〔綜 読〕 (妻子讐學研究・第20春・第2號質:36−40昭和25年5月)
脂:質の中間代謝
東京女子讐科大三生化學教室激 授 松 村 義 寛
マツ ムラ ヨシ ヒロ1.必須脂肪酸 し・絡には死亡する。腎の攣性は殊に蛋白質の給
與が多い時に著しい。解剖して見ると訳読脂肪は 從來脂質と糖質とは軍に熱量源と丁丁されて居 全く浩失して居る。 り無脂肪食即ち蛋白質と糖質とだけから構成せら この様な動物に封して飼料に天然の脂肪を2れた食餌によって動物は完全に成長獲育を逡げる ものと考えられて居た。然しながら所謂無脂肪食・ %の割合に混じて與えると治癒するので・天然の は,蛋白質及び糖質を実然産のものを使用する限 脂肪中O成分の何かが訣乏したために起つた症盗り,⑳起源【酬いて廻せられて居瑚旨質を除である鮒で・この有鰍直感略して見ると鹸
く事は甚だ困難嬉である.搬ば天羅のトゥ不化物や殉セリンで流血であ禦・結局リノ
モ・コシ灘をエーテル,ベン距ル$a、磯二一ル醐ルン酸・である事が分つた・乏等は二
媒を用いて徹底的に抽出する事に依り脂質を除い 重結合を2個叉は3個含んで居る・所が二重:結合 たあξでも,それを加水分解して見ると常に0.5 8個のオレイン酸は無効であった。リノ・mル酸・ ∼0.6%の脂肪酸が蓮離せられる。この時に得ら リノレン酸の効果は等しい。後になってアラeドれた脂肪酸は.・ル,チン蜘・24%砧め,リ・ン激論効である事醐つた・何穐極く撮で
tZ ■ン酸36%,」“u4ン酸40%であったと云う。 充分なので・ネズミに温してはづ日量30・)40mg 結局完全に無脂肪の食餌を作るためには,極度に でよいり精製し得るもの読んで励なけ繊ならない。 同無事實はブタ蹴いても確めら輌ブタは
理想的に畷白丁としては合成アミ、ノ酸の混合糖質よリステアリン酸パルミチン酉販びオレイ物鞭源として謙捌くはブ帥糖を用う’ン酸飴威し得るカ㍉リノー・嚇リルン酸は
る。之に無機盤類及び撞々のビタミン類を加えて 合域不能である事が諮せられた。動物實験を行うべをである。 何れの揚合で礁脂質食で飼養した動物の食下
、ネズミにこのような完全無脂肪食を與えると間 量は野照動物に比して多く・熱量は必要以上に概 もな徹乏齢礫生する。㌔P蝦の*69,頭部古して居るのであるが・ee内に月旨肪組織としては の脱毛が最:初に見られ,績いて全身の脱毛を起 貯えられす・却ってそれまでにあρたものまで消 し,皮膚炎が耳頸,上胸,前肢の背部,脛,後肢 耗し審されて行って居る。この様な時にリノFル 二等を微量與えると下刷が恢復して來る。 の背部等に出現する。口角に裂目が出來,舌二炎を 以上の事實よリリノール酸,リノレン酸及びア件い・尾は壊疸に陥る。アデルミンの訣乏症に類翫爾蓬錨二墨欝響孟康途箆説餐灘禦篇綴茎劉
・・B・囎・依・.但蛋瞭して[・精製しレ・卵郵漁る・蟷幽する龍睨蝿ビタ㌣
な用いtこ。 類の如くであり,常に食物として撮取しなければ 一一R6一
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ならない。そこで二等の高度不飽和脂肪酸を必須
脂肪酸(Essential fatty acid)と呼ぶ。
2騨肝(Fatty 1ive「)
肝臓中のグリコゲン量が減少する場合に,それ と逆行して脂質が肝細胞に蓄積せられる事實は病 理組織學的によく知られ七居り,脂肪肝と呼ばれ て居る。健康な肝内の脂質量は大約5%程度で, 中・幽旨肪2%,燐脂質2%内外よりなると云う。 所が脂肪肝では絡脂質量は五〇∼30凛に増加し・ その増加分は殆んど中性脂肪で,燐脂質は却って 減少して居る。 膵を除去し允犬はインシュリンを投記する事に よ.り略正確に生命を維持するが・インシt’リンの 投與を止めると,高血糖,索出を磯現すると共に 肝内eci>脂質が増加し,同時に高脂血症,ケト症が 起ってくる。即ち糖質の酸化燃焼カミ極度va抑制す、 られた結果,脂質がエネルギー源として,代償的 に代謝が促進せられ,脂肪が動員せられて居る事 を表明して居る。この揚合の血液及び肝組織中の 脂質を構成して居る脂肪酸の分布は正常の貯藏脂 質の放分と近似して居る黙からも記せられる。 糖質の代謝の障害ξ除けば・上記の異常は浩失 して1しまう。 要するに之等の歌態は脂質の代謝に封ずる彊烈 な,しかしながら正常な生理的の刺戟に試する生 理的の反懸であって,脂質の組織に於けるエネル ギ…源としての消費と云う健常な方顧C張力に進 行する過程であるので若し糖質が再びエネルギF 源として用い得る燃焼過程が復活すれぼ,逆に脂 質の合成貯藏に向いて流れて行く事になる。 之に鍬して膵を除去レ,インシュリン投出を永 く績けて居る動物に脂肝が褒現して摩るが,この 方は上認のものと漸く様相を異にする。epち脂肪 浩費の増加もなく,ケト症も見られす,血中脂質 の上昇も認められない。同様な病的脂肝は一々食 餌性の訣陥によっても襲現するもので,.その本態 は肝藏において罪質から脂肪を合解する町回に關 して瞳害が生する喜により読明せられる。3.肝における脂質の門門
從來肝臓において脂質は組織での酸化燃嶢の準 備過程として不飽和化を受けるものと考えられて撫二雪璽鵬難鴇鞭繋憲憂
を設明するためであったがこれは再検討を要する 即ち1に述べた如く酷寒では脂酸の不飽和化は 起らないからである。郎ち高度不飽和脂酸は膿中 で合成もされなければ,.他のものから縛化もしな い。從って肝申の脂質の不飽和度の高い事實は, 飽和脂酸が不飽和化を受けたために起るのではな くて,早口的に播取された脂酸の中で不飽和度の 高いものが集積される專を意味する6尤も肝臓で ある程度の不飽和化が起る事はあるので,Hildi− tchの指摘した様にステアリン酸叉はパルミチン 酸の中央の鎚骨が二:重結合となりオレイン酸パル ミトォレィン酸が生する事は可能であり,.脂肪の 硬度はこれによって講節されるのであろう。オレ イン酸,ステアリン酸の聞に可逆的に層化レ得る 事は種々の事實から確められて居る。 さセ前述の如く,肝中脂酸の不飽和度の高い事 は不飽下学酸の集積によるのであるが,之は燐脂 質申に含まれた不飽和脂酸に義甲する。燐脂質は 二個の脂酸を糾するが,その中少くも一1馳高 度不飽和脂肪酸即ち必須脂酸である。燐脂質は野 性電解質であって,永との親和性が高い。高級脂 肪酸は永に溶けないが,燐脂質の中に含まれる事 により血行を介して諸所へ蓮搬されるものと考え られる。燐脂質の他の一個の脂肪酸は蓮回せられ る脂肪酸であろう。 食餌中の脂肪酸が速かに肝臓の燐脂質細部中に出現する事はSinclair ,’ Canav agh, Raper等の
同位元素を使った實験により立賑せられて居る。 若し里中の燐脂質の生域が妨げられてくると脂 肪の艦内移動が野津でなくなるために,脂質の代 .謝に異常が來る事になる。之が前節の終りに述べ た食餌性脂肝の襲撃機構である。 即ち燐脂質を構成する成分はグリセロ燐酸,コ リン,必須脂酸「分子及び指継一分子であって, この中グリセロ燐酸は糖質代謝の中間過程に於V・ て生するものであるから,その訣乏は先づ起らな いものであるけれども,コリン及び必須脂酸は径 一37一一一
.口的の供給を要する。尤もコリンはアミノ酸の一 種グリシンより生じたエタノr一 2レプミンが向じく2 .アミノ酸の一種メチ#ニンよリメチル基の供給を 受けて膿内で合成し得るが・.これとても.・夫々の 原料であるグリシン,メチオニンがその本來の需 要量以上に供給せられる要がある。叉更にメチオ Ptンが供給されてもそのメチル奉が他の方面に需 要が起って一=リンの方に不足する事もあるQこれ 等の揚州をPeters,Vζn slykgの著書より引用 した表によって示さ.う。 分多量に與えると先づグリコゲンが脂肪組織に沈 着し,そのまま,そこで脂肪に蒋化すると云う。 即ち脂助組織内でも脂肪の生成が見られる。この 場合はグリコゲン申のブle・ウ糖の三分子が還元縮 合してスデアリン酸等に攣化するものと考えられ るu (ロ) .脂肪酸相互の韓攣 ラウリン酸(CL。),ミリ1スチン酸(CM),パルミ チン酸(Ci6)ステアリン酸(,Ci8),の長鎮飽和 脂酸及び,オレイン酸(C.),パルミトオレイン 表1:一食餌性脂肪の原因(Peters&Van S!yke) 障害 の 原.因 必須脂酸の敏.乏 耳 リ..ゾの.訣乏 メチナニソの敏乏 グリづチ.アミゾの過剰 チスチソの過.剰
セリゾ.の過剰
も.づレスデリソの過剰 肝 臓 工 ’キ ス・膵 臓 別 出
ビタミンBヱの過剃 ビ タ ミ ソB2の過剰 セリドキシ)/.電工 1パントデ.ソ酸訣乏 1 ビ オ チソ・過 剰 ニコチシ酸の過剰 措 .抗、 彌 ・.E聚プ・.の他
,・一’g
十 十 (+) +? (+) (+) 十 十 (+) +? 十・1
十 十 十 十 +? (+)・ (+)一 十 十 十 (+) +? 一十 メチル供與鷺 ホ.モチスチゾ 十コリゾ メチル供興膣 i)ボカイツク イノジソ} リポカイツク、 イノシット インシツ〉 メチル供壁糸 設 明 グリコチアミンがジレアチソ芝なるアこめにメチル基 た溝費すろ。 nリ・に封ずる要求が増え,脂肪生成が促遙される。 チスチソの生成及びフナスフナチヂルセ1]ソの過剰 生成。、 至愚脂酸だ燐脂質ピ奪ひ合びたする?1 ビナチソの過剰。1ipotr Pic factorの吸教不能,有害物質の吸牧 食慾及び代謝の壌進 同. 上 ゴリソ及びイノシツ下の需要檜加 不. 明 イノシットの需要壌加 下IJゴネリソ生成の7こめメチル基炬漕費する。
4.脂肪酸の.代謝
(イ) 脂肪酸の生成 必須脂酸の供給が充昏な時は,必須脂酸以外の 脂肪酸は糖質又ぱ蛋白質.より合成せられる事は前’ 述.した。ζり機作に評して,從來糖質叉は蛋白質 の中閥代謝の過程中に生じた二階二個よ珍なる化 合物.(酪酸の誘導罷でアセチル燐酸も有力な物質 と考えられて居るQ).の還元縮合によるものとせ られ,.天然の皆皆翻旨肪酸が偶激個の炭素を含む説 明.をして居る。生成揚所は:主として肝臓である。 この他にTiirkisher,Wertheimerに俸ると長期 間飢識歌態とし脂肪を歓乏させた動物に糖質を充 血(C、6)」の二重結合一個の不飽和脂酸は聴:互い .に轄高義攣であり,随時攣化して居る。從って何 れも糖質等より韓じて生成する事が可能であるb ・カプリシ酸.(clo),以下の短気脂酸は上のもの と全く性質が異り決して長鎮のものへ移行しない .常に燃焼されてより短いものに攣する。殊に肝臓 .に訟いて酸化せられる時は必ずアヤトン艦をi回 する。騨鎮脂酸は孚L汁中には多く分泌塗ら.れる が,.その他の禮組織中には甚だ少量である。 (ハ).脂肪酸の酸化 a.ケ.トン艘の門生 血中にβ一オキシ酪酸,アセト酢酸及アセFン等 の斯謂ケトン農を含有し,尿中にも之等を排泄す4・ る揚合をクト症(ketosis)と呼んで居り,脂肪が 異物な代謝過程をとる殴合に見られるものと考え て居た。しかし技術の進歩と共に健常な生艦にあ っても血液中に常に0.51H9/d1程度存在し,正常 尿に・も一日量14N23mg排泄:されて居る事が分 つたので,異常産物ではなく正常の代謝過程に於 の いても産生されて居ると考えねばならない。 ケトン罷の生議事所は肝臓であって,他の組織 では殆んど産生しない。そして,肝臓はケトン罷 を酸化燃焼する事はなく,他の組織はケトン罷を よく燃焼する。ケトン膿になる原料は脂肪酸であ る。正常の血液中にケトン膿が存在する所から見 ると,肝臓では常時ケトン盟を産生して居るわけ であるが,糖質の供給,組織での糖質の酸化が雫 常の如く行はれて居る限りは肝でのケトン罷生成 は最:小限度に止まって居る。之等の:事實は動物實 験で諸臓器の除外したり,渡海臓器の灌流及び培 養切片に就いて確められた。軍離した肝に脂肪酸 を與えると常になトン盟が得られ,その際のR・ Qは。.3位である。かかる極端に低v・RiQは: 脂肪酸のケトン膿への轄化によるとするより以外 説明困難である.。 b.脂肪酸の酸化過程に止する諸説 (イ)ttβ一酸化読・KnoOP一「の説: 脂肪酸のω・炭素のPhenyl・置換燈を動物に轟 轟して,尿中に出現するPhenyl化合物(馬尿. 酸若くはPhenacetur酸)の決定より,脂肪酸 は末端カルボキシル基より購えてβ位の炭素に 酸化が起り順次,原の脂酸より2炭素宛短縮しだ 脂酸に攣化して,逡には完全に燃焼せられるとす’ る説で,原脂肪酸が偶撒個の炭素を含むときは中 間に酪酸が生じ,次にβ位が酸化されてβ一オ キシ酪酸(叉はアセト酢酸)となる。通常は更に このものは完全に酸化せられるが,障害がある時 はそれが蓄積すると云う。この読では脂酸「分子 よリアセトン膿は一分子しか出身ない事になる。 (ロ) 交互多面酸化論Hurtleyの説 脂肪酸の細長に鞭って一つ誌きの淡素原子に酸 化が起り,i次いで一時に2個宛,叉は4個宛の炭 素を有する脂肪酸叉はオキシ酸に分裂すると云』 う。一個の分子が酵素の働きによって同時に多数 個の黙で分裂する事は丁度グリコタンが,中塗的 の大きさの多塘類を揮面しないで直ちにブドウ糖 燐酸エステルになる揚合の如くである。この説で はパルミチン酸,ステアリン酸共に最大限4分子 のケトン罷を與える事になる。 (ハ)二炭素化合物を中添髪とする説・Mcl(ay の説 脂酸は(イ)叉は(ロうの何れかの過程により全部 2炭素化合物に進じ,肝臓にては2個宛の2炭素 化合物が寄り合ってアセトン艦を形成し其の他の 組織ではそのままトリカルボン酸サイクルに入っ て完全に酸化せられる。肝で生じたアセトン禮は 血流により他の組織へ蓮ばれたのちに酸化燃徹す る。この説に依れば,パルミチン酸は4分子の, ステアリン酸は4分子牛の、ケトン禮を生する事に なる。 上記¢)諸説が相次いで襲表せられた所以は圭と して肝臓に於けるケトン艦獲麟を定量的に説明す る目的に感じたものであって,實際に實験に依れ ば(Butt, Cutler, Hallmann, Deuel等) 飢餓動物に種六の酸を與えてク・トン罷の排泄を見 ると,酪酸(CD,カプロン酸(C,)を與えると きはβ・オキシ酪酸,アセト酷酸を與えた時と同 程度であり,カプリル酸(Cs)では略二倍となる。 反Deue1等に依るとパルミチン酸エチル,ステア リン酸エチル,オレイン酸エチルの揚重はカプリ ル酸エチル,ラウリン酸エチルに比べて’ケトンの 産生が多く,各一分子に就き少くとも3分子以上 のケトン燧の転生が示される。 樹更にこの問題に謝して同位元素に依る實験の 示す所では,Medes, Floydに依ると肝切片を カルボキシル基lc Ci3を含むn・Octanoic酸(カ プリン酸に相適する)と共に培養した結果アセト 酪酸として回牧されたClb・の量はMcKayの設 を裏書し,更に同様にカルボキシル基lc C13を含 む酪酸を與えて次の如きケトン匿を得た事はMc kay詮以外では三明困難である。 C*=;Ci3“ CH、.CH2一→ICH3−CO・CH・COOH鼻CH・CO * 一CH2・COOH,,CH3−CO−CH2 ρH・・…COOH−COOH,CH、.Ci−CH.,さOOH 結局偶敷脂肪酸は肝臓に於いては含有全炭素が
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ケトン醒生成に回る事が分つたが・正常の動物ζ あっては脂肪よりのケトン生成は極爵乙少v・もの で,糖質代謝の障害が生牽るとそれに慮する如く 肝に於けるケトン醗焚生が増加し,他組織に至っ て燃焼しエネルギー源となるものと思はれる。こ の様に糖質代謝の障害のどの様な機序が作用して ケ、トン罷産生を促がすかは今後に獲された問題で ある。 奇歎脂酸は從來ケトン騰にならないものと擢唱 せられ,糖尿患者に好適な食餌であるとされた。 實際問題として三三脂酸を作る事は甚だ高債であ 珍,不味でもあるし,その上に融勲も高く,溶解 ら,實用的なものではない。三際に糖尿患者に與 えてそれぶ利用せられたと云う確實な誰明は:ない 繊である。 更に上記の新i溌に從えば,L’奇敏脂酸より”もケト ン艦を作り得るわけであって,實際に肝切片に:奇 藪脂酸を作用させてケトン禮が得られる事も示さ れた。然し奇三聖酸がグリコゲンを形成する事も 確實であって,結局奇激脂酸は二:様に攣化し得る と考えられる。 以上述べた脂質の中間代謝を圖式的に表示する と次の如くになる。 表 2:一脂質.の中間代謝の一覧表 1 邑 ロ ほ