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ひらかれた幼稚園を考える 一コミュニティー広場を通して一

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Academic year: 2021

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ひらかれた幼稚園を考える

一コミュニティー広場を通して一

1)蛹エいつみ,1)多田慧子,1)山路純子,1  2)吉澤 勲,2)新井孝喜

)茨城大学教育学部附属幼稚園 〒310−0011水戸市三の丸2−6−8

2)?城大学教育学部 〒310−8512水戸市文京2−1−1

 平成10年度から2か年計画で,「地域と共に一出会い・触れ合い・育ち合い一」をテー マとして研究を進めている。今年度は具体的に5つの試みをした。その試みの成果と今 後の課題をまとめると以下のようになる。

 (1)様々な課題を抱えた親への対応と,課題が潜在している親への対応など,親の   意識を把握する機会となった。

 (2)いろいろな試みをする中で,他の親子や教師の前でいいところを見せようとし   てそれがプレッシャーになっていたりするなど,子育て支援の難しさを感じるよ   うになった。その背景を探り,そのような人が自由に心を開くことのできる場の   提供や,子育ての喜びを実感できる支援を考えていく必要がある。

 (3) よりよい運営をしていく手がかりとして,限られたスタッフが無理せず対応で   きるよう計画すること,継続していける方法を模索していくこと,安全面への配   慮,温かく迎え入れ接することの4つが明確になった。

Key words:ひらかれた幼稚園,コミュニティー広場

1 はじめに

 近年の少子化,都市化,情報化といった社会の変化に伴い,子どもたちが育つ生活 環境は著しく変化してきている。子どもたちが自然に集まり遊ぶという姿がほとんど 見られなくなっている今,生活経験が乏しく,偏ったものになっていると言えるだろ う。また,育児雑誌等による情報が氾濫し,「この時期にはこうあらねばならないとい うような思いが焦りとなり,子育ての不安や重圧感に結びついていると思われる。竹 園でも,このような状況が,少なからず過保護や過干渉を生んだり,過度の期待から 幼児教室や稽古事に過剰に通わせる等,いろいろな形で子どもの生活に影響を及ぼし ていることを感じる。そこで,子どもが豊かな体験を積み重ねられるように,幼稚園 が地域の子育て家庭を支援していく役割を担っていく必要性が生じてきている。それ 故,本論文では,家庭,地域,幼稚園がお互いに作用し合うなかで,新たな環境や人 との出会い,触れ合い,育ち合うことを支えるひらかれた幼稚園の役割について検討 し,地域に開かれた計画の実施例とその結果について報告する。

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2 ひらかれた幼稚園

 はじめに,本研究の主題に用いられている「ひらかれた幼稚園」の意味についてそ の機能,教育的環境などについて考察する。

2・1 ひらかれた幼稚園の3つの機能

いうイメージがある。新しい風を幼稚園に取り 込み,その風にのって新しい出会いを求めて外 へと向かうことを意味し,風は,家庭や地域で

ある。

 幼稚園が家庭や地域と融合し,お互いに作用 しながら育ち合う時に,本当の意味で「開く」こ とになるのではないだろうか。家庭の教育力や 地域の教育力が低下したと言われる現代だから こそ,幼稚園の教育的環境を媒介としながら,家 庭と地域とが良好な関係で行き来し,つながっ

 「ひらく」には,一般に,「拓く」「啓く」「開く」という文字をあてはめることが できる。その意味を一つ一つひもとき,そこに,幼稚園,家庭,地域を重ね合わせな がら捉えていくことを考えた。

 まず,「拓く」には,自らの手で外へ切り開いていく「開拓する」というイメージ である。よりよい保育の方向を目指し,活動の場や素材,人との出会いを積極的につ

くりだしていくことにつながる。

 「啓く」には,「啓発する」という意味がある。当たり前に思っていたことでも,見 方を変えてみると,新たな発見をするというようなことがある。「あ!そうか」と新 たな発見ができるような情報を発信する場として機能していく必要がある。

 「開く」には,扉を開ける,オープンにすると

       幼稚園

拓く

地 域 開く

啓く

家 庭

図1 幼稚園の機能と家庭,地域の関係

ていくことを目指して支援していくことが求められている。

 図1は,ひらかれた幼稚園の機能と家庭,地域との関係を模式的に示す。

2・2 ひらかれた幼稚園を支える教育的環境

 教育的環境の一つとして,物理的なひらかれた空間がある。本園の建物は,天井の 高いプレイルームを中心として各保育室に面しており,開放的である。その子どもを

とりまく雰囲気が「ひらかれた幼稚園」の土台となる。

 次に,教師の姿勢はオープンマインドであることが必要である。それは,教師同士 がお互いの多様な個性・能力を認めるということであり,様々な人が幼稚園に出入り し,多様な活動の機会をつくっていくという柔軟な保育や活動を展開していく上で,

必要不可欠なことである。

 最後に大学の附属幼稚園という教育的環境である。学部学生や他附属学校の児童・

生徒の保育参観や参加を通して,少しずつ交流が始まったところであるが,相互に理 解を深めるにはいたつていない。これからは,学部との学術的な交流をはじめ子育て 相談等への協力態勢づくりや共同研究,また他附属学校との連続的な研究と附属幼稚 園という教育的環境を十分に生かしていけるよう努力していきたい。そこで得られた 成果を地域に発信していくことがこれから担うべき役割となると考えている。

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(3)

3 ひらかれた幼稚園としての試み

 本年度は,主に表1に示すような試みを計画し実施した。この表の中から今回はコミ ュニティー広場について詳しく報告する。

表1平成10年度の主な試みの名称とその機能,特徴,目的など。

名 称 機  能 特 徴  ・ 目 的 備  考

ふれあいサ

^デー

  啓 く i家庭→幼稚園)

@親の保育参加 通して幼稚園 ウ育を啓発

・在園児の親が対象

E子どもと自由に遊ぶことで,様々 ネ子どもの姿を発見

E遊びを通して幼稚園生活を理解・親としての子どもへのかかわり方

ヨの気付き

・学期に1回,土曜日

ノ開催・自由に遊べる空間,

條ヤの保障 E実施後に全員にアン

Pート

おしゃべり L場

  啓 く i幼稚園→家庭)

@幼稚園から情 を発信しなが 逍{来の子育て フ在り方を啓発

・在園児保護者(研究日クラス)が対 ロ・ビデオ視聴後に自由な語り合い

E子育ての悩みや経験を交流 E自由に語ることで子育ての不安や

Xトレスを解消 E子育ての喜びを実感

・年に7回,土曜日に

、究Bと合わせて開

テ・子育て関連ビデオを

として E父親参加を呼びかけ E実施後に対象者にア

@ンケート

地域の日

  開 く i地域,家庭→幼

t園/幼稚園→

n域,家庭)

@幼稚園と家庭,

n域が融合し育 ソ合いを促進

・在園児及び地域の子育て家庭の親 q,並びに地域の人々が対象 E地域と触れ合うことで新たな発見,

Lかな体験

E子育てネットワーク作りの基礎 E地域の人々が活躍し喜びを感じる

・年に7回,土曜日 E徐々に対象を拡大 E2学期からはコミュ

jティー広場と併せ ト開催

E技能バンクや地域の {ランティアの方の

ヲ力

コミュニテ Bー広場

  拓 く i地域→幼稚園/

c稚園→地域)

@地域の子ども フ遊びの保証と q育て情報の発

M

・地域の親子(2・3歳児)対象 E園内で自由な空間を保障しながら,

Vびの大切さを伝え広げる場 E情報を交換することで,子育ての

yしさを実感

・2学期から4回,土 j日に開催

E事前に申し込み E1回20〜30名 E1回150円(保険・お

竄ツ代)を徴収

フレンドシ bプ事業等

  拓 く i地域→幼稚園)

@小・中・高・大 wとの交流を通 オて新たな出会

「を開拓

・大学や他の附属学校,地域の学校 ニの交流

E保育参観や保育参加,環境整備等 通しての幼児理解

E幼児教育の重要性を啓発・子どもと遊ぶことの楽しさを肌で

タ感

・随時

E茨城大学のフレンド Vップ事業(学生ボ 宴塔eィア)

E児童・生徒は授業の 鼕ツとして

E感想文等の提出

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4 コミュニティー広場実施記録

 表1に示された5つの計画の中から,ここでは「コミュニティー広場」についてとり あげ,その実施目的,内容などについて詳述する。フレンドシップ事業の例について は,すでに前報ユ)に報告している。

4・1 実施目的

 地域にひらかれた幼稚園として,地域の子育て家庭と共に,子どもたちの望ましい 成長を見守り,子育ての楽しさを共有できるような場を作りだしていくために,地域 の子育て家庭を幼稚園に迎え,未就園児が安心して遊ん   庚猷鞭騨鰯鋤絡

熱温田漏磯たりできるような場を灘鰹「撫

       ☆日にち 9月5H(土)

4・2 コミュニティー広場の内容

(1) コミュニティー広場への参加者募集

   図2のようなパンフレットを用意し,生涯学習セ   ンターで配ったり,三の丸公民館に置いたり,在園  児に配ったりした。また,インターネットのホーム  ページでも紹介した。

(2)実施状況

 表2 コミュニティー広場の実施状況

☆ff寺 閣 9;30〜11:00

☆場禦茨城メ轍鮒属幼榔醤    水戸帝三の丸2−6−8

☆蒐 象 2、3歳児とその保力者

☆人数 30名(串込み先馨順)

☆持ち物 上鰻き 欽み物

☆饗 用 150円(おやつ,親子保険代)

 駐i車場が狭いので乗用重の乗り入れば  ご遠慮下さい。

 錘盤鑛鐘「響一魑に趨び簿i豊危か t

      ・禦   ∫六二鍵i雛じ

図2 募集用パンフの例

実施 日 参加人数・対象 内       容 9月5B(土)     36名

Q歳児25名,3歳児11名

i生年月日がH6.4.2〜H8.4.

Pの子どもに限る)

・自由遊び・おやつ

E保育室でのひととき(母親は,情報交換の場へ)

10月31日(土)     28名 Q歳児16名,3歳児12名

i生年月臼がH6,4.2〜H8。4.

Pの子どもに限る)

・自由遊び・おやつ

E保育室でのひととき(母親は情報交換の場へ)・手話を楽しむ(地域の日でお願いした方,在園児

ニ一緒に楽しむ)

11月21日(土)      12名 Q歳児10名,3歳児2名

i生年月日がH6.4.2〜H8.4.

Pの子どもに限る)

・自由遊び・在園児(年長組)の遊びに入って楽しむ(アートバルーン・土粘土等)・おやつ・保育室でのひととき(母親は情報交換の場へ)

3月6日(土)      28名 Q歳児17名,3歳児11名

け入れの対象年齢を広げ ス(申込みのBまでに誕生日

迎えた2歳児も受け入れ

驍g6.4.2〜}19.2。2)

・自由遊び・おやつ

E保育室でのひととき

i対象年齢が低く,母親と離れられないため,情報 換の場を特別に設けたわけではなく,立ち話等 しながら,臼然にコミュニケーションをとって

「た)

一 30 一

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 コミュニティー広場の実施状況は表2に示す通りである。

 未就園児を幼稚園に招くにあたっては,どのような育ちの子どもたちなのか,どの ように接したらよいだろうかという不安があった。そこで,1学期に次のようなことを 話し合い,検討を重ねた。

・園内の環境の見直し,教材研究(遊具は育ちにあっているのか,安全面はどうか)

・教師の対応の仕方

・受け入れ人数保険のこと,呼びかけの方法,申込み方法,当日のスタッフの配置な ど具体的な実施方法

 地域の日と同時に進行しているために,特にスタッフの配置などには注意を払い,足 りないところは,お互いに手のあいている人が補うことにした。回数を重ねていくう ちに,受け入れる側でもゆとりをもって対応できるようになり,参加者のニーズに応 えながら対象となる年齢を広げていったり,在園児とのかかわりがもてるように柔軟 な態勢で計画を立てていくことができるようになってきた。

 一方,参加した人の様子を見ていると,何度か重ねて参加すると,スタッフにも気 軽に話かけてきたりする姿もみられるようになるなど,雰囲気に慣れてくることがわ

かった。

5 コミュニティー広場を実施して

 受付時に,一日の流れについてのプリント(図3)やアンケート用紙を配った。園内 を自由に遊んだ後,おやつの時間をとった。その後,紙芝居やエプロンシアターを見 るなどの,教師と共に楽しく過ごす時間を設けた(写真1,2)。子どもから離れられる 保護者は,別の部屋での情報交換の場に参加した。

     茨城大掌教門学部附麗幼稚圏     コミュニティー広堀へようこそ!

       平威11年3月6日コミLニティー広鱗には、お子掻が自厳=気騒に遵べる堀があfJます。

お子糠と一醗に遊んだりお子樺商士で遊ぶ橡子を聾たりしながら、他の保霞堵の方や附照 幼稚園の救鱒との交Nをどうぞお楽しみください.

子どもは、隙遵び の中で生きるための穴切な孚響をしてい蜜す。いろいろなものや人、麟隷 に興昧をもち、配分ならではのかかわり方を艇索し、試したり工夫する中で遼成感や充爽醸を 聴わい夜す.そのような継駿を穣み重ねていくことが、幼児期には何よりも鼠要であり、避かな 心が驚つと附餌幼鞍魍では脅えています.

お子撫が何に興昧をもち、どんなことに心を冨せているのかじつくりとこ賢ください。

瑛た、子宵てについてわからないことや心配なことがある方1ま、齪溺稲麟、またはグループで の慣鰍交換の堀に留趨することもできます(le一・15分程慶}ので、どうぞお申し出ください。

*1日の謬れ

9130一.

tor30N

1t/oo

受付終了後、幼稚囲内の好きなとこるで澄んでください。

 Jグリーンコート認遜燭は上徽のまま避ぷことがで嚢ます。±の戯  は、外陰に駅き酬えてください。

おやつ(月組の飾置に用趨します.聴圃になったらお無まり下さい)

 ・おやつ纏了後、みんなで歌を歌ったり紙芝屠を毘たりします。

 ・その団に、ご希蜜の方を対謙に圃溺相麟(敏冒獲)・構綴交換  (空耳)の燭をもちます.

解 鮫

寧 来隼度は、月に1度(内閣11画)のコミュニティー広場を予定しています。

 ふるってこ拶二期さい.欝しいことは4月になりましてから、お問い含わせ下さい。

一・・イ一

。;#・ か・》ウ

軸げ::L轡ボ蝉

     一難

       ゆハ のリノが        ロ

   の 越電 くも 耀,aヒ ゐゐ   西t. 負塵たいざ 轟 し tτ

購     瀞

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も藁畿翼−糞

こぶたぬきつねこ 山木置厩/停鵜・停臼・出向

こ、y 1: たぬさ きつね ねこ

フフ1一・ ボン.Ptコ水ン コンコン ニ争一X

図3一日の流れについてのプリントの例

かえるのうた 画零臓瞬/佛隣  ドイツ面 智濯撃妃/屡蔚

かえるのうたが tこえτく6t 9ワ7ワクワクワ ケケケケケケケケ クワクワクワ

一 31 一

(6)

爵鑛

tt・L@}ノ

写真1先生と一緒に楽しむひととき。(こ 写真2未就園児と在園児(年長組)がかか の時間帯に子どもから離れられる保護者 わりあいながら遊ぶ姿が回を重ねるうちに は,情報交換の場に参加する)      見られるようになる。

5・1 実施した結果

 実施した結果次のような4つのこと,即ち,(1)気軽に参加できる雰囲気作り,(2)親 同士のネットワーク作り(子育てに関する話し合いの場の提供),(3)在園児との触れ 合う場作り,(4)身近に感じるコミュニティー広場作り,が大切であることがわかった。

以下に順次これらの4つについて詳述する。

(1)気軽に参加できる雰囲気作り

  実施後のアンケートの感想の中には,「普段と違った雰囲気で刺激を受けた」

 「情報交換して,母親自身が安心した」「子育てを見直す機会となった」「自分の  子どもを客観的に見ることができた」というように,充実した時間を過ごすこと  ができたというものが多かったが,中には,「他の子どもが母親から離れても平  気でいることが羨ましかった」「知り合いの母親同士だけで話をしていて,入っ  ていけない雰囲気があった」など,今後の課題となるようなものもあった。

  また,実際に親子が遊んでいるところを思い返してみると,在園児や修了生に  兄弟関係があり,附属幼稚園について多少知っている場合には,抵抗なく雰囲気  に溶け込んでいくことができるが,知り合いもなく,初めて参加した場合には,

 どのようにしたらよいかわからずに困惑する様子も伺えた。

  このようなことから,今後さらに親子がゆったりとした気持ちで遊べるような  環境作りや,教師自身がオープンマインドの姿勢で,緊張をほぐしていけるよう  な温かな対応を積極的にしていくなど,気軽に参加ができるような雰囲気作りの  必要性などが考慮されるよう工夫しなければならない。

(2)親同士のネットワーク作り(子育てに関する話し合いの場の提供)

  子育てについて,個別に相談したい方のための場を設けたが,本研究継続中に  は希望者はなかった。しかし,グループで話し合う,情報交換の場には多数の参  加が見られたり,「子育てについて気軽に話し合えるような場や,知らない人と  も話をする機会が欲しい」という声は多く寄せられている。このことは,個別相  談というような個人的なものよりは,むしろ,井戸端会議的な気軽に話のできる  ような場を求めているのではないかと思われる。

  そのために,現在は,参加した時の感想や要望などを話し合っている「情報交  換の場」を,これからは,普段子育てについて感じていることをざっくばらんに

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(7)

話し合えるような場に変えていくよう検討している。そして,地域と家庭と幼稚 園とが,一緒に子育てを考え,子育ての楽しさを共有できるようなネットワーク 作りを進めていきたい。

(3)在園児との触れ合う場作り

  コミュニティー広場の実施後には「年長組の友達と遊べてよかった」「もっと  在園児と遊びたかった」という感想が寄せられている。また,在園児の方にも,

 「喧嘩しているところを見られて恥ずかしい」というような気持ちが生まれてき  ている。今後も自然な形で,在園児とかかわっていける場を増やし,触れ合いの  中で共に学んでいければと考えている。

(4)身近に感じるコミュニティー広場作り

  今までは,在園児の保護者などを通して口こみでコミュニティー広場の存在を  知っていくことが多かったようだ。今後は,ポスターを貼る地域を広げたり,実  施回数を増やしたり,対象とする年齢を広げていくなど,地域の人たちが,コミ  ユニティー広場をより身近に感じるような方法を,いろいろなところがら情報を  取り入れながら検討していきたい。

6 成果と今後の課題

 以下には,平成10年4月より平成11年3月までひらかれた幼稚園として1年間実施 してきたことを通して得られた成果についてまとめ,さらに今後に残された課題につ いて記す。

6・1親の心に寄り添うための手がかり

(1)親の意識の把握

  本年度の研究で,様々な試みを実施する際に,できるだけ親の意識を把握しよう  と努力してきた。その際に,次の2つの視点から検討してきた。

a様々な課題を抱えた親への対応

・親の意識は,予想しているよりももっと多様であり,価値観もさまざまである。

よって,一人一人の親の意識の背景(置かれている環境)にあるものを探りなが らいろいろなタイプの親が自分に合った方法を選択し課題に向き合えるように,

様々な場の提供をしていく必要がある。

・親が子どもを思う通りにしたいという気持ち(この時期にはこうなってほしい,

○○ちゃんができるのだからできるのが当たり前等の考え)と,実際にはその通 りにいかないジレンマが育児の不安や悩みを生んでいる場合が多い。

・親に対して,他の子どもや雑誌等と比べるという比較の上で育ちを考えたり,み んな同じ状態を目指すことが教育ではないことの理解をさらに促していく必要が

ある。

b課題が潜在している親への対応

・「やってよかった。成果があった」という集計結果だけでなく,表面に見えてこ ない親の意識(あるいは認識がないまま)に目を向けることが大切である。

・個入的な相談が少なかったのは,相談しにくい要因があるのか,参加する必要

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性を本当に感じていないのか,問題を隠したい気持ちが強いのか,本人が認識し ていないのかを探り,その対応を検討していく必要がある。

② 自由に心を開く場の提供

  いろいろな試みを通して幼稚園をひらくことが,子育て支援になると考えていた  が,他の親子のかかわりを目の当たりにすることで逆に自分の子育てに不安を感じ  たり,他の親子や教師の前で子どもと遊ぶということがプレッシャーになっている  と感じられる親の姿があったりと,子育て支援の難しさを改めて認識した。

  また,上述したようにいいところを見せようとすることが「ストレス」になって  いる親や,課題を見つめようとせず避けている親なかなかサインを送ってこない  親絡み合っていかない親などその姿は実に多様である。本来は,このような親に  こそ支援が必要であることを考えると,その背景を探り,支援していけるようなシ  ステム(匿名で相談できるような方法,幼稚園と直接関係のない人との相談,専門  分野の人と相談できる場の確保)を整えていくと共に,教師自身がオープンマイン  ドで温かく見守り,フォロー・ケアーしていくことが課題である。

(3)子育ての喜びを実感できる支援

  1996年版「国民生活白書」に,子育てを楽しいと思っているかどうかの国際比  較の調査結果が掲載されている2>。それによると,「子どもを育てるのは楽しい」と  答えたのは,日本22.9%,韓国53。7%,アメリカ71.5%と日本は極端に少ない。

  子育て支援の根本は「子育てが楽しい」と思えるように支援することではないだ  ろうか。子どもと一緒に発見したり,感動したりすることを通して,また,様々な  人から子育ての経験を聞くことを通して少しでも肩の力を抜き,「楽しい子育て」

 への支援ができるような環境を整えていくことが大切である。

6・2 よりよい運営の在り方の手がかり

 平成10年度ひらかれた幼稚園を目指して様々な試みを行ってきたが,実際に当 たっては,次のようなことを共通理解した。

 ・限られたスタッフが無理をせず対応できるよう計画すること  ・その中で,継続していける方法を模索していくこと

 ・安全面には,細心の注意を払うこと  ・温かく迎え入れ接すること

 その上で,年度当初に年間計画をたて,係を分担する。その担当者が中心になり日 程,内容,分担などについて全員でミーティングを行い実施していった。その結果次 のようなことが今後の課題としてあげられる。

(1)期日 回数時間

 ・週5日制に実施に伴い,平日への移行(本年度はすべて土曜日に実施)

 ・父親の参加を促すための曜日,時間帯の検討  ・保育終了後の時間帯の活用

(2) スタッフの位置づけ

  地域の日とコミュニティー広場を同時に開いたので,スタッフをどこに位置づけ  るかそのやりくりには苦労したが,足りないところを誰かが自主的に補うという柔

軟な対応によって乗り切った。

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 今後,もっと活動が多様になることを考慮すると,技能バンクやフレンドシップ 事業の活用,地域のボランティアの導入等も含め,よりよい方法を検討していかな

ければならない。

 本年度実施した試みに反省検討を加え,精選していくことによって,これからさ らに継続していくことができるような無理のない運営を考えていきたい。

7 まとめ

 年間を通して5つの試みを行ってきた。その中で,コミュニティー広場では,地域の 未就園児つまり2,3歳児を幼稚園に招き一緒に遊んだりするなかで,子どもたちの望

ましい成長を見守り,子育ての楽しさを共有できるような場を提供してきた。また,回 数を重ねる毎にニーズに応えながら環境を変えていくことも試みてきた。

 その結果,得られた成果をまとめると,主に以下の3項目に集約される。

(!)様々な課題を抱えた親への対応,また,課題が潜在している親への対応など,子  育てをしていく上での親の意識を把握していく機会となった。

(2)何度か試みているうちに,他の親子や教師の前でいいところを見せようとしてそ  れがプレッシャーになっていたり,なかなかサインを送ってこない親がいたりと子  育て支援の難しさを感じるようになった。その背景を今後も探り,自由に心を開い  ていける場を検討し,子育ての喜びを実感していけるような支援をしていく必要が  ある。

(3) よりよい運営をしていく手がかりとして,限られたスタッフが無理をせずに対応  できる計画をすること,継続していける方法を検討すること,安全面への配慮,温  かく迎え入れる姿勢,という4つが明確となった。

これらのことをもとに,今後はさらに効果的な環境作りを考えていきたい。

謝辞

 本研究を遂行するにあたり,安達喜美子茨城大学教授,渡部玲二郎茨城大学講師,神 長美津子文部省中等教育局幼稚園教科調査官には,研究の指針などに多くの教示を戴 いたことに対し,感謝の意を表します。

1)神永直美他「茨城大学教育実践研究」(茨城大学教育学部実践センター発行 第17  号,1998年)pp.175−186

2)国民生活白書(経済企画庁発行 1996年版)

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参照

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