感染と防御・第6回
微生物検査法
病原微生物の存在や特性を知る方法につ いて。
検査の目的
病原体の同定・感染源の特定・衛生管理な どの目的で、ヒト・薬剤・食品飲料・病室 などから検体を採取し検査する。
喀痰 血液 髄液 尿 糞便
膿 分泌液
など
病衣 リネン 医療器具
床 空気 薬剤 食品 飲料
微生物の検査方法
医療従事者または被験者本人が採取する
検尿・検便など 採血など
正確に行わないと検査結果に影響する場合があります!
染色してから顕微鏡観察する場合が多い(グラム 染色など)。
微生物の検査方法
喀痰 血液 髄液 尿 糞便
膿 分泌液
など
病原微生物 核酸(DNA,RNA) 抗原
抗体 など
顕微鏡観察 培養 PCR 酵素反応 免疫反応 など
検体 対象となるもの 方法
微生物の検査方法
動物 飼育
植物 栽培
微生物・細胞 培養
微生物を人為的に増やすことを培養という。
培養によって、微生物の存在を肉眼で確認 できるようになる。
微生物の検査方法
生化学的試験法は、微生物が持つ代謝系を利用 した判定法である。
A物質 B物質 C物質
特定の微生物が存在す ると、Aが代謝されて、
BやCが産生される。
微生物の検査方法
薬剤感受性試験の「薬剤」とは、抗生物質(抗生 剤・抗菌薬)や抗真菌薬を示す
ある微生物が他の微生物の成育を抑制する物質 として発見された
微生物の検査方法
DNA RNA
リボソーム 葉酸
細胞壁 細胞膜
葉酸合成阻害剤 細胞壁合成阻害剤 RNA合成阻害剤 膜機能阻害剤
抗生物質・抗真菌薬は特定の代謝系を阻害する
タンパク質合成阻害剤 DNA合成阻害剤
微生物の検査方法
細菌に対する作用機序の違いによる分類 作用機序 抗生物質(抗菌剤)
細胞壁合成阻害 βラクタム系、グリコペプチド系、
ホスホマイシン 細胞膜阻害剤 ペプチド系
DNA合成阻害 キノロン系、サルファ剤(葉酸合成 阻害)
RNA合成阻害 リファンピシン タンパク質合成阻
害
テトラサイクリン系、アミノグリコ シド系、マクロライド系、クロラム フェニコール
微生物の検査方法
抗生物質・抗真菌薬は、天然物(微生物由来)または化 学合成品
抗生物質や抗真菌薬は、細菌や真菌による感染 症を治療するために用いられる。
微生物
化学合成
製薬 投薬
微生物の検査方法 静菌剤と殺菌剤の違い
静菌剤 殺菌剤
菌の発育を抑制する物質 菌を直接死滅させる物質
有効濃度以下になる と増殖を再開する。
死菌は有効濃度以下 になっても増殖を再 開しない。
微生物の検査方法
抗生物質や抗真菌薬の効果は、対象となる病原 微生物の種類によって異なる(抗菌スペクトル)。
菌種 抗生物質
A B C D
○○菌 有効 有効 有効 有効 菌 有効 有効 無効 無効
△△菌 有効 無効 無効 無効
有効性を確認 してから投与 する
微生物の検査方法
薬剤感受性試験の目的は、抗生物質や抗真菌薬 の有効性を確認することである。
有効濃度の抗生物質や抗真菌薬が存在する場合、
対象となる微生物は死滅するか生育が停止する
微生物の検査方法
検体採取
顕微鏡観察
培養
抗体価測定
核酸検出(遺伝子解析)
生化学的性状 生物学的性状 血清学的性状
同定
薬剤感受性テスト
微生物の検査方法
細胞形態、染色性、生化学的性状、薬剤感受性、
遺伝子などの違いによって微生物を同定する。
菌種 細胞形態 染色性 生化学的
性状 薬剤感受性
A菌 球菌 グラム陽性 カタラーゼ陽性 ペニシリン感受 性
B菌 桿菌 グラム陰性 カタラーゼ陽性 ペニシリン耐性
C菌 らせん菌 グラム陰性 カタラーゼ陰性 ペニシリン感受 性
微生物の大きさと観察方法 病原微生物は肉眼で確認できない
ウイルス 細菌
単細胞 真核生物
寄生虫 カビ
小さい 大きい
プリオン
20~200nmくらい 数μm 分子量
約3万
細菌は光学顕微鏡で確認できる
微生物の大きさと観察方法
細菌・原虫・真菌(単細胞)の観察には、
顕微鏡が必要である。
ウイルス 細菌
単細胞 真核生物
寄生虫 カビ
電子顕微鏡
光学顕微鏡 虫眼鏡 プリオン 肉眼
細菌の細胞形態
細菌は細胞形態により、球菌・桿菌・らせん 菌・糸状菌などに分類される。
グラム染色
細菌はグラム染色により、グラム陽性菌とグラ ム陰性菌に大別される。
大腸菌 黄色ブドウ球菌
グラム陰性 グラム陽性
Staphyrococcusaureus Escherichiacoli
グラム染色には、青色のクリスタルバイオレットと赤 色のサフラニンを用いる。
グラム染色:1883~1884にハンス・クリスチアン・グ ラムによって開発された。
微生物の大きさと観察方法
ウイルスの観察には、電子顕微鏡が必要で ある(臨床現場では、ほとんど使われない )。
微生物の培養
試験管
三角フラスコ シャーレ
「滅菌」して 用います
微生物の培養には、密封可能なガラス器具 やプラスチック器具を用いる。
微生物の培養
微生物用の培地には、アミノ酸、ビタミン、
無機塩類、糖などが含まれる。
ブイヨン 酵母エキス
無機塩類
糖
(寒天) 「滅菌」して
使用します アミノ酸(窒素源) ビタミンなど
NaCl、KClなど
グルコースなど(炭素源)
微生物の培養による検査
培地上に生じた微生物の集団をコロニー (集落)と呼ぶ。
生化学的性状の検査
ピロリ菌は、ウレアーゼを産生し、尿素からア ンモニアを産生することで胃酸を中和する。
尿素
ウレアーゼ
アンモニア 二酸化炭素
胃酸(塩酸) 中和
生化学的性状の検査
ピロリ菌陽性 ピロリ菌陰性
アンモニアの発生に よって塩基性になり、
赤くなる
生化学的性状(代謝系)の検査は、微生物を 検出・分類・同定する手掛かりになる。
微生物に由来する物質の検査 微生物由来物質(核酸・タンパク質など)の分析 は、微生物を検出・分類・同定する手掛かりに なる。
微生物を分類・同定することで、病原性(ヒトや 家畜に対する危険性)を確認できる。
血清学的性状の検査 特異的抗体(抗血清)の産生
杭A抗体 杭B抗体 杭C抗体 微生物
A
微生物 B
微生物 C
血清学的性状の検査
杭A抗血清 杭B抗血清 杭C抗血清
微生物=B
反応しない 反応しない
反応する
特異的な抗体(血清)を用いて、特定の微生 物を検出・同定できる。
血清学的性状の検査 抗原抗体反応検査
杭A抗体 杭B抗体 杭C抗体 微生物の抗原
血清学的性状の検査 抗原抗体反応検査(ELISA法)
杭B抗体 基質
酵素標識 発色 杭B抗体
抗体価検査
血液や体液に含まれる抗体を検査すること により、感染の有無(既往を含む)を知るこ とができる。
遺伝子解析
微生物やウイルスに由来するDNAやRNAを検 査することにより、病原体の種類や特徴を 知ることができる。
薬剤耐性遺伝子の検査は、治療薬の選定や 院内感染防止に役立つ。