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男女共修家庭科における衣生活教育の検討

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(1)

男女共修家庭科における衣生活教育の検討

一中学校及び高等学校における男女共修家庭科の実施状況一

紘開 田暖

桔肛 子筋

和95 司四

     Studies on Clothing Education of Coeducational Homemaking

−Now on Coeducational Homemaking in Junior High School and High School一

Kazuko GuNJi* and Hiroko YosHmA

  (Received May 31, 1995)

望 はじめに

 高等学校では平成6年に第1学年に入学した生徒から平成元年告示の学習指導要領が適用された。

その結果,これまで「女子のみ必修」であった家庭科は男女ともに必修の教科となり,また小中高 を通じて男女がともに学ぶ教科となったが,それに伴い様々な問題が生じている。まず,高等学校 では,「家庭一般」「生活一般」「生活技術」の中からの選択が可能であるが,それぞれ目標が異なる ため,履修内容にも違いが生じている。また,高等学校,中学校ともに男女共修ではあるが,男女 が同じ内容を同じ教室で学習するという「共学共修」についての明確な記述がなされていないため,

男女別々の教室で同じ内容,または多少異なった内容を学習する「別学共修」である場合が考えら れる。さらに,「家庭科」を小中高を通して一つの教科としてみたときに,小学校,高等学校は「家 庭科」として存在しているのに対して,中学校は「技術・家庭科」として存在しており,中学校と小 学校・高等学校間における系統性についての問題が指摘されている。中学校においては,一つの教科 として扱われているにもかかわらず「技術科」と「家庭科」の先生がそれぞれの領域を担当してお り,実際には別教科となっている。その履修内容についても領域によって必修と選択の場合がある ことから履修内容が学校間で事実上異なってくる。

 そこで,現時点での茨城県下における高等学校家庭科及び中学校技術・家庭科における履修状況を 調査し,男女がともに学ぶ教科としての家庭科の問題点を明らかにするとともに,家庭科の今後の

あり方について検討する。

2調査方法

2.1調査対象

*茨城大学教育学部家政教育講座被服学研究室(〒310水戸市文京2丁目1番地;Seminar・of

 Textile and Clothing,CoBrse of Home economics,Faculty of Education,lbaraki University, Mito,lbaraki 310 Japan).

(2)

34 茨城大学教育学部教育研究所紀要第28号(1995)

  茨城県内の高等学校(公立,私立併せて131校 回収96校 回収率73.3%)及び中学校(公立,私  立併せて238校 回収193校 回収率81.1%)の家庭科主任教諭

2.2調査方法

  郵送による質問紙調査法で行った。

  調査項目 高等学校(学校規模,設置学科,生徒人数,履修科目と履修状況,家庭科担当者とそ        の担当時間数:,施設設備の整備計画及び要望,指導内容及び課題,男女共        修家庭科指導上の課題,領域の時間配分と重点度)

      中学校(学校規模,技術・家庭科担当者の状況,履修状況,必修領域・選択領域に対        する意見,男女別学形態の理由,指導内容及び特色,家庭科教育の一貫性        について)

2.3調査期間

  高等学校...平成6年4月13日一6月16日 中学校_平成6年9月2日一10月19日

3 調査結果及び考察

3。1高等学校における男女共修家庭科をめぐる状況 3.1.1履修科目

 茨城県では「家庭一般」を4単位履修する学校が69校(80%)と最も多いが,全国調査の結果1)と比 較すると履修の割合はやや少ない。履修単位数は,「家庭一般」を4単位以上履修する学校,「生活一 般」「生活技術」を4単位履修する学校を併せると84校が4単位履修している。私立学校では,「家 庭一般」を2単位履修という学校がみられた。

 平成元年告示の学習指導要領には「生活一般を履修する場合には,後半の2単位については,施設

・設備の整備や担当教員の確保等の問題など学校の実態からみて止むを得ない場合には,当分の間,

生活一般と関係の深い技術や情報などに関する内容の科目又は「体育」の履修をもって代替できる ものとする」とあるため「生活一般」の2単位履修が増えるのではないかと懸念されていたが,11校 と少なかった。

 履修学年は1,2年で履修する学校が

69校と最も多い。昭和62年度から共修を実施している学校もみられたが,ほとんどの学校では本調 査の年度から男女共修で実施している。

表1履修科目(必修)

茨 城  全 国 家庭一般

生活一般 生活技術

80. 0%

16. 8%

3. 2%

90. 1%

13. 9%

3. 2%

3.1.2  家庭科担当者

 担当時間は心当たり11−15時間が最も多かった。家庭科担当者は家庭科専攻の教諭が多いが,専攻

教諭がいない学校も8校あった。家庭科専攻の教諭の配置状況をみると,1名という学校が最も多い

(3)

が,単位数と学校規模から考えると各校2名は必要である。そのため常勤講師,非常勤講師が多くな っている。現在,3名以上配置の学校は家政科設置校である。平成7年度以降,つまり2,3年で必 修科目を履修させるという予定の学校を含めて考えると家庭科教員不足はかなり深刻な状況である

といえる。

 全国調査の結果1)では,家庭科専攻教諭1校当たり1.75名,そのうち男性教諭は14名(約1%)で ある。他教科専攻教諭は1校当たり0.09名で,その専攻教科は体育,商業,理科であった。本県にお いても,理科の男性教諭が「生活一般」を2単位担当しているという学校が2校あった。非常勤講師 1校当たり0.65名,講師0.21名であった。全国的にみると家庭科専攻の男性教諭がみられるが,茨城 県ではまだ存在していない。

表2 家庭科担当者と担当時間

10時間以下

週当たりの授業時間

  11〜15時間 16〜20時間

諭諭 密教 のの 攻攻 師 専専師講 専科講勤 庭教勤三 家他常非

8名( 4,5%)

2名(100.0%)

2名( 6.3%)

28名(70.0%)

106名(59.6%)

 0名( 0.脇)

17名(53.1%)

 7名(17.5%)

64名(36.0%)

0名( 0.0%)

13名(40.6%)

5名(12.5%)

合 計 40名(15.8%) 130名(51.6%) 82名(32.5%)

表3教員配置状況

0名 1名 2名 3名 4名以上

家庭科専攻の教諭 他教科専攻の教諭

常勤講師

非常勤講師

8校(8.4%)

93校(97.9%)

66校(69.5%)

63校(66.3%)

42校(44.2%) 23校(24.2%)

2校(2.1%)  0校(0.0%)

26校(27.4%)  3校(3.2%)

24校(25.3%)  5校(5.3%)

10校(10.5%) 12校(12.6%)

0校(0.0%)  0校(0.0%)

0校(0.0%)  0校(0.0%)

3校(3.2%)  0校(0.0%)

3.1.3設備

3.1.3.1設備及び整備状況

 家庭科に関する教室は,ほとんどの学校で「被服実習室」と「食物実習室」があるが,その広さは 約7割は標準であったが標準以下であるものもみられた。被服実習室数が食物実習室数より少ないが,

これは「家庭総合実習室」が家庭科に関する多目的に活用できる教室として,その機能を果たして いるためと考えられる。男女共修家庭科に対応する「家庭総合実習室」を設置している学校は7校と 少なかったが,標準以上である教室が多い。

 また,家政に関する学科が設置されている学校では,第2被服実習室,第2食物実習室,家庭経営 室,保育室と実習室の種類,数が多くなっている。

表4家庭科に関する教室の広さ

X

標準以下 標準内 面積

標準以上 不明 合計

被服実習室 食物実習室 家庭総合実習室

その他

7校(8.2%)

6校(6.5%)

1校(14.3%)

2校(7.4%)

58校(68.2%)

63校(68.5%)

0校(0.0%)

20校(74.1%)

2校(2.4%) 18校(21.1%)

2校(2.2%) 21校(22.8%)

6校(85.7%)  0校(0.0%)

0校(0.0%)  5校(18.5%)

85校(100%)

92校(100%)

7校(100%)

27校(10㈱

※各教室の面積については文部省が平成5年3月発表した「家庭科教育のための実験・実習施設・

 準改定」による標準に基づく。

設備の基

(4)

36 茨城大学教育学部教育研究所紀要第28号(1995)

 家庭科に関する教室について調査当時実習室をまだ建築中 という学校もあった。男女共学校の場合,女子のみ履修であっ た時の既存の施設そのままを利用するか,多少手を加える程度 にとどまっている。その施設・設備についての具体的な要望は 実習室が狭く男子も履修するということでの改善要望と老朽化 に伴う改善要望が多い(表5)。

 全国調査の結果1)においても,男女共学で40名の実習では 狭く危険であるため実習室拡張(25県),実習室・試食室・準備 室等のないもの,家庭総合実習室等の新教室を含んだ実習室準 備室等の設置(25県),従来の女子向きの施設が不適であると,

老朽化した施設は危険であるたあ実習室改修(14県),第2調理 実習室,第2被服実習室等の増設を含む実習室増設(10県),視 聴覚室(コンピュータ室)設置(5県)があげられている。また,

設備に対する要望としては,男女共学となり,サイズ不適の設 備が多く,破損の増加の指摘も多いため男女共学対応設備(24 県),視聴覚設備の導入(20県),老朽化設備更新(18県),電気 容量の増加(15県),時代に対応する設備(11県)であった。視 聴覚教室とは別に,家庭科教室に各種視聴覚設備の要望が多い。

老朽化設備については,設備基準や耐用年数:等の改善の要望が 多い。

表5 施設e設備に対する要望 実習室が狭い         14 校

男子の体格にあった実習台   8 校

電気配線や容量        6 校

讐食台の充実         5 校

実習室の数の増やす      5 校

ミシンの充実         5 校

パソコンの台数の増やす    3 校

実習台が古すぎる       3 校

備品の充実      3 校

調理台の排水が悪い       2 校

その他椅子・机等が低く弱い    食器戸棚の整備     ビデオ等の視聴覚の充実    被服室の水まわりの整備

家庭科準備室の設置 座学用(前向き)教室 体育館下であるための騒音 調理室の給湯設備 被服実習室の状態の改善

 茨城県だけでなく全国的に男女虚血に伴い,男女ともに学ぶのに適した施設・設備の設置及び改修 と老朽化した施設・設備の更新が望まれているといえる。これらの教室の整備の状況は,25%が整備 を終わっており,40%は具体的な整備計画はないとなっており,新教育課程用に整備をする学校は

少ない(表6)。

表6家庭科に関する教室の整備状況 平成5年度までに新教育課程用に整備を終わった

平成6年度に新教育課程用に整備をすることになっている 平成7〜10年度に新教育課程用に整備をすることになっている 具体的な整備計画は,まだ検討中である

具体的な整備計画はない

(家政科設置校[旧設置を含む]・女子校のため整っている その他

(整備の必要がない4校・整備の望みがない・整備が継続中)

23校(25.0%)

9校(9.8%)

3校(3.3%)

14校(15.2%)

37校(40.2%)

12校

6校(6.5%)

3.1.4 授業内容 1)家庭科教育の内容

(1)領域重点度

 家庭科の各領域についてそれぞれの時間配分と学習の必要性について順位づけをしてもらい,その

結果から平均順位を算出した。

(5)

表7各領域における重点度

        家族

時間配分(位)   3.1 必要性(位)    2.1

家庭経済  4.1

 32

食生活

 1.1  1.8

衣生活

 2.3 4.7

保育

 3.5  2.8

住生活

 5.1  5.1

 食生活領域が時間配分,必要性ともに第1位だった。次いで家族,保育が高い。衣生活領域は,時 間配分が2位と高いが必要性はあまり感じられていない。

2)衣生活領域の内容

(1)衣生活領域指導の上で重点をおく内容

 衣生活領域の内容における重点のおき方も,被服構成がもっとも少なく,被服管理,被服材料に重 点をおく割合が高かった(表8)。これは既製服社会である今日の社会状況を反映していると考えられ

る。

 しかし,家庭科は学習指導要領で「家庭に関する科目を配当する総授業時数のうち,原則として10 分の5以上を実験・実習に配当すること」とあるため,実験・実習中心の授業内容を編成しなければ ならないため,実際には被服製作中心の授業内容となっている。男女七輪で学習する衣生活領域で 予定している被服製作の教材は,次年度に食生活領域における調理実習での着用を目的としてエプ ロンを予定している学校が多かった。次いでショートパンツ,はんてん,パーカーとなっている(表 9)。その被服製作に必要なミシンの配置状況は,ミシン1台当たりの人数が平均1.9人,最小で1人,

最大で9人であった。中には実習室やミシンがなく手縫いで手芸をしている学校もあった。製作実習 を行う以前に設備面での問題がある。

 被服製作以外の実験・実習を予定している学校もあったが,被服材料と被服管理に関する内容が中 心であった(表10)。衣生活領域は,ファッション化社会の要望に答えた材料開発を反映した材料と 既製服社会という現実を反映した管理中心の指導となりつつあることが伺える。

表8重点をおく内容 表9 被服製作の教材  表10被服製作以外の実験・実習の内容

着装 被服材料 被服管理 被服構成 その他

27.o o/,

49.2 O/0 71.2 O/0

12.7 O/0

1.6 O/o

エプロン 校

ショートパンツ 校

はんてん 校 パーカー 校

38 13 7 6

被服材料の性能(燃焼・吸水他)

洗剤の働き 織物(三原組織)

石けんつくり しみ抜き

基礎縫い(技術検定4級)

繊維(顕微鏡観察)

校校校校校校校 0◎ −← 4 ρ0 6 5 00 り0 9自 −

3)食生活領域の授業内容

 食生活領域の実習というとまず調理実習が考えられる。男女共修で実施する調理実習として予定し

ている回数は平均6.9回で,最小で3回,最大で12回であった。調理実習に非常に重点を置いている

(6)

38 茨城大学教育学部教育研究所紀要第28号(1995)

ことがその実施回数から伺える。調理台1台当たり平均5.2人,最小で4人,最大で8人であった。男 女共修となったのにもかかわらず生徒の体格にあった調理台の高さでない上に,1台当たり人数も調 理台の数が少ないため多くの人数で使用していることがわかる。

 食生活領域で実施予定の調理実習以外の実験。実習は,調理実習に関連した調理科学的実験が多い

(表11)。食生活においても衣生活領域と同様に調理実習が主体となっている。

表11調理実習以外の実験・実習の内容

糖度・塩分の測定     16校  食品添加物       13校  小麦粉の性質 パソコンによる栄養価計算 5校  基礎技術(技術検定4級)4校  でんぷんの性質 砂糖の温度による変化   2校  ビタミンC検出     2校  炊飯実験 その他      4在

校校門 ∩6009臼

3.2 中学校における男女瓦之技術・家庭科をめぐる状況

 平成元年告示の学習指導要領では,中学校技術・家庭科のどの生徒も学ぶ必修領域を「木材加工」

「電気」「家庭生活」「食物」とし,それぞれ35単位時間を標準としている。「11の領域のうちから7 以上の領域を履修させるものとする」とあり,必修領域以外の標準時間が20単位時間から30単位時 間である。このため1,2年で必修4領域,3年生で学期ごとに3領域を履修させることにより3年間 で11領域中7領域を履修することになる。

 今回の改訂ではこれまでのような男子と女子で履修領域の範囲を設ける扱いが改められ,男女同一 の扱いをすることとなったが,「地域や学校の実態及び生徒の特性等に応じて」とあるだけで具体的 記述がないため,選択領域において一部男女の別学が存在している。特に技術系列である「金属加 工」「機械」を男子に,家庭系列である「被服」「保育」を女子に履修させる学校が多い。その必修 4領域については,「現状のままでよい」が135校(69,9%)であるのに対し,「変更すべきである」が 33校(17.1%)であった。その中でも「情報基礎を必修にすべき」という意見が10校あった。

表12 選択領域の履修状況と学習形態

選択し 選択して 学習 形態

ている いない 男女共修 男子のみ 女子のみ 男女別学

金属加工

88校(50.0%) 88校(50,0%) 28校(31.8%) 59校(67.0%) 1校(1.1%)

0校(0.0%)

機械

77校(43.8%) 99校(56.3%) 18校(23.4%) 58校(75.3紛 1校(1.3%)

0校(0.0%)

栽培

29校(16.5鋤 147校(83.5%) 12校(42.9%) 16校(57.1紛 0校(0.0%)

0校(0.0%)

情報基礎

170校(93.9紛

11校(6.1沿

141校(83.9%) 10校(6.0%) 2校(1.2%) 15校(8.9%)

被服

126校(66.7%) 63校(33.3刃 42校(33.9%) 0校(0.0%) 82校(66.1%)

0校(0.0%)

住居

74校(40.0%) 111校(60.0鋤 39校(53.4%) 1校(1.4%) 30校(41.1%)

3校(0.0%)

保育

175校(92.1%) 15校(7.9%) 106校(61.6%)

2校(0.0沿

59校(34.3%)

5校(2.9%)

 男女別学形態が存在する場合の理由としては,「男女に差があるj「男女の特性に応じる」などが あげられた(表13)。これには,性差意識と性別役割分業の意識が影響していると考えられる。また,

技術担当者との持ち時間の関係からという学校事情から仕方なくという場合もあった。

(7)

表13 男女別学形態の理由 男女に技術面の差があるから48校(48.0%)

指導がしゃすいから 施設・設備の点から

その他

         効果的学習ができるから   47校(47.0%)

  27校(27.0%)男女に知識面の差があるから 11校(11.0%)

  10校(10.0%)高校の推薦入試に対応するため 6校(6.0%)

  17校(8.8%)

時間の関係で(3校)     女子中なので(2校)

時間,教師数の関係で(2校) 男女の特質より 男女の興味関心の差      学校実情・生徒実態 持ち時間の関係で      技術担当者との関係で

3年で男女とも4領域にするため

女子に被服をやらせておかないと家族のために何もできないから 転任してきて被服とかは無理だから

3.2.2家庭科担当者

 高等学校における配置状況と比較すると,家庭科専攻以外の教諭によって担当されている割合が高 い。家庭科担当教師がいない学校が1校,家庭科専攻の教師のいない学校が約17%あった。また,免 許外で担当している人の教科は多岐にわたっているが,特に単位数:の少ない「音楽」が多かった。

表14 技術。家庭科担当者

0名 1名 2名 3名 4名以上

家庭担当教師数  1校(0.5%)  99校(51.3%) 71校(36,8%)  18校(9.3%) 4校(2.1%)

家庭科専攻教師数:32校(16.7%)

他教科専攻教師  国語  14名 専攻教科     保健体育14名

136校(71.2%) 23校(i2.0%)  0校(0.0%) 0校(0.0%)

社会5名 数学12名 理科8名  英語12名 美術ll名 音楽24名 特殊2名

技術担当教師数  2校(1.0%)  117校(60.6%) 63校(32.6%)

11校(5.7%)  0校(0.0%)

3.2.3授業内容

(1)「家庭生活」領域

 必修領域として新たに設けられた「家庭生活」は,家族の生活,家庭の経済,家庭の仕事などに関 する実践的・体験的な学習を通して,自己の生活と家族の生活との関係について理解させ,家庭生活 をよりょくしょうとする実践的な態度を育てるような内容に構成されている。その実践的・体験的学 習と関わってくる実験・実習は,教科書の内容に準じている(表15)。中学校の最初に家庭生活全般に ついて学ぶということで小学校の内容と重複しがちである。r家庭生活」領域の内容に対する意見は,

約半数が改善すべきであると考えている(表16)。内容が家庭生活について広く学習する総合的な面

が評価されている反面,限りある授業時間の中で結果的に時間不足となることが指摘されている。

(8)

4e 茨城大学教育学部教育研:究所紀要第28号(1995)

表15 家庭生活領域の授業内容

実験 実習 内容

食生活 i    衣生活 i 住生活

しみ抜き

15校

調理実習

   :V6校1小物製作 63校

31掃除

25校

洗剤の働き

12校

朝食つくり 21校iウォールポケットの製作

34校 3

洗濯

5校

お弁当つくり 17校i洗濯

22校 i

繊維の性質

3校

昼食つくり

4校iしみ抜き 15校 2

石けんつくり

2校

;衣服の手入れ

11校 i

匪1ほころび直し

8校

iエプロンの製作

5校 3

1ショートパンツの製作1

3校

i5

実験・実習以外

ロールプレイング 9校 調べ学習,課題解決学習  9校  ビデオ 6校  討論  3図 表16家庭生活領域に対する意見

現状のままでよい 総合的に学べるから

生徒が興味・関心を持つから 時間的に効率がよいから

47.3 O/0

95.3 O/0 17.4 O/0 10.s o/,

改善すべきである        53.0%

時間的に足らなくなるから    64.9%

生徒が興味・関心を持たないから  30.9%

内容がかたよるから        IO.3%

小学校の内容と重複するから    4.1%

内容が浅く広いから       3.1%

(2)「被服」領域

 選択領域となった「被服」は約70%が選択しており,約30%は選択していない。その授業内容は 被服製作実習以外はほと      表17被服領域の授業内容

んど行われておらず,製

作中心であるといえる

(表17)。その被服製作の 教:材は,「ショートパン ツ」が最も多く,小物,

手芸品などがあげられて おり,高等学校の被服教 材と一致しているものも 多い。

実験 実習

布地の性質 5 ショートパンツ

31校

スカート

7自

校課題解決学習

1

小物・手芸品

24校

Tシャツ

5校

校 タンクトップ 16校 はんてん

4校

パジャマ 14校 エプロン

3校

パーカー

12校

日常着

12校

3.3 男女共修家庭科の今後の課題 3.3.1 高等学校

 男女共学の家庭科の指導上の課題として,「男女ともに興味をもつ授業内容」についてが最も多い

(表18)。男女ともに学ぶということに対する教師側の不安が感じられた。次いで,中学校の技術・家 庭科で「被服」が選択領域であることから「被服製作の内容」が多い。また,一講座の人数や施設

・設備に関することなど学習環境の整備に関するものも多くみられた。

(9)

表18 男女共学家庭科の指導上の課題 男女共に興味をもつ授業内容

一講座の人数が多すぎる 実習の時間配分 器具・用具不足

準備・後片づけが大変である 男女間の技術面での差 施設の不備

調理実習の班編成 その他

校校校校高校二三 19754432

2

実習助手の家庭科の授業への参加

 被服製作の内容  実習助手がいない  生徒間の技術面での差  実験・実習室不足  評価の仕方

 中学校で選択による履修によって生じる差  授業時間内に終わらない生徒の指導  資料の準備

進路指導とのかねあいによる4単位の維持 自立して生きてゆける力を育てるための指導法

他教師に家庭科の内容が理解されていない

校校校高校高校校 38754322

1

3.3.2 中学校

(1)男女共学家庭科指導上の課題  男女共学家庭科の指導上の課題は中学 校において,高等学校と同じことが感じ られている。特に実習中心の授業内容を 反映して,生徒間の技術面での差が強く 感じられていた。また,中学校では観点 別評価が加わり,高等学校とは評価方法 が異なるが,評価の仕方に対する課題意

識力母弓蚕力、つた。

図1男女共学家庭科指導上の課題      1

男女間での興味 の対象が異なる

2 3 4 5

生徒間の技術面

 での差

器具・用具の充

 足状況

実験・実習室の

 設備

授業の準備・後

 片づけ

評価の仕方

(2)男女共学家庭科を指導しての意見

 平成元年告示の学習指導要領は中学校においては,平成2年4月1日から施行されているが,男女 共学の授業を実施しての意見として次のようなものがあった。

 肯定的意見としては,「男女共学の履修ができるようになってよかった」(8校),「男女共互いによ い面を吸収し協力体制が強くなった」(5校),「別学よりは学習効果の上がる面が多いj(3校),「全 体的に興味を持って取り組んでいる」(4校)というものがあげられた。

 否定的意見としては「特性をふまえた指導という面が重視されず疑問である」(5校),「男女の技 能の差が大きく指導しにくい点がある」(3校),「男子生徒自身が学習の必要性を感じられない場合,

指導は難しい」(3校),「全学年全領域男女共修となり内容によっては難しい」(2校),「男女差がす

べての分野で出てくる」(2校),「男女差がでてくる時なので別学の指導があって良い」(2校)があげ

(10)

42 茨城大学教育学部教育研究所紀要第28号(1995)

られた。なぜ男女がともに学ぶ必要性があるのかという部分がきちんと意識されることが学習にお ける効果につながっていくといえる。

 さらに,中学校指導書技術・家庭編に「小学校家庭科,高等学校家庭科及び他教科の内容との関連 を図る」とあるが,「小・中。高と系統的に学習がつながるように配慮している」(7校)というように その点について配慮している学校は少ない。「小中高一貫の研修会や話合いが必要と思う」(6校),「小 学校とのダブリ,高校との重複がおきているのではと不安に思う」(2校),「小学校で履修すべきもの はきちんと教えて欲しい。中学校も同様である」という意見に象徴されるように,小中高間の具体 的連絡の欠如が現在問題として存在していることが指摘されている。これは中学校に限らず小中高 を通しての問題点であるといえる。その一方で,「小学校・高等学校の連携はとれていないので独自 にやっている」「小学校・高校は家庭科として扱っているが,中学校は技術・家庭科で幅広い学習が可 能である」という技術・家庭科としての独自性を重視している教師もいた。

4 まとめ

 小中高を通じて男女が学ぶ教科となった初年度の状況は,学習形態として男女がともに同じ教室で 同じ内容を学ぶことが可能となったが,その成果が中学校ですでに評価されている一方で,学校裁 量で一部の領域を選択履修することになった結果,一部の学校で男女別学形態が存在していた。ま た,高等学校でもごく少数の学校であるが男女別学で実施している学校がみられた。男女共学の実 施についての不安が今後残る。

 家庭科を担当する教員配置については,高等学校では家庭に関する学科のある学校以外では教諭は 各校1名程度で常勤講師・非常勤講師が多かった。中学校では専攻教諭は各校1名程度で免許外の担 当者もいた。このように家庭科担当教員の配置については問題がある。

 男女高山に伴う施設設備の整備状況は,高等学校において教室の広さや実習台が従来のままで男子 の体格に合っていないことや,施設設備の老朽化に対する改善の要望が多くみられた。

 実際の授業内容については,男女がともに学ぶということで,従来のままというわけにはいかず高 等学校において学習内容そのものに対する不安がみられた。中学校,高等学校における教材そのも ののみ比較すると類似性がみられた。また,中学校で領域が選択履修であるため,「被服」を履習し ない生徒がいることになり,高等学校における教材選択や評価の障害となっている。

 小中高の系統性については配慮されていない。これは,中学校教師からの指摘にあるように,小中 高間での交流がなく,交流をとる体制もない。このため同じことの繰り返しになったり,小中高と 段階的内容を深めていくことが困難な状況にある。

1)教育大学協会家庭科部門の小。中・高家庭科の条件整備に関する委員会において「小・中・高家庭科

 の条件整備に関する諸問題」について全国調査を行い,1994年全国大会で発表した資料

参照

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