『人文コミュニケーション学科論集』14, pp. 13-35. © 2013茨城大学人文学部(人文学部紀要)
に関する一考察
−「多文化共生社会における異文化コミュニケーション」に関する アンケート調査結果を通して−
金本 節子
<要約>
日本の地域社会における多文化化に伴い、文化背景を異にする人々との 出会いが日常的なものとなって、異文化コミュニケーション教育の必要性 と可能性を大きく変化させつつある。本稿は、すでに社会の多文化化が進 んだイギリスの一地方都市であるスコットランド、エディンバラ市に在住 する市民を対象として実施した「多文化共生社会における異文化コミュニ ケーション」に関するアンケート調査結果の分析をもとに、エディンバラ 市の「多文化共生」の実情と一般市民の外国籍住民に対する共生意識を探 り、日本社会の多文化化を異文化コミュニケーション教育にどう生かすこ とができるのか、その可能性について考察した。
1. はじめに
日本社会の国際化、グローバル化を背景に文化間に跨る研究と教育の重要性はさらに高く なりつつある。高度経済成長期の日本社会における国際化、多文化化は、1990年を境にさ らに加速し、日本の地域社会においても文化背景を異にする人々との接触が日常的なものに なり、異文化コミュニケーション教育の必要性と可能性を大きく変化させつつある。異文化 コミュニケーション教育は、単に欧米の教育に倣うだけではなく、また、英語教育に付随し て扱われるものでもなく、多文化化する日本社会において、日本的コミュニケーションの環 境の中で外国籍住民との共生の実現を目指すことのできるグローバルな視点と高度な異文化 コミュニケーション能力を持つ人材の育成に向けて重要な役割を担うことが期待されている
(注1)。
異文化コミュニケーション教育の在り方についてはさまざまな模索が続いているが(注2)、
その重要な方向性の一つに多文化共生社会を担う人材育成が考えられる。
本稿では多文化が共生する社会に向けて、どのような異文化コミュニケーション教育の在
り方が求められるのか、イギリスの一都市エディンバラの市民を対象に実施した多文化共生 に関する意識調査の分析をもとに、アジア系移民の流入による社会の多文化化がスタートし て半世紀を歩んできたイギリス社会の現状の一端を探り、多文化社会に生きる一般市民の共 生意識の考察を通して、日本社会の多文化化に応じた異文化コミュニケーション、多文化コ ミュニケーション教育の在り方について考える。
2. 外国人留学生の増加と大学キャンパスの国際化
異文化コミュニケーション教育の必要性が日本の大学で注目されるようになったのは、外 国人留学生の受け入れと日本語教育が制度的にも定着しつつあった1970年代後半である。
外国人留学生を対象とした日本語・日本事情教育は、外国人留学生の増加とともに普及し、
1983年の中曽根内閣による「外国人留学生10万人計画」(注3)によって、具体的な数値目 標をもって推進されることになった。
1990年代の日本語・日本事情教育の普及に伴って、外国人留学生だけでなく、日本人学 生を含めた異文化間教育、異文化コミュニケーション教育の必要性が認識されるようにな り、外国人留学生と日本人学生の混成クラスによる異文化コミュニケーション授業の試行が 始まった (注4)。
しかし、大学教育の国際化に大きな影響を与えると期待した外国人留学生の増加は、日本 人学生と外国人留学生の接触、交流において、数字上で期待されるほどの効果があったとは 言えない。それには以下のような要因が存在すると考えられる。
① 日本の大学における外国人留学生の大半はアジア諸国の出身者であり、平成23年度 の統計(注5)においても93.5%がアジア諸国出身者である。この傾向は戦後に外国人 留学生の受け入れが始まって以来変わらない。出身国別の内訳をみると中国、韓国、台 湾の東アジア出身の留学生だけで全体の79.5%を占める。続いて第4位〜8位はベトナム、
マレーシア、タイ、インドネシアなど東南アジア諸国の出身者が続くが、これらを合わ せると88%となる。すなわち外国人留学生の約9割が一見しただけでは外国人と区別で きないアジア諸国出身者で占められ、日本人学生が異文化コミュニケーションの対象と して思い描く欧米諸国の中では、最も留学生数が多いアメリカでも9位であり、その受 入数は留学生全体の1.1%にすぎない。このことは、一般の日本人学生にとって大学キャ ンパスにおける国際化の指標でもある外国人留学生の存在がほとんど意識されることが ないことを意味する。平成23年度の統計だけでも明らかなように、大半の日本人学生に とって外国人留学生と大学キャンパスの国際化は現実的なものとして結びついていない のが実情である(注6)。
② 日本の大学における講義形式の授業においては、学生は講義に耳を傾け、ノートを取
ることが多く、授業においても実際に外国人留学生との接触や継続的な交流が生れる機 会は極めて少ない。
③ 大学の授業で隣り合わせに座って言葉を交わすことがあっても、日本人のコミュニ ケーションルールでは、それをきっかけに交流を深めることは期待されていない。むし ろ、適度な距離をとって一定程度の交流にとどまるのが一般的である。外国人留学生は こうした、日本人のコミュニケーションの特性を観察し、「距離を保つ」、「物理的にも、
心理的にも近づきすぎない」、「あまり自分の意見を言わない」など、日本人に倣い、空 気を読みつつ日本人に合わせて行動することを学ぶ。そのため日本人学生との継続的な 交流に発展する場合は少なく、親密な友好関係は生まれにくい。(注7)
上述したように、外国人留学生の増加は、外国人を対象とした日本語教育の発展・充実に は貢献したが、チューター制度や留学生の日本語教育に関連した授業などに参加する一部の 学生を除けば、一般日本人学生にとって大学キャンパスの国際化に対する意識は極めて低い 状態に止まっている。外国人留学生と言えば、英語でコミュニケーションする欧米の白人系 学生を思い描く日本人学生は現在でも少なくない。最も身近に異文化コミュニケーションが 経験できるアジア地域出身の外国人留学生の存在は日本人学生の教育に十分に生かされてい るとは言い難い現実がある。
3. 地域社会の多文化化と異文化コミュニケーション
大学において外国人留学生が増加した1980年代以降、大学外の地域社会においても高度 経済成長を背景に、労働力の不足や、農・漁村の嫁不足などの社会的なニーズから、在住外 国人が急速に増加した。その増加傾向は1990年の入管法の改正を機にさらに加速し、2010 年には外国人登録者数は200万人を超え、日常的にも外国人の存在は珍しいものではなくなっ た。近年、世界経済の不況や東日本大震災の影響で、若干の減少傾向はみられるものの、少 子高齢化が進む日本社会にとって、安価な労働力が期待できる外国人労働者、農・漁村の嫁 不足、高齢者の介護問題など、グロ―バルな労働力の移動は中・長期的に見れば、その必要 性は引き続き高く求められると予測される。
茨城県の場合で言えば、県内に在住する外国籍住民数は、平成24年度のデータ(注8)に よると52,371人で全国で第9位の位置にあり、過去10年間、常に全国的に10位前後の位置を 占めてきた。国籍別にみると、昨年の上位出身国は中国、ブラジル、フィリピン、韓国・朝 鮮、タイの順で、これらの国の出身者だけで全体の約8割(約4万人)を占める。在留資格 から見ると今後も日本社会に長期に滞在すると推測される永住者(26,3%)、定住者(14,
9%)、日本人の配偶者(11.9%)が多く、これらの資格保有者だけで全体の50%を超えるこ
とからも、地域社会における外国籍住民の長期滞在化は着実に進んでいると言える。しかし、
増加を続ける外国籍住民と日本人との交流や異文化間コミュニケーションについては、地域 社会の外国籍住民を対象とした日本語教育(注9)、外国人児童の母語・母文化教育(注10)、
国際結婚のコミュニケーション(注11)、外国人コミュニティのゲットー化(注12)など、
家族、近隣、職場、地域コミュニティなどにおいて多様な問題が報告されており、外国籍住 民が日本社会に適応し、受容されるための道のりの厳しさがうかがえるが、これらはいずれ も重要な異文化コミュニケーションの課題でもある。
大学のキャンパスに存在する外国人留学生や地域社会に着実に増加しつつある外国籍住民 の存在を異文化コミュニケーション教育に生かすことはできないかという問題と取り組み、
さまざまな模索を試みてきた。(注13)
戦後まもなくアジア・アフリカ系移民の流入が始まり、歴史的な経緯からも多様なマイノ リティーが存在すると言われる移民の国イギリスの地域社会においては、多文化化はどのよ うな状況にあり、多文化共生意識はどのように一般市民に受け止められ、根付いているのだ ろうか。その実情を知ることは、地域社会の多文化化を異文化コミュニケーション教育に生 かそうとする視点からは極めて興味深い。
4. イギリス社会の多文化化
本稿では、イギリスという通称を英国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
を指す名称として使用する。イギリスはイングランド、スコットランド、ウェールズ、北ア イルランドからなる連合王国であり、調査を実施したエディンバラ市(Edinburgh)はその 4つの王国の一つであるスコットランドの首都である。独自の歴史と地域性を持ち、日常会 話のおいてもイギリスからの独立が話題になるほど独立意識が強い。しかし地域社会の多文 化化と外国人との共生に関するイギリス市民一般の意識を把握する目的からいえば、4つの どの王国で実施してもイギリスの一部であることには変わりがない。また、調査の実施場所 が、外国人の集住都市か否か、同じ都市でも商業地域なのか、郊外の住宅街なのかなどによっ て調査結果は大きく左右されると考えられる。今回の調査ではあえて外国人集住都市や地域 は選択せず、スコットランドという地域性にもこだわらず、一地方都市であるエディンバラ 市に在住する白人系イギリス市民100名から得た意見をもとに「多文化化が進んだ地域社会」
に生活するイギリス市民の外国籍住民との共生意識を考察し、日本社会における異文化コ ミュニケーション教育の課題とどう取り組むかについて示唆を得ることを目的とする。
イギリスの人口は2007年の統計では人口60,975.000人、外国人の人口は382万4千人で、外 国人人口の割合は6.3%である。しかし、この数字は異民族が100人中に6、3人いるという感 覚とは大きく異なる。イギリス社会は歴史的に「移民の国」と言われ、異民族を寛容に受け
入れてきたことから、多様なマイノリティが存在する。それらのマイノリティの子供たちは イギリスで生まれれば生まれた時からイギリス人として成長する。特に第二次世界大戦後の 経済成長期には英連邦諸国からの移民が大量に流入した。1948年に成立した国籍法では、そ れらの移民はイギリス市民としての居住及び労働の権利が自動的に与えられていたが、その 後マイノリティによって引き起こされた人種暴動事件などにより、移民に対する制限が強化 された。しかし1990年代の経済成長を受けて、深刻な労働力不足に陥ったことから、2000 年には移民法が緩和されるなど時代の変化に応じて、規制の強化と緩和が繰り返されてき た。近年、「経済競争力の強化等イギリスの利益になる高度人材については積極的に受け入 れる一方で、低熟練労働者については最小限にとどめる」というコンセプトに沿って、移民 法の改正が行われており、2008年からは5段階に分けられたポイント制が導入されている(注
14)。
本稿では特に戦後まもなく始まったアジア・アフリカ系移民の流入以後の社会の多文化化 を念頭におく。イギリスの多民族・多文化教育については、ブラッドフォードなど外国人の 集住するイギリスの各都市でのさまざまな問題が報告されている(注15)。これらの報告か らは行政の対応や制度上の変化、移民のコミュニティについて知ることはできるものの、一 般市民の日常生活における共生に対する意識や態度についての報告や考察は見当たらない。
多文化化進んだ社会に住み、特に意識することもなく日常生活を送る一般市民としてのイギ リス人は社会の多文化化や外国人との共生をどのように受け入れ、意識しているのだろうか。
4−1 「多文化共生社会における異文化コミュニケーション」に関するアンケート調査結果 本稿で紹介するアンケート調査の概要は以下のとおりである。
調査目的: 多文化化が進んだイギリスの一地方都市(エディンバラ Edinburgh)に在住 する一般市民の多文化共生に対する意識の一端を明らかにする。
調査対象:英国、スコットランドのエディンバラ市に在住する白人系市民 調査場所:エジンバラ市内の公立図書館および教会
調査時期:2009年7月〜8月
※質問票は英語で実施したため、本稿では必要に応じて英語を使用して整理する。
本アンケート調査では、質問票を以下の5つのセクションに分けて回答を求めた Ⅰ 回答者個人の情報
Ⅱ 外国籍住民との交流状況について
Ⅲ 地域社会に在住する外国籍住民との交流があると回答した場合 その外国人の国籍および滞在目的
Ⅳ 地域社会における外国籍住民に対する文化摩擦や差別、偏見について Ⅴ 地域社会を住みよくするための意見
調査結果は以下のとおりである。以下( )内の数字は回答者数。
Ⅰ.回答者の基礎情報
1.性別:男性(41)、女性(62)
2.年代: 70代(10)、60代(17)、50代(21)、40代(17)、30代(12)、20代(14)、
10代(12)
3.職種: 会社員(23)、自営業(15)、教師(8)、パート・アルバイト(6)、学生(24)、
主婦(13)、無職(8)、その他(6)
本調査はエジンバラ市内の2つの公立図書館の利用者と3つの教会のミサに参加した市民の 協力を得た。市場やショッピング街で調査を実施した場合には、結果が異なることも予想さ れる、調査結果はそのことも考慮に入れて考察する。
4.回答者の国際結婚(Mixed Marriage)の有無:はい(19) いいえ(82)(NA 2)
回答者のうち国際結婚をしている回答者は18%(学生を除くと24%)
5.家族や親せきの国際結婚経験者の有無:あり(41) なし(62)
6.5の国際結婚経験者との関係:祖父母(3) 両親(5) 息子(5) 娘(6) 甥(3)
姪(4) いとこ(3) 孫(5) 義母(3) 義理の娘(1) 義理の息子(3) 姪の夫(3)
義理の兄(1) おば(1) おじ(1) 異母の妹(1)
「国際結婚」は日本では一般的に「国籍を異にする男女の結婚」を意味し、“International
Marriage” の訳語が用いられることが多いが、イギリスでは「人種、民族、宗教などの違
う男女の結婚」といったやや広い範囲の結婚を意味する “Mixed Marriage” が使用されてい ることから、調査票の質問には “Mixed Marriage” の訳語を用いた。「国際結婚」について、
回答者自身の場合は19名、家族、親族まで広げると41名にも及んでおり、しかも複数名の 親戚を持つ回答者も多く、イギリス社会において多様な形態で多文化化が進んでいることが うかがえる結果となった。
7.海外在住経験の有無:あり(39) なし(62) (NA 2)
欧州:フランス(3)1.6年、1年、0,6年 ドイツ(3)3年、2年。1年 オランダ(2)2年、1.5年 スペイン(2)1年、0.5年
フィンランド(1)8年 イタリア(1)0.5年 南北アメリカ:カナダ(4)2年、1.5年、1年、0.5年 アメリカ(2)25年、1年 メキシコ(1)3年
オセアニア:オーストラリア(2)2年、1年 ニュージーランド(1)1年 南アジア:インド(4)2.6年、2年、1.8年、1.3年
パキスタン(2)1.5年、1年 東アジア:日本(2)4年、2年 香港(1)1.5年 東南アジア:マレーシア(1)1年
アフリカ:南アフリカ(1)29年 中近東:サウジアラビア(1)4年 滞在国不明記:(5)
国際結婚の比率が高いだけでなく、海外での生活経験を持つ回答者も4割近くを占めてい ることも、今回の回答者の特徴的な傾向である。
8.外国籍住民の支援活動の経験の有無:あり(23) なし(80)
9.国際交流・協力ボランティア活動経験の有無:あり(81) なし(21) (NA1)
「外国籍住民の支援活動経験者」は28人、「国際交流・協力ボランティア活動経験者」は 80名にも上ることから、特に外国籍住民を対象とした支援活動よりも、専ら国際交流活動 の一部としてボランティアの立場で国際交流・協力活動に参加している市民が多いことが分 かる。エディンバラでは毎年8月にエディンバラ・フェスティバルという世界的によく知ら れた夏祭りが開催され、世界の多くの国々から外国人観光客が訪れる。エディンバラ市民の 多くは、自分自身もこの祭りを楽しむと同時に。ボランティアとして祭りのイベントを支 える活動に参加すること、また、日常的にも教会などでチャリティの行事として募金活動
(fund-raising)を目的とする国際交流コンサートやバザーが行われていることから、国際観 光都市としてのエジンバラの環境が反映しているものと考えられる。8.9の回答結果からは、
多文化化した社会としての国際交流・国際協力の活動が盛んである一方で、特に外国籍住民 を対象とした支援活動の参加経験者はそれほど多くはなく、両者の間一定の隔りが確認でき る。
10.外国人の親しい友人の有無:あり(81) なし(22)
国籍別に整理すると以下のようである。
欧州:ドイツ(10) フランス(9) スペイン(9) ポーランド(4) ウクライナ(2)
オーストリア(3) スイス(3) オランダ(2) フィンランド(2) スウェー デン(2) イタリア(2) デンマーク ベルギー ノルウェー (計50)
南北アメリカ:アメリカ(10) カナダ(8) (計18)
オセアニア:オーストラリア(4) ニュージーランド(計5)
東アジア:日本(5) 中国(4) (計9)
南アジア:パキスタン(9) インド(8) バングラデシュ(4) (計21)
東南アジア:マレーシア(2) (計2)
中近東:イラン(2) (計2)
アフリカ:南アフリカ(2) ウガンダ セネガル (計4)
外国人の友人を持つ回答者は8割に上り、回答者の親しい友人の延べ数は108人で、国別 にみるとヨーロッパが最も多く50人だが、ポーランド、ウクライナなど東ヨーロッパ諸国の 友人は少ない。続いて南アジアが21人、北アメリカが18人と続く。
イギリスの北に位置するスコットランドのエジンバラだが、この地方にもインド、パキス タンなど南アジア諸国の移民は多く、親しい友人も多いことが分かる。
外国人の友人を持つ回答者も多く、複数の親しい外国籍の友人を持っている場合も多い。
一人あたりの外国籍友人の数は以下のとおりである。
10か国(2) 8か国(3) 6か国(3) 5か国(7) 4か国(9)
3か国(11) 2か国(29) 1か国(27) なし(22)
回答者の外国籍友人の延べ数は251人であるが、これを国籍別に整理すると以下のようで ある。
国籍別(友人の数)
欧州:ドイツ(25) フランス(19) スペイン(15) イタリア(13)
スイス(8) オランダ(7) デンマーク(6) ポーランド(4)
ベルギー(3) オーストリア(3) ウクライナ(2) (計105)
南北アメリカ:カナダ(21) アメリカ(19) メキシコ(3) チリ バルバドス (計45)
オセアニア:オーストラリア(17) ニュージーランド(8) (計25)
南アジア:インド(12) パキスタン(7) バングラデシュ(5)
スリランカ(3) ネパール (計28)
東南アジア:マレーシア(3) インドネシア (計4)
東アジア:日本(9) 中国(7) 香港(3人) 韓国(2) (計21)
中近東:イラン(5) ヨルダン(2) シリア アフガニスタン (計9)
アフリカ:南アメリカ(5) ウガンダ(3) タンザニア(2)
セネガル ガーナ ギニア 象牙海岸 (計14)
外国籍住民の友人の有無については、「あり」が圧倒的に多く、80名を超え、出身国も世 界各地に広がっている様子がうかがえる。しかし、出身国別に分けると全体の延数の251人 のうち欧州が105人で最も多く、また同じ欧州でもポーランドやウクライナなどの出身者と の交友(4人+2人)は非常に少ない。また、イギリスへの移民が多いとされる南アジアやア フリカ諸国の出身者との交友も非常に少ない様子(南アジア 28人、アフリカ 14人)が うかがえる。社会の多文化化が進む中で、歴史的に共生が進んできた白人系移民との交流は
進んでいるが、戦後に流入したアジア・アフリカ諸国からの移民は、外見から異民族である ことが容易に判別でき、また文化的にも違いが大きいことなどから、従来の白人系移民とは、
交友面においても住み分けが存在している可能性が考えられる。
以下では、さらに多文化共生の意識や現実に存在する文化摩擦などに関する調査結果につ いて考察を進める。
Ⅱ.具体的な交流状況
1.「多文化社会(Multicultural Society)」という言葉を知っているか。
はい(103) いいえ(0)
イギリスが「多文化社会」であることに賛成か反対か 賛成(101) 反対(2)
「反対」と回答した理由:お互いの文化を十分に受け入れているとは言えない 理想的には賛成だが、実際にはまだ成功しているとは言え
ない
2.外国籍住民に関係するボランティア活動への参加経験 あり(23) なし(80)
3.活動内容 (複数回答可)
a. 生活支援 (6)
b. 英語学習支援 (10)
c. 生活相談 (4)
d. 異文化紹介などの交流活動 (15 ) e. 通訳活動 (4)
f. その他 (4) ( 家族交流、YMCA支援活動、布教活動、外国人のためのサ マーキャンプなど)
「多文化社会」という言葉については全員が「知っている」と回答した。また、イギリス が「多文化社会であること」についても、2人を除いて、全員が「賛成」と回答している。
このことから、社会の多文化化について一般住民に共通理解があるとみられる。Ⅰ(回答者 個人の情報)でも明らかなように国際交流活動に積極的に参加している様子がうかがえ、外 国籍住民を対象とした支援や交流活動でも、国際交流活動ほどではないが3割近い回答者が 参加している。
地域社会の日常生活において身近に外国籍住民の存在があり、親しく交流している状況が 確認できる。
4.身近な外国籍住民とのかかわり(複数回答可)
a. 近所に住んでいる (77)
b. 近所に親しく付き合っている人がいる (41)
c. 職場に親しく付き合っている人がいる (35)
d. 地域社会に親しく付き合っている人がいる (64)
e. 国内に親しく付き合っている人がいる (36)
f. 家族、親せきが結婚している (41)
g. その他 教会の日曜日のミサでの交流
店主 医者 薬剤師 教師などとしての交流
Ⅲ.外国籍住民との交流状況
1.Ⅱー4で挙げた身近な外国人の出身国は以下のようになる
欧州: ドイツ(22) スペイン(12) フランス(10) イタリア(6 ) オランダ(4)
ポーランド(4) ベルギー(2) オーストリア(2) スイス(2)
ウクライナ(2) デンマーク(2) スウェーデン(2) ポルトガル(2)
ブルガリア ノルウェー (計74)
南北アメリカ:アメリカ(10) カナダ(6) メキシコ(3) チリ バルバドス
(計21)
オセアニア:オーストラリア(4) ニュージーランド(2) (計6)
南アジア:インド(12) パキスタン(10) バングラデシュ(2) スリランカ(2)
(計26)
東南アジア:マレーシア(3) ベトナム(2) (計5)
東アジア:日本(6) 中国(6) 香港(3) (計15)
中近東:イラン(2) ヨルダン(2) シリア アフガニスタン (計6)
アフリカ:南アメリカ(4) ウガンダ(3) タンザニア(2) セネガル ケニア 象牙海岸 (計12)
その他:ラテンアメリカ アジア
2.交流している外国籍住民の滞在理由(複数回答可)
a. 親族として交流(36) b. 家族滞在(28) c. 仕事(38) d. 留学(18)
e. 研究(10) f. 教育関係(12) g. 研修など(6) h. その他(6) i. 不明(5)
国別にみるとヨーロッパ諸国出身者とまだ歴史の浅いアジア・アフリカ系の移民との間に 大きな差が認められ、外国人留学生や研究者、観光客などとの交流や受け入れにも積極的な 姿勢が定着している状況がうかがえる。留学生、研究者、研修などの目的の滞在者が一定数 認められるのは、エディンバラ大学の学生たちが、市内に多く居住していることが影響して いると考えられる。
近隣、職場、地域社会、さらに親族として、外国籍住民の存在は生活のあらゆる場面で
広範囲に、また多様に日常化しており、その存在は身近で、「親しい」と感じられる交流も 30%〜40%に上る。
以下では、実際の多文化共生意識や文化摩擦に関する調査結果について考察する。
Ⅳ.外国籍住民との異文化摩擦について
1.外国籍住民に対する差別を感じたことがあるか ある(39) なし(64)
外国籍住民に対する文化摩擦を直接感じた経験は4割程度であるが、差別や偏見の原 因についての自由記述欄には以下のような多様な意見が書き込まれており、その関心の 高さがうかがえる。
2.「差別を感じたことがある」と回答した場合、その内容は以下のようである。
・ 店舗、街路、バスなどで差別的な扱いを受けている(5)
・ 料理のにおいなど、伝統的な文化の違いが説明されていないことからくる差別意識 と言語的、身体的虐待がある(3)
・ 酔っぱらいによる街頭での差別的言動 ・ 近隣で人種差別は一般的である(3)
・ 新聞記事の外国籍住民に関する扱い方に問題がある(2)
・ 9.11のアメリカの世界貿易ビルのテロ以降、アジア人に対する怒りがある(3)
・ 伝統的な差別意識は時代が変わっても変わっていない ・ 人種差別主義者による言語的、人体的虐待(2)
・ 年配者たちのイギリス優越主義的感覚や態度(2)
・ イギリス人が優越、イギリス文化が支配的文化であるという感覚が見られる(3)
・ 職場での差別、特に昇進時の差別(5)
・ 職場で、年配者が申請書にスコットランドらしさを出すように勧めていると聞いた ・ 怖いという意識がある
・ イングランドではイスラム教徒や異民族の居住地域、アジア人が経営する建物に人 種差別主義者に対するスローガンやポスターが貼られているのをよく見かける。
・ 個人的には経験がないが、テレビでは見たことがある。
・ ポーランドからの移民に対する言語的、肉体的虐待
・ エデディンバラでは、ポーランド人が地域住民とコミュニケーションしないことが 原因で差別されている、
・ ポーランド人達の地域社会に馴染もうとしない態度に対する差別がある
・ 非常に多くの機会に他国から来た人々に対する人種差別を見かける。これは国際社 会を脅かすものだと思う
・ 外国籍住民はこうした差別については語らないが、職場でのいじめ、就職、昇進の
差別 冗談、からかい、ばかにされる、バスで隣に座らないなど、様々ないじめ、
差別が存在する
・ ブラッドフォード、バーミンガムなど外国人居住者の割合が高い都市では人種差別 者と外国人居住者間の対立から自動車を焼く、人種差別のスローガンを連呼するな ど過激な衝突が起こっている。これらはイギリスに置ける極右政党の勢力が強く なっていることと関連している。
・ Helensburgh(スコットランドの都市名)では多くの人種差別があった。しかし、そ れらは公にされることはなく、白人同士の間ではよく話題になっていた。
・ 特に宗教の違いに基づく差別が最も多い
・ イギリスの過激な愛国者はイギリスの独自性、伝統、文化が失われつつあるという 考えから移民政策に反対している。彼らは、文化背景の違いではなく、経済の相互 依存性が仕事を作り出しているということに気付いていない。
ほとんどの回答者が「多文化社会」という用語を「知っている」と回答し、イギリスが「多 文化社会」であることに「賛成」であるにも関わらず、自由記述の内容からは、イギリス社 会に外国籍住民に対する差別や偏見が根強く存在している状況が確認できる。また、「外国籍 住民はこうした差別については語らない」「(差別は)白人同士の間ではよく話題になった」な どの記述からも明らかなように、差別や偏見については表面から見える部分は氷山の一角で しかないという一面もうかがえる。そのほか、新聞やテレビの報道の仕方、イギリス社会に 伝統的に存在する白人優越主義的態度や人種差別も依然として根強く、近所でも職場でも日 常的に存在していることが確認でき、その状況は非常に深刻なものであることがうかがえる。
3.外国籍住民に対する差別や偏見の原因について(数字は回答者数)
外国籍住民に対する差別や偏見の原因 強く
そう思う そう思う あまりそう思わない 全然そう 思わない
a 文化・生活習慣の違い 4 14 58 18
b 外国籍住民の英語力の不足 0 52 34 10
c 外国籍住民のコミュニケーション能力の不足 0 74 22 4
d 不法就労 0 2 46 18
e イギリスの生活ルールを守らない 20 34 38 4
f 経済力が低い 10 36 36 12
g マスコミの情報 18 46 26 16
h イギリス人のコミュニケーション能力の不足 1 32 54 6
i イギリス社会の閉鎖性 4 58 30 6
j 地域社会の閉鎖性 12 48 20 10
k エジンバラ市の閉鎖性 24 54 10 6
l (外国籍住民の)数が多すぎる 38 40 10 2
m イギリス人の就労機会を奪う 32 46 12 8
n イギリスらしさが壊れる 46 36 10 4
o テロとの関係 34 34 22 2
p その他 0 0 0 0
差別や偏見の原因について、得票数の高い項目を整理すると以下のようになる
「強くそう思う」:イギリスらしさが失われる(46)
(外国籍住民)の数が多すぎる(38)
テロとの関係(34)
イギリス人の就労機会を奪う(32)
「そう思う」: 外国籍住民のコミュニケーション能力不足(74)
イギリス社会の閉鎖性(58)
エディンバラ社会の閉鎖性(54)
外国籍住民の英語力の不足(52)
地域社会の閉鎖性(48)
マスコミの情報(46)
イギリス人の就労機会を奪う(46)
「強くそう思う」+「そう思う」を合わせた得票数 イギリスらしさが失われる(82)
イギリス人の就労機会を奪う(78)
(外国籍住民の)数が多すぎる(78)
エディンバラ社会の閉鎖性(78)
外国籍住民のコミュニケーション能力不足(74)
一方「そう思わない」+「全然そう思わない」の指示数が高いものは以下のようになる。
文化・生活習慣の違い(76)
不法就労(64)
イギリス人のコミュニケーション能力不足(60)
経済力が低い(46)
外国籍住民の英語力の不足(44)
イギリスの生活ルールを守らない(42)
マスコミの情報(42)
肯定的意見と否定的意見の落差の大きさから見ると、外国籍住民とのコミュニケー ション摩擦については、「(外国籍住民の数が)多すぎる」ため日常生活のさまざまな場 面で「イギリスらしさが失われる(あるいは失われつつある)こと」に対する不安や懸 念、「イギリス人の就労機会が奪われる」という直接の不利益や「テロへの不安」が最 も顕著に摩擦を生じさせる原因として意識されていることがわかる。また、その背景に は異文化間のコミュニケーションの問題として、「外国籍住民のコミュニケーション能 力不足」や「英語能力の不足」と同時に「イギリス社会」「エディンバラ市」「地域社会」
の外国籍住民に対する「閉鎖性」に問題が存在すると意識されている。またこうした閉 鎖性に新聞記事の扱いやテレビ番組など「マスコミの影響」が関与しているとする回答 も多い。
一般的によく問題として取り上げられる「文化・生活習慣の違い」や移民の「不法就 労」についてはコミュニケーション摩擦の主要な原因「とは思わない」とする回答者が 多い。また、「外国籍住民のコミュニケーション能力の不足」が摩擦の原因となると考 える市民が多く、イギリス社会、エディンバラ市、地域社会の「閉鎖性」に問題がある とする回答が多数ある一方で、「イギリス人のコミュニケーション能力の不足」に問題 があるとする回答は少ない。地域社会に存在する「閉鎖性」は日本社会についても指摘 されることが多いことから、その構造については引き続き解明が急がれる。
4.Ⅳ−2と同趣旨の質問項目のため、ここでは考察の対象として取り上げない。
5.外国籍住民と自らの文化の生活習慣や文化が異なることについてどう考えるか
a. 社会が豊かになる (68)
b. 我慢して受け入れられる (20)
c. 外国籍住民とイギリス人市民は住分けるほうがが良い (0)
d. 異文化コミュニケーションを通して理解し合い、共生社会を実現する (62)
e. 外国籍住民はイギリスのルールを守るべき (12)
f. 外国籍住民は一定数以上は受け入れない (12)
g. その他 (0)
最も多数の回答数が多かったのは「a. 社会が豊かになる(68)」と「d. 異文化コミュ ニケーションを通して理解し合い、共生社会を実現する(62)」の2つの項目であり、外 国籍住民の持つ異なる文化や生活習慣は「社会が豊かになる」と積極的に評価し、相互 の違いを「異文化コミュニケーションを通して理解し合い、共生社会を実現する」とい う意識が高く支持されている。逆に、多文化共生に消極的な「c.住み分けるのが良い」、
「e.イギリスのルールを守るべき」、「f.一定以上は受け入れない」などを支持する回 答は10%程度にとどまった。
V.地域社会を多文化共生社会にするための具体的な方策について
1.地域社会をもっと住みよくするためにできること(数字は回答者数)
地域社会をもっと住みやすくするため
にできること 強く
そう思う そう思う あまりそう思わない 全然そう 思わない
a 英語学習を支援する 4 12 60 14
b 外国籍住民が自文化に執着せず、イギ
リス人と交流する 2 8 68 12
c 地域社会のルールを守る 8 10 60 10 d 地域社会の生活習慣・文化を尊重 0 10 70 10
e トラブルを起こさない 4 32 46 18
f 生活スタイルを近隣に合わせる 24 32 24 2
g 近所の人へのあいさつ 2 18 54 10
h もっと日常的な会話を増やす 2 30 54 10
i 近所の人々ともっと話し合う 2 20 64 2
j お互いにあいさつなど簡単なコミュニ
ケーションを励行する 4 16 62 6
k 相互に自文化の紹介 2 14 58 18
l 現状でよい 22 26 8 2
m その他 0 0 0 0
「地域社会をもっと住みよくするためにできること」に関する回答は、fとlを除く すべての項目について、「あまり(有効とは)思わない」が高く支持された。これらの 項目は、国際交流、異文化理解活動を通して提案されてきた活動内容であることから、
多文化化する地域社会において外国籍住民と地域社会の住民が「互いの文化の違いを豊 かさ」として認め、「異文化コミュニケーションを通して理解し合い、よりよい共生社 会を実現する」ためには、これら以外の方法を模索しなければならないということが示 唆されていると考えられる。同様のことは「今後どんな活動をしたいか」についても考 えなければならない問題であろう。
2.今後どんな活動をしたいか
a. 英語支援 (0) b. 市民ボランティア団体への参加(20) c. 交流イベントを支える活 動への参加(54) d. 生活習慣・文化の教授(18) e. 家に招待する(32) f. 「おしゃ べりサロン」への参加(42) g. 料理で相互交流する(34) h. 外国料理の講習会に参 加(16) i. 相談相手になる(30) j. 外国人住民との会議への参加(12)k. 生活ガイド ブックの作成(54) l. 外国の文化の紹介(22) m. 外国語で相談できる場所の紹介(34)
n. 一緒に集まれる場所を作る(38) o. その他(0)
「交流イベント」「おしゃべりサロン」など気軽に参加できる活動は従来通りに希望者 が多い傾向が認められる一方、「生活ガイドブックの作成」、「一緒に集まれる場所を作 る」など協働活動への志向や「家庭に招待する」、「相談相手になる」など個人的なコミュ ニケーションに踏み込んだ活動への志向が認められる。反面、「語学支援」の希望者なし、
を始め「生活習慣・文化の教授」「外国料理講習」など、従来型の活動は比較的回答数 が伸びていないようである。
「多文化共生社会」に向けて、有効な活動が見いだせず、「現状のままでよい」とする 回答からは、多文化共生社会の実現に向けて、どのような活動が効果があるのか、その 答えが見つからない現状の厳しさを示すものと考えられる。
最後の「もっと多文化共生を進めるためにできることは何か」の記述欄に寄せられた多 くの意見には、その糸口が示唆されているようである。
3.もっと多文化共生を進めるためにできること(自由記述)
( )内は同様の意見の回答者数(下線は筆者)
・ 外国籍住民に対して、もっとオープンな態度で誠意をもって接する(3)
・ 近所付き合いで、国籍にこだわらずもっと友好的に信頼し合って交流する
・ 学校や教会など地域社会の人々に異文化の豊かさを示し、共生に対する地域社会の 人々の努力を促す
・ 地域社会の人々がお互いに知り合い、理解しあい、友達になろうとし、異なる文化 を学び、共通の経験を共有しようとするすべての活動が有効だと思う。
・ 外国籍住民の居住期間の長さによって、滞在期間が短い場合には滞在資格を緩和し、
長期滞在の場合には住宅だけでなく就職の機会も与えるべきだ
・ 制度化された人種差別をなくす。文化的な違いや人種の違いに対して、組織運営が 無意識に作り出している偏見をなくし、受容と平等の意識を育てる。
・ 地域住民と外国籍住民とは相互に文化も精神的な考え方もはっきり違っているのだ から、このことをお互いに理解し、受容する必要がある。
・ 教育が重要である。イギリスでは多くの人々が異文化について無知で、その結果外 国籍住民の存在を恐れている。両者が相互に学びあえば、地域住民が外国籍住民を よりよく理解できるようになり、その逆に相互に尊重し合う社会では、外国籍住民 もよりよく統合される。
・ 小学校でも、異文化理解の授業を行い。子供たちを多文化共生社会に向けて教育す れば、より早く実現するかも知れない。
・ 問題の多くは政治的政策とメディアに関わっている。もっと外国籍住民に対して オープンになり、厳しい移民法を撤廃する必要がある。おそらく選挙が大きな影響
を持つと思う。野党は与党より移民法についてより理解がある。
・ メディアは外国籍住民について偏った報道を控えるようにすべきだ。
・ Daily MailやThe Sun(イギリスの新聞)を読むのを止めることから始める
・ 新聞や誤解、イギリス人らしさの強要など政治的プロパガンダをやめて、本心から 外国籍住民との関係を受け入れること
「オープンな態度」「信頼し合う交流」「異文化の豊かさを見せる」「異なる文化を学び 共通の経験を共有する」「文化的な違いや人種の違いに対する偏見をなくす」「お互いの 違いをしっかり理解し、受容する」「異文化について知れば、恐怖感が消える」「小学生 から異文化理解の授業を行い、子供たちに多文化共生に向けて教育する」「もっとオー プンになる」「本心から外国籍住民との関係を受け入れる」など、各意見の多くは、下 線部に見られるように異文化コミュニケーション教育と密接に関係している。
外国人留学生や地域社会に在住する外国籍住民とのコミュンケーションを実践的に取 り入れ、ここで確認された項目を目標とした異文化コミュニケーション教育を目指すこ とがその糸口となるのではないだろうか。
5. むすび
本稿ではイギリスのエディンバラで実施したアンケート調査結果から、イギリスの一地方 都市の市民の多文化共生意識を探った。
海外生活の経験、国際結婚、外国籍住民との交友関係など、いずれにおいても、社会の全 ての人間関係において、文化背景を異にする外国籍住民との関係は予想を超えて、はるかに 深く根付いている様子を確認することができた。また、多くの市民が国際交流、国際協力に 対する協力的な姿勢を示し、自らの住むイギリスの社会が「多文化社会」であることを認め、
また「異文化の存在が社会を豊かにする」という認識が共有されていた。
しかし、それにもかかわらず、現実の社会では、多くの差別や偏見が存在していること、
また、それらの問題は従来提案されてきた個々人の努力や活動では解決が難しいという認識 も示された。
今回の調査結果の考察を通して、日本社会と最も異なる点は回答者の多くが異文化との人 間関係と生活経験を通して考え、調査票の質問と向き合っていることであった。その違いを 多文化との共存が避け難く進んだ社会に住んでいるからだと一掃することはできないのでは ないか。異文化を想像の中だけで描き、考えることは難しい。その意味においても、今回の 調査は小さな試みではあったが、大学キャンパスに存在する外国人留学生や地域社会に住む 外国籍住民の存在を異文化コミュニケーションの教育に生かすことの重要性を改めて再確認
するよい機会となった。また、多文化化の入り口にある日本社会を振り返るとき、多文化化 の進んだその先にある問題を見据え、異文化コミュニケーションの経験を積み重ねながら、
多文化共生の道を探りつつ、前進することの大切さを改めて考えさせられた。
今回の調査は回答者100人あまりの小規模のものであり、多文化社会イギリスの一端を垣 間みた程度にすぎない。従って、本稿の考察結果は限定した範囲で考える必要がある。今回 考察の対象としなかった性別、世代別、職業別などに見られる個別の特性については稿を改 めて論じたい。
注
1.横田正弘(2012)「『多文化社会を担う人づくり』に至る道程とその意味」 『異文化間教育』 36 異 文化間教育学会 アカデミア出版会
2.『異文化間教育 30 特集 異文化間教育の現在』 (2006)異文化間教育学会 アカデミア出版会 3.白石勝巳(2006)「留学生数の変遷と入管施策から見る留学生10万人計画」 ABK 留学生メールニュー
ス第 61 号 財団法人アジア学生文化協会
4.金本節子(1996)「大学における異文化理解のストラテジー」『コミュニケーション学科論集』創 刊号 Pp.159-170
金本節子(1998)「大学における異文化理解のストラテジーⅡ」『コミュニケーション学科論集』
第3号 Pp.69-82
5.http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data11.html#no1 平成23年度外国人留学生在籍状況調査
結果 日本学生支援機構(2012年 9月20日 閲覧)
6.金本節子(2012)「地域社会の多文化化を活かした異文化コミュニケーション授業の実践「地域社 会と異文化コミュニケーション」(NGO活動との連携授業)を中心に−」『茨城大学大学教育セン ター紀要』
7.上原麻子(2009)「日中高等教育機関に学ぶ中国人学生の友人観」広島大学 高等教育研究開発セ ンター 『大学論集』 第40集 Pp.233-250
8.http://www.pref.ibaraki.jp/bukyoku/seikan/kokuko/jpn/data/index.htm 茨城県 情報データ集(2012 9月20日 閲覧)
9.徳井厚子(2002)『多文化共生のコミュニケーション −日本語教育の現場からー』アルク萬美保・
村上史展(2009)『グローバル社会の日本語教育と日本文化』 ひつじ書房
10.宮島喬・大田晴男(2005)『外国人児童と日本の教育 −不就学問題と多文化共生の課題』東京大 学出版会
11.河原俊昭・岡戸浩子(2009)『国際結婚 多言語化する家族とアイデンティティ』明石書店 佐竹眞明・メアリー・アン(2005)『フィリピン―日本 国際結婚 移住と多文化共生』 めこん 12.吉富志津代(2008)『多文化共生社会と外国人コミュニティの力 ゲットー化しない自助組織は存
在するか』現代人文社
13.金本節子(2012)「地域社会の多文化化を生かした異文化コミュニケーション授業の実践 −「地 域社会と異文化コミュニケーション」(NGO活動との連携授業)を
中心に− 茨城大学教育センター 紀要 第2号 Pp41-50
14.厚生労働省(2012)諸外国における外国人労働者対策 第3章イギリス 『世界の厚生労働』
Pp50~59 キタジマ
15.佐久間孝正(2007)『移民大国イギリスの実験 −学校と地域にみる多文化の現実』勁草書房
参考資料
Cross-cultural communication in multi-culturally integrated society
This questionnaire asks your opinions regarding cross-cultural communications in a multicultural integrated society. Your co-operation will be greatly appreciated.
“Foreign residents” in this questionnaire is regarding “the people whose origin or family origin have been in foreign countries.”
・Your answers will be completely anonymous. You do not have to write your name anywhere on this questionnaire form.
・All responses will be treated as confidential.
・Answering questions will never create disadvantage to you.
・The results will be used only for the purpose of research.
I. Personal details (Please tick ✓) 1. Gender: Male Female
2. Age: 10s 20s 30s 40s 50s 60s over 70s 3. Occupation:
a. Office worker b. Self-employment c. Teacher d. Unemployed
e. Student f. Housewife g. Part-time worker h. Others:….………
4. Are you in a mixed marriage or partnership?: Yes No
5. Is anybody in your family including in-laws foreign resident? Yes No 6. If your answer is yes to question 5, please specify the relationship with the person.
a. Grandparent b. Parent c. Son d. Daughter
e. Nephew or Niece f. Cousin g. Grandchild h. others………..
7. Have you ever lived abroad? a. Yes b. No
If your experience is more than one, give the answer with the longest one.
(Which countries? ) (How long? year months:)
8. Have you ever done voluntary works for international friendship? Yes No 9. Have you got close friends who are foreign residents? Yes No
10. If your answer is yes to question 10, please specify their nationalities/ethnicity.
……….
II.Exchange with foreign residents
1. A. Do you know the word ‘multicultural society’? a. Yes b. No B. Do you agree with Britain to be multicultural society? a. Yes b. No
C. If no, why not?...
2. Have you ever done voluntary works which are related to foreign residents?
a. Yes b. No
3. If you answered yes to question 2, please specify what sort of works they were.
a. Financial support activities for foreign residents.
b. Support activities for foreign residents who learn English
c. Consultation services for foreign residents d. Cultural exchange activities
e. Translation
f. Others ………
4. Possible ways of relating you to foreign residents in everyday life are listed below. Please tick all that apply to you.
a. They are living in my neighbourhood.
b. I have close friends who are foreign residents in my neighbourhood.
c. I have close friends who are foreign residents in work place.
d. They are foreign residents who live in Edinburgh.
e. They are foreign residents who live in elsewhere in the UK.
f. I have not seen any foreign residents in my neighbourhood.
g. Others ………
III.If you have any contact with the above, please answer the questions below (question 1 and 2).
1. Please specify nationalities of the foreign residents.
...
...
...
2. Please specify the reason why they are staying in the UK. (Please mark all that apply) a. Spouse status b. Dependant status c. Work d. Study e. Research f. Education g. Training h. Others:………. i. Don’t know IV.Troubles (cultural friction) and discrimination in the local community
1. Have you ever seen any instances of discrimination or prejudice against foreign residents around you?
a. Yes b. No
2. If you have answered yes to question 1, please describe the occasion on which you think there are discrimination and prejudice against foreign residents.
...
...
...
...
...
...
...
...
...
3. In general, what do you think generates discrimination and prejudice against foreign residents in the UK? Please tick the applicable box.
4. Have you ever heard any troubles, including cultural frictions, related to foreign residents? If so, please describe them.
...
...
...
...
...
5. What do you think about the differences in customs and cultures between foreign residents’ and your own? Please choose two among the options below.
a. By having people from different backgrounds around, the British society will be richer cultural mix.
b. Although there are some problems caused by differences in customs and cultures, they are tolerable.
c. It would be desirable to have separate areas for foreign residents as they have their own ways of thinking, values and living practices.
d. It would be desirable to create a more integrated society through cross cultural communication in order to overcome the differences in ways of thinking, values and living practices.
e. Foreign residents as well as British citizens should observe the British etiquette.
f. It would be better to set a limit to the number of foreign residents in the UK as they might cause some Strongly
agree agree Moderately
disagree
Strongly disagree a. Foreign residentsʼ cultures and living practices are different
from the local ones. 1 2 3 4
b. The English language competence of foreign residents is
poor. 1 2 3 4
c. Foreign residentsʼ communication skills are poor. 1 2 3 4
d. Some foreign residents work illegally. 1 2 3 4
e. Some foreign residents do not observe the British
etiquette. 1 2 3 4
f. Economy is weak in native countries of foreign residents. 1 2 3 4
g. Information provided by mass media is biased. 1 2 3 4
h. Communication skills of locals are poor. 1 2 3 4
i. The UK society is rather closed-minded. 1 2 3 4
j. Scotland is rather a closed-minded area. 1 2 3 4
k. Edinburgh is rather a closed-minded area. 1 2 3 4
l. There are too many foreign residents. 1 2 3 4
m. Foreign residents deprive locals of work opportunities. 1 2 3 4
n. Foreign residents might ruin Britishness. 1 2 3 4
o. Some of foreign residents might be involved in terrorism. 1 2 3 4
p. Others……… 1 2 3 4
q. Others……… 1 2 3 4
r. Others……… 1 2 3 4
s. Others……… 1 2 3 4