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ブドウ由来ポリフェノールによる溶血阻害能の検討

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Academic year: 2021

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32回麻布環境科学研究会講演要旨 119

【目的】

ポリフェノールとは,化学構造中に複数のフェノー ル性ヒドロキシ基が含まれる物質の総称で植物界に広 く分布している。緑茶に含まれるカテキンやブドウに 含まれるアントシアニンがその代表的な例である。す でに,カテキンやそれに類似した構造を持つネオヘス ペリジンジヒドロカルコン(NHDC)はA群レンサ 球菌の産生する溶血毒素に対して中和能があることを 当研究室で報告している1)。また,ブドウによる溶血 阻害能も確認されている。

本研究では,ブドウの機能性成分の代表としてのポ リフェノールに注目し,A群レンサ球菌産生ストレプ

トリジンO(SLO)であるP-2毒素に対して,今年収

穫した巨峰およびデラウェア,2品種の成熟ブドウの 果汁と果皮の溶血阻害能をマイクロタイター法(MT 法)と試験管法により検討した。また,産業廃棄物の 有効利用の観点も含め,間引きした未成熟ブドウの溶 血阻害能についても比較検討を行った。

【方法】

試料調製:試料は,山梨県産の巨峰とデラウェアを 用いた。ブドウを果実と果皮にできるだけ完全に分 け,それぞれ試料調製を行った。果汁は,果実100

200 gを乳鉢ですり潰し,4重のガーゼで濾したもの

試料とした。果皮抽出液は,皮20 g80%アルコー

ル溶液を100 ml加え,3時間放置後,ヌッチェでろ過

した2)。未成熟ブドウは,果実20 gを潰した後,果 皮抽出液と同様の方法で調製し,未成熟果実抽出液と した。

実験方法:SLO(P-2)毒素を2.5%ウサギ赤血球浮 遊液を用いて試験管法(log0.3希釈)により,保温

(37℃,1時間)した後,遠心分離(2500 rpm,15分,

4℃)し,その上清に2%塩酸アセトンを加え,吸光

度(510 nm)を測定した。完全非溶血を対照とし,完 全溶血の値を100%として,それぞれの試験管の溶血 率を算出し,50%終点法により毒素の力価を得た。ま た,溶血力価(n=3)の平均値から溶血率を算出した。

さらに,各試料の総ポリフェノール含有量をNano Drop(ND1000 Spectrophotometer version3.7.1)で測定 し,濃度(mg/ml)と試料添加量(ml)から100%溶

血を50%溶血に半減するのに必要な重量(mg)とし

て算出した。

【結果と考察】

溶血阻害能を2品種で比較すると各成分ともに巨峰 よりもデラウェアが高いことが示された。また,成 分で比較すると未成熟果実,果汁および果皮の順に 溶血阻害能が高いことが示された。未成熟果実では

330 nm特有の吸収波長が示された。これは果汁,

果皮抽出液ではみられないことから成育に従い減少し ていく未成熟果実特有の物質であり,この物質がより 少ない量で阻害を示す原因と考えられる。これらの成 績は,未成熟果実の有効利用につながる知見と考えら れる。

一方,デラウェアの未成熟果実は0.103 mgと非常

に少量でSLOの活性を50%阻害することがわかった。

これは,カテキンと比較すると約60倍,ライチ抽 出液と比較すると約80倍の阻害能となり,ライチ由 来低分子ポリフェノールOligonol(アミノアップ化学)

とほぼ同程度の阻害能3)4)があることが明らかになっ た。

第32回麻布環境科学研究会 一般演題5

ブドウ由来ポリフェノールによる溶血阻害能の検討

蒔田 千春,坂口 和子,鈴木  潤 麻布大学 生命・環境科学部 食品生化学研究室

(2)

麻布大学雑誌 第24巻 2012 120

【参考文献】

1) 岡部とし子,金井美恵子,久保田裕子,鈴木潤,東 條英昭,中村政幸:食の安全基礎知識,東京,アド ストリー,2010, 8-31.

2)石坂音治,草味正夫,中村勇蔵,三橋靖:衛生化学 および試験法,東京,廣川書店,1966, 440-441.

3)鈴木潤,宮城聡子,坂口和子:ライチ由来抽出液お

よびOligonolによるレンサ球菌産生溶血毒素中和,

20回統合医療機能性食品国際会議(2012.7),北 海道.

4)宮城聡子,坂口和子,鈴木潤:トロピカルフルーツ によるレンサ球菌産生毒素阻害能の検討,第63 日本電気泳動学会総会(2012.8),沖縄.

参照

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