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岩手医科大学歯学部小児歯科学講座

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Academic year: 2021

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岩医大歯誌 24巻2号 1999

115

演題6.永久側切歯歯内歯より根尖性歯周炎を発症し 演題7.歯科用パノラマX線写真上で頚動脈石灰化と     た1例      思われる所見がみられた症例にっいて

○阿部 英一,野坂久美子,甘利 英一 ○佐藤 浩子,福田 容子,木村  正  戸塚 盛雄,中里 龍彦

岩手医科大学歯学部小児歯科学講座

 歯内歯は歯冠の一部がエナメル質と象牙質がともに 歯髄腔内に深く陥入した歯の発育異常の1っである。

今回われわれは,上顎側切歯歯内歯からの感染が原因 で根尖性歯周炎を発症した症例を経験したのでその概 要について報告した。患児の来院時年齢は10歳11か 月,匡部歯肉の腫脹を主訴に当科を受診した。現病歴 は,来院日の前日に巳唇側歯肉部の腫脹と自発痛を訴 え,鎮痛剤を服用したところ,疾痛は消失したが腫脹 が消退しないため,翌日当科を受診した。来院時の口 腔外所見では,左側上口唇部に腫脹と圧痛を認め,顎 下リンパ節は両側とも小豆大1個で,可動性であり,

圧痛は認められなかった。既往歴において外傷などは 認められなかった。口腔内所見は匿根尖相当部を中心 にび慢性の腫脹を認めた。同部の歯冠の変色はなく,

バイタルテストにてマイナスであり,動揺度はM2で あった。また,歯肉縁下舌面歯頚溝にわずかに小窩を 触れ,その部位には初期う触を認めた。この部位から X線写真所見で,極めて細い盲孔が歯髄腔内に陥入し ている所見を認め,盲孔と歯髄との交通が疑われた。

この所見から,本症例は歯内歯より波及した慢性根尖 性歯周炎の再感染による急性症状を呈したものと診断 した。処置としては,膿瘍切開ならびにドレーンを挿 入,根管治療を開始した。また,セフジニル10mg/kg の経口投与を1日3回3日間おこなった。治療開始25 日目に膿瘍部位ならびに根管からの浸出液や出血が消 退したところで,仮根管充填をおこなった。以上の結 果から,明らかな盲孔でなくても,舌面歯頚溝から歯 髄内への盲孔の陥入を認め歯随と交通し,根尖性歯周 炎を継発することがあるため,定期診査時に,特に上 顎側切歯に関しては,自覚症状がなくても,動揺度や 歯肉溝の診査,さらに,左右側の舌側形態の相違が疑 われる場合には,できるだけ早期に,X線写真にて診 査が必要と思われる。また,症例によっては,刺激性 の少ない材料にて裂溝填塞をおこなう必要がある。

岩手医科大学歯学部歯科予診室 医学部放射線医学講座琴

岩手医科大学

 歯科用パノラマX線写真は,歯科疾患を有する患者 に対し一般的に行われるX線撮影法の一つであるが,

歯や上下顎骨および上顎洞疾患の診断にっいてのみ用 いられているのが現状である。

 Friedlanderら(1994年)は,脳卒中患者の歯科用 パノラマX線写真において頚動脈の石灰化が高率に認 められたと報告しており,歯科用パノラマX線写真が 脳卒中を起こす危険性のある患者のスクリーニングと

して有用であると述べている。

 そこで今回われわれは,1998年3月から1999年2月 までの一年間に当科においてパノラマX線撮影を行っ た1247例の内,頚部が読影可能な1195例を対象として 頚動脈の石灰化の有無にっいて臨床的な検討を行っ

た。

 パノラマX線写真上で頚動脈の石灰化が認められた 症例は,48例(4.0%)であった。その内訳は,男性30 例,女性18例で,年齢別では60才代と70才代に多く認 められた。左右別頻度では,両側性に認められた症例 は22例,左側のみに認められた症例は13例,右側のみ に認められた症例は6例であった。また,左側に石灰 化が認められ,右側の判別が不能なたあに左右別頻度 より除外した症例が7例あった。

 また,パノラマX線写真上で頚動脈石灰化と鑑別を 要する所見として,頚部リンパ節の石灰化,頚椎の2 次骨化中心,喉頭部の軟骨およびその石灰化,頚椎前 縦靱帯の石灰化,茎突下顎靱帯・茎突舌骨靱帯の石灰 化,唾石,静脈石などが挙げられるが頚動脈石灰化は,

Plaque状の不透過像であること,及びその解剖学的 部位等より鑑別可能であった。

 頚動脈石灰化が認められた48例のうち,頚動脈の石 灰化に関連する高血圧,虚血性心疾患,脳血管障害等 の既往をもっ症例は42例であったが,これらの既往を

もたない症例が6例あったことから歯科用パノラマX 線写真が,脳卒中傾向にある患者のスクリーニングと

して有効であると思われた。

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