民生児童委員協議会を中心として
著者名(日)
小林 良二
雑誌名
福祉社会開発研究
号
2
ページ
47-54
発行年
2009-03
URL
http://id.nii.ac.jp/1060/00004845/
1.課題の設定
1 2000(平成12)年の社会福祉法改正においては、「個人 が人としての尊厳をもって、家庭や地域の中で、障害 の有無や年齢にかかわらず、その人らしい安心のある 生活が送れるよう自立を支援すること」という理念に 基づき、さまざまな社会福祉制度の改正が行われたが、 社会福祉法第1条で「地域における社会福祉の推進」 が明記されたことを受けて、民生委員法についても幾 つかの重要な改正が行われ、民生委員2はより「住民の 立場に立った」活動を展開することが課題とされるよ うになった。 こうした状況を踏まえて、小松は民生委員の活動状 況についての統計資料を踏まえ、「地域福祉活動」が増 加傾向にあること、地域の関係機関とのネットワーク 作りにつながる「行事・事業・会議への参加」が年々 増加していることから、民生委員が地域のさまざまな 機関・団体とかかわりながら自主的な地域福祉活動を展 開しはじめている様子が伺えるとし、さらに次のよう な指摘をしている3。 ① 子育てをしている親や高齢者の交流を目的とする サロンの設立や運営に取り組んでいる事例が多く なってきている。 ② 従来の要援護者に対する個別援助活動は減少の一 途をたどっている。この理由として、在宅介護支 援センター、地域包括支援センター、地域福祉権 利擁護センターなどの地域の相談機関が、住民に 身近な地域に設置されてきており、その分民生委 員の役割が変化してきている。 ③ 地域福祉活動が中心になると、一般のボランティ ア活動との境界がはっきりしなくなるため、民生 委員活動の独自性を考えると「委嘱型ボランティ ア」の性格を明確にし、地域の専門相談機関との 協力関係を明確にする必要がある。 本稿では、このような問題提起を踏まえ、民生委員 の活動が実際どのように行われているかについて検討 するため、東京都民生児童委員連合会(以下「都民連」 とする)が毎年集計している活動データのうち、平成 18年度のデータを用いて、東京都内における民生委員 活動の状況をより詳細に分析することによって、上記 の小松の指摘に見られるような「地域活動」「個別支援 活動」「行政委嘱活動」がどのような関係にあるのかに ついて検討することを主な目的とする。2.分析の方法
(1)データ
本稿で分析の対象とするデータは、都民連が毎年集 計している東京都内の単位民生児童委員協議会(以下、 必要な場合「民児協」とする)から寄せられる民生委 員の活動データのうち、平成18年度分として集計され たものである。このデータは、東京都を通して厚生労 働省に報告され、その結果は、他の道府県のデータと あわせ「社会福祉行政業務報告」として発表される。 ところで、東京都の民児協は、平成18年度の時点で は382あったが4、民児協では、個々の民生委員の活動記 東洋大学福祉社会開発研究センター研究員 東洋大学福祉社会デザイン研究科 教 授小林 良二
東京都における民生委員活動の統計的分析
―単位民生児童委員協議会を中心として―
PROJECT 1
録を集計してその結果を都民連が集計するため、都民 連のデータは民児協単位のものになっている。このよ うな、データを用いるに際しては若干の注意が必要に なる。 第1に、利用可能なデータの単位が民児協であるため、 活動データをそのまま使うことも可能であるが、民児 協間の比較をするには、若干の加工が必要になる。そ のうちの1つは、民児協ごとの民生委員の数が異なるこ とである。本研究で用いる平成18年時点では、最も少 ない単位民児協は台東区東上野地区で、民生委員は9人 であるのに対して、最多の民児協は豊島区巣鴨地区で 50人であった。このため、活動実績をそのまま用いる と比較上の問題が生じるため、この研究では、民生委 員の活動数と民生委員数を集計して、月ごとの民生委 員1人あたりの活動数として計算している。つまり、こ の研究で分析の対象とする活動数とは、平成18年度に おける382の民児協ごとの、1人あたり民生委員の活動 実績である。 第2に、この研究では、民生委員・児童委員(「地域担当」 とも呼ばれる)と主任児童委員の活動を区別していな い。実際にデータの検討をしてみると、地域担当と主 任児童委員の活動はかなり異なるのであるが、主任児 童委員については活動件数が少ないこともあり、両者 を区別しないで用いることにする。 第3に、とりあげる活動項目は、小松が用いている11 の活動内訳であるが、その内訳は次の通りである。 ①「相談・支援」(「相談支援」とする) ②「調査・実態把握」(「実態把握」とする) ③「行事・事業・会議への参加・協力」(「行事会議」 とする) ④「地域福祉活動・自主活動」(「地域活動」とする) ⑤「民児協運営研修」(以下「運営研修」とする) ⑥「証明事務」 ⑦「要保護児童の発見通告・仲介」(「保護通告」とする) ⑧「訪問・連絡活動」(「見守り訪問」とする) ⑨「その他の連絡・訪問活動」(「一般訪問」とする) ⑩「委員相互の連絡調整」(「相互連絡」とする) ⑪「関係機関との連絡調整」(「機関連絡」とする)。 これらの活動の分類を用いて、382の民児協ごとに、 それぞれの活動回数と活動日数を用いた分析を行うこ とになる。 なお、①の「相談・支援」は、民生委員の中心的な業 務であり、その下位分類も示されているので、その検 討も行うことにする。
(2)分析の意義
次に、このような民児協単位の分析を行うことの意 義についてふれてみたい。 第1に、民生委員の活動状況を、民生委員個人を単位 として分析することができれば、性別、年齢別、就任 期間別などの個人属性などを用いた分析が可能である。 しかし、先にも述べたように、現在のところこのよう なデータを入手することは極めて困難である。 これに対して、民児協という活動単位のデータを用 いることによって、民児協としての活動状況の分析が 可能であるし、このデータに、その民児協が属する地 域などの変数を付加すれば、さまざまな考察が可能に なる。 第2に、民生委員の活動を民児協という単位で分析す ることは、それぞれの民生委員が組織単位ではどのよ うな活動をしているかを探ることを可能にする。換言 すると、民生委員の活動は、個人の活動であるととも に、民児協という単位組織としての活動でもあるので、 民児協の組織としての特性を見出すことが可能になる。 一般に、分析の方法としてはデータを個人のレベルに 分解して理解しようとする個人アプローチと、それら の個人が属する集団活動として理解しようとアプロー チがあり、本研究では、後者のアプローチを採用して いるといってよいであろう。3. 民生委員活動データの分析
(1)東京都における民生委員活動の推移
表1は、平成18年度における東京都の民生委員の活 動実績である。これによると、総活動数は4,191,438件で、PROJECT 1
1人当り月平均活動数の合計は34.8件になる。このうち、 最も多いのは⑨「一般訪問」の7.9回、次いで、⑩「相 互連絡」が5.1回、⑧「見守り訪問」4.7回、⑪「機関連絡」 4.4回などの順になっている。民児委員活動の中心をな すとされる、①「相談支援」は2.2回で、それほど多く はない。 次に、活動の種類ごとに平成15年と18年の伸び率を 見ると、最も高いのは④「地域活動」の23.5%増であり、 次いで、⑤「運営研修」が22.4%増、⑪「機関連絡」が 20.3%増、などとなっており、小松が指摘するように、 地域福祉活動関係と機関との連絡調整および研修・運 営関係の活動回数が急激に増えていることがわかる。 最後に、平成18年度の民生委員の活動日数月に12.0日 で、これも全国の動向と変わらない。 表1 東京都民生委員活動の概要 活動数 H18/H15 伸び率 1人当り 月平均 活動数 H15年度 H18年度 ①相談・支援 293,067 261,768 89.3 2.2 ②調査・実態把握 393,649 304,376 77.3 2.5 ③行事・事業・ 会議・協力 368,936 357,755 97.0 3.0 ④地域福祉活動・ 自主活動 216,339 267,085 123.5 2.2 ⑤民児協運営研修 256,611 314,029 122.4 2.6 ⑥証明事務 17,792 18,662 104.9 0.2 ⑦要保護児童の 発見通告・仲介 5,401 4,584 84.9 0.0 ⑧訪問・連絡活動 652,496 569,830 87.3 4.7 ⑨その他の連絡・ 訪問活動 906,531 947,298 104.5 7.9 ⑩委員相互の 連絡調整 541,007 618,020 114.2 5.1 ⑪関係機関との 連絡調整 438,935 528,031 120.3 4.4 総活動数 4,090,764 4,191,438 102.5 34.8 活動日数 1,347,659 1,441,562 107.0 12.0 出典:東京都民生児童委員連合会、東京都民生委員、児童委員 活動実績とその事例-第25集ー、 P.6 〜 P.7より算出
(2)単位民児協活動の分析
以上のことを前提として、平成18年度の民児協レベ ルでの活動データを検討してみよう。①1人当り活動日数
382の東京都の単位民児協における1月平均の民生委 員1人当り活動日数を1日単位で示したのが表2である。 単位民児協における1人当り平均月活動日数は、最大値 が20.4日、最小値は5.1日で、かなりの差が見られる。ま た、平均活動日数は12.1日で、単位民児協全体の3分の2 (66.7%)は10日~ 14日までの間に収まっている。 この活動日数のカウントの仕方についてはさまざま な見解がある。例えば、「委員相互間での連絡」した場 合でも1日とカウントするのは問題ではないかという意 見があり、また、ほんのちょっとした訪問でも1日とし てよいのか、そもそも、月20日を越える活動日数とい うのは多すぎるのではないかなど、民生委員による記 入上の難点が指摘されている。この点については、活 動の種類と活動日数とのより厳密な記入の指針が必要 であろう。特に、最近民生委員の活動の負担が多すぎ るのではないかという指摘が行われており、より実態 に即した検討が必要かもしれない。本研究では、これ らについては立ち入って検討することができないが、 それにしても、月平均12日というのは、かなりの日数 であるといえるだろう。 表2 平均活動日数別民協数 N % 5日 2 0.5 6日 2 0.5 7日 5 1.3 8日 22 5.8 9日 25 6.5 10日 44 11.5 11日 49 12.8 12日 67 17.5 13日 54 14.1 14日 43 11.3 15日 33 8.6 16日 21 5.5 17日 7 1.8 18日 6 1.6 20日 2 0.5 合計 382 100 平均日数 12.15PROJECT 1
② 活動日数と活動内容との関係
ところで、このような月平均活動日数の差は活動の 種類とどのように関連しているのだろうか。 図1をみると、一般に活動日数の増加とともに個々 の活動項目数の増加が見られるが、その増加傾向をグ ループ化してみると、次の3つに分類できるようである。 第1は、活動日数の変化に応じて活動件数が急激に増 えるグループで、⑨「一般訪問」、⑩「相互連絡」、⑪「機 関連絡」、⑧「見守り訪問」がこれにあたり、月平均件 数は、先にみたように、それぞれ7.2回、5.3回、5.0回、4.4 回であるが、活動日数の増加とともに急激に増えてい る。 第2は、①「相談支援」、②「実態把握」、④「地域 活動」、⑦「運営研修」のグループで、平均活動件数は、 それぞれ2.1回、2.2回、2.8回、2.5回とあまり多くないが、 活動日数の増加に伴って、月に5件前後まで増加する項 目である。 第3は、①「証明事務」、⑦「保護通告」のグループで、 平均活動件数は0.16回、0.04回となっており、月単位で はほとんど行われていない。したがって、活動日数が 増えてもその件数が増えることはない。 このようにみると、活動日数を増やしているのは、 第1グループの活動項目であり、一般的な訪問活動や民 生委員間の連絡・調整などによって活動日数が増えて いることがわかる。これに対して、第2グループの活動 項目は個人に対する直接支援活動であるが、平均月2 ~ 3件でそれほど多いわけではない。しかし、活動日数が 多い民児協では、それぞれ5件程度の数になるので、合 計するとそれなりの件数になるであろう。最後に、第3 グループは、ほとんど活動件数としてはあがってきて いないが、通常、民生委員にはかなり困難な活動であ ることが指摘されており、そのことがこの数字にも示 されているといえる。③活動項目間の関係
表3は、11の活動項目を用いた因子分析であるが、 これによると、第1因子には、⑩「相互連絡」、⑪「機 関連絡」、③「行事参加」が含まれており、これらに共 通する特徴は、民児委員活動の「基礎的活動」である と考えることができる。ここでの「基礎的」という意 味は、民生委員という組織に属して活動を行う上で「基 礎的な」活動であると考えられ、これらの活動を十分 行うことが、民児協の一員としての活動を支えること になるといえるであろう。また、表1にみられるように、 この3つの平均活動数は、それぞれ4.4回、5.1回、3.0回 であり、合計すると12.5回となるから、かなりの件数に なることが分かる。 第2因子に属するのは、①「相談支援」、④「地域活動」 図1 活動日数別活動数 0 5 10 15 20 25 30 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 20 活動日数 ᵴേઙᢙ ⋧⺣ᡰេ ታᘒᛠី ⴕળ⼏ ၞᵴേ ㆇ༡⎇ୃ ⸽ോ ⼔ㅢ๔ 䉍⸰ ৻⥸⸰ ᯏ㑐ㅪ⛊ ⋧㑐⛊PROJECT 1
⑧「見守り訪問」であり、これに共通する因子は、「直 接支援活動」であるといえるだろう。 直接支援活動は、表1によると、前者の2つは月2.2回、 見守り訪問は4.7回となっており、合計すると、月に平 均9回程度の活動が行われていることになる。 個別支援活動のグループに「相談支援」「地域活動」「見 守り訪問」が含まれていることは興味深い。何故かと いうと、個別の相談支援や見守り訪問を行うに際して は、地域活動が深く関わっていると考えられるからで ある。すなわち、民生委員が、これらの個別活動を行 うことによって地域の活動ネットワークが形成される と考えられるし、また逆に、地域のネットワークを行 うことによって相談支援や見守りのような個別支援も 可能になるという関係が考えられるからである。 第3因子は、②「実態把握」および、⑨「一般訪問」 であり、これらは、行政からの依頼であることが多い ので、「行政協力活動」と呼ぶことにする。表1によると、 ②は月に2.5回、⑨は7.9回で、月平均10.4回の活動数と なっている。第3因子は、主に行政からの依頼によって 行われる活動であるが、「実態把握」が減少しつつある のに対して、「一般訪問」は増加する傾向にある。何人 かの民生委員の指摘では、最近、行政からあまりに多 くの依頼事項があるために対応ができなくなる傾向が みられるという。 以上の結果から、民生委員の活動には一定のタイプ があり、それぞれの民児協がどのタイプの活動を中心 にしているかを示すことができる。 小松の指摘では、行政委託型の活動から、地域にお ける活動を踏まえた個別支援型の活動に移行すること が望ましいことになるし、また、法律の内容もその方 向に動いてきたのであるが、3つの活動領域をすべて 増やすことは、活動日数や活動件数からみてかなり困 難であり、どれかの活動に絞る必要があるのではない かと思われる。
④自治体別の特徴
最後に、これらの結果を用いて、それぞれの自治体 における民児協活動の特徴を検討してみよう。ここで は、最初の課題を踏まえ、特に地域活動型の活動につ いて検討することにする。 巻末の資料1は、都内の自治体ごとに民児協別のグ ループ別の合計活動数を示したものである。 この表では、基礎的活動件数としては、⑩「相互連絡」、 ⑪「機関連絡」、③「行事参加」の合計値が、直接支援 活動件数としては、①「相談支援」、④「地域活動」⑧ 「見守り訪問」の合計値が、行政協力活動件数としては、 ②「実態把握」、⑨「一般訪問」の合計値が、それぞれ の自治体ごとに示されている。 また、表4では、3つの活動領域またはタイプごとに、 上位10の自治体名を示している。 これによると、第1に、「基礎的活動」が相対的に活 発に行われている単位民児協をもつ自治体の上位10位 は、八王子市、小平市、羽村市、文京区、武蔵野市、 東村山市、昭島市、江戸川区、東久留米市、町田市で あり、「直接支援活動」が活発なのは、東村山市、品川 区、北区、小平市、青梅市、町田市、八王子市、あき る野市、国分寺市、稲城市の順である。最後に、「行政 協力型」の活動では、板橋区、文京区、町田市、渋谷 区、八丈支庁、羽村市、八王子市、国分寺市、東村山市、 江戸川区が上位を占めている。 なお、本稿には示していないが、区内の自治体と八 王子市、町田市は、人口が多いために、設置されてい る民児協の数も多くなっており、それぞれの行政管内 における単位民児協間でもかなりのばらつきが見られ る。それでも、本稿の関心からみると、墨田区、品川区、 表3 活動全体項目の因子分析 成分 1 2 3 相談件数 0.219 0.799 -0.005 調査・実態把握 0.035 0.041 0.921 地域行事参加 0.600 0.319 0.088 地域自主活動 0.399 0.625 -0.159 民児協運営・研修 0.763 0.038 0.209 証明事務 0.430 0.100 0.189 要保護児通告 0.199 0.040 0.038 見守り訪問活動 -0.034 0.770 0.207 一般訪問活動 0.481 0.050 0.775 連絡調整 0.864 0.119 0.051 委員相互連絡 0.858 0.143 -0.028 因子抽出法: 主成分分析 回転法: Kaiser の正規化を伴うバリマックス法PROJECT 1
世田谷区、北区、葛飾区、八王子市、町田市、小平市、 東村山市などは、直接支援型の活動をしている民児協 が相対的に多いといえる5。 最後に、これらのことを踏まえてみると、少数の例 外を除いて、ほとんどの自治体では、管内の民児協に 対して統一した方針を示して、活動を要請していると はいえないように思われる。もちろん、民生委員活動 は、厚生労働省大臣任命に基づくものであるとはいえ、 基本的にはボランティアであるから、活動を強制する ことはできないことになる。換言すると、個々の民児 協の活動は、個々の民生委員の意識とともに、リーダー 層の活動方針によるところが大きいことになる。 したがって、今後、組織面からどのように民児協活 動を支えてゆくかが基本的な課題になるであろう。
⑤ 相談支援活動の件数
最後に、民生委員の活動の中心とされる①「相談支援」 の詳細について検討してみよう。 図2によると、民生委員1人による①「相談・支援」 活動の数は、月平均で2.1件であり、多いとはいえない。 なお、相談・支援の14の下位項目の中では、「日常生活 支援」の平均1.3件が最も多くなっている。相談支援活 動は近年減少気味であることを小松が指摘しているが、 その件数が少ないことは、この資料にも示されている。 なお、巻末の資料2によると「日常生活支援」だけは、 活動日数の増加に伴って1.3件まで上昇していることが 注目される。 このことは、民生委員の活動領域が、ますます、見 守り訪問を中心とするネットワーク活動へと移行しつ つあると考えられる。4. 考察とまとめ
以上を踏まえて、簡単な考察を行っておく。 最初に述べたように、本稿では東京都の民生児童委 員連合会が集計した民児協のデータを用いて、民児協 を単位とする民生委員の活動状況を検討してきた。こ れによって、次のような点が明らかになったと考えら れる。 第1に、小松が述べているように、21世紀に入ってか らの民生委員活動は、行政からの委託に基づく活動で はなく、より地域に根ざした見守りやネットワーク活 動へと向かっていると考えられる。 表4 活動タイプ別上位10自治体名 基礎的活動 直接支援活動 行政協力活動 第1位 八王子市 25.6 東村山市 29.4 板橋区 28.4 第2位 小平市 25.6 品川区 24.5 文京区 23.9 第3位 羽村市 24.9 北区 23.6 町田市 22.9 第4位 文京区 23.5 小平市 16.3 渋谷区 22.2 第5位 武蔵野市 23.5 青梅市 15.0 八丈支庁 22.0 第6位 東村山市 23.3 町田市 14.1 羽村市 21.6 第7位 昭島市 23.2 八王子市 13.9 八王子市 20.9 第8位 江戸川区 21.2 あきる野市 13.4 国分寺市 20.0 第9位 東久留米市 20.7 国分寺市 13.3 東村山市 19.6 第10位 町田市 20.4 稲城市 13.1 江戸川区 19.5 2.92 6.55 3.11 2.77 2.58 2.03 1.93 1.94 1.84 1.51 2.28 0.59 0.75 1.60 1.22 0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 5日 6日 7日 8日 9日 10日 11日 12日 13日 14日 15日 16日 17日 18日 20日 活動日数 合計活動数 合計相談件数 図2 活動日数別合計相談支援活動PROJECT 1
第2に、行政協力活動のうち、一般的訪問活動がかな りの件数にのぼっており、この点では、行政とのコミュ ニケーションのあり方を考える必要がある。 第3に、現在のところ、活動内容と活動日数を増やし ているのは、委員相互間の連絡や関係機関との連絡調 整活動である。これらは、民生委員の基礎的な活動と して不可欠なものであるが、もう少し合理的な連絡の システムが必要かもしれない。 最後に、これらのことは、民生委員に対して何日間 程度の活動を期待するかという問題と関連している。 このためにも、民生委員個々人ではなく、組織として の単位民生児童委員協議会の組織のあり方を早急に検 討する必要があるといえよう。 資料1 区市町村別分野別活動数 基礎的活動 直接支援活動 行政協力活動 01.千代田区 7.3 4.6 1.4 02.中央区 11.6 10.0 5.4 03.港区 13.2 4.7 8.9 04.新宿区 15.8 6.3 18.9 05.文京区 23.5 9.0 23.9 06.台東区 10.7 7.9 3.6 07.墨田区 12.6 10.1 5.1 08.江東区 12.1 4.1 3.9 09.品川区 14.0 24.5 7.5 10.目黒区 15.6 6.9 6.8 11.大田区 14.9 6.5 6.8 12.世田谷区 14.4 10.6 5.1 13.渋谷区 17.0 6.4 22.2 14.中野区 14.7 6.2 9.5 15.杉並区 13.6 6.5 5.1 16.豊島区 11.2 9.0 5.2 17.北区 13.9 23.6 13.6 18.荒川区 17.4 5.9 15.5 19.板橋区 11.8 6.0 28.4 20.練馬区 9.3 5.7 2.6 21.足立区 12.9 5.8 1.8 22.葛飾区 20.1 8.5 4.8 23.江戸川区 21.2 5.7 19.5 24.八王子市 25.6 13.9 20.9 25.立川市 19.2 8.4 18.0 26.武蔵野市 23.5 12.0 10.9 27.三鷹市 15.8 8.2 4.8 28.青梅市 19.5 15.0 15.1 29.府中市 17.9 11.1 6.1 30.昭島市 23.2 8.2 10.4 31.調布市 15.5 9.6 11.9 32.町田市 20.4 14.1 22.9 33.小金井市 20.1 8.4 5.6 34.小平市 25.6 16.3 10.3 35.日野市 16.1 3.2 2.5 36.東村山市 23.3 29.4 19.6 37.国分寺市 17.6 13.3 20.0 38.国立市 15.3 8.6 4.2 39.福生市 16.7 9.6 2.4 40.狛江市 12.9 10.2 10.1 41.東大和市 12.2 8.2 1.4 42.清瀬市 19.1 11.6 12.2 43.東久留米市 20.7 9.7 11.9 44.武蔵村山市 18.1 10.1 3.8 45.多摩市 14.0 9.3 2.2 46.稲城市 18.2 13.1 5.0 47.あきる野市 18.7 13.4 5.5 48.羽村市 24.9 6.9 21.6 49.西東京市 12.4 5.7 2.5 50.西多摩郡 13.8 6.7 7.9 51.三宅支庁 8.9 8.3 1.1 51.大島支庁 14.0 10.6 2.5 52.八丈支庁 13.0 7.6 22.0 53小笠原支庁 7.2 5.1 0.5 合計 15.8 9.4 9.8