256 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
(112) イナ ガキ チ ホ稲垣千穂(昭和3
博士(医学) 乙第1458号平成6年3月18日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
Extent of hypercholesterolemia(ExHC)ラットにおけるpuromycin
aminonucleoside(PAN)による腎障害に対する高コレステロール血症の影
響 (主査)教授 二瓶 宏 (副査)教授 大森 安恵,新田 澄郎論 文 内 容 の 要 旨
目的 高脂血症が腎機能増悪因子となりうるという報告が なされてきたが,臨床的には具体的な成績を示した研 究は少なく,実験的にも腎機能と腎組織の両面から取 り組んだ実験はなかった.1本研究では,遺伝性食餌性高脂血症モデルであるExHCラットにPANを投与
し作製した実験的腎不全に高コレステロール食を摂食 させ,腎機能と腎組織の両面について比較検討をした. 対象および方法1.無処置群およびPAN群の作製
6週齢の雄性ExHCラットを無処置群とPAN群
に分け,各々に標準食(ND食)と高コレステロール食 (HC食)を摂取させ,以下のように紅茶した. 1)無処置群+ND食(ND群:n=6) 2)無処置群+HC食(HC群:n=5)3)PAN群十ND食(PAN十ND群:n=5)
4)PAN群十HC食(PAN十HC群:n;6)
PAN投与群には,頸静脈より5mg/100g体重の
PANを投与し,その1週間後に再度10mg/100g体重
のPANを皮下注した.無処置群は同量の生理食塩液 を同様に投与した.8週間飼育し,その間に血清総コ レステロール値,24時間尿蛋白量,収縮期血圧(SBP) を測定した. 2.クリアランス試験 14週齢でイヌリ‘ンクリアランス(CIN)およびパラア ミノ馬尿酸クリアランス(CpAH)を測定し,丘ltration fraction(FF)を算出した. 3.組織学的検討 Periodic acid-Schi症(PAS)染色,ラットのマクロ ファージおよびモノサイトに対するモノクローナル抗 体であるED-1を用いて酵素抗体法で染色をした.各々 について巣状糸球体硬化病変(FGSL)の割合,泡沫細 胞(f6am cell)の数,問質の細胞浸潤の程度, ED-1陽 性細胞の平均個数を求めた. 結果 血清総コレステロール値はHC食負荷群で増加し, 特にPAN+HC群で著明であった.24時間尿蛋白量はPAN群で増加し,コントロールのHC群でも増加傾
向を示した.SBPはPAN+HC群での上昇が著し
かった.CINはPAN+HC群で有意に低下していた.腎組織でもPAN+HC群で糸球体内にfoam cellが多
数出現し,FGSLも81.2±5.5%と有意に増加してい た. 考察 高脂血症が腎機能を増悪させることは明らかである が,進行した腎機能障害が存在する場合はより顕著で, 血清コレステロール値を是正することは,腎機能障害 の進行阻止の点で重要であると考えられた. 結論 ExHCラットにおいて, PANによる腎障害に高脂 血症を合併することにより腎機能は更に低下し, FGSLも高度であったことより,慢性的な高脂血症は 一862一257 既存の腎障害の増悪因子であると考えられた.