抗菌剤を用いたう蝕治療の新しいアプローチ 感染歯髄保存法から難治感染根管対処法まで一
岩 久 正 明
新潟大学歯学部歯科保存学第一講座 〔受付:1994年1月21El〕
〔受理:1994年1月21日〕
は じ め に
筆者は,従来から若年者のう蝕において,自 覚症状がまったく無く,小窩裂溝部にわずかな 欠損がみられるだけで,象牙質の軟化が高度に 進み,完全削除をすれば広範な露髄により抜髄 に至る症例に度々遭遇してきた。これらは,い ずれも萌出途中であったり,根未完成歯の場合 が多く,処置後の硬組織の成熟硬化や修復象牙 質の形成,あるいは根の完成などの点から,有 髄生活歯に比べて,長期に渡る口腔内での良好 な予後は期待できない。そこで,細菌感染のあ る象牙質や歯髄についても,極力その保存を計 り,いかに長期に渡って歯牙を生活状態で維持 するかについての検討を行ってきた。
また,一方,わが国ではかつて無い高齢化社 会を向かえようとしており,厚生省は8020を 国民運動として,高齢になっても快適な食生活 ができるようにキャンペーンを広げている。そ のためにも,歯牙を若くして枯木とせずに,極 力有髄のままで維持することが必要になってく
る。
以上のような観点から,修復材料に関する研
究と被修復体としての歯牙組織およびう蝕の研 究を基礎として,生体親和性材料と抗菌剤によ るう蝕治療の生物学的アプローチについての研 究を進めてきた。
生体親和性修復材
修復材料の歯髄刺激については従来からも検 討されてきたが,最近ではむしろ,もっと積極 的な意味での生体親和性が論じられるように なってきた。すなわち,この問題は2つの分野 から考えられるべきで,1っは口腔内に露出し て咀噌機能に携わると共に,口腔粘膜に触れる 材料であり,もう1つは歯牙の内部にあって歯 髄に直接的,間接的に触れる材(剤)料である。
前者については,従来,優れた強度を有する材 料の開発が第1義として行われてきたが,その 目的がかなりかなえられてきた今日では,筆者 はその基本的要点として, 生体の,加齢による 全身的,局所的な生理的変化に伴って歯牙と同 様に順応変化する材料 が理想であると考えて いる。後者については,従来から間接的材料と してはユージノール系が,直接的材料としては 水酸化カルシウム系が用いられてきた。しかし
New biological approach for caries treatment by using antimicrobial drugs.
Masaaki IwAKu
(Department of Operative Dentistry and Endodontics, Niigata University Schoo of Dentistry,
5274,Gakkocho Dori 2−Bancho, Niigata,951 Japan)
新潟市学校町通2番町5274(〒951) Z)ρηLノハri祖α αルrα紘 Uη初L 19: 1−9, 1994
岩医大歯誌 19:1−9,1994
a:水酸化カルシウム
断面下に広範な歯髄組織の破壊がある。
厚いデンティンブリッジの形成と直下に象牙芽細胞
層が見られる。
め
、
㌔
つ〃︑
b:αTCP
歯髄組織は断面よりむしろ拡大し,被蓋硬組織形成 が見られ,直下には骨芽細胞様細胞の配列が見られ
る。
(吉羽邦彦他;第94回日本歯科保存学会発表,1991)
Fig.1 水酸化カルシウム(a)とαTCP(b)の歯髄反応の比較
(サル断髄面,術後8週,←印:断面)ながら,最近の研究によれば,前者では,ユー ジノールの細胞毒性や硬化物の物性劣化が明ら かとなり,また,後者にっいては,過去100年
ほどにも渡って用いられてきたが,pHが13ほ どの強アルカリ性のたあ,若年者で,しかも露 髄部が小さく,歯髄の活性が高い場合は,早期 に,しかも,厚いデンティンブリッジが形成さ れるが,そのぶん,健全な歯髄組織が広範に破 壊されて(Fig.1),本来の歯髄の機能が減少し てしまうし,露髄部が広かったり,高齢者や全 身疾患などで歯髄の活性が低いと全体の歯髄死 に至る事も多く,決して理想的な生体材料とは 言い難い。歯髄に接する材料の生体親和性と
は,筆者は 一時的に歯髄組織に触れるが,生 体への為害作用は全く示さず,自らは組織に吸 収され,消失しつっ可及的速やかに生体自身の 素材による被蓋硬組織形成をうながすこと,す なわち,生体自身による生体修復をうながすこ と と考えている。
そこで,筆者らは,水酸化カルシウムにかえ て,本来生体を構成するものとしてのアパタイ
トの前駆体であるα一tricalcium phosphate
(αTCP)に注目し,新しい材料の開発を試み,
基礎的,臨床的研究を続け良好な成績が得られ
ている。
罹患組織への対応
感染部が軽度で歯髄までにまだ十分な健全象 牙質がある場合には,従来のように細菌感染部 を完全に削除する。ただし,星野らの研究Dによ れば,通常行われている電気抵抗値の測定によ
り露髄値を示さないう蝕歯で歯髄まで細菌侵入 のみられる症例がかなりみられ(Table l),象 牙細管レベルでの露髄と考えられる。また,
Mj6rやBrannstr6mも病理組織学的研究によ り同様な報告を行っている。これまで,窩底部 に取り残された若干の細菌が修復後にどのよう な経緯をたどるかにっいていろいろな報告があ
Endo−Meter*
Sample Befor After CFUM (μA) (μA)
Without pulpal exposure 1
2
34
5 6 78
9 With pulpal exposure 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19一
‡
20 29 12 9
2526
34
32一38一323537428242481426252222
0 0
1.8×101 3.0×101 7.0×101 2.1×102 3.3×102 5.8×102
0 1.0×102 1.0×102 2.8×102 1.9×103 1.2×104
>104
>104 >104 >104
*The measurements were carried out befor and
after the removal of carious dentine.
†Colony−forming−units mg−1 sample.
‡Not measured.
(E.HOSHINO他:International Endodontic Journal,25;3, Table 1.,1992)
るが,明確な臨床指針はなく,その対応が求め
られる。
う蝕が窩底象牙質全体に及び歯髄への細菌感 染が疑われるような症例や,すでに露髄のある 症例では,成人で,歯牙組織の成熟や根尖形成 が完成している場合は従来の治療法をおこなっ ても特に問題は少ないであろう。しかし,緒論 でも述べたように,若年者の場合で早期に歯髄 を失うとその歯の寿命は短くて長期的保存が期 待できず,感染歯髄でも極力生活状態で保存で
きるような治療法が求あられる。
罹患部の細菌と抗菌剤
筆者は,従来より,前述のような観点から,
感染歯髄をも保存するための検討を行ってき た。そこで,同じ目的で試みられた過去の多く の研究で成功をみなかった原因を明らかにする
歯髄の主体的状況にっいての分析が必要にな る。これまでの研究では,感染歯髄より細菌を 採取培養してその菌に有効な薬剤を探して覆髄 剤として用いたが,治癒はみられなかった。そ こで,一つの可能性として,過去の研究では患 部にいる細菌全てを培養していなかったのでは ないかと考えた。星野は4),すでに口腔内細菌と
して偏性嫌気性菌の重要性について指摘し,嫌 気グローブボックスを設計して研究を続けてき た。そこで,本学口腔細菌学教室との共同研究 により,う蝕象牙質,感染歯髄,感染根管壁象 牙質,根尖部セメント質,歯垢,歯肉などより 嫌気的に細菌を採取培養した(Fig.2)。その結 果,従来の研究で明らかにされた細菌は実際の 患部に存在する菌のわずか数%にすぎず,他の 大部分の細菌は偏性嫌気性菌2)のために空気に 触れて死滅したものと考えられ,このわずかな 菌にのみ効く薬剤を用いても感染歯髄を無菌化 することは困難であり,この事実が従来の研究 で好結果が得られなかった最大の原因と考えら
れる。
そこで,この患部から得られた圧倒的多数の 偏性嫌気性菌全てを殺菌する薬剤を得るため に,各種薬剤の検討を続けた結果,通常婦人科 でトリコモナス腔炎の特効薬として広く用いら れてきたメトロニダゾールが極めて有効である ことが明らかになった鋤。また,Hamidら5)は,
そのメカニズムについて基礎的に詳細に検討し た。しかし,う蝕象牙質深部や感染根管壁象牙 質深部の細菌は殆どが嫌気性菌のため,本剤の みで有効であることが,仇〃伽o,仇励oの研究 により明らかとなったが,感染露出歯髄のよう に空気に触れている場所では,本剤が無効な好 気性菌も存在するので,これらにも有効な薬剤 を検討しミノサイクリン,シプロフラキサシ
ン,リファンピシンを加えた4種混合薬剤が,
う蝕患部及び継発される感染歯髄や感染根管に 存在する全ての細菌に有効であることがわかっ
た6)。ところが,その後,リファンピシンは赤色 に変色するため,コンポジットレジン修復の場
岩医大歯誌 19:1−9,1994
歯 垢
偏性嫌気性 94 %
(n・8)
う蝕象牙質深部
偏性嫌気性
98
(n・6)
感染根管病巣深部
偏性嫌気性
>99%
(n・4)
乳歯歯垢
偏性嫌気性
93
(n・4)
乳歯感染根管病巣
偏性嫌気性 >99%
(n・4)
Fig.2 新鮮分離時の嫌気性の細菌と好気性の細菌の割合 (星野悦郎ら:新潟歯学会誌、22;2,1992)
合などでは色が透過して審美性を障害するこ と,また,本剤を除いても薬効に影響の無いこ とから,これを含まない三種混合薬剤を用いて
きた。
治療目的別の薬剤の調合
各種検討の結果,効果的な三種混合薬剤中の それぞれの濃度は別表(Table 2)に示した。本 剤を裏層や覆髄の目的で用いる場合には,その
Table 2 三種混合薬剤の組成
メトロニダゾール(MN)
ミノサイクリン(MINO)
シプロフロキサシン(CPFX)
3wt%
1wt%
1wt%
基材が必要であるため,さきに述べたαTCP
を用いた。
裏層剤として用いる場合には,公に定められ たその材料の規格をクリアーする必要があるた め,歯科材料の規格の中では内容が最も整備さ れて信頼性の高いADA(アメリカ歯科医師会)
規格に準じて検討した。前述のαTCPを製品 化したアパタイトライナーの裏層用(タイプ 2)に,別表の割合で三種混合薬剤を加え,通 常の裏層剤(材)と同様な方法により用いる。
本材の目的は,先に述べたように,若年者のう 蝕で,軟化,感染部を完全に削除すれば確実に 露髄し,その結果,歯髄の除去に至る様な症例 に用いて患部の殺菌による歯髄の保存を計るた
直接覆髄に用いるためには,アパタイトライ ナーの覆髄用(タイプ1)を基材として,三種 混合薬剤を加える。適応症としては,通常の潰 瘍性歯髄炎などの,自発痛のない一部性の症例 が対象となるが,若年者であればかなり広範な 露髄があっても成功率が高く,筆者は露髄の大 きさに関わらず全ての症例に試みている。な お,自発痛があっても,一部性の化膿性歯髄炎 と診断され歯髄の内圧を下げて鎮痛剤により痛 みの消退がみられた症例では,若干の日数を経 てから本法を試みて成功する場合もあり,特 に,若年であるほど成効率は高い。
感染根管貼薬に用いるためには,水に濡らし た綿栓かペーパーポイントの先にわずかな薬剤 を付けて根管に挿入するか,薬剤を水に溶かし て用いる方法が簡単であるが,隅田ら7)の報告 のように,CMCに加えて用いても便利である。
これまでの臨床研究によれば,本薬剤は,特に,
従来の難治感染根管のような症例や根未完成歯 の感染根管の治療に有効であることが明らかに なった。難治感染根管の原因の究明について は,これまで桐生ら8)や隅田ら9)が行ってきた が,桐生らの研究で明らかなように,根尖病巣 のある場合,当該セメント質にも細菌侵入があ り,通常の根管治療では殺菌できないために治 癒しにくいものと考えられる。しかしながら,
野々村ら1°)の研究のように,三種混合薬剤を根 管に貼薬すると,根管壁象牙質内の細菌のみな
らずその外側の細菌にまで有効であることが明 らかとなり,セメント質中の細菌も勿論死滅 し,これが難治感染根管に有効な理由と考えら れる。また,根未完成歯では,従来根管消毒や アペテイフィシイケイションに用いられてきた 薬剤の根尖形成部への組織刺激性に比較して,
三種混合薬剤の作用がより少なかったものと考 えられる。
なお,その他に,歯周疾患をはじめ,口腔内 の,偏性嫌気性菌が主役をしめる各種疾患の治 療にも有効であると考えられる。また,各種の 理由で一時的に口腔清掃が困難な場合のう蝕予
究も行っている。
歯髄反応と被蓋硬組織形成
αTCPを基材とするアパタイトライナーの 歯髄反応については,これまで小森谷ら11)がイ
ヌ歯髄により,また,直接覆髄用では操作性を
(Table 3),裏層用では硬化性を改良した ニューアパタイトライナーの歯髄反応について はIkamiら12)やYoshibaら13)がサルの歯髄,鮎 川14)がヒトの歯髄の病理組織学的研究により優 れた生体親和性を有することを明らかにしてき た。また,本材に三種混合薬剤を加えた場合の 歯髄の病理組織学的研究はYoshibaら15)がサ ルの感染歯髄に用いてその優れた生体親和性と 抗菌性を明らかにしている(Fig.3)。また,鮎 川はヒトの非感染露髄面に貼付して残存歯髄に まったく為害作用のなかったことを指摘してい る。しかし,同時に,薬剤中のミノサイクリン は,経時的変色により歯質への着色を示す可能 性のあること,また,αTCPの硬化を遅延させ る傾向があり,そのために,被蓋硬組織の形成 が遅れる可能性があることも明らかにした。そ して,ミノサイクリンにかえてセファクロルを 用いて同様の優れた抗菌性を得たSatoら16)の 報告にもとづき,同じく,鮎川17)は,新三種混合 薬剤(Table 4)により,ヒト歯髄の病理組織学 的検索を行い歯髄反応,被蓋硬組織形成ともに 好成績を得た(Fig.4)。
Table 3 覆髄用の組成
ニューアパタイトライナー 粉)αTCP
液)精製水
CMC(sodiumm carboxymethyl cellulose)
第一リン酸カルシウム
(TYPE 1・覆髄用)
100 % 98.2%
1.5%
0.3%
Table 4 新三種混合薬剤の組成
メトロニダゾール(MN)
セファクロル(CCL)
シプロフロキサシン(CPFX)
3wt%
1wt%
1wt%
ぶエビ じ 愉
§ 改−ー鰭︑
・ ︐ ψ﹂ヱ訂二:㎡・え
譜馨
藩翻
,.晃雛・
b
Fig.3 感染歯髄の直接覆髄例
サル歯髄,人工的露髄後24時間開放,直接覆髄後4週間経過例
a二αTCP(アパタイトライナータイプ1:直接覆髄用)単味にて直接覆髄。歯髄は壊死に陥り,歯髄 腔内に細菌の増殖が認められる(×40)。
b:混合抗菌剤添加αTCPにて直接覆髄,覆髄部直下に血管造成や線維芽細胞様細胞の一層の配列が見 られ,周囲歯髄は正常で,細菌は認められない(×40)。
K.Yoshiba:J. Endodon,20,1994.(in press)
Fig.4 新混合抗菌剤添加αTCP(ニューアパタイトライナータイプ1:直接覆髄用)に対するヒト歯髄組織反応 覆髄部直下に被蓋硬組織形成がみられ,歯髄は正常。抜歯前の臨床症状,電気診は正常であった。
術後43日目,23歳男性,H・E染色 a:弱拡大(×20)
b:強拡大(×200)
(鮎川幸雄;新潟歯学会第2回例会発表,1993)
臨 床 試 験
本研究に用いられている薬剤は,個々には内 服用として厚生省の認可を得て一般に広く用い られているが,本目的のような局所応用につい てはまだ認可が得られていないので,臨床試験 に用いるためには下記のような事項を守る必要
がある。
1.患者には,ボランティアとして,その安 全性,有効性などにっいてこれまでの研究をも
とに十分に説明して,了解を得ておくこと。
2.薬剤は,術者自身が調合すること。
3.治療自体は通常の料金を算定して差し支 えないが,薬剤の算定はしないこと。
以上の事項を厳守して行ってきた筆者らの,
アパタイトライナーにメトロニダゾール単味を
用いた3年以上に渡る臨床試験の結果では,臨 床的にも細菌学的にも優れた成績が得られてい る。しかも,歯髄が生活状態で,臨床症状が無
あるだけでなく,従来困難と考えられていた軟 化感染象牙質さえ硬化し(Table 5), X線的に も軟化,脱灰を思わせる透過像が経時的に周囲
Table 5
抗菌性薬剤添加α一TCPセメント裏層下象牙質の硬さの変化MN添加α一TCPセメント裏層例
症例番号 裏層前
1日後
1月後 1年後 2年後1 1 1 2 4 4
2 1 1 2 4 4
3 2 2 4
4 2 2 4
6 2 3 4
7 1 1
8 1 1 2
9 4 4
三種混合薬剤添加α一TCPセメント裏層例
症例番号 裏層前 1日後 1月後 1年後
15 16 1 1 2 3
2 3
17 1 1 2
18 2 3
19 1 1 2
硬さの程度
Olエキスカで削取すると原形をとどあないほど軟化している 1:エキスカでブロックとして楽に採取できる
2:エキスカで削取すると削片としてとれる 3:エキスカで削取すると細粒片としてとれる 4:エキスカで削取することは困難
(欠番は裏層前の硬さの検査を行わなかった症例)
(岩久正明他:歯界展望,67;171,1990)
の健全歯質と同様な不透過像を示すようになる ことが明らかになった。なお,ニューアパタイ
トライナーと新三種混合薬剤による臨床試験は 現在続行中である。
臨床使用上の注意
本薬剤の主剤であるメトロニダゾールは,光 の影響を受けやすいために,調合された各剤品 は褐色のびんに入れて,通常は冷蔵庫に保管し 使用時のみとりだせばほぼ6ヵ月は有効であ る。また,メトロニダゾールは抗生物質と違っ て耐性菌ができにくいことが有利である。
臨 床 術 式
修復後の2次的疾患の発生を防止する最大の 要点は辺縁漏洩を防ぐことであり,そのために
は,窩縁部に少なくとも1.5mm,できればそれ 以上の健全歯質壁を確保し2°)(Fig.5),なお,
修復後レジンインプレグネーションテクニック をおこなうことが薦められる。また,適応症に ついては先に述べた。
裏層の場合は,感染象牙質の削除は,露髄の おそれがある場合は茄でた栗状の硬さのところ で止める。裏層剤は感染象牙質の残存している 部分は全て覆う。
直接覆髄の場合は,茄で栗状より軟らかな部 分は,スプーンエキスカベーターを使って注意 深く削除し,露髄部は8%次亜塩素酸ナトリウ ムと3%過酸過水素水によるケミカルサージェ リーを行い,極力無圧的に直接覆髄剤を貼付 し,その上を裏層剤で覆う。その場合も,必ず,
感染象牙質残存部は裏層剤でカバーされていな
抗菌剤+硬化剤
十αTCP感染象牙質
a.感染象牙質残置歯髄保存法
歯冠修復材 抗菌剤+硬化剤
十αTCP抗菌剤+生食水
十αTCP感染象牙質
c.感染歯髄保存法
岩医大歯誌 19:1−9,1994
b.感染象牙質残置処置上の留意点
仮封後の漏洩防止および修 復物の保持のため窩繰部に
抗薗性直覆剤(露髄部を被う)
細菌感染
d.感染歯髄保存処置上の留意点
Fig.5 混合抗菌剤添加αTCPによる修復治療術式 a,b:裏層例
ければならない。次いで,セメント類で仮に充 墳して経過観察を行う。露髄部が大きい場合 は,1ヵ月以上様子をみるほうが安全である。
感染根管の場合は,通常の薬剤と同様に用い るが,今村や2L22)野々村ら1°)の報告の様に,根管 を超音波洗浄してスミアーレイアーを除いてか ら用いるほうが効果的である。また,根管清掃 後の無菌状態を確認するための細菌培養にっい ては,桐生ら23)の研究でもその状況に大きく左 右されるので,最良の条件で行う必要がある。
お わ り に
本研究は,いまだその途上にあり,今後検討 を進めなければならない多くの分野がある。特
c,d 直接覆髄例
に,感染歯髄の治癒を計るには,多くの課題が あると考えられ,第1は患部の細菌であり,第 2は感染歯髄の血液循環であり,第3は感染歯 髄の免疫反応であり,第4は露髄部の被蓋硬組 織形成であり,第5は術後の再感染の経路を絶 つための,辺縁漏洩防止,すなわち,修復材料 の歯質接着性の強化などであろう。
今回は,一連の研究の途中経過の報告に止め させていただくことで御了承願いたい。また,
紙面の都合で個々の研究について詳細に記述す ることが困難なため末尾の文献を参照いただけ れば幸甚である。
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vasion of non−exposed dental pulp;1力旋クγηαμo一
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Kota:Bactericidal Efficacy of Metronidazole against Bacteria of Human Carious Dentin仇
砂iτノo;CαγZos 1〜os.,23 ;78−80,1989.
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lisms;(投稿中)
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1991.
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Eη∂o∂oηκcs,19, 1993 (in press) .9)隅田光弘,星野悦郎,子田晃一,岩久正明:実験 的Actinomycosis:口腔常在菌による慢性感染;
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18)子田晃一,星野悦郎,佐藤ミチ子〜,安藤直美,岩
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22)今村麻枝男:歯内療法における各種根管洗浄法 による清掃効果にっいて第二報 コンピューター を応用した根管系の三次元立体再構築による分析 ;平成5年度新潟歯学会第2回例会発表,1993.
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