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キューバの経済構造と土地改革

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(1)

キューバの経済構造と土地改革

その他のタイトル Economic Structure and Agrarian Reform in Cuba

著者 木田 和男

雑誌名 關西大學商學論集

5

6‑7

ページ 470‑488

発行年 1961‑02‑28

URL http://hdl.handle.net/10112/00021704

(2)

一九五九年の五月以来︑積極的に推進している土地改革は︑ただ単に大土地所有制

の廃止を目的とするだけに止まらず︑経済の多様化と発展を目的としており︑このために初発より集団農業形態の

採用に重点をおいている点において︑まさに画期的な改革といわなければならない︒また事実︑キューバは︑この

土地改革の進展にともなって︑農業生産︑ひいては工業生産の急速な拡大に明るい展望をひらくことができた︒現

在︑停滞的なモノカルチュアより脱却しようとしている低開発諸国︑とりわけラテン・アメリカの国々がキュー・ハ

勿論︑キューパの土地改革は︑まだようやくいとぐちについたばかりであり︑そこから決定的な結論を導きだす

にはあまりにも時期尚早であるが︑現在に至るまでの経過をあとづけることによって︑最近の後進国開発論に︑少 の成果に括目しているのも︑まことに当然である︒ キューパのカストロ政権が︑

ーバの経済構造と土地改革

キューハの経済構造と土地改革︵木田︶

(3)

1

キューバの経済構造と土地改革︵木田︶

ご金

産 業 別 国 民 所 得

(金額単位= 1,000,000ペソ)

1953 

, I

;ーセ打金

1952 

額『;ーセ打金

1954 

額「 ーセソ

. 

砂 糖 砂糖以外

工 業 砂 糖 砂糖以外

政 府 a 都市不動産

金 融

そ の 他

b

国 民 所 得 c

(国内勘定)

砂 糖 部 門

401 I  20 I  247 I  16 I  279 I  16 

187 I  9 I  222 I  13 I  238 I  13 

588 I  29 I  469 I  29 I  517 I  29 

2541  121  1301  71  1531 

806 I  40 

731 I  42 I  716 I  41 

1,060 I  52 I  861 I  49 I  869 I  50 

うな意味からである︒

246 I  12 

238 

14 I  221 I  13 

791  41  791  51  871 

17 I  20 I  19 I 

47  42 

│ 

43 

_ _ _  

2,037 

I  ~I ~,

100 

1,756 

100 

32 

655  377  23  432  25 

政府職員給与のみ。

c  要素費用による。

米国商務省「キューバにおける外国投資」

専門的職業収入および恩給,年金等。

8 9

︱つの示唆を与えうるであろう︒本稿においてキューパの経済構造と土地改革を検討するのも︑このよ

(4)

第 2表 キューバにおける輸出商品の百分比構成

; 両 こ し 門 砂 糖aIクバコ

b

物 食 糧 ! そ の 他

1936‑40  7 9 . o  

9 . o  

3 . 6  

4 . 1  

4 . 3  

1941‑45 

7 6 . 9  

9 . 5  

5 . 1   4 . 4  

4 . 1  

1945‑50 

8 6 . 1   ¥  6 . 2  

2 . 1  

2 . s  

2 . 8  

1951‑55 

8 3 . 3  

6 . 5  

4 . 6   1 . 6  

4 . 0  

a.

砂糖および副産物 前掲書

3 4 4

b.

葉クバコおよびクバコ製品

とんど三分の二までが甘蕪および甘荒生産物に負うており

モノカルチュア的経済構造 キューバは︑世界第一の砂糖生産国であると同時に世界第一の砂糖輸出国

であ初ラテン・アメリカにおいても典型的なモノカルチュアの国の︱つで

今日︑糖業がキューバ全経済にいかに大きな地位を占めているかは︑国民 所得総額のおよそ三分の一ー四分の一が砂糖部門において生産されているこ とや︑農業所得のほぽ三分のニーニ分の一が甘庶栽培より生じていることな どから︑大体推察しうるであろう︵前頁第一表参照︶︒しかしそれ以上に︑糖業 にたいする極端な偏向を最もよく示しているのほ︑この国の輸出であって︑

砂糖が輸出総額中に占める割合は︑平均して八

0

%あまりとなっている︵第

このように︑糖業がキューバ経済において優越的な地位に立っている結果︑

運輸業や商業や金融業などの諸部門も糖業に依存することが極めて大きく︑

たとえば︑公共鉄道の全輸送貨物トン数の八

0

%以上と貨物よりの収入のほ

照︶︑また商業銀行の砂糖会社にたいする貸付額は︑通常︑毎年三月ー五月に

一 四

︵次頁第三表参

(5)

3表 キューバ公共鉄道の貨物輸送

全 貨 物 輸 送

1

甘庶および甘庶生産心の輸送

ト ソ 1収 入

( 1 , 0 0 0

トン)

1 , 0 0 0

ペソ) 1ト ン 数 彩 1収入 % 

3 5 , 5 6 7  

2 8 , 3 4 1  

8 2 . 1  

2 9 , 4 8 1  

3 1 , 3 7 0  

8 3 . 5   2 3 , 5 7 0  

2 4 , 5 1 0  

8 0 . 3  

a.

粗糖,精糖,糖蜜,アルコール,プランディおよびラムを含む。

前掲書

275276

1950‑51  1951‑52  1952‑53 

6 2 . 3   6 6 . 1   6 1 . 1  

一 五 一人あたり実質所得は︑ただ単に砂

最高に達するが︑六月末日現在の勘定においてもなお貸付総額中の大略二分 以上にみたようなモノカルチュア的経済構造のために︑

キューバ経済全体

が複雑気まぐれな世界砂糖市況の変動を強くうけねばならず︑世界市場の浮 沈にともなって︑時には異常なプームの狂態におどり︑時には不況の深渕に

③ 

あえぐことになる︒その結果︑

ほど利潤の多い事業はほかにない︒しかしその相場が悪い時にはーー経済が 砂糖に依存しているので│ーほかの事業も大部分が同時に苦境に立たされ る︒だから︑多数のキューバ人投資家にとっては︑砂糖の好況時にはほかの 投資先はそれほど魅力がなく︑また不況時にはほとんど同じように危険性が

④ 

多い︒﹂ということによって︑

況の好悪にかかわらず︑極めて不活澄である︒ここにおいて︑

キューパの過

度の砂糖依存性を縮小するためには広範な経済多様化を必要とするが︑その 多様化を妨げているのがほかならぬ糖業の圧俄的優位であるという﹁悪循環﹂

⑤ 

が成立し︑経済の不安定性と停滞性をかたちづくることになる︒このことは キューパの一人あたり実質所得の趨勢に端的にあらわれている︒すなわち︑

0

年以後ほとんど三

0

糖業以外の産業部門にたいする新投資は︑景

キューパでは砂糖

の一ー三分の一を占めている状態である︵次頁第四表参照︶︒

(6)

4表 商 業 銀 行 の 砂 糖 会 社 に た い す る 融 資

1糖業にたいする貸付額 1貸付総額中に占める割合

(6

月3

0

日現在)

1 , 0 0 0 , 0 0 0

ペソ/ドル) (パーセソト)

1 9 2 8   I  6 7 . 7   I  4 2 . 3   1 9 3 1   I  4 2 . 4   I  3 4 .  7  1 9 3 7   I  3 2 . 7   I  4 7 . 1   1 9 4 0   I  3 4 . 5   I  4 7 . 3   1 9 4 5   I  2 4 . 0   I  3 1 . 4   1 9 4 6   I  5 2 .  7  I  3 3 . 5   1 9 4 7   I  2 3 . 5   I  1 6 . 3   1 9 4 8   I  7 6 . 9   I  3 3 . 9   1 9 4 9   I  8 7 . 4   I  4 6 . 8  

IBRD, Report on C u b a ,  1 9 5 1 ,  p .   5 8 1  

0

年代中頃の季節的変動の状況についてのべた

糖の国際市況とともに変動したのみで︑全然上昇傾向を示していない

のである︵次頁第一図および第二図参照︶︒

この砂糖の世界市場の変動に加えて︑

ぅ︱つの変動︑糖業の繁閑期に応じておこる季節的な変動をうけねば

⑦ 

ならない︒キューパでは︑甘庶収穫および圧搾期をサフラ

6 "

z a f r

a "

と呼んでいるが︑キューバの全経済がこのサフラを軸に回転している︒

サフラには︑糖業はいうまでもなく︑あらゆる産業が活況を呈し︑大

量の労働力が吸収されるが︑ キューパの経済は︑さらにも

サフラが過ぎていわゆる﹁死の季節﹂

6 ^

t i

e m p o

u  m

er

to

"

がくると経済活動は沈滞し︑多数の労働者が職を 失う︒したがって︑好景気の年でさえ︑部分的にしか雇傭されない労 働者が相当数に上る︒たとえば︑甘庶収穫量および粗糖生産量がキュ

ーバ糖業史上のピークを記録した一九五二年においてすら︑就業日数 三九週以下の労働者が︑最も低くみつもっても︑全体の約四分の一を

︐ 

占めていたのである︵三八頁第五表参照︶︒

アメリカの外交政策協会のキューバ問題委員会がその著﹁新生キュ

' P

l o

b l

e m

s o f

  t h

e   N

ew

  Cu

ba

"

文は非常に有名であるので︑少し長いが引用することにする︒

一 六

(7)

1

一人あたり実質所得の趨勢

(19201948

基準年度=1

9 2 6

キューハの経済構造と土地改革︵木田︶

300

ペソ

1

200 

100 

0 1 9  2 0  

"  

1 9  3 0   1 9 4 0   I  948

IBRD, o p .  c i t .   p .   4 1  

Report on C u b a ,  1 9 5 1 ,  p .   4 1  

2

キューパの砂糖輸出額

(19201949

1 0 0

万ドル

800 

一 七

0 1 9 2 0   1 9 3 0   1940 

テルは商社の移動阪売員でごったがえす︒どの家にもまた燈用石油を買うだけの金が入ると︑

1 9 4 9 丑

i b i d . ,   p .  8 0 1  

IBRD, Report on C u b a ,  1 9 5 1 ,  p .  

﹁甘庶の取入れとともに︑島じゅうが活動をはじめる︒どの家も肉と米を買って︑畑仕事で使わねばならぬ大変

な精力をつけはじめる︒衣料と靴を買う︒商社の倉庫は輸入の食料と衣料でいっぱいになる︒島の田舎町の二流ホ

く︒⁝⁝平年なみの操業季ならば︑なにからなにまでたちまち繁昌してくる︒しかし︑ニカ月から五ヵ月仕事がつ

づくと︑様子が変りはじめる︒⁝⁝甘庶一家はいずれも支出を減らしだすf死の季節がせまってくるのがわかるか

(8)

5 キューバの労働者の就業日数

( 1 9 5 2

年)

労 働 者 数 1全体の百分比

就業日数(週単位)

1 0

週またはそれ

10‑19

週間

20‑29

週間

30‑39

週間

40‑49

週間

50‑52

週間

9 4 , 2 0 9   4 . 6

8 7 , 4 2 2   4 . 2

1 6 5 , 8 1 9   8.0% 

1 3 4 , 9 5 4   6.6% 

1 6 9 , 3 8 8   8 . 2 9 6   1 , 4 0 7 , 8 6 7   68.4% 

2 , 0 5 9 , 6 5 9   100.0% 

米国商務省「キューバにおける外国投資」

4 9

b o

h i

o  

0

年には︑砂糖会社の所有︑

らだ︒どの労働者も︑少しでも金になることがあれば︑賃金が安くてもよろこんで︑その仕事にとびつく︒商店主

は棚の商品の手持を減らし︑移動販売員ほハバナにひきさがる︒サフラの繁昌ほだんだんひいて行き︑ボイオ

︵草ぶき屋根の小屋︶の燈用石油の灯りも消えはじめる︒⁝・:自分たち自身の作物をほとんど植付けないか

あるいは全然植付けない大衆は︑乞食したり︑

nW  

3H3 きれば︑それを追ってどこまでも移住する︒﹂ できるかぎり食物をひろい集め︑あるいは仕事をみつけることがで

l l   i l  

0

年代になってもなお甚本的には変っていない︒そのためにキ

ューバ経済ほ︑国際的および国内的な二重の変動をうけることによって︑

以上のような不安定で脆弱なモノカルチュアを根底において支えていた

世紀初頭以来のキューバ糖業の急激な発展は必然的に糖業資本の集積集中

運動をひきおこしたが︑それにともなって庶作の領域でも集積集中が進行

して大ェステートがつくりだされ︑少数の巨大企業または不在地主││そ

e i 

~.

の多くが米国資本ーーの手中に帰した︒

管理する農地面積は七六

0

1

0

ニーカーの実に二八グんを占めた︵次頁第六表参照︶︒もし︑これを全農地面

積との対比でわりだせば︑砂糖会社の農地支払率はさらに高くなるはずで のは︑砂糖のラティフンディオ

l a t i f u n d i o "

不況時における諸困難が倍加されることになるのである︒ ここに生々と描かれているような事情は︑ キニーハの経済構造と土地改革︵木田︶

一 八

(9)

第 6 I

砂糖会社の土地支配率 キューバ総面積にたい する比率

1 8 6 0   1 9 1 2   1 9 2 5   1 9 3 9   1 9 5 0  

7 . 0

1 0 . 3

1 7 . 7

26.7% 

2 8 . 0

1 9 5 0

年の数字は

IBRD,Report  on C u b a ,   p .  7 9 5にもとづくが,

他は米国商務省「キューバにお

ける外国投資」 64頁による。

一 九

ある︒しかも砂糖会社の掌握している農地のうち︑実際に甘庶栽培にあてられた面積は︑⑳ 万ニーカーをこえたことがなく︑過半が予備の農地として遊休させられていたのである

0

0

年までに三五

このような大ニステートの形成は︑他方においては︑多数の自営農民の土地喪失を意味している︒大ニステート

キューパの農場の大部分が所有者自身によって経営されていたのであるが︑

勢調査によれば、所有者の直接経営する農場が全体の三0•五%で、農地総面積の三二•四%しか占めていないの

に反して︑管理人の経営にかかわる農場はわずか五・八形で︑面積の二五・六形まで占めている︒また過半の農民

が借地農で︑その経営面積は全体の四

0

%にもみたない︵次頁第七表参照︶︒

また大ニステートの発達にともなう士地所有の集中状況は︑農場総数の

0 .

%たらずの一︱四の農場が農地総

面積の二

O ・

~を占め、農場総数の八%ほどが農地全体の七一・一%をも占めているのにたいして、二四・五ニ

ーカー未満の農場が︑農場総数の三九・一彩にあたりながら︑面積ではわ

ずかに三・三%ほどしか占めていない︑という事実に最も明瞭に示されて

S l  

n u  

に飢えてくらす﹂約五

0

万にのぽる農業労働者が生みだされた︒これらの 一インチの農地もないまま︑子供らととも

. ‑

,. でしまう﹂約一

0

万の小農とともに︑

ら ︑

ついに自分のものとすることができないうちに死ん この結果︑キューバには︑

﹁自分のものでない土地にのぞみをかけなが 一九四六年の農業国

(10)

7

経 営 者 別

農場経営の形態

( 1 9 4 5

平均農場規模

1構成比(%)│

1 . 0 0 0   │ 

(エーカー)

ニーカー 構成比(彩)

4 8 , 7 2 9   3 0 . 5   7 , 3 1 1   3 2 . 4   1 5 0  

9 , 3 4 2   5 . 8   5 , 7 3 4   2 5 . 6   6 1 4  

4 6 , 0 4 8   2 8 . 8   6 , 7 0 6   3 0 . 3   1 4 6  

6 , 9 8 7   4 . 4   5 3 2   2 . 4   7 6  

刈 分 小 作 人

3 3 , 0 6 4   2 0 . 7   1 , 3 6 4   6 . 1   4 1  

無 断 居 住 者

1 3 , 7 1 8   8 . 6   6 0 5   2 . 7   4 4  

の . 他

2 , 0 0 7   1 . 2   1 7 8   0 . 8   8 9  

1 1 5 9 , 9 5 8 1   1 0 0 . 0  2 ~ 1

米国商務省「キューバにおける外国投資」

68

1 4 0  

五三ー九五年︶は︑

ほ︑サフラに大量の労働力が糖業に奪われることや︑農業一般の繁閑期が糖業の繁閑期と競合していることや︑

るコロノ

c o

l o

n o

土地の収穫を一定年間にわたって製糖工場にひきわたす契約を

^

"  

工場主と結ぶー│が甘庶以外の作物の栽培を禁じていることな

業国のキューバが主要食糧さえ自給できないという矛盾した状

一九四八ー五三年のキュ

ーパの輸入総額のうち二八•五彩も占めており、輸入品目中の最高率を示している d

すぐれた思想家でもあったホセ・マルティ

J o s e

M a

r t

i  

(

一九世紀のキューバ独立運動の偉大な指導者であり︑同時に 態にたちいたったのである︒食糧は︑ どとあいまって︑食料作物生産の発展を妨げた︒そのために農 さらに︑広大な土地が大ニステートによって占められたこと o 市場を狭陰ならしめる一因となっていることはいうまでもな 農民︑とりわけ農業労働者の大群の貧しさが︑

キューバの国内

(11)

8表

キューハの経済構造と土地改革︵木田︶

規模別(単位エーカー)

農場の規模別調査

( 1 9 4 5

年)

I

I構成比(彩)

1以下 1.2‑

2.5‑

12.4‑

24.7‑

61.8‑

123.6‑

185.3‑

2 . 2   1 2 . 1   2 4 . 5   6 1 . 5   1 2 3 . 3   1 8 5 . 1   2 4 6 . 9   2 4 7 . 1

1 , 2 3 5 . 3 1,235.5‑2 , 4 7 0 . 8   2 , 4 7 1 . 0 ‑ 1 2 , 3 5 4 . 9   1 2 , 3 5 5 . 2

以上

1 , 1 4 8   1 , 8 7 7   2 9 , 1 7 0   3 0 , 3 0 5   4 8 , 7 7 8   2 3 , 9 0 1   8 , 1 5 7   3 , 8 5 3   1 0 , 4 3 3   1 , 4 4 2   7 8 0   1 1 4  

0 . 7  

1 . 2   1 8 . 2   1 9 . 0   3 0 . 5   1 5 . 0   5 . 1   2 . 4   6 . 5   0 . 9   0 . 5  

工ど笠

I

構成比(彩)

2 0 8  

5 2 1   1 , 7 9 2   1 , 9 5 1   1 , 2 0 7   8 1 5   5 , 4 2 1   2 , 4 3 5   3 , 5 6 7   4 , 4 9 1  

0 . 9   2 . 3   8 . 0   8 . 7   5 . 4   3 . 6   2 4 . 1   1 0 . 9   1 6 . 0   2 0 . 1  

1 5 9 , 9 5 8   1 0 0 . 0   2 2 , 4 3 0   1 0 0 . 0   a.  0 . 1

彩以下

前掲書

6 0

6 1

%頁

際にうけいれられることになったの 年の土地改革によってはじめて︑実 は︑その後七十六年を経た一九五九 作物に生存の基礎をおくその日に︑自殺する﹂と警告したが︑この警告

(12)

キュー・ハは︑一九五六ー七年の世界の全砂糖生産量の一三・︱︱︱彩︑全砂糖輸出量の三ニ・八彩を占めている︒世界経済調査

会﹁中南米の経済﹂︵一九六

0

年︶一六五頁参照

前掲書一四九ー一五七頁︒小林新﹁ラテソ・アメリカ﹂︵一九五八年︶六五ー六九頁︒

楊井克巳﹁アメリカ帝国主義論﹂︵一九五九年︶五九ー七三頁に詳細な史的分析がなされている︒

JBRD•Report

on

Cuba•1951•p.

 

i b i d

. ,  

Jヂソ・ステイレイ著︑村松祐次訳﹁後進国の将来﹂︵一九五七年︶二九ニー三頁もこの点を指摘している︒

IB

RD

,  o

p .  

cit••pp.

4 7 ‑ 5

1  

一九五二年の甘庶収穫量および粗糖生産量は︑それぞれ六︑五二六万七千トン︑七九六万四千トンでキューバ糖業史上空前

の記録を示したが︑これは朝鮮事変に触発された異常な砂糖景気によるものである︒

一九五三年の人口統計は︑一四才以上の人ロ一︱‑︑八二八︑四六四人について︑一九五二年度における就業週を発表している

が︑この人口がさらに労働力人口︵二︑

0

五九︑六五九人︶と非労働力人口︵一︑七六八︑八

0

五人︶のニグループに分け

られているので︑非労働力人口がすべて一九五二年度の就業日数の一

0

週間もしくはそれ以下に入ると仮定して計算した︒

Le

oH

ub

er

ma

n 

Pa

ul

 M .

  S

we

ez

y,

u  C

ba

 A

na

to

my

f     o

R e v o

l u t i

o n ,  

1960•p.

6池上幹徳訳﹁キ

ューバー︱つの革命の解剖ー﹂︵一九六

0

年︶岩波新書版一

0

頁に記されている﹁一九五一1一年は特別に景気の悪い年ではな

かった:.﹂︵引用は岩波新書版による︶は︑一九五二年と勘違いして叙述を進めているようである︒

Hu

be

rm

an

 

Sw

ee

zy

,  o

p .  

cit••p.

8岩ヰ奴新書版―ニー一四頁(以下の引用はすべて新書版によっている)IBRD•op.

cit••p.

4 8

米国商務省発行︑外務省アメリカ局中南米課訳﹁キューバにおける外国投資﹂︵一九五八年︶米南資料第一四七

号四六二頁︒

O l l

米国商務省﹁キューバにおける外国投資﹂四六

0

四楊井克已前掲書四ニー五九頁参照︒

IB

RD

,  o p .  

cit••p.

7 95  

閥四フィデル・カストロ著︑池上幹徳訳﹁わがキュー.^革命

( 1 0 )  

(9)  (8)  (7)  (6)  (5)  (4)  (3)  (2) 

キューバの経済構造と土地改革︵木田︶

その思想と展望﹂︵一九六一年︶五七頁︒

(13)

キューバで一九五九年の六月四日から実施された土地改革は︑前項で明らかにしたような︑砂糖の単一生産に極

度に偏向した不安的で停滞的な経済構造を︑根本的に変革するための第一着手であった︒土地改革法はその前文の

﹁産業の成長と多様化﹂をはからなければならないことを指摘し︑土地改革がそのための体⑳ 制的基礎となることを明示している︒これを図式的に示せば︑およそ次のようになるであろう︒

/  食糧自給化←工業化に必要な生産財輸入を増加←工業化←単一生産脱却 \ \  土地改革←農業生産力の全面的上昇ー農民の所得水準向上←国内消費市場を拡大 / 

キューバの土地改革はこのような明確な意図のもとに行われているのである︒

J

キューパの奇形的な経済構造の支柱であり︑庶作以外の農業の発展にたいする障害となっていたのが

砂糖のラティフンディオ

11

大ニステートであった以上︑土地改革がまず大ニステートの廃止に向ったのは︑

然のことである︒土地改革法によれば︑士地の所有は原則として最高一︑

0 0

0

ニーカーにかぎられ︵ただし例外と

して︑収穫率のとくに高い農場には三︑

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ニーカーまでの土地所有がみとめられる︶︑

はすべて収用され︑すでに国家が所有している土地とともに︑協同組合に一括してひきわたされるか︑あるいほ︑ 除去﹂するためには︑ 中で︑この点について︑

(18) (17)  (16) 

﹁国の天然資源のもっとも効果的な利用を促進﹂するとともに﹁農業の単作制への依存を

楊井克巳前掲沓五一ー五二頁台湾総督官房調査課﹁羅匈亜米利加の糖業﹂︵一九二二年︶一六ーニ五頁︒

米国商務省前掲書三四八ー三五0

頁 ︒

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10 

至極当

最高限度をこえる土地

(14)

ステートは完全に廃絶されることになる︒

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︵五人家族の農家一戸につき肥沃な非灌漑地六六ニーカーが標準︶に分割 

して土地をもたない農民に無償で分配される︒また今後は刈分小作契約も︑甘庶栽培地と製糖工場の共有も一切禁

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止され︑外国人が所有する庶園は法律発効一年後に全部接収されるということになっている︒この法律の適用をう

nキューパの農地総面積のおよそ六

0

彩に相当する約一︑三二五万ニーカーに達し︑これによって大工

しかしながら︑大ニステートを解体してその土地を再分配することが︑それのみで直ちに農業生産力を全面的に

飛躍させることにならないのはもちろんである︒たとえば︑ラテン・アメリカにおいて最初に土地改革を実現した

しかも﹁アジアにおける最近の変革が行われるまでは︑

ソ連邦を除いて世界のどこにも同一規模に近づ

くほどの土地所有の再分配を行った国はなかった﹂といわれるメキシコの例をみても︑一九ニニー四五年の間に耕

地総面積の約五

0

彩にあたる一︑七五

0

万ニーカーを大ニステート︵アシニソダ

h a c i e n d a )

﹁経済的側面では︑その成果はそれほど満足すべきものでなかった﹂のである より収用し再分配し

農業生産力を全面的に躍進させるーキューパの土地改革が直接の目的とするところもここにあるーためには︑

方では︑管理状態が極めて悪く︑大部分が遊休地からなる大ニステートの非経済性を排すると同時に︑他方では︑

小規模経営の絶望的な非能率性をもさけねばならなかった︒そこで︑土地を個々の耕作者に分配するよりも︑

放耕作を基礎にした非経済的な大土地所有の生産を︑集約耕作と進んだ技術的方法の使用にもとづき︑大量生産の

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長所をもたらす協同生産に代える﹂ことが望まれ︑また実際に︑土地改革法は︑﹁この法律を適用かつ施行するた

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n3 めに法律上の人格をもつ自主的な実体として﹂創設された

INRA

︵全国農業改革局︶にたいして︑

四四

﹁ 疎

(15)

キューハの経済構造と土地改革︵木田︶ いる︒人民農場は︑ソヴェートの国営農場

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と同じような組織で︑土地および資本一切が国家に所属し︑

労働者は住宅その他の施設を無償で提供されるが︑ただ公定の賃金を支払われるのみで︑農場のあげえた利潤はす いま︱つの有力な解決策として︑現在試みられている﹁人民農場﹂ ューパの土地改革は︑大ニステートを解体し り農業協同組合を促進する﹂よう指示を与えている︒ここにおいてキた後に直接︑集団農業形態をとり入れることに力点をおくようになったのである︒

一九五九年三月の

INRA

動報告によれば︑同年三月現在ですでに︑収用予定地の三分の二にあたる八八

0

万ニーカーが接収されたが︑その

うちから﹁必要最低限度﹂の土地を分与された農民がわずかに五七六人を数えるにすぎないのに反して︑既設の協n3 同組合数が七六四にものぼっている︒

キューパの協同組合は︑今のところ試行錯誤の段階にあり︑

まだ最終的な一定の型をもつに至っていないが︑大

INRA

に提供された土地に︑農業労働者を組合員として組織され︑

INRA

によって任命された管

理人がその指示にしたがって経営を行い︑組合員に定額の賃金を支給するほか︑勘定期末にもし利潤があれば︑そ

⑳ の一部を分配するという形をとっているようである︒また協同組合農場には︑

INRA

によって設けられた﹁人民

が付属しており︑組合員に日用必需品を月末勘定で安価に供給するとともに組合

の農産物の販売にもあたっている︒この種の協同組合のもっとも大きな欠陥は︑地理的条件の相違よりおこる協同

組合間の貧富の問題であり︑農村に新しい階層分化をひきおこすおそれがある︒この問題の︱つの解決策として︑

ヒューバーマンとスウィージーは︑国家が沃度および立地に応じた一種の﹁差額地代﹂を協同組合に賦課することよって︑不平等の源泉をとりのぞき︑地代によって得られる資金を全体のために使用することを提唱しているが︑

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o  "が大いに期待されて

(16)

0

年に 場間の不乎等は一掃されることになる︒この新しい人民農場は︑今は︑創設にさいして巨額の投資を必要とする種 べて国家に吸収される︒したがって︑この人民農場が普及し︑既設の農業協同組合の完全な国営化が進めば︑各農

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種の家畜飼育場に組織されているだけであるが︑将来は他の部門にも急速に拡がるものとみなされている︒

キューパの土地改革が︑こうした比較的高度の農業協同組合や人民農場を︑小農段階をとぴ越えて一挙に創出す

ることに成功したのは︑教条主義にとらわれないカストロの独創性にもよるだろうが︑糖業資本の発展に促された

高度の土地所有の集中がその物質的基礎を与え︑農業労働力人口総数のほとんどで七

0

形にも達する﹁二重の意味で﹂自由な農業労働者がその社会的基礎を与えたといえるだろう︒

﹁農民が自分の土地を持ちたいと思うことはないのでしょうか﹂

﹁彼等は︑私有財産というものの味を知らないのです︒また︑たとえ︑そういう誘惑があったと仮定した場合で

一応何かを私有した経験のあることが必要でしょう︒父祖代々︑彼等は︑何も

自分の物は持ったことがないんです︒腰帯にはさんだ︑黒い砂糖キビ刈用の鎌

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)

をのぞいては⁝︑祖先

伝来の遺産といえば︑空腹と貧乏と病気くらいのものなんです︒今︑彼等はそこから逃出すことしかのぞんではい

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ここに語られている事情は︑農業労働者の多くがすでに庶園において集団的労働に習熟していたという事情とあ

わせて︑集団農業形態への即時移行を可能にした大きな要因であろう︒

ところで︑農業生産力の全面的な発展を直接の目的とした土地改革の成果はどうであったろうか︒

も︑それが切実なものになるには︑ ﹁砂糖に吹く嵐﹂の中の次の対話は極めて示唆に富んでいる︒

この点について︑サルトルのキューバ訪問記

(17)

主要作物生産

(単位=

1 , 0 0 0

メートル・トン)

~ I 1 9 5 8  1 9 5 9   I

増加率(%)

砂 糖 15

, 7 7 8 . 6   5 , 9 6 4 . 2  

│  + 

煙 草

4 1 . 6 I  4 1 . 2   I  ‑ 1 

コ ー ヒ ー 、

2 9 . 1  I  4 9 . 2  I  +68 

9

米 ( 玄 米 )

2 2 2 . 7   2 9 5 . 5   +32 

1 . 4  

黒 豆 ・ 赤 豆

3 0 . 0   3 5 . 0   +16 

とうもろこし

1 4 7 . 0   1 9 0 . 0   +29 

7 . 0   1 1 . 0   +42 

1 0 1 . 0   1 1 3 . 0   +11 

パ イ ナ ッ プ ル

1 0 0 . 0   9 8 . 0   ‑ 2 

オ レ ン ジ

7 3 . 0   8 1 . 0   +11 

き ゅ う り

1 8 . 0   1 8 . 0  

卜 マ 卜

6 9 . 3   7 3 . 1   + 5 

Huberman and Sweezy, Cuba, 1 9 6 0 ,  

p. 

1 3 8  

は疑ない︒セオドア・ドレーパーは︑

0

年五月 いる農業労働者を含む貧農の生活水準が向上したこと g u

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あるいはカンペシノ

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と呼ばれて また︑農民︑ことにキューパで︑ふつぅ︑グアヒロ ことではないだろう︒ ハが主要食糧を完全に自給できるようになるのも遠い 来の展望に極めて明るい光をなげかけている︒キュー 年の間に急増したことは︑実に大きな成果であり︑将 仰いできた米︑棉花︑豆類︑落花生の生産がわずか 大している︒とりわけ︑従来キューバが大量の輸入に

一九五九年には対前年比で

1 0

0

形増 ーであるが︑この中︑

一九五九年にコーヒー生産が急激に増加しているのは︑

ついての統計はまだ利用できないが︑土地改革前の一九五八年と改革第一年目の一九五九年の主要作物生産高を比 較しただけでも︑その成果がはっきりと分る︵第九表参照︶︒

コーヒー栽培地が復旧したためで︑ 一九五八年の内戦によって荒廃した

ただ正常な生産水準を回復したまでのことである︒したがって三つの輸出作物 生産は実質的に停滞しているといえるが︑これは︑世界市場による制約が大きいから︑増産できなかったというよ

⑳ 

り増産しなかったと考えるべきである︒しかし︑米︑棉花︑豆類︑とうもろこし︑落花生︑馬鈴薯︑オレンジなど

キューパの伝統的な輸出作物は砂糖と煙草とコーヒ

(18)

(20) 

註⑲ 注目される︒ ﹁キューパの土地改革の背後にある理論についてどう考えようと︑

またその計画が実際にどんな結果になろう

と︑貧乏で︑文盲の︑土地をもたない︑見棄てられたグアヒロにとって︑協同組合は生活水準を何世紀分も一挙にひきあげることになるという事実ほどうしても無視できない︒﹂

一方では所得の増加によって︑他方では人民の店による農村物価の引下げによって達

成されたと考えられるが︑この生活水準の上昇が農村の消費購買力を異常に高めた結果︑現在ではむしろ工業化のたちおくれが問題となってきているほどである︒以上にみたように︑キューパの土地改革は所期の目的を十分に達

しつつあるといって差支えない︒もっとも︑この土地改革にもいろいろと問題が残されている力もっとも大きな問題は︑その︑

力主義﹂が︑直接的に集団農業形態をとり入れながら︑他面︑土地所有の最高限度に示されているように︑地主に

たいしてかなり寛大な態度をとったことによって︑全般的な土地所有の再分配を不徹底に終らせたことである︒こ

こに農業経営者による反動が生ずる危険性がある︒キューパのカストロ政権が︑この問題にどのように対処するか

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1 1 0

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農民の生活水準の向上は︑ 十二日の﹁ザ・リボークー﹂に次のような記事を書いている︒

参照

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