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金 融政策 による製造業の構造 変化 超 外 生性 の 検定 を 通 して

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金 融政策 による製造業の構造 変化

超 外 生性 の 検定 を 通 して

Structuralchangeofmanufacturingindustry bymonetarypolicy

‐Testingsuperexogeneity

Iguchi,Yasuhide

Abstract

Inthispaperweshowthatthereactiontothemonetarypolicychange isdifferentineachtypeofbusiness.Toverifythehypothesiswetest

superexogeneityofthemonetarypolicy'sparameterineachindustry.Wefound theparametersofsomeindustrieshavesuperexogeneitybutsomedon't.

要 旨

本 稿 で は業 種 ご とに 金 融 政 策 変 更 に 対 す る リア ク シ ョ ンが 異 な る可 能 性 を検 証 す る。 その ため 鉱 工 業 の 各 業 種 に お い て金 融 政 策 変 数 の パ ラ メ ー タが 超 外 生 性 を持 つ か 否 か を検 定 した。 検 定 の 結 果,多 くの業 種 で はパ ラメ ー タ は超 外 生性 を 持 っ た が,い

くつ か の 業 種 で は超 外 生 性 を持 た ず,業 種 に よ り違 いが あ る こ とが 示 され た 。

1 一61一

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1.は じ め に

本 稿 の 目 的 は,中 小 企 業 庁 の 規 模 別 製 造 工 業 生 産 指 数(鉱 工 業 生 産 力 指 数)の 業 種 別 デ ー タ を用 いて 金 融 政 策 の 効 果 ・影響 が産 業 ご とに 異 な るか 否 か を検 証 す る こ とで あ る。 具 体 的 には,政 策 変 数 の 変動 に伴 い経 済 構 造 の 変 化(パ ラ メ ー タ の 変 動)が 有 意 に発 生 す る業種 と有 意 な 変化 が な い 業種 が存 在 す るか 否 か を検 証 す る。

中央 銀 行 に よ っ て 実 施 され る金 融政 策 は一 国 の経 済 を安 定 化 す る こ とを 目 的 と して い る。 政 策 決 定 や,政 策 目標 の達 成 度 を 判定 す る際 に は,各 地 域 や 各産 業 の経 済 指 標 を総 合 的 に勘 案 しつ つ,一 国全 体 レベ ル の マ クロ経 済 指標 が用 い られ る。 ま た,中 央 銀 行 が政 策 手 段 と して も ち い るマ ネ ー ス ト ッ ク (マ ネ ー サ プ ライ)や 金 利 も,国 内 に お い て 地 域 や 産 業 ご とに 市 場 が 存 在 す る ので は な く,一 国 全 体 が 一 つ の 市 場 で あ る と考 え られ る。地 域 に 関 して い え ば,近 畿 地 方 に 対 して は金 融 緩 和 を 実施 しつ つ,一 方 で 四 国地 方 で は金 融 引 き締 め を お こ な う とい っ た こ とは不 可 能 で あ る。 産 業 に関 して も同様 に, 化 学 工 業 に対 して は金 融 緩 和 を実 施 しつ っ,一 方 で繊 維 工 業 に 対 して は 金融 引 き締 め を お こな う こ とは不 可 能 と考 え られ る。 した が っ て,中 央銀 行 は一 国 レベ ル の経 済 指 標 に基 づ いて,地 域 に対 して も業 種 に 対 して も均 一 な政 策 手 段 に よ っ て そ の 目 的 を達 成 す る こ とを求 め られ て い る。 一 方 で各 地 域 や 各 産 業 の経 済 構 造 と経 済 状 況 が全 く同 じで あ る こ とは あ りえ な い 。 した が っ て 理 論 上 は マ ク ロ 金 融 政 策 が地 域 や 産 業 ご とに 異 な る効 果 ・影 響 を もた らす こ とは ほ ぼ 明 らか で あ る よ うに思 われ る。 もっ と も,金 融 政 策 効 果 の差 が単 に マ ク ロ モ デ ル に お け る金 融政 策 変 数 の 係 数 の 大 き さの 差 として 表現 で き るの で あ れ ば,実 証 分 析 上 はそれ ぞれ の 地 域 や 業 種 別 に通 常 の マ ク ロモ デ ル を構 築 し推 計 され た パ ラ メー タの値 を比 較 す れ ば よい 。 しか し,各 地 域 ・各業 種 の 経 済 状 況 や 構 造 の 違 いが単 な るパ ラ メー タの 値 の 差 に還 元 で きな い こ と も

一62一 2

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金融政 策に よる製造業の構造変化

あ りうる。 つ ま りLucas(1976)に お い て な され た,政 策 変更 に伴 い係 数 が 構 造 変 化 す る ケー スで あ る。 この 場 合,単 にパ ラ メ ー タ値 が 異 な る こ とに加 え て政 策 変更 に対 す る リア ク シ ョン と して の 構 造 変 化 の 有 無 それ 自体 が 地域 や 業種 ご とに 異 な る可 能性 が あ る。 そ の た め構 造 変 化 の 有 無 を含 め,政 策 変更 の 影 響 の 大 きさ を あ る程 度 明 示 的 に モ デ ル に組 み込 む必 要 が あ る。 この 場 合 は 単 に地 域 別 モ デ ル や 業 種 別 モ デ ル を構 築 す る だ けで は 不 十分 で あ る。 ま た,政 策 変 更 に 対 す る リア クシ ョ ン と して の構 造 変 化 が 有 意 に観 測 で きる地 域 や 産 業 と観 測 で き な い地 域 や 産 業 が あ る とす れ ば,そ の構 造 変化 の 有無 自 体 が あ る種 の 地 域 特 性 や 産 業 特 性 を表 して い る と も考 え ら れ る。

政 策 効 果 の差 異 等 に関 す る研 究 として は,CarlinoandDefina(1998)や

Crone(2007)が アメ リカ 合 衆 国 に お け る地 域 間 の 差 異 に つ い てVARモ デ ル に よ り検 証 して い る。 ま た我 が 国 に お い て は 家 森(2002)が 地 域 ご とに最 適 な金 融 政 策 が 異 な る可 能 性 を 考 慮 した うえ で,政 策 効 果 の 地 域 差 に つ い て検 証 して い る。 また,井 口(2009)で は,地 域 別 の 鉱 工 業 生産 力 指 数 を用 いて, 全 国 を8地 域 に分 け,外 生 性 検 定 を 応 用 す る こ とで 地 域 特 性 の検 証 を お こな い,地 域 差 の 存 在 を見 出 して い る。

地 域 に よって 構 造 変 化 の 有 無 が 異 な る原 因 と して は,地 域 ご との 経 済 状 況 (景気 動 向)の 違 い と,地 域 ご との産 業 構 造 の 違 い,地 域 金 融 機 関 の ふ る ま い 方 の 違 い な どが 考 え られ る。 地 域 ご との産 業構 造 の 違 い が 要 因 の 場 合,産 業 構 造 が 地域 ご とに そ れ ほ ど大 き く異 な るの か とい う点 と,そ も そ も業 種 ご

とに政 策 効 果 が 異 な る の か,と い う2点 が 論 点 とな る。 本 稿 で は この うち 業 種 ご とに政 策効 果 が 異 な るの か 否 か の 検 証 をす す め る。 そ の た め,地 域 分 け を お こ なわ な い全 国 デ ー タ を利 用 し地 域 差 の 要 因 を コ ン トロ ー ル す る。 そ れ に よ って,鉱 工 業 生産 力 指 数 に含 まれ る業 種 間 で構 造 変化 の 有 無 に違 い が あ るか 否 か を検 証 す る。

本 論 の 構 成 は 以下 の 通 りで あ る。II章 で 実 証分 析 に 用 い る デ ー タ を紹 介 す る。m章 で 分 析 を お こな う た め に使 用 す るモ デ ル と検 定 手 法 を示 す 。IV章 で

3 一63一

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実 証 分 析 結 果 を 提 示 し,産 業 に よっ て政 策 変 更 に 対 す る リア クシ ョンの 大 き さに 差 が 存 在 し,政 策 変 更 に伴 う構 造 変 化 が 有 意 に観 測 で き る産 業 と有 意 で な い地 域 が 存 在 す るか 否 か を検 証 す る。V章 に お いて 本 稿 で お こな っ た 実 証 結 果 を ま とめ 結 論 とす る。

IIデ ー タ

こ こで は,実 証 分 析 で 利 用 す る デ ー タ を紹 介 し,あ わ せ て 実 証 分 析 に 先 立 って お こな っ た 単 位 根 検 定 結 果 を しめ す 。 本 稿 で は各 業 種 へ の 金 融政 策 の 影 響 を考 察 す る。 そ の た め,実 証 分 析 で は政 策 効 果 を表 す た め の 各 業 種 の 経 済 活 動 水 準 を 示 す 指 標,金 融政 策 の水 準 を 示 す た め の 指 標,モ デ ル に お い て コ ン トロ ー ル すべ き そ の他 の指 標 が 使 わ れ る。 デ ー タ の観 測 期 間 は1998年 1月 か ら2008年4月 まで の 月 次 デ ー タ124個 で あ る1。

1経 済 活 動 の水 準

政 策 効 果 を表 す た め の 各 業種 の経 済 活 動 の 水 準 を示 す 指 標 として,中 小 企 業 庁 の 規 模 別 製 造 工 業 生産 指 数(鉱 工 業 生 産 力 指 数)を 使 用 す る2。 当該 指 数 は,地 域 分類 を お こ な って い な い が,産 業 に 関 して は製 造 業 を 「鉄鋼 業 」,

非 鉄 金 属 工 業 」,「 金 属 製 品 工 業 」,「一 般 機 械 工 業 」,「電 気 機 械 工 業 」,「情 報 通 信 機 械 工 業 」,「電 子 部 品 ・デバ イ ス 工 業 」,「輸 送 機 械 工 業 」,「精 密機 械 工 業 」,「窯 業 ・土 石 製 品工 業 」,「化 学 工 業 」,「プ ラス チ ッ ク製 品 工 業 」,「紙 ・ 紙 加 工 品 工 業 」,「繊 維 工 業 」,「食 料 品 ・た ば こ工 業 」,「そ の他 工 業 」 の16 業 種 に 分 類 して い る。 本 稿 で は,製 造 業 全 体 を示 す 総 合 指 数 に 加 え,「 そ の

1用 い た デ ー タ の 所 管 は 本 文 中 に 記 し た 通 り。 デ ー タの 収 集 に つ い て は,各 産 業 の デ ー タ は 中 小 企 業 庁 がHP上 で 公 表 して い る デ ー タ ベ ー ス を 利 用,他 は 日経 NEEDS‑FinancialQUESTを 利 用 した 。

2当 該 デ ー タに お け る製造 業 の 中 小 企 業 の 定 義 は従 業 員 規 模 ・資 本 金 規 模 それ ぞ れ につ い て300人 以 下 又 は3億 円 以 下 で あ る。

一64一 4

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金融政策 による製造業の構造変化

他 工 業 」 以 外 の 製 造 業 内 の15業 種 の デ ー タ を使 用 す る。 「その 他 工 業 」 につ い て は2003年 以 降 の み しか デ ー タが な い た め 分 析 か ら省 い た 。 デ ー タ は季 節 調 整 済 み の もの を 対 数 変換 して 用 い る。

な お実 証 分 析 を お こな う に当 た り,鉱 工 業 生 産 力 指 数 の 基 準 点 が 変 更 に な っ て い る ポ イ ン トが あ る こ とに 注 意 が 必 要 で あ る。 中 小 企 業 庁 で は 平 成 17年(2005年)基 準 の統 計 が2003年 まで 遡 及 して 発 表 さ れ て い る。 それ と 同 時 に それ 以 前 の 指標 が接 続 指 数 と して 公 開 され て い る。 本 稿 で は これ を 利 用 し,2002年12月 か ら2003年1月 の 段 階 で 接 続 を お こ な っ た 。 こ の こ と に伴 う変動 は ダ ミー 変 数 に よ り処 理 す る。 ま た,「 食 料 品 ・た ば こ工 業 」 の 指 数 に関 して は た ば こ増 税 の 影 響 を考 え る必 要 が あ るか も しれ な い。 本 稿 の 分 析 期 間 内 の た ば こ増 税 は2003年7月 と2006年7月 の2度 お こ な わ れ て い

るが,こ れ につ いて も必 要 が あれ ば ダ ミー 変数 に よ って 処 理 を お こな う。

全 国 的 な鉱 工 業 生 産 力 指 数 の 動 向 を 示 す た め に,以 下 図1,図2に 対 数 変 換 前 の全 国鉱 工 業 生 産 力指 数 と前期 比 成 長 率(年 率 換 算)な らび に成 長 率 の

12か 月移 動 平 均 値 の グ ラ フ を あ げ る。

図1:鉱 工業生産力指数

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5 一65一

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図2:一 鉱工 業生産 力指 数成長率(年率)一 移動平均

2金 融 政 策 の 水 準

金融 政 策 の 水 準 を示 す た め の指 標 と して 日本 銀 行 が 発 表 す るマ ネ ー ス トッ クM2(2008年5月 以 前 のM2+CD)を 用 い る3。 一 般 的 な 金 融 政 策 の 水 準 を 示 す た めの 指 標 と して は マ ネ ー ス トッ ク以 外 に金 利 を用 い る こ と も考 え ら れ る。 しか しなが ら分 析 期 間 中 に い わ ゆ るゼ ロ金 利 政 策 や 量 的 緩 和 政 策 が採 用 され て いた 時 期 が含 まれ るた め,今 回 は サ ンプ ル期 間 中一 貫 して用 い る こ

との 出来 るマ ネ ー ス トッ クの み を採 用 す る。 数 値 は季 節 調 整 済 み の数 値 を対 数 変換 して用 い る。

前述 した よ うに 金融 政 策 は地 域 や産 業 ご とに個 別 の マ ー ケ ッ トが 存 在 す る わ けで は な い。 よっ て この 変 数 は 全業 種 で 同一 の数 値 を指 標 とす る。 以 下 の 図3,図4で 近 年 の マ ネ ー ス トックの 変 動 を レベ ル 変 数 と成 長 率(年 率),成 長 率12か 月 移 動 平 均 値 で 見 て お く。

3マ ネ ー サ プ ラ イ統 計 の 見 直 しの 中で2008年5月 以 降 そ れ ま で のM2+CDに か わ る もの と して マ ネ ー ス トッ クM2と あ らた め られ た。 しか し,本 稿 に お け る分 析 期 間 は1998年4月 か ら2008年4月 まで で あ り改称 以前 のM2+CD全 く同 じで あ る。

一66一 6

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V 1 ①刈 ー

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(8)

3そ の 他 にモ デ ル にお い て コ ン トロー ル すべ き指 標

経 済 活 動 水 準,金 融 政 策水 準 以 外 に,第3次 産 業 活 動 指 数 と対 米 ドル 為 替 レー ト,国 内 企 業 物 価 指 数 を利用 す る。 な お どの 変数 も対 数 変 換 を施 して い る。 また,第3次 産 業 活動 指数 と国 内 企 業 物 価 指 数 は 季 節 調 整 済 み デ ー タで あ る が,為 替 レー トに つ い て は 季 節 調 整 を お こな っ て い な い。

第3次 産 業 活 動 指 数 は鉱 工 業 以 外 の 他 産 業 の 活 動 水 準 が 与 え る影 響 を コ ン トロ ー ル す る た め の もの で あ る。 最 も包括 的 な経 済 活 動 水 準 を表 す指 標 と し て はGDPが 考 え られ る が,月 次 で はGDPデ ー タが 利 用 不能 な た め に代 替 指 標 と して 利 用 す る。 デ ー タの所 管 は経 済 産 業 省 で あ る。 また,本 稿 で は鉱 工 業 生 産 力 指 数 と同様2003年1月 の段 階 で 旧 基 準 との 接 続 を お こ な って い る。

対 米 ドル の 為 替 レー トは,我 が 国 の 鉱 工 業 の 輸 出 依 存 の 程 度 を勘 案 して, 変 数 と して加 え る こ と と し た。 採 用 した 変 数 は 銀 行 間 直 物 の 月 中 平 均 値 で デー タの 所 管 は 日本 銀 行 で あ る。

国 内 企 業 物 価 指 数 は 月 次 の 金 融 政 策 変 数(マ ネ ー ス トッ ク)が 実 質 値 で は な い こ とを勘 案 し,物 価 変 動 要 因 を コ ン トロー ル す るた め に 加 えて い る。

デ ー タ の所 管 は 日本 銀 行 で あ る。

以 上 の3変 数 に つ い て もそ れ ぞ れ レベ ル変 数 と成 長 率(年 率),成 長 率12 か 月 移 動 平 均 値 で 近 年 の 変 動 を み て お くた め 図5か ら図10ま で を以 下 に あ げ る。

・. 8

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金融政策に よる製造業 の構造 変化 図5:第3次 産 業活動指数

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110.0一

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図6:一 一 第3次 産 業活動指数成 長率(年率)一 移動平均

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4単 位 根 検 定 結 果

通 常,時 系 列 分 析 にお いて は,見 せ か け の相 関 に陥 るこ とを避 けるた め に 実 証 分 析 に 入 る に先 立 っ て,単 位 根 検 定 を お こ な う。 本 稿 で も単 位 根 検定 結 果 に応 じて 階 差 変 数 を用 い るか レベ ル変 数 による分 析 を お こな うか を決 定 す る。

表1.が 全 国 な ら び に 業 種 別 の 鉱 工 業 生 産 力 指 数 とマネー ス トック,第3次 産 業 活 動 指 数,対 米 ドル 為 替 レー トに 対 す る単 位 根 検 定(ADF検 定 とKPSS 検 定)結 果 で あ る。 先 述 の通 り各変 数 とも対 数 変換 を施 して い る。ADF検 定, KPSS検 定 と も検 定 モ デ ル は定 数 項 有 り,ト レン ド無 しモ デ ル で あ る。ADF検 定 とKPSS検 定 で は検 定 仮 説 が逆 で あ り,ADF検 定 の帰 無 仮 説 はH。:単 根 あ り(デ ー タ 系 列 は 非 定 常)。 一 方KPSS検 定 の 帰 無 仮 説 はH。:単 位 根 な し(デ ー タ 系 列 は 定 常),で あ る。 した が って,両 検 定 に お け る帰 無 仮 説 の 棄 却 ・採 択 の 結 果 が 逆 とな れ ば,検 定 結 果 の頑 健 性 が 相 当程 度 あ る と判 断 して よ い 。 検 定 統 計 量 の 臨 界 値 は,ADF検 定5%有 意 水 準 臨 界 値 が 一2.89, KPSS検 定5%有 意 水 準 臨 界 値 が0.463。 帰 無 仮 説 が 有 意 に 棄 却 され た 場 合

は 表 中 の 検 定 統 計 値 を 太 字 で 表 示 して い る。 な お 表 の 括 弧()内 の 数 値 は ADF検 定 の ラ グ次 数 で あ る。 な お,2003年1月 時 点 で 接 続 を お こな っ た 変 数 に つ いて,そ の 時 点 で構 造 変化 を考 慮 した検 定 も お こ な っ たが,検 定 結 果 に 変 化 が な い た め割 愛 した。

表1か ら もわか る とお り全20系 列 中,「製 造 工 業(総 合)」,「金 属 製 品 工 業 」,

電 気 機 械 工 業 」,「 輸 送 機 械 工 業 」,「精 密 機 械 工 業 」,「窯 業 ・土 石 製 品 工 業 」,

「プ ラ ス チ ッ ク製 品 工 業 」,「 紙 ・紙 加 工 品 工 業 」,「繊 維 工 業 」,「食 料 品 ・た ば こ工 業 」,「為替 レー ト」 「第3次 産 業 活 動 指 数 」 の12系 列 につ いて はADF 検 定 で 帰 無 仮 説Ho:単 位 根 あ り,が 棄 却 さ れ ず か っ,KPSS検 定 で 帰 無 仮 説H。:単 位 根 な し,が 有 意 に 棄 却 され て い る。 こ の こ とか ら系 列 が 非 定 常 で あ る こ とが 非 常 に強 く示 され て い る。 「鉄 鋼 業 」,「非 鉄 金 属 工 業 」,「国 内 企 業 物 価 指 数 」 の3系 列 につ い て は,ADF検 定 とKPSS検 定 の どち らで も帰 無 仮 説 が 棄却 され て い な い。 逆 に 「情報 通信 機 械 工 業 」,「化 学 工 業 」,「マ ネ ー

一72 12

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金融政策に よる製造業 の構造 変化

ス ト ッ ク」 の3系 列 で は どち らの 検 定 で も帰 無 仮 説 が 棄 却 され て い る。 これ らの 検 定 結 果 が 矛 盾 した6系 列 につ い て は 結 論 を確 定 で きな い が,見 せ か け の 相 関 を避 け る とい う観 点 に 立 て ば,単 位 根 の 可 能 性 が あ る との 認 識 で対 応 す る必 要 が あ る で あ ろ う。L般 機 械 工 業 」 と 「電 子 部 品 ・デ バ イ ス 工 業 」 に っ い て はADF検 定 で帰 無 仮 説 が 棄 却 され,KPSS検 定 で 聞 く仮 説 が 棄 却 さ れ て い な い こ とか ら,定 常 と結 論づ け られ る。 以 上 の よ うに一 部 に単 位 根 を 持 た な い定 常 な デ ー タ系 列 が あ る もの の,大 半 の デ ー タ系 列 に つ い てデ ー タ が レベ ル 変 数 の ま まで は単 位 根 を持 つ(持 っ 可能 性 を 否定 で きな い)と 判 断

表1:単 位根検定結果

ADF検 KPSS検

製 造 工 業(総 合) 一1 .97(2) o.7s7

鉄鋼業 一2 .86(2) 0.232

非 鉄金属工業 一2 .41(2) o.2s1

金属製品工業 一 〇.85(1) 1.294

一・般機 械 工 業 一3 .02(4) 0.138

電気機 械工業 一2 .59(0) 0.553

情報通信機械工業 一3 .24(0) 0.526

電 子 部 品 ・デバ イ ス工 業 一3 .44(2) 0.427

輸送機械工業 一2 .87(2) 0.714

精密機械 工業 一2 .03(1) o.s20

窯 業 ・土 石製 品工 業 一 〇.13(2) 1.321

化学工 業 一3 .31(0) 1.331

プ ラス チ ッ ク製 品 工 業 一1 .31(0) 0.838 紙 ・紙 加 工 品 工 業 一2 .29(0) o.s72

繊維 工業 一 〇 .82(0) 1.442

食 料 品 ・た ば こ工 業 一2 .27(2) 1.260

為 替 レー ト 一1 .60(1) 0.752

マ ネ ー ス ト ッ ク 一3 .89(0) 1.331

第3次 産業 活動指数 一1 .40(2) 1.316

国内企業物価指数 一1 .70(1) 0.409

ADF検 定H。:単 位 根 あ りHI:単 位 根 な し KPSS検 定H。:単 位 根 な しH,:単 位 根 あ り

13 一73一

(14)

され る。 この結 果 を踏 まえ て,本 稿 で は前 期 比 階差(成 長 率)を もち い て実 証 分 析 を お こな う こ と とす る。

m検 定 モ デ ル

こ こ で は,本 稿 で 用 い る 外 生 性 の 定 義,検 定 モ デ ル と 検 定 手 法 を 簡 単 に 紹 介 す る 。 本 稿 に お け る 外 生 性 の 定 義 と検 定 手 法 は,Engle,Hendryand

Richard(1983),EngelandHendry(1994),EricssonandIrons(1994), Hatanaka(1995),BanerjeeandHendry.ed(1997)やFavero(2001)に

詳 し し3。ま た,井 口 ・打 田(2003)や 井 口(2009)で も 同 様 の 手 法 を 用 い て い る 。 詳 細 は こ れ ら の 先 行 研 究 を 見 ら れ た い 。

説 明 の 簡 略 化 の た めX,,Y,の2変 数 モ デ ル で 説 明 す る 。 ま ず,こ れ ら2変 数 のDGPがVARで 表 現 可 能 で あ る が,今 現 在 関 心 が あ る の はt期 に お け る 被 説 明 変 数ylに 対 す る 当 期(t期)の 説 明 変 数x,の 影 響(Xlの パ ラ メ ー タ β) で あ る と し よ う。 こ の 時DGPをX,を 条 件 と し たy,の 条 件 モ デ ル とXiの 周 辺 モ デ ル に 展 開 す る こ と が し ば し ば お こ な わ れ る 。 す な わ ちDGPで あ るVAR の 条 件 モ デ ル と,周 辺 モ デ ル へ の 変 換 で あ る。 こ こ で 条 件 モ デ ル と は,

y,=Qx,+yz,+e, 周 辺 モ デ ル と は,

X,=φZ,十Ul

で あ る 。 な お,Z,は 定 数 項 と 変 数X,,Y,の ラ グ 変 数 な ら び に ダ ミー 変 数 。e1 な ら びu,は 標 準 的 な 誤 差 項 で あ る 。

弱 外 生 性 と は,"関 心 あ る 係 数"β を 推 定 す る 際 に 推 定 量 β が 同 時 方 程 式 等 に よ る 推 定 を お こ な わ ず 単 一 方 程 式 で 推 定 し て もblueで あ る こ と を 意 味 す る 。 ま た,X,が β に 対 し て 弱 外 生 性 を も ち,且 つX,の 周 辺 モ デ ル の 誤 差 項 の 分 散 等 を 含 む 諸 パ ラ メ ー タ を 変 更 し て も,条 件 モ デ ル の パ ラ メ ー タ β は 変 化 しな い 時,変 数X、 がY,の 条 件 モ デ ル の 係 数 β に 対 し て 超 外 生 的 で あ

一74一 14

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金融政 策に よる製造業 の構造変 化

る とい う。 この 周辺 モ デ ル の パ ラ メ ー タ の 変 化(構 造 変化)が 政 策 変 更 を表 現 して い る と考 え られ る。 した が っ て 超 外 生性 が 成 立 す る た め に は,弱 外 生 性 に 加 え て線 形 回 帰 式 の パ ラ メ ー タ β の 不 変 性(lnvariance)が 成 立 す れ ば よ い。 現 実 に は政 策 変 更 が あ っ た に も関 わ らず,経 済 主体 が 全 く行 動 を変 化 させ な い こ とは考 え に くい。 しか し,超 外 生 性 が 成 立 す れ ば 主 体 の 行 動 変 化 が 少 な く と も統 計 的 に有 意 な 影 響 をパ ラ メー タ に与 えて い な い と結 論 付 け

られ る

具 体 的 な 検 定 手 続 き と して は 以 下 の よ うに な る。 まず 弱 外 生 性 の 検 定 で は,周 辺 モ デ ル残 差u,をY,の 条 件 モ デ ル に説 明 変 数 と して 加 え て そ の パ ラ メー タ の 有 意 性 を 検 定 す る。 周 辺 モ デ ル の 残 差 に 条 件 モ デ ル推 定 上 有 意 な 情 報 が 含 まれ な け れ ば 単 一 方 程 式 で の 推 計 で も推 定 量 はblueと 考 え られ る。

な お帰 無 仮 説 は 「H〔,:弱外 生 性 有 り」 で あ る4。

次 に 超 外 生 性 の 検 定 は,弱 外 生 性 が あ る こ との 確 認 に加 え て β の 不 変性 を検 定 す る。 本 稿 で は,前 掲 のEngelandHendry(1993)に お け る β の 定 式 化 に 基 づ く超 外 生 性 の 検 定 を お こな う。 す な わ ち β を次 の よ う に定 式 化 す る。 こ こで μ,Xは周 辺 モ デ ル に よ るXlの 理 論 値 。 σIXXは周 辺 モ デ ル 残 差U電 の分 散 で あ る。

β=NU+βIXu,+β2σIXX+β3‑Qi‑(*)

F^[

こ の 定 式 化 に 基 づ き(*)を 条 件 モ デ ル に 代 入 す る 。 実 際 の 検 定 で は 代 入 す る 際 に ま ず,μlxと σ、Xxをそ れ ぞ れ 周 辺 モ デ ル に よ る 推 定 値x、 と残 差 の2 乗uLに 置 き 換 え る こ と に な る 。 代 入 後 の 条 件 モ デ ル を 整 理 す れ ば,超 外 生 性 の 検 定 を お こ な う た め に は,Ylの 条 件 モ デ ル にx2r,Z^u,x,,uLrの3変 数 を 加 え て そ の パ ラ メ ー タ で あ る β1=β2=β3=0を 検 定 す れ ば よ い こ と が わ か る。 弱 外 生 性 に 加 え て β1=β2=β3=0が 成 立 し て い れ ば パ ラ メ ー タ は

4弱 外 生 性 や 超 外 生 性 の検 定 で は検 定 の 性 質 上,"外 生 性 あ り"が 帰 無 仮 説 に な る こ とに注 意 が 必 要 で あ る。

15 一75一

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不 変(定 数)で あ り超 外 生性 を持 つ こ と に な る。 帰 無 仮 説 は,「H。:超 外 生 性 有 り(β は不 変)」 で あ る。 な お,真 の 母 数 μ1XとQxxの 代 わ りに推 定 値 を 代 入 せ ざ るを得 な い た め,最 終 的 に は βが"理 論 値(1次 の モ ー メ ン ト)"

と"理 論 値 か らの 乖 離 の 大 き さ"に 依 存 して 構 造 変 化 を 起 こす とモ デ ル に な っ て い る。

本 稿 で は,関 心 あ るパ ラ メ ー タ β に 対 応 す る条 件 モ デ ル説 明 変 数 が,t期 の 金 融 政 策 変 数 で あ るマ ネ ー ス トッ ク成 長 率 。 被 説 明 変 数 が 各 業 種 の 経 済 活 動 水 準 を示 す 鉱工 業 生産 力 指 数成 長 率 で あ る。

IV実 証 分 析 結 果

本 章 で は,業 種 別 の 鉱 工 業 生産 力 指 数 成 長 率 に 対 して 超 外 生性 検 定 を お こ な う。 この 検 定結 果 を 検 証 す る こ とで,金 融 政 策 の 変 動 に 対 す る各 業種 の リ ア ク シ ョンが 有意 な 構 造 変化 を伴 う産 業 と,構 造 変 化 を伴 わ な い(有 意 で な い)産 業 が あ るか 否 か を検 証 す る。

1実 証 モ デ ル の 紹 介 と 留 意 点

す で にmに お い て 一 般 的 な 形 で 検 定 モ デ ル を 紹 介 し た 。 こ こ で は 結 果 の 提 示 に 先 立 っ て,改 め て 実 際 の モ デ ル の 定 式 化 を 確 認 し た 上 で,推 定 の 際 の 留 意 点,前 提 と し た 条 件 を 明 示 し て お く。

ま ず 周 辺 モ デ ル は,

m,=c十dum十 Σ φ1,m,̲,十 Σw2iyl‑1

十 Σ{jX卜1十 Σw4iexレ1十 Σ φ51P1̲1十Ul

こ こ で,cは 定 数 項,dumは 定 数 項 ダ ミ ー と係 数 ダ ミ ー を 含 む 必 要 な ダ ミ ー 変 数,叫 は マ ネ ー ス ト ッ ク 成 長 率,y,は 鉱 工 業 生 産 力 指 数 成 長 率(総 合), Xiは 第3次 産 業 活 動 指 数 成 長 率,ex,は 対 米 ドル 為 替 レ ー ト変 化 率,P.は 国 内 企 業 物 価 指 数 変 化 率(イ ン フ レ率),u、 は 標 準 的 な 性 質 を 満 た す 誤 差 項 で あ る 。

一76一 IF

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金融政 策に よる製造業の構造変 化

周辺 モ デ ル の 説 明 変 数 は定 数 項 と定 数項 ダ ミー変 数 を除 い て,全 て ラ グ変 数 で あ る。 本 来DGPをVARと 仮 定 した 場 合,説 明 変 数 に これ らの 説 明 変 数 以 外 に 当 該 業 種 の 鉱 工 業 生 産 力 指 数成 長率 の ラ グ変 数 が 加 わ るべ きで あ る。 し か しな が ら,金 融 政 策 は 業 種 ご とに マ ー ケ ッ トが 存 在 す る とは考 え られ な い こ とか ら,周 辺 モ デ ル に は これ を含 め な い。 上 記 の 定 式 化 に よ る周辺 モ デ ル を全 業 種 共 通 とす る。 推 定 に 際 して は ラ グ を長 く取 っ た モ デ ル か ら は じめ, 高 次 ラ グか ら順 に パ ラ メ ー タが 非 有 意 な変 数 を 削 除 す る形 式 で お こな った 。 た だ しす べ て の ラ グ変 数 の パ ラ メー タが 非 有 意 な 場 合 で も マ ネ ー ス ト ック, 鉱 工 業 生 産 力 指 数,第3次 産 業 活 動 指 数 は 少 な く と も1変 数 を残 す。 またパ ラメ ー タ の 有 意性 以 外 にモ デ ル定 式 化 の 問題 を検 証 す るた め に,誤 差項 の正 規性 検 定,系 列 相 関 を検 定 す るLM検 定,分 散 不 均 一 検 定,構 造 変化 に 対 す

るCUSUM検 定 を利 用 しモ デ ル の不 備 が な い こ と を チ ェ ッ クす る。

次 に,条 件 モ デ ル を紹 介 す る。 条件 モ デ ル は, cy,=c+dum+Qm,+pL(m,,cy,,y,,x,,ex,,p,)+e,

c,dum,m,,y,,x,,ex,,p,は 周辺 モ デ ル で 紹 介 した もの と同 様 の 変 数 を表 して い る。cy,は 各 業 種 の 鉱 工業 生 産 力 指 数 成 長 率 で あ る。L()は ラ グ オ ペ レー タ を含 む 線 形 関 数 で あ る。 条 件 モ デ ル は 定 数 項,ダ ミー 変 数 とm, の 当期 値 以 外 に,括 弧 内 の6変 数 の ラ グ値 の 線 形 結 合 で 成 り立 って い る。e,

は標 準 的 な 誤 差 項 で あ る。 周 辺 モ デル は定 数項,ダ ミー 変 数 と ラ グ変 数 に よ り成 り立 つ が,条 件 モ デ ル に お いて は マ ネ ー ス ト ッ ク成 長 率 叫 の 当 期値 が 含 まれ る。 条 件 モ デ ル推 定 に際 して は,ダ ミー 変数 の 扱 い も含 め,周 辺 モ デ ルの 場 合 と同 様 の 手 順 に したが う。 推 定 時 に チ ェ ッ ク す る検 定 等 計 量 も基本 的 に周 辺 モ デ ル と同 様 で あ るが,そ れ に加 え て 叫 の 当 期 値 の 係 数 β が非 負 で あ る こ とも満 た す べ き条 件 とす る。

本 稿 の 目的 は,金 融 政 策 の 変 更 が,条 件 モ デ ル の マ ネ ー ス ト ック成 長 率 の 係 数(関 心 あ るパ ラ メ ー タ)に 構 造 変 化 を与 え るか 否 か を検 証 す る こ とに あ る。 した が って,周 辺 モ デ ル と条 件 モ デ ル の双 方 に お い て,オ イ ル シ ョ ック

17 一77一

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時 の よ うな,我 が 国 経 済 の 大 規 模 な構 造 変 化 を招 い た歴 史 的 変 動 を,本 稿 で 検 証 す べ き相 対 的 に よ り日常 的 な政 策 変 更 に伴 う構 造 変 化 と して 検 出 しな い よ う に 区 別 して お く必 要 が あ る。 そ の た め に 既 知 の 構 造 変 化 を ダ ミー 変 数 に よ りあ らか じ め 処 理 す る5。 周 辺 モ デ ル に お け る ダ ミー 変 数 挿 入 時 点 と し て は,2001年3月 か ら の 量 的 緩 和 政 策 発 動 期 な ら び に 同 政 策 の 解 除 され た 2006年3月 期 を想 定 した 。 た だ し,政 策 変 更 の 効 果 が ラ グを 伴 っ て現 れ 得 る こ と も考 慮 し上 記 の 時 期 後 数 期 の ラ グは あ りう る もの と し具 体 的 な時 期 は ダ ミー 変 数 のt値 に よ り判 断 した。 ダ ミー 変 数 の 種 類 と して は マ ネ ー ス ト ッ ク成 長 率 の 係 数 ダ ミー と定 数 項 ダ ミー の どち らか(ま た は両 方)を 利用 す る。

また,II章 で も述 べ た よ うに 「食 料 品 ・た ば こ工 業 」 の 指 数 に関 して は た ば こ増 税 の 影 響 を考 え る必 要 が あ る。 した が っ て,「 食 料 品 ・た ば こ工 業 」 の 条件 モ デ ル 推 定 に お い て は,た ば こ増 税 が お こ な わ れ た2003年7月 と2006 年7月 に つ いて もダ ミー 変 数 に よ って処 理 を お こな う。

もち ろ ん 推 定 式 全 体 の 安 定 性 を 前述 した い くつ か の 検 定 等 計 量 に よ り判 定 し,ダ ミー 変 数 の 係 数 が 非 有 意 とな っ た場 合 は説 明 変 数 か ら除 く。

以 上 の ほ か,鉱 工 業 生 産 力 指 数 の デ ー タ の 接 続 の 問 題 か ら2003年1月 に1時 点 の み の ジ ャ ン プ を調 整 す る定 数項 ダ ミー 変 数 も設 定 す る。

2弱 外 生性 検 定 結 果

推 定 した 周 辺 モ デ ル 残差u,を 条 件 モ デ ル に 説 明 変 数 と して 追 加 し弱 外 生 性 検 定 を お こ な っ た 。 帰 無 仮 説 は 「Ho:条 件 モ デ ル に説 明 変 数 と して 追 加 し たU,の 係 数 が ゼ ロ(弱 外 生 性 有)」 で あ る。 対 立 仮 説 は 「H,:条 件 モ デ ル に 説 明 変 数 と して 追 加 したu,の 係 数 が 非 ゼ ロ(弱 外 生 性 な し)」 で あ る。 先 述 5こ こ で の ダ ミー 変 数 利 用 は,量 的緩 和 政 策 等 の 大 規 模 な 政 策 変 更 に とも な う構 造 変 化 が 発 生 して い る場 合,そ の 変化 を その 他 の 政 策 変 更 と区 別 す る こ とが 目的 で あ る。 そ の た め,政 策 変 更 時 前 後 で これ らの ダ ミー 変 数 のt値 が 最 大 に な る 時 期 を 変 更 の 発 生 時 と し ダ ミー 変 数 を挿 入 した。

一78一 18

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金融政策 による製造業の構造変 化

の 通 り弱 外 生 性 検 定 で は帰 無 仮 説 を 「弱 外 生 性 有 」 とせ ざ るを得 ない 。 その た め,弱 外 生性 の 有 無 の 確 認 とい う意 味 で は,こ の 検 定 は 「"弱外 生 性 を も つ"の 帰 無 仮 説 を棄 却 で きな い」 とい う消極 的 な 意 味 を持 つ に過 ぎ な い。 当 該 検 定 の大 き な問 題 点 で あ るが,こ こで は 弱 外 生性 有 の帰 無 仮説 が有 意 に棄 却 され な い こ とを もっ て 叫 とcy,の 同時 推 定 で は な く,単 一方 程 式 に よ る推 定 を お こ な う こ とが 一 応 正 当性 を 持 っ と した い。 な お,DGPのVAR形 式 に よ る定 式 化 が 正 当 で あれ ば,弱 外 生性 は必 ず 成 立 す る。 したが って この 検 定 は,定 式 化 の 誤 りを検 定 す るテ ス トに もな って い る。

表2に 検 定 結 果 を 示 す 。 な お,比 較 の た め業 種 別 モ デ ル(15モ デ ル)に 加 え て,総 合 の 鉱 工 業 生 産 力 指 数 を被 説 明 変 数 に用 い た総 合 モ デル の 結 果 も

併 記 す る。 総 合 モ デ ル はN‑1で 紹 介 した条 件 モ デ ル の被 説 明変 数 をy,に 置 き換 え る こ とで 得 られ る(cy、 はモ デ ル 中 に存 在 しな い)。

表2:弱 外生性検定結果

t値 P値

製造 工 業(総 合) 1.054 0.295

鉄鋼 業 一 〇.804 0.424

非鉄金属工業 1:1: 0.421

金属製品工業 0.460 0.646

一般 機械工業 1.467 0.146

電気機 械工業 0.667 0.506

情報 通信機械工業 一 〇.580 0.563

電 子 部 品 ・デ バ イ ス 工業 0.339 0.736

輸送機 械工業 0.309 0.758

精密機 械工業 o.io2 0.919

窯 業 ・土 石 製 品 工 業 一 〇.713 0.478

化学工業 0.599 0.551

プ ラス チ ッ ク製 品 工 業 0.519 0.605

紙 ・紙 加 工 品 工 業 1.546 0.125

繊維工業 0.366 0.715

食 料 品 ・た ば こ工 業 0.918 0.361

Ho:弱 外生 性 あ りH,:弱 外 生 性 な し

19 一79一

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表2のt値 な ら び にp値 よ り明 らか な よ うに 全 て の モ デ ル に お い て帰 無 仮 説 は 棄 却 され なか っ た。 これ は,パ ラ メ ー タが 超 外 生 性 を持 つ た め の 必 要 条 件 を満 た して い る こ と を意 味 す る と同 時 に,GDPをVARと した 定 式 化 の チ ェ ッ クで も有 意 に 問 題 は検 出 され なか っ た こ とに な る。 これ をふ まえ て, 次 に パ ラメ ー タ β の 超 外 生(不 変性)に 対 す る検 定 を お こな うこ と とす る。

3超 外 生 性 検 定 結 果

表2の 結 果 を ふ ま え て,皿 章 で 紹 介 し た"関 心 あ る 係 数"β の 定 式 化 に 基 づ き 政 策 変 更 に 伴 う 構 造 変 化 の 有 無 を 検 定 す る。 検 定 は2種 類 お こ な っ た 。

ひ と つ は パ ラ メ ー タQt,β2,β3の そ れ ぞ れ に 対 す るt検 定 で あ る 。 も う一 つ は 帰 無 仮 説 を 「Ho:β 且=β2=β3=0」,対 立 仮 説 を 「H且:β1,β2,N;i の う ち 少 な く と も 一 っ は 非 ゼ ロ 」 とす る 尤 度 比 検 定(自 由 度3のX2乗 検 定) で あ る。3つ の 係 数 の う ち 一 つ で も 有 意 に 非 ゼ ロ の 場 合,政 策 変 更 に 伴 う構 造 変 化 が 有 意 に 認 め られ る こ と に な る。 結 果 を 表3に ま と め た 。 な お,自 度100のt検 定 の 両 側10%有 意 水 準 臨 界 値 は1.660,5%臨 界 値 は1.984で る6。 自 由 度3のX二 乗 分 布 に よ る 尤 度 比 検 定 の 臨 界 値(片 側)は10%有 水 準 で6.251,5%有 意 水 準 の 場 合7.815で あ る。 表 に は5%有 意 な 場 合**

を,10%有 意 な 場 合*を 表 示 した 。

表3の 結 果 を 検 討 す る 。 ま ず 製 造 業 全 体 を み る と,い ず れ の 検 定 も 帰 無 仮 説 を 有 意 に 棄 却 で き て い な い こ と が わ か る。 つ ま り,業 種 分 類 な しの 鉱 工 業 生 産 力 指 数 総 合 デ ー タ に よ り推 計 を お こ な う 限 り に お い て は,さ し あ た り パ ラ メ ー タ の 不 変 性(政 策 変 更 に 伴 う構 造 変 化 な し)を 前 提 に 予 測 や シ ミ ュ レ ー シ ョ ン を お こ な っ て よ い 。 す な わ ち,い わ ゆ る ル ー カ ス 批 判 を 総 合 値 の モ デ ル は 回 避 し て い る 。

6各 モ デ ル は各 説 明 変 数 の ラ グ期 間 が 同 じで は な い た めt検 定 の 自 由 度 は 厳 密 に は 100前 後 で 若 干 の ば らっ きが あ る。 こ こで は 目安 の た め に 自 由度100の 場 合 の 臨 界 値 を記 した 。

一80一 20

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金融政策に よる製造業 の構造変化 表3:超 外生性検 定結果

C1 Qz=O β3=0 x2

製 造 工 業(総 合) 一 〇.406 1.114 一1 .159 1.379

鉄鋼 業 1.228 0.423 一 〇.786 3.043

非鉄金属工業 0.288 1.198 一1 .453 2.834

金属製品工業 0.733 一 〇.559 0.292 1.010

一 般 機 械 工 業 一1 .191 0.765 一 〇

.722 1.714

電気機械工業 一 〇.558 0.687 一 〇.192 1.986

情報通信機械工業 0.891 0.654 一 〇.591 1.926

電 子 部 品 ・デ バ イ ス 工 業 0.393 一1 .516 1.850; 3.873

輸送機械工業 一 〇.484 1.089 一1 .397 2.435

精密機械工業 0.095 一1 .101 0.735 2.090

窯 業 ・土 石 製 品 工 業 0.012 0.207 0.085 0.767

化学工業 一 〇.710 一 〇.340 0.295 0.868

プ ラ ス チ ック製 品 工 業 一 〇.571 1.779' 一1 .889参 :1:

紙 ・紙 加 工 品 工 業 一 〇.661 1.937' 一2 .822** 12.009"

繊維工業 0.163 一 〇.975 0.756 1.216

食 料 品 ・た ば こ工 業 1"1 1.972' 一2 .103"' 5.074

H。:超 外 生 性 あ りH1:超 外 生 性 な し

5%有 意:**10%有 意:*

さ て,一 一方 で 業 種 別 モ デ ル を み て み る。t検 定,X2乗 検 定 の 双 方 に お い て5%有 意 水 準 で 帰 無 仮 説 を棄 却 した の は 「紙 ・紙 加 工 品 工 業 」 で あ る。 し た が っ て,「 紙 ・紙 加 工 品 工 業 」 で は金 融 政 策 の 変 更 や シ ョ ッ ク に 対 して, 金 融 政 策 変 数 の 係 数 β が 有 意 に 変 動 して い る(構 造 変 化 を 起 こ して い る) こ とが 強 く示 唆 され て い る。 「食 料 品 ・た ば こ工 業 」 モ デ ル で はXZ乗 検 定 は非 有 意 で あ る も の のt検 定 に お い て5%有 意 な 係 数 と10%有 意 な係 数 が み いだ せ る。 「紙 ・紙 加 工 品 工 業 」 よ りは やや 頑 健 性 に 欠 け る結 果 で は あ るが, や は り係 数 βが 超 外 生 性 を持 た ず,構 造 変化 を お こ して い る可 能 性 が あ る。

ま た,「 電 子部 品 ・デバ イ ス工 業 」,「プ ラス チ ッ ク製 品 工 業 」 の2業 種 で は,

21 一81一

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t検 定 結 果 の み10%有 意 で 帰 無 仮 説 を 棄 却 し て い る。 「食 料 品 ・た ば こ工 業 」 よ り も さ らに 弱 い 結 論 で あ るが,超 外 生 性 な しの可 能 性 は あ る と考 え られ る で あ ろ う。

Vま とめ

金 融 政 策 は地 域 や 産 業 を区 別 せ ず 一 律 な手 段 に よ っ て な され,し か し現 実 に は各 地 域 や 産 業 の 経 済 構 造 や 経 済 状 況 は一 律 で は な い。 その た め金 融 政 策 の 政 策 効 果 が 地 域 や 産 業 ご とに異 な る こ とは間 違 い な い。 しか し,ル ー カ ス 批 判 を踏 ま え て政 策 変 更 に伴 う構 造 変 化 まで 視 野 に入 れ た検 証 は これ まで ほ とん ど なか っ た 。 そ こで 本 稿 で は,鉱 工 業 に分 類 され る各 産 業 が 金 融 政 策 の 変 更 ・金融 政 策 シ ョック を受 けた 場 合 の リア クシ ョン に有 意 差 が あ るか 否 か を 検 証 した。 具体 的 に は全 産 業 一 律 な金 融 政 策 変 数 を被 説 明 変 数 とす る周 辺 モ デ ル と業 種 ご との 条 件 モ デ ル を推 定 し,政 策 シ ョ ッ クに伴 う構 造 変 化 が 有 意 に観 測 され る か 否 か(超 外 生性 の 有 無)を 検 定 した。 単 に,ル ーカス 批 判 を 回 避 して い るか 否 だ け で は な く,パ ラ メー タの 不 変 性 の有 無 それ 自体 が あ る 種 の 産 業 特 性 を 表 す 可 能 性 が あ るか らで あ る。 また,本 稿 で 検 証 した超 外 生 性 検 定 の検 定 結 果 は,井 口(2009)で み い だ され た 地 域 ご と検 定 の 有 意 差 が, 地 域 固有 の産 業 構 造 を原 因 とす る ものか,そ れ と も地 域 の経 済 状 況 や 地 域 金 融 機 関 の ふ る まい の 差 を原 因 とす るの か を考 え るうえで も重 要 と考 え られ る。

検 定 の 結 果,比 較 的 規 模 の 大 きい政 策 変 更(量 的緩 和 政 策 の 開 始 と終 了, た ば こ税 増)を コ ン トロー ル した場 合,多 くの 業 種 で はパ ラ メ ー タが 超 外 生 性 を もつ 。 しか し,い くつ か の業 種 で は金 融 政 策 変 数 のパ ラ メー タ に有 意 な 構 造 変 化 が 観 測 さ れ た 。 これ は,従 来 金 融 政 策 の影 響 が単 に産 業 ご とに異 な る とい っ た 場 合,パ ラ メ ー タの 値 が 固 定 した もの と考 え た 上 で,そ の 値 の 大 き さ の差 と して とら えて い た こ とが 必 ず し も十 分 で な い可 能 性 を示 して い る。 す な わ ち政 策 変 更 ・シ ョ ック に対 応 して,パ ラ メー タの 変化(構 造 変化)

一82一 22

(23)

金融政策 による製造業 の構 造変化

が 有 意 に 観 測 で き る少 数 の 業種 と,パ ラメ ー タの 変 化 が 有意 に観 測 で き な い 他 の 業 種 が あ る こ とが 明 らか に な っ た。 業 種 に よ っ て構 造 変 化 の有 無 に お い て 有 意 な差 が あ りう る こ とを定 量 分 析 に よ って 確 認 で きた こ とは非 常 に意 義 が あ る と考 え られ る。

本 稿 は,地 域 区 分 を お こなわ ず,鉱 工 業 の 業 種 分 類 の み お こなっ た デ ー タ を利 用 して い るが,地 域 ご との 政 策 効 果 の 差 が,地 域 の 経 済状 況 や 地域 金融 機 関 の ふ る まい の差 だ け で は な く,産 業 構 造 も原 因 と して い る可能 性 を 示 唆 して い る。 た だ し,本 稿 で使 用 した 全 国 デ ー タで は,超 外 生性 な しの 検 定 結 果 が得 られ た産 業 は決 して 多 くは な い こ とに も注 意 すべ きで あ り,よ り詳 細 な 分 析 は今後 の 課題 と した い。 今 後 は地 域 性 と産 業 構 造 の双 方 の観 点 か ら分 析 を進 め る必 要 が あ る と考 え られ る。

参考文献

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Blackwell,1997

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参照

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