第15 回 三重県胎児・新生児研究会抄録
雑誌名 三重医学
巻 52
号 1‑4
ページ 47‑51
発行年 2009‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10076/10313
第 回 三重県胎児・新生児研究会抄録
日 時: 年 月 日(日) : :
場 所:国立病院機構 三重中央医療センター研修棟
.高度 による超低出生体重児の 一剖検例
国立病院機構 三重中央医療センター小児科 ), 同臨床研究部 ),同病理 )
米川貴博 ),馬路智昭 ),盆野元紀 ) ), 大槻祥一郎 ),佐々木直哉 ),山川紀子 ), 田中滋己 ),山本初実 ),井戸正流 ), 加藤裕也 )
高度 の超低出生体重児は,未熟性に加え 劣悪な子宮内環境に基づく特異な疾患,問題を引 き起こす.剖検所見をふまえ高度 の超低出 生体重児に生ずる諸問題を考察し報告する.児は 妊娠 週 日 を指摘され, ,超音波で
を評価された. 週 日体重
( ),アプガースコア 点,帝王切開で出 生し,凝固異常,血小板減少,胆汁うっ滞,浮腫,
腹水を伴い日齢 肝不全で死亡した.肝は黄疸色 正常大,ミクロではびまん性肝細胞萎縮,脂肪変 性,線維成分増生が認められた.今回病理所見か ら胎内での慢性的な低酸素,低栄養状態の関与が 示唆された.現在 の娩出時期は,
未熟性,病因, の評価を総合的に判断 し決定される.しかし,重要臓器に不可逆的変化 を来たした児は予後不良なため,
の新たな管理指針が必要である.
.抗 抗体による同種免疫性血 小板減少症の新生児例
山田赤十字病院小児科 ), 三重県赤十字血液センター )
加藤久美子 ),澤田博文 ),川崎裕香子 ), 淀谷典子 ),大森雄介 ),梨田祐志 ), 雨宮喜雄 ),藤原 卓 ),東川正宗 ), 井上正和 ),今井重美 )
症例は在胎 週 日,体重 で出生した女 児. は ( 分), ( 分)で低出 生体重のため に入院した.血液検査所見で は血小板 万と低下していたが,皮膚に出血斑 なく,明らかな出血傾向も認められなかった.血 小板数は漸増し生後 日目には正常値になった.
血小板減少の原因精査をしたところ,母(血清)
父(血小板)で凝集があり,母の血清で抗 抗 体 陽 性 で あっ た. 血 小 板 上 の 抗 原 は, 母 は
,父は ,患児が であ
り,抗 抗体による同種免疫性血小板減少 が起こったと考えられた. 抗原保有者は 約 であり抗 抗体による血小板減少は 決して珍しくないが,本例のように無症状の場合 には見逃されやすい.第二子以降では重症化し頭 蓋内出血を起こす可能性があり,新生児期に血小 板減少を認めた場合には原因の精査が必要であ る.
. 感染妊産婦に対する母子感染 予防
三重県立総合医療センター小児科 ), 同産婦人科 )
杉山謙二 ),天野敬史郎 ),太田穂高 ), 西森久史 ),谷口晴記 ),田中浩彦 ), 樋口恭仁子 ),吉田佳代 )
近年 陽性者の増加に伴い, 陽性妊産 婦の数も増加傾向にある.当院では昨年度 名の 陽性妊産婦に対して母子感染予防策を施行 した. 名の国籍はブラジル,ペルー,ホンジュ ラスとすべて外国人であり,適宜通訳の派遣をお 願いしてオリエンテーションを施行,治療方針は 妊産婦に対する抗 療法(多剤併用療法),選 択的帝王切開,分娩中の妊産婦および新生児に対 する 投与,母乳禁とした.現在のところ 名の児とも 感染は認めていない. 感染 妊産婦に対する母子感染予防法はほぼ確立されて いるとされるが,症例数の増加により種々の問題 も生じているとされており,この点についても文 献的考察を加えて報告する.
.新生児期の乳糜胸に対し 胸 腔内投与が奏功した 例
三重大学大学院医学系研究科生命医科学専攻 病態修復医学講座
消化管・小児外科学
安田裕美,井上幹大,小池勇樹,
森本雄貴,大竹耕平,内田恵一,
楠 正人
今回我々は新生児期の乳糜胸に対し,絶食,サ ンドスタチン投与では効果が得られず に よる胸膜癒着術が奏功した 例を経験したため報 告する.【症例 】在胎 双胎第 子として 帝王切開で出生した男児.生後 日目にチアノー ゼを認め近医受診.レントゲン, にて大量の 胸水を認め,胸水検査にて乳糜胸と診断.中心静 脈栄養,サンドスタチンを開始するも改善認めな いため当院紹介.入院後サンドスタチンを増量し
ていくも,胸水の減少は認めず, を胸腔 内投与したところ胸水の増加はみられなくなっ た.【症例 】前期破水にて在胎 帝王切開 にて出生した男児.食道閉鎖症,鎖肛に対し手術 施行後, が閉鎖せず,内科的コントロール が困難となったため 結紮術施行.術後左側 胸水貯留認め,乳糜胸と診断.ドレナージ施行し,
サンドスタチン使用するも改善がみられず,
を投与したところ,胸水は減少した.
.胎児診断され,生後に軽度チアノー ゼを認めた心臓腫瘍:胎児診断されな かったら乳児の突然死例か
三重大学附属病院小児科
松下理恵,大橋啓之,三谷義英,
菅 秀,駒田美弘
症例は ヵ月男児.在胎 週の健診時に胎児心 エコーにて右房内の腫瘤を指摘され,当院へ紹介,
三尖部に巨大腫瘤を認めたが血行動態が成り立っ ており, でも心臓以外の病変を認めず,経 過観察していた.在胎 週 日 正常経膣分娩 で出生し,心臓腫瘍の指摘をされてい たため, へ入院した.心臓腫瘍は多発性で 特に三尖弁部の巨大腫瘤による重症狭窄のため入 院後 使用するも,生後 週間で閉鎖.全身 状態良好であり, 症候群を合併している ため, ブロッカーを使用し薬物管理をしていた が を起こし著明なチアノーゼとなり 静注で頓挫し状態回復した.心臓腫瘍以外には結 節性硬化症を疑う検査,臨床所見は認めず,心雑 音もなく,チアノーゼもほとんど認めず,胎児診 断されていなければ突然死した能性も大きい症例 と考え若干の考察を加え報告する.
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.当院 で経験した半陰陽の 例
国立病院機構 三重中央医療センター小児科 ), 同臨床研究部 )
佐々木直哉 ),馬路智昭 ),松田和之 ), 盆野元紀 ) ),山川 紀子 ),田中滋己 ), 山本初実 ),井戸正流 )
出生時に外性器異常を認めた場合,性別の決定 に苦慮する場合がある.特に早産児では外性器が 未熟であるためその決定はより一層困難である.
今回私たちは 例の半陰陽の症例を経験した.
例のうち 例は超低出生体重児であり, 例は性 別決定後に性の変更を行った.性別決定には画像 診断や内分泌学的検索が有用である.特に社会的 性の決定は染色体のみで判断せず,外性器,内性 器,性腺の状態も考慮して進める必要がある.
.当院 における末梢静脈ライン 管理の実際 固定法の変更と評価
三重大学医学部附属病院 周産母子センター
中西 都,佐藤裕子,大久保真由美
入院中の患児にとって末梢静脈ラインの 確保は侵襲的処置であり,看護者は安全なルート 管理を行い,必要以上のストレスを与えることを 回避する必要がある.昨年,末梢静脈ラインの固 定法を統一し,妥当性を評価するため一ヶ月間調 査を行った.その結果,計画外抜去は全体の % にみられ,計画外抜去は他者要因である固定方法 や固定材料の素材と,患者自身の要因である皮 膚・血管等の脆弱性や体動などにより生じること が明確になった.そこで,今回他者要因である固 定法に着目し,留置針とルートをテープでクロス にかけるという操作を加え,追跡調査を行った.
計画外抜去は %にみられたものの,留置針と輸 液ルートの離脱による計画外抜去はなかった.ま た,離脱により再固定を要することが少なくなっ た印象がある.このことより,固定法を変更した ことで,再固定に伴う児へのストレスを回避でき た.
. を退院した児を持つ母親の育 児不安とそのサポート
育児不安と相談相手についての検討
国立病院機構 三重中央医療センター 総合周産期母子医療センター ), 臨床研究部 )
堤 里枝 ),荒木田恵巳 ),川口玲子 ), 藤原京子 ),藤代朋子 ),櫻井郁美 ), 盆野元紀 ),山本初実 )
【目的】当院 に入院していた児を持つ母親 の入院中・退院後の育児不安と相談相手を明確に する.【方法】 年 月 日から 年 月 日までの期間,当院フォローアップ外来を受診し た児を, 期(退院後 ヶ月 ヶ月) 期(退 院後 ヶ月 ヶ月) 期(退院後 ヶ月 ヶ 月)に分け,育児する母親を対象に,( )周産期 情報( )相談相手と相談内容( )家族形態( ) に入院した母親同士の会話( )配偶者の 協力についてアンケート調査を行った.【結果・
考察】どの期間においても入院中・退院後の相談 相手は配偶者が一番であり,重要な存在であるこ とが明確になった.一方で,配偶者を相談相手と してあげているにも関わらず, 入院経験を 持つ母親に相談したいと希望する母親も多かっ た.配偶者へ相談することと,同じ境遇の母親に 相談することでは異なる理由があり,会話をもつ ことによって不安を緩和し,共感し合うことを求 めていることが示唆された.
.みえ母乳の会及び当院 認定後 の活動報告
国立病院機構 三重中央医療センター 産科病 棟 ),小児科
飯田真由美 ),仲森理恵 ),長嶋美由紀 ), 美波あゆみ ),金児真澄 ),田中滋己 )
年に赤ちゃんにやさしい病院 (
)認定を受けた.
その後も毎月の母乳管理勉強会の開催や母乳外 来の増設・母親への退院後の電話訪問などを開
始, 年 月にはみえ母乳の会が設立され,母 親への紹介や活動への参加を呼びかけ母乳育児支 援グループ作りにつなげている.その活動状況を 報告する.
ワークショップ ─ 三重県の 周産期医療の明日を考える
.新生児集中ケア認定看護師になるまで
国立病院機構 三重中央医療センター 総合周産期母子医療センター 西 病棟
新生児集中ケア専従看護師 藤代朋子
分野ある認定看護師の教育課程の中で,新生 児集中ケアは 年に分野特定を受け, 年 月より養成開始となり,現在 期生までが教育課 程を修了している.受験資格は,通年 年以上の 実務経験を持ちそのうち新生児集中ケア部門で通 算 年以上の実務経験を有し,在胎 週未満の早 産あるいは疾病をもつ正期産児の生後 週間以内 における集中ケアおよび親・家族の看護を 症例 以上担当した経験を有する者で,現在新生児集中 ケア部門で勤務していることが望ましいとされて いる. 事例の症例レポートを提出し,筆記試験,
小論文,面接を受け合格となると,晴れて入学と なる.新生児集中ケア教育課程は広島県看護協会 でのみ開催されており, 月 月までの ヶ月 間の研修期間である.そのうち ヶ月間は認定看 護師としての基礎科目や専門分野科目の机上学習 が中心で, ヶ月間は 施設に研修生各 名ずつ 配置され臨床実習が実施される.自身は 期生で あり,認定看護師としての活動を開始するところ である.
.平成 年の当院における母体搬送例 外来紹介例の検討
三重中央医療センター産婦人科 新谷佳大,前川有香,日下秀人,
吉村公一,澤木泰仁
平成 年の当院の総分娩数は 例であり,母 体搬送数は 例( %)を占めた.母体搬送の主 な理由としては,未破水の切迫早産 例( %),
例( %), 例( %), 例
( %)であった.また, 週未満の搬送例が 例( )と,昨年度より増加した.搬送当日に 分娩となった症例は 例( )であった.分娩 様式としては経腟分娩が 例( %),帝王切開 が 例( %)であった.児が 管理となっ た例は 例( )であった. ・死産となっ た症例は 例であった.ハイリスク妊婦の外来紹 介数は 例( )であった.
.三重県における周産期医療について:
産科の立場より
三重大学医学部附属病院周産母子センター 杉山 隆
周産期医療が厳しい状況であることは全国的な 問題であるが,三重県のような地方では特に厳し い状況にあることは周知のとおりである.その背 景には,産科医は時間を拘束されること,医師側 の体力が求められ高齢医師の引退が早まること,
女性医師の割合が増加する一方,仕事と出産や育 児の両立が困難になることなどが存在し,これら の問題点が勤務医の負担をさらにかけることにつ ながり,ひいては分娩を取り扱う産婦人科医数が 減少するという悪循環が形成されるのである.本 ワークショップでは,全国の産科事情について総 論を述べるとともに,三重県における問題点も挙 げ,まずはこれらの問題点について周知頂き,今 後の対策への一助としたいと願う次第である.
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.北米における新生児救急医療の現状
─当科の現状との比較
三重中央医療センター 臨床研究部,小児科 盆野元紀
日本の新生児医療は世界のなかでもトップクラ スであるが,その一方,医療従事者,特に医師の 負担は厳しい.しかし近年,新研修医制度に伴い,
研修医や若手医師が都市部へ集中し,また多忙で ある科を先攻することが回避される傾向が顕著 で,地方での若い小児科医の減少が顕在化してい る.さらに夜間小児診療の社会的期待の増大も新 生児医療の現場から働き盛りの小児科医を奪う一 因となっている.三重県においてもその例外では なく,更なる小児医療の機能的集約化,労働条件 の改善が早急に望まれる.今回,トロント小児病
院および 大学 小児病院 を
視察する機会を得た.医師以外に
, など日本には存在
しない専門の職種があり,チーム医療を行ってい る.三重県および当院の新生児医療の現状と比較 して報告する.