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「「種の論理」の可能性」研究会報告 利用統計を見る

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「「種の論理」の可能性」研究会報告

著者

黒田 昭信

雑誌名

国際哲学研究

5

ページ

75-75

発行年

2016-03

URL

http://doi.org/10.34428/00008276

Creative Commons : 表示 - 非営利 - 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/3.0/deed.ja

(2)

75 国際哲学研究5号 2016

「「種の論理」の可能性」研究会報告

黒田 昭信

 本研究会は、2015 年 8 月 1 日(土)、14 時から 17 時まで、白山キャンパス 6 号館 6404 教室で開催された。  研究会の趣旨は次の通りである。  本研究会のテーマは、田辺元の「種の論理」をその可能性において読み直すことである。  田辺が 1930 年台半ばに展開した「種の論理」は、「絶対媒介の弁証法」と不可分の関係にある。この絶対媒介の 弁証法によれば、種の論理を構成する三契機は、それが種の論理の全体において十全に機能するためには、相互に 必ず他の二契機を媒介としなければならず、三契機のうちのいずれかに他の二契機に対する存在論的優位性を与え ることはできない。それゆえ、その三つの構成契機である類・種・個のうち、種にだけ他の二つの契機に対する存 在論的優位性を与えてしまうと、どうしてもアポリアに陥ってしまう。  実際、田辺は、国家を「最も具体的なる存在」─ つまり諸々の個人が結局のところそこに従属させられる最終 的審級 ─ と見なしたときに、このアポリアに直面せざるを得なかった。この重大な理論的困難の理由は、種とし ての国家に誤って与えられた絶対的実体的優位性にあることは明らかである。田辺は戦後この理論的困難を認めた が、このアポリアが「種の論理」の枠組みの中で田辺自身によって克服されることはなかった。  しかし、私たちは、このアポリアは、田辺自身の絶対媒介の弁証法を徹底化することによって、種の論理の積極 性を確保しつつ、回避することができると考える。そればかりでなく、その徹底化によって、種概念を新しい共同 体構築のための基礎理論の根本概念の一つとして再生させることができると考える。  このような「種の論理」の読み直しが今日果たして可能だろうか。本研究会では、二人の発表者が、共同体の論 理の再構築と、田辺自身のある実践のケーススタディをそれぞれ提示したあと、発表・発表者をめぐって特定質問 者との質疑応答・全体議論を通じて討議をおこないたい。  司会者は、白井雅人(国際哲学研究センター)氏、発表者は、黒田昭信(国際哲学研究センター客員研究員、ス トラスブール大学)と立花史(早稲田大学)氏との二名、特定質問者として、合田正人(明治大学)氏が参加し た。酷暑の午後、十名ほどの出席者があった。  司会者の導入の後、黒田が「集合的個体概念の論理的分析 ─ 「種の論理」の問題群の明確化のために」という タイトルで発表した。田辺元の「種の論理」の主要三論文の中から国家概念の規定を取りあげ、そこに見られる理 論的問題を指摘し、「種の論理」を今日読み直すための予備的考察を行った。  引き続き、立花氏が「「死の時代」の学芸共和国 ─ 詩の翻訳と読解における田邊の社会存在論」というタイト ルで発表した。田辺が晩年に取り組んだマラルメの詩の翻訳と注釈の中に、マラルメ研究者の協同体という「種」 に対する田辺という「個」の働きかけを見、そこに「種の論理」の一つの実践のかたちを捉えようとした。  二つの発表の後、特定質問者の合田氏が、自身の田辺哲学についての考えを要約した後、両発表者に対して、田 辺哲学の生成過程、世界図式、時間論、言語論等をめぐって質問を行った。  それらの質問に発表者それぞれに回答した上で、より自由に三者で討論が行われた。  会場からも二三の質問を受け、それに発表者がそれぞれに答えた。 方法論研究会

第 2 ユニット:東西哲学・宗教を貫く世界哲学の方法論研究

参照

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