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禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 

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(1)

《原 著》

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 連絡先

108

-

8345

東京都港区三田

2

-

15

-

45

慶應義塾大学商学部 山本勲

TEL: 03

-

5427

-

1085

e

-

mail:

受付日2018年9月10日 採用日2019年6月14日 【目 的】 経済学のアプローチから、居酒屋で禁煙を実施した際に、口コミサイトの評価が悪化するかどう かを定量的に明らかにする。 【方 法】 飲食店のレビューサイトの口コミ評価や店舗の特性に関する

2012

年から

2016

年までのパネル データ(追跡データ)を構築し、計量経済学の分析手法を用いて、禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 を統計的に推定した。 【結 果】 禁煙や分煙の実施は口コミ評価の得点でみた居酒屋の人気度に対して、統計的に有意な影響を与 えていなかった。 【考 察】 居酒屋の禁煙実施が顧客からの口コミ評価に影響を与えないという推定結果からは、喫煙環境が 顧客の店舗選択の要因になっていない可能性や、たとえ喫煙者の需要が減少したとしても非喫煙者の需要が 増加するためにネットでみた需要の変化は生じない可能性が示唆される。 【結 論】 居酒屋で禁煙を実施したとしても、顧客からの評価が下がり、喫煙可能な競合店に顧客がシフト し、売上高が減少するとは考えにくい。よって、健康被害を防止することを目的に、政府や自治体、顧客が 居酒屋に禁煙や分煙の実施を要請することは、経済学的な観点からみても正当化することができる。 キーワード:禁煙・分煙、受動喫煙、口コミ評価、パネルデータ

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響

山本 勲1、大谷広伸2、後藤晋太朗2、齊藤啓太2、都築健太郎2 1.慶應義塾大学商学部、2.慶應義塾大学商学部(論文投稿時) 緒 言 受動喫煙による健康被害を防ぐための対策とし て、東京都が受動喫煙防止条例案を制定したほか、 国レベルでも国会で健康増進法改正案が可決・成立 した。国際オリンピック委員会や世界保健機関は、

1988

年より「タバコのない五輪」をスローガンの

1

つ に掲げており、イギリスでは屋内全面禁煙、北京や ソチでは受動喫煙対策といったように、オリンピッ クの各開催国は受動喫煙への対策を進めてきた1)

2020

年に夏季オリンピックが開催される日本でも、

2018

6

月に東京都で受動喫煙防止条例、同年

7

月 に国の健康増進法改正案が可決され、飲食店の原則 屋内禁煙が

2020

4

月までに段階的に施行されるこ とになった。しかし、東京都の条例では従業員を雇 わない個人営業の飲食店では禁煙を選択できる余地 が残っているほか、国による健康増進法改正でも客 席面積

100

平方メートル以下の飲食店は屋内禁煙の 規制対象外となっている。このように、日本では全 面的で拘束力のある禁煙措置は必ずしもとられてい ない。 こうした状況の背景には、居酒屋やバーなどの飲 食店の顧客には喫煙者が多いため、全面禁煙を実施 すると顧客数が減少してしまうと飲食店の経営者が 懸念していることがあるといわれている。実際、東 京都福祉保健局が

2017

年に実施した約

7,000

の飲食 店への意識調査によると、喫茶店やファミリーレス トランなどの一般飲食店で全面禁煙の条例案に反対 する比率は

42.3

%であったのに対して、居酒屋など の遊興飲食店では

64.2

%も反対を示している2) しかし、居酒屋などの懸念はどのような根拠に基 づくものなのだろうか。東京都が

2017

年に実施した

8,712

人の都民への意識調査によると、受動喫煙防 止に向けた法的な規制に対して、喫煙者の

50.6

%は

(2)

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 反対しているが、

31.8

%は賛成を示しており2)、喫 煙者のすべてが禁煙化した居酒屋を利用しなくなる とは限らない。また、居酒屋を選択する要因には喫 煙の可否だけでなく、味や雰囲気、立地など、さ まざまなものがあるため、法的な規制に反対する

50.6

%の喫煙者であっても、居酒屋に魅力があれば 禁煙化したお店を利用し続けることも考えられる。 さらに、同調査によると、非喫煙者の

75.8

%が法的 な規制に賛成しているため2)、禁煙化によって受動 喫煙を自ら防ぐために利用してこなかった非喫煙者 の顧客を増やすこともできるはずである。 こうした予測は東京都の調査などに基づけば客観 的に行うことができるが、喫煙者の顧客の多い居酒 屋としては、禁煙化すれば顧客や売り上げの減少が 進むことのリスクを当事者として過度に重視してし まう可能性もある。そこで、本稿では、実際の居酒 屋のデータを用いて、居酒屋が禁煙や分煙を実施し たことによって業績が落ちるかどうかを定量的に示 すことで、そうしたリスクに関するエビデンス(科学 的根拠)を提示したい。居酒屋にとって禁煙化による 業績悪化のリスクが小さいとのエビデンスが得られ れば、禁煙化に反対する居酒屋が減少するとともに、 自主的に禁煙化を実施する居酒屋も増加すると期待 できる。 ただし、居酒屋の顧客数や売上高などの業績に関 するデータを入手することは容易ではない。そこで、 本稿では居酒屋の業績を示す指標として、インター ネット上の飲食店レビューサイト「食べログ」の口コ ミ評価を用いる。口コミ評価はすべての顧客が投稿 するわけではないため、必ずしも居酒屋の業績とは 一致しないが、購買行動に影響を与えることがアン ケート調査から示されているため3)、口コミ評価は 業績の先行指標とみなすことができる。また、口コ ミ評価は多くの居酒屋について利用できるほか、全 体評価だけでなく、喫煙可否が影響を与えると考え られる居酒屋の雰囲気に関する評価も利用できると いったメリットもある。 データとしては、口コミの投稿された時期に応じ て居酒屋を年単位で追跡するパネルデータ(追跡デー タ)を

2012

年から

2016

年まで構築する。また、喫 煙可否については、各居酒屋に実施時期を電話で聴 取することでデータを収集した。これらのデータを 用いて、本稿では、味や店舗の特性、立地市区町村 の特性などの他の要因を統計的に一定としたうえで、 禁煙の実施後に口コミ評価が下がるかどうかを計量 経済学の分析手法を用いて検証する。 禁煙や分煙の実施が店舗の売り上げなどに与える 影響を検証した海外の先行研究のほとんどが、都市 単位での法的な全面禁煙化を対象にしており、居酒 屋による自主的な禁煙を対象とした分析は筆者らの 知る限り存在しない。居酒屋が禁煙や分煙を実施し たとしても、必ずしも人気度が下がることはないこ とを明らかにすることによって、禁煙化の影響につ いて、データに基づいた客観的なエビデンスを提示 したい。 禁煙政策の影響に関する先行研究 禁煙政策が飲食店やバーの収益・雇用などに与え る影響に関しては、海外で多くの研究が行われてい る。アメリカでは、カリフォルニア州で

1995

年にレ ストラン、

1998

年にバーでの喫煙を禁止した法律が 制定されて以降、多くの州で禁煙法が制定された。 禁煙化が進むなかで、これらの法案により店舗の収 益・雇用に負の影響が生じることを懸念して、法案 に反対する姿勢を示しているレストランやバーの経 営者も少なくない。こうした状況を受けて、禁煙法 の制定がレストランの収益に与える影響を検証する 研究が

1990

年代から多く蓄積されてきた4∼5)。ア メリカ以外の国においても、オーストリアやカナダ、 南アフリカで禁煙法の影響に関する実証分析が進め られている6∼8)。これら海外の研究ではいずれも、 禁煙に関する法律や条例の施行は、レストランやカ フェ、バーの売り上げに負の影響を与えないという 分析結果が示されている。 海外のような法的拘束力のある全店舗での全面禁 煙の政策が行われていない日本では同様の研究は進 んでいないが、例えば、愛知県全域の飲食店を対象 に実施したアンケート調査から、受動喫煙対策によ る禁煙化は飲食店の来客数や売り上げに対して負の 影響を及ぼさないことを示した研究がある9)。ただ し、同研究は一時点で行われた調査であるため禁煙 化前後の変化を分析できておらず、また、売り上げ などに影響を与えうるさまざまな要因を統計的に一 定とした回帰分析も行われていない。 このほか、同一ファミリーレストランのチェーン店 舗内で、受動喫煙対策を行う店舗と対策を行ってい ない店舗を比較し、受動喫煙対策がファミリーレス トランの営業収入に与える影響を分析した研究も行

(3)

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 われている1)。同研究では、分煙の実施は営業収入 に影響を与えないものの、全面禁煙の実施によって 営業収入が統計的に有意に増加することが示されて いる1)。同研究では全面禁煙化の経済的影響に関す る貴重な結果が導出されているものの、分析対象が 同一の飲食店のチェーン店舗に限られており、特性 の異なる個々の飲食店での禁煙実施の影響について は必ずしも明らかになっていない。また、上述のと おり、禁煙化に対する反対はファミリーレストランよ りも居酒屋などの飲食店で強いため、居酒屋を対象 にした分析も望まれる。また、同研究で利用された データは

2009

年度

2

月から

2009

年度

12

月と古いた め、受動喫煙対策に対する人々や飲食店の意識が反 映されていない可能性もある。 研究対象、方法 1. 研究対象と利用データ 研究対象は東京都に所在する居酒屋とした。東 京都を対象としたのは、屋内全面禁煙に向けた条 例を制定するための議論において、多くの居酒屋が 強く反対していたことや、本稿で利用する飲食店レ ビューサイト「食べログ」における口コミ評価の投稿 件数が多いため、統計的な解析に適していることな どが挙げられる。分析では、口コミ評価の投稿件数 がより多く、データとしての信頼性が高いと考えら れる

2016

年時点での累積投稿件数上位

200

位の店 舗を対象とした。 分析に利用するデータは、

2012

年から

2016

年ま での期間について独自に収集した各居酒屋の口コミ 評価、店舗特性、店舗が立地する市区町村特性、禁 煙・分煙の有無などのパネルデータ(追跡データ)で ある。口コミ評価と店舗特性の情報は「食べログ」 から収集し、店舗への訪問年ごとの口コミ評価の単 純平均を変数として用いる10)。当該サイトは、口コ ミの目視確認や携帯電話番号と

Facebook

の認証な どの不正投稿対策がなされているほか、ブラウズ数 で計測した月間利用者数は約

1

1,806

万人とユー ザー数も多いため、データとしての信憑性は高いと 考えられる。なお、「食べログ」の運営会社の資本構 成について、筆頭株主は株式会社デジタルガレージ で持株比率

20.73

%を占めている。また、運営会社 の役員

13

名のうち

1

名(代表取締役社長)は日本たば こ産業株式会社に

1999

4

月から

3

年程度在籍して いたことには留意が必要といえる。ただし、分析に 用いる口コミ評価のデータは、「食べログ」運営会社 から提供を受けたものではなく、インターネット上の 「食べログ」サイトに掲載されている居酒屋ごとの情 報を筆者らが独自に収集したものを用いている。 口コミ評価の情報としては、総合評価と雰囲気に 対する評価を利用する。店舗特性の情報としては、 料理・味、サービス、雰囲気、

CP

(コストパフォー マンス)、酒・ドリンクの

5

項目に対する評価を利用 する。このほか、同サイトから入手できる席数、価 格帯、チェーン店かどうかの情報も店舗特性として 利用する。このうち、席数

0

の店舗は立ち飲みの飲 食店である。市区町村特性については、東京都の 『住民基本台帳による東京都の世帯と人口』から年少 人口率、経済産業省の『工業統計表・市区町村編』 から製造業の事業所数を用いる11∼12)。禁煙・分煙 の有無については、同サイトから実施の有無を識別 した上で、禁煙・分煙を実施している店舗にはその 実施時期を電話で聴取した。なお、禁煙・分煙の実 施状況が得られなかった店舗はサンプルから除外し、 各店舗の加熱式タバコの使用可否は考慮していな い。電話聴取の結果、

2012

年は

26.1

%、

2013

年は

28.0

%、

2014

年は

30.4

%、

2015

年は

34.8

%、

2016

年は

37.3

%の店舗が禁煙・分煙を実施しており、禁 煙・分煙を実施する店舗が年々増加していることが 分かった。このように整備したパネルデータの記述 統計量は1の通りである。 2. 方 法 分析には米国

StataCorp LLC

が開発・販売してい る統計解析ソフト「

Stata

」を用いて、多変量解析を実 施する。具体的には、口コミ評価の点数を禁煙・分 煙の実施の有無や店舗特性、市区町村特性などで説 明する以下の(

1

)式を計量経済学の固定効果操作変 数法で推定する。

Review

i, t

=

β0

+

β1

Nonsmoking

i, t

+

β2

X

i, t

+

β3

Area

i, t

+Tt

+Fi+

εi, t

1

) ここで、被説明変数の

Review

i, tは居酒屋

i

t

年 時点の口コミ評価の点数であり、総合評価を用いた 推計と雰囲気に対する評価を用いた推計をそれぞれ 行う。説明変数の

Nonsmoking

i, tは禁煙・分煙を実 施していれば

1

、していなければ

0

をとるダミー変数 (禁煙・分煙ダミー)、

X

i, tは店舗特性、

Area

i, tは市

(4)

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 区町村特性、

T

tは年に固有な効果、

F

iは居酒屋

i

に 固有で時間

t

によって変わらない固有効果、εi, tは撹 乱項、βはパラメータである。 (

1

)式において、注目する説明変数は禁煙・分煙 ダミー

Nonsmoking

i, tであるが、被説明変数の口コ ミ評価

Review

i, tが低いから禁煙・分煙化を居酒屋が 選択するといった逆方向の因果性が存在すると、禁 煙・分煙の口コミ評価への因果的な影響を識別でき ず、また、推定パラメータに一致性が得られないと いう推定バイアスが生じてしまう。こうした場合、 計量経済学では、固定効果モデルを適用して居酒屋 に固有な効果

F

iを除去するとともに、禁煙・分煙ダ ミーとは相関するが、被説明変数の口コミ評価とは 直接的に相関しない操作変数を用いた操作変数法を 適用することが一般的である。そこで、本稿では、 商業地平均地価を操作変数に用いたうえで、固定効 果操作変数モデルを適用する。 さらに、禁煙や分煙の実施の影響が一部の店舗固 有の特性によって異なる可能性を考慮し、(

1

)式に席 数、価格帯、チェーン店ダミーのそれぞれと禁煙・ 分煙ダミーとの交差項を説明変数に加えた以下の(

2

) 式も推定する。ただし、(

2

)式は複数の適切な操作 変数を見出せなかったため、操作変数を用いず固定 効果モデルとして推定する。

Review

i, t

=

β0+

β1+β1'

M

i

Nonsmoking

i, t

+

β2

X

i, t

+

β3

Area

i, t

+T

t

+F

i

+

εi, t

2

結果・考察

1

)式の推定結果は2の通りである。

Model 1

Model 2

は被説明変数として総合評価、

Model 3

Model 4

は雰囲気に対する評価を用いた推定結果で あり、それぞれ固定効果モデル(

FE

)と固定効果操作 変数モデル(

FEIV

)を用いている。表を見ると、いず れの推定においても禁煙・分煙ダミーの係数は非常 に小さく、また、統計的に有意でないことがわかる。 つまり、居酒屋の禁煙・分煙の有無は、口コミ評価 の得点に対して有意な影響を与えていない。なお、 禁煙・分煙ダミーの代わりに、分煙を除いた禁煙ダ ミーを用いた場合でも、その係数は統計的に有意に は推定されなかった。また、2の他の説明変数を みると、料理・味、サービス、

CP

(コストパフォー マンス)、酒・ドリンクに対する評価は総合評価に

1

%あるいは

5

%水準で有意な影響を与えていること がわかる。よって、居酒屋にとっては、喫煙できる ことよりも、料理やサービス、価格などの面で魅力 を作り出すことのほうが重要であり、禁煙や分煙を 実施したとしても、そのことによって評価が下がる とは必ずしも言えないと判断できる。 次に、(

2

)式で一部の店舗特性と禁煙・分煙ダ ミーの交差項を説明変数に加えた推定結果は3の 通りである。総合評価を被説明変数にした

Model 1

Model 3

をみると、禁煙・分煙ダミーとの交差項 は、席数、価格帯、チェーン店ダミーのいずれも統 計的に有意ではないことがわかる。つまり、席数や 1 記述統計量 変数 サンプルサイズ 平均値 標準偏差 最小値 最大値 禁煙・分煙ダミー 805 0.3130 0.4640 0 1 禁煙ダミー 801 0.1336 0.3404 0 1 総合評価 801 3.5228 0.1971 2.952128 4.2 料理・味 800 3.5611 0.2381 2.8 4.366667 サービス 801 3.2501 0.2375 2.5 4.44 雰囲気 800 3.3864 0.2626 2.542857 4.488235 CP(コストパフォーマンス) 801 3.4759 0.3235 2.613333 4.845714 酒・ドリンク 800 3.2861 0.2372 2.25 3.981818 席数 741 66.7314 61.0021 0 430 価格帯 801 2.4931 1.4301 0 6 チェーン店ダミー 805 0.4472 0.4975 0 1 事業所数 805 237.9110 200.6363 17 1628 年少人口率 801 0.1058 0.0276 0.0849333 0.143783924 商業地平均地価 805 259.8847 141.1982 42.72 559.58

(5)

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響

2 推定結果:禁煙・分煙が店舗に与える影響

3 推定結果:禁煙・分煙が店舗に与える影響の店舗特性による違い

被説明変数 総合評価 雰囲気に対する評価

Model1

FE Model2FEIV Model3FE Model4FEIV 説明変数 禁煙・分煙ダミー −0.00612 (−0.347) (−−0.04200.349) 0.0139(0.423) (0.1060.474) 料理・味 0.450*** (18.35) 0.450 *** (18.28) 0.143 *** (3.154) 0.142 *** (3.108) サービス 0.158*** (7.091) 0.160 *** (6.787) 0.353 *** (9.108) 0.346 *** (8.219) 雰囲気 0.0585*** (2.595) 0.0593 *** (2.603) CP(コストパフォーマンス) 0.170*** (7.777) 0.172 *** (7.639) 0.0784 * (1.931) 0.0745 * (1.780) 酒・ドリンク 0.0615*** (3.013) 0.0601 *** (2.873) 0.174 *** (4.688) 0.178 *** (4.649) 事業所数 −1.41e−05 (−0.135) −(−1.56e0.148−05) 0.000381 ** (1.965) 0.000384 ** (1.966) 年少人口率 0.0875 (0.613) (0.08200.567) 0.0852(0.321) (0.09920.368) 定数項 0.420*** (4.513) 0.419 *** (4.482) 0.765 *** (4.497) 0.766 *** (4.472)

年ダミー yes yes yes yes

サンプルサイズ 728 728 728 728

注:括弧内の数値は、頑健標準誤差をもとに算出したt値を表す。*****はそれぞれ1%水準、5%水準、10%水準で有

意であることを表す。

被説明変数 総合評価 雰囲気に対する評価

Model1 Model2 Model3 Model4 Model5 Model6

説明変数 FE FE FE FE FE FE 禁煙・分煙ダミー −0.0161 (−0.589) (−−0.01010.330) (−−0.01660.617) 0.0473(0.931) (−−0.04200.738) (0.02870.573) 禁煙・分煙ダミー×席数 0.000168 (0.479) −(−0.0005610.861) 禁煙・分煙ダミー×価格帯 0.00198 (0.159) (0.02771.203) 禁煙・分煙ダミー×チェーン店ダミー 0.0179 (0.517) (−−0.02530.392) 料理・味 0.450*** (18.34) 0.450 *** (18.32) 0.450 *** (18.33) 0.142 *** (3.141) 0.144 *** (3.188) 0.143 *** (3.151) サービス 0.158*** (7.086) 0.158 *** (7.086) 0.157 *** (7.051) 0.352 *** (9.095) 0.352 *** (9.099) 0.353 *** (9.110) 雰囲気 0.0588*** (2.609) 0.0583 ** (2.582) 0.0586 *** (2.602) CP(コストパフォーマンス) 0.170*** (7.728) 0.170 *** (7.736) 0.170 *** (7.725) 0.0804 ** (1.977) 0.0745 * (1.830) 0.0793 * (1.950) 酒・ドリンク 0.0616*** (3.016) 0.0616 *** (3.014) 0.0618 *** (3.025) 0.174 *** (4.670) 0.176 *** (4.728) 0.174 *** (4.668) 事業所数 −1.30e−05 (−0.124) −(−1.51e0.144−05) −(−1.23e0.117−05) 0.000377 * (1.943) 0.000366 * (1.889) 0.000378 * (1.949) 年少人口率 0.0868 (0.607) (0.08760.613) (0.08710.610) 0.0875(0.329) (0.08720.329) (0.08570.323) 定数項 0.420*** (4.507) 0.420 *** (4.511) 0.423 *** (4.535) 0.764 *** (4.495) 0.768 *** (4.520) 0.760 *** (4.451)

年ダミー yes yes yes yes yes yes

サンプルサイズ 728 728 728 728 728 728

注:括弧内の数値は、頑健標準誤差をもとに算出したt値を表す。*** 、 ** 、 * はそれぞれ1%水準、5%水準、10%水準で有意であること を表す。

(6)

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 価格帯、チェーン店かどうかといった店舗の特性に かかわらず、禁煙や分煙の実施は顧客からの口コミ の総合評価には有意な影響を与えないと言える。な お、これらの結果は、禁煙・分煙ダミーの代わり に、禁煙ダミーとの交差項を用いて推定しても同じ であった。また、雰囲気に対する評価を被説明変数 にした

Model 4

Model 6

をみても、 禁 煙・ 分 煙 ダミーとの交差項は、席数、価格帯、チェーン店ダ ミーのいずれも統計的に有意ではないことがわかる。 以上のことは、価格帯の高い居酒屋であっても、 チェーン店であっても、禁煙や分煙を実施すること によって店舗に対する総合評価や雰囲気に対する評 価が低下することはないと判断することもできる。 すなわち、本稿の推定結果からは、居酒屋の経営者 が懸念しているような禁煙・分煙化による顧客の流 出は、顕著には生じないと指摘できる。 結 論 本稿では、東京都の居酒屋のうち口コミ数上位

200

位の店舗を対象に、禁煙や分煙の実施が店舗の 人気度に与える影響について分析した。その結果、 いずれの推定手法を用いた場合でも、禁煙や分煙の 実施は人気度に有意な影響を与えないことが明らか になった。さらに、席数や価格帯、チェーン店かど うかの店舗特性を示す変数との交差項を用いて禁煙 や分煙の影響が生じる条件の特定も試みた。その結 果、店舗特性によって禁煙・分煙の影響は変わらな いことも示された。法律や条例による禁煙化の影響 を都市や州単位で測った海外の先行研究からは、地 域で全面的な禁煙を行った場合に店舗の売上高など に負の影響は生じないことが示されているが、飲食 店が自主的に禁煙や分煙を選択した場合でも、本稿 の分析により、人気度に対して悪影響は生じない可 能性が示唆されたといえる。 居酒屋の禁煙・分煙化が顧客からの口コミ評価に 影響を与えないという推定結果からは、喫煙環境が 顧客の店舗選択の要因になっていない可能性や、た とえ喫煙者の需要が減少したとしても非喫煙者の需 要が増加するためにネットでみた需要の変化は生じ ない可能性が示唆される。また、禁煙実施は居酒屋 の口コミ評価を下げないので、顧客数や売上高の減 少も招かないことが推察される。よって、健康被害 を防止することを目的に、政府や自治体、顧客が居 酒屋に禁煙や分煙の実施を要請することは、経済的 な観点からみても正当化することができる。 以上の分析結果や考察から導出できる含意として は、禁煙を実施しても顧客を奪われる可能性は低い ため、法律や条例などの強制的な禁煙実施という政 府の強い介入を待たなくても、健康志向の高まりや 社会的な要請を訴えることで、各店舗に自主的に禁 煙を実施してもらえる余地があることが挙げられる。 また、法律や条例などで全面禁煙の例外となってし まう飲食店もあるが、禁煙・分煙が業績に影響しな いことを正しく情報提供し、自主的な禁煙・分煙を 促すことも重要といえる。さらに、本稿の分析によ ると、そもそも規模の小さい店舗が禁煙や分煙を実 施した場合でも人気度に影響を与えることはないた め、法律や条例を制定する際には、例外を認めず、 店舗の規模にかかわらず、全面的な受動喫煙対策を 進めることが望ましいとも言える。 最後に本稿の分析上の課題点を挙げると、以下の

2

点になる。まず、分析対象が東京都の居酒屋のう ち口コミ数上位

200

位の店舗のみとなっている。上 位

200

位に限定した利点は先述したものの、東京都 全体および日本全体の禁煙・分煙の影響は必ずしも 検証できていない点は課題点に挙げられる。次に、 レビュアー層が顧客全体の意向を反映していない可 能性がある点が挙げられる。レビュアー層は一般客 と比べ、食のトレンドに敏感な層であるため、居酒 屋に求める要素も変わる可能性があることを考慮し なければならない。これらに留意し、より精緻な分 析を行うことを、今後の研究課題としたい。 引用文献 1) 大和浩,太田雅規,中村正和:某ファミリーレス トラングループにおける客席禁煙化前後の営業収 入の相対変化 未改装店、分煙店の相対変化との 比較. 日本公衆衛生雑誌2014; 61: 130-135. 2) 東京都福祉保健局:平成29年度飲食店における 受動喫煙防止対策実態調査報告書. http://www. fukushihoken.metro.tokyo.jp/kensui/kitsuen/ sanko/insyokutentaisaku/files/29insyoku_all.pdf (閲覧日:2018年7月12日) 3) NTTレゾナント株 式 会 社:「 購 買 行 動における クチコミの影 響に関する調 査 」. http://research. nttcoms.com/database/data/001436/ (閲覧日:2017年11月8日)

4) Glantz SA, Smith LRA:The effect of ordinances requiring smoke-free restaurants on restaurant

sales. American Journal of Public Health 1994; 84: 1081-1085.

(7)

禁煙の実施が居酒屋の人気度に与える影響 impact of smoke-free legislation on sales turnover

in restaurants and pubs in Tasmania. Tobacco Control 2004; 13: 454-455.

6) Bialous SA, Glantz SA:Tobacco Control in Arizona, 1973-1997. UCSF: Center for Tobacco Control Research and Education 1997. https:// escholarship.org/uc/item/48x7c050

(閲覧日:2018年7月12日)

7) Luk R, Ferrence R, Gmel G:The economic impact of a smoke-free bylaw on restaurant and bar sales in Ottawa, Canada. Addiction 2006; 101: 745-783. 8) Blecher M, Harrison S.:Health care financing:

core health issues. South African Health Review; 2006: 31-64. 9) 宇佐美毅,稲葉明穂,吉田宏,ほか:飲食店に おける受動喫煙防止対策の実態と禁煙化による経 営への影響についての考察、日本公衆衛生雑誌 2012; 59:440~446. 10)カカクコムグループ:「食べログ」. https://tabelog.com/(閲覧日:2017年9月21日∼ 2017年10月30日) 11)東京都総務局統計部:「住民基本台帳による東京都 の世帯と人口」.http://www.toukei.metro.tokyo.jp/ juukiy/jy-index.htm(閲覧日:20171030日) 12)経済産業省:「工業統計表・市区町村編」. https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kougyo/ result-2.html(閲覧日:20171030日)

Impact of Japanese pub’s non-smoking policy on customer popularity

Isamu Yamamoto, Hironobu Oya, Shintaro Goto, Keita Saito, Kentaro Tsuduki

Abstract

Objective:

Based on an approach of economics, we estimate whether the non-smoking policy of Japanese pub

(Izakaya) would affect Japanese pub’s performance.

Methods:

We construct Japanese pub’s panel data (longitudinal data) from 2012 to 2016 including

informa-tion on customer’s reviews and Japanese pub characteristics by using a restaurant reviews site. Based on

the method of econometric analysis, we statistically estimate the impact of smoking policy on popularity of

Japanese pubs.

Results:

Implementation of smoking cessation did not statistically and significantly affect the popularity of

the Japanese pub, measured by the score of word of mouth rating.

Discussion:

The estimation results imply that the smoking environment is not a significant factor for a

cus-tomer to choose a Japanese pub. It may also imply that even if the non-smoking policy decreases the demand

for smokers, it would increase the demand for those who do not smoke.

Conclusion:

Even if non-smoking policy is taken at a Japanese pub, customer reviews will not decline, or

customers will not shift to competing Japanese pubs where smoking is allowed, and therefore the bar’s sales

will not decrease. Hence, to prevent health damage resulting from smoking, it can be justified that

govern-ment, municipalities and customers request smoking cessation to Japanese pub even from the economic point

of view.

Key words

Non-smoking policy, secondhand smoking, customer review, panel data

Keio University

参照

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