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初 年 次 教 育 に お け る 「 学 び 続 け る 教 員 養 成 プ ロ グ ラ ム 」 の 開 発
― マ イ ン ド セ ッ ト と 学 習 方 略 に 焦 点 を あ て た 少 人 数 制 教 育 ―
村上 祐介・栫井 大輔・飯田 真人・柴 恭史・髙木 悠哉・八木 利津子・Decker Warren・
大畑 昌己・今宮 信吾・山本 弥栄子・間處 耕吉・山口 聖代・鎌田 首治朗・梶田 叡一
1 . 問 題 と 目 的
1-1 教 育 大 学 に お け る 初 年 次 教 育
大 学 の ユ ニ バ ー サ ル 化( 大 衆 化 )が 進 む 昨 今 、学 士 課 程 教 育 の 質 保 証 が 注 目 さ れ て お り 、そ の 一 端 で あ る 初 年 次 教 育 は 広 く 各 大 学 に 浸 透 し て い る 。一 方 、そ の 取 り 組 み は「 多 様 化 の 多 様 化 」と も 呼 べ る 様 相 を 呈 し て お り 、今 後 は 、各 機 関 の ニ ー ズ に 特 化 し 、学 士 課 程 と の 連 続 性 を 視 野 に 入 れ た 効 果 的 な プ ロ グ ラ ム の 開 発 が 課 題 と さ れ て い る( 山 田 , 2013)。 本 研 究 の 対 象 校 の よ う な 教 育 大 学 の ニ ー ズ と し て は 、大 学 の 教 育 理 念 や 学 生 の 特 性( 基 礎 学 力 や 学 習 習 慣 、キ ャ リ ア 意 識 等 )を 踏 ま え つ つ 、即 戦 力 性 が 求 め ら れ る 昨 今 の 教 育 界 の 状 況 に 鑑 み 、教 職 の 専 門 性 に 特 徴 づ け ら れ た 初 年 次 教 育 を 展 開 し て い く こ と が 挙 げ ら れ よ う 。
そ の よ う な 教 育 実 践 の 展 開 に あ た り 、教 員 に 求 め ら れ る 資 質 や 能 力 を 整 理 し て お き た い 。第 一 に 、文 部 科 学 省( 2015a)の 答 申 に 目 を 転 じ る と 、今 後 養 成 さ れ る べ き 教 員 の 姿 と し て 、探 究 力 を 持 ち 、知 識 ・ 技 能 の 刷 新 を 絶 え 間 な く 行 う こ と の で き る「 学 び 続 け る 教 員 像 」が 提 言 さ れ た 。 社 会 の 急 激 な 変 化 の 中 で 、 既 存 の 知 識 や 技 能 が 陳 腐 化 し な い よ う 研 鑽 し 続 け る と と も に 、 そ う し た 歩 み を 止 め な い 姿 勢 が 、 子 ど も の 模 範 と な る こ と が 期 待 さ れ て い る ( 文 部 科 学 省 , 2012)。第 二 に 、「 チ ー ム と し て の 学 校 」( 文 部 科 学 省 , 2015b)の 中 に 位 置 づ く 教 員 像 も 、今 後 の 教 員 養 成 に お い て 見 据 え て い く 必 要 が あ る 。チ ー ム 学 校 を 通 じ て 、教 員 の 専 門 性 が 改 め て 問 い 直 さ れ る と 、教 職 に お け る「 教 科 ・ 学 習 指 導 の 技 術 」の 位 置 づ け は 、そ の 重 要 性 を 高 め て い く 。学 級 運 営 や 教 科 指 導 は も と よ り 、子 ど も が 十 全 に 学 習 活 動 を 展 開 で き る よ う な 、学 習 方 略 の 支 援 や 指 導 の 技 量 が 求 め ら れ る こ と が 予 想 さ れ る 。
1-2 学 び 続 け る 教 員 養 成 プ ロ グ ラ ム の 内 容 と 方 法
以 上 の こ と か ら 、今 後 の 教 員 養 成 課 程 に お け る 初 年 次 教 育 に は 、「 学 び 続 け 自 己 成 長 に 向 か
う 態 度 」 と 「 効 果 的 な 学 習 方 略 」 、す な わ ち 「 学 び の 態 度 と 技 術 を 兼 ね 備 え た 教 員 」と し て の
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基 盤 形 成 が 求 め ら れ て い る と い え よ う 。そ こ で 、こ う し た 初 年 次 教 育 プ ロ グ ラ ム の 開 発 に あ た り 、ま ず 、学 び 続 け 自 己 成 長 に 向 か う 姿 勢 の 礎 と し て 、人 間 の 能 力 に 関 す る 素 朴 信 念 で あ る「 暗 黙 の 知 能 観 / マ イ ン ド セ ッ ト 」に 着 眼 す る 。達 成 目 標 理 論 に よ れ ば 、我 々 は 、知 能 は 不 変 で あ る と い う「 実 体( 固 定 )的 知 能 観( 硬 直 マ イ ン ド セ ッ ト )」か 、知 能 は 可 塑 的 で あ る と い う「 増 大 的 知 能 観 ( 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト ) 」 を 有 す る こ と が 想 定 さ れ て お り 、 そ れ ぞ れ の 知 能 観 が 、 学 習 目 標 の 設 定 や 、 そ の 後 の 行 動 パ タ ー ン に 影 響 を 及 ぼ す こ と が 想 定 さ れ て い る ( Dweck 、 1986, 2006 今 西 訳 2016) 。 実 際 、 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト と 、 自 己 テ ス ト や 復 習 、 内 発 的 動 機 づ け の 教 育 的 効 果 へ 重 き を 置 く 傾 向 と は 関 連 が あ り ( Yan, Thai, & Bjork, 2014) 、 介 入 に よ っ て 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト に な っ た 中 学 生 ほ ど 、失 敗 時 の 改 善 意 欲 や 、困 難 克 服 の 学 習 方 略 利 用 が 向 上 す る ( 竹 橋 ・ 豊 沢 , 2017) 。 す な わ ち 、 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト を 有 し て い れ ば 、 自 己 の 改 善 す べ き 点 を 自 覚 し 学 び に 移 行 す る こ と が 予 測 さ れ 、知 識 や 技 能 の 刷 新 の よ う な 、教 員 に 求 め ら れ る 自 己 研 鑽 的 な 態 度 と の 親 和 性 も 高 い と 言 え る だ ろ う 。
次 に 、プ ロ グ ラ ム の「 学 び の 技 術 」に 関 し て は 、学 習 方 略 の 修 得 に 焦 点 を あ て る 。学 習 方 略 と は 、「 新 た な 知 識 や ス キ ル の 獲 得 、理 解 、後 続 す る 転 移 を 促 進 す る 思 考 、行 動 、信 念 、感 情 」
( Weinstein, Husman, Dierking, 2000, p.727)を 指 す 。よ り 具 体 的 に は 、「 認 知 的 方 略 」( リ ハ ー サ ル や 体 制 化 等 、自 己 の 認 知 過 程 の 調 整 )や「 メ タ 認 知 的 方 略 」( プ ラ ン ニ ン グ や 自 己 モ ニ タ リ ン グ 等 、メ タ 認 知 機 能 を 通 じ た 自 己 調 整 )な ど の「 認 知 的 側 面 」や 、動 機 づ け の 向 上 や 維 持 に 関 わ る 「 動 機 づ け 的 側 面 」 の 調 整 を 通 じ て 、 効 果 的 な 学 習 を 促 す 方 略 で あ る ( 伊 藤 , 2009) 。 大 学 生 対 象 の 調 査 ( 伊 藤 , 2009) で は 、 「 わ か ら な い 問 題 は 、 な ぜ わ か ら な か っ た の か を 考 え る 」 、「 自 分 で テ ス ト 問 題 ・ 模 範 解 答 を 作 っ て み る 」な ど 、よ り 深 い 理 解 や 情 報 処 理 に 基 づ く 効 果 的 な 学 習 方 略 は 、 単 純 な 方 略 の 半 分 に も 満 た な い 程 度 に し か 活 用 さ れ て お ら ず 、 学 校 で は あ ま り 教 わ ら な い こ と が 明 ら か に な っ て い る 。本 プ ロ グ ラ ム に お い て は 、児 童 生 徒 へ の 学 習 指 導 の 基 盤 形 成 を 念 頭 に 置 き つ つ 、学 生 自 身 が 効 果 的 な 学 習 方 略 に 習 熟 し 、自 ら の 日 々 の 学 び を よ り 効 果 的 に 展 開 で き る よ う に な る こ と を 目 指 す 。
な お 、プ ロ グ ラ ム の 実 施 に あ た っ て は 、少 人 数 制 教 育 を 導 入 す る 。マ イ ン ド セ ッ ト や 学 習 方
略 に つ い て の 議 論 の 過 程 で 、内 省 や 自 己 開 示 が 伴 う こ と が 予 想 さ れ る が 、そ う し た 営 み に お い
て は 、教 員 の フ ァ シ リ テ ー シ ョ ン の も と 展 開 さ れ る 対 話 的 で 安 心 感 の あ る 学 び の 環 境 が 肝 要 で
あ ろ う 。参 加 学 生 が よ り き め 細 や か な 支 援 を 享 受 で き る よ う 、教 員 一 名 あ た り 5 名 程 度 の チ ュ
ー ト リ ア ル ・ グ ル ー プ を 構 成 し 、 協 働 学 習 を 展 開 す る 。
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1-3 本 研 究 の 目 的
教 員 養 成 課 程 所 属 の 大 学 生 を 対 象 に 、「 学 び 続 け る 教 員 」の 基 盤 と な る 態 度 ・ 技 術 の 育 成 を 目 的 と し た 教 育 プ ロ グ ラ ム を 開 発 ・ 実 施 し 、 そ の 効 果 を 検 証 す る こ と を 目 的 と す る 。
2 . 研 究 1
2-1 目 的
大 学 初 年 次 生 を 対 象 と し た「 学 び 続 け る 教 員 」育 成 プ ロ グ ラ ム を 実 施 し 、知 能 観 、学 習 方 略 、 授 業 へ の 取 り 組 み と い っ た 指 標 を 用 い て 、 そ の 効 果 を 数 量 的 に 分 析 し 報 告 す る 。
2-2 方 法 2-2-1 参 加 者
桃 山 学 院 教 育 大 学 教 育 学 部 に 所 属 す る 1 年 次 生( 2018年 度 入 学 生 )を 対 象 と し た 。参 加 募 集 の 手 順 と し て 、ま ず 、186名 の 学 生( 入 学 者 実 数 )に 対 し て 、卒 業 必 修 科 目「 子 ど も 教 育 学 基 礎 演 習 1」 ( 初 年 次 教 育 科 目 ) の 授 業 内 で 案 内 チ ラ シ を 配 布 し 、 事 前 説 明 会 の 日 程 ア ナ ウ ン ス を 行 な っ た 。 後 日 、 事 前 説 明 会 で プ ロ グ ラ ム の 概 要 ( 目 的 や 内 容 、 ス ケ ジ ュ ー ル 、 費 用 の 有 無 、 研 究 協 力 等 )を 説 明 し 、希 望 を 募 っ た と こ ろ 、最 終 的 に 合 計 41名( 小 学 校 教 育 コ ー ス 19名 、幼 児 保 育 コ ー ス 3 名 、健 康 ・ ス ポ ー ツ 教 育 コ ー ス 19名 )が 参 加 を 表 明 し た 。な お 、以 下 の 報 告 に お い て は 、プ ロ グ ラ ム 参 加 学 生 を 介 入 群 、そ れ 以 外 の 学 生 を 統 制 群 と し 、介 入 群 の 学 生 は 参 加 率 50% 以 上 の 者 を 分 析 に 含 め る こ と と し た
1 )。 最 終 的 に は 、 介 入 群 25名 ( 男 性 13名 、 女 性 12 名 ) 、 統 制 群 107名 ( 男 性 63名 、 女 性 44名 ) を 分 析 の 対 象 と し た 。
2-2-2 プ ロ グ ラ ム の 構 成 と 実 施 時 期
参 加 希 望 者 の 提 示 し た 空 き 時 間 に 基 づ き 、所 属 コ ー ス や 性 別 、プ ロ グ ラ ム 担 当 専 任 教 員 の 空 き 時 間 や 所 属 コ ー ス 等 を 総 合 的 に 勘 案 し 、11名 の 教 員 1 名 に つ き 3 〜 5 名 の 参 加 者 を 割 り 当 て た 。プ ロ グ ラ ム は 、5 月 1 週 目 か ら 7 月 2 週 目 に わ た っ て 全 10回( 空 き コ マ 90分 ×10回 )実 施 さ れ 、 「 マ イ ン ド セ ッ ト 」 ( Dweck, 2008 今 井 訳 2016) と 「 学 習 方 略 」 ( Brown, Roediger,
& McDaniel, 2014 依 田 訳 2016; Carey, 2015 花 塚 訳 2015)の 指 定 文 献 の 輪 読 を 中 心 に 進 め
ら れ た 。Table 1 に 示 す 計 画 表 に 基 づ い て 進 め た が 、参 加 者 の 状 況 に 応 じ て 時 間 や 輪 読 範 囲 に
変 動 が 生 じ 、 一 部 の グ ル ー プ に お い て は ア カ デ ミ ッ ク ス キ ル 等 の 指 導 も 行 わ れ た 。
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Table 1 プ ロ グ ラ ム の ス ケ ジ ュ ー ル と 概 要
2-2-3 倫 理 的 配 慮
上 記 事 前 説 明 会 の 際 、「 研 究 の 目 的 」 、「 成 績 評 価 と は 無 関 係 で あ る こ と 」 、「 参 加 辞 退 の 機 会 保 証 」 、「 プ ラ イ バ シ ィ の 保 護 」 、「 相 談 窓 口 教 員 」 等 に つ い て 説 明 を 行 っ た 。 ま た 、 効 果 測 定 の た め 実 施 し た ア ン ケ ー ト に つ い て も 、同 様 の 倫 理 的 配 慮 の 事 項 を 記 載 し 、同 意 が 得 ら れ た 対 象 者 に 記 入 し て も ら っ た 。 な お 、 本 研 究 は 桃 山 学 院 教 育 大 学 の 研 究 倫 理 審 査 に 基 づ き 、 研 究 遂 行 の 承 諾 を 受 け た ( 研 究 倫 理 審 査 承 認 : 18桃 教 大 総 第 2 号 ) 。
2-2-4 質 問 紙 の 構 成
質 問 紙 の 記 入 は 、 2018年 4 月 ( プ ロ グ ラ ム 実 施 前 : T1 ) と 同 年 7 月 ( プ ロ グ ラ ム 実 施 後 : T2)の 2 回 実 施 さ れ 、い ず れ も 、初 年 次 教 育「 子 ど も 教 育 学 基 礎 演 習 1」の 授 業 内 で 一 斉 に 実 施 さ れ た 。 以 下 、 測 定 に 用 い た 項 目 を 示 す 。
(1 )フ ェ イ ス シ ー ト : 記 入 日 、年 齢 、性 別 、学 籍 番 号( 二 回 実 施 す る ア ン ケ ー ト の 照 合 の た め 必 要 で あ る こ と を 記 載 ) の 記 入 を 求 め た 。
(2 )潜 在 的 な 知 能 観 : 知 能 観 Implicit Association Test試 筆 版 (藤 井 , 2009)を 用 い た 。 得 点 が 負 の 値 を と る ほ ど 、 増 大 的 知 能 観 ( 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト ) 傾 向 が 潜 在 的 に 高 い こ と を 示 す 。 (3 )顕 在 的 な 知 能 観 : 知 能 観 尺 度 ( 及 川 , 2005) を 用 い た ( α =.783, 95%CI[.718, .835]; ω
=.788) 。 「 私 は 一 定 の 才 能 を も っ て 生 ま れ て き て お り 、 そ れ を 変 え る こ と は 実 際 に は で き な い 」 等 の 3 項 目 か ら 構 成 さ れ 、「 1 : 全 く あ て は ま ら な い 」 〜 「 6 : 非 常 に あ て は ま る 」 の 6 件 法 で 回 答 を 得 た 。 得 点 が 高 い ほ ど 、 固 定 的 知 能 観 の 傾 向 が 高 い こ と を 示 す 。
(4 )手 段 保 有 感:「 私 は 勉 強 の や り 方 を 工 夫 す る こ と が で き る 」等 の「 方 略 保 有 感 」( α =.862, 95%CI[.821, .895]; ω =.874) 3 項 目 、 「 友 人 保 有 感 」 ( α =.858, 95%CI[.816, .892]; ω
=.863) 3 項 目 を 用 い た (梅 本 ・ 田 中 , 2012)。 な お 、 友 人 保 有 感 に つ い て は 、 教 員 と の 対 話 も
時間 内容 時間 内容
1(5/7〜11) 60 1章「マインドセットとは何か」
→p.19&20等についてもディスカッション 15 付録のQ&Aに基づくディスカッション 2(5/14〜18) 75 2章「マインドセットでここまで違う」(pp.23-43; 63-75) 0 (扱わない)
3(5/21〜25) 40 3章「能力と実績のウソホント①」(pp.76-92) 40 流暢性の錯覚 『使える脳の鍛え方』(この回のみ)
1章p.18〜p.23, 5章p.122-p. 123, p.128-137 4(5/28〜6/1) 40 3章「能力と実績のウソホント②」(pp.92-106;pp.101-104) 40 分散学習①:4章「勉強時間を分散する」(pp.96-110)
5(6/4〜6/8) 40 4章「スポーツ①」※pp.107-120は予習(pp.120-136) 40 分散学習②:4章「勉強時間を分散する」(pp.110-119)
6(6/11〜6/15) 40 4章「スポーツ②」(pp.136-153) 40 想起学習①:5章「無知を味方にする」(pp.125-135,139〜143)
7(6/18〜6/22) 40 7章「教育①」(pp.252-266) 40 想起学習②:5章「無知を味方にする」(pp.144-157)
8(6/25〜6/29) 40 7章「教育②」(pp.267-282) 40 交互学習①:8章「反復学習の落とし穴」(pp.227-242)
9(7/2〜7/6) 40 7章「教育③」(pp.282-301) 40 交互学習②:8章「反復学習の落とし穴」(pp.242-259)
10(7/9〜7/13) 40 8章「マインドセットをしなやかにしよう」(pp.302-320) 40 睡眠と学習:10章「眠りながら学ぶ」(pp.301-320)
回
マインドセット 学習方略
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重 視 し 少 人 数 制 教 育 を 本 プ ロ グ ラ ム に 導 入 し て い る こ と か ら 、「 私 に は 、勉 強 に つ い て 相 談 で き る 友 だ ち や 大 学 の 先 生 が い る 」 等 、 項 目 に 「 大 学 の 先 生 」 と い う 文 言 を 追 加 し て 使 用 し た 。
「 1 : 全 く あ て は ま ら な い 」 〜 「 5 : よ く あ て は ま る 」 の 5 件 法 で 回 答 を 得 た 。
(5 )主 体 的 な 学 習 態 度 : 「 学 習 の 取 り 組 み ( 行 動 的 エ ン ゲ ー ジ メ ン ト ) 」 (梅 本 ・ 田 中 , 2012) の 4 項 目 を 用 い た ( α =.798, 95%CI[.742, .844]; ω =.799) 。 「 私 は 学 校 で 頑 張 っ て 勉 強 し て い る 」 等 に つ い て 、 「 1 :あ て は ま ら な い 」 〜 「 5 :あ て は ま る 」 の 5 件 法 で 回 答 を 得 た 。 (6 )学 習 方 略 尺 度 : 本 プ ロ グ ラ ム で 習 得 を 目 指 す 学 習 方 略 に 特 化 し 、① 想 起 練 習 :「 勉 強 す る と き 、 教 科 書 な ど か ら 目 を 離 し 、 学 ん だ 内 容 が 身 に つ い て い る か 自 問 す る 」 「 勉 強 す る と き 、 学 習 内 容 に 関 す る ク イ ズ ( 問 題 ) を 自 分 で 作 る 」 、 ② 分 散 ( 間 隔 ) 練 習 :「 テ ス ト の 日 程 に 応 じ て 勉 強 す る 回 数 を 複 数 回 に 分 け 、そ の 都 度 学 習 内 容 を 思 い 出 し た り 、勉 強 し 直 し た り す る 」、
「 テ ス ト の 勉 強 は 、 前 日 ・ 当 日 と い っ た 試 験 直 前 に ま と め て 行 う 」 、③ 交 互 練 習 :「 勉 強 す る と き 、 ま ず は 一 種 類 の 暗 記 事 項 や 解 法 、 単 元 を 一 通 り 勉 強 し て か ら 、 次 の 学 習 内 容 に 移 る 」 、
「 勉 強 す る と き 、『( 数 式 )解 法 の 違 う 問 題 を 代 わ る が わ る 解 く 』 と い う よ う に 、 複 数 の 種 類 の 問 題 や 暗 記 事 項 、 単 元 を 織 り 交 ぜ て 取 り 組 む 」 、 ④ 流 暢 性 の 錯 覚 :「 勉 強 す る と き 、 ノ ー ト や 教 科 書 の 大 事 な 箇 所 に 印 を つ け 、短 期 間 に 何 度 も 目 を 通 し た り 、書 き 写 し た り す る だ け の こ と が 多 い 」「 勉 強 す る と き 、大 事 な 箇 所 を 繰 り 返 し 読 む だ け で 、し ば ら く す る と 覚 え て い な い こ と が あ る 」、⑤ 睡 眠 :「 勉 強 時 間 の 確 保 に 追 わ れ 、自 分 が 必 要 だ と 感 じ る 睡 眠 時 間 が 十 分 と れ て い な い 」 「 学 ん だ こ と を 身 に つ け る た め に 、 昼 寝 や 睡 眠 の 時 間 を 意 識 的 に 確 保 し て い る 」 を 作 成 し た 。こ れ ら の 項 目 に 対 し て 、探 索 的 因 子 分 析 を 行 っ た と こ ろ 、妥 当 な 因 子 的 収 束 が 確 認 さ れ な か っ た た め 、変 化 量( T2-T1)に 対 し て 主 成 分 分 析 を 行 い 、第 一 、第 二 主 成 分 得 点 を 分 析 対 象 と し た 。
( 7 )プ ロ グ ラ ム 全 体 の 評 価:プ ロ グ ラ ム 最 終 回 に 実 施 し た 。① 参 加 回 数 と ② 満 足 度(「 1 :不 満 足 」 〜 「 10: 満 足 」 ) の ほ か 、 ③ 満 足 度 の 理 由 、 ④ 改 善 点 ( 表 記 ミ ス に よ り 、「 ① の 得 点 が 上 が る と し た ら 、具 体 的 に ど の よ う な 点 が 変 わ っ て い る で し ょ う か ? 」と い う 質 問 の 設 定 に な っ た が 、 本 来 は 「 ② 満 足 度 向 上 の た め の 改 善 点 」 を 尋 ね る こ と を 意 図 し た ) に つ い て 尋 ね た 。
2-3 結 果 と 考 察
2-3-1 プ ロ グ ラ ム の 効 果 測 定
各 指 標 の T2の 値 か ら T1の 値 を 除 し た 値 ( 変 化 量 ) を 従 属 変 数 に 、 実 施( 介 入 ・ 統 制 )条 件 を
独 立 変 数 と し た 分 散 分 析 を 行 な っ た ( Figure 1 A〜 1 F) 。
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Figure 1 各 従 属 変 数 ( 変 化 量 ) の 群 ご と の 値 注 ) エ ラ ー バ ー は 標 準 誤 差 を 示 す 。
( 1 ) 潜 在 的 知 能 観 : 介 入 群 ( M = -2.13, SME = .94) よ り 、 統 制 群 ( M = -4.23, SME = .46)
が 、 介 入 前 後 で よ り 増 大 的 知 能 観 に 変 化 し て い た ( F[1, 122] = 4.02, p = .047; d = -.453[-.90, -.01]) 。 両 条 件 と も 増 大 的 知 能 観 の 増 加 が み ら れ た が 、 そ の 差 は 統 制 群 の 方 が 顕 著 で あ っ た 。
( 2 ) 顕 在 的 知 能 観 : 介 入 群 ( M = -.17, SME = .60) と 統 制 群 ( M = .58, SME = .29) で 差 が あ る と は 言 え な か っ た ( F[1, 125] = 1.28, p = .261; d = .254[-.19, .70]) 。
( 3 ) 手 段 保 有 感 : 方 略 保 有 感 に つ い て 、 介 入 群 ( M = .16, SME = .34) と 統 制 群 ( M = .48, SME = .16 ) の 値 に 差 が あ る と は 言 え な か っ た ( F[1, 130] = .71, p = .400; d
= .187[-.25, .62]) 。 友 人 保 有 感 に つ い て も 、 介 入 群 ( M = .24, SME = .36) と 統 制 群 ( M
= .19, SME = .18 ) で 差 が あ る と は 言 え な か っ た ( F[1, 129] = .02, p = .899; d = -.028[-.46, .41])
( 4 ) 行 動 的 エ ン ゲ ー ジ メ ン ト : 介 入 群 ( M = -.65、 SME = .42) と 統 制 群 ( M = -.33, SME
= .20)の 値 に 差 が あ る と は 言 え な か っ た( F[1, 126] = .47, p = .494; d = .157[-.29, .61])。
( 5 )学 習 方 略 尺 度 : 変 化 量 に 対 す る 主 成 分 分 析 の 結 果 、第 一 主 成 分 は 解 釈 が 難 し か っ た 。第 二 主 成 分 の 主 成 分 負 荷 量 は 高 い も の か ら そ れ ぞ れ 、「 ク イ ズ の 自 作( -.539)」、「 重 要 箇 所 に 目 を 通 す だ け で 覚 え て い な い( .470)」「 複 数 の 種 類 の 内 容 の 交 互 学 習( -.429)」、「 理 解 度 の 自 問( -.358)」で あ り 、「 流 暢 性 の 錯 覚 」を 示 唆 す る 項 目 が 集 約 さ れ た 。そ こ で 、第 二 主 成 分 得 点 を 従 属 変 数 に 、介 入 条 件 を 独 立 変 数 と し た 分 散 分 析 を 行 な っ た 結 果 、介 入 群( M = -.39,
-2.5 -1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5 顕 在 的 知能 観( 変化 量)
群
統制 介入
B -2.5
-1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5 方略 保 有感(
変化 量)
群
統制 介入 C
-2.5 -1.5 -0.5 0.5 1.5 2.5 友 人 保 有 感( 変 化 量)
群
統制 介入
D -5
-4 -3 -2 -1 0 潜 在 的知 能 観( 変化 量)
群
統制 介入 A
p = .047
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SME = .24) よ り 、 統 制 群 ( M = .15, SME = .12) の 第 二 主 成 分 得 点 が 低 か っ た ( F[1, 128] = 4.06, p = .046; d = .446[.01, .88]) 。 プ ロ グ ラ ム に よ っ て 、 流 暢 性 の 錯 覚 に 陥 ら な い よ う 、 ク イ ズ の 自 作 等 「 望 ま し い 困 難 」 を 学 習 方 略 に 用 い る よ う に な る こ と が 示 唆 さ れ た 。 2-3-2 プ ロ グ ラ ム の 満 足 度
満 足 度 の 平 均 評 定 は 7.07( SD = 2.60)、 回 答 者 の 平 均 参 加 回 数 は 7.4回 だ っ た ( n = 28) 。 満 足 度 の 肯 定 的 な 理 由( Table2 )と し て 、役 立 つ 指 導 法・勉 強 法 等 に 関 す る「 新 規 知 識 の 獲 得 」、
文 章 表 現 や 口 頭 表 現 等 の「 ア カ デ ミ ッ ク・ス キ ル の 獲 得 」、考 え 方 や 心 情 の 変 化 を 示 唆 す る「 自 己 成 長 」 の 記 述 の ほ か 、「 学 び に 向 か う 姿 勢 の 向 上 」 や 、「 教 員 と の 関 係 性 の 構 築 」 、「 他 者 と の 交 流 」と い っ た 対 人 関 係 面 に 関 す る 記 述 も 得 ら れ た 。一 方 、否 定 的 な 理 由 に は 、「 期 待 と の 相 違 」 、「 活 動 の 単 調 さ 」 、「 効 果 の 乏 し さ 」 と い っ た 内 容 面 に 関 す る 記 述 の ほ か 、 所 属 し た「 グ ル ー プ 構 成 」 、 正 課 授 業 等 の 過 密 さ か ら「 日 程 面 の 折 り 合 い 」等 の 記 述 が 得 ら れ た 。な お 、質 問 の 表 記 ミ ス が あ っ た こ と か ら 、適 切 な 回 答 が 得 ら れ な か っ た 可 能 性 が あ る が 、改 善 点 と し て は 、「 説 明 会 で の 告 知 方 法 」 、「 回 数 ・ 時 間 の 縮 小 」 、「 内 容 の 精 査 ( 学 び た い 箇 所 を 重 点 的 に 深 く 扱 う )」、「 関 係 性 の 親 密 化 」、「 海 外 プ ロ グ ラ ム の 実 施 」等 の 記 述 が 得 ら れ た 。
Table 2 プ ロ グ ラ ム の 満 足 度 の 理 由 に 関 す る 自 由 記 述
カテゴリー ラベル 記述例
肯定的理 由
新規知識の獲
得 ・普段読まない系統の本を読むことができる。
・普段の生
活(勉強)に役立つ知識が、使用
された教材に記載されていたため。
・指導法や勉強方法について知る事が出来て自分のためになる一方、単調で少しつまらなさを感じる時もある。
・知らないことが一日に5個くらい学べて、行きたくない日がなかった。
・普段の授業の中で得られない価値観を獲
得できました。
アカデミック・ ・最初は輪読だけで楽しくなかったけど、最後の方はレポートの書き方や実習の報告書の仕方の勉強をさせてもらえてよかった。
スキルの獲
得 ・本を読んで皆に伝わるように、話をまとめる事の重要性を理
解できました。
学びに向かう姿勢の向上 ・初めの時より勉強する意識が変わった。良い経験になった。
・今までの考えが覆され勉強することに対する考え方を見直すことができた。自分の考え方によって能力の向上を 増進することができるということを学び実践しようと思えたから。
・とてもためになった。とくにマインドセットは今までの自分の考えや行動をふりかえり、反省できるすごくいい機会だった。
なにより、勉強する意欲がすごく向上しました。
自己成長 ・自分の考え方をかえることができる。
・自由
に発言できて、少し力と勇気がでるようになった。
教員との関係性の構築 ・チューターではない先生
とも繋がりを持てたのは良かった。
・先生
と侍プロジェクト以外のことに関して色々話せたのは良かった。違う人の考え方を知ったり、今後どんなことに 時間を使うべきか想像したりできた点が良かった。
・担当の先生
がよかった。
・教育採用
試験のことなど、何をしたら良いかわからないことも、これをしておいた方が良いということを教えて下さるから。
他者との交流 ・みんなといろいろな話ができて、仲が深まった。
・自分にとって学ぶものがありプラスになっているから。みんなで協力してできるし、いろいろな意見交換もでき 自分で理
解してそれを伝える国語力も培うことができるから。
否定的理 由
期待との相違 ・マインドセットの話に興味が湧かなかったから。
・文章を読んでそのことについて考えるのは普通の授業でもできるし、「十一人の侍大作戦」という少人数ならでは のことを出来ると期待していたので、少し思ってたのと違う感じがした。
活動の単調さ ・ただ読んで話をするだけだったので。
・満足してしまうと、そこから先への発展がないと思う。
効果の乏しさ ・自分のためになっているのかがわからないから、眠たくなってしまう。
・本の輪読は、正直意味があったのかなと思う部分もある。読んだ後、それをどこまで考える事ができるか、自分事として 捉えていくかが大切だと思うが、私はそこまで出てきておらず、何かを得た感はあまりないように思う。
グループ構成 ・雰囲気に馴染めなかったから。
・人数が少なく、話し合い、意見の共有ができなかった。
日程面の折り合い ・実習の報告会が3回、補講があったりと、参加できない時が多かった。これにより、プログラムへの参加が減った。
・少し、学校生
活で忙しくなって、空きコマがあまりないので、毎週あるのがキツかったです。
注)文意を歪めない程度に成文化している。
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3 .研 究 2
3-1 目 的
プ ロ グ ラ ム 参 加 者 へ の フ ォ ロ ー ア ッ プ 調 査 を 行 い 、 質 的 分 析 の 結 果 を 報 告 す る 。
3-2 方 法 3-2-1 対 象 者
後 期 デ ィ ベ ー ト・プ ロ グ ラ ム へ の 参 加 を 表 明 し た 大 学 生 14名( 前 期 か ら の 継 続 参 加 )の う ち 、 前 期 プ ロ グ ラ ム の 出 席 率 が 80%以 上 の 11名 と し た 。 初 年 度 の 予 備 的 実 施 で あ っ た こ と に 鑑 み 、 プ ロ グ ラ ム に 積 極 的 に 参 与 し 全 体 像 を 把 握 し て い る 参 加 者 か ら 、そ の 効 果 や 改 善 点 を 探 索 的 か つ 多 角 的 に 明 ら か に す る こ と を 意 図 し た た め で あ る 。
3-2-2 手 続 き
イ ン タ ビ ュ ー は 、 前 期 プ ロ グ ラ ム が 終 了 し て か ら 約 4 カ 月 後 の 2018年 11・ 12月 に 行 わ れ た 。 1 対 1 の 半 構 造 化 形 式 で 実 施 さ れ 、 前 期 プ ロ グ ラ ム の 「 教 員 -学 生 」 の 組 み 合 わ せ に な ら な い よ う 、5 名 の 教 員 が 、一 人 あ た り 2 〜 3 名 の 大 学 生 を 対 象 に 個 人 研 究 室 で 面 接 を 行 な っ た 。イ ン タ ビ ュ ー 開 始 時 に 、 「 研 究 の 目 的 」 「 プ ラ イ バ シ ー の 保 護 」 、 「 回 答 の 拒 否 ・ 中 断 の 権 利 」 に つ い て 口 頭 で 説 明 し た 。ま た 、ICレ コ ー ダ ー に よ る 音 声 記 録 の 許 可 を 得 、音 声 デ ー タ か ら の 書 き 起 こ し に お い て は 個 人 名 を 表 記 せ ず 個 人 情 報 に 配 慮 し た 。内 容 は( 1 )参 加 し て よ か っ た 点 、( 2 ) 日 常 生 活 で の 活 用 、( 3 ) 次 年 度 の 新 入 生 へ の 推 薦 、( 4 ) 改 善 点 、 と い う 4 つ の 項 目 を 中 心 に 回 答 を 求 め た 。 な お 、( 1) ・ ( 2) に つ い て は 、「 参 加 し て 良 か っ た な 、 と 感 じ た こ と が も し あ れ ば 、具 体 的 に 教 え て も ら え ま す か 」等 の 質 問 で 、回 答 が 誘 導 的 に な ら な い よ う 配 慮 し た 。 イ ン タ ビ ュ ー 時 間 は 平 均 30分 で 、 謝 礼 と し て Quoカ ー ド 1000円 分 を 渡 し た 。
分 析 に あ た っ て は 、 プ ロ グ ラ ム の 効 果 と 課 題 を 探 索 的 に 明 ら か に す る と い う 目 的 に 照 ら し 、
既 存 の 概 念 や 分 析 枠 組 み に デ ー タ を 還 元 す る の で は な く 、デ ー タ に 即 し た 分 析 カ テ ゴ リ ー を 生
成 す る 質 的 コ ー ド 化 の 手 法 ( Coffey & Atkinson, 1996) を 参 考 に し た 。 分 析 手 順 と し て は 徳
田( 2004) と 山 田 ( 2011)を 参 考 に 、 ま ず 内 容 や 語 り の 特 徴 に 沿 っ て デ ー タ を 区 分 し 、 そ こ に
適 宜 ラ ベ ル を 与 え コ ー ド 化 し た 。 次 に そ れ ら の ラ ベ ル に つ い て 繰 り 返 し デ ー タ 間 の 比 較 を 行
い 、各 語 り の 類 似 性 と 差 異 か ら 個 々 の ラ ベ ル を 整 理 、統 合 す る カ テ ゴ リ ー を 生 成 し た 。そ し て 、
生 成 し た カ テ ゴ リ ー は 、再 度 デ ー タ に 立 ち 戻 っ て 検 討 す る た め に 、デ ー タ 、ラ ベ ル 、カ テ ゴ リ
ー の 整 合 性 、お よ び 各 カ テ ゴ リ ー の 名 称 の 適 切 さ を 検 討 す る こ と に よ っ て 洗 練 さ せ た 。分 析 の
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補 助 ツ ー ル と し て 、質 的 デ ー タ 分 析 の ソ フ ト ウ ェ ア で あ る MAXQDA2018を 用 い 、コ ー ド 化 の 過 程 を 可 視 化 し た 。ま た 、一 連 の 分 析 は 第 二 著 者 が 中 心 に 行 い 、第 一 著 者 と 適 宜 協 議 を 行 な う こ と で 、 主 観 的 な 解 釈 を 極 力 排 除 し 妥 当 な 分 析 結 果 と な る よ う 配 慮 し た 。
3-3 結 果 と 考 察
カ テ ゴ リ ー 化 の 過 程 で 3 つ の カ テ ゴ リ ー と 9 つ の ラ ベ ル を 作 成 し た( Table 3 )。3 つ の カ テ ゴ リ ー は そ れ ぞ れ【 プ ロ グ ラ ム の 直 接 的 効 果 】【 プ ロ グ ラ ム の 間 接 的 効 果 】【 課 題 】で あ る 。 以 下 カ テ ゴ リ ー ご と に 結 果 を ま と め て い く 。
( 1 ) プ ロ グ ラ ム の 直 接 的 効 果
こ の カ テ ゴ リ ー は < 新 規 知 識 の 習 得 > 、< 効 果 的 な 学 習 方 略 の 活 用 > 、< マ イ ン ド セ ッ ト の 意 識 化 > の ラ ベ ル か ら 生 成 さ れ た 。こ の カ テ ゴ リ ー は プ ロ グ ラ ム が 意 図 し た 直 接 的 な 習 得 目 標 を 、 学 生 が 学 修 し た こ と を 示 唆 す る 語 り か ら 構 成 さ れ た 。
ま ず 、 < 新 規 知 識 の 習 得 > に は 、 Table 3 の A- ① 〜 ③ ( 以 下 、 〇 ― 〇 は Table 3 の 語 り を 表 す ) の よ う に 、 プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 、 新 た な 事 柄 を 学 べ た こ と に 関 す る 語 り が 含 ま れ た 。
次 に 、< 効 果 的 な 学 習 方 略 の 活 用 > に つ い て は 、想 起 学 習 、分 散 学 習 、交 互 学 習 な ど 、プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 学 ん だ 効 果 的 な 学 習 方 略 を 日 頃 の 勉 強 ( B- ① 〜 ② ) や 、 教 員 採 用 試 験 の 模 擬 試 験 の 勉 強 で 実 際 に 試 し 、 そ の 効 果 を 実 感 し た こ と ( B- ③ ) に 関 す る 語 り が 得 ら れ た 。 一 方 で 、学 習 方 略 を 活 用 す る 機 会 は 少 な い も の の 、自 身 の 学 習 方 略 を 振 り 返 る こ と が で き た こ と に つ い て 満 足 を 示 す 語 り ( B- ④ ) も あ っ た 。 日 常 の 学 習 場 面 に 、 プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 学 ん だ 方 略 を 応 用 す る 機 会 を 設 け る こ と が 、 学 生 の 深 い 学 び に つ な が る こ と が 示 唆 さ れ た 。
最 後 に 、< マ イ ン ド セ ッ ト の 意 識 化 > に つ い て は 、失 敗 を 恐 れ ず( C- ① )、困 難 な 状 況 で も 心 を 落 ち 着 か せ ( C- ② ) 、 自 身 の 改 善 点 を 振 り 返 ら れ る( C- ④ )よ う に な っ た こ と に 、マ イ ン ド セ ッ ト の 学 習 が 寄 与 し た こ と を 示 唆 す る 語 り が 得 ら れ た 。一 方 、「 自 分 も し な や か マ イ ン ド セ ッ ト の 心 の 持 ち 方 を ず っ と で き る よ う な 人 間 に な り た い と 思 い ま し た け ど 、ま あ で も 、と て も そ れ は 難 し い こ と や と は 思 い ま す ね 」と 、自 ら の マ イ ン ド セ ッ ト の 根 本 的 な 変 化 に は 懐 疑 的 な 参 加 者 も い た 。
( 2 ) プ ロ グ ラ ム の 間 接 的 効 果
こ の カ テ ゴ リ ー は < 教 職 へ の 応 用 > < 他 者 理 解 > < 交 友 関 係 の 拡 大 > の ラ ベ ル か ら 生 成 さ
れ た 。学 生 が 、プ ロ グ ラ ム へ の 参 加 を 、自 ら の 成 長 に 資 す る も の で あ っ た と 感 じ た こ と を 示 唆
す る 語 り か ら 構 成 さ れ 、 プ ロ グ ラ ム の 間 接 的 あ る い は 波 及 的 な 効 果 を 示 唆 す る も の で あ っ た 。
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Table 3 プ ロ グ ラ ム の 成 果 に 関 す る カ テ ゴ リ ー 、 ラ ベ ル 、 語 り の 概 要 の 一 覧
ま ず 、 < 教 職 へ の 応 用 > に つ い て は 、 D- ① 〜 ③ の よ う に 、 学 生 が 教 師 に な っ た と 仮 定 し た と き に 、自 身 の 子 ど も 理 解 ・ 指 導 に 、マ イ ン ド セ ッ ト の 内 容 が 活 用 で き る と い う 語 り が 得 ら れ た 。ま た 、小 学 校 教 諭 の 経 験 者 が フ ァ シ リ テ ー タ ー で あ っ た こ と か ら 、教 職 に 役 立 つ 情 報 が 得 ら れ た こ と を プ ロ グ ラ ム の 利 点 と 捉 え た 者 も い た( D- ④ )。こ の 他 、「 文 章 を 読 ん で 内 容 を ま と め て 他 者 に 伝 え る こ と 」 や 「 授 業 で 特 に 大 事 な ポ イ ン ト を 見 極 め 、 メ モ を 取 る こ と 」 な ど 、 プ ロ グ ラ ム を 通 じ て 習 得 し た ア カ デ ミ ッ ク ス キ ル と 、そ の 教 職 上 の 有 用 性 に つ い て の 語 り も 得
【カテゴリー】 <ラベル> 語りの概要
A:新規知識の習得 ①:だれかと喋る時とかに、まあちょっと豆知識的な感じで喋ったりとかで。
②:マインドセット(略
)を初めてこの本を読んで知って、(略
)新しい事を知っていけた事が一番
のところかなあ、
と思います。
③:勉強法(略
)こういう勉強の仕方してたけどあかんかったぁ、みたいな、そういう話になって盛り上がってました。
B:効果的な学習方略
の活用 ①:まあ、勉強でいうたら(略
)やっぱテストすることが大事みたいなんを書いてあったんで、暗記する際は必ずちょっと 覚えてテスト、ちょっと覚えてテストみたいなんを繰り返しましたね。
②:自分、反復練習とか何回も同じことをしないと覚えられないんで、この教科書に書いてた通り、(略
)同じとこばっかり するんじゃなくて、ちょっとずつ変えながら、ずっとやったりとか、してました。
③:一般[教員採用
試験関連の模擬試験]の正答率
が、まあ比較的よかった。体感的には、まあ半分くらい取れてて、そう ですね。勉強した内容がああ、活かされてるなあ、っていう。
④:なんか大学に入ってから、あんまり暗記のテストがないからそんなに活用
はできてないんですけど。でも、なんかまあ、
そんなに詰め込んでやるのがいいのかとか、そうやって考えれたのはよかったかなと思います。
C:マインドセットの 意識化
①:失敗しても、なんですか、命に別状
ないじゃないですけど。特
になんもないんやからまあ、間違えちゃえみたいな。
いけぇい、みたいな。いう感じですかね、ザックリ言うと
②:ポジティブな考え方して、みたいなこと書いてあったじゃないですか。人との関わり方とかも、そういうことやっぱ、
ぱっと思い出して、ああよかったなって思ったことあります。本のこと思い出して、まあちょっと落ち着いて考えて。
③:やっぱ気持ちしっかりしてたら勉強とかもついてくるんかなぁと思ったんで、結構自分の中ではマインドセットが心に 残っています。
④:人のせいにしてるだけやんみたいなとかも良く言われてたんですけど、(略
)侍やってる間とか、終わってからも、なんか 失敗、人のせいにするんじゃなくて、自分のここが悪かったんやって言うのを、考えるようにはなりました。
プログラムの
間接的効果 D:教職への応用 ①:生
徒を持つって考えたときに、生
徒にもそう見られないといけないと思いますし、逆に生
徒のことをあの、立体的に
見ないといけないと思うんでそこは繋がると自分は今思っています。
②:部活動とかの顧問もするだろうし、体育の先生
として、指導もするだろうから、その時は、その本に書いてあった、
子どもを思って、やるっていうのを意識していけたらなっていうのを考えるようになりました。
③:少女が(略
)習い事を辞めたいみたいな感じのあれで、叱ることなく、その自分のやりたい方に導くっていう方法をその 本で読んで。自分の子どもだけじゃなく、その先生
になった時とかの、に、生
徒にもそういう接し方、はいいのかなって(略 )
④:むこう[ファシリテーター]も小学校の先生
で、こっちも目指してる身やから、こう、そういう得すること[ボランティア活動 等]よく聞けたりとか、(略
)まあ普通の授業とかでは聞けないとこも先生
と関われて聞けたし。すごいよかったなあって。
E:他者理
解 ①:一番
は、意識することが変わるなっていうのが一番
感じました。自分自身の物
の見方とか、人の意見に対する、捉え方、考え 方が、変わったように、自分で思えるので。
②:輪読して(略
)途中で、(略
)全員から意見を絶対出す、っていうのをやってて(略
)他人の意見も聞けるから(略
)この 人にとったらこういう見え方(略
)をしてるんだっていうのが(略
)おんなじ文章読んでても、受け取り方が違うかったり F:交友関係の拡大 ①:あんま関わったことない先生
と喋れるようになったから、まあ○先生
とかも●先生
とかも、(略
)小学校とは関わりが 少ない先生
やから。先生
と喋れるようになって良かったかなみたいな。
②:毎週行っての楽しみが、まあ人と会えるっていうのもあるし、そういうグループになったからこそ、仲良くなれた。まあ、
友達もできて、そ、そこのグループみんなでこう、学んでいくっていうのが良かったかなぁと思います。
③:親睦を深めれたって感じが、なんかみんなで頑張っていこうねみたいな雰囲気がよかったかなって思いました。
課題 G:難易度・分量 ①:内容難しかったなって。言ってる事はわかるけど、行動に移すために、自分がどうしたらいいんかが分からんかった ところもあるから。
②:内容が多かったかな。(略
)二冊本があったっていうのがあると思うんですけど、おおざっぱに進めてたんで。まあ、今度 からもうちょっと余裕を持った感じにした方がいいかなとは思いました。
H:教員との マッチング
①:いろんな先生
のところにいけるようなシステムだったりとか、まあメンバー固定も、まあ、ちゃんと話し合えていいメンバー やったらいいけど、まあ、1人になっちゃったりとかしたら、もぉどうしようもないから(略
)
②:先生
によって全然やり方が違うから、なんかある程度は、(略
)基盤みたいなところは、みんなで共有してもらって、その うえに、先生
のオリジナルを加えてやってもらったら、いいんじゃないかなって思います。
I:グループ構成 ①:やっぱ自分たち全員同じクラスやったんで、やっぱちょっとそこがあれやったなっと。もっと別のクラスやったらもっと 違うやり方とか(略
)
②:結構話盛り上がるグループやったんですよ。でも、なんか聞いてると、多分こっちの方が盛り上がってるんやろうなって 思うグループもあったんですよ。(略
)楽しいけどなぁとか思いながら。そんな違うんかなぁって、グループによってね。
プログラムの 直接的効果
注:下線部ならびに[ ]は筆者による。
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ら れ た 。こ の ラ ベ ル で は 、教 職 を 遂 行 す る う え で 将 来 的 に 役 立 ち 得 る 知 見 を 学 ん だ 様 子 が 示 唆 さ れ 、 特 に 、 マ イ ン ド セ ッ ト の 観 点 か ら 教 育 に つ い て 考 え た 語 り が 多 く 得 ら れ た 。
< 他 者 理 解 > の ラ ベ ル で は 、マ イ ン ド セ ッ ト に つ い て 学 ぶ こ と に よ っ て 、日 頃 の 意 識 の あ り 方 、と り わ け 他 者 を 積 極 的 に 理 解 し よ う と す る 心 性 が 賦 活 さ れ る こ と が 示 唆 さ れ た( E- ① )。
一 方 、本 プ ロ グ ラ ム で は 、少 人 数 制 の 協 働 学 習 を 展 開 し た が 、輪 読 を 通 じ て 多 様 な 意 見 に 触 れ る こ と が 他 者 理 解 を 促 進 す る 様 子 も 確 認 さ れ 、グ ル ー プ( 集 団 )の 影 響 を 示 唆 す る 語 り も 得 ら れ た 。
< 交 友 関 係 の 拡 大 > は 、日 頃 接 触 の 少 な い 別 コ ー ス の 教 員 や 学 生 と 関 わ り 、学 友 が 得 ら れ た こ と を 肯 定 的 に 捉 え る 語 り か ら 構 成 さ れ た 。ま た 、あ る 参 加 者 は 、教 員 の 雑 談 や 経 験 談 な ど「 先 生 の 伝 え て く れ た 言 葉 の 方 が 大 き く 残 っ て る 」と 語 る な ど 、フ ァ シ リ テ ー タ ー か ら の 影 響 を 受 け た こ と を 示 唆 す る 語 り が 得 ら れ た 。プ ロ グ ラ ム へ の 関 与 度 が 高 か っ た 学 生 に と っ て は 、教 員 や 同 じ 志 を 持 っ た 仲 間 に 出 会 え る 場 に な っ て い た と 言 え る 。
( 3 ) 課 題
こ の カ テ ゴ リ ー は < 内 容 の 難 易 度 > < 教 員 と の マ ッ チ ン グ > < グ ル ー プ 構 成 > の ラ ベ ル か ら 生 成 さ れ た 。 学 生 が 感 じ た 本 プ ロ グ ラ ム の 課 題 に 関 す る 語 り で あ る 。
ま ず 、< 内 容 の 難 易 度・分 量 > に つ い て 、文 献 の 難 易 度 が 高 く( G- ① )、ま た 分 量 が 多 い こ と か ら ( G- ② ) 、 余 裕 を も っ て 内 容 を よ り 深 く 理 解 で き る よ う な 進 行 を 希 望 す る 語 り が 得 ら れ た 。プ ロ グ ラ ム の 直 接 的 効 果 で あ る < 新 規 知 識 の 習 得 > を は じ め 、当 該 プ ロ グ ラ ム の 学 習 内 容 は 参 加 者 の 一 部 に と っ て 有 益 で あ っ た こ と は 上 記 に 示 し た 通 り だ が 、そ う し た 学 習 内 容 へ の 関 心 の 高 さ 故 に 、一 部 の 参 加 者 に お い て は 、難 易 度 と 分 量 の 面 か ら 消 化 不 良 感 を 抱 い た の か も し れ な い 。
< 教 員 と の マ ッ チ ン グ > < グ ル ー プ 構 成 > は 、フ ァ シ リ テ ー タ ー や メ ン バ ー な ど 集 団 構 成 に 伴 う 課 題 だ っ た 。< 他 者 理 解 > や < 交 友 関 係 の 拡 大 > で は 、日 頃 関 わ り が 稀 な 他 者 と の 継 続 的 な 少 人 数 制 協 働 学 習 が 、参 加 者 の 学 習 に 肯 定 的 な 影 響 を 与 え て い た こ と が 示 唆 さ れ た 。そ の 反 面 、グ ル ー プ に よ っ て は 、プ ロ グ ラ ム 外 で も 交 友 関 係 が あ る メ ン バ ー 構 成 と な り( I- ① )、参 加 者 が 集 ま ら ず ( H- ① ) 、 盛 り 上 が り に 欠 け る ( I- ② ) な ど 、 こ う し た こ と も 一 因 と な り 、 他 の グ ル ー プ や 教 員 と の 関 わ り を 希 求 す る 語 り が 得 ら れ た 。
以 上 の 結 果 を 受 け 、本 プ ロ グ ラ ム( 2018年 度 実 施 )の 成 果 や 課 題 を モ デ ル 化 し た も の が Figure 2 で あ る 。
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Figure 2 「 学 び 続 け る 教 員 」 育 成 プ ロ グ ラ ム ( 2018年 度 ) の モ デ ル
本 プ ロ グ ラ ム を 通 し て 参 加 学 生 は 、「 効 果 的 な 学 習 方 略 」 と 「 マ イ ン ド セ ッ ト 」 、「 教 職 へ の 応 用 」が 可 能 な 知 識 を 新 規 に 修 得 し た 。学 習 方 略 は 、実 際 に 活 用 す る こ と で 、よ り 深 い 理 解 が も た ら さ れ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ 、マ イ ン ド セ ッ ト は 、自 己 理 解 の み な ら ず 、日 常 生 活 に お け る 他 者 理 解 、あ る い は 将 来 的 な 子 ど も 理 解 を 促 進 し 得 る こ と が 示 唆 さ れ た 。ま た 、プ ロ グ ラ ム は 少 人 数 制 の 協 働 学 習 で 進 め ら れ 、そ の こ と が 参 加 者 の 交 友 関 係 を 拡 大 さ せ る 一 因 と な る 一 方 で 、フ ァ シ リ テ ー タ ー( 教 員 )や 集 団 構 成 員 の あ り 方 は 、学 び の 促 進 を 左 右 し 得 る こ と が 明 ら か に な っ た 。
4 .総 合 考 察
本 研 究 の 目 的 は 、「 学 び 続 け る 教 員 像 」の 基 盤 と な る 学 び の 態 度 や 技 術 を 育 成 す る 初 年 次 教 育 プ ロ グ ラ ム を 開 発 し 、そ の 成 果 を 検 討 す る こ と で あ っ た 。以 下 、研 究 1 お よ び 2 の 結 果 を 踏 ま え 、 プ ロ グ ラ ム 全 体 の 効 果 に つ い て 考 察 し 、 今 後 の 課 題 を 述 べ る 。
4-1 プ ロ グ ラ ム の 中 心 的 側 面 ( マ イ ン ド セ ッ ト ・ 学 習 方 略 ) に 関 す る 効 果
ま ず 、数 量 的 な 分 析 の 結 果 か ら は 、潜 在 的 な 知 能 観 に つ い て 、統 制 群 の 方 が よ り 成 長 マ イ ン
ド セ ッ ト へ 変 化 し て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。介 入 群 に お い て は 、潜 在 的 な 知 能 観 、顕 在 的
な 知 能 観 と も に 、成 長 マ イ ン ド セ ッ ト へ 変 化 す る 値 の と り 方 を 示 し た が 、統 計 的 な 有 意 性 は 確
認 さ れ な か っ た 。潜 在 的 な 知 能 観 の 変 化 が 統 制 群 に お い て よ り 顕 著 だ っ た こ と は 解 釈 に 苦 し む
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が 、イ ン タ ビ ュ ー に お い て 、「 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト を 持 ち 続 け た い が 、そ れ は 難 し い こ と 」と 語 っ た 学 生 が い た 通 り 、プ ロ グ ラ ム 参 加 に よ っ て 、一 部 の 学 生 が 自 身 の 硬 直 マ イ ン ド セ ッ ト に 自 覚 的 に な っ た こ と で 、 成 長 マ イ ン ド セ ッ ト へ の 変 化 を 抑 制 し た 可 能 性 が あ る 。 こ の よ う に 、 介 入 に よ る 全 体 的 な 効 果 は 確 認 さ れ な か っ た も の の 、プ ロ グ ラ ム の 満 足 度 や イ ン タ ビ ュ ー の 分 析 か ら は 、一 部 の 学 生 に お い て 、マ イ ン ド セ ッ ト に つ い て 学 ぶ こ と が 、ア ル バ イ ト や 家 庭 、学 生 間 の 交 流 等 日 常 場 面 に お け る 自 己 の あ り 方 を 見 つ め 直 す 契 機 と な る こ と が 示 唆 さ れ た 。具 体 的 に は 、 対 人 関 係 を は じ め と す る 困 難 場 面 へ の 対 処 、 他 者 理 解 、 失 敗 を 恐 れ ず 挑 戦 す る こ と 、 学 び に 向 か う 姿 勢 の 改 善 等 が 確 認 さ れ た 。ま た 、将 来 的 に 教 職 に 就 い た 際 、マ イ ン ド セ ッ ト の 知 見 が 子 ど も 対 応 に 有 益 で あ る と 述 懐 し た 学 生 も お り 、本 プ ロ グ ラ ム が 、教 員 養 成 の 一 環 と し て も 有 益 な も の で あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。
次 に 、効 果 的 な 学 習 方 略 に つ い て は 、統 計 処 理 上 の 限 界 が あ る た め 結 果 の 解 釈 に は 慎 重 で な け れ ば な ら な い が 、プ ロ グ ラ ム へ の 参 加 が 、流 暢 性 の 錯 覚 に 自 覚 的 に な り 、想 起 学 習 等 よ り 深 い 理 解 を も た ら す 方 略 の 利 用 を 促 進 す る こ と を 伺 わ せ る 結 果 と な っ た 。こ の こ と は 、イ ン タ ビ ュ ー の 結 果 と も 整 合 し て お り 、参 加 学 生 は 、既 有 の 方 略 が 効 果 的 で な か っ た こ と に つ い て 友 人 と 知 識 を 共 有 し た り 、日 々 の 学 習 に 想 起 学 習 や 交 互 学 習 を 取 り 入 れ た り 、模 擬 試 験 の 勉 強 で 実 際 に 活 用 す る こ と で 効 果 を 実 感 し た り し て い た 。問 題 解 決 に 有 用 な 説 明 モ デ ル の 構 成 を 学 習 と 捉 え る「 統 合 的 な 学 習 過 程 」( Engeström, 1994)で は 、「 動 機 づ け ― 方 向 づ け ― 内 化 ― 外 化 ― 批 評 ― コ ン ト ロ ー ル 」と い う サ イ ク ル が 提 唱 さ れ て い る 。こ れ に 依 拠 す れ ば 、本 研 究 の 一 部 の 参 加 学 生 に お い て は 、学 習 方 略 を 活 用 す る 場 が あ っ た こ と で 、知 識 の 習 得( 内 化 )や 適 用( 外 化 )、そ の 行 為 を 通 じ た 説 明 モ デ ル の 吟 味( 批 判 )が 行 わ れ 、よ り 深 い 理 解 に 結 び つ い た こ と が 考 え ら れ る 。な お 、数 量 的 分 析 に お い て 、学 習 方 略 の「 方 略 保 有 感 」に 対 す る プ ロ グ ラ ム の 効 果 は 確 認 さ れ な か っ た が 、学 習 方 略 の 定 着 を 促 す 実 践 プ ロ セ ス の 機 会 が 不 均 等 で あ っ た が 故 に 、確 固 た る 方 略 保 有 感( 学 習 効 率 の 向 上 に 関 す る 説 明 モ デ ル の 構 成 )の 向 上 に は 至 ら な か っ た と 考 え ら れ る 。
4-2 プ ロ グ ラ ム の 副 次 的 側 面 に 関 す る 効 果
本 プ ロ グ ラ ム の 実 施 が 学 生 に も た ら し た そ の 他 の 成 果 と し て 、ま ず 、教 員 や 他 学 生 と の 肯 定
的 な 人 間 関 係 の 構 築 が 挙 げ ら れ る 。数 量 的 な 指 標 で は 、勉 強 に つ い て 相 談 で き る 教 員 や 友 人 を
保 有 し て い る 、と い う 実 感 の 変 化 に 群 間 で 差 が あ る と は 言 え な か っ た が 、こ れ は 、上 記 の 通 り 、
実 際 の 学 習 場 面 へ の 応 用 に 差 が 生 じ た こ と に よ る も の と 推 察 さ れ る 。一 方 、質 的 な 分 析 を 通 じ
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て 、参 加 学 生 は 、チ ュ ー タ ー( 研 究 対 象 校 で は 、各 学 年 に 学 級 担 任 制 に 類 似 し た チ ュ ー タ ー 制 を 採 用 )以 外 の 教 員 と 継 続 的 に 関 わ る 中 で 、関 係 性 が 構 築 さ れ 、教 員 採 用 等 の 情 報 を 得 ら れ た こ と を 利 点 に 感 じ て い る こ と が 明 ら か に な っ た 。加 え て 、グ ル ー プ に よ っ て は 、異 な る 所 属 コ ー ス の 学 生 間 で 協 働 学 習 が 展 開 さ れ 、少 人 数 制 に よ る 対 話 的 な 学 習 活 動 が 行 わ れ た こ と で 、新 た な 友 人 関 係 が 形 成 さ れ て い た 。
こ の 他 、輪 読 形 式 を 採 用 し た こ と で 、学 生 は 、日 頃 触 れ る こ と の 無 い 書 籍 に 目 を 通 し 、新 規 知 識 を 得 て い た 。ま た 、輪 読 の 性 質 上 、文 章 内 容 を 要 約 し 他 者 に 伝 え た り 、重 要 な ポ イ ン ト を メ モ し た り す る な ど 、 ア カ デ ミ ッ ク ・ ス キ ル が 向 上 し た こ と を 示 唆 す る 語 り や 記 述 も あ っ た 。 肯 定 的 な 対 人 関 係 の 構 築 と 同 様 、本 プ ロ グ ラ ム が 、高 校 か ら 大 学 へ の ス ム ー ズ な 移 行 を 図 る 初 年 次 教 育 と し て の 役 割 を 果 た し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。
4-3 本 研 究 の 限 界 と 今 後 の 展 望
ま ず 、本 プ ロ グ ラ ム は 、ラ ン ダ ム 化 比 較 実 験 の よ う な 統 制 さ れ た 条 件 で 実 施 さ れ て い な い こ と か ら 、分 析 を 通 じ て 明 ら か に な っ た 知 見 は 、回 答 者( 参 加 者 )の 偏 り か ら 生 じ る 一 定 の バ イ ア ス の 影 響 下 に あ る 可 能 性 を 排 除 で き な い 。特 に 、本 研 究 の 参 加 者 は 、大 学 と い う 新 た な 環 境 へ の 適 応 に あ た り 、不 安 や 緊 張 を 抱 え が ち な 新 入 生 に あ っ て 、4 月 早 々 に 正 課 外 の 学 習 活 動 へ の 参 加 を 表 明 し て い る こ と か ら 、例 え ば 、積 極 性 や 、自 己 成 長 へ の 志 向 性 が 高 い 可 能 性 が あ る 。 教 育 場 面 の 介 入 研 究 は 、倫 理 上 、ラ ン ダ ム 化 比 較 実 験 を 遂 行 す る こ と が 難 し い た め 、プ ロ グ ラ ム 参 加 前 の 成 長 志 向 等 の 個 人 差 を 統 制 変 数 に 組 み 込 ん だ 効 果 測 定 を 実 施 し て い く 必 要 が あ る 。
あ る い は 、近 年 の メ タ 分 析 で は 、学 業 成 績 に 対 す る マ イ ン ド セ ッ ト の 改 善 を 目 指 し た 介 入 の 効 果 は 、学 業 面 の リ ス ク が 高 く 経 済 的 に 不 利 な 立 場 の 生 徒 に お い て 認 め ら れ る こ と が 明 ら か に な っ て い る ( Sisk, Burgoyne, Sun, Butler, & Macnamara et al., 2018) 。 こ う し た 知 見 を 援 用 す れ ば 、 社 会 経 済 的 要 因 、 学 習 習 慣 や 認 知 的 特 性 、 学 力 と い っ た 変 数 を 考 慮 す る こ と で 、 プ ロ グ ラ ム の 効 果 を よ り 明 確 に 確 認 す る こ と が で き る か も し れ な い 。
ま た 、効 果 測 定 に 用 い た 指 標 も 、少 な く な い 課 題 を 示 し た 。例 え ば 、学 習 方 略 尺 度 は 、回 答
者 の 負 担 を 考 慮 し 最 小 限 の 項 目 か ら 作 成 を 企 図 し た も の の 、因 子 分 析 の 結 果 も 芳 し く な く 、再
度 プ ロ グ ラ ム の 目 標 と 照 ら し 、項 目 の 選 定 が 必 要 で あ る 。一 方 、質 的 分 析 を 通 じ て 、指 導 法 や
子 ど も 理 解 に 関 す る 知 識 が 向 上 す る こ と が 示 唆 さ れ た 通 り 、教 職 の 専 門 性 と の 連 動 性 を 念 頭 に
置 い た プ ロ グ ラ ム の 実 施 に あ た っ て は 、理 想 の 教 師 像 や 教 員 と し て の 資 質 な ど 、よ り 教 職 に 特
化 し た 指 標 を 使 用 し て い く こ と が 望 ま し い 。
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以 上 の よ う な 研 究 デ ザ イ ン 上 の 課 題 に 加 え 、プ ロ グ ラ ム の 内 容 や 運 営 方 法 も 改 善 す る 必 要 が あ る 。自 由 記 述 や イ ン タ ビ ュ ー で 得 ら れ た デ ー タ も 参 照 す る と 、「 内 容 の 難 易 度・分 量 」、「 活 動 の 単 調 さ 」、「( 実 感 で き る )効 果 の 乏 し さ 」、「 グ ル ー プ 構 成 」、「 教 員 と の マ ッ チ ン グ 」、
「 日 程 面 の 折 り 合 い 」な ど が 課 題 と し て 挙 げ ら れ た 。履 修 科 目 数 が 多 く な ら ざ る を 得 な い 教 職 課 程 の 現 状 を 踏 ま え 、少 な い 回 数 で 扱 え る よ う 内 容 を 精 選 す る だ け で は な く 、マ イ ン ド セ ッ ト や 学 習 方 略 に 関 す る 学 修 内 容 を 、よ り「 自 分 ご と 」と し て 捉 え ら れ る よ う な 、応 用 的 ・ 実 践 的 な 仕 掛 け を デ ザ イ ン す る 必 要 が あ る 。試 行 的 な 実 施 と な っ た 今 年 度 は 、輪 読 を 通 じ て 得 た 知 識 を 定 着 す る た め の 取 り 組 み が 、フ ァ シ リ テ ー タ ー や 学 習 者 の 自 主 性 に 委 ね ら れ て し ま っ た こ と が 、大 き な 課 題 の 一 つ で あ る 。具 体 的 な 改 善 案 と し て は 、例 え ば 、教 員 採 用 試 験 と の 関 連 が 深 い 試 験 問 題 を 、効 果 的 な 学 習 方 略 を 用 い て 勉 強 す る こ と で 、そ の 有 用 性 を 体 験 的 に 理 解 す る こ と に つ な が る だ ろ う 。あ る い は 、成 長 マ イ ン ド セ ッ ト 傾 向 の 高 い 他 者 の モ デ リ ン グ や 自 身 の 役 割 の 修 正( Fransella, 1995 菅 村 監 訳 2017)等 を 通 じ て 、成 長 マ イ ン ド セ ッ ト に 基 づ い て 日 常 生 活 を 過 ご す と い っ た 実 践 が 行 わ れ れ ば 、マ イ ン ド セ ッ ト に 対 す る 理 解 は よ り 促 進 さ れ る だ ろ う 。
最 後 に 、よ り 俯 瞰 的 な 視 点 で は 、本 プ ロ グ ラ ム は 、教 職 課 程 と の 連 続 性 を 念 頭 に 置 き 、学 び 続 け る 教 員 と し て の 礎 を 養 成 す る こ と を 目 的 と し て い る 。そ の 意 味 で 、初 年 次 教 育 と し て の 本 プ ロ グ ラ ム へ の 参 加 を 終 え た 学 生 が 、 修 得 し た 知 識 や ス キ ル 、 あ る い は 学 び に 向 か う 姿 勢 を 、 学 士 課 程 に お け る「 さ ら な る 学 び 」と ど の よ う に 有 機 的 に 結 び つ け て い く か も 、フ ォ ロ ー ア ッ プ し て い く 必 要 が あ る だ ろ う 。
注
1 )
検 出 力 = 0.8、有 意 水 準 = 0.05、効 果 量 = 0.8と し た と き 、2 群 の 平 均 値 差 の 検 定 に 必 要 な サ ン プ ル サ イ ズ は 26で あ る 。プ ロ グ ラ ム へ の 複 数 回 以 上 の 参 加 を 前 提 と し 、介 入 群 の 分 析 対 象 と し て 必 要 な サ ン プ ル サ イ ズ を 26名 程 度 と 設 定 し た と き 、参 加 率 50% 以 上 の 参 加 者 数 は 25名 で あ っ た こ と か ら 、 参 加 率 50% を 分 析 対 象 者 の 選 別 基 準 と し た 。
引 用 文 献
Brown, P. C., Roediger, H. L., & McDaniel, M. A. (2014). Make it stick: The science
of successful learning. Cambridge, MA: Belknap Press of Harvard University Press.
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