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事業部制企 業 にお け る組織設 計 一 実 態 調 査 に よる 日米 比較 一

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(1)

〈調査報告〉

事業部制企 業 にお け る組織設 計

実 態 調 査 に よる 日米 比較 一

中 橋

1は じ め に.

わ れ わ μ は 本 年4月 に!わ が 国 ㊧企 業 に お け る事 業 部 制 組 織 の 管 理 制 度 や事 '業 部 長 の 自主 性 の 実 態 を解 明 す るた め に

,郵 送 に よ るア ソ ケ ー ト調査 を 行 な っ

た 。 質 問 調査 票 の デ ザ イ ソ は,日 米 比 較 を しよ う とす る意 図 か ら,ヴ ァソ シル (1)

(R.F.Vancil)が 開 発 した もの に ほ ぼ しだ が って い る 。 本 稿 は,ア ソ ケ ー ト に た い す る回 答 の 集 計 結 果 を報 告 す る と と もに,す で に 行 な わ れ て い る ヴ ァソ シル の 調査 結 果 との 比 較 を 通 じて,わ が 国 の事 業 部 制 組 織 の特 徴 を さ ぐろ う と す る もの で あ る。

II調 査 の 意 図 と 方 法

1

1.問 題 意 識 と 調 査 項 目

(2)(3)

チ ャ ン ド ラ ー(A・D.Chandler)'の 研 究 を 導 火 線 と し て 多 数 の 調 査 が 行 な 原 稿 受 領 日1980年11月19日

.*こ の調 査 は文 部 省 特 定 研究 費 の 補 助 を受 け た 駅 究 の一 部 で あ る。(この特 定 研究 に おけ る筆 者 担 当 の 研 究 テ ーマは 「組 織現 象 の国 際 比較 」で 嫡 ・)ま た ・筆 者 の 内 地 研 究 とそ れ に 引 き続 く研修 期 間 中 に 行 なわ れ た もの で あ り,質 問 調 査 票 の作 成 と そ の郵 送 実 施 に あ た っ て は,占 部 都美 教 授(神 戸大 学)か ら貴 重 な助 言 と援 助を い た だ い た 。 記 して 感 謝 す る次第 で あ る。

(1)〔17〕pp.365‑384.

(2)〔4〕..

(3)〔13〕 お よび 〔6〕Chap.3を 参 照 。 な お,わ が 国企 業 の多 角 化傾 向 の 分 析 は

〔19〕に よ って 行 なわ れ てい る。

[41]

(2)

42 第31巻 第3・4号

わ れ,現 代 の大 企 栄 は ます ま す 多 角 化 す る傾 向 に あ り,そ れ に 対 応 して 事 業 部 制 組 織 を採 用 す る企 業 の 割 合 も大 き くな って い る こ とが 明 らか に され て い る。

しか しな が ら,い うま で もな く,組 織 設 計 の 問題 は 「多 角 化 した ら事 業 部 制 を とれば よい 」 とい う よ うな 単 純 な もの で は な い。 「職 能 制 か事 業 部 制 か 」 とい

(4) う問 題 は,組 織 設 計 問題 の一 部 で は あ るが 全 部 で は な い 。

わ れ わ れ の基 本 的 な 問題 意 識 は,事 業 部 制 とい う組 織 形 態 に も様 々な ヴ ァ リ エ ー シ ョソが 存 在 す るで あ ろ う,と い うと こ ろに あ る。 そ こで,事 業 部 制 組 織(5) に 特 有 と思 わ れ る組 織 現 象 に つ い て,わ が 国 の企 業 の 実 態 は ど うな って い るか, 企 業 聞 で どの よ うに 相 違 す る か を 調査 し,さ らに、は 米 国 の 実 態 と対 比 し よ うと

した の で あ る。

そ れ で は,事 業 部 制企 業 に お け る特 有 の組 織 設 計 問 題 とは 何 で あ ろ うか。 標 準 的 な 定 義 を 掲 げ れ ば,事 業 部 制 組 織 とは,「 トッ プ ・マ ネ ジ メン トの 下 に部 門 組 織 を 製 品別,地 域 別 あ るい は 得 意 先 別 に 部 門 化 し,独 自の 利益 責任 を もつ

自主瞥 経騨 位とし傭 郷 を謝 ・畝 にたいし紛 権化を徹 う分儲

理 組 織 」 で あ る 。 そ し て,「 各 事 業 部 は … … 利 益 管 理 単 位 … … を な す こ とを 第 一 の 特 徴 と し て い る6次 ,そ の 利 益 責 任 を 果 た す た め に 必 要 な 生 産,営 業, 管 理,製 品 開 発 な ど の 職 能 を 事 業 部 に 統 合 し,事 業 部 は 自 己 完 結 性 を も ち,他 部 門 に た い し て 独 立 性 を も つ こ と を 第 二 め 特 徴 と し,そ し て 各 事 業 部 に た い し て 大 幅 な 分 権 化 が 行 な わ れ,事 業 部 は 分 権 管 理 の 単 位 を な して く る こ と を 第 三

(7) の 特 徴 と して い る 。」

(4)た とえ ば ガル ブ レイ ス は,組 織 設 計 変 数 と して,タ ス ク,構 造,情 報 ・決定 シ ス テ ム,成 員,報 酬 シ ス テ ムの5つ を あげ て い る。 〔5〕Chap.2.ま 〔18〕も参 照 。 職 能 制 か事 業 部 制 か とい う問題 は,こ れ らの変 数 の うちの携 造 変 数 に か かわ る 問 題 で あ り,し か も種 々の構 造 次 元 の一 つ に す ぎな い。 事業 部 制 を採 用 す るに あた.

って は,他 の 組織 設 計 変 数 を も同時 に考 慮 し,種 々の組 織 設 計変 数 間 に 適 切な 適 合 関係 を つ く り出 さね ぽ な らな い 。

(5)〔1〕,〔2〕 〔3〕,〔9〕〔10〕〔11〕を参 照 。

(6),(7)〔16〕257頁 。 さ らに,同 書 に よれ ば,「 本 社 ス タ ッ フ部 門は ゴ 各 ライ ン事 業 部 にた い して専 門 的 な助 言 とサ ー ビス を 提 供す るス タ ッフ任 務 に徹 し,業 務 手 続 や 方 法 の標 準 化 を避 け,ラ イ ン ・ス タ ッ フ組 織 を確 立 す る とこ ろ に,事 業 部 制 の第 四 の 特徴 が あ る。」 そ して,「 トップ ・マ ネ ジ メン トは,企 業 戦 略,組 織 計 画,経 営 者 育成,事 業 部 の業 績評 価,設 備 投 資 な どの資 源 配 分 を 行 な う ことを任 務 とす る の が,第 五 の特 徴 を な して い る。 」

(3)

事業部制企業 におけ る組織 設計一実態調査 による日米 比較一 43

す な わ ち,・事 業 部 制 組 織 に お い て各 事 業 部 は,利 益 管 理 単 位 で あ る こ と,自 己 完 結 性 を もつ こ と,お よび,分 権 管 理 の単 位 で あ る こ とを そ の3つ の 特 徴 と

して い る。 わ れ わ れ の 調査 は こ の3つ の 特 徴 が 現 実 に は ど の よ うに な って い る か を 明 らか に し よ う と した もの で あ るbこ れ らの 特 徴 を 把 握 す るた め の よ り詳 細 な 調査 項 目 と回 答 結 果 は 次 節 で述 べ よ う。 われ わ れ は,第 二 の 特 徴 を 「事 業 部 の 自己 充 足 性 」,第 一 の 特 徴 を 「管 理 制 度 」,第 三 の特 徴 を 「事 業 部 長 の 意 思 決 定 の 自主 性 」 の 問 題 と して論 ず るで あ ろ う。

2.調 査 対 象 と ア ン ケ ー ト回 収 状 況

質 問調 査 票 は 東 京 証 券 取 引 所 第 一 部 上場 の 製 造 業(食 品 か らそ の他 製 造 まで) 574社 に た い して 郵 送 さ れ た 。 回 答 を よせ た 企 業 は104社(回 収 率18.1%)で り,こ の うち事 業 部 制 を と って い る企 業 は26社(25%)で あ った 。 回 答 企 業 の 業種 別 内 訳 は表1の とお りで あ る。 集 計 ・分 析 の 対 象 に な るの は 事 業 部 制 を 採 用 して い る企 業 だ け で あ る。 な お 質 問 調 査 票 は 「本 社 に た い す る質 問調 査 票 」

表1ア ンケー ト回収状況

.製

送 付 総 数 574

丞64101 817698052638461332178412

回 答 企 業 数 総 計

1q4

119394169431219851

部.制

26

03050111,047120

非事業

78

11634405842812731

(4)

44 第31巻 第3・4号

と 「事 業 部 長 に た い す る質 問 調 査 票 」 の二 部 か ら成 って い る が,後 者 に た い し て は26社 の うち4社 の 回答 は 白紙 で あ った 。 した が って,以 下 の 集 計 ・分析 の 対 象 とな る有 効 回 答 数 は,「 本 社 に た い す る質 問調 査 票 」 が26,「 事 業 部 長 に

た い す る 質 問 調 査 票 」 が22で あ る。

回 答 企 業 の うち事 業 部 制 を と って い る企 業 の 割 合 が25%と い うこ とは,も ろ ん,わ が 国企 業 全 体 に お け る事 業 部 制 企 業 の 割 合 が25%で あ る こと を意 味 す' る もの で は な い。 非事 業 部 制 企 業 の ほ うが 事 業 部制 企 業 よ りも回 答 が きわ め て 簡 単 で あ る か らで あ る。(な お,こ の 調査 に お け る事 業 部 制 組 織 とは,「 そ の 内 部 に別 個 の利 益 責 任 単 位 とな っ て い る事 業 部 を 有 す る組 織 形 態 」 を さ して い る。)実際 に は,事 業 部 制 採 用 企 業 の 割 合 は も っ と大 き い 。'因み に,関 西 生 産 性

(8)

本 部 の 調査 に よれ ば,お れ わ れ の 調 査 と同 じ業 種 に つ い て み る と,昭 和50年 に ,,(9)

お い て 事 業 部 制 企 業 の 割 合 は44,1%で あ り,経 済 同 友 会 の 調 査 に よれ ば,昭 和 54年 現 在 そ の 割 合 は46%(一 部 事 業 部 制 を含 め る と61%)に 達 して い る。

つ導 葡 酪 をよせ擦 業綿 採用蝶 の欄 売縞 と多勉 戦略%

イ ブ を,ヴ ァ ソ シ ル の 調 査 に お け る そ れ と 対 比 し て 表2,表3に 示 し て お く。

日 米 比 較 に あ た っ て は,事 業 部 制 組 織 の 具 体 的 な 展 開 に 影 響 を 及 ぼ す と思 わ れ' る 要 因 を コ ン トロ ー ル し て 換 討 す る 必 要 が あ る か ら で あ る 。 年 間 売 上 高 規 模 の ク ラ ス 分 け は 対 比 の た め に ヴ ァ ソ シ ル の 分 け 方 に し た が っ て い るo多 角 化 戦 略 の タ イ プ は ル メ ル ト(R.P.Rumelt)の 分 類 法 に よ る 。 ヴ ァ ソ シ ル の ば あ い は 回 答 企 業 自 ら に 分 類 し て も ら っ て い る が,わ れ わ れ は 各 社 の 有 価 証 券 報 告 書,

会 社 四 季 報,お よ び 吉 原 氏 らに よ る 分 類 を 参 考 に し て 判 定 した 。 (8)〔7〕47頁 。 回答 企業 総 数256社 の うち,事 業 部 制 採用 企 業 は113社 で あ る。

(9)〔8〕42頁 。 回 答企 業 総 数526社 の うち,事 業 部制28.5%,事 業 本部 制16%,事 部 制+事 業 本 部 制1.5%で あ る。 なお,職 能 制+事 業 部 制 な どの 一部 事 業 部 制形 態 が15,0%あ る。 た だ し,こ れ は 全 業種 に つ い て み た数 値で あ る。

表2,3の 米 国 の数 値 は そ れ ぞれ 〔17〕p.153,表A‑2,μ154,表A‑3に る。 米 国 企業 の売 上 高 は1974年 度 の も ので あ り,1ド ル=210円 で換 算 した 。 わ が 国 の 企業 の 売上 高 は1979年 度 の も ので あ り,『 東 洋 経 済 統 計 月 報 』(1980年8月) に よ る。 な お,米 国の ぼ あ い,製 造 業 に つ い て は,質 問 票 送 付 総数684,回 答 数313

(回 収 率46%)・,う ち事業 部制 採 用 企業296(95%)で あ り,事 業 部 制 採用 企 業 の 割 合 が 非 常 に 高 い。 〔17〕p,14.

〔19〕2‑6頁.

(5)

事業部制企業におけ る組織設計一実 態調査 による日米比較一 45 表2有 効回答企業 の売上高

本1米

0億 円 以 上

52.5‑

105‑

210‑

420‑

630'‑

840‑

1,260一

52,5億 円 未 満 105

210 420 630 840、

1,260 . 2,100

2,100慮 円 以 上

0社(0%) 0(0) 0(0,) 4(15) 3(12) 3(12) 3(12) 4(15) 9(35)

3社(1%) 4(1) 23(9) 48(18) 34(13) 19〈7) 33(12) 33(12) 72(27)

1雛(1・ ・%)'1269社(…%)

表3有 効回答企業 の多角化戦賂

多 角 化 戦 略 の タ イ プ 本1米

本 業 中 心 戦 略 連 分 野 多 化 戦 関 連 的 多 角 化 戦 ・

o社(o%) 4(15) 21(81) 1(4)

59社(20%) 80(28) 65(22) 87(30)

126社 (…%)129・ 社(…%)

売 上 高 規 模 に つ い て み る と,わ が 国 の 標 本 に は210億 円未 満 の 企 業 は な い が 米 国 のそ れ は11%あ る。 そ して,ほ ぼ そ の 分 だ け,わ が 国 の 標 本 に は 年 間売 上

'

高 が2,100億 円 を こ,える企 業 が 多 い。

多 角 化 戦 略 で み る と,わ が 国 の 回 答 企 業 は80%以 上 が 関 連 分 野 多 角 化 型 に 集 中 して い るが,米 国 の回 答 企 業 の多 角 化 戦 略 は4圏つ の タイ プ に ち らば っ て い る。

III調 査 結 果 と 日 米 比 較 1.事 業 部 の 自 己 充 足 性

事 業 部 制 組 織 とは,い わ ば 一 つ の企 業 の なか に 複 数 の 自立 的 な サ ブ企 業(事

(6)

46 第31巻 第3・4号

業 部)を 設 け る組 織 形 態 で あ る。 した が っ て,上 述 の よ うに 理 念 的 に は,各 事 業 部 は そ の 製 品 の生 産 ・販 売 に 必要 な ラ イ ソ職 能 お よび ス タ ッ フ職 能 を もつ べ き で あ る。 そ して本 社 は もっ ぼ ら,全 社 的 な計 画 や コソ トロー ルや 資 源 配 分 と 各 事 業 部 に た い す るサ ー ビス的 な ス タ ッ フ任 務 に 徹 す る もの と考 え られ る。

こ の よ うな 理 念 的 な事 業 部 制 形 態 に お い て も,本 社 が 存 在 して種 々の機 能 を 遂 行 して い る の で あ る か ら,事 業 部 の 自立 性 は 不 完 全 で あ る。 よ り具 体 的 に い 充 ば,事 業 部 の 利 益 算 定 に 用 い られ る 費 用 のな か に は(本 社 費 を事 業 部 に 負担'

させ るな らぽ),事 業 部 長 が 直 接 的 な 管 轄 権 を も た な い 資 源 の 利 用 か ら発 生 す る費 用 も含 まれ るの で あ る。 そ し て,企 業 の 全 ス タ ッ フ的 活 動 の うち で 本 社 が どの 程 度 の 割 合を 遂 行 す る か は,企 業 に よ って 異 な るで あ ろ う。

さ らに 現 実 に に,理 念 的 な形 態 の事 業 部 制 を と る こ とが 困 難 で あ った り,不 利 益 に な る こ と も多 い 。 物 的 な施 設 や 設 備 な どの物 理 的 な 分 割 が 困 難 で あ るば あ い や,複 数 の事 業 部 の 間で 生 産 や販 売 な どの ラ イ ソ職 能 に お い て 共 通 関連 性' が 強 い ば あ い で あ る。 この ば あ い に は,規 模 の経 済 や シ ナ ジ ー 効 果 を 実 現 す る た め に,事 業 部 が 自立 的 に 活 動 す る の に 必 要 な 施 設 や 職 能 の 一 部 を,各 事 業 部 長 の直 接 的 な 管 轄 下 に は お か ず に,別 個 の 組 織 単位 に 集 約 し,本 社 の管 轄 下 に お くこ とが 行 な わ れ る,か くて 事 業 部 は,そ の 主 要 な ラ イ ソ職 能 に お い て も完 全 に は 自立 的 で な い こ と も多 い 。

こ の よ うに して,事 業 部 長 は,自 ら の事 業 を 自立 的 に 行 な うの に 必要 な 資 源 の 一 部 に た い す る直 接 的 な 管 轄 権 限 を 失 な う。 そ れ ば か りで は な い。 事 業 部 間 に 財 や サ ー ビ ス の 移 転 があ る とき に は,財 や サ ー ビスを 提供 す る側 の事 業 部 で は,そ の 管 轄 下 に あ る資 源 に つ い て も完 全 に 自由 な 決 定 権 限 を 行 使 で き な い。

そ の 資 源 の一 部 の利 用 方 法 に お い て,財 や サ ー ビ ス の供 給 先 の事 業 部 の要 求 に 合 わ せ ね ば な らな い か らで あ る。 ま た,他 の事 業 部 か ら財 や サ ー ビス の提 供 を 受 け る側 の事 業 部 に お い て も,自 らが直 接 的 な 管 轄 権 を もた な い 資 源 の利 用 か

ら発 生 す る費 用 を 負 担 しな け れ ば な らな い の で あ る。 か くて,事 業 部 の 自 立性 は制 約 され た もの で あ る。 制 約 さ れ る程度 は,第1 に,事 業 部 が そ の製 品 を 生 産 ・販売 す る の に 必 要 な ライ ソ職 能 と ス タ ッ フ職 能

(7)

事業部制企業におけ る組織設計一実態調 査に よる日米比較一 47 の うち で,本 社(あ るい は そ の 管 轄 下 に あ る別 個 の組 織 単 位)お よび 他 の事 業

、 部に よ って 遂 行 さ れ る活 動 の 割 合 に よ っ て 規 定 され る 。そ して 第2に は,そ れ らの 活 動 に 要 した費 用 を どの よ うな 基 準 に よ って 事 業 部 に 配賦 した り,振 替 え た りす る か とい5会 計 的 制 度 の影 響 を 受 け る の で あ る。 本 項 で は 第1の 側 面 を 扱 い,第2の 側 面 は 次 項 に お い て と りあ げ る こ とに し よ う。'

(1)複 数 の 事 業 部 に 貢 献 す る共 通 的 職 能 部 門

まず,2つ 以 上 の事 業 部 のた め に 貢 献 す る 共 通 的 な製 造 部 門,販 売 部 門,研 究 開 発 部 門 お よび 物 流 部 門 が 存 在 す るか ど うか

。そ して,も し存 在 す るな らば, そ の 共 通 の職 能 部 門 がそ の 貢 献 を 受 け る事 業 部 の 当 該 の職 能 活 動 の 何 パ 』 セ ソ トを 遂 行 して い る か を 尋 ね た 。 回 答 を 集 計 す る と,表4お よび表5の よ うに

な った 。

表4に お い て,米 国 の ば あ い は ヴ ァソ シル も指 摘 す る よ うに,販 売,物 流,

表4共 通的職能部門を もつ企業数(%)

13社(50%) 13(50) 25(96) 19(73)

(46%) (31) '((58)

41) 略 蝶 総数i26社 i291社

表5共 通的職能部門の事業部への貢献の程度

1貢醐2朔1翻1翻1・ ・%}藷 平均順 献劇 め平均

13社 13

1 7

7社 6 14 4

3社 0 7 1

1社 4 3 6

0社 3 1 7

001

(14%)〔31%〕

(28)〔56〕

(35)『 〔37〕

(53)〔73〕

(21%)〔45%〕

(18)'〔61〕

(36)〔68〕

(21)〔53〕

O⇒ 表4,5の 米 国 の 数 値 は そ れ ぞ れ 〔17〕 仙204,表C‑1,pμ204‑206,表C‑

3〜C‑6に よ っ て い るQ'

(8)

48商 究 ,第31巻 第3・4号

製 造,研 究 開 発 とい う順 序 で 本 社 が 共 通 的 職 能 部 門 を もつ 企 業 の 割 合 が 多 くな って い る 。これ は顧 客 に 近 い 順 で あ る 。つ ま り,顧 客 に 接 近 して い る職 能 ほ ど各

事 業 部 内

に と どめ られ,本 社 に まか せ る こ とは 少 な い とい う傾 向 が 読 み とれ る。

しか し,わ が 国 の ば あ い は この よ うな 明確 な傾 向 は み られ な い 。日米 を 比 較 す る と,共 通 的 職 能 部 門を もつ 企 業 の割 合 は4職 能 す べ て に つ い て 日本 のほ うが 大

い 。 と ぐに,研 究 開 発 と物 流 に つ い て 両 者 の 相 違 は顕 著 で あ り,販 売 職 能 に

つ い て も 日米 間 に は か な りの 相 違 が み られ る。

つ ぎに,表5に 示 す よ うに、共 通 的 職 能 部 門 が 事 業 部 に 貢 献 す る程 度 は,1‑

29%,30‑69%,70‑99%,100%の4つ の うち の どれ に 相 当 す るか で 回 答 し9 て も ら った 。 そ して 平 均 値 を計 算 す る に あ た って は,各 該 当 企 業 が これ らの4 つ の カテ ゴ リー のそ れ ぞ れ の 中 心 値(1‑29%の ば あ い は15%,30‑69%の あ い は50%,70‑99%の ば あ い は85%,100%は100%)を と る もの と した 。 平 均 値 の うち()の 数 値 は,貢 献 度0%す な わ ち共 通 的 部 門 を もた な い 企 業 を も含 めた もの で あ り,〔 〕 の 数 値 は 当 該 の 共 通 的 職 能 部 門 を もつ 企 業 の み に つ い て求 め た 平 均 値 で あ る。

表5に お い て 注 目 され る のは,米 国 のば あ い()の 数 値 に 比 して 〔 〕 の 数 値 が 非 常 に 大 き くな って い る こ とで あ る。 〔 〕 の 数 値 を み る と物 流 を 除 き 米 国 の.ほうが 日本 よ りも木 きいのであ る。つ ま り,米 国のほ うが 日本 よ りも概 して 共 通 的 職 能 部 門 を もつ 企 業 は 少 な い が,そ れ を 保 有 す る とき に は,そ れ が事 業 部 に 貢 献 す る程 度 は 日本 よ り も大 き い とい え る。

.、'こ れ は と くに研 究 開発 職 能 に お い て 顕 著 で あ る。 わ が 国で は 回 答 企 業 の96%

が 本社 に研 究 開発 部 門 を もつ が,全 社 の研 究 開 発 活 動(予 算)に 占 め るそ の割 合 は 平 均 す る と37%に す ぎな い 。 これ に た い して 米 国 で は 本 社 に研 究 開発 部 門 を もつ 企 業 は58%に す ぎ な い が,本 社 研 究 開 発 部 門 は 全 社 の研 究 開 発 活 動 の68

03〔17〕p.}88.

物流職能につ いては,わ が国のばあい,共 通的部門はない とす る企業 のなかに, それを別 会社化 してい ると注記 している企業 が2社 ある。 したがって,共 通的物流 部 門を もつ企業 の割合は実質的には より大 き くな る。・

(9)

事業 部制企業におけ る組織設計一実態 調査に よる日米比較一49

'

%を 遂 行 してい る の で あ る 。 そ の1つ の理 由 と して,米 国 で は 基 礎研 究 の 占 め る ウエ イ トが 大 き く,そ して,そ れ を本 社 に 集 中 す る か らで あ る とい うこ とが 考 え られ る。 しか し,わ れ わ れ の 質 問票 で は,で き る な らぽ基 礎 研 究 と応 用研 究 とを 別 に して 回 答 して も ら って お り,両 老 が 区 別 さ れ て い る とき に は,応 用 研 究 の み に つ い て み た 本 社 研 究 開発 予 算 の割 合 を 考 え て い るか ら,こ の 理 由だ

け で は 十 分 セζは 説 明 で き な い 。

つ ぎ に,わ が 国 で は 米 国 に比 べ る と,物 流 活 動 を よ り大 き く共 通部 門 に 集 中 して い る。 これ は,わ が 国に お い て 販 売 活 動 と物 流 活 動 とを 分 離 す る傾 向 が よ

り進 ん で い るた め で は な い か と思 わ れ る。

とこ ろ で,共 通 的 職 能 部 門 を もつ か ど うか,ま た そ れ が どの 程 度 の活 動 を 遂 行 す るか は,当 該 企 業 の事 業 部 間 の 共 通 関 連 性 に 関 係 す る で あ ろ う。 そ して,事 業 部 間 の共 通 関 連 性 は 多 角 化 戦 略 と関 係 す る と思 わ れ る。 表3に 示 した よ うに

日米 の 回 答 企 業 の 多 角 化 戦 略 の タイ プの 分 布 は か な り異 な って い る。 した が っ て,よ り正 確 な 日米 比 較 を す る た め に は,両 者 に お け る 多 角 化 戦 略 を コソ トロ ー ル しな け れ ば な らな い 。 わ が 国 の 回答 企 業 の な か に は ,専 業 戦略(S戦 略).

企 業 が 無 く,非 関 連 的 多 角 化 戦 略(U戦 略)企 業 も1社 しか な い 、そ こで,本 業 中 心 多 角 化 戦 略(D戦 略)企 業 と闘連 分 野 多 角 化 戦 略(R戦 略)企 業 の み を

と り出 して,表6,7を 作 成 して み た 。

表6多 角化戦略別にみ た共通的職能部門を もつ企業数

D戦 略R戦

2社(50%) 0(0) 3(75) 3(75)

11社(52%)' 12(57) 21(100)

13(62)

40社 二(50タ6) 22(28) 47(59) 29(36)

32社(49%) 25(38) 40(62) 32(49)

略 蝶 総釧4社 121社' 18・ 社 165社

㈱ 茎表6,7の 米 国 の 数 値 は そ れ ぞ れ 〔17〕p.208,表C‑10,pp、210‑212,表C‑12,

〜C一 ヱ5に よ っ て い る 。

(10)

50商 討 究 第31巻 第3・4号 表7多 角化戦略別にみた共通的職能部門の事業部への平均貢献度

職 略企剰 ・鱗 蝶

(25%)〔50タ6〕

(0)〔0〕

(29)〔38〕

(54)〔72〕

(13%)〔27%〕

(34)〔60〕

(37)〔37〕

(51)〔73〕

・鱗 企剰 ・戦略蝶

(22%)〔44%〕

(19)〔71〕

(43)〔77〕

(20)〔56〕

(19%)〔39%〕

(21)〔56〕

(31)〔55〕

(28)〔55〕

多 角 化 戦 略 を ゴソ トロー ル した 日米 比 較 に あた って は,わ が 国 のD戦 略 企 業 の 数 が 少 な い の で,R戦 略企 業 につ い て だ け 比 較 す る こ とに し よ う。 表6のR 戦 略 の 欄 で 日米 比 較 を して み る と,・表4と 同 じ く,共 通 的職 能 部 門 を も》『企 業 の割 合 は4職 能 す べ て に つ い て 日本 の ほ うが 大 き い 。 ま た表5と 表7のR戦 略 の欄 とを 比 較 して も,〔 〕の 数 値 で販 売 職 能 に つ い て 日米 の逆 転 が生 じてい

る が,や は り大 体 の 傾 向 は 変 わ っ て い な い 。

と こ ろで,一 般 た は,多 角 化度 が す す む に つ れ て,ず な わ ちD戦 略 か らR戦 略 へ とす す む に つ れ て,事 業 部 問 の 共 通 関 連 性 は 小 さ くな り,し た が って,共 通 的職 能 部 門を もつ 企 業 の割 合 や そ こに お け る事 業 部 へ の 貢 献 度 は小 さ くな る

と予 測 され る。 そ こで つ ぎ に,表6と7に お い て,日 米 の そ れ ぞれ に つ い て, D戦 略 の欄 とR戦 略 の欄 とを 比 較 して み よ う。 す る と,米 国 の ば あ い に は、,表 7に お い て こ の予 測 が ほ ぼ 適 中 して い る。 しか し,米 国 の ば あ い で も,表6で は こ の予 測 とは 逆 の 現 象 が 生 じて お り,日 本 で は表6と 表7の い ず れ に お い て

も この 予 測 は ほ とん どあ た って い な い。

後 述 す る よ うに,ヴ ァ ソ シ ル の 調 査 に よれ ば,事 業 部制 組 織 の特 徴 的 組 織 現 象 に 変 化 を 生 じさせ る基 本 的 要 因 を 企 業 の 多 角 化 度 に 求 め る こ とが で き る。 し か し,上 述 の よ うに,わ れ わ れ の 標 本 に つ い て は そ の よ うな 規 則 性 を 見 出 す こ とが で き な か った 。 そ こで 以 下 で は,多 角 化 戦 略 を コソ トロー ル しな い で,標 本 の 全 体 に つ い て 日米比 較 を す る こ とに す る。表3に 示 した よ うに,わ が 国 の 標 本 企 業 はD戦 略 とR戦 略 に 集 中 して い る。 これ に た い して 米 国 の標 本企 業 は

4?の 多 角 化 戦 略 の タ イ プに ち らば って い る が,そ れ を 全 体 と して み る と,S

(11)

事業部制企業における組織設計一実態調査に よる日米比較 一 51

戦 略 企 業 とU戦 略 企 業 とがそ の特 徴 を 相 殺 し,か くて,D戦 略 企 業 とR戦 略 企 業 とを 合 わ せ た 組 織特 性 を示 す と思 わ れ る か らで あ る。

(2)事 業 部 問 の 財 の 移 転

事 業 部 間 に財 の 移 転 が あ るか ど うか,財 の移 転 が あ る とき に は そ れ が 全 社 の 売 上 高(ま た は 総 製 造 原 価)に 占 め る 割 合 は 何 パ ー セ ソ トに な る か に つ い ては

表8に 集 計 さ れ て い る。 パ ー セ ン ・トの 記 入 は,ク ラ スに 分 け ず に 数 値 そ の もの を 回 答 して も ら った 。()の 数 値 は 事 業 部 間 に 財 の 移 転 な し とす る企 業,お よび 移 転 あ り とす るが そ の 移 転 の大 き さ を 記 入 しで い な い 企 業 を も 含 め た パ ー セ ソ トで あ り,〔 〕 の 数 値 は 両 者 を除 い た 企 業 につ い て の パ ー セ ソ トで あ る。 な お,移 転 され る財 の 全体 に た い す る パ ー セ ン トの ク ラ ス分 け は,ヴ ァ ソ シル に した が っ て お り,そ れ は 米 国 の 全 回 答企 業 を ほ ぼ 均等 に 分 布 さ せ る分 け 方 に な っ て い るo

表8か らみ る と,'日 本 の ほ うが 米 国 よ り も,事 業 部 間 で 財 の 移 転 の あ る企 業 の 割 合 は 大 き い が,財 の 移 転 の 大 き さは15%未 満 の 比 較 的少 な い ク ラス に 集 中 して い る とい え よ う。 単 純 平 均 値 を 計 算 す る と,事 業 部 問 で 移 転 され る 財 の 割 合 は,日 本12%,・ 米 国13%と な る。.・

表8事 業部間の財の移転 移転 され る財 の企 業 全 体 に た い す る パ ー セ ン ト

0タ6(移 転 な し) 1‑3%'

94‑7 8‑15 15%以

移 転 あ り,し か'し%未 記 入

2社(8%)(15タ6) 7(27)〔33%〕(20)〔23%〕

1躍 圏1瀦 訓

3(12)〔14〕1(23 .)〔27〕̀

3幽(12)i

【26社 1279社

米 国 の 数 値 は 〔17〕p。177,表B‑4よ り計 算 し た 。

(12)

52'・ 第31巻 第3・4号

1

(3)共 同的 利 用 施 設 の有 無

2つ 以 上 の事 業 部 に よ っ て 共 同 的 に 利 用 され る施 設(工 場 ・営 業 所 ・事 務 所 α

な ど)の 有 無 に つ い て の回 答 は,表9の よ うに な った 。 表9共 用施設 の有無

共用施設 あ り 共用輝設 な し

24社(92%) 2社(8%)

(ラ1%) (29%)

(4)事 業 部 問 の サ ー ビ ス の 蹄 の 有 無

事 業 部 間 に お け る サ ー ビ ス(財 務 ・会 計,EDP,技 術,,購 買 な ど)の 移 転 の 有 無 に つ い て の 回 答 は,表10り よ う に な っ た 。

表狛 事業部間の サー ビスの移 転

サ ー ビ。 の騰 あ り,社(33%)[

サ ー ビス の移 転 な し16社(67)

(55%) (45) 注:未 記 入2社 あ りq'

(5)本 社 ス タ ッ フ部 門 の ウ エ イ ト

事 業 部 で 遂 行 さ れ る も の も 含 め た 会 社 の 全 ス タ ッ フ部 門 の 費 用 予 算 ㊧ う ち, 本 社 ス タ ッ フ 部 門 の 費 用 予 算 が 何 パ ー セ ソ トに な る か を,表11に 示 す8つ の ス タ ッ フ 部 門 の そ れ ぞ れ に つ い て 尋 ね た 。 パ ー セ ソ トの 記 入 は.,前 掲 の 表5の あ い と 同 様 に,.0%,1‑29%,30‑69%,70‑99%,100%の ク ラ ス の い ず れ に な る か で 回 答 し て も ら っ た 。 こ こ で は,表5の ば あ い と 同 様 な 方 法 で 計 算

ω,⑱ 表9,1Gの 米 国 の数値 は 〔17〕p。176,表B‑2に よる。

(13)

事業部制企業に おけ る組織設計一実態調査に よる日米比較一

した 平 均 値 の み を 示 し℃ お くoな お, 入 で あ った の で,有 効 回 答 数 は22で あ る。

53

こ の 問 い に た い しては26社 中4社 が 未 記

表11本 社 ス タ ッフ部 門 の 費 用 予算 の 割 合(平 均 値) 日 本i米

P

D・業

E

62%

62 61 34 49 75 57 52

36%

78 57 37 68 43 3r

口本 の 数 値 をみ る と,8つ の 部 門 の うち 本 社 ス タ ッ フ比 率 が50彦 未 満 に な る の は,営 業 企 画 と広 告 だ け で あ る。 これ らの活 動 は 顧 客 に よ り近 接 した事 業 部 が 展 開 す るの が よ り有 効 な た め で あ ろ う。 日米 の 数 値 を 比 較 して み る と,概 て わ が 国 で は 米 国 よ りも本 社 に ス タ ッ フが 集 中 して い る。(8部 門 を 単 純 平 均 す る と,.日 本57%,米 国48%と な る∂ と くに,財 務 ・会 計,購 買,人 事 勤 労 に お い て顕 著 で あ る 。

(6)事 業 部 の 自 己 充 足 性̀・'

以 上 で は 事 業 部 の 自立 性 を 制 約 す る 要 因 を み て き た 。 以 上 の 考 察 を 裏 が え し'⑳ .

て み た も の が 事 業 部 の 自 己 充 足 性 と な る

。 た と え ば,表5に 示 す よ うに 共 通 的 販 売 部 門 の 事 業 部 へ の 平 均 的 貢 献 度 は28%で あ る が,こ の こ とを 裏 が え して み る と,販 売 職 能 に つ い て の 事 業 部 の 自 己 充 足 性 は72%(100%‑28%)で あ る

表11の 米 国 の 数値 は 〔17〕阜244,表D‑1に よ る。 米 国 の 総 務 に は法 務 と され て い る もの を と り,営 業 企 画 に はで 般 マ ー ケ テ ィソ グ ・サ ー ビス と市場 調査 サ 」 ビ ス の平 均 を と り,人 事 勤 労亭こは 労 使 関 係 と人 事 の平 均 を とった 。

ヴ ァ ソ シル は これ を職 能 的 権 限 イ ソ デ ッ クス(functionalauthorityindex) とよ んで い る。 〔17〕pp.193‑194,236.

(14)

o

54 第31巻 鄭 ・4号

とい うこ とに な る。 研 究 開 発 お よび物 流 職 能 に つ い て の事 業 部 の 自己 充 足 性 も 同 様 に して計 算 で き る。 製 造 職 能 に つ い て の事 業 部 の 自 己充 足 性 を 算 出 す るた め に は,さ らに 前 述 の(2)項で 示 した事 業 部 問 の 財 の 移 転 を 考 慮 しな けれ ば な ら な い 。 す な わ ち,わ が 国 の回 答企 業 の平 均 は,100%一 共 通製 造 部 門 の 貢献 度14

%一 事 業 部 間 の 財 の移 転 割 合12%=74%と な る 。 ス タ ッ フ活 動 に つ い て の事 業, 部 の 自己 充 足 性 も,100%一 本 社 ス タ ッ フ比 率 と して 求 め る こ とが で き る。 か

くて 整理 す る と,職 能 ご とに み た 事 業 部 の 自己 充 足 性 は 表12の よ うに な る。

表12職 能別にみた事業 部の自己充足性 i・ 剣 米 国

74%

72 65 47 43

66%

'82 64 79 54

つ ぎ に,全 職 能 を あ わ ぜ た 全 体 と して の 事 業 部 の 自 己 充 足 性 を 考 え よ う。 共 通 的 職 能 部 門 お よ び ス タ ッ フ 部 門 が す べ て の 事 業 部 に 同 じ程 度 に 貢 献 して お り,

し か も こ れ ら の5つ の 職 能 の ウ ェ イ トが 同 じで あ る と仮 定 す る な ら ば,全 体 と し で の 事 業 部 の 自 己 充 足 性 は,5つ の 職 能 に つ い て の 自 己 充 足 性 の 単 純 平 均 と し て 求 め る こ と が で き る。 事 業 部 の 全 体 と して の 自 己 充 足 性 の 分 布,平 均 値,

中 位 数,最 大 値,最 小 値 は 表13の よ うに な っ た 。

表13は こ れ ま で の 考 察 の い わ ば 総 ま と め で あ る 。 日 米 比 較 を す る と,概 し て わ が 国 の ほ うが 事 業 部 の 自 己 充 足 性 は 小 さ い の で あ る 。 な お,参 考 の た め に あ

ヴ ァン シ ル の調 査 で は,本 社 ス タ ッフ部 門 と して,表11に 示 した8部 門(注19に 記 した よ うに米 国の ば あ い は実 質 的 に は10部 門)の 他 に 不動 産 とORの2部 門が 検 討 され て い る。 上 記 の(5)項で 示 した 米 国 の本 社 ス タ ッフ部 門 の平 均 的 比 率48%は10

部 門 につ いて の もの で あ り,12部 門 の 平 均 は46%に な る。 〔17〕p244,表D‑1を 参 照 。 表12の 米 国 にお け るス タ ッ フ職 能 に つ い て の事 業 部 の 自立充 足 性 は,こ の12 部 門 の平 均 値 か ら求 めた(100%‑46%=54%)も の で あ る。

表13の 米 国 の 数値 は 〔17〕p.274,表E‑2に よ る。

(15)

事業部制企業におけ る組織 設計一 実態調査に よる日米比較一 55

表13事 業部の全体的 な自己充足性

寧己充足性(刎 本 【 米

053

、5468 69‑79 8090 9199

6社(32%) 4(21) 9(47) 0(0) 0(0)

49社(21%) 48(20) 47(20) 48(21) 42(18)

【19社 【234社

平 均 値 中 位 数 最 小 値 最 大 値

60%

67 36 79

70%

73 15 99

げ る と,米 国 のR戦 略企 業(52社)の 自己 充 足 性 は,平 均 値70鬼,中 位 数78%

と な っ て い る 。

2.管

事 業 部 を 利 益 管 理 単 位 と して 運 営 す るた め に は 種 々 の管 理 制 度 を 整 備 す る こ とが 必 要 で あ る。(1)まず,事 業 部 の業 績 評 価 基 準 を 設 定 しな け れ ば な らな い 。 (2)そ して,そ の基 準 にた い す る実 績 を 把 握 す るた めに,事 業 部 の損 益 や 使 用 資

産 額 を 算 定 で き る よ うに 会 計 制 度 を確 立 しな け れ ば な らな い 。(3)さ らに,事 部 長 の 業 績報 酬 を ど うす るか とい う問題 もあ る。

(1)事 業 部 の業 績 評 価 基 準

事 業 部 の 業 績 評 価 基 準 は 利 益 業 績 と利 益 以 外 の もの とに 大 別 す る こ とが で き る。 回 答 企 業26社 の うち,い ず れ に つ い て も事 業 部 の業 績 評 価 基 準 を と くに 定 め て い な い企 業 が1社 あ った 。 他 の25社 は 少 な く と も何 らか の か た ち の 利 益 業 績 を 評 価 基 準 と して 設 け て お り,25社 の うち18社 は 利 益 以 外 の業 績 評 価 基 準 も 用 い て い たo

〔17〕p.275,表E‑5.

(16)

56商 討 究 第31巻 第3・4号

まず,事 業 部 の 利 益 業 績 の 評 価 基 準 の候 補 と,そ れ ぞ れ を 使 用 して い る企 業 数 は 表14の よ うに な った 。2つ 以 上 の利 益 基 準 を 用 い て い る企 業 が17社,い れ か1つ の 利 益 基 準 を 用 い て い る企 業 は8社 で あ った 。 後 者 の うち6社 は 利 益 額 を 単一 の 基 準 と してお り,2社 は 利 益 目標 の達 成 率 を 単 一 の基 準 と して いたo こ の表 に 示 され て い る よ うに,最 も よ く用 い られ る評 価 基 準 は 利益 額 で あ り,̀

以 下,利 益 口標 の達 成 率,売 上 高 利 益 率 の 順 に な っ て い る。 一 艀 に は 最 も総 合 的 な評 価 基 準 と され る使 用 総 資 本 利 益 率 を 用 い て い る の は7社(28%)に す ぎ な い 。

利 益 額 を 評 価 基 準 とす る ば あ い に は,そ れ を 何 で 測 定 す るか に つ い て も質 問 した 。21社 の らち16社 か ら回 答 が え られ,表15の よ うに な った 。 利 益 額 と して は 純 利 益 を 用 い る企 業 が ほ とん どで あ り,貢 献 利 益 を 用 い る企 業 は 少 な い。

つ ぎに,利 益 以 外 の業 績 評 価 基 準 と して 用 い られ る もの は表16の よ ラに な っ 表14使 用されている利益業績の評価基 準

利 益 業 績 評 価 基 準 使用 してい る企業 数

使 用 総 資 本 利 益 率

利 益 目 標 の 達 成 率

21社 7 13 7 15

(84%) (28) (52) (28) (60)

答 企 25社

表15使 用 され て い る利 益 額 基 準 の タ イ プ

利 益 額 基 準 の タ イ プ 使用 してい る企業 数

.

5社 12

1

(31%) (75) (6)

回;答 16社

〔15〕 第14章,〔14〕 第3章 を 参 照 。

(17)

事 業部制企業におけ る組織設計一実態 調査に よる日米堵較一 57 表16利 益以外の業績評価基準

価 基 使用 している企業 数

苧 ∴ 育 繭 責

織 産 蜘 材 鞍 の

,市

12社 16

9 14 15

、7 3 3 5 5 2

(67%) (89) (50) (78) (83) (39) (17) (17) (28) (28)

回 答 企 業 1 18社

た 。 売 上 高 目標 の 達 成 率,生 産 性,コ ス ト ・ダ ウソ,売 上 高 の 成 長 率 を 評 価 基 準 とす る企 業 が 多 い 。 そ の 他 を あげ た の は2社 で あ るが,項 目 と して は あわ せ て4つ あ げ られ て お り,い ず れ も製 品 品質 を そ の他 の評 価 基 準 と して い る こ と

'

を 付 記 し て お こ う。'レ

な お,利 益 業 績 以 外 の 評 価 基 準 も用 い る ば あ い に は,利 益 を 含 め た 複 数 ゐ 評 価 項 目 の 問 に ウ エ イ トづ け が 行 な わ れ て い る か ど うか も 尋 ね た 。18社 中 ウ エ イ

トづ け も 行 な っ て い る の は7社 で あ っ た6

ヴ ァ ソ シ ル の 調 査 で は 事 業 部 の 業 績 評 価 基 準 は 質 問 項 目 に 含 め ら れ て い な い の で,こ れ に つ い て は 日 米 比 較 は で き な い 。 しか し,リ ー ス(」.S.Reece) と ク ー ル(WR・Cool)の 実 態 調 査 に よれ ば, .米国 で は 資 本 利 益 率 を 事 業 部 の 業 績 評 価 基 準 と し て い る企 業 が 多 い こ と を 指 摘 で ぎ る 。 彼 ら は,フ ォ ー チ ユ ソ 誌(1976)に あ げ ら れ た 製 造 業 上 位1,000社 に つ い て 郵 送 に よ る ア ソ ケ ー ト 調 査 を 行 な い,620社 か ら回 答 を え た 。620社 の うち594社(96%)は 利 益 セ ン

〔12〕.

/

(18)

58商 第31巻 第3・4号

タ ー(135社)ま た は 投 資 セ ン タ ー(459社)を 有 し て お り,そ し て,投 資 セ ン タ ー の 業 績 評 価 基 準 と し て 資 本 利 益 率 を 用 い る 企 業 は,427社 に 達 して い る 。 つ ま り ・ 事 業 部 制 を と っ て い る 企 業 の93%(427÷594)は 事 業 部 の 業 績 評 価 基

準 と し て 資 本 利 益 率 を 用 い て い る の で あ る 。

(2)会 計 制 度

'まず 事 業 部 の 損 益 を 算 定 す る た め の 会 計 制 度 を 考 察 し よ う。 は じめ に ,前 項 で 述 べ た 共 通 部 門 費 の事 業 部 べ の配 賦 方 法,お よび事 業 部 間 に 移 転 され る 財 や サ ー ビス の振 替 価 格 の 決 定 方 法 につ い て の 回 答 の集 計結 果 を 表17〜23に 示 し た 。 な お,わ が 国 の 回 答 の うち 「そ の他 の 方 法 に よ る」 ば あ い,そ の方 法 の 具 体 的 内 容 を み て,可 能 な とき に は他 の カテ ゴ リーに 分 類 しな お した。

表17か らわ か る よ うに,日 米 と もに,共 通 製 造 部 門 費 の振 替 は 全 部 製 造 原 価 (変 動 費+製 造 間接 費)に よ る企 業 が 多 い 。 共 通 製 造 部 門 は 利 益 責任 単位 で は な く,費 用 責任 単 位 で あ るか らで あ る。 しか し,事 業 部 の側 か らみ る と,共 通 製 造 部 門 の 非 能 率 を 負 担 させ られ るお そ れ が あ るか ら,も しで き る な らば,市

表17共 通 製造部門費の振替方法

・方 本i米

変動製造原価のみを振替え る 全部製造原価を振替 える

コス ト・プ ラス法 で振替え る

外部 の市場価 格にもとつ く振替価 格に よる その他 の方法による

0社 11

2 1 0

(0%) (79) (14) (7) (0)

(8%) (60) (11) (19) (2)

回 答 13社(記 緻14)1 124社

注:重 複 記 入1社 あ り

利 益 セ ン タ ー と 投 資 セ ン タ ー の 概 念 に つ い て は,〔14〕5‑6頁 を 参 照 。

表17,18,19,20の 米 国 の 数 値 に は そ れ ぞ れ 〔17〕pp.218‑220,衷C‑27,C‑

29,C‑26,C‑28に よ る 。 ま た 表21,22,23の 米 国 の 数 値 は,そ れ ぞ れ 〔17〕pp.

180‑181,表B‑10,B‑12,B‑11に よ る 。

(19)

事業部制企業におけ る組織設計一実態調査に よる日米比較一 59 表18共 通販売部 門費の配賦方法

本1米

実際 の販売活動時 間に もとつ いて賦課 予算上 の販売活動時間に もとつ いて賦課 按分方式に よる

振替価格制を とる

事業 部長 と販売部長 との交渉に よる その他の方法に よる

3社(23%) 2(15) 2(15) 6(46) 0(0) 0(0)

(16%) (11) (54) (13) (6) 答 企

1・ 蹴 83社

価 主 義 に よ るの が望 ま しい 。市 価 主 義 ヶ と る企 業 の 割 合 は 米 国 の ほ うが大 き い 。 表18に 示 す 共 通 販 売 蔀 門費 の 配 賦 方 法 を み る と,米 国 で は 按 分 方 式(各 事 業 部 の 売 上 高,あ る い は 売 上 原 価 を 基 準 とす る)を とる企 業 が 多 い。 これ に た ぴ して,わ が 国 で は,振 替 価 格 制 を と る企 業 が 多 い 。 振 替 価 格 制 の具 体 的 な 方 法 と して は 売 価 還 元 法 ・〔販 売 価 格 一(販 売 費+販 売 部 門 の 適 正 利 益)〕 や 販 売 手 数 料(販 売 費+販 売 部 門 の適 正 利 益)方 式 な どが あげ られ て い る。 ヴ ァソ シル の質 問 調 査 票 に は,振 替 価 格 制 とい う方 法 は な い 。

本 社 研 究 開 発 部 門 費 の配 賦 方 法 は 表19に 示 され て い る。 まず,本 社 研 究 開発 費 を 事 業 部 に 配 賦 しな い企 業 が米 国 で は27%(42÷153)も あ る こ とに注 意 し な け れ ば な らな い 。 そ の理 由 と して,本 社 研 究 開 発 部 門 は 基 礎研 究 のみ を行 な って お り,基 礎 研 究 費 の事 業 部 へ の配 賦 基 準 を 的 確 に 定 め る の が む ず か しい か らで あ る,と い うこ とが 考 え'られ る。

つ ぎ に,わ れ わ れ の 質 問 票 で は ロイ ヤ ル テ ィ方 式 と ワ ー ク ・オ ー ダ ー もシス テ ム(各 依 頼 注 文 ご とに 実 際 原 価 また は 見 積 り原 価 を 算 定 し,依 頼事 業 部 に課 .す方 法)も 別 個 の方 法 と して あ げ た6「 ワー ク ・オ ー ダ ー ・シ ス テ ム」 は 「現 実 の 利 用 量 に も とつ く賦 課 」 に近 い 方 法 で あ るの で,前 者 を 後 者 ゐ な か に 含 め て考 え る と・ 本 社 研 究 開 発 費 の配 賦 方 費 の分 布 で は 日米 は 類 似 して い る とい え よ う。 な お,「 按 分 方 式 と賦 課 方 式 との組 合 せ 」 とは,た とえ ば,基 礎 研 究 費

(20)

∂.

60商 第31巻 第3・4号

表19本 社 研究 開 発部 門 費 の 配 賦 方 法

・方

現 実 の 利用 量 に も とつ い て賦 課' 一 括 按 分 方 式 を とる

按 分 方 式 と現実 の利 用 量 に も とつ く賦 課 と の組 合 せ ロイ ヤ ル テ ィ方 式 を と る

ワ ー ク ・オ ー ダ ー ・シス テ ムを とる 事 業 部 と本 社 研究 開発 部 門 との 交渉 に よる そ の他 の 方 法 に よ る

配賦方法回答企業 数 配賦方法未記入企業 事業部に本社研究開発費 を配賦 しない企業

880300

(14%) (36) (36) (0) (14) (0) (0)

22社(100%) 1 2

(33%) (26) (35)

(3) (4)

〇4社 7 42

表20共 通物流部門費の配賦方法

現実 の利用量に もとついて賦課 予算上 の利用量に もとついて賦課 按分方式 による

按分方式 と現実の利用量にもとつ く賦課 との組 合せ その他 の方法に よる.

7社(37%) 2(11) 5(26) 3(16) 2(11)

(68%) (8) (8) (1容) (4)

答 企 19社 117社

は 按 分 方 式 に よ り,応 用 研 究 費 は 現 実 の 利 用 量 に も とつ い て賦 課 す る,と い う 方 法 を さ して い る。

表20の 共 通 物 流 部 門 費 の配 賦 方 法 につ い て は,米 国 で は 「現 実 の 利 用 量 に も とつ い て 賦 課 」 す る企 業 の 割 合 が 圧 倒 的 に 多 い こ とが 目に つ く。 わ が 国 で も こ の賦 課 の 方 法 を とる企 業 は 多 い が,按 分 方 式 もか な り多 くの企 業 で と られ て い るo・

表21に は 事 業 部 問 に 移 転 され る財 の振 替 価 格 の 決 定 方 法 が示 され て い る。 日 米 の 分 布 は 非 常 匠 よ く類 似 して い る。

参照

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