないのだろうか。 丸山ら 27)は、小規模な事業所でも、看護職員内で役割を明確にして担うことで事業所運 営に携わる認識や達成感が得られ、継続従事や、積極性に繋がるという。 訪問看護師は自律性が高い為、自律尺度と OJT 項目「訪問看護師としての誇りを持つ」 「個人情報保護の取り組み」 「多職種との中で看護の専門性を発揮」といった事業所内の訪 問看護師としての高い自覚を持つ項目に関して有意差が生じた(表 14)。管理者は、看護 職員の自律性の高さを客観視することで、ひとり責任を抱えず、より協働出来る存在であ る事実を再認識できる。 こうした訪問看護師育成の特徴による管理者の困難に対する克服・やりがいサポート要 素として、スタッフとコミュニケーションをとり、良好な関係を構築すること 28) を挙げ ている。小さな事業所では、管理者と看護職員間の信頼関係の維持は大変重要なものであ る。管理者は、看護職員に対し、関係性を良好に維持するために、学習を助ける人になる ことが必要である 29)という。事業所内学習支援の中で、OJT 使用で間接的に、また第三者 や可能ならば教育専任看護師を配置し、それらを活用し教育していくことが望まれる。し かし、事業所の教育現状で入職時の訪問看護の教育を管理者以外に主に行っているものは 特に決まっていないが 74.2%という結果であった。 一方で、看護職員も、自身の看護実践能力や自律性の高さを振り返り、管理者の困難を 十分理解して、自律的に学び、組織を考え管理者を支援していく役割を十分に理解し業務. 9.

(11) にあたる必要がある。 2.. OJT 教育評価項目に対する訪問看護師の認識に関連する要因(表 6,7) ⑶事業所の概要 ⑷事業所の教育現状 事業所の教育現状は、人材育成する人材もいない厳しい現状の中で、既存のマニュアル を参考にして教育対応しているは 49.6%、また、養成研修を勧めるは 50.0%であった。 1) 養成研修の受講 養成研修の目的は、訪問看護開始に必要な知識・技術を習得することにあるため、就業 後早い段階で受講し、訪問看護師のキャリアに応じた質向上の教育の検討が必要である 30)。 組織的能力も含めバランスよく体系化されている養成研修を受け学ぶことで、研修受講 の有無と OJT 項目の「専門的・組織的」認識に有意差が生じたと考えられる。 2) 入職時マニュアルの使用 事業所内の教育現状は、教育体制の確立が必要だが、これを模索している状態にあり 31)、 「管理者は、初任期は訪問看護の基礎を学び、中堅期以降にはより専門性の高い知識・技 術・組織全体の視点も学ぶ必要があると捉えている。」32)というが、マニュアルの有無と OJT 項目の「組織の教育」に関して有意差が生じていた。 「初任期には訪問看護・在宅看護の基 33) 本を学び直す機会が保障されることが望ましい」 というように、入職早期に養成研修を 受講し基本を学びながら、事業所内の教育マニュアルを併用させ、早い段階から組織全体 の視点も教育に組み込み、事業所内教育体制を整えていく事が望まれる。 3) 養成研修を勧める しかしながら、教育体制の確保が困難な状況は、大きな課題となり続けている。草野ら 34) は、訪問看護ステーションの抱える現状課題は相互に関連しており、これを良循環に導 くためには研修体制を整える必要があるといい、また丸山ら 35)も、「訪問看護の質の向上 には、組織体制(運営・教育)の充実化が重要。」という。また、丸山ら 36)は、事業所全体 で新任看護師を育成していく事が重要、長江ら 37)も、事業所が一丸となって指導体制を組 むことが重要というように、組織運営の中に組織全要員での教育を位置付けている。長江 38) は、このような方法論を組織のミッションと考え、 「雇用し教育する為に自分達の組織を 見直し、力量形成のために努力し実践を意識化し教育力を高めていくといった肯定的な循 環は、現場の組織体力の向上となっていく。」と述べている。 本研究において、養成研修受講の勧めと OJT24 項目の有意差が生じた。研修体制を整え る事や研修受講を組織全体で行う為に必要な事は、職場環境、学習環境等の「組織風土作 り」である。 「勧める」という組織風土が、幅広く教育評価項目が必要だと認識する背景と なっているのではないだろうか。 4) 教育体制改善、組織風土作りに必要な、物理的要因 「訪問看護ステーションが抱える課題である構造・機能評価は、災害対策・看護師教育・ 連携であり、早めに改善の取り組みを実施する必要がある」39) というように、本研究結果 も、延べ訪問件数といった看護実践数と OJT 項目の危機管理・教育・連携に有意差が生じ た。スタッフのモチベーションと訪問件数・ケアの質の関係性 40) や、ケアサービスの質 担保と訪問件数を増やす事は両立し、安定した経営に繋がる 41)などから、岡島 42)は、訪問 件数をこなせる人員を確保できるスケールメリットにより、事業所機能の安定性・継続性・ 生産性・効率性が生まれ、看護の質向上も期待できると述べている。OJT 項目の認識に関 連する要因となる延べ訪問件数といった看護実践数は、経営安定と共に、事業所構造・機 能評価の課題について認識を持つ要因になった背景といえる。. 本研修は公益財団法人. 在宅医療助成. 勇美記念財団の助成を受けて行われました。. 10.

(12) 引用文献 1). 厚生労働統計協会(2019)『 国民衛生の動向 2019/2020 厚生の指標増刊』. 厚生労働統計協会.. 2). 総務省統計局 (2018).『平成 30 年度衛生行政報告例』. https://www.e-stat.go.jp/stat-search/. (閲覧日:2020 年 1 月 12 日) 日本看護協会(2016).訪問看護入門カリキュラム(pp.1-16). https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/fukyukeihatsu/homonkango_program.pdf (閲覧日:2020 年 7 月 28 日) 4) 日本訪問看護財団(2016).訪問看護人材養成基礎カリキュラム(pp.1-92). http://www.jvnf.or.jp/home/wp-content/uploads/2017/05/kisokarikyuramu.pdf (閲覧日:2020 年 7 月 28 日) 5) 日本看護協会(2016).看護師のクリニカルラダー 開発について http://www.nurse.or.jp/nursing/jissen/kaihatsu/index.html (閲覧日:2020 年 7 月 28 日) 6) 日本訪問看護振興財団(2016).訪問看護師 OJT ガイドブック(pp.1-9).日本訪問看護振興財団. 7) 本田彰子(2012).「実践の場における訪問看護師学習支援プログラムの開発(OJT で自ら学べる) をめざして」『訪問看護と介護』17(5),pp.407-411. 8) 志自岐康子(1998).「看護婦の専門職性の構成概念~看護婦への面接調査から」『東京保健科学学会 誌』1(1),pp.45-48. 9) 日本看護協会(2011).「医療計画の見直し等に関する検討会」 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001jlr7-att/2r9852000001jlv6.pdf (閲覧日:2020 年 7 月 28 日) 10) 松原みゆき,眞﨑直子(2017).「新人訪問看護師が(ひとりで訪問できる)ために必要と捉える 実践能力―新人訪問看護師と管理者の比較―」『日本赤十字広島看護大学紀要』17,pp.43-52. 11) 柿沼直美,飯田苗恵,大澤真奈美,原美弥子,齋藤基(2015).「訪問看護ステーションにおける安定的 な経営管理のための自己評価尺度の開発」『日本看護科学会誌』35,pp.1-9. 12) 丸山幸恵,後藤順子,叶谷由佳(2017).「訪問看護ステーションにおける訪問看護師の現任教育の実 態と課題」『千葉科学大学紀要』10,pp.101-108. 13) 前掲論文 10) 14) 赤沼智子(2003).「訪問看護ステーション管理者の訪問看護師への学習支援に対する考えと実際」 『千葉大学看護学部紀要』26,pp.45-49. 15) 長江弘子,吉本照子,辻村真由子,保坂和子(2013).「自律的な新卒看護師を育成する」『看護教育 54(10),pp.920-926. 16) 前掲論文 7) 17) 本田彰子(2006).「管理者と学習者で作る訪問看護師の個別学習プログラム―OJT 計画書を作成・ 利用して」『コミュニティケア』8(2),pp.24-27. 18) 草野とし子,佐野けさ美,輿水めぐみ,大脇和子,駒井和子(2016).「クリニカルラダーを取り入れた 訪問看護ステーションの研修体系の検討」『看護展望』41(13),pp.1238-1242. 3). 19) 20). 21). 堀洋道,原田唯司(2008).『心理測定尺度集Ⅲ心の健康を測る〈適応・臨床〉』.サイエンス社. 日本看護協会 医療政策部(2014).「2014 年 訪問看護実態調査 報告書」 https://www.nurse.or.jp/home/publication/pdf/report/2015/homonjittai.pdf (閲覧日:2020 年 7 月 28 日) 中野康子(2008).「訪問看護師の勤務継続と職務満足との関係」『兵庫県立大学看護学部・地域ケア 開発研究所紀要』15,pp.043-059.. 22). 藤井千里(2011).「訪問看護ステーション管理者の営業を含めた経営能力と収益との関係」『日本看. 11.

(13) 護研究学会雑誌』34(1),pp.117-130. 23). 須長恭子(2016).「訪問看ステーションの運営に関する検討. 管理者の悩みから把握した運営の課. 題」『日本看護学会論文集;在宅看護 46,pp.79-82. 24). 菊池昭江ら(1997). (人文・社会科学偏). 看護の専門職的自律性の測定に関する一研究. 静岡大学教育学部研究報告. 47,pp.241-254.. 25). 前掲論文 12). 26). 松原みゆき(2014).訪問看護ステーション管理者のやりがいと困難を構成する要素 島看護大学紀要. 日本赤十字広. 14,pp.37-46.. 27) 28) 29) 30). 前掲論文 12) 前掲論文 26) 前掲論文 7) 荒川貴代美,鶴田來美,長谷川珠代(2012).「訪問看護師に必要な能力と教育に関する研究―A 県 看護協会が主催する訪問看護研修 STEP1 の有用性―」『日本看護学会論文集 看護総合』 42,pp.390-393. 31) 前掲論文 12) 32) 柄澤邦江,安田貴恵子,御子柴裕子,酒井久美子,下村聡子(2011).「長野県の訪問看護師の現任教育 の現状と学習ニーズ(第 1 報)~管理者に対する調査の分析」『長野県看護大学紀要』13, pp.17-27. 33) 前掲論文 32) 34) 前掲論文 18) 35). 丸山幸恵(2017).「訪問看護ステーションにおける看護実践レベルと職場環境との関連 」『千葉科 0 学大学紀要』10,pp.109-113.. 36) 37) 38). 前掲論文 12) 前掲論文 15) 前掲論文 15). 39). 広瀬聖子(2007).「訪問看護ステーションにおける訪問看護サービスの質評価の実態に関する研究」 『山梨大学看護学会誌』5(002),pp.61-66.. 40). 山口絹代(2014).「訪問看護ステーション管理者からみた自組織の経営の危機的状況」『医療保健学 研究』5,pp.55-69.. 41). 津野陽子(2011).「事業収支を黒字化する経営戦略④「ケアの質担保」と「黒字化」は両立するか? 」 『訪問看護と介護』16(011),pp.948-951.. 42). 岡島さおり(2020).「訪問看護師倍増には何が必要か」『看護』72(01),pp.32-37.. 12.

(14) n=248. 表1 基本属性. (%). ・性別 男性. 4. 1.6. ・設置主体 . 女性. 244. 98.4. ・年齢 1) 平均±SD. n=248. 表3 事業所の概要. (人). 48.3±7.8. (人). (%). 営利団体. 73. 29.4. . 医療法人. 68. 27.4. . その他. 61. 24.6. 内訳 . 25~29歳 . 3. 1.3. . 社団・財団法人. 20. 8.1. . 30~39歳. 20. 8.6. . 社会福祉法人. 11. 4.4. . 40~49歳. 103. 44.2. . 未記入. 15. . 50~59歳. 92. 39.5. ・1事業所の訪問看護師の総数 平均±SD 内訳. ・雇用形態. 2). ・訪問看護師経験年数 内訳. . 60歳以上. 15. 6.4. 4人未満. 25. 10.2. 202. 81.8. 4~5人. 73. 30.0. 非常勤. 45. 18.2. 6~9人. 93. 38.1. 10~19人. 49. 20.1. 20人以上. 4. 3). . 7.3±4.4. 常勤. 9.0±5.6. 平均(年)±SD 3年未満. 7. 3.2. 3~5年. 76. 34.7. ・常勤数. 2) . 1.6 4.1±2.7. 平均±SD. 6~9年. 56. 25.6. ・非常勤数3) 平均±SD. 3.2±3.3. 10~14年. 35. 16.0. ・1か月の利用者数4) 平均±SD. 70.0±81.6. 15~19年. 33. 15.1. ・1か月の延べ訪問件数5) 平均±SD. 411.1±364.0. 20年以上. 12. 5.5. ※1)n=244、2)n=242、3)n=239、4)n=228、5)n=221. 表4 事業所の教育現状. 22.2±8.2. ・看護師経験年数 平均(年)±SD 内訳. 6.0. 1). 3年未満. 1. 0.4. 3~5年. 2. 0.8. . 6~9年. 9. 3.6. . 10~14年. 32. . 15~19年. 40. . 20年以上. 164. %. ・入職時教育者 決まっていない. 184. 74.2. 12.9. プリセプター. 26. 10.5. 16.1. 教育担当. 24. 9.7. 66.1. その他. 8. 3.2. 未記入. 6. 2.4. ・教育に参考にしているマニュアルの有無 有. 123. 49.6. 無. 124. 50.0. ※1)n=233、2)n=247、3)n=219. n=248. 表2.訪問看護師としての背景. n=248 (人). ・資格(複数回答) 看護師. 234. 94.4. . 准看護師. 14. 5.6. ケアマネジャー. 57. 保健師. 12. 臨床指導者研修. 9. 3.6. 助産師. 5. 2.0. 表5 訪問看護師の自律性について . 認定看護師. 5. 2.0. ・自律性尺度点数の平均(点)±SD. 看護特定行為. 3. 1.2. 社会福祉士. 2. 0.8. 専門看護師. 2. 0.8. 認定看護管理者. 1. 0.4. その他. 7. 2.8. ・看護基礎教育課程 看護専門学校3年課程. 144. 58.1. (複数回答) 准看護師養成師養成所. 90. 36.3. 看護専門学校2年課程. 55. 22.2. 看護大学. 12. 4.8. 看護専門学校統合4年. 5. 2.0. 高校専攻科5年. 5. 2.0. ・訪問看護管理者か否か はい . 98. 39.5. いいえ. 150. 60.5. ・養成研修の受講の有無 有 . 80. 32.3. ・看護師経験年数 . 無. 166. 67.0. ・訪問看護経験年数 . 2. 0.8. ・自律性尺度点数 平均(点)±SD. 未記入. 未記入. 1. 0.4. ・養成講習会の受講を勧めているか否か いる. 124. 50.0. 23.0. . いない. 118. 47.6. 4.8. . 未記入. 6. 2.4. n=248 178.6±24.0. 表9 管理者・非管理者別 看護師・訪問看護経験年数と自律性尺度点数 一覧 . 13. 管理者 (n=98). 非管理者 (n=150). 平均(年)±SD. 24.3±9.0. 20.9±7.4. 平均(年)±SD. 7.7±5.7. 6.7±4.6. 181.6±25.3 175.0±23.3.

(15) 表6.OJT教育評価項目の訪問看護師の認識と 対象者の概要との関連. OJT教育評価項目. 表8.OJT教育評 価項目の訪問看 護師の認識と訪 問看護師の自律 性尺度点数との 関連. 表7.OJT教育評価項目の訪問看護師の認識と 事業所の概要・事業所の教育現状との関連. 表10.OJT教育 評価項目の訪問 看護師の認識と 管理者・訪問看 護職員別との関 連. 表11.OJT教育 評価項目の訪問 看護師の認識と 訪問看護師の自 律性尺度点数と の関連. ①年齢. ②雇用. ➂訪看年数. ④管理者. ➄看護師年数. ⑥受講. ①利用者数. ②延べ件数. ➂教育者. ④マニュアル. ➄勧め. 尺度点数合計. 管理者・職員 自律性尺度点数. 0.167. 0.843. 0.381. 0.972. 0.156. 0.089. 0.321. 0.604. 0.218. 0.258. 0.002**. 0.000**. 0.765. 0.026*. *. 0.203. 0.064. 0.210. 0.075. 0.159. 0.801. 0.526. 0.731. 0.130. 0.847. **. 0.322. 0.031. 0.279. 0.201. 0.060. 0.609. 0.226. 0.177. 0.902. 0.889. 0.057. 0.384. 0.031*. 0.000**. 0.480. 0.060. 0.579. 0.039*. 0.523. 0.789. 0.686. 0.877. 0.720. 0.076. 0.000**. 0.554. 0.103. *. 0.955. 0.175. 0.000. **. 0.368. 0.243. 【訪問看護師の基本的能力】 1.訪問看護師としての誇りをも持つよう心がける 2.個人情報管理と保護の取り組み状況について、事業所他職員に説明する 3.訪問看護に関連した法律や制度を認識しながら、倫理的な問題について解決する 4.事業所の倫理的問題に対して、対処できる能力を高めるように行動する. 0.017. 0.000. *. 0.014*. 0.145. 0.025*. 5.コミュニケーションを通して療養者や家族の問題解決を図る. 0.450. *. *. 0.095. 0.267. 0.689. 0.598. 0.213. 6.訪問看護職員や事業所他職員の個々の悩みを受け止め必要時は管理者に相談する. 0.774. 0.125. 0.666. 0.924. 0.318. 0.342. 0.282. 0.170. 0.322. 0.444. 0.202. 0.003**. 0.343. 0.492. 7.訪問看護職員や事業所他職員間の人間関係における困難や悩みを把握し支援する. 0.771. 0.441. 0.969. 0.968. 0.327. 0.137. 0.303. 0.163. 0.265. 0.061. 0.003**. 0.001**. 0.027*. 0.496. 8.訪問看護職員や事業所他職員が必要とされている役割を果たせるように、調整する. 0.394. 0.554. 0.963. 0.756. 0.266. 0.975. 0.092. 0.328. 0.163. 0.480. 0.099. 0.000**. 0.425. 0.487. 9.訪問看護職員に対して個々の特性を踏まえ、教育的視点から助言・指導する. 0.160. 0.347. 0.521. 0.449. 0.095. 0.749. 0.079. 0.063. 0.153. 0.154. 0.082. 0.000**. 0.319. 0.133. 10.看護の専門知識や技術、能力向上の為に必要な教育資源・費用・体制整備を管理者とともに行う. 0.112. 0.371. 0.198. 0.737. 0.069. 0.870. 0.065. 0.028*. 0.707. 0.104. 0.090. 0.000**. 0.802. 0.077. 11.管理者とともに実習・研修の教育指導体制を整える. 0.243. 0.088. 0.819. 0.326. 0.314. 0.753. 0.162. 0.110. 0.315. *. 0.206. 0.000. **. 0.470. 0.084. 12.訪問看護師として自分の能力を客観的に評価し、不足部分を補う. 0.317. *. 0.726. 0.861. 0.354. 0.484. 0.798. 0.667. 0.175. 0.690. *. 0.003. **. 0.446. 0.651. 13.日々の看護実践から看護研究を継続的に実施し、その成果を発表する. 0.206. 0.199. 0.335. 0.904. 0.358. 0.654. 0.437. 0.425. 0.001**. 0.020*. 0.000**. 0.658. 0.078. 0.010. *. 0.109. 0.136. 0.355. 0.055. **. 0.481. 0.659. 0.015. *. 0.024. *. 0.539. 0.928. 0.968. *. 0.046. *. 0.503. 0.013. 0.043*. 0.614. 0.697. 0.797. 17.職場の看護の質向上を図る為、在宅看護の最新知識・技術の情報収集に努める. 0.622. 0.179. 0.746. 18.在宅看護技術の現状の課題を常に意識し、最新技術の保持・向上に努める. 0.528. 0.204. 19.感染管理体制の整備の管理補佐を行う. 0.101. 0.486. 20.拡大が予測される感染症発生時には、関係者が協働して対応できるように働きかける. 0.102. 21.訪問看護職員が行った支援が療養者や家族のQOLを重視したものとなっているかを自ら確認する 22.訪問看護職員が対応困難と感じている療養者や家族の支援について相談に応じ、指導・助言する. 0.038. 0.024. 0.030. 0.017. 0.026. 0.026. 0.249. 【訪問看護師の専門的能力】 14.療養者や家族のもてる力を強化し、自立的に生活できるように支援する. **. 0.000. **. 0.653. 0.491. *. 0.000. **. 0.331. 0.060. 0.010*. 0.000**. 0.720. 0.113. 0.028*. 0.007**. 0.000**. 0.635. 0.747. 0.499. 0.073. 0.056. **. 0.132. 0.305. 0.060. **. 0.006. **. 0.002**. 0.885. 0.828. *. 0.001. **. 0.000. **. 0.483. 0.683. 0.034*. 0.000**. 0.048*. 0.101. 0.536. 0.011*. 0.000**. 0.343. 0.180. 0.782. 0.335. 0.043*. 0.000**. 0.303. 0.737. 0.253. 0.903. 0.041*. 0.001**. 0.517. 0.683. 0.137. 0.748. 0.760. 0.020*. 0.003**. 0.238. 0.334. 0.257. 0.313. 0.449. 0.244. 0.138. 0.011*. 0.606. 0.370. 0.335. 0.319. 0.085. 0.061. 0.015*. 0.001**. 0.000**. 0.253. 0.242. 0.395. 0.121. 0.308. 0.077. 0.028*. 0.009**. 0.002**. 0.000**. 0.810. 0.783. 0.405. 0.109. 0.000**. 0.826. 0.231. 0.021*. 0.002**. 0.000**. 0.000**. 0.236. 0.017*. 0.887. 0.144. 0.074. 0.101. 0.164. 0.021*. 0.177. 0.336. 0.024*. 0.000**. 0.427. 0.102. 0.272. 0.757. 0.436. 0.167. 0.486. 0.044*. 0.314. 0.094. 0.009**. 0.000**. 0.486. 0.287. 0.698. 0.554. 0.124. 0.412. 0.019*. 0.217. 0.060. 0.147. 0.043*. 0.010*. 0.000**. 0.484. 0.113. 0.198. 0.797. 0.472. 0.439. 0.297. 0.066. 0.614. 0.186. 0.351. 0.030*. 0.003**. 0.000**. 0.353. 0.615. 34.管理者とともに、事業所の健全な経営の維持に努める. 0.809. 0.484. 0.674. 0.349. 0.474. 0.003**. 0.623. 0.236. 0.297. 0.006**. 0.000**. 0.000**. 0.392. 0.615. 35.管理者とともに、組織の現状分析を行う. 0.367. 0.860. 0.901. 0.064. 0.049*. 0.057. 0.565. 0.720. 0.458. 0.024*. 0.010*. 0.000**. 0.219. 0.286. 36.事業所の健全な管理・運営に必要な提案を管理者に行う. 0.234. 0.874. 0.758. 0.124. 0.097. 0.232. 0.681. 0.039*. 0.621. 0.011*. 0.008**. 0.000**. 0.377. 0.073. 37.訪問看護活動を行っている地域の行政機関と協働・連携する. 0.204. 0.902. 0.716. 0.653. 0.201. 0.098. 0.435. 0.037*. 0.997. 0.269. 0.007**. 0.000**. 0.720. 0.973. 15.家族を地域ぐるみで支援する体制整備作りに参加する. 0.001. 0.050. *. *. 0.281. 0.499. 0.066. 0.095. 0.584. 0.169. 0.090. 0.121. 0.772. 0.396. 0.048*. 0.405. 0.064. 0.171. 0.767. 0.567. 0.075. 0.838. 0.066. 0.033. *. 0.627. 0.250. 0.276. 0.063. 0.061. 0.027. *. 0.011. 0.941. 0.703. *. 0.066. 0.209. 0.234. 0.571. 0.543. 0.483. 0.038*. 0.292. 0.089. 0.198. 0.146. 0.426. 0.270. 0.273. 0.324. 0.940. 0.970. 0.045*. 0.226. 0.623. 0.282. 0.200. 23.管理者とともに組織としての危機管理を行う. 0.526. 0.533. 0.659. 0.746. 0.505. 0.776. 0.064. 0.021*. 24.療養者や家族の苦情に適切に対応する. 0.704. 0.990. 0.728. 0.710. 0.055. 0.187. 0.856. 0.057. 25.多職種や関係機関の苦情に適切に対応する. 0.486. 0.739. 0.907. 0.376. 0.259. 0.523. 0.092. 26.危機が生じた場合、専門職とともに検討し解決に導く. 0.329. 0.481. 0.667. 0.645. 0.105. 0.497. 0.030*. 0.340. 0.570. 0.938. 0.056. 28.管理者とともに定期的に災害時対応訓練・確認を行う. 0.491. 0.466. 0.576. 0.787. 29.多職種との協働の中で、看護の専門性を発揮する. 0.303. 0.459. 0.442. 30.事業所間の新しいネットワークを、必要に応じて作る. 0.288. 0.136. 31.訪問看護活動地域の住民の持つ力を把握し、必要時に活用する. 0.562. 0.571. 32.管理者とともに組織的な課題解決に取り組む. 0.522. 33.管理者とともに、訪問看護職員が力を発揮できるような職場環境をつくる. 16.管理者とともに療養者に必要な社会資源を拡大していく. 0.011. 0.028. *. 0.034. 0.050. 0.000. 0.016. 0.003. 0.002. 【訪問看護師の組織的能力】. 27.管理者とともに災害時対応マニュアルを作成する. Mann-Whitney test ※* p < 0.05.、** p < 0.01. 14.

(16) 表12. 管理者・非管理者別 看護師・訪問看護経験年数と自律性尺度点数 一覧 . 看護師経験年数 平均(年)±SD 訪問看護経験年数 平均(年)±SD 自律性尺度点数 平均(点)±SD. (n=248). 管理者 (n=98). 非管理者 (n=150). 22.2±8.2. 24.3±9.0. 20.9±7.4. 9.0±5.6. 7.7±5.7. 6.7±4.6. 178.6±23.95. 181.6±25.3. 175.0±23.3. 表13. OJT教育評価項目の訪問看護師の認識と管理者・訪問看護職員別との関連. 【訪問看護師の基本的能力】. 【訪問看護師の専門的能力】. 7. 訪問看護職員や事業所他職員間の人間関係に おける困難や悩みを把握し支援する. 21. 訪問看護職員が行った支援が療養者や家族の QOLを重視したものとなっているかを自ら確認する. 思う 98(100.0). 0(0.0). 98(100.0). 訪問看護職員. 142(95.3). 7(4.7). 149(100.0). 合計. 240(97.2). 7(2.8). 247(100.0). 管理者. 97(100.0). 0(0.0). 97(100.0). 訪問看護職員. 144(96.0). 6(4.0). 150(100.0). 合計. 241(97.6). 6(2.4). 247(100.0). 思う 自律性尺度 178以下 自律性尺度 179以上 合計. 【訪問看護師の基本的能力】 2. 個人情報管理と保護の取り組み状況について、 事業所他職員に説明する. 自律性尺度 178以下 自律性尺度 179以上 合計 自律性尺度 178以下 自律性尺度 179以上. 29. 多職種との協働の中で、看護の専門性を 【訪問看護師の組織的能力】 発揮する. 合計. 15. 合計. 管理者. 表14. OJT教育評価項目の訪問看護師の認識と管理者・訪問看護職員別、 訪問看護師の自律性尺度点数との関連. 1. 訪問看護師としての誇りをも持つよう心がける. 思わない. 思わない. 合計. 112(91.1). 11(8.9). 123(100.0). 122(97.6). 3(2.4). 125(100.0). 234(94.4). 14(5.6). 248(100.0). 116(94.3). 7(5.7). 123(100.0). 124(99.2). 1(0.8). 125(100.0). 240(96.8). 8(3.2). 248(100.0). 116(94.3). 7(5.7). 123(100.0). 124(99.2). 1(0.8). 125(100.0). 240(96.8). 8(3.2). 248(100.0). p値. 0.027. 0.048. p値. 0.026. 0.031. 0.017.

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参照

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