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鳥類の種数を規定する要因は季節によって変わるか?

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2017 年 2 月 1 日〜13 日

鳥類の種数を規定する要因は季節によって変わるか?

全国データの解析による検証

環境資源学専攻 森林・緑地管理学講座 森林生態系管理学 河村和洋

1.はじめに

気候と土地利用の変化は生物多様性に対する二大脅威であり,両者が生物の広域分布に与える相 対的な影響が注目されている。既往研究は土地利用の影響は小さいことを示してきたが,近年では,

環境要因間の強い相関を考慮すると土地利用の影響も無視できないことが指摘されている。

広域研究を含め、生物分布では繁殖期のみの分布が一般に扱われる。しかし,季節に応じて移動 することができる動物では,分布を規定する要因やその影響度は季節によって異なると考えられる。

本研究では,気候や地形,土地利用が鳥類の種数に及ぼす相対的な影響を繁殖期と越冬期のデータ を用いて調べた。

2.方法

環境省モニタリングサイト1000プロジェクトの調査結果(2009~2015年)を利用した。森林サ イトでは森林性の,草原サイトでは開放地性の昼行性在来種を対象とした。各種を渡り特性に応じ て夏鳥・冬鳥(繁殖期・越冬期に国外から渡来する種),漂鳥(国内で季節移動を行う種),留鳥(夏 鳥・冬鳥、漂鳥以外の定住性の高い種)の 4 つに,森林性鳥類種を採餌環境に応じて樹上探索者,

樹幹探索者,地上採食者の3つに分類し,各サイトにおける各グループの種数を求めた。各サイト の種数を応答変数,各環境要因(年平均気温,最深積雪,標高,周囲1.25 kmの生息地面積)とそ れらの2乗項を説明変数とする一般化線形混合モデルを用いて,繁殖期と越冬期を分けて解析した。

3.結果と考察

寒冷地域の森林や草原では,繁殖期の鳥類の種数が高かった。一方で,温暖な少雪地域の森林や 草原では,越冬期の鳥類の種数が高かった。具体的には,夏鳥や繁殖期の漂鳥は寒冷な地域に多く,

冬鳥や越冬期の漂鳥、開放地性の留鳥は温暖な地域に多かった。年間を通じて餌資源量が豊富な暖 地では,留鳥によって繁殖期の資源が消費されるが,越冬期の気候が厳しい寒地では留鳥が少なく,

繁殖期に急増するが留鳥に消費されない資源を夏鳥が利用できるのだろう。また、冬鳥は越冬期の 厳しい気候を避けていると考えられる。本研究では,森林性の留鳥の種数は年平均気温が中程度の 地域(落葉広葉樹林帯)で最大となった。繁殖期に急激に植物の生産性が高まる落葉広葉樹林にお いて餌を獲得しやすいことが,留鳥にも影響しているのかもしれない。また、越冬期の開放地性鳥 類や森林性の地上採食者の分布は気候に強く制限されていた。積雪は地上付近での採餌を阻害する ため,温暖で雪のない地域が越冬に適しているのだろう。様々な気候帯,地形を有する日本では,

各地域が季節とグループを変えて生息地として重要な機能を担っていることが示された。

土地利用は繁殖期のみ影響しており,周囲1.25 kmの生息地が多いほど種数が多かった。周囲に 生息地が多い場所は,繁殖期に必要な資源を十分に得られるのかもしれない。総じて見ると気候よ りは影響力は小さいが,土地利用は少なくとも日本の繁殖期の鳥類多様性に一定の影響を与えてい るだろう。今後,保全に貢献するためには,森林や開放地だけでなく,天然林や人工林,湿地と農 地などのより詳細な土地利用の役割や局所スケールの影響を明らかにすることが求められる。

参照

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