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生涯学習社会の地域類型化の視点

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Academic year: 2021

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生涯学習社会の地域類型化の視点

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住 岡 英 毅

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SUMIOKA

1. 問題の所在 いま、全国の各地で、生涯学習社会への動き が活発になってきている。なかでも生涯学習社 会の構想の策定に関しては、ほとんどの自治体 が緊急の課題として取り組んでおり、その成果 が次々と印刷物で公表されつつある。だが、残 念なことには、それは、どれをとってみても大 同小異、きわめて画一的である。地域が異なり、 地域の特性が違えば、そこの生涯学習社会づく りもおのずと異なるはずであるが、実際に策定 された構想、は必ずしもそうはなっていない。こ れは、ひとえに、到達目標としての生涯学習社 会像が構想策定過程において必ずしも明確に理 解されておらず、したがってその理念像に照ら しての地域の現状把握が的確になされていない ところからきている。 小論は、このような問題意識から、それぞれ の地域に相応しい生涯学習社会づくりの視点を、 生涯学習社会の地域類型という切り口から探る ことを目的としている。まず、生涯学習社会と いう学習や教育に焦点化された社会を、地域類 型化して捉えることの必要性や意義について考 察し、次に、地域類型化の視点を学習者、社会 教育行政、学習風土、地域課題といった四つの 側面において仮説的に提示する。その上で、そ うした仮説の実際への適用可能性を採るため、 滋賀県内の三つの市町を対象とした、地域類型 の若干の事例分析をおこなってみたい。 2. 地域類型化の必要性と意穆 (1) 地織類型化の必要性 生涯学習社会とは、簡単に言って、人々がい つでも、どこでも、誰でも、どんなことでも学 ぶことが可能となる社会である。生活のなかで の学習の必要性や重要性が増大している今日、 そのような生涯学習社会への期待は大きい。そ のため、国の方針や支援もあってのことだが、 全国の都道府県、さらに市町村が、生涯学習社 会の構築に向けて活発に動きはじめた。「生涯 学習社会づくり」ないし「生涯学習のまちづく り」と呼ばれる動きが、これである。 だが、誰もが、時と場を限定されることなく、 しかも内容の知何にかかわらず学ぶことができ る社会をつくることは、厳密に考えれば至難の 技というより不可能である。言うまでもなく、 今日の人々の生活は多様化しており、したがっ て、その学習ニーズもきわめて多岐にわたって いる。その一人一人の生涯学習に誠実に対応し ようと思ったら、それこそ十人十色の生涯学習 社会を無限につくっていかねばならないだろう。 そこで、要求されてくるのが、学習者ないし地 域のある程度の類型化という作業である。 たとえば、学習対象者を、青少年、婦人、成 人男子、高齢者という年齢層および性別でくくっ て把握するやりかたは、これまでの社会教育が おこなってきた伝統的な類型化の一つである。 これではあまりにも大雑把過ぎるので、 30歳代 主婦、 40歳代の働く婦人、思春期の子どもをも っ中年男性といったふうに、性、年齢、職業、

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家庭での位置などの複数の属性を併せて類型化 する場合もある。いずれにせよ、こうした類型 化を通して、われわれは、学習者の共通のニー ズや悩みや課題を一つのかたまりとして把握す ることができ、その上で、類型に即した学習援 助策を立てることが可能となる。つまり、こう した類型化によって、われわれは、 一人一人の 多様な学習ニーズにそのまま応えることはでき ないにしても、それに比較的近づく方向での対 応を考えることができる。 地域類型化も、これと同様の意図をもつもの である。それは、地域住民の学習者としての共 通の特徴(たとえば高学歴者が多い、社会通信 教育の受講者が多いなど)、既存の学習施設の 充実度、 一般行政の教育的事業への熱の入れ具 合、学習に役立つ歴史的・文化的遺産の有無、 顕著な地域課題の存在やそれに向けた運動ない し学習風土の実情、学習情報へのアクセスの利 便性、などの学習環境的要素を組み合わせて、 一定の地域をかたまりとして把握しようとする。 そうすることで、その地域に相応しい生涯学習 環境を創出することを企図するわけである。こ うして、われわれは、地域に住む個々の学習者 ニーズにトータルに接近することができる。だ が、このような地域類型化は、先の学習者の類 型化に比べて著しく遅れている。それは、生涯 学習社会づくりがやかましく言われる今こそ、 急務の課題と言わねばならない。

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地域類型化の単位 一口に地域類型化と言っても、その単位は多 様に存在する。国際的単位で言えば、西欧地域 に対応する「西欧型生涯学習社会」、アジア地 域に対応する「アジア型生涯学習社会

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といっ た類型化が可能であろうし、国家に対応して 「フランス型生涯学習社会

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や「日本型生涯学 習社会

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といった類型化が可能である。日本国 内に限っても、北海道、東北、東海・北陸といっ たブロック別類型化、あるいはもっと大雑把に 関東と関西といった二分法的類型化、また県別 の類型化、さらに市町村別の類型化が可能であ る。 このような地域類型化のレベルを一瞥して気 がつくことは、 一つの類型のなかにはさらに細 かな類型が存在する、ということである。たと えば関東と関西は、生涯学習社会の類型にかか わらず多くの領域でしばしば用いられる地域類 型の一つである。だが、関西のなかには、阪神 と京滋といった、大都市地域と伝統的地域とい う類型が存在するし、京滋の一つである滋賀の なかには、湖北、湖南、湖東、湖西といった四 つの類型が存在する。一口に関西と言っても、 いろいろあるわけである。したがって、われわ れは、類型を考える際に、マクロな目とミクロ な目の両方をもたなければならず、どのレベル で研究を進めるかによって、それぞれのレベル ごとに多様な類型化理論を展開しうる。 (3) 生涯学習推進の戦略モデルとしての性格 言うまでもなく、どの単位での類型化にせよ、 それは、生涯学習推進の戦略モデルとしての意 味をもつものでなければならない。この点では、 地域類型を設定する際にしばしば採用される一 般的類型としての、都市か農村か都市近郊か、 旧村地域か新興地域か、といった類型をそのま ま生涯学習社会の類型にあてはめて、たとえば 「都市型生涯学習社会

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農村型生涯学習社会」 といった類型を想定するのは、あまりにも安直 である。確かにこうした類型は、地域特性のあ る側面を表現しているわけであるから、漠然と したある種のイメージをわれわれに与えてくれ はする。しかし、それは、あまりにも大雑把で あり、「何をどう変えたらよいのか」といった 生涯学習社会づくりの具体的な戦略を考えるに は、それほど役に立たない。どの点を、どのよ うに変えたら、この地域に相応しい生涯学習社 会ができあがるかが明確になるような類型を、 設定しなければならない。つまり、生涯学習社 会に深くかかわる諸要素をもとに類型化する必 要がある。

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地域類型化の視点 (1) 学習者からみた類型 生涯学習推進の戦略を考える上で役立ちうる 地域類型化は、学習者、行政、学習風土、地域 課題といった、生涯学習と関連する四つの側面 から探ることができる。ここでは、とくに市町 村レベルを念頭におきながら、それぞれの側面

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からみた地域類型化の視点を仮説的に提案して みたい。 まず、学習者からみてどのような地域が学び やすいかが問われねばならない。 人々が何らかの学習の必要性を感じ、その学 習に取り組もうとしたとき、最初に必要となる のは当該の学習課題についての情報である。学 習課題の内容そのものについては勿論だが、そ の情報はどこに行けば手に入れることができる か、またそれを学ぶことのできる場や機会はど こにあるか、といった学習への案内情報も必要 である。また、身近に学習機会が存在している かどうか、さらに、学習仲間がいるかいないか も、大きな問題となる。こうして、学習情報や 学習機会にアクセスしやすいか、そうでないか、 また、学習仲間を得やすいか、得にくいか、と いった二つの座標軸を用いて、学習者からみた 学びやすさの地域類型を図

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のように想定する ことができる。 学習仲間が得やすい B A 学習情報・学習 │ 学習情報・学習 機会にアクセス

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機会にアクセス しにくい │ しやすい C D 学習仲間カf得にくい 図 1 学習者からみた類型 ここでA型は、いわゆる伝統的な「顔見知 り集団」が今なお根づいており、しかも都市へ の交通の便もよいところから、学習情報や学習 機会に比較的恵まれている地域である。大都市 の近郊に位置し、急速に都市化ないしベッドタ ウン化しつつある地域に多い。 B型は、いわゆる従来の地域共同体が色濃く 残っている、大都市から遠隔の地域に多く、学 習情報や学習機会に乏しい地域である。 C型は、学習情報や学習機会に恵まれておら ず、学習仲間もいないといった地域で、たとえ ば過疎地域などに多い。 D型は、学習情報や学習機会には恵まれてい るが、人と人との結びつきは弱いため、学習仲 聞が得にくい地域である。大都市に多い類型と 言ってよいだろう。

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教育行政からみた類型 次に、教育行政からみた生涯学習支援体制上 の諸条件が問われなければならない。 具体的には、民間の学習支援機関、たとえば、 おけいこの塾やカルチャーセンタ一、それに各 種学校の存在などが豊富であるか、貧弱である か、また、首長部局が生涯学習に費ル心であるか、 不熱心であるか、は生涯学習を推進する側にとっ 首長部局が熱心

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民間の支援機関 │ 民間の支援機関 が貧弱 │ が豊富 G H 首長部局が不熱,心 図2 教育行政からみた類型 て大いに問題となる点である。そこで、こうし たこつの要素を座標軸として、図2のような類 型を想定することができる。 E型は、おけいこ塾やカルチャーセンターや 各種学校など、民間の生涯教育関連機関が比較 的豊富に存在し、教育委員会以外の首長部局も 生涯学習に熱心で理解がある。大都市で想定し うる類型の一つである。 F型は、民間の生涯教育関連機関は少ないが、 首長部局は生涯学習にきわめて強い関心をもっ ている。まちの活性化に力を注ぎつつある地域、 村おこしに熱心な地域である。 G型は、民間の生涯教育関連機関が少なく、 首長部局も生涯学習にほとんど関心を示さない 地域である。生涯学習社会づくりを、公的社会 教育に大きく依存している類型と言ってよい。 H型は、民間の生涯教育関連機関は豊富に存 在するが、首長部局は生涯学習にあまり関心を 示さない地域である。 E型と並んで、大都市で 想定しうる類型の一つである。 (3) 学習風土からみた類型 地域住民の学習熱を結集させやすい、たとえ

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ぱ歴史上の人物や私塾跡など学習のシンボルな いし伝統の存在、また、住民の過去の学習経験 の豊富さ(高学歴、講座・学級への参加経験な ど)、簡単に言って地域の学習風土も、生涯学 習社会づくりに大いに関連する。図

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は、そう した学習風土からみた地域類型である。 住民の学習経験が豊富

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1 シンボルや伝統 │ シンボルや伝統 が存在しない │ が存在する K L 住民の学習経験が貧弱 図3 学習風土からみた類型 I型は、住民の過去の学習経験が豊富で、か つシンボルや伝統も存在する地域である。前者 については、生涯学習調査による実態把握が必 要であるが、後者については、顕在化している 場合が多い。たとえば、滋賀県高島郡安曇川町 は陽明学の祖である中江藤樹のふるさととして 有名である。ここでは、その書院跡の保存、維 持、記念館の建設、子どもむけの藤樹読本の発 行と、中江藤樹を中心とした学習風土が育って おり、それは、直接、間接に住民の生涯学習関 心に影響を与えているはずである。 J型は、住民の学習経験は豊富であるが、シ ンボlレや伝統は存在しない。 K型は、住民の学習経験が豊かでないばかり か、シンボルや伝統も存在しない。 L型は、住民の学習経験は豊かでないが、シ ンボルや伝統は存在している。

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地域謀題からみた類型 地域が抱える課題は、住民の学習課題を構成 する重要な柱である。また、それは、地域にお ける各種ボランテイア活動を活性化させ、その 活動に随伴するさまざまな学習を誘因する。し たがって、顕著な地域課題の存在と各種ボラン ティア活動の隆盛は、地域の生涯学習社会づく りと深く関連する。こうして、この二つの要素 の組合せから、図 4のような地域類型を想定す ることカfできる。 ボランテイア活動が盛ん N I M 顕著な地域課題 │ 顕著な地域課題 が存在しない

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│ が存在する p ボランテイア活動が盛ん でない 図4 地域課題からみた類型 M型は、たとえば地域の高齢化水準が極端 に高く一人暮らし老人も多いなど、顕著な地域 課題を抱えており、しかも、それを克服するた めの運動やボランティア活動が盛んな地域であ る。 N型は、顕著な地域課題はみられないが、な にかにつけてボランテイア活動が盛んな地域で ある。旧来の地域共同体の色彩が残っている地 域に多い。 O型は、顕著な地域課題は存在せず、ボラン ティア活動もきわめて低調である。 P型は、顕著な地域課題が存在するにもかか わらず、ボランテイア活動はきわめて低調であ る。 (5) 診断と処方にむけて さて、以上のような諸類型をもとに、われわ れは、具体的なあれこれの地域を診断すること ができる。たとえば、ある地域はAFLM型、 また別の地域はDHJO型といったふうにであ る。そして、それぞれの長を生かし短を克服す るといった方向から、ある程度の処方築を書く こともできる。さらに、その処方築にそった具 体的な手だて、つまり、その地域に相応しい生 涯学習社会づくりへのアイデイアを提出するこ ともできょう。たとえば、次のように考えるこ とができる。 AFLM型は、民間の支援体制は貧弱で、住 民の学習経験も豊かでないが、学習シンボルや 伝統が存在し、顕著な地域課題を抱えているこ ともあってボランテイア活動は盛んである。身 近な学習仲間もそのようななかから育っている ように恩われる。首長部局も熱心で、学習情報 や学習機会にもアクセスしやすいので、生涯学

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習社会が成熟しやすい条件を備えている。土着 的な顔見知り集団を学習集団へむすびつける工 夫が決め手となる。そのアイデイアとしては、 たとえば、 8人以上の仲間で自発的につくられ る学習集団には、指導者を紹介したり資金的な 援助をおこなう制度を設け、地域の学びの輪を 活性化するなどが考えられる。 DHJO型は、住民の学習経験が豊かで、民 間の学習機関も多く存在しているため、学習情 報や学習機会に恵まれている。だが、シンボル や伝統は存在しないし、顕著な地域課題も存在 しないためボランテイア活動も活発でない。し たがって、学習仲間も育ちにくい状況にある。 どちらかと言えば、個人学習型の生涯学習を得 意とする地域と言ってよいであろう。社会通信 教育の受講者を集めてスクーリングをおこなっ たり、

NHK

のテキストの購読者をつないでグ ループ化したりして、個人学習をさらに強化す る試みが一つのアイデイアになる。

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地域類型の事例分析 -滋賀県内の三市町一 (1) 目的、内容および対象地域 これまで述べてきた生涯学習社会の地域類型 は、極端に単純化している。実際には、こうし た地域類型にそっくりそのまま当てはまる地域 は存在しない。つまり、それは、一つの理念型 に過ぎない。だが、こうした類型に照らしてあ れこれの地域を分析することは、大いに意味が ある。どの理念型に最も近いかを検討すること によって、地域の診断が可能になり、したがっ てその地域に相応しい生涯学習社会づくりの方 向が少しずつ見えてくるからである。ここでは、 滋賀県内の三つの市町、八日市市、今津町、大 津市、を取上げ、それぞれの類型を分析、検討 することによって、そうした地域の診断の試み を、言わば例示的に行ってみたい。すなわち、 これらの地域の生涯学習の利便性とかかわる立 地条件や住民の学習意識などを分析し、そこか ら類推される三市町の生涯学習社会の地域類型 を摘出し検討してみたい。八日市市と今津町は 文部省のモデル事業指定市町であり、大津市は 滋賀県内でも代表的な都市型地域である。この 点で、これらの市町は、こうした事例分析をお こなうのに相応しい興味ある地域と言ってよい。

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三市町の類型 ア 八 日 市 市 八日市市は、琵琶湖の東、湖東平野のほぼ中 央に位置する。人口

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万余の田園都市である。 名神高速道路のインターチェンジを有し、私鉄 の近江鉄道が一日わずかの回数で走っているも のの、 JRびわこ線の沿線から遠く離れている ため他の市町や大都市からの独立性の度合いが 比較的高い地域である。したがって、学習情報 や学習機会の提供はどちらかと言えば自前でお こなわねばならない。古くは市場町として栄え、 全国的に知られる「八日市大凧」の伝統をもっ。 地域共同体は健在で、、住民相互のつながりは深 い。一般行政の生涯学習への関心はそれほど強 くなく、民間の生涯学習関連機関も少ない。青 少年を対象とする夏の長期野外キャンプ(八日 市サマーピレッジ)や成人を対象とする八日市 市民大学は、県下でも先導的な事業であり歴史 も古い。市立図書館は充実しており、利用度も 高い。住民の学習経験は豊富であることが予想 される。どこの地域も抱えている現代的課題は 存在するが、八日市市個有の顕著な地域課題は 存在しない。 以上から、八日市市の地域類型は、学習者か らみてB型、教育行政からみて G型、学習風 土からみて I型、地域課題からみて N型、とい うことになる。すなわち、

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型である。 イ.今津町 滋賀県高島郡今津町は、琵琶湖の西、京都か ら北陸に通じるJR湖西線沿線のほぼ北端に位 置する。歴史的には、若狭と都を結ぶいわゆる 鯖街道の玄関口にあたる。人口は約1万3千、 西国三十三ケ所の竹生島札所へと高速船が就航 する風光明蝿な田舎町である。 都会から遠く離れていることもあって、学習 情報や学習機会にはそれほど恵まれていない。 とりわけ近年の多様化し高度化しつつある学習 要求に対応することは、とても困難で、ある。最 近、滋賀大学の公開講座を誘致して「今津住民 大学」を開設しているが、それとて十分とは言 えない。旧来からの地減共同体の色彩が残って おり、住民相互の結びつきは強い。地域に根ざ

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し、地域生活を足元から見直す「いまづ生活学 校jは、このような地域的基盤を背景とする自 発的な学習グループである。民間の学習機関に は恵まれないが、 一般行政のまちづくりに対す る熱意が、生涯学習への関心を高めつつある。 地域住民を学習へと結集させるようなシンボル は存在せず、住民の学習経験もどちらかと言え ば浅い。顕著な地域課題は存在しない。このた め、市民運動型のボランティア活動は目立たな いが、地域共同体型のボランテイア活動は根強 く存在する。 以上から、今津町の地域類型は、学習者から みて B型、教育行政からみて F型、学習風土 からみてK型、地域課題からみてN型、とい うことになる。すなわち、 BFKN型である。 ウ.大津市 滋賀県の県庁所在地である大津市は、琵琶湖 の最南端に位置し、京都に近接する人口約25 万の都市型地域である。最近では、京都、大阪 のベッドタウンの様相も濃くしつつあり、人口 急増の都市でもある。このため、住民の価値観 の多様化が進んでいる。地形も琵琶湖に沿って 東西に細長く、一口に大津市と言っても、実際 には多様な顔をもっユニークな町である。近隣 に大都市を控えていることもあって、学習情報 や学習機会には事欠かない。小学校区ごとに設 置されている公民館を中心に、都市にしては住 民相互の結びつきも強く、学習仲間は比較的得 やすい。民間の学習機関も豊富であり、近隣大 都市を視野に入れると、その数はさらに広がる。 一般行政の教育的事業も、多彩である。住民を 学習へと結びつけるシンボルは存在しないが、 以上のような条件を反映して、住民の学習経験 は比較的豊かである。顕著な地域課題としては、 主には琵琶湖を中心とする環境問題がある。新 興住宅地域などには、消費者活動や福祉活動な ど都市型のボランテイア活動も活発になりつつ ある。 以上から、大津市の地域類型は、学習者から みてA型、教育行政からみてE型、学習風土 からみてJ型、地域課題からみてM型、すな わち、 AEJM型である。 5. 今後の課題 以上、生涯学習社会の地域類型化の視点を仮 説的に提出、検討した。もちろん、具体的なあ る地域がどの類型に属するかは、それぞれの指 標に基づく綿密な調査を必要とする。この点で、 4で検討した事例分析も、ここで提示した類型 化の仮説をより分かりやすくするための便宜的 なものに過ぎない。したがって、地域類型を摘 出するための細かな調査項目の確定、及び類型 ごとの生涯学習社会づくりへむけての戦略的内 容の精綴化は、すべて今後に残されている。小 論は、これまで極めてあいまいにされていた生 涯学習社会づくりの実行可能な視点を、地域類 型という視角からとらえるための、あくまでも 仮説の提出、 言わば試論を提出したに止まる。 参考文献 (1) 岡本包治、山本恒夫編 f都道府県の生涯教育シ ステムJ(生涯教育対策実践シリーズ2)、ぎょう せい、 1985年 (2) 岡本包治、山本恒夫編 『市町村の生涯教育シス テム

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(生涯教育対策実践シリーズ3)、ぎょうせ い、 1985年 (3)伊藤俊夫、岡本包治、山本恒夫編 『生涯学習ま ちづくりJ(生涯学習講座2)、第一法規、 1989年 (4) 岡本包治 『生涯学習のまちづくりノウハウ』ぎょ うせい、 1989年 (5) 国土庁大都市圏整備局編『地域からみた生涯学 習』、 1989年 (6)福井県教育庁生涯学習センター 『豊かな人生の ためにJ(生涯学習双書第七集)、1990年

参照

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