Laurie Holden:ニューヨーク市教育局・移行指導リーダー
通訳:Shizuko K. Barns:ニューヨーク州公認スクールサイコロジスト
【Holden】 日本にお招きいただき、こうして私 の話を聞いてくださることを感謝いたします。
きょうは、これからまた、皆さんと一緒に、障害 のある生徒たちがポジティブに将来成功していけ るように、一緒に考えていく時間としたいと思い ます。
キャリア開発と職能学習基準
(Career Development and Occupational Studies Standards=CDOS)
アメリカでは、各教科に関して学習基準という ものが設けられており、子どもたちが、その教科 ごとに何を学んでいかなければいけないかという ゴールにもなっています。ニューヨーク州では、
キャリア開発と職能に関しての学習基準というも のが設けられています。この基準によって、生徒 たちは将来の職業に関して、幅広く、どんなもの が向いているか探求できるようになっています。
この基準を達成していく中で、職業に就くための 自己決定とか、ゴールを決めるとか、自己評価を することも、全て含まれています。
こちらの
1
(キャリア開発)・2
(学びを統合す る)・3a
(ユニバーサル基礎スキル)・3b
(キャリ アの専門性)の4
段階で示しているのが、キャリ ア開発と職能学習基準ですが、最初の基準では、生徒が労働について知識を持って、キャリアの選 択肢というものを検討していきながら、自分のス キルや能力を将来のキャリア決定に関連付けてい
くことを求めています。二つ目の基準は、生徒が 教科学習で学んだこと、得た知識やスキルを、実 際の社会で使っていくことを求めています。三つ 目の基準のところで、今度はそこで、自分で得た スキルというものが職場で実際に使っていける、
職場で求められているスキルを身に付けているか どうかを見ていきます。三つ目の基準というのは、
それぞれの職業で求められているスキルが違いま すので、それに合わせたものがそこに入っていま す。
詳しく、もうちょっと基準を見ていきましょう。
この最初の基準のところでは、何をするかという と、実際の仕事を「シャドーイング」といって、
実際にやっている人の後について現場に行って真 似をしてみたり、他のどんな職業があるかという ことを見ていったり、その職業に就くために必要 な学歴や資格というものがどんなものかを学んで いきます。今、社会が国際化し、新しいテクノロ ジーも随分入ってきていますから、その影響で昔 ながらの職業が随分変わってきたことに関しても 学んでいくことになります。
もう一つは、生徒たちが学校で学んだ自分が好 きな教科、好きなことなど、自分の趣味や興味の あることについて、実際の職業に就くときに人を 対象とする職業なのか、あるいは物を対象とする 職業なのか、あるいは情報を対象とする職業なの かということにつなげていく作業もします。ここ の二つ目の基準は、学校で学習したことがいかに
【特集:自己決定力を育む支援】 明星大学発達支援研究センター国際講演録
ローリー・ホールデン
発達障害のある若者が〈仕事に就く〉まで
――米国に学ぶ、高校生・大学生に対する就労移行支援の実際――
「仕事はあなたのためになる!」
職場で有用になるかを考えていく基準になってい ます。例えば、実際に生徒が知っている職業と、
その職業に就くために自分が今まで学んだことが どう関係するか、ということを言わせてみるとい うようなこともここで行います。
また、実際に職業に就いている人を生徒にイン タビューさせて、そのインタビューから実際に自 分が学んだことと職業に何かつながりが持てるか どうか、何がそこに使われているかを見いだすこ とを生徒にさせるのも、この基準の活動になるか もしれません。例えば、実際に数学や理科で学ん だことを使って、学校の菜園とか花壇とか、野球 をするときのベースをどういうふうに作るかをデ ザインさせるのもここにつながってくるでしょ う。
三つ目の基準(
3a
)のところでは、インターン シップとか、職場ベースの学習とか、そういった ものにつながってきます。例えば、校外学習に行 くのにかかる経費を、子どもたちが自分でファン ドレイジングをするということもここに関わって くるでしょう。また例えば、校内の購買部を生徒 に考えさせて、どういうものがよく売れるかを計 画させたりします。また、学校の事務所で使って いる色々なものについて、どう在庫や備蓄を持っ たほうがいいかということを考えさせることも、ここに入ってくるかもしれません。さらに、レポー トをするのにいろいろなものを読んで、それをま とめるような課題もここに関わってくるかもしれ ません。
一方
3b
の基準のほうでは、もっと特定の職種 に関わってくることなので、その職種に特化した ような用語や言葉をここで学ぶということも関 わってくると思います。もちろん、用語や言葉だ けでなく、その職種に必要なスキルというもの も、ここで学ぶことになってきます。例としては、ある職種に関しては、必ずキーボードを使って入 力することを教えなければならないかもしれませ ん。また就職するときの就職面接の仕方を教える こともあるでしょう。それから、ビジネスでの会 議に必要な要素を生徒たちに考えさせるのも、一
つの例でしょう。
これら基準を満たしていくことによって私たち が生徒に身に付けてほしいことは、まずはキャリ ア開発のための自己理解ということです。自分が 何であるか、そしてどんな職業が自分に向いてい るか、考えて探索してみること。どういう方向に 行くべきなのか。どういうキャリアプランを持つ のか。どうやって自分のキャリアプランを達成し ていくかなどを理解することを、これらの基準に よって達成していきます。
先ほど一つ目の基準で申し上げたのは「知識」
についてですが、その「知識」を得たところで次 は応用になります。実際にそこで得た「知識」を、
どうやって「応用」していくか。何を学んでいるか。
どうしてそんなことを学んでいるのか。そしてそ れをどのように使っていけるのか、ということへ 考えを促していきます。
次に来るのがスキルで、実際に「ユニバーサル 基礎スキル」といって、どんなことを基礎として 学んでいなければいけないか、そしてどんなスキ ルを基礎として持っていて、それが自分にとって 重要なのかを考えていきます。「知識」があって、
その「応用」が効き、それに見合うスキルが身に 付けられるように促していきます。
ここに挙げられているのは、「ユニバーサル基 礎スキル」ですが、人が学校を卒業して、実際に 社会に出るときに必要なスキルを、リサーチで割 り出していったものです。ここでちょっと時間を 取って、皆さんが最初に就いた職業、今のこうい う職業じゃなくて、アルバイトですとか、まだ学 生のとき、生徒のときにやったものでいいのです が、それをちょっと考えてみていただきたいと思 います。
最初に、アルバイトでも何でもいいのですが、
その仕事について考えていただきたいです。その 仕事に就いたときに、自分が既に持っていたスキ ル、あるいはその仕事をしながら得たスキルとい うようなものを、考えていただきたいと思います。
ちょっとお隣同士とかで、自分が最初にしたアル バイトでも何でも、その仕事で、それまでにもう
既に持っていたスキル、そしてそこで学んだスキ ルということに関して、ちょっと話し合ってみて ください。最初のベビーシッターでもいいですし、
どこかの新聞配達でも。
今お話をされたと思いますが、最初の仕事はそ れぞれ違ったかもしれませんが、違う仕事だとし ても、かなり似たようなスキルが必要だったこと にお気付きになられたでしょうか。どうですか。
一つの仕事で必要な基礎スキルというのは、他 の職業においてもやはり必要なスキルであり、使 えるスキルだと。移行可能だということにお気付 きになったと思います。今、皆さんが就いてらっ しゃる職業を考えてみてください。そこで必要な スキルというのは、最初にバイトをしたときに必 要だったスキルと同じものが要求されているので はありませんか?例えば最初のアルバイトでも、
今の職業でも、人に対して、同僚に対して話すと きの話し方、あるいは自分の上司に対しての話し 方。あるいは会社や職場で使う言葉遣いとか話し 方と、その職場以外の友達と話す話し方とは違う、
ということそれ自体を生徒に教えていくことも非 常に大切です。
また、もう一つ非常に大事なものとして時間管 理がありますが、最初のアルバイトのときも重要 なスキルだったと思いますが、今の職業において も時間管理というのは大事なのではないでしょう か。このような中で、スキルというものがいかに 他のところに転移可能かということを考えなが ら、本日参加していただけたらと思います。
CDOS 卒業資格について
CDOS
卒業資格(Commencement Credential
) について、まずほとんどのアメリカの州がそうだ と思いますが、ニューヨーク州では高校卒業証書 をもらうために五つの試験にパスしないと卒業が できません。ただ行っているだけでは、卒業証書 はもらえません。卒業資格というのは、五つの試験にパスし、卒
業証書をもらって、大学に進んだり就職したりす ることになるのですが、この
CDOS
というのは、卒業証書とはまた別に証明書を出すようになって いて、卒業時に、その子が一つのできることを証 明するものになっています。つまり就職したと きに、初任者に最も必要なスキルをもう既にマス ターしていることを証明するものになります。本 来卒業資格を得るためには、五つの試験、国語に 当たる英語、数学、理科、社会、そしてもう一つ は
Extra
で、それは二つ目の数学や、二つ目の理 科にすることができますが、とにかく五つ、試験 をパスしなければなりません。場合によっては、この
CDOS Credential
という資格を取ってあれ ば、その五つ目のテストの代わりに使うことがで きます。職場ベース学習の重要性について
この
CDOS Credential
という資格をもらうた めには、先ほどの基準を全うしなければならない のですが、それに対して筆記テストがあるわけで はありません。そのCDOS
資格というのをもら うための非常に重要なポイントとして、職場ベー ス学習というものがあります。職場ベース学習と は、生徒に枠組みのある学習体験を提供するため に、職場自体、つまり雇用主と学校の間に関係を 築き、その職場での学習をサポートしていくこと です。ただ行って職場を体験するだけでなく、そ こで学習が発生する形にしていくことです。もちろんそこで、キャリアへの関心を育みどん なキャリアが自分に向いているかという探究をし ていかなければなりません。スキルをどのように 応用していくかということも含んでいきます。職 場ベース学習を通じて、進学とか就職に転用でき るようなスキルをそこで獲得し、さらに伸ばすた めの支援をこの職場ベース学習ではやっていきま す。
次になぜ職場ベース学習が重要なのかというこ とに関してお話しします。職場ベース学習で非常 に質の高い学習がなされていれば、教室で学んだ
こと、教室での知識を、現実社会の場で応用する ことがそこで行われていきますし、座学による学 習よりも子どもにとって意味のあるものになりま す。実際に職場ベース学習に参加している生徒は、
関連する教科の履修完了率、つまり途中でドロッ プアウトすることなく最後まで履修完了できる率 が高くなっていますし、出席率や卒業率も上がっ ています。
卒業率というのは、あまり日本ではいわれてい ないかもしれませんが、例えば、アメリカの高校 は、
9
年生から12
年生までの4
年間ですが、皆さ んは9
年生で入った子どもが4
年間で卒業してい くのを普通と思うかもしれません。正規の4
年間 で卒業した子の割合を出していき、それによって 学校が評価されたりしますが、大体、全米で60
~
70
%です。あとの30
~40
%が中途退学して いるということではなく、もう少し時間をかけて、例えば
5
年で高校を卒業するということなので す。21
歳までただで行けることになっています ので、正規の卒業率はニューヨークも同じぐらい で60
%台だと思いますが、障害のある学生、障 害を認定されている子どもたちが、それより時間 がかかることはかなりあって、卒業率はより低く なっています。この
CDOS
というものが導入されてから、卒 業率は障害の有無を問わず上がっていることが報 告されています。職場での直接の体験を通じて、今までの教科書主導、教師主導の抽象的な指導よ りも、生徒自身が学習への取り組みを向上させて いるともいわれています。職場ベース学習という のは、コーディネートされ、「調整された移行活動」
というように位置付けられています。
IEP
、これは日本の個別の指導計画と概念的に 似ているものですが、そのIEP
には、子どもに何 が必要なのか、どんな合理的配慮が必要なのか、どういうサービスが必要なのか、どのように必要 なのかということが、全て書かれています。書か れている書類というよりも、書かれている計画自 体がいろいろなサービスをコーディネートしてい るというふうに私たちは捉えていきます。
ニューヨーク州では、「移行」をどのようにし ていくか、つまり学校生活が終わって、その後進 学するにしろ、就職するにしろ、どういうふうに その「移行」をサポートしていくかということに ついて、生徒が
14
歳の時点からのIEP
には必ず 入れなければならないことになっています。教科学習の目標が、個別の指導計画に当たる
IEP
には当然書かれるわけですが、それ以外にも「移行」をどのようにしていくか、「移行」するた めにどういうゴールがこの子には必要かというこ とを必ず入れていきます。教科学習のゴールとい うのはその年
1
年間に何を達成していくかという ことを念頭に作っていきますが、この「移行」に 関するゴールというのは、学校生活が終わった後 どうなるかということをゴールとして書いていき ます。これはその一例ですが、ジョンは卒業後
4
年制 の大学に進学し、エンジニアリングを専攻してい くと書くこともあります。そのように卒業後の ゴールをそこにセットすることにより、今度は教 員のほうもそのゴールを実際に達成するために、この子はどんなスキルを学校にいる間に身につけ る必要があるか、ということがクリアになります。
従って、卒業後のゴールをセットしておくこと によって、この子がゴールを達成するためにどん なことを学校にいる間に準備していくか、という ことが具体的になってきます。このゴールを立て ていくことを、「移行活動」と私たちは呼んでい ます。その調整された移行活動というところに、
職場ベース学習というものが入ってきます。職場 ベース学習の例では、中には実際に給料を支払っ てくれる職場もありますし、そうでないものもあ ります。ニューヨークでは、実際に給料を支払っ てくれるインターンシップや職場ベース学習があ りますが、職業に就いている、あるいは実際にも う仕事持っているというのでは駄目で、そこに教 育的な要素が入っていないと職場ベース学習とし て認められることはありません。
職場ベース学習の例
先ほども言いましたが、職場ベース学習の例と しては「シャドーイング」というのがあります。「地 域サービス・奉仕活動」というものもあります。
ある特定の「キャリアに焦点化したリサーチプロ ジェクト」をするということも含まれます。おそ らく日本の学校でも、「起業家精神」のプロジェ クトのようなものをすると思いますが、学校内で 同じようなことをすることもあります。また「地 域ベースの職場体験」というのがあります。全米 移行センターというところが実施したリサーチに よると、この職場ベース学習というのを体験した 生徒のほうが、その後の社会的な成功率が高いと いうことが報告されています。職場ベース学習と いうのは、繰り返しになりますが必ず教育的な要 素が含まれていなければなりません。
ジョブシャドーイングというのは、職場に行っ て、誰か仕事をしている人を見学してくるだけで は職場ベース学習にはならなくて、教員が、生徒 が職場に行くことに対して、質問をいくつか持た せて、実際に見学した職業に関してその質問に生 徒が答え、あるいは職場へ行って自分が見てきた ことを学級の他の子たちにこんな職業でしたとレ ポートするとか、そういったことが含まれている ことが必要です。
職場ベース学習のカリキュラム
いろいろな学校で、この職場ベース学習のカリ キュラムを作っています。それは、いろいろな形 態で実施できるので、その形態により必要な時間 数を割り振ります。
ニューヨークの場合は、
216
時間を職場ベース 学習に使っていくと、証明となるCredential
とい う単位が取得できることになっています。216
時 間のうち、一部は教室内で実施することも考えら れますが、少なくとも216
時間のうち最低54
時 間は、教室外で何かをするということになってい ます。例えば、ここには
3
つの例を挙げていますが、どんなふうにそれをアレンジしても構いません。
9
年生では教室で請求書に対して支払いをするス キルを皆で学び、10
年生では、校内で何らかの ビジネスモデルのようなものを作り、そこで企業 体験をして、11
年生では、サービス学習をして みる。さらに12
年生でインターンシップに行く ことに216
時間をそれぞれ割り振っていく、とい うのが一例です。ゴールは一つ、道はたくさん
さて、ここでお隣の方と話し合いながら、今日 どのように皆さんがこの会場に来たかということ に関して考えていただきたいと思います。出発点 はどこで、ゴールはどこで、そしてどのようなルー トで来たか、そして、そのルートを採った理由は どんな理由なのかということを含めて、今日どの ようにここに来たかということを近所の方と話し 合いしてみてください。
今日ここに来られた人の中には、自家用車で来 られた方、電車で来られた方、自転車で来た、あ るいはタクシーで来たという方もいらっしゃった と思います。方法は違っても、同じ場所にたどり 着いたわけです。その中では、ある方法のほうが 違う方法より良いということがあるでしょうか。
決して誰よりも誰の方法がいいということはな く、それぞれが採った方法は一人一人のニーズに よって違うため、どちらがいいということではあ りません。
しかも、全く誰にも何の助けも得ずに来た方も いるでしょうし、
わからなくなり誰かに聞いたという方もいるで しょう。あるいは、誰かに連れてきてもらったと いう方もいるのではないでしょうか。それでもこ こにたどり着いたということは同じです。やはり ここでもいろんな方法があります。それが、どち らがいいということがあるでしょうか。では、「こ
こに
15
分以内に来てください」と言われたとし ます。中には、1
時間あるいはそれ以上かけて東 京の反対側から来た方もいるでしょうし、または たまたま今日キャンパスに来ていたので数分で来 た方もいらっしゃるでしょう。それを15
分と決 めると、どういうことになるでしょうか。学びのユニバーサルデザイン
(UDL=Universal Design for Learning)
今の例でお分かりいただけたと思いますが、一 つのゴールにたどり着くためにいろいろな方法が あり、それがその人それぞれのニーズに合ってい るので、どちらがいいとか、誰の方法がいいとか ということでは決してありません。これは、「学 びのユニバーサルデザイン」という考え方に基づ いています。「学びのユニバーサルデザイン」と いうのは、学習科学、要するに神経心理学、発達 科学、教育研究などに基づき、一つの原則をつく り出しています。それによって教育者たちが、実 際に全ての子が学べるような環境をつくっていき ます。
UDL
は、インクルーシブな学習環境をつ くりデザインしていくため、学びを実施していく ために効果的であることが、今、国際的にも認識 が高まってきています。少し時間を取って、この写真(校舎の裏口の階 段の脇に、取ってつけたようなスロープのある写 真)を見てください。これは学校の建物で、裏口 にこのようなスロープが付いています。これは誰 にとってもアクセシブルな入り口になっているで しょうか。どうでしょうか。こういうもので、誰 もがこのビルディングに入れると言えると思うん です。いかがでしょうか。
では次にこちらのビルディングを見てくださ い。これは誰にでもアクセシブルになっているで しょうか。前の写真は、実際にスロープは付いて いますが、正面入り口ではなくそのビルディング の裏口に付けられていて、明らかにビルディング ができた後で、後付けで付けられたものです。こ ちらの建物は、明らかに設計の段階から、誰でも アクセスできることを念頭において設計されてい
ます。最初の写真のスロープが付いていたビル ディングというのは、非常に反応的、何かが起こっ てからそれに反応して動いているものです。後者 は、むしろ何かが起こる前に、前もって考えてお いて計画されたビルディングになっています。こ ちらだったら、誰かが
1
人でのけ者になることも なく、誰でもアクセシブルで、同じ正面玄関から みんな入れる形になっています。私たちが障害ということを考えたときに、この スライドの上の段のような目に見える障害もあれ ば、下のように目に見えない障害もあるわけで す。先ほどのスロープが後付けで付けられている ものを見ていくと、こうすればいいのではないか と簡単にできる解決方法の一つであるかもしれま せん。しかし障害はいつも目に見える障害だけで はないので、そう考えていくと簡単にいくわけで はなく、もっと考え方を変えていく必要が出てき ます。
移行のためのユニバーサルデザイン
ここで、
UDL
から今度はUDT
(Universal Design for Transition
)、「移行のためのユニバーサルデザ イン」に移っていきます。このUDT
というのは、ただ単にバリアフリーの方法とか、あるいはその デザインというだけではありません。その概念を もっと広げてあります。障害のある生徒を学校か ら卒業後の生活へ移行していくようなところをサ ポートするための教育的サービスをデザインし、
実施・評価するところに、バリアフリーの方法と デザインの概念を広げたものを応用していくこと が
UDT
といわれています。
UDT
は、教科学習内容と移行計画、指導、ゴー ルをつなげリンクさせることに焦点を当てていま す。UDT
の構成要素はいろいろあります。まずUDL
、それから多数にわたる生活領域や評価の 仕方、生徒の自己決断、多数のリソースや考え方 というのもそこに入ってきます。一人一人の生徒に特化して、こうしていく、あ あしていくということを考えるよりも、まずどの
基準を満たせば良いのかというのをクリアにし て、その基準を特定の
1
人の生徒というよりも、生徒たち全員が達成していく上で、どんな方法が 考え得るかということで、多様な方法を考えてい くというやり方をしていきます。
教科学習のゴールと卒業後のゴールとの関連 教科学習のゴールと、卒業してからのゴールの ことを考えていきたいと思います。
教科学習のゴールと、その子の卒業後のゴール を別々に教師自身が捉えていると、いつになっ ても両方を達成することは不可能になります。
UDT
では、移行サービスと関連を持っているの で、UDT
でアクセス可能な機会をつくることに 焦点化します。学校にいる間に、卒業後の職場や進路先をつな げて関係を強化していくことがとても大切になり ます。
UDT
では、多様な生活領域というのを考 えていきます。先ほど、調整された移行活動がい かに学校と学校卒業後の生活をリンクさせていく かが大切ということをお話ししました。私たちは 最初に卒業後のゴールを立て、そこから逆算して 指導計画を立てていきますが、就労に向けて何か を書く、例えば、履歴書を書くとか、コミュニ ティイベントのレポートを書くことが、一つの活 動になります。移行計画のところでのUDT
の多 様な生活領域という例を出していけば、就労のと ころでは、履歴書の書き方ですとか、会社に就職 したいということを表明するような手紙、カバー レターの書き方ですとか、そういったことを教え ていくのも一つの領域になります。例えば、余暇でいえばその子が日記を付けると いうこともその活動になってくるでしょう。進学 する子であれば、願書の書き方とか、そういった ものも入ってきます。地域での生活であれば、何 かの商品がうまく使えなかったとか、まずいこと があったということで、よく会社に「これがうま くいっていない」という苦情を書くとか、アパー トを借りていてそのアパートの調子が悪いとき、
大家さんに対して苦情のレターを書くということ もここに入ってくるかもしれません。
移行の評価
UDT
では、アセスメント、つまり自分で評価 をすることも大きなウエイトを占めます。そして 評価をうまくするためには、ゴールがしっかりと している必要があります。ゴールは、生徒が情報 を得て、自分の知識ややりやすさを表すために、リソースを使い、能力を示し、考えやニーズの使 いやすい方法を実際に示せるようにします。いい 評価をするためには、教室での指導と評価をつな いでいく必要があります。指導と評価がかけ離れ ていると、評価になりません。それから、評価の 目的を明確にすることも大切です。この評価をし て何をしたいのか、評価の目的は何なのかという ことを考えていく必要があります。
また、積極的に、生徒に評価に関わらせるとい うことが、非常に大事です。例えば、実際に面談 をして、ディスカッションをする。ただ単に生徒 に質問書を与えてそれに書かせるだけではなく、
評価に話し合いを入れていくということが非常に 大切なことになってきます。
それから、ウェブサイトにいろいろなリソース がありますので、それを活用するというのもあり ます。さまざまな方法で、さまざまな環境で生徒 を評価することも大切で、一つのところだけ、一 つの方法でやるのではなく、いろいろな状況、い ろいろな方法で生徒を見ていくことが、評価には 非常に重要です。評価自体を計画的にセットする ということも大事です。それはタイミングの問題 ではなく、実際に授業を計画するとき評価をどの ようにするかということも含めて予め考えておく ことが非常に大切になってきます。
移行の評価では、評価の中でバリアを取り除く ということが非常に大事になってきます。将来に 向けて、生徒の得意なものや興味があること、そ れから人生のゴールを達成するために必要な支援 は何なのか、サービス、指導を決めるための重要
な情報収集が評価の役割になってきます。評価は、
個人にとってのバリアを取り除くことだけではな くて、個人のパフォーマンス、知識、機能的スキ ル、自己決断スキル、あるいは得意なこととか興 味、そして現時点での支援ニーズに関しての包括 的な理解を深めていくということにも焦点を当て なければいけません。
先ほども、バリアを取り除くことの大切さをお 話ししましたけれども、ディスカッションをして みることにより、書かせたときには十分に生徒か ら情報が得られなくてもディスカッションをする 中で、「この子は何かの情報を伝達するときに、
話すほうが得意なんだ、話せばこれだけの情報を 伝えることができるんだ」ということが、教師に も分かるようになります。ただテストだけだと、
書くことが苦手であったらそれが表せないことに なってしまいます。その子にとって書くことがバ リアであれば、それを取り除けばその子をもっと 理解できるようになります。
また、いろいろな活動をしながら評価すること も必要です。例えば、
1
人で何かをするというこ とよりもグループで、しかもグループの中でリー ダーとして取り仕切りながらするほうが、いろい ろなことができるということがあるなど、そうい う生徒の特性も発見することになるかもしれませ ん。ただ話すだけとかテストだとうまくいかなく ても、パワーポイントなどを使ってプレゼンをす るとか、テクノロジーを使って何かを表すという ことになると、とてもよく表現できる生徒もいる かもしれません。どのような表現方法が得意かと いうことも、いろいろな方法でやらせることによ り教員が知ることができます。評価をすることに より、または評価をして生徒のことを知ることに より、さらに今度はまた次の授業をどのように進 めていくか、どのように計画するかということに 非常に役立ってきます。さて「移行」の評価ですけれども、①まずその 生徒の得意なものや興味を特定していきます。そ れから、②移行の評価の中に、ゴールを達成する のに不可欠なスキルを特定していきます。③生徒
の能力と、実際にそのゴールを達成するのに不可 欠なスキルとの間にずれがあれば、それも特定し ていきます。④その情報を使って、個々の生徒に 必要な支援、サービスを提供し指導をしていきま す。実際にこのアセスメントによって得られた情 報に基づき、必要なものが何かを特定し指導を行 うという形です。
評価というのは、これからの移行の計画にとっ て非常に重要になってきます。目的はいろいろと ありますが、その中の一つとしてその子どもの状 態を調べていくということがあります。現在の、
その生徒の機能レベルというのを測っていきま す。それから、今その子が受けているいろいろな サポート支援というものを評価していくことにも つながります。ですから、評価というのは最終の ものではありません。
1
回やってそれでおしまい ではなく、それが繰り返し行われ、継続されて初 めて意味を成してきます。一緒に生徒と座って話 しをして、考えていく時間にもなるわけです。そ して、生徒の能力と知識を理解していく機会にも なります。実際に評価をする前に、何の目的でこの評価を するのかということを常に考えておく必要があり ます。それを特定しておくことによって、評価が はっきりしてきます。評価の種類と範囲を考えて おくことも大事です。正式なツールを使うことも あるでしょうし、インフォーマルにやっていくこ ともあります。正式なものに関しては、例えば、
知能テストですとか、ライフスキル尺度などがあ りますし、インフォーマルのほうは、教師である 皆さんが行動観察をするというものも含まれます し、チェックリストでもいいでしょうし、実際に 子どもとの面談というのもあるでしょう。
インタビューというのは、もちろん、さっき言っ たように、生徒と話しをすることです。書くより ももっと情報が得られることが、子どもによって はありますし、生徒自身との面談だけではなく、
親御さんとの面談だとか、あるいは、この生徒に 関わる他の教員との面談ということも含まれてき ます。例えば、国語で示しているその生徒の態度
が、必ずしも数学や他の教科でも同じとは限りま せんので、そのあたりも他の先生から情報を得る ということも評価にはプラスになってきます。評 価というものが、生徒の今の状態・レベルを見つ け出すということになり、それによって教師がこ れからまたサポートを続けていける指針になって くるということを覚えておきたいものです。
ではここでこれまでの内容について質問を受け たいと思います。今のこの評価のところでも、あ るいはニューヨーク州でやっている
CDOS
とい うものに関してでも何でもいいのですが、何かあ るでしょうか。【質問者A】 特例子会社で事業運営をやっており ます。質問させていただきます。ニューヨークで は、先生
1
人に生徒は何人なのですか。充実した カリキュラムなので、日本でそれを本当にできる のかなと思いました。【通訳】 先生
1
人に対して、生徒っていうのは、一つのクラスにということですか。
【質問者A】 そうですね。クラスでも構わないし、
今の評価するときの対象者ですね。
【Holden】 先ほど評価について話しましたが、
評価を実際にするのかというのは、学校により異 なります。校長が、評価をすることに関して、誰 をどのようにあてがうかによって変わってきま す。高校になると、進路を主に扱うガイダンスカ ウンセラーというのがいて、その人が学年全部の 子を見ることもあります。そうすると
100
人では きかないような人数が、その人に課せられること もあります。そうでないとすれば、何人かに振り 分けていって、1
人に対して10
人を評価するよ うな振り分け方をする校長もいれば、40
人くら いを見る人もいるし、それは一律に何人を評価す るとは言えないのです。やらなければならない先生のほうでは、上限を
決めてほしいと思っているそうですが、それは全 部校長の判断に任されています。もちろん、
1
人 の先生に対して評価しなければならない生徒の数 が少なければ、当然質は上がるということわかっ ていますが、今のところは、何人が最大限という ふうに決まっているわけではありません。しかし、支援学級は何人までというのが決まっ ています。そうすると、支援学級に属する生徒に 関しては、先生が何人というのは決まっていま す。通常学級に障害のある子を一緒に入れるイン クルーシブな教室になっている場合は、障害のあ る生徒は最大限
12
人までです。もちろん他も全 部合わせて35
~40
人ということになりますが、支援学級として独立する場合は、
14
、15
人まで 最大限あるということなので、1
人の先生が14
、15
人の評価をすることももちろんあり得ます。先ほど、
14
歳から移行サービスというのを始 めると申し上げましたが、実際に障害のある児童 生徒については、12
歳から職能アセスメントを しなければならないことに法律でなっています。それはもちろん本人にもアセスメントをします が、それ以外に、保護者、それから先生が対象で す。先生は教科の先生ではなく選ばれた先生でや ると思いますが、それは
12
歳から始まり、その 子が卒業するまで毎年担当した先生とで行ってい くことが法律で定められています。アメリカの学校は、
1
年生の前にキンダーガー テンという学年が一つあります。それが5
歳なの ですが、5
歳で学校に入ったときからこの職能ア セスメントをずっと毎年やっていく学校もありま す。それは州の法律で決められているわけではあ りませんがやっているということです。長く継続 的に見ていくことは非常に大事なのでそれが理想 的かもしれませんが、一応、法律では12
歳から ということを決めています。大きな教育法というのは、アメリカ全土で使わ れる連邦法で決められていますが、具体的な骨子 というのはそれぞれの州に任され、その州の法律 によって行います。ただそれはもちろん連邦法と も呼応した形になっていますし、それがしっかり
と連邦法にも準拠しているかどうかは国のほうで も見ており、どれだけ連邦法に準拠しているかに より連邦政府からの支援金が変わってきます。そ れから州の法律でも定めて、各学校の実施の様子 をきちんとフォローしています。
先ほど職能アセスメントをしなければいけない といいましたが、何某のテストがあってそれをし なければいけないのではなく、もちろんその学校 で作ったものでもいいでしょうし、実際にあるも のを使ってもいいということになっています。何 をするかを州の法律が要求しているというより、
学校で作ったものであれ何であれ、その質を見ら れているのです。
アセスメントは、年齢が上がっていけば要求す るものが変わっていき、それによって深さが変 わったかどうかということが見られます。その評 価によって、評価の結果が、次の年の
IEP
(個別 の指導計画に当たるもの)のゴールにちゃんと反 映されているのかどうか、そしてそのゴールが反 映された活動を実際にしているのかどうか、州か ら調査に来ます。その調査担当者が実際に見て、アセスメントをしてみて、その結果がいかにゴー ル設定に生かされているか、そしてそのゴールを 達成するためにどういう活動をしているかという ことをちゃんと見ていくんですね。だから、結果 は結果で独立してあって、ゴールと全然関係なく ゴールを決めていると、その間に関連がないとい うことを指摘されます。ですから、評価というも のが、全てのゴールを決める上でも、実際の活動 を決める上でも、非常に重要なものだということ がお分かりいただけるかと思います。
自己決断について
では次に、「自己決断」ということに関して話 をしていきたいと思います。生徒の自己決断とい うのは、障害のある生徒が意見を持つことを促し ていきます。つまり、自分のゴール、得意な方法、
ニーズなどについて他の人にも分かるように示す ことができるようにすることだったり、また本人
も自分で選択したり決定したりすることをサポー トされていけること、それまでの望まない外部か らの影響で何かを決めなければならないというこ とから解放されることを目指しています。
【通訳】 去年のパーカー先生のご講演(※
2018
年1
月実施『発達障害者へのコーチング―成長に 導く新技法―』)にもいらっしゃった方は、多分、記憶に残っていると思いますが、自己決断につい ては、パーカー先生もお話になっていて、割と皆 さんが分かりづらかった概念だと思います。ここ を細かく、今日は
Holden
先生が話してください ます。【Holden】 自己決断には
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の要素があって、① 選択をする、②意思決定をする、③問題解決、④ ゴール設定とそれを達成すること、⑤リスクテイ ク(要するに、リスクを冒してもこれを選ぶとい うことができるかどうか)と自立・安全性、⑥自 己調整、⑦自己学習(Self Instruction
なので、自 習とも違うし、自分で自分を指導していくという のでしょうか。そういうことを含めた言葉として、自己学習とします)。それから⑧統制の所在(こ れは、ローカス・オブ・コントロールといって、
物事が何に起因しているか、原因をどこに置くか ということです。これは誰かのせい。私がやった のではなく、誰かのおかげでこうなってしまった と思ったりすること、ありますよね。そういう、
どこに責任の所在を置くかというのが、ローカス・
オブ・コントロールといいます)。⑨自己効力感、
⑩自己アドボカシーとリーダーシップ、⑪自己理 解、⑫自己認識、というものに分かれていきます。
テクノロジーは、自己決断を改善する機会をつ くるのに、とても役に立つということも一つここ で付け加えておきたいと思います。自己決断がで きるということは、生徒自身の成功に非常に重要 な要素になってきます。ある面白いリサーチがあ り、それによりますと、障害のある生徒の
IEP
に、この自己決断に関するゴールが入っていた生徒 は、入っていなかった生徒と比べて給料が高いと
いう結果が出ています。
自己決断のゴールの例としては、この生徒は、
助けが必要なときにそれを認識して、助けを求め るスキルを持っていることを示すことができる、
つまり、まず助けが必要だという認識が持てて、
そして助けを求めるスキルを持っていることが分 かるように、実際にやってみることができるとい うことが、ゴールに挙がると思います。または、
こういうゴールもあるかもしれません。この生徒 は自分の強みを正確に人に伝えることができる。
もう一つ例を挙げれば、この生徒は特定の作業に 対して必要な、効果的な方略を選び、行うことが できるというようなことも、ゴールに挙がるかも しれません。行動に問題がある生徒だとすれば、
今度は自分の行動に対してその結果どんなことが 起こるかということを、五つぐらいのオプション を考えて言うことができるのも、ゴールに挙げら れるかもしれません。それによって、例えば自分 はこういうことがあると頭にくる、キレるとかい うことリストを挙げていき、いつも自分がやって いる行動の代わりに何ができるかが言えたり、や ることができたりすればそのゴールが達成できる わけですが、そういうものをゴールに挙げること も考えられます。この自己決断のゴールというの は、生徒が実際に自立していくことを助けるため のゴールになるということを念頭に置いておいて いただけるといいかもしれません。
先ほど申し上げましたけれども、この自己決断 に関するゴールが、具体的に
IEP
に書かれていた 生徒は、それがなかった生徒と比べて、卒業1
年 後の給料が高いという結果が、リサーチで出てい ます。ではこの12
個の要素を一つ一つ見ていき たいと思います。最初の「選択する」というところでは、ある二 つの選択肢を提示できることが一つの身に付ける スキルとなります。「決定する」では、知ってい る二つ以上の選択肢と、その選択肢を選んだ結果 に関しての情報も提供して決定するスキルを付け ていきます。「問題解決」では、解決策がまだ分 かっていない状況というのもあります。そこで問
題を提示するということからスキルを付けていき ます。「ゴール設定と達成」では、ゴール設定の ために必要なステップを特定していき、そして開 始日、完了日を決めるということによって、先生 と一緒にどういうふうにそのステップを達成して いったらいいかを決めていったりします。「自己 調整」は、ゴール達成のために進捗を自分で評価 することです。「自己学習」は、
Self Instruction
、 直訳すれば自己指導みたいなものですが、新しい スキルの学習について自立性を高めるということ ですが、ここはテクノロジーを使って自立しなが ら学習をしていくことが実現できるところです。また「内的な責任の所在」は、そこでは自分の行 動が大きな世界も含めて周りに与える影響を理解 していくことです。「自己効力感と結果への前向 きな期待」は、自分には仕事をする能力があって、
その能力を使えば成功するということを理解する ことです。「自己アドボカシーとリーダーシップ」
は、自分で自分を弁護し、そして権利も主張して いきながら、他の人の行動を導いていくことです。
「自己理解」は、自分自身の強みと弱みを正確に 理解する力です。「自己認識」は、自分に関する 知識を自分の生活の質を高めるために活用する力 です。「リスクテイクと自立・安全」は、安全に 関して理解し行動できるかを判断するとしていま すが、実際に安全かどうかということを自分で考 え、評価して、そしてその結果に従って行動がで きるかということです。
今の
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個の自己決断の要素について、皆さん の職場で、学校の方もいらっしゃるでしょうし職 場の方もいらっしゃるかもしれませんが、このス キルを皆さんが今対応している児童、生徒、ある いは実際に職場で働く職員に教える、あるいは力 を付けさせるとなればどんなことが具体的にでき るか、時間を取りますので少し考えてみてくださ い。1
分間考えていただいて、こんなことが言え るかもしれないということを周囲で交換してみて ください。各スキルについて、どうやってそれを 教えられるかどうか考えてみてください。今、具体的に各要素について「こういうことだ ね」とするよりも、実際に一つのスキルをどう教 えられるかということを皆さんに考えていただき ましたが、「このように教えるほうが実際に意図 してこれがその生徒に必要だ」、「ではどう教える のか」、ということを考えるのが、その生徒に重 要になってきます。
【通訳】 先ほど言いましたように、ゴールがはっ きり決まっているということは、当然、ゴールを 書いておしまいにしているわけではなくて、それ が実践につながっていき、その結果としてその子 が給料が高い職業に就くという結果を生み出して るわけですから、教えるほうが具体的に考えてお くことが非常に大事になってきます。これは私の 補足です。
UDT の要素について
【Holden】 ここでもう一度、
UDT
の要素に戻 りたいと思います。先ほどのUDT
の要素の中に は、まずUDL
というものが入っています。UDL
の中で例として挙げられるのは、テクノロジーの 活用とかグループワークをするとか、選択肢のメ ニューがあると言えるでしょう。多様な生活の領 域の中には、就職先への手紙を書いたり、大学 の志望動機を書いたり、取扱説明書を読むとい うことも、その中に入ってくるかもしれません。「評価の方法も多様に」ということを先ほど申し 上げましたけれども、これにも正式なものとイン フォーマルなものがあります。正式なものとして は自己決断評価とか、知能テストとかライフスキ ル尺度のようなものがあります。そうではないイ ンフォーマルなポートフォリオとかチェックリス トというようなものもあります。
もう一つ大事な部分は、生徒の自己決断という ことです。この生徒の自己決断ですが、もちろん 何となく育つ上でスキルを身に付けている子もい るかもしれませんが、その自己決断の仕方を明示 的に教えてもらう機会があるということが非常に
重要になってきます。実際に、自己決断の尺度と いうのが、結構オンラインなどで無料であります ので、そういったものも活用しながらやっていく ことが大事になってきます。
また、多様なリソースや考え方が大切です。こ れは地域のコミュニティの取り組みなので、学校 以外でどう生徒をサポートしてもらえるかという ようなことも関わってきます。
現場での課題分析
実際の現場での課題分析をしていくことがすご く大事で、例えば数学だったら、予算を立てると か、銀行での手続きだとか、借用証を読んだり書 いたりすることだとか、お金に関する書類をどう 扱うかとか、ローンの申請だとか、そういったも のも実際の現場で必要になってきます。
テクノロジーは様々な場面で重要ですが、余暇 活動へのアクセスとか、各種支払いの管理、特定 の情報を得るために調べるとか、就職に関するリ ソースを調べるということでも、テクノロジーを 使っていきます。実際に現実の世界で必要なもの が特定できると、
UDT
を使ってもっと具体的な ゴールが設定できるようになります。UDL
の原 則を使うということです。UDL
には、多様な提 示の仕方、多様な表出の仕方、そして多様な取り 組みの仕方という三つの原則があります。実際の 現場での、あるいは社会での評価ができれば、実 際に必要なスキルを割り出していくことができる ようになります。UDT の多様なリソースと考え方
UDT
の多様なリソースと考え方については、移行に必要な全ての領域に関して、全ての関係者 が関われる機会をつくり出すということが非常に 大切です。これは小さな子でいえば、